JP4036825B2 - 電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ

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Description

本発明は電解コンデンサ用電解液、特に液漏れ、および、ガス発生の心配が無く、高温長寿命特性が良好な電解コンデンサ用電解液に関するものである。
下記特許文献1に開示されているアルキル置換アミジン基を有する化合物の4級化物のカルボン酸塩を溶解したアミジン系電解液では、アルカリ成分の発生が少ないので、テトラアルキル4級アンモニウム塩と比較して、電解液の電気化学反応によりコンデンサの負極近傍でアルカリ成分が発生しこれが封口ゴムの弾性を劣化させ経時的にゴムの封止力が低下しやがて負極リード孔部より内部の電解液が漏出するという不具合が少ない、という効果に優れている。しかしながら、現在知られている高温特性、低インピーダンス特性を有する有機溶媒は、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート等に代表されるように、加水分解部位を持つ溶媒がほとんどであり、加水分解部位を持つ溶媒を電解液溶媒として使用した場合、溶媒の加水分解物である酸とアミジン塩基との塩が負極リード孔部に析出することにより、漏液を完全に防止することができていない。
また、従来から良好な高温特性が得られ、耐液漏れ性に優れる高沸点溶媒としてスルホランが知られている(下記特許文献2参照)が、スルホランは溶媒粘度が高いため低インピーダンス特性が悪い。
国際公開WO95/15572号公報(第3頁) 特開平11−126732号公報(第2頁)
本発明の課題は電解液の液漏れ、ガス発生の不具合を無くし、低インピーダンス特性の悪化を抑えた高温長寿命特性が良好な電解コンデンサ用電解液を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、電解質塩の酸アニオンのモル数/塩基カチオンのモル数(以下、酸塩基比と略記する。)を酸過剰にすることで溶媒の加水分解を抑制できることを見いだして本発明に到達した。
すなわち本発明は、アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)と有機酸アニオンおよび/または無機酸アニオン(a2)からなり、かつ、酸塩基比(酸アニオンのモル数/塩基カチオンのモル数)が、1.00を超え、1.30以下である電解質塩(A)を有機溶媒(B)に溶解してなる電解液であることを特徴とする電解コンデンサ用電解液および、該電解液を用いた電解コンデンサである。
なお、本明細書において「電解質塩」とは、電解質の塩(中和物)と過剰量の酸との混合物をいう。
また、本発明において、アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオンと塩を形成する酸における、「塩の形成に与ることのできるアニオン性基」というとき、芳香族化合物及び脂環式化合物等における環上で隣接しているカルボキシル基並びにマレイン酸等のように二重結合の両側にシスで隣接しているカルボキシル基については、2個のカルボキシル基のうち1個のみがアニオンとして塩形成に与る基としてカウントされ、それら以外の(孤立した)各アニオン性基は、個々に独立して塩形成に与ることができる基としてカウントされる。
本発明は、電解質の酸塩基比(酸アニオンのモル数/塩基カチオンのモル数)を1.00を超え、1.30以下に調整することで溶媒の加水分解を抑制でき、液漏れやガス発生の不具合を改善することができるので高温長寿命特性に優れた、低インピーダンス特性の悪化を抑えた電解コンデンサ用電解液を提供することができる。
本発明の電解質塩(A)は、アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)と有機酸アニオンおよび/または無機酸アニオン(a2)からなり、かつ、酸塩基比(酸アニオンのモル数/塩基カチオンのモル数)が、通常1.00を超え、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.10以上であり、通常1.30以下、好ましくは1.25以下、さらに好ましくは1.20以下である。酸塩基比が1.00以下では、溶媒の加水分解抑制機能が働かず、液漏れ、ガス発生を抑制できない。酸塩基比が1.30を超えると、低インピーダンス特性が大幅に悪化する。
電解質塩(A)において、アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)の例としては下記のものが挙げられる。
[1]イミダゾリニウム類
1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メチルカルボキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウムなど。
[2]イミダゾリウム類
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチル−イミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム
[3]テトラヒドロピリミジニウム類
1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−メチルカルボキシメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど。
[4]ジヒドロピリミジニウム類
1,3−ジメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム[これらを1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウムと表記し、以下同様の表現を用いる。]、1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9(10)−ウンデカジエニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5,7(8)−ノナジエニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−メチルカルボキシメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ヒドロピリミジニウムなど。
[5]イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウム類
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルイミダゾリニウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−シアノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−アセチルメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウムなど。
[6]イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウム類
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−シアノ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−アセチルメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムなど。
[7]テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウム類
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,3,4,6−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、1,3,4,6−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−シアノ−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−アセチルメチル−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど。
[8]ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウム類
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,6,7,8−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6,7,8−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−シアノ−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−アセチルメチル−1−メチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウムなど。
これらのうち好ましいのはイミダゾリニウム類であり、特に好ましいものは、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムである。
なお、本発明におけるアミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)は一種または二種以上を併用してもよい。
これらのうち好ましくは、イミダゾリニウム類であり、特に好ましくは、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムである。
電解質塩(A)において、有機酸アニオンおよび/または無機酸アニオン(a2)に対応する有機酸及び無機酸(a2’)としては下記のものが挙げられる。
[1]カルボン酸
モノカルボン酸{C1〜30の脂肪族モノカルボン酸[飽和モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸など)および不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸など)]および芳香族モノカルボン酸[安息香酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸など]};
ポリカルボン酸(2〜4価のポリカルボン酸){脂肪族ポリカルボン酸[飽和ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など);
不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸など)];
芳香族ポリカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリト酸など];
脂肪族オキシカルボン酸[グリコール酸、乳酸、酒石酸など];
芳香族オキシカルボン酸[サリチル酸、マンデル酸など];
S含有ポリカルボン酸[チオジプロピオン酸];および
その他のポリカルボン酸[シクロブテン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸、フラン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2,5−ジエン−2,3−ジカルボン酸]など}
[2]モノおよびジアルキルリン酸エステル
下記の一般式(1)で示されるモノおよびジアルキルリン酸エステルが挙げられる。R1及びR2は水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、かつ少なくとも1つはアルキル基である。アルキル基であるときのR1及びR2の炭素数は、インピーダンス特性と耐電圧特性の観点から、それぞれ1〜10が好ましい。さらに好ましくはそれぞれ3〜8である。
Figure 0004036825

具体的な例としては、モノメチルリン酸エステル、ジメチルリン酸エステル、モノエチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、モノプロピルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステル、モノイソプロピルリン酸エステル、ジイソプロピルリン酸エステル、モノブチルリン酸エステル、ジブチルリン酸エステル、モノペンチルリン酸エステル、ジペンチルリン酸エステル、モノヘキシルリン酸エステル、ジヘキシルリン酸エステル、モノヘプチルリン酸エステル、ジヘプチルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、モノ−2−エチルヘキシルリン酸エステル、ジ−2−エチルヘキシルリン酸エステル、モノノニルリン酸エステル、ジノニルリン酸エステル、モノデシルリン酸エステル、ジデシルリン酸エステル、モノイソデシルリン酸エステル、ジイソデシルリン酸エステルなどが挙げられる。
[3]無機酸
リン酸、ホウ酸、ホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化ヒ素酸、などが挙げられる。
上記有機酸および/または無機酸(a2’)は一種または二種以上を併用してもよい。
これらのうち好ましいのは、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、ジアルキルリン酸エステル、リン酸、ホウ酸であり、特に好ましいのは安息香酸、フタル酸、リン酸である。
本発明の電解質塩(A)の製造方法としては公知の方法が用いられ、特に限定されないが、以下の方法が好ましい。
(1)例えば特許2972709公報に記載の方法。すなわち、アミジン及び/又はグアニジンを4級化し、酸交換をして(A)を得る製造方法。
(2)例えば特許2964244公報に記載の方法。すなわち、アミジン及び/又はグアニジンを4級化することで得たそれぞれのアミジニウムカチオン及び/又はグアニジニウムカチオン(a1)を一旦加水分解してモノアミドアミン及び/又はジアミドアミン(a1’)を得、これに酸を加えて脱水環化反応を行い、(A)を得る製造方法。
電解質塩(A)は、酸塩基比を以下のように調整して製造することができる。
(1)上記製造方法(1)の場合
アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)の含有量を電位差滴定法及び中和滴定法により測定する。
カチオンのカウンターアニオンが塩素イオンでない場合は、該(a1)中に含まれるカチオンを塩酸で滴定し、pHの変曲点からカチオン含有量を測定する。カチオン含有量は、(a1)1g中に含まれるカチオンを中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムのmg数で表す。
カチオンのカウンターアニオンが塩素イオンである場合は、該(a1)中に含まれるカウンターアニオンの塩素イオン含量を滴定することで、カチオンの含有量を計算する。測定は、試料に50mlの水を加えた後、5mlの10%硝酸を加え溶液を酸性にする。0.1mol硝酸銀標準溶液を20ml、酢酸エチルを10ml加えた後、指示薬に硝酸第二鉄アンモニウムを使用して、チオシアン酸アンモニウム溶液で赤褐色が残るまで滴定する。含有量は塩素含量(重量%)として表す。
つづいて、有機酸アニオンに対応する有機酸および/または無機酸アニオンに対応する無機酸(a2’)の酸価を電位差滴定法により測定する。酸価とは、有機酸および/または無機酸(a2’)1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。
電位差滴定法及び滴定法により判明したアミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)の含有量、および有機酸および/または無機酸(a2’)の酸価から、数式(1)又は(1’)により所望の酸塩基比(n)を有する電解質塩の(a1)及び(a2’)の仕込み重量を計算することができる。
Figure 0004036825

Figure 0004036825


上記数式(1)及び(1’)において、mは、複数のカルボキシル基を有する酸の場合、〔環(芳香環、脂環を含む)上で隣接するカルボキシル基の個数/2+二重結合の両側においてシスで隣接するカルボキシル基の個数/2+それら以外のカルボキシル基の個数+他のアニオン性基の個数〕/(全カルボキシル基の個数+他のアニオン性基の個数)であり、それ以外の酸についてはm=1である。従って、例えば、フタル酸及びマレイン酸ではm=1/2、トリメリト酸ではm=2/3、ピロメリト酸ではm=2/4であり、シクロブテン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸、フラン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エン−2,3−ジカルボン酸及びビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2,5−ジエン−2,3−ジカルボン酸では、いずれもm=1/2である。
(2)上記製造方法(2)の場合
モノアミドアミンおよび/またはジアミドアミン(a1’)の含量を電位差滴定法により測定する。該(a1’)中に含まれるアミンを塩酸で滴定し、全アミン価を測定する。全アミン価は(a1’)1g中に含まれるアミンを中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムのmg数で表す。上記と同様にして、(a2’)の酸価を電位差滴定法により測定する。
電位差滴定法により判明したモノアミドアミン及び/又はジアミドアミン(a1’)のアミン含有量、および(a2’)の酸価から数式(2)により所望の酸塩基比(n)を有する電解質塩の(a1’)及び(a2’)の仕込み重量を計算することができる(mの定義は上記に同じ。)。
Figure 0004036825

本発明の有機溶媒(B)は、以下の内容の25℃における粘度、比誘電率、ΔSP値(溶解性パラメータ)及び沸点を同時に満たす特性を有することが好ましい。25℃における粘度は低インピーダンス特性の観点から8.5mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは7.5mPa・s以下、特に好ましくは6.5mPa・s以下であり、好ましくは0.1mPa・s以上である。
比誘電率は低インピーダンス特性の観点から30以上が好ましく、さらに好ましくは35以上、特に好ましくは40以上であり、好ましくは200以下である。
有機溶媒のSP値とコンデンサの封口ゴムのSP値との差(すなわち、有機溶媒のSP値−封口ゴムのSP値をいう。)本明細書においてΔSP値と略記する。)は、電解液のドライアップ性の観点から2.0以上が好ましく、さらに好ましくは2.5以上、特に好ましくは3.0以上であり、好ましくは10以下である。混合溶媒では、各成分の中で最も小さいΔSP値となる溶媒についてのそのΔSP値が、その混合溶媒のΔSP値となる。
沸点は電解液の高温特性の観点から200℃以上が好ましく、さらに好ましくは220℃以上、特に好ましくは、250℃以上であり、好ましくは500℃以下である。混合溶媒系では、各成分の中で最も低い沸点を持つ溶媒の沸点が、その混合溶媒の沸点となる。
有機溶媒(B)の粘度測定は、B形粘度計を用いて25℃における溶媒粘度を測定する。ローターにはBLアダプタを用い、60rpmの回転速度で溶媒粘度を測定する。
有機溶媒(B)の25℃における誘電率はブリッジ法を用いて測定する。試料充填前のからの静電容量C0(pF)と、試料充填時の等価並列静電容量CX(pF)を測定し、数式(3)により誘電率εを算出する。比誘電率は、このεと空気の比誘電率1.000585との積で与えられる。
ε=Cx/C0 (3)
有機溶媒(B)のSP値はFedors法により与えられる。また、コンデンサの封口ゴムの組成はブチルゴムとし、封口ゴムのSP値はFedors法の計算により7.7と算出した。
SP値は、「Polymer Engineering and Science,Vol.14,No.2,p147〜154(1974)」記載の方法により計算される値である。すなわちSP値δ(25℃)は数式(4)により与えられる。
Figure 0004036825


ここに、ΔE、V:それぞれ凝集エネルギー密度、モル体積。
Δei、Δvi:それぞれ原子または原子団の蒸発エネルギー、モル体積。
但し、Tg>25℃の樹脂についてはモル体積に次の値が加算される。
n<3のとき、+Δvi=4n
n≧3のとき、+Δvi=2n
ここに、n:ポリマーの最少繰返し単位中の主鎖骨格原子の数。
有機溶媒(B)は以下に示すものが好ましい。
(1)単一溶媒
ラクトン類(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン)、環状ウレタン類(3−メチル−2−オキサゾリジノン)、アミド類(N−メチル−2−ピロリジノン)、ケトン類(アセトフェノン)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート)などが挙げられる。
(2)混合溶媒
(i) 3−メチル−2−オキサゾリジノンとγ−ブチロラクトンの混合溶媒で、合計重量に基づいてγ−ブチロラクトンの重量%が好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、特に好ましくは55重量%以下である混合溶媒。
(ii) 3−メチル−2−オキサゾリジノンとスルホランの混合溶媒で、合計重量に基づいてスルホランの重量%が好ましくは0重量%を越え、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上、最も好ましくは45重量%以上であり、好ましくは65重量%以下である混合溶媒。
(iii) γ−ブチロラクトンとスルホランの混合溶媒で、合計重量に基づいてスルホランの重量%が好ましくは0重量%を越え、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上、最も好ましくは45重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは65重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である混合溶媒。
(iv) 3−メチル−2−オキサゾリジノン、γ−ブチロラクトンおよびスルホランからなる混合溶媒であって、合計重量に基づいてスルホランの重量%が好ましくは0重量%を超え、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは45重量%以上であり、好ましくは65重量%以下である混合溶媒。
上記のうちで特に好ましいのは、3−メチル−2−オキサゾリジノンとスルホランの混合溶媒、およびγ−ブチロラクトンとスルホランの混合溶媒である。
本発明の電解コンデンサ用電解液における電解質塩(A)の含量は電気電導度と電解液溶剤への溶解度の観点から電解液の重量に基づいて、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。
本発明の電解液には必要により、電解液に通常用いられる種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、リン酸誘導体(例えば、リン酸、リン酸エステルなど)、ホウ酸誘導体(例えば、ホウ酸、ホウ酸と多糖類〔マンニット、ソルビットなど〕との錯化合物、ホウ酸と多価アルコール〔エチレングリコール、グリセリンなど〕との錯化合物など)、ニトロ化合物(例えば、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)などを挙げることができる。その添加量は、電気伝導度と電解液溶剤への溶解度の観点から、電解質塩(A)に対して好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明における電解液は、電解コンデンサ用素子に用いられる。上記電解コンデンサ用素子としては特に限定されず、例えば、巻き取り形のアルミ電解コンデンサにおける、表面に酸化アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔をその間にセパレータを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサ素子等であってよく、この素子に、本発明の電解液を駆動用電解液として含浸し、前記コンデンサ素子を、例えば、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口剤で密閉してアルミニウム電解コンデンサを構成することができる。
次に本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
実施例1〜7及び比較例1〜3の電解液の製造
実施例1
ジメチルカーボネートのメタノール溶液に2,4−ジメチルイミダゾリンを滴下して3,4級化反応を行った。生成した1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム塩を水で加水分解してモノアミドアミンを生成した後、モノアミドアミンの全アミン価(全アミン価=386.3)を測定した。つづいて、フタル酸の酸価(酸価=673.8)を測定して、数式(2)を用いて、酸塩基比が1.20になるようにモノアミドアミンとフタル酸の仕込み重量を計算し、それに従い仕込みを行い、脱水環化反応を行う事で、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・フタル酸塩(A−1)を得た。
粘度2.6mPa・s、比誘電率77.5、ΔSP値2.28、沸点263℃の溶媒物性を示す3−メチル−2−オキサゾリジノン(B−1)70部に(A−1)30部を溶解させることで、実施例1の電解液を得た。
実施例2
実施例1と同様の手法を用いて、酸塩基比が1.30である1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・フタル酸塩(A−2)を得た。
3−メチル−2−オキサゾリジノン(B−1)70部に(A−2)30部を溶解させることで、実施例2の電解液を得た。
実施例3
3−メチル−2−オキサゾリジノン/スルホラン=50/50混合溶媒(B−2)[物性:粘度7.0mPa・s、比誘電率60.0、ΔSP値2.28、沸点263℃]70部に(A−1)30部を溶解させることで、実施例3の電解液を得た。
実施例4
γ−ブチロラクトン/スルホラン=50/50混合溶媒(B−3)[物性:粘度6.6mPa・s、比誘電率40.8、ΔSP値3.17、沸点204℃]70部に(A−1)30部を溶解させることで、実施例4の電解液を得た。
実施例5
実施例1と同様の手法を用いて、酸塩基比が1.02である1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・フタル酸塩(A−3)を得た。
γ−ブチロラクトン/スルホラン=50/50混合溶媒(B−3)70部に(A−3)30部を溶解させることで、実施例5の電解液を得た。
実施例6
γ−ブチロラクトン/スルホラン=40/60混合溶媒(B−4)[物性:粘度7.5mPa・s、比誘電率41.1、ΔSP値3.17、沸点204℃]70部に(A−3)30部を溶解させることで、実施例6の電解液を得た。
実施例7
γ−ブチロラクトン/スルホラン=30/70混合溶媒(B−5)[物性:粘度8.6mPa・s、比誘電率41.5、ΔSP値3.17、沸点204℃]70部に(A−3)30部を溶解させることで、実施例7の電解液を得た。
比較例1
実施例1と同様の手法を用いて、酸塩基比が0.90である1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・フタル酸塩(A−4)を得た。
3−メチル−2−オキサゾリジノン(B−1)70部に(A−4)30部を溶解させることで、比較例1の電解液を得た。
比較例2
実施例1と同様の手法を用いて、酸塩基比が1.40である1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・フタル酸塩(A−5)を得た。
3−メチル−2−オキサゾリジノン(B−1)70部に(A−5)30部を溶解させることで、比較例2の電解液を得た。
比較例3
3−メチル−2−オキサゾリジノン/スルホラン=50/50混合溶媒(B−2)70部に(A−4)30部を溶解させることで、比較例3の電解液を得た。
実施例1〜7および比較例1〜3の電解液の評価
本発明の実施例1〜7および比較例1〜3において、以下の電解液性能評価を行った。また、加水分解促進のため、実施例1〜7および比較例1〜3の電解液には、電解液の総重量に対して5.5重量%の水を添加している。促進試験のために仕込んだ5.5重量%の水分量は、電解液をコンデンサに組み込んだときにコンデンサ部材のセパレータから電解液へ混入すると推定される水分量5.5重量%に基づいている。
電解液の30℃における初期電導度(初期K30)は、電解液を30℃で測定した電導度であり、低インピーダンス特性が良好なほど初期K30は高くなる。測定機器として比電導度測定装置(品名(CM−40S)、メーカー名(東亜電波工業株式会社))を使用し、電解液を仕込んだ測定用セルを30℃に温度調節して電導度を測定した。
耐電圧は、各組成に調整後の電解液の、10cm2のエッチングアルミ箔を用いた定電流法(2mA)における放電電圧である。
熱試験後K30は、各電解液50gを容量100ccの密閉ステンレス容器に仕込み、125℃、100時間の耐熱試験を実施した後の電解液を30℃で測定した電導度である。
K30変化率(単位%)は、各電解液の耐熱試験前後における電導度の変化率を示し、以下の式で算出することができる。
K30変化率=100・[(熱試験後K30)−(初期K30)]/(初期K30)
ガス発生量は、熱試験後の25℃雰囲気下における密閉ステンレス容器内の圧力から、発生したガス発生量を算出した。また、発生したガスはガスクロマトグラフィーにより、二酸化炭素であることを確認した。
溶媒の加水分解率は、溶媒に3−メチル−2−オキサゾリジノンを使用した場合は、仕込んだ溶媒のmol数と溶媒が加水分解したことで発生した二酸化炭素の発生mol数より計算した。また、溶媒にγ−ブチロラクトンを使用した場合は、ヒドロキシ酪酸の生成量を1H−NMRにより計算することで溶媒の加水分解率を計算した。
Figure 0004036825

TMI : 1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム
MO : 3−メチル−2−オキサゾリジノン
SL : スルホラン
GBL : γ−ブチロラクトン
表1から明らかなように、比較例1および比較例3において、電解質の酸塩基比が0.9では、溶媒の加水分解を抑制できず、K30変化率すなわち電導度の変化率が大きい。しかし、実施例1〜7のように電解質の酸塩基比を酸過剰にすることで溶媒の加水分解を抑制でき、電導度の変化率を改善できる。さらに、比較例2のように酸塩基比を1.4にすると、溶媒の加水分解を抑制することはできるが、初期K30及び熱試験後K30が低い、すなわち低インピーダンス特性が著しく悪化してしまう。
次に、本発明の実施例1〜7および比較例1〜3の電解液を使用して面実装タイプのアルミ電解コンデンサ(定格電圧10V−静電容量470μF、サイズ;φ10mm・L10.5mm)を作成した。封口ゴムには過酸化物加硫のブチルゴムを使用した。電解コンデンサの初期特性として、静電容量(Cap)、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)、等価直列抵抗(ESR)、高温125℃負荷条件における1000時間、2000時間経過後の静電容量の変化率(ΔC)、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)、等価直列抵抗(ESR)を測定した。
アルミ電解コンデンサの試験は、主にJIS C 5102により定められている。本試験においては以下の測定装置、条件により測定を実施した。
Cap、tanδ、ESRは、HEWLETT PACKARD製PRECISION LCR METER 4284Aを用いて測定を行った。測定回路は、交流ブリッジ法である。測定条件はCap、tanδの場合、周波数120Hz・電圧0.5Vrmsである。ESRの場合、周波数100kHz・電圧0.5Vrmsである。
LCは、図1のような測定回路を用い、定格電圧印可(本実験では10V)、規定時間後の値(本実験では120秒)を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 0004036825

試験個数はいずれも10個である。ESRは25℃における100kHzでの測定値を示す。
表2から明らかなように、酸塩基比が塩基過剰である比較例1および3と比較して、実施例1〜7のように電解質の酸塩基比を酸過剰にすることで、2000時間後のCap、tanδ、LC、ESRの上昇を比較例1および3の約半分以下に抑えることができ、コンデンサの性能劣化を抑制できる。また、比較例2のように酸塩基比を1.4にすると初期ESRが非常に高くなり、2000時間後のtanδ上昇率も大きく、コンデンサの性能劣化が激しくなる。
従って、本発明の電解液は、電解質の酸塩基比を本発明の範囲において酸過剰にすることにより溶媒の加水分解を抑制することで、液漏れやガス発生の不具合を改善することができ、同時にコンデンサの性能劣化も抑制することができる。
本発明は、電解質の酸塩基比(酸アニオンのモル数/塩基カチオンのモル数)を1.00を超え、1.30以下に調整することで溶媒の加水分解を抑制でき、液漏れやガス発生の不具合を改善することができるので高温長寿命特性に優れた、低インピーダンス特性の悪化を抑えた電解コンデンサ用電解液を提供することができる。上記効果を奏することから、本発明の電解コンデンサ用電解液は、高信頼性部材への用途、特に車載電装用のアルミ電解コンデンサの電解液として有用である。
LC測定用の回路図。

Claims (10)

  1. アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)と有機酸アニオンおよび/または無機酸アニオン(a2)からなり、かつ、酸塩基比(これらの酸における塩の形成に与ることのできるアニオン性基のモル数/該塩基カチオンのモル数)が、1.10以上1.30以下である電解質塩(A)を有機溶媒(B)に溶解してなる電解液であることを特徴とする電解コンデンサ用電解液。
  2. 有機溶媒(B)の25℃における粘度が8.5mPa・s以下、かつ、比誘電率が30以上、かつ、封口ゴムのSP値との差ΔSP値が2.0以上、かつ、沸点が200℃以上であることを特徴とする請求項1記載の電解液。
  3. 有機溶媒(B)が、3−メチル−2−オキサゾリジノン(B1)、およびγ−ブチロラクトン(B2)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の電解液。
  4. 有機溶媒(B)が、3−メチル−2−オキサゾリジノン(B1)とスルホラン(B3)の混合溶媒であって、(B1)と(B3)の合計重量に基づいて(B3)の重量%が0重量%を越え、65重量%以下である請求項1又は2記載の電解液。
  5. 有機溶媒(B)が、γ−ブチロラクトン(B2)とスルホラン(B3)の混合溶媒であって、(B2)と(B3)の合計重量に基づいて(B3)の重量%が0重量%を越え、70重量%以下である請求項1又は2記載の電解液。
  6. アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)と有機酸アニオンおよび/または無機酸アニオン(a2)からなり、かつ、酸塩基比(これらの酸における塩の形成に与ることのできるアニオン性基のモル数/該塩基カチオンのモル数)が、1.00を超え、1.30以下である電解質塩(A)を有機溶媒(B)に溶解してなる電解液である電解コンデンサ用電解液であって、有機溶媒(B)が、3−メチル−2−オキサゾリジノン(B1)、γ−ブチロラクトン(B2)およびスルホラン(B3)からなる混合溶媒であって、(B1)、(B2)及び(B3)の合計重量に基づいて(B3)の重量%が0重量%を超え、65重量%以下であることを特徴とする電解液。
  7. 有機溶媒(B)の25℃における粘度が8.5mPa・s以下、かつ、比誘電率が30以上、かつ、封口ゴムのSP値との差ΔSP値が2.0以上、かつ、沸点が200℃以上であることを特徴とする請求項6記載の電解液
  8. アミジニウムカチオンおよび/またはグアニジニウムカチオン(a1)がイミダゾリニウム類である請求項1〜のいずれかに記載の電解液。
  9. 有機酸アニオンおよび/または無機酸アニオン(a2)がカルボン酸アニオン、リン酸アニオン、モノおよびジアルキルリン酸エステルアニオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオンである請求項1〜8のいずれかに記載の電解液。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の電解コンデンサ用電解液を用いることを特徴とする電解コンデンサ。
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