JP4037139B2 - 磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法および磁気記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置などに用いられる磁気記録媒体に関するものであり、特に、ノイズ特性に優れた磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在市販されている磁気記録媒体は、磁性膜内の磁化容易軸が主に基板に対し水平に配向した面内磁気記録媒体がほとんどである。
【0003】
面内磁気記録媒体において、高記録密度化を実現するには、磁性粒子を小粒径化しノイズ低減を図ることが必要となるが、磁性粒子の粒径を小さくすると、この粒子の体積が小さくなるため、熱揺らぎに起因する再生特性の悪化が生じやすくなる。また記録密度を高めた際に、記録ビット境界での反磁界の影響により媒体ノイズが増加することがある。
【0004】
これに対し、磁性膜内の磁化容易軸が主に基板に対し垂直に配向した、いわゆる垂直磁気記録媒体は、高記録密度化した場合でもビット境界での反磁界の影響が小さく、境界が鮮明な記録磁区が形成されるため低ノイズ化が可能である。
【0005】
さらに、垂直磁気記録媒体は、比較的磁性粒子の体積が大きくても、高記録密度化が可能であるため、熱揺らぎ耐性を高めることができることから、近年大きな注目を集めている。
【0006】
例えば、特開昭60−214417号公報には、Co合金からなる垂直磁性膜の下地膜の材料としてGe、Siを用いた垂直磁気記録媒体が開示されている。
【0007】
また特開昭63−211117号公報には、Co合金からなる垂直磁性膜の下地膜として1オングストローム〜100オングストローム(0.1nm〜10nm)の厚さの炭素含有材料膜を形成した垂直磁気記録媒体が開示されている。
【0008】
しかしながら、これら従来の磁気記録媒体では、角型比を高めるのが難しく、逆磁区核形成磁界(Hn)が低くなる問題があった。このため、低記録密度における熱揺らぎ耐性に劣る問題があった。
【0009】
なお、角型比とは、残留磁化を飽和磁化で割ったものである。
【0010】
これに対し、特開平6−111403号公報、特開平8−30951号公報、米国特許第5660930号公報には、Hnを向上させ得る磁気記録媒体として、Coなどの遷移金属とPtなどの貴金属とを多層に積層した、多層膜を設けた磁気記録媒体が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、磁気記録媒体の更なる高記録密度化が要望されており、これに伴いノイズ特性の向上が要求されている。
【0012】
しかしながら上記の従来の磁気記録媒体で、遷移金属と貴金属の多層膜を設けたものは、ノイズ特性の点で満足できるものでなく、よりノイズ特性に優れた磁気記録媒体が要望されていた。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、角型比およびHnを高めることができ、かつノイズ特性に優れた磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意努力検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は以下に関する。
【0015】
[1]基板(1)上に少なくとも、下地層(2)と、磁性層(3)とを有し、磁性層(3)が、PtまたはPdを含有する貴金属層(31)と、Coを含有するコバルト層(32)と、非磁性材料を含有する非磁性材料層(33)とを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
【0016】
[2]磁性層(3)が、貴金属層(31)と、コバルト層(32)と、非磁性材料層(33)とを、それぞれ複数層以上含むことを特徴とする1に記載の磁気記録媒体。
【0017】
[3]磁性層(3)が、貴金属層(31)とコバルト層(32)との積層構造を複数以上含み、該積層構造の間に、非磁性材料層(33)を有することを特徴とする1または2に記載の磁気記録媒体。
【0018】
[4]貴金属層(31)とコバルト層(32)との積層構造が、貴金属層(31)とコバルト層(32)とを交互に、それぞれ1層〜30層の範囲内で積層した構造であることを特徴とする3に記載の磁気記録媒体。
【0019】
[5]非磁性材料層(33)により分離された貴金属層(31)とコバルト層(32)との積層構造を、2積層構造〜10積層構造の範囲内で有することを特徴とする3または4に記載の磁気記録媒体。
【0020】
[6]磁性層(3)が、磁化容易軸が基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層であることを特徴とする1〜5の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0021】
[7]非磁性材料が、C、Si、Geからなる群から選ばれた何れか1種以上を主成分とすることを特徴とする1〜6の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0022】
[8]非磁性層(33)の厚さが、0.1nm〜10nmの範囲内であることを特徴とする1〜7の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0023】
[9]貴金属層(31)の厚さが、0.4nm〜2nmの範囲内であることを特徴とする1〜8の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0024】
[10]コバルト層(32)の厚さが、0.1nm〜1nmの範囲内であることを特徴とする1〜9の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0025】
[11]貴金属層(31)が、金属または非金属の酸化物または窒化物を含むことを特徴とする1〜10の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0026】
[12]コバルト層(32)が、金属または非金属の酸化物または窒化物を含むことを特徴とする1〜11の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0027】
[13]金属または非金属が、Cr,Cu,Ag,Au,B,Al,Ga,Si,Ge,Zrらなる群から選ばれた何れか1種以上であることを特徴とする11または12に記載の磁気記録媒体。
[14]磁気記録媒体のHnが、1000Oe〜4500Oe(79000A/m〜355500A/m)の範囲内であることを特徴とする1〜13の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0028】
[15]下地層(2)が、C,Si,Geからなる群から選ばれた何れか1種以上を含むことを特徴とする1〜14の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0029】
[16]基板(1)と下地層(2)との間に、軟磁性材料を含む軟磁性層(101)を有することを特徴とする1〜15の何れか1に記載の磁気記録媒体。
【0030】
[17]スパッタ装置の同一チャンバー内に、PtまたはPdを含有するスパッタターゲットと、Coを含有するスパッタターゲットと、非磁性材料を含むスパッタターゲットとを有し、磁性層(3)を構成する、貴金属層(31)、コバルト層(32)および非磁性材料層(33)を、同一チャンバー内で順次積層することを特徴とする1〜16の何れか1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【0031】
[18]17に記載の磁気記録媒体の製造方法を用いて製造した磁気記録媒体。
【0032】
[19]1〜16および18の何れか1に記載の磁気記録媒体を用いて製造した磁気記録再生装置。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気記録媒体は、基板(1)上に少なくとも、下地層(2)と、磁性層(3)とを有し、磁性層(3)が、PtまたはPdを含有する貴金属層(31)と、Coを含有するコバルト層(32)と、非磁性材料を含有する非磁性材料層(33)とを含むことを特徴とする。
【0034】
この場合の磁性層(3)は、貴金属層(31)と、コバルト層(32)と、非磁性材料層(33)とを、それぞれ複数層以上含むのが好ましく、より好ましくは、磁性層(3)が、貴金属層(31)とコバルト層(32)との積層構造を複数以上含み、該積層構造の間に、非磁性材料層(33)を有する構造とする。
【0035】
本発明の磁気記録媒体を、図1を用いて説明する。本発明の磁気記録媒体は、例えば、基板1上に、カーボン等の下地膜2、多層構造の磁性層3、保護膜4、潤滑膜5をこの順序で含む構造を有する。
【0036】
基板1としては、磁気記録媒体用基板として一般に用いられる、NiPメッキ膜が形成されたアルミニウム合金基板(以下、「NiPメッキAl基板」という)、ガラス基板、セラミック基板、カーボン基板、可撓性樹脂基板、またはこれらの基板にNiP膜をメッキあるいスパッタ法により形成した基板を用いることができる。
【0037】
磁性層3は、PtまたはPdを含有する層と、Coを含有する層と、非磁性材料を含有する層とを、それぞれ複数層にわたって形成されたものである。
【0038】
本発明のPtまたはPdを含有する層は、PtとPdの合金であっても良く、PtまたはPdを合計で50at%以上含有するのが好ましい。また、Coを含有する層は、Coを用いてもよいし、Coに他の元素としてCr、Ta、Cなどを添加しても良い。この場合、Co含有する層にはCoを50at%以上含有させるのが好ましい。
【0039】
本発明の磁性層は、図2に示すように、貴金属層31とコバルト層32との積層構造を複数以上含み、該積層構造の間に、非磁性材料層33を有する構造とするのが好ましい。このような構造とすることにより、磁気記録媒体の角型比およびHnを高めることができ、かつノイズ特性を高めることが可能となる。
【0040】
本発明の貴金属層31とコバルト層32との積層構造は、貴金属層31とコバルト層32とを交互に、それぞれ1層〜30層の範囲内、より好ましくは5層〜20層の範囲内で積層した構造とするのが好ましい。積層数が、30層より大きくなると膜厚が厚くなるため分解能が低下し、積層数が1層より少なくなると保磁力が低下してしまう。
【0041】
なお、貴金属層31またはコバルト層32の層厚が薄くなると、それぞれの膜を例えばスパッタにより交互に成膜しても、それぞれの膜が巨視的にはミックスされた状態や、また、成膜後の膜の構造解析では、両層がミックスされた状態で分析される場合がある。本発明は、このように巨視的には両層がミックスされた状態の膜も含む。すなわち、このような膜でも微視的には貴金属層31およびコバルト層32が積層構造を形成し、本発明の効果を有するからである。
【0042】
また本発明は、貴金属層31とコバルト層32との積層構造を、2積層構造〜10積層構造の範囲内、より好ましくは2積層構造〜5積層構造の範囲内とし、各積層構造の間に、非磁性材料層33を挟む構造とするのが好ましい。積層構造数が10より多くなると保磁力が維持できなくなり、積層構造数が1より少なくなるとSNR改善効果が見られなくなる。
【0043】
なお、非磁性材料層33も層厚が薄くなると、膜が巨視的には貴金属層31またはコバルト層32とミックスされた状態や、また、成膜後の膜の構造解析では、非磁性材料層が他層とミックスされた状態で分析される場合がある。本発明は、このように巨視的には層が他層とミックスされた状態の膜も含む。すなわち、このような膜でも微視的には貴金属層31およびコバルト層32との積層構造を分離し、本発明の効果を有するからである。
【0044】
なお、貴金属層31とコバルト層32との積層構造体は、最下層側に貴金属層31を形成してもよいし、コバルト層32を形成してもよいが、特に、貴金属層31を最下層側に形成するのが好ましい。
【0045】
本発明の磁性層3は、磁化容易軸が基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層であるのが好ましい。主に垂直に配向とは、磁化容易軸の50%以上、より好ましくは 70%以上、最も好ましくは90%以上が垂直に配向していることを意味する。磁化容易軸の基板に対して垂直に配向した比率が50%未満となると、分解能が低下する。なお、磁化容易軸の基板に対する配向はTEMまたはX線回折によって測定する。
【0046】
本発明の非磁性材料層を形成する非磁性材料は、C、Si、Geからなる群から選ばれた何れか1種以上を主成分とするのが好ましい。主成分とは、非磁性材料中の原子数比が50at%以上、より好ましくは70at%以上を意味する。なお、C、Si、Geからなる群から複数の物質を選択した場合は、合計の原子数比を50at%以上とするのが好ましい。また本発明では、非磁性材料にSnを含有させるのも好ましい。
【0047】
非磁性材料としてこれらの物質を、50at%以上の原子数比で用いることにより、磁気記録媒体において低ノイズの特性が得られる。
【0048】
貴金属層31の厚さは、0.4nm〜2nm(4オングストローム〜20オングストローム)の範囲内、より好ましくは0.6nm〜1nmの範囲内とするのが好ましい。貴金属層31の厚さが上記範囲を外れると、保磁力および逆磁区核形成磁界Hnが低下する。またノイズ特性が劣化しやすくなる。
【0049】
コバルト層32の厚さは、0.1nm〜1nm(1オングストローム〜10オングストロームの範囲内、より好ましくは0.1nm〜0.4nmの範囲内とするのが好ましい。コバルト層32の厚さがこの範囲を外れると、保磁力および逆磁区核形成磁界Hnが低下する。またノイズ特性が劣化しやすくなる。
【0050】
本発明の非磁性材料としては特にカーボンがメディアノイズを下げる効果及び分解能を上げる効果が著しい。非磁性材料の膜厚は0.1〜10nmが好ましい。特に0.5nm〜5nmがさらに好適に用いられる。膜厚が0.1nm以下では、非磁性を挟んだ低ノイズ化の効果が見られない。また、10nm以上では非磁性層によるスペーシングロスの効果が大きくなり望ましくない。
【0051】
本発明の貴金属層31は、金属または非金属の酸化物または窒化物を含むのが好ましい。また、コバルト層32についても、金属または非金属の酸化物または窒化物またはBを含むのが好ましい。金属または非金属としては、Cr,Cu,Ag,Au,B,Al,Ga,Si,Ge,Zrを用いるのが好ましい。
【0052】
本発明の磁気記録媒体は、磁性膜3の上に、保護膜4を形成するのが好ましい。保護膜4は、磁性膜3の腐食を防ぐとともに、ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぎ、かつヘッドと媒体の間の潤滑特性を確保するためのもので、従来公知の材料を使用でき、例えばC、SiO2、ZrO2の単一組成、またはこれらを主成分とし他元素を含むものが使用可能である。
【0053】
保護膜4の厚さは、1nm〜10nm(10オングストローム〜100オングストローム)の範囲内が好ましい。
【0054】
本発明の磁気記録媒体のHnは、1000Oe〜4500Oe(79000A/m〜355500A/m)の範囲内、より好ましくは、1500 Oe〜 4500Oe(118500A/m〜355500 A/m)の範囲内とするのが好ましい。Hnが1000Oeより小さくなると低記録密度における熱揺らぎ耐性が低下し、4500Oeより大きくなると記録特性が低下する。
【0055】
ここでHnとは、一方向に外部磁界を加えて磁気記録媒体を十分に磁化した後、外部磁界を反転させ、逆方向の磁界強度を高めていったときに、磁化反転を起こすときの外部磁界を指す。
【0056】
Hnは、図3に示すヒステリシスループ(MHループ)において、上記逆方向の磁界強度を高めていったときに、保磁力を示す磁界からMHループに沿って接線を引き、飽和磁化を示すMHループに沿ってX軸に平行に線を引いた時の交点の磁界を示す。
【0057】
本発明の下地層2は、一般に使われるPt,Pd貴金属を主成分とした材料を使用してもよいが、C,Si,Geからなる群から選ばれた何れか1種以上を含むのが好ましい。下地膜は2、C,Si,Geを主成分とするものが媒体ノイズを低く抑えるとともに保磁力を増大させる。特にC,Si,Ge膜厚が厚いほどノイズが下がる傾向にある。なお、下地層2にSnを含有させるのも好ましい。
【0058】
下地層2の膜厚としては、20オングストローム〜1000オングストロームの範囲内が好ましい。例えばカーボン下地膜2の厚さが20オングストローム以下の場合には、十分な保磁力が得られずまた、ノイズ特性が悪化する。また、1000オングストローム以上では効果は変わらないが、表面性が悪化するので望ましくないし、裏打ち層を成膜した2層媒体ではスペーシングロスが大きいため望ましくない。下地膜2の厚さは、ノイズ特性の点から、より好ましくは、100オングストローム〜900オングストロームの範囲内、最も好ましくは、200オングストローム〜800オングストロームの範囲内とする。
【0059】
また本発明では、基板1とカーボン下地膜2との間に、軟磁性層を設けることが好ましい。この軟磁性層は、特に限定されるものでないが、Fe、Ni、Coの単一組成膜、またはFe、Ni、Coに他の元素を含有させた合金からなるものとするのが好ましい。
【0060】
軟磁性膜の材料の具体例としては、NiFe、FeC、FeAlSi、CoZrNb、CoTaZr、FeTaC等の各種合金を挙げることができる。
【0061】
また、軟磁性から発生するスパイクノイズを抑えるため、軟磁性層の下に面内硬磁性膜を成膜し半径方向に磁場をかけることで磁区の制御を行っても良いし、またはIrMnやPtMnなどの反強磁性材料を付与することで磁区を制御してもよい。
【0062】
本発明の磁気記録媒体を製造するには、例えば、基板1上に、スパッタ法などによりカーボン下地膜2を形成し、次いで磁性膜3をスパッタ法により形成する。
【0063】
磁性膜3を形成するには、貴金属層31を構成する材料(PtとPdのうち少なくとも1種を含む材料。)からなる第1ターゲットと、コバルト層32を構成する材料(Coを含有する材料。)からなる第2ターゲット、非磁性材料層33を構成する材料からなる第3ターゲットとを相互に用いて、貴金属層31の構成材料と、コバルト層32の構成材料とを積層させると共に、各積層構造の間にて、非磁性材料層33を形成して磁性膜3を形成する。
【0064】
この際、スパッタ装置の同一チャンバー内に、PtまたはPdを含有するスパッタターゲットと、Coを含有するスパッタターゲットと、非磁性材料を含むスパッタターゲットとを有し、磁性層3を構成する、貴金属層31、コバルト層32および非磁性材料層33を、同一チャンバー内で順次積層あるいは同時に放電するのが好ましい。このような製造方法を用いることによりチャンバー数を増やすことなく積層が可能となり、また積層膜だけでなく単一膜のような成膜も可能となる。
【0065】
なおカーボン下地膜2の形成には、真空蒸着、イオンプレーティングなどを用いることもできる。
【0066】
次いで保護膜4を、好ましくはプラズマCVD法、イオンビーム法、スパッタリング法により形成する。
【0067】
次いで、ディッピング法、スピンコート法などによって潤滑膜5を形成する。
【0068】
図4は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の例を示すものである。ここに示す磁気記録再生装置は、本発明の磁気記録媒体7と、磁気記録媒体7を回転駆動させる媒体駆動部8と、磁気記録媒体7に情報を記録再生する磁気ヘッド9と、ヘッド駆動部10と、記録再生信号処理系11とを備えている。記録再生信号処理系11は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド9に送ったり、磁気ヘッド9からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
【0069】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
(実施例1)
以下の手順で、磁気記録媒体を作製した。
【0071】
洗浄したガラス基板1(株式会社オハラ製)をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製)のチャンバ内にセットした。
【0072】
チャンバ内を真空度2×10-5Paとなるまで排気した後、この基板1上に、カーボン下地膜2を成膜し、Pdからなる第1ターゲット、及びCoからなる第2ターゲットを交互に用いてCo層(膜厚2オングストローム)、Pd層(膜厚8オングストローム)を、交互に10回ずつ積層したあと、カーボン層(膜厚10オングストローム)成膜し、さらにその後、Co層(膜厚2オングストローム)とPd層(膜厚8オングストローム)を10回積層し、磁性膜3を形成した。
【0073】
磁性膜上には、カーボンからなる保護膜(膜厚50オングストローム)を形成し、 カーボン保護膜上には厚さ20オングストロームのパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜をディッピング法により形成した。
【0074】
(実施例2、3)
非磁性層の厚さを変えたこと以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0075】
(比較例1)
非磁性層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0076】
(実施例4〜5)
非磁性層の数を増やし、Co層、Pd層の積層数を変えた以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0077】
(実施例6、7)
非磁性層の組成を変えた以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0078】
(実施例8、9)
下地層の組成または膜厚を変えた以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0079】
(実施例10)
基板と下地層の間に、CoZrNbからなる軟磁性層を膜厚2000オングストロームで成膜した以外は実施例9と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0080】
実施例1〜10、比較例1の作製条件を表1に示す。
【0081】
実施例1〜10、比較例1の磁気記録媒体の静磁気特性を振動式磁気特性測定装置(VSM)を用いて測定した。また、これら磁気記録媒体の電磁変換特性を、GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて測定した。電磁変換特性の評価には、磁気ヘッドとして、再生部に巨大磁気抵抗(GMR)素子を有する複合型薄膜磁気記録ヘッドを用い、記録条件を線記録密度450 kFCIとして測定した。
【0082】
実施例1〜10、比較例1の磁気記録媒体の静磁気特性、電磁変換特性の測定結果を表2に示す。
【0083】
表1中、実施例1〜3、比較例1の比較より、非磁性層でCo層Pd層を分離した実施例1、2の磁気記録媒体は、非磁性層を形成しない比較例1の磁気記録媒体に比べ、非常に優れたノイズ特性を有するものとなった。
【0084】
実施例4〜5によりCo層Pd層の分離数を増やしていくとさらに低ノイズ特性を示すものとなった。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気記録媒体を用いることにより、ノイズ特性に優れた磁気記録再生装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施形態を示す一部断面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の、他の実施形態を示す一部断面図である。
【図3】逆磁区核形成磁界Hnについての説明図である。
【図4】図1に示す磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 基板
101 軟磁性層
2 下地膜
3 磁性層
31 貴金属層
32 コバルト層
33 非磁性材料層
4 保護膜
5 潤滑膜
7 磁気記録媒体
8 媒体駆動部
9 磁気ヘッド
10 ヘッド駆動部
11 記録再生信号処理系
Claims (13)
- 基板(1)上に少なくとも、下地層(2)と、磁性層(3)とを有し、磁性層(3)が、
Pd層とCo層との積層構造を複数含み、該積層構造の間にC層を含むことを特徴とする磁気記録媒体。 - Pd層とCo層との積層構造が、Pd層とCo層とを交互に、それぞれ1層〜30層の範囲内で積層した構造であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- C層により分離されたPd層とCo層との積層構造を、2積層構造〜10積層構造の範囲内で有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 磁性層(3)が、磁化容易軸が基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- C層の厚さが、0.1nm〜10nmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- Pd層の厚さが、0.4nm〜2nmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- Co層の厚さが、0.1nm〜1nmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- Pd層が、金属または非金属の酸化物または窒化物を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- Co層が、金属または非金属の酸化物または窒化物を含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- 金属または非金属が、Cr,Cu,Ag,Au,B,Al,Ga,Si,Ge,Zrからなる群から選ばれた何れか1種以上であることを特徴とする請求項8または9に記載の磁気記録媒体。
- 磁気記録媒体のHnが、1000Oe〜4500Oe(79000A/m〜355500A/m)の範囲内であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- 下地層(2)が、C,Si,Geからなる群から選ばれた何れか1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- 基板(1)と下地層(2)との間に、軟磁性材料を含む軟磁性層(101)を有することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
Priority Applications (2)
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