JP4037639B2 - 積層フィルムの連結装置およびそれを用いた連結方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、積層フィルム、多くは包装用として用いられる積層フィルムにおいて、たとえば、一の積層フィルムの後端部分と、他の積層フィルムの先端部分とを、粘着テープその他の連結用資材を使用することなく連結するための連結装置およびそれを用いた連結方法に関し、とくに、積層フィルムの相互連結部分にもまた、他の部分と同様の、液密もしくは気密なヒートシールを施すことを可能にする技術を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液状体、粉状体その他を連続充填包装する場合や、間欠充填包装する場合に使用されて、被包装物を充填した包装袋の製造に供される包装用積層フィルムは、一般に、印刷工程、ラミネート工程およびスリッター工程を経て、ロール状に巻回された状態で包装装置に適用される。
【0003】
この場合、スリッター工程では、主として、ラミネートを終えた積層フィルムの幅寸法を一定の値とするための、フィルム側部の切断除去を行う他、ロール状に巻回されるフィルムの長さの調整を行って、たとえば、フィルムのトータル巻回長さを1000m 、2000m 等の所定長さにするために、積層フィルムどうしを連結するとともに、印刷不良部分、ラミネート不良部分等を切断除去した後のフィルム繋ぎを行うこととしている。このため、たとえば、2000m 巻きの巻回フィルムには、多いときには、2〜3個所程度のフィルム連結部が存在することになる。
【0004】
ところで、ベースフィルム層およびシーラント層を具える積層フィルムのこのような連結は、従来、一の積層フィルムの後端と、他の積層フィルムの先端とを、それらの突合わせ姿勢の下で、ベースフィルム面側に貼り付けた粘着テープ等によって接合することにより行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、このようにして連結された積層フィルムでは、それを用いて、被包装物が充填された包装袋を製造するに際し、積層フィルムとは異質の材料からなる粘着テープ等が、積層フィルムの厚みの増加をもたらすことに加え、粘着テープ等に固有の物性により、ヒートシール刃からシーラント層への十分な熱の伝達を妨げることになって、そのシーラント層を、シーラント層相互の融着に十分な程度にまで速やかに溶融させることが実質的に不可能になる。
このため、たとえば、その積層フィルムを包装装置に適用して被包装物の連続充填包装等を行う場合、一定のクリアランスを保って回転する、一対の回転シール刃としての縦ヒートシール刃間および、フィルム幅方向に延在する横シール刃間にフィルム連結部をそのまま挟持させることができたとしても、シーラント層は、粘着テープ等の存在により、縦ヒートシール刃および横シール刃の加熱加圧作用を受けてなお、十分に熱融着することができず、それ故に、液体その他の被包装物の漏出、飛散等が生じるという問題があった。
そして、同様のことは、粘着テープ等の粘着力をもってしては、両積層フィルムの端部分の相互を、十分な気密性ないし液密性をもって、包装袋に所要の強度で連結することができないことによってもまた発生する。
【0006】
そこで従来は、積層フィルムの連結部が巻回フィルムから繰出される度に、包装装置全体の、または、ヒートシール機能部および充填機能部等の主要部分の一時停止を行って、その連結部を装置の主要部分に通過させた後に充填包装を再開することとしており、しかも、その再開に当たっては、包装袋内の被包装物の量の確認、ヒートシール位置およびシール状態の確認、包装袋の切断位置および引裂きノッチの形成位置の確認等を行い、これらの全てを許容範囲内に納めた後に、装置を本格的に再稼働することとしている。
それ故に、装置または主要機能部分の一時停止から装置の再稼働に至るまでに多くの時間および作業工数を必要とし、作業能率および効率上の大きな問題があった他、こうした各種の確認のために、相当量の積層フィルムおよび被包装物の消費が余儀なくされて、材料歩留りが低下するという問題もあった。
【0007】
そこでこの発明は、積層フィルムの端部もしくは側部の相互連結を、粘着テープ等の連結用資材を用いることなく行って、その連結部をもまた積層フィルムの他の部分と同様に、包装袋の製袋に十分に寄与させるとともに、連結部のすぐれた気密性および液密性を実現し、併せて、その連結部に、積層フィルムに必要な引張り強度を付与することで、被包装物の充填包装作業の能率および効率を有効に高め、また、材料歩留りを大きく向上させることができる積層フィルムの連結装置およびそれを用いた連結方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る積層フィルムの連結装置は、熱可塑性の延伸ベースフィルム層およびシーラント層を具えるそれぞれの積層フィルムの端部もしくは側部を相互連結するものであり、相対的な進退変位により、積層フィルムのそれぞれの端部分もしくは側部部分の差込みを許容するとともに、それらを挟み込む一対のテーブルを配設し、これらの両テーブルの対向部分で、一方のテーブルに、上下に間隔をおく二個のシーラを設け、上部に設けたシーラを溶断シーラとし、下部に設けたシーラを融着シーラとするとともに、テーブル間へ差込まれて、両積層フィルムの接合部を融着シーラに対して位置決めするインサート部材を配設し、いずれか一方のテーブルに、両積層フィルムの溶断シール部の、フィルム端部分もしくは側部部分からの分離手段を設け、また、いずれか一方のテーブルの上面側に、積層フィルムの緩み発生手段を設けたものである。
【0009】
この連結装置では、一対のテーブル間に、たとえば、延伸ベースフィルム層どうしを対向させた姿勢で端部分を差込んだそれぞれの積層フィルムに対し、両テーブルを近接変位させてそれらを挟持するとともに、上方に配設した溶断シーラで、延伸ベースフィルム層の相互を合掌状に融着接合させ、次いで、両テーブルの離隔状態の下でのインサート部材の差込みにより、両積層フィルムの接合部を、それのいずれか一方の積層フィルム側への折曲げ姿勢で、下方に配設した融着シーラに対応させて位置させ、その後、インサート部材を抜き取って、または、抜き取ることなく、両テーブルを近接変位させて、折曲げ接合部を挟持するとともに下方のシーラを作用させて、その折曲げ接合部の表面に露出する一方のシーラント層を、一方の積層フィルムのシーラント層に融着させることで、一の積層フィルムの後端と、他の積層フィルムの先端とを、粘着テープ等の連結用資材を用いることなく、高い気密性および液密性をもって、十分な接合強度で相互連結することができ、しかも、その連結部をもまた、露出する他方のシーラン層の作用下で、積層フィルムの他の部分と同様に包装袋の製袋に寄与させることができる。
【0010】
なおここで、積層フィルム相互の合掌状接合部の折曲げは、両テーブルを離隔姿勢とし、それらのテーブル間の、接合されたそれぞれの積層フィルムの間へインサート部材を差込んで、その合掌状接合部を、一方の積層フィルムへの緩みの発生下で、下方の融着シーラまで押下げる場合の、合掌状接合部とテーブルとの摩擦、積層フィルムへの張力の作用のし方等によって、多くは、その合掌状接部が上方に向く姿勢となることにより行われる。しかるに、インサート部材の差込みに伴うこのような折曲げが所期した通りに行われない場合にあっても、その後に続く両テーブルの近接変位によって、合掌状接合部をテーブル間に挟み込むことで、その接合部は、上下いずれかの方向に向けて折曲げ変形されることになる。
【0011】
そして、合掌状接合部のこのような折曲げによって相互に対向することになるそれぞれのシーラント層は、テーブルによる十分な押圧下での下方側のシーラの作用によって融着されることになり、これによれば、合掌状の接合に起因して発生するフィルム突部を有利に消去できることはもちろん、連結強度をより一層高め、気密性および液密性を大きく向上させることができる。
従って、この装置によって積層フィルムの相互連結を行った場合には、たとえば、被包装物の連続充填包装に当って、その積層フィルムの連結部がフィルムの巻回ロールから繰出されても、包装装置の定常運転を継続させて、被包装物が充填された包装袋を連続的に製造することが可能となり、フィルム連結部が繰出される度に、包装装置の主要機能部分等の一時停止が必要となる従来技術に比し、充填包装作業の能率および効率、ならびに材料歩留りを有効に向上させることができる。
【0012】
またこの装置では、上方に配置したシーラを溶断シーラとし、下方に配置したシーラを融着シーラとすることにより、積層フィルムの全層が熱可塑性樹脂材料からなる場合に、延伸ベースフィルム層相互の融着接合を溶断シーラによって行うことで、延伸ベースフィルム層の合掌状接合部の長さを、必要にして最小のものとすることができるので、それの折曲げ姿勢でシーラント層どうしを融着させた場合の、融着部の幅を線状程度にまで狭めることができ、その融着部が包装袋の製袋に及ぼす影響を極力小ならしめることができる。
なお、両積層フィルムの端部分の、テーブル間への差込みに当たって、それらのフィルムの両端部を上方のシーラに正確に対応させて揃えて位置させる場合には、上方のシーラを溶断シーラとするまでもなく、合掌状接合部の長さを十分短くすることができる。
【0014】
ところで、それぞれのシーラの位置を上述したところとは逆にして、下方側に溶断シーラを、そして上方側に融着シーラをそれぞれ配設することも可能であるが、これによれば、溶断シーラによる延伸ベースフィルム層の合掌状の接合を終えた後に、その合掌状接合部を上方に位置する融着シーラと対応する位置にもたらすために、たとえば、インサート部材の差込み工程と、一方の積層フィルムを所定の量だけ引き上げる工程とのそれぞれが必要になり、これによれば、先に述べたシーラ配置の場合のように、インサート部材の差込み工程のみをもって合掌状接合部を下方の融着シーラに対して位置決めできる構成に比して工程数が増える不利がある。
【0015】
また、このような装置において、いずれか一方のテーブルに、両積層フィルムの溶断シール部を、それより先端側のフィルム端部分もしくは側部部分から分離させる分離手段を設けた場合には、溶断シーラが下方側に位置すると上方側に位置するとの別なく、溶断シール後の積層フィルムを、先端側部分から迅速にかつ確実に分離させることができる。
この分離手段は、いずれか一方のテーブルに一端部もしくは中間部をヒンジ連結されて積層フィルムの下側に位置する揺動レバーと、この揺動レバーの跳ね上げ作動をもたらすアクチュエータ、たとえば、加圧流体の給排によって拡縮径する弾性チューブとにより構成することができ、これによれば、溶断シールの終了とタイミングを合わせたアクチュエータの作動に基いて揺動レバーを揺動させて、一方側の積層フィルムをレバーの揺動量に応じて持ち上げることにより、溶断シール部の、所期した通りの分離をもたらすことができ、アクチュエータとして弾性チューブを用いるときは、分離手段の構造を簡単にするとともに、それの軽量小型化を容易に実現することができる。
【0016】
ここで、それぞれのテーブルの上面側に、積層フィルムの位置決め手段を設けた場合には、それぞれの積層フィルムの、テーブル間への差込みを簡易にかつ正確に調整することができ、また、位置決め手段とシーラとの間に配設される分離手段にその機能をより十分に発揮させることができる。
【0017】
さらに、一方のテーブルの上面側に、積層フィルムに一定量の緩みを生じさせる緩み発生手段を設けたときは、積層フィルムへの所定量の緩みの発生下でインサート部材を差込むことで、積層フィルムの合掌状接合部を、下方に設けた融着シーラと正確に対応する位置に確実に押込むことができ、このような緩み発生手段を、積層フィルムの幅方向に延びる溝部と、その溝部への積層フィルムの押込み部材、たとえばロッド状部材とで構成した場合には、簡単な構造にして所定量の緩みを確実に発生させることができる。なおこの場合には、溝部とロッド状部材とを、積層フィルムを挟んで磁気吸着させることもできる。
【0018】
以上のような連結装置のいずれかを用いたこの発明に係る積層フィルムの連結方法は、熱可塑性の延伸ベースフィルム層と、シーラント層とを具えるそれぞれの積層フィルムの端部もしくは側部を相互連結するに当って、一対のテーブルの離隔姿勢の下で、それらの間に、積層フィルムの端部分もしくは側部部分を、延伸ベースフィルム層が相互に向き合う姿勢で差込み、次いで、少なくとも一方のテーブルの近接変位によって両積層フィルムを一対のテーブル間に挟み込むとともに、上方に位置する溶断シーラで、それらの積層フィルムに合掌状の溶断シールを施し、また、溶断シール後の両積層フィルムを、たとえば分離手段によってテーブル間から抜き取って、溶断シール部を、それより先端側のフィルム端部分もしくは側部部分から分離させ、その後、一対のテーブルの離隔変位下で、溶断シール部を、インサート部材の差込みによってテーブル間へ押込んで、たとえば下方のシーラに対向させて位置させ、さらに、一対のテーブルの再度の近接変位によって、溶断シール部を、いずれか一方の積層フィルム側への折曲げ姿勢でテーブル間に挟持するとともに、他方のシーラを作用させて、合掌状の溶断シール部のシーラント層を一方の積層フィルムのシーラント層に融着接合させるものである。
【0019】
これによれば、先に述べたように、それぞれの積層フィルムを、高い強度で、気密かつ液密に接合することができ、相互の連結部を、被包装物を充填した包装袋の製袋に十分に寄与させることもできるので、充填包装作業能率等に加えて、材料歩留りを大きく向上させることができる。
【0020】
この方法において、積層フィルムのそれぞれの端部分もしくは側部部分をベース間に差込むに際し、両積層フィルムをベース上に位置決め固定する場合には、それぞれの積層フィルムの、ベース間への差込み長さを所期した通りに正確に調整することができる。
また、溶断シール部を、インサート部材をもって他方のシーラに対向させて位置させるに際して、いずれか一方の積層フィルム、たとえばシーラを設けた側の積層フィルムを、緩み発生手段による拘束から解放して一定量だけ緩ませて、その溶断シール部を下方側に配設した融着シーラに対向させる場合には、特定された一定量の緩みによって、溶断シール部を融着シーラに常に正確に対向させることができる。
【0021】
ところで、その後に続く、一対のテーブルによる溶断シール部の挟持は、インサート部材の抜き取り状態にて行うことも可能であるが、そのインサート部材の差込み状態のままにて行うこともでき、後者によれば、一連のフィルム連結工程から、インサート部材の抜き取り工程を不要にできる利点がある。
そしてまた、合掌状の溶断シール後の積層フィルムをテーブル間から抜取るに際し、一方のテーブルに設けた分離手段の揺動アームを、アクチュエータの作動によって跳ね上げ変位させる場合には、適時の分離を自動的に行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る装置の実施形態を示す横断面図であり、図中1,2は対をなすテーブルを示し、ここでは、固定テーブル2に対して可動テーブル1が水平に進退変位することができる。
これらの両テーブル1,2は、チューブシリンダその他とすることができる適宜のアクチュエータの作用下で、それぞれの積層フィルム3,4の、たとえば先端部分3aおよび後端部分4aの、それらの間への差込みを十分に許容する離隔位置と、それらの両端部分3a,4aを挟持する近接位置との間で相対変位することができる。
このようなテーブル1,2の相互の対向部分で、一方のテーブルここでは固定テーブル2に、上下に間隔をおいて位置する二個のシーラ5,6を設ける。これらのシーラ5,6は、ヒートシール方式、インパルス方式、高周波ウエルダシール方式、超音波シール方式またはレーザ方式のいずれかのものとすることができるが、好ましくは、上方に配置したシーラ5を溶断シーラとし、下方のシーラ6を融着シーラとする。
これによれば、上方のシーラ5によって積層フィルム3,4の延伸ベースフィルム層を相互に合掌状に融着接合させることで、その接合部の下方に続く余剰端部分を溶断除去することができる。
【0023】
なお、図に示すところでは、上下のシーラ5,6をともにインパルスシール方式のシーラとし、たとえば、上方側のシーラ5を直径1mmの球状に、そして下方側のシーラ6を幅が5mmの板状にそれぞれ構成し、これらのシーラ5,6を、絶縁体をもってテーブル2に対して電気絶縁する。
【0024】
ここで、溶断シーラとしての上方側のシーラ5は、図2(a) に示すように、それを絶縁体7から突出させて配置して、それぞれのフィルム端部分3a、4aに直接に接触させることができる他、図2(b) に示すように、絶縁体表面から幾分後退させて配置して、シーラ5からの輻射熱をもってフィルム端部分3a,4aを溶断シールさせることもでき、後者によれば、溶断されたフィルム部分の、シーラ5への溶着がないので、常に美麗な溶断シールが確実に行われることになる。
【0025】
このような溶断シーラ5による両積層フィルム3,4の溶断シールは、両テーブル1,2の近接変位によってフィルム端部分3a,4aをそれらの間に挟持した状態で行い、しかも、インパルスシール方法によって、加熱、溶断シールおよび冷却を短時間のうちに行うことにより、熱可塑性延伸ベースフィルム層の熱収縮を十分に防止しつつ、延伸ベースフィルム層を十分に溶融させて、強固な融着を実現することができる。
【0026】
ここにおいて、好ましくは、それぞれのテーブル1,2の上面に、積層フィルム3,4の位置決め手段、図ではマグネット8,9を設ける。なお、マグネット8,9をテーブル1,2に埋め込み配置した場合には、それぞれの積層フィルム3,4の挟み込み固定のための鋼製ロッドその他の挟持部材が必要になるも、テーブルそれ自体を鋼製等とした場合には、図示のように、マグネットそれ自体を挟持位置決め手段として用いることができる。なお、図中10,11はそれぞれのマグネット8,9に設けた把持部材を示す。
ところで、積層フィルム3,4の位置決めは、図示のように、テーブル1,2の上面に設けた窪み内にて行うことで、より確実なものとすることができる。
【0027】
そして、これらのいずれの場合にあっても、テーブル1,2上に、積層フィルム3,4の端部分3a,4a等の長さを測定する測長手段を配設することが、積層フィルム3,4の、テーブル1,2間への差込み長さを正確に特定する上で有効である。
またここでは、固定テーブル2の上面の、可動テーブル1側の端部分に、合掌状の溶断シール部の、フィルム端部分からの分離手段12を設ける。図示のこの分離手段12は、図3に拡大断面図で示すところから明らかなように、中間部をテーブル2にヒンジ連結されて、可動テーブル1側の端部分が上向きに揺動できるレバー13を、その端縁をテーブル2の縁に揃えて配設するとともに、このレバー13の、ヒンジ位置よりテーブル1側の部分、すなわち前方側部分で、それの下側に、加圧流体の給排によって拡縮径変形する弾性チューブよりなるアクチュエータ14を配設してなり、より好ましくは、レバー13のヒンジ位置より後方側部分でその下側に、たとえば、発泡材料,ゴム材料,スプリング等とすることができる弾性部材15を配設する。この弾性部材15は、レバー13の先端側部分の跳ね上げ変位を緩衝下で許容するとともに、そのレバー13の、原姿勢への確実なる復帰を担保する。
【0028】
かかる分離手段12によれば、アクチュエータ14に加圧流体、たとえば加圧空気を供給してそれを拡径変形させることで、レバー13の先端側部分を、弾性部材15の作用下で衝撃を緩和しつつ跳ね上げ変位させることができ、この一方で、アクチュエータ14をそこからの加圧流体の排出によって縮径変位させることにより、弾性部材15の復元力の発生下で、レバー13の先端側部分を、図示のような下降姿勢に復帰させることができる。
【0029】
さらに、図1に示すところでは、固定テーブル2の上面の、マグネット9と分離手段12との中間位置に、紙面と直交する方向、いいかえれば積層フィルム4の幅方向に延びる溝部16と、この溝部16への積層フィルム3の押込み部材17とからなる、積層フィルム3の緩み発生手段18を設ける。なお、この図では、溝部16の横断面形状をほぼチャンネル状とし、押込み部材17をハンドル付きの平板状としているも、それらの形状、および寸法は、フィルム3に所定の長さの緩みを発生させることができ、かつ、積層フィルム3に、傷,変形等の発生に至る無理な外力を及ぼさない限りにおいて適宜選択することができる。なお、図示の押込み部材17の平板状部分をマグネットとしたときは、積層フィルム4をより確実に拘束することができる。
そしてまた、この装置では、図4に示すように、離隔姿勢の両テーブル間へ差込まれるインサート部材19を設け、このインサート部材19のテーブル間への差込みにより、後に詳述するように、緩み発生手段18の作用による積層フィルム4への緩みの発生下で、端部分から分離された両積層フィルム3,4の溶断シール部を、下方側に位置する融着シーラ6に正確に対応させて位置させる。なお、図ではほぼL字状としたこのインサート部材19の形状,寸法,材質等は、上記機能を発揮し得る限りにおいて適宜に選択し得ることはもちろんである。
【0030】
ところで、溶断シール部のこのような位置決め配置に続く、融着シーラ6の作用を、インサート部材19の抜き出し工程なしに行う場合には、インサート部材19の、テーブル2側の表面の、少なくともシーラ6と対向する部分に、シリコーンゴム等とすることができる耐熱性クッション材20を設けることが好ましく、これによれば、両テーブル1,2の近接変位に基いて、そのインサート部材19を介して溶断シール部を、融着シール6に、緩衝下で所要の力で押圧することができる他、溶融樹脂の、インサート部材19へのはみ出し付着を有効に防止することができる。またこの場合には、所定の位置に一旦位置決めした溶断シール部に、インサート部材19の抜き出しに起因する不測の位置ずれが生じるのを確実に防止することができ、さらには、溶断シール部の、融着シーラ6への挟持に際して、上方側の溶断シーラ5と可動テーブル1との間に積層フィルム3,4が挟持されることに起因する。フィルム3,4への挟持疵の発生を十分に防止することができる。
【0031】
以上のように構成してなる装置による、それぞれの積層フィルム3,4の端部分どうしの相互の連結に当っては、はじめに、両テーブル1,2の離隔状態で、図1に示すように、それらのフィルム3,4を、マグネット8,9からなる位置決め手段によって位置決めするとともに、一方の積層フィルム4を緩み発生手段18の溝部16内へ押込んだ状態で、それらの端部分3a,4aを、延伸ベースフィルム層が相互に対向する姿勢で、所要の長さにわたって両テーブル間へ垂らし込む。次いで、図5(a)に示すように、少なくとも一方のテーブル、図では可動テーブル1の近接変位に基いて、フィルム3,4の端部分3a,4aを両テーブル1,2間に挟み込むとともに、上方側に配置した溶断シーラ5を、たとえば1〜2秒間作用させて、フィルム端部分3a,4aの延伸ベースフィルム層に合掌状をなす溶断シールを施す。
その後は、両テーブル1,2の近接姿勢はそのままに、分離手段12を直ちに作動させて、図5(b)に示すように、アクチュエータ14への加圧流体の供給に基いて、揺動レバー13の前方側部分を跳ね上げ変位させ、これによって積層フィルム4、ひいては両フィルム3,4の溶断シール部21に、上向きの引抜き外力を作用させることにより、その溶断シール部21を、両フィルム3,4の端部分から分離させてテーブル1,2間から抜き出す。
【0032】
図6はこのような溶断シール部21を模式的に示す拡大断面図であり、その溶断シール部21では、それぞれのフィルム3,4は、延伸ベースフィルム層3b,4bの合掌状の融着によって、気密かつ液密に、そして十分な強度で接合されることになる。
【0033】
溶断シール部21のこのような分離の後は、たとえば、可動テーブル1の後退変位によって、両テーブル間に再び十分な間隔を確保するとともに、分離手段12を、レバー13が下降変位した原姿勢とし、続いて、図7(a)に示すように、緩み発生手段18の押込み部材17を取り外して積層フィルム4の所定の緩みをもたらすとともに、可動テーブル1上の位置決めマグネット8を取り外して積層フィルム3を拘束から解放した状態で、インサート部材19を両テーブル1,2間へ、耐熱性クッション材20を固定テーブル2側に向けて、所定の長さ、いいかえれば、深さにわたって差込み、これにより、積層フィルム3の自由な押込み変位の下で、溶断シール部21を下方側に設けた融着シーラ6に正確に対向させて位置させる。
【0034】
なおこの場合、合掌状をなす溶断シール部21は、インサート部材19のこのような差込みに際する、それとテーブル1との摩擦、インサート部材19の差込みによってフィルム3,4に作用する張力等によって、多くの場合は上向きに折れ曲がることになるも、その溶断シール部21は、インサート部材19の差込みによって、または、その後における、溶断シール部21の、融着シーラ6への押圧によって下向きに折れ曲がっても何の支障もない。
【0035】
そしてさらには、所定の機能を発揮したインサート部材19を両テーブル間から抜き取った後、または、図7(b)に示すように、インサート部材19をそのままに可動テーブル1を進出変位させて、溶断シール部21を、そのインサート部材19を介して融着シーラ6に所要の力で押圧し、そこで融着シーラ6を、たとえば2〜4秒間作用させて、折曲げ姿勢の溶断シール部21の折れ曲がりの内側のシーラント層を、それに対向する積層フィルムのシーラント層に融着させ、これらのことによって、両積層フィルム3,4の一連の連結作業を終了する。
【0036】
従ってその後は、両テーブル1,2の相互の離隔変位下で、それらの間からインサート部材19を抜き出すとともに、連結後の積層フィルムを、図の左右いずれか一方、たとえば図の右方に走行させることにより、両フィルム3,4を一つのロールに連続的に巻回することができる。
図8は、このようにして形成されたフィルム連結部の拡大断面図であり、この連結部は、十分な連結強度を有することはもちろん、高い気密性および液密性を有し、しかも、一体的に連続するシーラント層3c,4cを有するので、被包装物の包装に当って、その連結部をもまた、他の非連結部と同様に機能させることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上に述べたところから明らかなように、この発明によれば、積層フィルムの相互連結を、粘着テープ等の連結用資材を用いることなく行って、すぐれた気密性および液密性をもたらすとともに、高い連結強度をもたらすことができ、しかも、その連結部を、積層フィルムの他の部分と同様に機能させることができるので、その連結部がヒートシール刃等に達する度毎の装置等の一時停止が不要となって、包装作業能率および効率の他、材料歩留りを大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す横断面図である。
【図2】溶断シーラの配設態様を例示する横断面図である。
【図3】分離手段を例示する拡大横断面図である。
【図4】インサート部材を例示する拡大横断面図である。
【図5】溶断シール工程および溶断シール部の分離工程を示す工程図である。
【図6】溶断シール部を示す拡大断面図である。
【図7】溶断シール部の位置決め工程および融着シール工程を示す工程図である。
【図8】フィルム連結部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1,2 テーブル
3,4 積層フィルム
3a、4a 端部分
5,6 シーラ
7 絶縁体
8,9 マグネット
12 分離手段
13 レバー
14 アクチュエータ
15 弾性部材
16 溝部
17 押込み部材
18 緩み発生手段
19 インサート部材
20 耐熱性クッション材
21 溶断シール部
Claims (10)
- 熱可塑性の延伸ベースフィルム層およびシーラント層を具えるそれぞれの積層フィルムの端部もしくは側部を相互連結する装置であって、
相対的な進退変位により、積層フィルムのそれぞれの端部分もしくは側部部分の差込みを許容するとともに、それらを挟み込む一対のテーブルを配設し、これらの両テーブルの対向部分で、一方のテーブルに、上下に間隔をおく二個のシーラを設け、上部に設けたシーラを溶断シーラとし、下部に設けたシーラを融着シーラとするとともに、テーブル間へ差込まれて、両積層フィルムの接合部を融着シーラに対して位置決めするインサート部材を配設し、いずれか一方のテーブルに、両積層フィルムの溶断シール部の、フィルム端部分もしくは側部部分からの分離手段を設け、また、いずれか一方のテーブルの上面側に、積層フィルムの緩み発生手段を設けてなる積層フィルムの連結装置。 - 分離手段を、揺動レバーと、この揺動レバーの跳ね上げ作動を強制するアクチュエータとで構成してなる請求項1に記載の積層フィルムの連結装置。
- アクチュエータを、加圧流体の給排によって拡縮径する弾性チューブにより構成してなる請求項2に記載の積層フィルムの連結装置。
- それぞれのテーブルの上面側に、積層フィルムの位置決め手段を設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムの連結装置。
- 緩み発生手段を、積層フィルムの中心方向に延びる溝部と、この溝部への積層フィルムの押込み部材とで構成してなる請求項1に記載の積層フィルムの連結装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の連結装置により、熱可塑性の延伸ベースフィルム層と、シーラント層とを具えるそれぞれの積層フィルムの端部もしくは側部を相互連結するに当り、
一対のテーブルの離隔姿勢の下で、それらの間に、積層フィルムの端部分もしくは側部部分を、延伸ベースフィルム層が相互に向き合う姿勢で差込む工程と、
少なくとも一方のテーブルの近接変位によって両積層フィルムを一対のテーブル間に挟み込むとともに、一方のシーラでそれらのフィルムに合掌状に溶断シールを施す工程と、
溶断シール後の積層フィルムをテーブル間から抜き取って、溶断シール部を、フィルム端部分もしくは側部部分から分離させる工程と、
一対のテーブルの離隔変位下で、溶断シール部を、インサート部材をもって他方のシーラに対向させて位置させる工程と、
一対のテーブルの再度の近接変位によって、溶断シール部を、いずれか一方の積層フィルム側への折曲げ姿勢で挟持するとともに、他方のシーラを作用させて、溶断シール部のシーラント層を上記積層フィルムのシーラント層に融着させる工程とを順次に行う積層フィルムの連結方法。 - 積層フィルムのそれぞれの端部分もしくは側部部分をベース間に差込むに際し、両積層フィルムをベース上に位置決め固定する請求項6に記載の積層フィルムの連結方法。
- 溶断シール部を、インサート部材をもって他方のシーラに対向させて位置させるに際し、一方の積層フィルムを、緩み発生手段による拘束から解放して一定量だけ緩ませて、その溶断シール部を下方側に配設した融着シーラに対向させる請求項7に記載の積層フィルムの連結方法。
- 一対のテーブルによる溶断シール部の挟持をインサート部材の差込み状態にて行う請求項6〜8のいずれかに記載の積層フィルムの連結方法。
- 溶断シール後の積層フィルムをテーブル間から抜取るに際し、一方のテーブルに設けた分離手段の揺動アームを、アクチュエータの作動によって跳ね上げ変位させる請求項6〜9のいずれかに記載の積層フィルムの連結方法。
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