JP4037960B2 - ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン樹脂組成物、詳しくは、シーリング材、防水材、接着剤、塗料および舗装材などの可塑剤として使用されるポリウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シーリング材、防水材、接着剤、塗料および舗装材などのベース樹脂に配合される可塑剤としては、ジオクチルフタレートに代表されるフタル酸エステル系の可塑剤など、主として低分子のものが使用されてきた。しかし、この種の低分子の可塑剤は、配合されたベース樹脂中からブリードし易く、そのため、シーリング材や防水材などでは、硬化した後の表面に塗装を施したときに、塗膜汚染を引き起こしたり、あるいは、接着剤などでは接着不良の原因となっていた。
【0003】
そのため、たとえば、特開昭63−251459号公報や特公平8−26217号公報には、有機イソシアネートとモノオールとを反応させることによって得られる、実質的にイソシアネート基を持たないウレタン化合物を使用することによって、耐ブリード性を向上させることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭63−251459号公報や特公平8−26217号公報に記載されるウレタン化合物をシーリング材や防水材に配合して、硬化させた後の表面に塗装を施すと、数週間ないし数カ月の期間では耐ブリード性を良好に維持して、塗膜汚染を改善することはできるが、屋外の環境下において、数年にわたって長期的に使用された場合には、やはりウレタン化合物がブリードして雨水などで流れ落ちてしまい、シーリング材や防水材が硬くなり、あるいは、体積収縮を引き起して、塗膜のひび割れなどを生じる場合がある。
【0005】
また、硬化させた後の表面に塗装を施さない場合においては、雨水や温度変化、特に紫外線による劣化が起こり易く、クラックやチョーキングなどが発生する場合がある。
本発明は、上記した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、配合されたベース樹脂から長期にわたりブリードせず、ベース樹脂の耐候性を向上させることができる、可塑剤として使用されるポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、その手段として、イソシアネート成分としてのポリイソシアネートと、活性水素成分としてのモノオールおよび分子内に1個の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物とを反応させることによって得られる、イソシアネート基含有率が0.5%以下の、可塑剤として使用されるポリウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
この反応では、活性水素成分として、さらに、活性水素基を分子内に少なくとも2個以上有する多官能性活性水素基含有化合物が含まれていてもよい。
また、この反応においては、イソシアネート成分と活性水素成分とを、活性水素成分に含まれる活性水素基に対する、イソシアネート成分に含まれるイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)で、1.0〜1.1の割合となるように反応させることが好ましい。
【0008】
さらに、前記(メタ)アクリル化合物の分子量が500以下であり、この(メタ)アクリル化合物の配合割合が、前記(メタ)アクリル化合物の有する水酸基に対する、イソシアネート成分に含まれるイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)で、2.0〜10.0の範囲であることが好ましい。このような本発明のポリウレタン樹脂組成物は、シーリング材、防水材、接着剤、塗料および舗装材に、好適に配合される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるイソシアネート成分としてのポリイソシアネートは、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物であって、ポリウレタン樹脂の製造に通常使用されるものであれば、特に限定されることなく使用できる。
【0010】
このようなポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)、もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6 XDI)などの脂環族ジイソシアネート、およびこれらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)などが挙げられる。これらは単独または2種以上の混合物として用いられる。
【0011】
本発明で使用される活性水素成分としてのモノオールは、分子内に1個の活性水素基としての水酸基を有する化合物であって、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールなどの脂肪族モノアルコール類、例えば、シクロペンタノール、ジメチルシクロヘキサノールなどの脂環族モノアルコール類、例えば、ベンジルアルコールなどの芳香脂肪族モノアルコール類、例えば、フェノール、クレゾールなどの芳香族(フェノール性)モノアルコール類などの公知のモノアルコールを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるポリオキシアルキレンモノオール、および、これらモノアルコールを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトンを開環重合して得られるポリエステルモノオール、ならびに、これらモノアルコールを開始剤としてエチレンカーボネートなどのカーボネートを開環重合して得られるポリカーボネートモノオールなどが挙げられる。これらは単独または2種以上の混合物として用いられる。また、これらモノオールの中では、ポリオキシアルキレンモノオール、とりわけ、ポリオキシプロピレンモノオール(ポリオキシエチレンユニットを含有するものも含む。)が好ましく用いられる。
【0012】
さらに、これらモノオールの数平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。数平均分子量が500未満の場合には、得られたポリウレタン樹脂組成物をベース樹脂に配合した場合、ブリードし易くなる場合があり、一方、数平均分子量が10000を超える場合には、得られたポリウレタン樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が低下する場合がある。
【0013】
また、モノオールの、イソシアネート成分としてのポリイソシアネートに対する配合割合は、モノオールの有する水酸基に対するポリイソシアネートの有するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)で、1.1〜10.0の範囲にあることが好ましい。また、得られたポリウレタン樹脂組成物の粘度を考慮すると、1.1〜2.0であることがさらに好ましい。
【0014】
また、本発明においては、活性水素成分として、活性水素基を分子内に少なくとも2個以上有する多官能性活性水素基含有化合物を含ませて、これを、上記したモノオールとともに、イソシアネート成分としてのポリイソシアネートと反応させてもよい。
このような多官能性活性水素基含有化合物は、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応し得る、例えば、水酸基、アミノ基などの活性水素基を分子内に少なくとも2個以上有する多官能性の化合物であって、ポリウレタン樹脂の製造に通常使用される多官能性活性水素基含有化合物であれば、特に限定されることなく使用できる。具体的には、低分子ポリオール、低分子ポリアミンおよびマクロポリオールなどが挙げられる。
【0015】
低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカン(C7〜C22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、アルカン−1,2−ジオール(C17〜C20)、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレンテレフタレートなどの低分子ジオール、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノール、およびその他の脂肪族トリオール(C8〜24)などの低分子トリオールなどが挙げられる。
【0016】
低分子ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ジアミノトルエン、ビス−(4−アミノフェニル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−クロロフェニル)メタンなどの低分子ジアミン、および、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2’−ジアミノジエチルアミンなどのアミノ基を3個以上有する低分子アミンが挙げられる。
【0017】
マクロポリオールとしては、例えば、上記した低分子ポリオールおよび低分子ポリアミンを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られ、または、テトラヒドロフランなどの開環重合によって得られるポリオキシアルキレンポリオール、例えば、低分子ポリオールの1種または2種以上と、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(C11〜C13)、ヘット酸、およびこれらのカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、さらには、これらのカルボン酸から誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどとの反応によって得られ、または、低分子ポリオールを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトンを開環重合して得られるポリエステルポリオール、および、低分子ポリオールを開始剤としてエチレンカーボネートなどのカーボネートを開環重合して得られるポリカーボネートポリオール、ひまし油などの天然油脂ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどのポリオレフィンポリオールおよびそれらの水素添加化合物などが挙げられる。
【0018】
これら多官能性活性水素基含有化合物は、単独または2種以上の混合物として用いられる。これら多官能性活性水素基含有化合物のうち、マクロポリオール、とりわけ、ポリオキシアルキレンポリオールが好ましく用いられる。さらに、ポリオキシアルキレンポリオールの中でも、ポリオキシプロピレングリコール(ポリオキシエチレンユニットを含有するものも含む。)が好ましく用いられる。また、これら多官能性活性水素基含有化合物の数平均分子量は、200〜10000であることが好ましい。
【0019】
また、多官能性活性水素基含有化合物の、イソシアネート成分としてのポリイソシアネートに対する配合割合は、多官能性活性水素基含有化合物の有する活性水素基に対するポリイソシアネートの有するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)で、2.0以上であることが好ましい。当量比が2.0未満では、粘度が高くなり作業性が低下する場合がある。
【0020】
また、本発明で使用される活性水素成分としての、分子内に1個の活性水素基としての水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(以下、単に(メタ)アクリル化合物と言う。)は、アクリルまたはメタクリル不飽和基を分子内に1ないし数個有するモノマー、オリゴマーあるいはそれらの混合物であって、かつ、その分子内に1個の水酸基を有している化合物である。
【0021】
このような(メタ)アクリル化合物(ここで言う(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを指す。)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られるモノヒドロキシ(メタ)アクリレート、およびそれらの誘導体などが挙げられる。
より具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのモノヒドロキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0022】
また、それらの誘導体としては、これらモノヒドロキシ(メタ)アクリレートを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるポリオキシアルキレン変性体、および、これらモノヒドロキシ(メタ)アクリレートを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトンを開環重合して得られるポリエステル変性体、ならびに、これらモノヒドロキシ(メタ)アクリレートを開始剤としてエチレンカーボネートなどのカーボネートを開環重合して得られるポリカーボネート変性体などが挙げられる。
【0023】
これら(メタ)アクリル化合物は、単独または2種以上の混合物として用いられる。また、(メタ)アクリル化合物の中では、分子量が500以下のものが好ましく用いられる。分子量が500以下のものを使用すれば、得られたポリウレタン樹脂組成物中のアクリロイル基の濃度を高めることができる。このような好ましい(メタ)アクリル化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0024】
また、(メタ)アクリル化合物の、イソシアネート成分としてのポリイソシアネートに対する配合割合は、(メタ)アクリル化合物の有する水酸基に対するポリイソシアネートの有するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)で、2.0〜10.0の範囲にあることが好ましい。当量比が2.0未満の場合には、得られたポリウレタン樹脂組成物をベース樹脂に配合した場合、ブリードし易くなる場合があり、一方、当量比が10.0を超えると、得られたポリウレタン樹脂組成物中のアクリロイル基の濃度が低くなり、耐ブリード性を長期にわたり維持することができない場合がある。さらに好ましい配合割合は、上記の当量比(イソシアネート基/水酸基)で、3.0〜6.0の範囲である。
【0025】
そして、これら、イソシアネート成分として、ポリイソシアネートと、活性水素成分として、モノオール、(メタ)アクリル化合物、および必要に応じて多官能性活性水素基含有化合物とを反応させて、本発明のポリウレタン樹脂組成物を得る。
この反応において、イソシアネート成分と活性水素成分とを反応させる割合は、活性水素成分に含まれる活性水素基、すなわち、モノオール、多官能性活性水素基含有化合物および(メタ)アクリル化合物が有する活性水素基、に対する、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)で、1.0〜1.1であることが好ましい。当量比が1.0未満であると、得られたポリウレタン樹脂をベース樹脂にそのまま配合した場合には、残存する活性水素基によってベース樹脂の物性を損なう場合がある。一方、当量比が1.1を超える場合にも、得られたポリウレタン樹脂をベース樹脂にそのまま配合した場合には、残存するイソシアネート基によってベース樹脂の物性を損なう場合がある。
【0026】
また、この反応の条件は、ポリウレタン樹脂の製造に通常使用される条件でよく、例えば、窒素雰囲気下において、ポリイソシアネート、モノオール、(メタ)アクリル化合物、および必要に応じて多官能性活性水素基含有化合物を、好ましくは上記した反応割合となるように配合し、約50〜80℃で約1〜数時間反応させればよい。なお、この反応においては、必要に応じて、有機金属系およびアミン系などの公知のウレタン化触媒を添加してもよい。
【0027】
このようにして得られた本発明のポリウレタン樹脂組成物は、そのイソシアネート基含有率が0.5%以下、好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下とされる。イソシアネート基含有率が0.5%を超えると、得られたポリウレタン樹脂をベース樹脂に配合した場合に、残存するイソシアネート基によってベース樹脂の物性を損なう。イソシアネート成分と活性水素成分とを上記した割合、すなわち、当量比(イソシアネート基/活性水素基)1.0〜1.1の割合において、反応を完結させれば、特に格別の操作を行なうことなく、イソシアネート基含有率を0.5%以下にすることができる。また、イソシアネート成分と活性水素成分とを上記した割合、すなわち、当量比(イソシアネート基/活性水素基)1.0〜1.1の割合ではなく、例えば、当量比が1.1を超える割合で反応を行なった場合には、未反応のポリイソシアネートを、例えば、蒸留や抽出などの公知の手段を用いて除去することにより、イソシアネート基含有率を0.5%以下とすることができる。なお、このイソシアネート基含有率は、アミン当量を求める滴定法など、公知の手法によって容易に求められる。
【0028】
このようにして得られた、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、実質的にイソシアネート基を含有せず、可塑剤として使用され、特に、シーリング材、防水材、接着剤、塗料および舗装材などのベース樹脂に、好適に配合される。なお、ベース樹脂の種類は、例えば、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、変成シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリサルファイドなど、公知の合成樹脂のいずれであってもよく、特に制限されることなく配合できる。ベース樹脂に配合する割合は、通常、5〜20重量%であり、公知のミキサーなどを使用して混練することによって配合し得る。
【0029】
そして、配合されたポリウレタン樹脂組成物は、長期にわたりブリードせず、かつベース樹脂の耐候性を向上させることができる。従って、長期にわたりベース樹脂の良好な物性を維持でき、ベース樹脂の耐久性を高めることができる。
なお、本発明のポリウレタン組成物には、必要に応じて種々の添加剤、例えば消泡剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、分散剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、各種酸化防止剤、紫外線吸収剤等の耐候安定剤、加水分解防止剤、染料、無機顔料、有機顔料、体質顔料などを適宜配合してもよい。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
トリレンジイソシアネート(2,4体/2,6体の異性体比が80/20のもの)100重量部と、数平均分子量1000のポリオキシプロピレンモノオール866重量部(水分0.03%以下のものを使用)とを、コルベン中窒素雰囲気下において、80℃で3時間撹拌反応させた。続いて、2−ヒドロキシエチルアクリレート34重量部とジブチル錫ジラウレート0.2重量部とを添加して、さらに70℃で3時間反応させることによって、粘度2900cps(25℃)、イソシアネート基含有率0.1%以下のポリウレタン樹脂組成物を得た。なお、イソシアネート基含有率の測定は、アミン当量を求める滴定法で行なった。
【0031】
実施例2
ヘキサメチレンジイソシアネート78重量部、数平均分子量1000のポリオキシプロピレンモノオール335重量部、および数平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオール558重量部(いずれも水分0.03%以下のものを使用)をコルベン中窒素雰囲気下において、80℃で3時間撹拌反応させた。続いて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート29重量部とジブチル錫ジラウレート0.2重量部を添加して、さらに70℃で3時間反応させることによって、粘度7700cps(25℃)、イソシアネート基含有率0.1%以下のポリウレタン樹脂組成物を得た。なお、イソシアネート基含有率の測定は、アミン当量を求める滴定法で行なった。
【0032】
比較例1
トリレンジイソシアネート(2,4体/2,6体の異性体比が80/20のもの)80重量部と、数平均分子量1000のポリオキシプロピレンモノオール920重量部(水分0.03%以下のものを使用)とをコルベン中窒素雰囲気下において、80℃で3時間撹拌反応させた。続いて、ジブチル錫ジラウレート0.2重量部を添加して、さらに80℃で3時間反応させることによって、粘度2500cps(25℃)、イソシアネート基含有率0.1%以下のポリウレタン樹脂組成物を得た。なお、イソシアネート基含有率の測定は、アミン当量を求める滴定法で行なった。
【0033】
試験例(ポリウレタン樹脂のシーリング材への適用)
試験例1
キシリレンジイソシアネート45重量部、数平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオール341重量部および数平均分子量3000のポリオキシプロピレントリオール114重量部(いずれも水分0.03%以下のものを使用)をコルベン中窒素雰囲気下において、80℃で1時間撹拌反応させた。続いて、ジブチル錫ジラウレート0.05重量部を添加して、さらに80℃で3時間反応させることによって、イソシアネート基含有率1.08%のウレタンプレポリマーを得た。
【0034】
そして、このウレタンプレポリマー400重量部、乾燥した炭酸カルシウム300重量部、乾燥した酸化チタン50重量部、キシレン50重量部、ヒュームドシリカ(日本アエロジル社製:アエロジルA−200)45重量部、フェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー社製:IRGANOX 245)5重量部、および実施例1のポリウレタン樹脂組成物150重量部をプラネタリーミキサーに仕込み、真空下で混練し、湿気硬化性ポリウレタンシーリング材を得た。
【0035】
試験例2
試験例1において、実施例1のポリウレタン樹脂組成物150重量部の代わりに、実施例2のポリウレタン樹脂組成物150重量部を用いた他は、試験例1と同様の配合および調整方法で湿気硬化性ポリウレタンシーリング材を得た。
比較試験例1
試験例1において、実施例1のポリウレタン樹脂組成物150重量部の代わりに、比較例1のポリウレタン樹脂組成物150重量部を用いた他は、試験例1と同様の配合および調整方法で湿気硬化性ポリウレタンシーリング材を得た。
【0036】
比較試験例2
試験例1において、実施例1のポリウレタン樹脂組成物150重量部の代わりに、ジオクチルフタレート150重量部を用いた他は、試験例1と同様の配合および調整方法で湿気硬化性ポリウレタンシーリング材を得た。
耐候性の評価
試験例および比較試験例で得られた各シーリング材を、厚み2mmで25℃、50%RH下において7日間養生させてシート状の硬化物を得た。これをJISK 6301指定の1号ダンベルで打ち抜いて試験体を作製し、サンシャインウエザオメーターに設置してサイクル試験を行い、1000時間後の表面の劣化状況を観察し評価した。なお、サンシャインウエザオメーターの運転条件は以下の通りである。
【0037】
試験機:WEL−SUN−HCH−B型(スガ試験機株式会社製)
スプレーサイクル:18分/120分
ブラックパネル温度:63℃
湿度:60%
短期耐ブリード性の評価
試験例および比較試験例で得られた各シーリング材を、厚み2mmで25℃、50%RH下において7日間養生させてシート状の硬化物を得た。このシート上にアクリル系塗料(日本ペイント製、商品名オーデコート)を塗り、50℃、50%RH条件下において7 日間放置した後の表面のタック(ベタツキ)を指触によって調べ、これによって耐ブリード性を評価した。
【0038】
長期耐ブリード性の評価
短期耐ブリード性の評価において作製したシート状の硬化物と同様のシート状の硬化物を、耐候性を評価したのと同様の条件でサンシャインウエザオメーターに設置してサイクル試験を行った。1000時間後の表面状態を観察するとともにサイクル試験前後の硬度を測定し、各実施例および比較例のポリウレタン樹脂組成物のブリードに伴う体積収縮による塗膜の割れや硬度上昇の有無を評価した。硬度は、シートを5枚重ねてJIS A硬度計で測定した。
【0039】
以上に述べた評価の結果を表1にまとめて示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1からわかるように、実施例1および2を用いた試験例1および2は、耐候性、短期耐ブリード性および長期耐ブリード性のすべてにおいて、良好な結果が得られた。これに対し、比較例1を用いた比較試験例1では、短期耐ブリード性は良好であるが、長期耐ブリード性においては硬度の上昇が見られ、また、耐候性において表面のクラックが見られた。また、比較例2を用いた比較試験例2では、耐候性、短期耐ブリード性および長期耐ブリード性のすべてにおいて、良い結果が得られなかった。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、可塑剤として使用され、ベース樹脂に配合しても長期にわたってブリードせず、かつベース樹脂の耐候性を向上させることができる。そのため、長期にわたりベース樹脂の良好な物性を維持でき、ベース樹脂の耐久性を高めることができる。
【0043】
したがって、特に、屋外での使用が要求されるシーリング材、防水材、接着剤、塗料および舗装材などのベース樹脂に好適に配合できる。
Claims (5)
- イソシアネート成分としてのポリイソシアネートと、活性水素成分としてのモノオールおよび分子内に1個の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物とを反応させることによって得られる、イソシアネート基含有率が0.5%以下の、可塑剤として使用されるポリウレタン樹脂組成物。
- 活性水素成分として、さらに、活性水素基を分子内に少なくとも2個以上有する多官能性活性水素基含有化合物が含まれる、請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- イソシアネート成分と活性水素成分とを、活性水素成分に含まれる活性水素基に対する、イソシアネート成分に含まれるイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)で、1.0〜1.1の割合となるように反応させる、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル化合物の分子量が500以下であり、この(メタ)アクリル化合物の配合割合が、前記(メタ)アクリル化合物の有する水酸基に対する、イソシアネート成分に含まれるイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)で、2.0〜10.0の範囲である、請求項1ないし3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物。
- シーリング材、防水材、接着剤、塗料および舗装材に配合される、請求項1ないし4のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物。
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