JP2012044152A - 第4級アンモニウム塩電解質とそれを用いた電解液および電気化学素子 - Google Patents

第4級アンモニウム塩電解質とそれを用いた電解液および電気化学素子 Download PDF

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Abstract


【課題】 電気化学素子用電解液に含まれる電解質として有用な低温でも高い電気伝導性を示し、かつ長期安定性に優れた電気化学素子用電解質および電解液を提供すること。
【解決手段】 一般式(1)で表される化合物(A)を含有してなる電気化学素子用電解質(B)。
【化1】
Figure 2012044152

[式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1若しくは2のアルコキシ基を有する炭素数2〜4の分岐アルキレン基である。RおよびRは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、RおよびRは繋がって環を形成していてもよい。Xは対イオンを表す。]
【選択図】 図1

Description

本発明は、第4級アンモニウム塩電解質に関する。さらに詳しくは、電気化学素子用電解液に好適な電解質に関する。
電気化学素子とは、電気化学的エネルギーを素子内部に蓄えるものや、種々のエネルギーを電気エネルギーに変換して外部に取り出すものであり、具体的には、素子内部に蓄えられた各種エネルギーを電気エネルギーとして取り出すための電池、素子内部に蓄えられた静電エネルギーを電気エネルギーとして取り出すための電気二重層キャパシタ、光化学エネルギーを電気エネルギーに変換するための色素増感太陽電池等をいう。
キャパシタは、その適用分野の拡大に伴い幅広い温度域で作動することが求められ、特に寒冷地での使用に備え、低温での性能の改善が急務となっている。従来、キャパシタの電解質としてはテトラアルキルアンモニウムのBF塩(例えば、特許文献1または2)が広く用いられている。これらの電解質をプロピレンカーボネート等の非プロトン性溶媒に溶解させた電解液は、低温で使用する際、電解質塩の析出や急激な粘度上昇のために電気伝導度が著しく低下するという問題があった。
一般に、テトラアルキルアンモニウム塩のカチオン種の構造を非対称とすることで、低温での溶解性が向上し、析出や急激な粘度上昇を抑制できることが知られている。しかしながら、これら非対称テトラアルキルアンモニウム塩は、低温での溶解性が向上するものの、低温での電気伝導度がまだ不十分であった。
特許文献3において、低温特性に優れる電解質として、ピロリジン環などの環状構造を持つ環状テトラアルキルアンモニウム塩が提案されている。
特開平08−236404号公報 特開2004−087956号公報 特開2005−175239号公報
しかしながら、これら環状テトラアルキルアンモニウム塩は、低温での電気伝導度が幾分向上するものの、まだ満足のいくものではなかった。
本発明は上記課題を解決するもので、低温でも高い電気伝導性を示し、かつ長期安定性に優れた電気化学素子用電解質および電解液を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に至った。即ち、本発明は、一般式(1)で表される化合物(A)を含有してなる電解質(B)、該電解質(B)を含有する電解液(F)、および該電解液を用いた電気化学素子である。
Figure 2012044152
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1若しくは2のアルコキシ基を有する炭素数2〜4の分岐アルキレン基である。RおよびRは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、RおよびRは繋がって環を形成していてもよい。Xは対イオンを表す。]
本発明の電解質を用いた電解液は低温でも高い電気伝導度を発現することができる。したがって本発明の電解質を用いることにより、従来使用できなかった低温環境下でも使用可能な電気化学素子を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の電気化学素子用電解質(B)は、一般式(1)で示される化合物(A)を含有してなる。
化合物(A)のカチオン種(a)において、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1若しくは2のアルコキシ基を有する炭素数2〜4の分岐アルキレン基である。炭素数5以上のアルキレン基又は炭素数3以上のアルコキシ基を有するアルキレン基である場合、電気伝導度が低下するため好ましくない。
一般式(1)におけるRは、例えば以下を挙げることができる。
[1]直鎖アルキレン基
メチレン基、エチレン基、トリメチレン基及びテトラメチレン基。
[2]分岐アルキレン基
エタン−1,1−ジイル基、2−メトキシ−エタン−1,1−ジイル基、2−エトキシ−エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、3−メトキシ−プロパン−1,2−ジイル基、3−エトキシ−プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,1−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、4−メトキシ−ブタン−1,3−ジイル基、4−エトキシ−ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、1−メトキシ−ブタン−2,3−ジイル基、1,4−ジメトキシ−ブタン−2,3−ジイル基、1−エトキシ−ブタン−2,3−ジイル基及び1,4−ジエトキシ−ブタン−2,3−ジイル基等である。
これらRのうち、電解質の電気伝導度及び電気化学安定性の観点から、好ましいものは炭素数1〜4のアルキレン基、及びメトキシ基を有する炭素数2〜4の分岐アルキレン基であり、更に好ましくは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、2−メトキシ−エタン−1,1−ジイル基及び3−メトキシ−プロパン−1,2−ジイル基である。
一般式(1)において、RおよびRは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基である。RおよびRは同じであっても異なっていてもよい。いずれかが炭素数5以上のアルキル基である場合、電気伝導度が低下するため好ましくない。
およびRは、例えば以下を挙げることができる。
[1]直鎖アルキル基
メチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基。
[2]分岐アルキル基
2−プロピル基、2−ブチル基。
これらRおよびRのうち、電解質の電気伝導度の観点から、好ましいものは炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、RおよびRの炭素数の合計が2〜5であることがさらに好ましい。
上記、RおよびRは、繋がって環を形成していてもよい。環構造としては、化学的安定性の観点から4〜6員環が好ましく、具体的にはアゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環などが挙げられる。
化合物(A)のカチオン種(a)として好ましいものを表1に挙げる。化合物(A)は2種類以上を併用してもよい。
Figure 2012044152
一般式(1)で示される化合物(A)の対アニオンXについて説明する。
としては、F、Cl、Br、I、BCl 、BF 、PF 、AsF 、PCl 、BCl 、AsCl 、SbCl 、TaCl 、NbCl 、PBr 、BBr 、AsBr 、AlBr 、TaBr 、NbBr 、SbF 、AlF 、ClO 、AlCl 、TaF 、NbF 、CN、F(HF) (当該式中、nは1以上4以下の数値を表す)、N(RfSO 、C(RfSO 、RfSO 、RfCO2 及びN(SOF) 等が挙げられる。
N(RfSO 、C(RfSO 、RfSO 又はRfCO で表されるアニオンに含まれるRfは、炭素数1〜12のフルオロアルキル基を表し、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びノナフルオロブチルなどが挙げられる。
これら対アニオンXのうち、電気化学安定性等の観点から、好ましくはBF またはPF 、更にに好ましくはBF である。
化合物(A)(カチオン種+対アニオン)の好ましい例としては、カチオン種(a−10)のBF塩、カチオン種(a−11)のBF塩、カチオン種(a−15)のBF塩、カチオン種(a−16)のBF塩、カチオン種(a−18)のBF塩、カチオン種(a−19)のBF塩、カチオン種(a−23)のBF塩、カチオン種(a−31)のBF塩又はカチオン種(a−32)のBF塩である。
化合物(A)の製造法としては以下の方法等が挙げられる。
(i)ジアルキルアミン、ホルムアルデヒドおよびハロゲン化低級アルコールを混合し環化縮合反応させることでカチオン種(a)のハロゲン化物塩を合成し、アニオン交換する方法、(ii)ジアルキルアミンに炭素数2〜4の環状エーテルを付加させることでアミノアルコール誘導体とした後、プロトン酸の存在下、ホルムアルデヒドと環化縮合反応させ、必要に応じてアニオン交換することにより得られる。
本発明の電気化学素子用電解質(B)は電解質(B)の重量に基づいて、化合物(A)を好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは70〜100重量%含有する。
本発明の電気化学素子用電解質(B)は化合物(A)の他に化合物(A)と異なる他の有機塩化合物(D)を含有していてもよい。他の有機塩化合物(D)としては、テトラアルキルアンモニウム塩、イミダゾリウム塩等である。テトラアルキルアンモニウム塩の具体例としては、テトラエチルアンモニウム・BF塩、トリエチルメチルアンモニウム・BF塩等が挙げられる。イミダゾリウム塩の具体例としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・BF塩、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム・BF塩、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・BF塩などが挙げられる。他の有機塩化合物(D)の量は、電気化学素子用電解質(B)の重量に基づいて0〜50重量%であることが好ましい。
また、種々の添加剤(E)を含有してもよい。添加剤(E)としては、LiBF、LiPF、ホウ酸類及びその誘導体(ホウ酸、ホウ酸エステル類、ホウ素と水酸基及び/又はカルボキシル基を有する化合物との錯体等)、リン酸類及びその誘導体(リン酸、亜リン酸、リン酸エステル類、ホスホン酸類等)、硝酸塩(硝酸リチウム等)、芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。電気化学的安定性と電気伝導度の観点から、添加剤(E)の量は好ましくは電気化学素子用電解質(B)の重量に基づいて50重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。
化合物(A)の化学構造は、通常の有機化学的実験手法により同定することができ、例えば各種核磁気共鳴スペクトル(H、19F、13C−NMR、溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド)等によって特定することができる。また、化合物(A)の純度は、H−NMRから求めることができる。
本発明の電気化学素子用電解液(F)は電解質(B)及び非水溶媒(C)を含有する。電気化学素子用電解液(F)中の電解質(B)の含有量(重量%)は、該電解液(F)の電気伝導度の観点から、該電解液(F)の重量に基づいて3〜100重量%が好ましく、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。
非水溶媒(C)の具体例としては、炭素数3〜6のアミド類、炭素数4〜6のラクトン類、炭素数3〜6のカーボネート類、炭素数2〜6のニトリル類、炭素数4〜12の鎖状エーテル類、炭素数2〜5の環状エーテル類、炭素数1〜4のニトロ化合物、炭素数2〜6のスルホン類及び炭素数3〜6のリン酸エステル類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし2種類以上を併用してもよい。
炭素数3〜6のアミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−メチル−2−オキサゾリジノン及びN,N−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
炭素数4〜6のラクトン類としては、γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びδ−バレロラクトンなどが挙げられる。
炭素数3〜6のカーボネート類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートなどが挙げられる。
炭素数2〜6のニトリル類としては、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル及び3−メトキシプロピオニトリルなどが挙げられる。
炭素数4〜12の鎖状エーテル類としては、ジエチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
炭素数2〜5の環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
炭素数1〜4のニトロ化合物としては、ニトロメタン及びニトロエタンなどが挙げられる。
炭素数2〜6のスルホン類としては、スルホラン、3−メチルスルホラン及び2,4−ジメチルスルホランなどが挙げられる。
炭素数3〜6のリン酸エステル類としては、リン酸トリメチル及びリン酸トリエチルなどが挙げられる。
これらのうち、電気化学的安定性の観点から好ましくは、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、スルホラン、3−メチルスルホラン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートである。
本発明の電解液(F)中の含水量は、電気化学的安定性の観点から、電解液の重量に基づいて300ppm以下が好ましく、更に好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下である。この範囲であると、電気化学キャパシタの経時的な性能低下を抑制できる。
電解液中の含水量はカールフィッシャー法(JIS K0113−2005、電量滴定方法)で測定することができる。
本発明の電解液(F)は電気化学素子に用いることができる。電気化学素子とは電気化学キャパシタ、二次電池、色素増感太陽電池等を示す。電気化学キャパシタは、基本構成物品として、電極、集電体、セパレーターを備えるとともに、キャパシタに通常用いられるケース、ガスケットなどを任意に備えるものである。電解液は、例えばアルゴンガス雰囲気(露点−50℃)のグローブボックス内等で電極及びセパレーターに含浸される。本発明の電解液は、電気化学キャパシタのうち、電気二重層キャパシタ(電極に分極性電極、例えば活性炭等を使用するもの)に好適である。
電気二重層キャパシタの基本構造としては、2つの分極性電極の間にセパレーターを挟み、電解液を含浸させたものである。分極性電極の主成分は、電解液に対して電気化学的に不活性で、かつ、適度な電気伝導度を有することから活性炭、グラファイト、ポリアセン系有機半導体などの炭素質物質が好ましく、上記のように、正極と負極の少なくとも一方は炭素質物質である。電荷が蓄積する電極界面が大きい点から、窒素吸着法によるBET法により求めた比表面積が10m/g以上の多孔性炭素物質(例えば活性炭)がさらに好ましい。多孔性炭素物質の比表面積は、目的とする単位面積あたりの静電容量(F/m)と、高比表面積化に伴う嵩密度の低下を勘案して選択されるが、窒素吸着法によるBET法により求めた比表面積が30〜2,500m/gのものが好ましく、体積あたりの静電容量が大きいことから、比表面積が300〜2,300m/gの活性炭が更に好ましい。
本発明の電解液(F)は、アルミ電解コンデンサにも用いることができる。アルミ電解コンデンサの基本構造としては、電極となるアルミ箔の表面に電気化学処理で酸化膜をつくってこれを誘電体とし、もう一方の電極となるアルミ箔との間に電解液を含浸させた電解紙を挟んだものである。
本発明の電気化学キャパシタの態様としては、コイン型、捲回型、角形のものがあげられる。本発明の電気化学キャパシタ用電解液は、いずれの電気二重層キャパシタ又はいずれのアルミ電解コンデンサにも適用できる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に規定しない限り、部は重量部を意味する。
〔製造例1〕N,N−ジエチルオキサゾリジニウム・BF塩(A−1)の製造
(1)N,N−ジエチルオキサゾリジニウム・Cl塩
2−クロロエタノール32.2部、パラホルムアルデヒド12.0部、ジエチルエーテル100部の混合液にジエチルアミン29.3部を滴下し、4時間、35℃還流下で反応させた。生じた白色固体を濾別し、減圧下で揮発成分を留去することにより、N,N−ジエチルオキサゾリジニウム・Cl塩60.5部(収率92%)を得た。H、13C−NMRから、生成物はカチオン種(a−11)のCl塩であった。
(2)AgBF溶液の作製
酸化銀116部、42重量%のホウフッ化水素酸水溶液209部を混合した溶液を100℃で減圧脱水して得られた固体に、メタノール550部を加えて溶解しAgBFメタノール溶液を得た。
(3)N,N−ジエチルオキサゾリジニウム・BF塩(A−1)
上記のAgBFメタノール溶液223部を、上記で得たN,N−ジエチルオキサゾリジニウム・Cl塩49.6部とメタノール50部の混合溶液に対して滴下、混合した後、濾過し、濾液を回収した。濾液中にAgBF溶液またはN,N−ジエチルオキサゾリジニウム・Cl塩溶液を少しずつ添加することで、溶液中の銀イオン含量を10ppm以下に、塩化物イオン含量を5ppm以下に微調整した後、−5℃で12時間静置し再結晶を行った。析出した結晶を濾過し、80℃で減圧乾燥を行い化合物(A−1)56.5部(収率81%)を得た。H、19F、13C−NMRで分析した結果、(A−1)はカチオン種(a−11)のBF塩であった。H−NMRの積分値から、純度は99.5%以上であった。
〔製造例2〕3−オキサゾリジン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩(A−2)の製造
ジエチルアミン29.3部の代わりにピロリジン28.5部を用いた以外は製造例1と同様にして、化合物(A−2)55.0部(収率87%)を得た。H、19F、13C−NMRで分析した結果、(A−2)はカチオン種(a−15)のBF塩であった。H−NMRの積分値から、純度は99.5%以上であった。
〔製造例3〕4−メトキシメチル−3−オキサゾリジン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩(A−3)の製造
1−クロロ−2−メトキシ−2−プロパノール207部、パラホルムアルデヒド50部、ジエチルエーテル624部の混合液にピロリジン118部を滴下して一晩還流下で反応させた。生じた塩を濾別し、減圧下で揮発成分を留去することにより、4−メトキシメチル−3−オキサゾリジン−1’−スピロピロリジニウム・Cl塩60.5部(収率71%)を得た。H、13C−NMRから、生成物はカチオン種(a−23)のCl塩であった。
メタノール327部と42重量%のホウフッ化水素酸水溶液342部を混合した溶液に4−メトキシメチル−3−オキサゾリジン−1’−スピロピロリジニウム・Cl塩330部を加えて30分間攪拌した。100℃で減圧脱水して4−メトキシメチル−3−オキサゾリジン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩を得た。BF塩をメタノールに溶かして、−50℃で再結晶を行った。析出した結晶を濾過し、80℃で減圧乾燥を行い化合物(A−3)(収率52%)を得た。H−NMRの積分値から、純度は99.5%以上であった。
〔製造例4〕1,3−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩(A−4)の製造
3−クロロプロパノール166部、パラホルムアルデヒド53部、ジエチルエーテル657部の混合液にピロリジン125部を滴下して一晩還流下で反応させた。生じた塩を濾別し、減圧下で揮発成分を留去することにより、1,3−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・Cl塩(収率82%)を得た。H、13C−NMRから、生成物はカチオン種(a−39)のCl塩であった。
メタノール341部と42重量%のホウフッ化水素酸水溶液356部を混合した溶液に1,3−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・Cl塩302部を加えて30分間攪拌した。100℃で減圧脱水して1,3−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩を得た。BF塩をメタノールに溶かして、−50℃で再結晶を行った。析出した結晶を濾過し、80℃で減圧乾燥を行い化合物(A−4)(収率51%)を得た。H−NMRの積分値から、純度は99.5%以上であった。
〔比較製造例5〕1,5−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩(A’−1)の製造
5−クロロペンタノール199部、パラホルムアルデヒド50部、ジエチルエーテル631部の混合液にピロリジン120部を滴下して一晩還流下で反応させた。生じた塩を濾別し、減圧下で揮発成分を留去することにより、1,5−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・Cl塩(収率71%)を得た。
メタノール328部と42重量%のホウフッ化水素酸水溶液343部を混合した溶液に1,5−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・Cl塩330部を加えて30分間攪拌した。100℃で減圧脱水して1,5−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩を得た。BF塩をメタノールに溶かして、−50℃で再結晶を行った。析出した結晶を濾過し、80℃で減圧乾燥を行い化合物(A’−1)(収率49%)を得た。H−NMRの積分値から、純度は99.5%以上であった。
[比較製造例6]トリエチルメチルアンモニウム・BF塩の製造
トリエチルメチルアンモニウムクロライド(試薬:東京化成(株)製)100部をメタノール100部に溶解し、30wt%HBFのメタノール溶液200部を添加した。30分攪拌するとトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートの結晶が析出した。溶液を濾過後、結晶をイソプロピルアルコールで洗浄してから、130℃の加熱下、窒素気流中にて乾燥し、副生した塩化水素と過剰のHBFおよびメタノール、イソプロピルアルコールを除き、トリエチルメチルアンモニウム・BF塩(以下、TEMAと略記)127部を得た。
[比較製造例7]スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム・BF塩の製造
スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムクロライド162.5部(アルドリッチ(株)製)と、42%ホウフッ化水素酸水溶液209.1部とを反応させ、80℃で1時間撹拌した。溶液を濾過後、結晶をイソプロピルアルコールで洗浄してから、130℃の加熱下、窒素気流中にて乾燥し、副生した塩化水素と過剰のHBFおよびイソプロピルアルコールを除き、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム・BF塩(以下、SBPと略記)127部を得た。
以下で使用する電解液用溶媒はすべて、以下の脱水処理をしてから使用した。
使用する溶媒100部に対してそれぞれモレキュラーシーブ(ナカライテスク製)3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥を行った後、モレキュラーシーブを濾別し、脱水溶媒を得た。
<実施例1>
脱水したプロピレンカーボネート80部と化合物(A−1)のみからなる電解質(B−1)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は16ppmであった。
<実施例2>
実施例1と同様に、脱水したプロピレンカーボネート80部と化合物(A−2)のみからなる電解質(B−2)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は16ppmであった。
<実施例3>
実施例1と同様に、脱水したスルホラン80部と電解質(B−1)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は22ppmであった。
<実施例4>
実施例1と同様に、脱水したスルホラン80部と電解質(B−2)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は21ppmであった。
<実施例5>
実施例1と同様に、脱水したプロピレンカーボネート80部と化合物(A−3)のみからなる電解質(B−3)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は15ppmであった。
<実施例6>
実施例1と同様に、脱水したプロピレンカーボネート80部と化合物(A−4)のみからなる電解質(B−4)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は14ppmであった。
<実施例7>
実施例1と同様に、脱水したγ−ブチロラクトン80部と電解質(B−3)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は31ppmであった。
<実施例8>
実施例1と同様に、脱水したγ−ブチロラクトン80部と電解質(B−4)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は33ppmであった。
<比較例1>
実施例1と同様に、脱水したプロピレンカーボネート80部とTEMA20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は19ppmであった。
<比較例2>
実施例1と同様に、脱水したプロピレンカーボネート80部とSBP20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は20ppmであった。
<比較例3>
実施例1と同様に、脱水したプロピレンカーボネート80部と1,5−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩(A’−1)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は20ppmであった。
<比較例4>
実施例1と同様に、脱水したスルホラン80部とTEMA20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は20ppmであった。
<比較例5>
実施例1と同様に、脱水したスルホラン80部とSBP20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は19ppmであった。
<比較例6>
実施例1と同様に、脱水したスルホラン80部と1,5−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩(A’−1)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は19ppmであった。
<比較例7>
実施例1と同様に、脱水したγ−ブチロラクトン80部とTEMA20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は32ppmであった。
<比較例8>
実施例1と同様に、脱水したγ−ブチロラクトン80部とSBP20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は30ppmであった。
<比較例9>
実施例1と同様に、脱水したγ−ブチロラクトン80部と1,5−オキサジナン−1’−スピロピロリジニウム・BF塩(A’−1)20部を25℃にて均一に混合溶解させて、電解液を得た。電解液の水分は30ppmであった。
上記電解液の特性を評価するため、温度30℃及び−30℃において、電気伝導度を測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2012044152
表2における各成分の略号は以下の通りである。
TEMA:トリエチルメチルアンモニウム・BF
SBP:スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム・BF
PC:プロピレンカーボネート
SL:スルホラン
GBL:γ−ブチロラクトン
電気伝導度の測定にはRadiometer社製の電気伝導度メーターを使用した。測定セルにはRadiometer社製CDC641Tを使用した。電気伝導度は、測定セルおよび電解液を入れた容器を、恒温糟(30℃)あるいは冷媒(−30℃)に浸し、数値が安定した後の値を測定値とした。
本発明の電解液及び比較例の電解液を使用して3電極式電気二重層キャパシタ(パワーシステム(株)社製、図1)を作製し、得られたキャパシタを用いて充放電サイクル試験を行い長期信頼性を評価した。
粉状の活性炭(関西熱化学(株)製 「MSP−20」)をカーボンブラックおよびポリテトラフルオロエチレン粉(PTFE)と混合した。重量比は、10:1:1とした。
得られた混合物を乳鉢にて5分程度練り、これをロールプレスで圧延して活性炭シートを得た。活性炭シートの厚さは、400μmとした。この活性炭シートを20mmΦのディスク状に打ち抜き、活性炭電極を得た。
得られた活性炭電極(正極、負極及び参照極)を用いて、3電極式電気二重層キャパシタ(パワーシステム(株)社製)を組み立てた。これらセルを真空中170℃で7時間乾燥し、30℃まで冷却した。乾燥雰囲気中で実施例1〜8及び比較例1〜9の電解液をセルに注入し、ついで真空含浸を行い電気二重層キャパシタを作製した。
作成した電気二重層キャパシタに充放電試験装置(パワーシステム(株)製、「CDT−5R2−4」)を接続し、設定電圧まで25mAにて定電流充電を行い、充電開始から7200秒後に25mAにて定電流放電を行った。これを設定電圧3.3V、45℃で50サイクル実施し、セルの初期及び50サイクル後の静電容量値と静電容量の保持率(%)、初期及び50サイクル後の内部抵抗及び内部抵抗増加率(%)を測定し、長期信頼性の指標とした。試験結果を表3に示す。
Figure 2012044152
表2から明らかなように、本発明の実施例1〜8の電解液は、比較例1〜9の電解液との比較において、30℃において同等以上の電気伝導度を示し、かつ−30℃の低温においても高い電気伝導度を示した。
表3から明らかなように、本発明の実施例1〜8の電解液は、比較例1〜9の電解液との比較において、静電容量の保持率が高く、内部抵抗の増加率が低いことを示した。
すなわち、本発明の電解液は、低温で高い電気伝導度を示し、長期信頼性が良いことが示された。
本発明の電解液を用いて作製した電気化学キャパシタは、各種電子機器のメモリーバックアップ用、各種電源バックアップ電源、太陽電池との組み合わせで使用される蓄電素子等の2次電池を代替する蓄電装置としてや大電流を必要とするモーター駆動用電源、電動工具等のパワーツール用電源、電気自動車用のパワー用電源用途等に適用できる。
3電極式電気二重層キャパシタ

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物(A)を含有してなる電気化学素子用電解質(B)。
    Figure 2012044152
    [式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1若しくは2のアルコキシ基を有する炭素数2〜4の分岐アルキレン基である。RおよびRは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、RおよびRは繋がって環を形成していてもよい。Xは対イオンを表す。]
  2. 一般式(1)において、Rが、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、2−メトキシ−エタン−1,1−ジイル基及び3−メトキシ−プロパン−1,2−ジイル基からなる群から選ばれるアルキレン基である請求項1に記載の電気化学素子用電解質(B)。
  3. 一般式(1)において、対イオンXがBF である請求項1または2に記載の電気化学素子用電解質(B)。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学素子用電解質(B)及び非水溶媒(C)を含有してなる電気化学素子用電解液(F)。
  5. 非水溶媒(C)がプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、スルホラン、3−メチルスルホラン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の電気化学素子用電解液(F)。
  6. 請求項4または5に記載の電解液(F)を用いることを特徴とする電気化学素子。
  7. 請求項4または5に記載の電解液(F)を用いることを特徴とする電気化学キャパシタ。
  8. 請求項4または5に記載の電解液(F)を用いることを特徴とする電気二重層キャパシタ。

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