JP4036633B2 - 繊維成形体の抄造型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維成形体、特にパルプモールド成形体の抄造型及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
湿式抄造によってパルプモールド成形体を製造する場合には、当該成形体の外形に対応した抄造面にパルプ繊維を堆積させる抄造ネットが被覆された抄造型が用いられる。このような抄造型は、パルプスラリー中の液体分の排出が良好に行えるように、該抄造面に格子状の排水溝が設けられている。
【0003】
このような排水溝は、NC(Numerical Contorol)工作機によって抄紙面の加工を行った後、エンドミル切削工具を使用し、所定の幅及び深さを有する溝を直彫りで削り出して形成している。このため、抄造面が略鉛直に近い角度を有していたり、アンダーカット部を有する場合には、二次元CAM(Computer Aided Manufacturing)で溝加工専用データを作成し、特殊な成形用エンドミルを使用して加工したり、放電加工で対応していた。
しかしながら、3次元形状に沿った溝を形成する場合は、3次元のCAMで溝加工専用データを作成して同様の加工を施す必要があるが、各溝形状が異なるため一度で全てのパスを作成することが困難で、一形状ずつ溝加工データを作成しなければならないためにデータの効率が悪く、過大なパス作成時間と加工時間を要する課題があった。
【0004】
かかる抄造型における排水溝の作製の手間及びコスト削減を目的とした抄造型としては、例えば、特開2001−98500号公報に記載の抄造型が知られている。この抄造型は、ハニカム材や複数のパイプからなる母材の一端部を成形する成形体の形態に合わせてNC工作機で加工し、これを抄造型の成形面として構成したものである。
【0005】
ところで、この抄造型は、溝加工が不要であり、その分金型の作製の手間及びコストを削減することができるが、成形する成形体の形状に設計変更が合った場合には、新たに母材を加工しなければならず、その分母材に無駄が生じ、また、迅速な対応も困難であった。
【0006】
従って本発明の目的は、金型の作製の手間及びコストを大幅に削減することができ、且つ成形体の設計変更にも迅速に対応することができる繊維成形体の抄造型及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定位置に配設された多数の孔を有する板部と、流体の流通孔を有し且つ前記板部が固定される外枠部と、前記各孔に挿通された多数のピンと、多数の該ピンの先端部で支持される抄造ネットとを備えた繊維成形体の抄造型であって、前記各ピンは、抄造する繊維成形体の外形に合わせてその先端部が位置決めされて前記板部に固定されている繊維成形体の抄造型を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、ピンを多数の孔を有する板部の該各孔に挿設するピンの挿設工程と、抄造する繊維成形体に対応するモデル型及び前記各ピンを互いに当接させ、該各ピンを該モデル型の外形に合わせて位置決めするピンの位置決め工程と、位置決めされた前記各ピンを前記板部に固定するピンの固定工程と、前記各ピンの先端部で支持されるように抄造ネットを配設するネットの配設工程とを具備している抄造型の製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1及び2は、本発明の繊維成形体の抄造型を、パルプモールド成形体の抄造型(以下単に、抄造型ともいう。)に適用した一実施形態を示すものである。図1において、符号1は抄造型を示している。
【0011】
図1に示すように、抄造型1は、所定位置に配設された多数の孔20を有する板部2と、流体の流通孔30を有し且つ板部2が固定される外枠部3と、各孔20に挿通された中空パイプ状及び中実の多数のピン4と、多数のピン4の先端部で支持される抄造ネット5とを備えている。
【0012】
抄造型1では、板部2は、外枠部3の下端部に固定されており、これら板部2及び外枠部3で箱状の型枠23が形成されている。
前記板部2の前記孔20は、ピン4がその軸方向に摺動できるように設けられている。そして、孔20には、ピン4が挿通され、抄造する繊維成形体の外形に合わせてその先端部が位置決めされて所定の固定手法で固定されている。ピン4の固定手法は、成形体の製造時にピン4に加わる外力によってその位置がずれない手法であれば特に制限はない。該固定手法としては、例えば、ピン4の外周に雄ねじ、板部2に該雄ねじに対応するねじ孔を形成し、ピン4を板部2に螺着させて位置決め固定する固定構造を用いる手法、ピン4の外周に雄ねじ、板部2に該ピン4が挿通可能な挿通孔を形成するとともに該雄ねじに対応するナットを板部2の両側から螺合させて締結するねじ固定構造を用いる手法、板部2にピン4が摺動自在の孔を形成しておき、板部2にピン4を挿設して位置決めし、接着剤で固定する手法、及び、板部2に孔を形成し、ピン4を圧入させて接合する圧入手法等が挙げられる。
【0013】
外枠部3の流通孔30には、負圧源又はコンプレッサーに通じる管路が接続される。そして、抄造時にピン4の間から繊維スラリー中の液体分吸引して排出したり、圧縮空気又や液体を吹き付けて成形体の離型又や型の洗浄を行えるように構成されている。
【0014】
前記各ピン4は、前述のように、抄造するパルプモールド成形体の外形に合わせてその先端部が位置決めされて板部2に固定されている。
【0015】
抄造ネット5を支持する各ピン4の先端部の形状は、抄造ネット5を点で支持することによりその損傷を抑えて長期間使用できるようにする点から球面状のように曲面加工が施された形態を有していることが特に好ましいが、フラットな形態を有していても良い。
ピン4の断面形状に特に制限はないが、ピンの作成及びピン固定時にねじで固定する手法が容易に適用できる点から円形状であることが好ましい。
ピン4が中空パイプ状の場合には、パイプ部分の肉厚(断面の片側部分の肉厚)は、0.5〜5.0mmであることが好ましく、1.0〜4.0mmであることがより好ましい。0.5mm未満であると、ピン自体の強度が得られなくなるほか、ピンの外周面に雄ねじを形成することが困難になり、ねじを形成した場合には内径が確保できず、内部を通過するスラリー中の液体分の流動性に悪影響を及ぼしたり、目詰まりが生じやすくなる場合がある。
【0016】
ピン4が中実の場合には、その外径は、3〜12mmであることが好ましく、5〜10mmであることがより好ましい。3mm未満であると、ピン自体の強度が得られなくなってピンが変形し、支持している抄造ネット5が変形する場合があり、成形体を抄造することが困難となる。12mmを超えると、抄造ネット5を支持している面や点の間隔が広がるため、外形が細かく起伏する成形体を抄造することが困難となる。また、抄造ネット5を支持する面や点が減少し、抄造ネット5の材質によっては当該抄造ネット5が変形する場合があり、成形体を抄造することが困難となる場合がある。
ピン4が中空パイプ状の場合には、その外径は、5〜12mmであることが好ましく、7〜10mmであることがより好ましい。5mm未満であると、ピン自体の強度が得られなくなってピンが変形し、支持している抄造ネット5が変形する場合があり、成形体を抄造することが困難となる。外径が12mmを超えると、抄造ネット5を支持している面や点の間隔が広がるため、外形が細かく起伏する成形体を抄造することが困難となる。また、抄造ネット5を支持する面や点が減少し、抄造ネットの材質によっては当該抄造ネット5が変形する場合があり、成形体を抄造することが困難となる場合がある。
【0017】
隣接するピン4どうしの間隔は、3〜20mmであることが好ましく、8〜15mmであることがより好ましい。3mm未満であると、板部2自体の強度が得られなくなり、板部2に破損が生じる場合があり、20mmを超えると、ネットを支持している面や点の間隔が広がるため、外形が細かく起伏する成形体を抄造することが困難となる。また、抄造ネット5を支持する面や点が減少し、抄造ネット5の材質によっては当該抄造ネット5が変形する場合があり、成形体を抄造することが困難となる場合がある。
【0018】
中空パイプ状のピンと中実のピンの配置は、抄造する成形体の形状、スラリーの濃度、スラリーの成分、成形時間等に応じて適宜設定することができるが、成形体の肉厚を厚くしたい部位に中空パイプ状のピンを配置して吸引力を強くしたり、成形体の肉厚を薄くしたい部分に中実のピンを配置して吸引力を弱くすることが好ましい。
【0019】
ピン4の材質は、製造時に加わる外力に耐える強度を有するものであれば、金属、セラミックス、プラスチックス等その材質に特に制限はないが、加工性、耐食性、耐熱性、剛性(強度)等の点から、金属等が好ましく用いられる。
【0020】
抄造型1は、前記型枠23の下方に、板部2の下面から突出する各ピン4の後端部の可動幅を確保する箱状の枠体6が固定されている。枠体6の周壁部60には、流体の流通孔61が設けられている。そして、流通孔61に負圧源又はコンプレッサーに通じる管路を接続することで、抄造時にピン4の内部から繊維スラリー中の液体分吸引して排出したり、ピン4の内部から圧縮空気又や液体を吹き付けて成形体の離型又や型の洗浄を行えるように構成されている。
【0021】
図2に示すように、抄造型1においては、各ピン4の配設位置に合わせて開口する開口部70を有する当接板7が外枠部3に固定されている。当接板7の前面部71で突き合わせ面が形成されている。当接板7の前面部71側の両側部には、取り外し可能な挟持板72がねじ留めされている。そして、これらの挟持板72で抄造ネット5の周縁部50が挟持されて当該当接板7に固定されている。
【0022】
前記抄造ネット5は、繊維成形体の成形に通常用いられる目開き及び線径を有するものであればその材質は特に制限されずに用いることができる。
【0023】
次に、本発明の抄造型の製造方法を、その好ましい実施形態として、前記抄造型1の製造方法に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0024】
先ず、成形する繊維成形体の外形に対応するモデル型8(図3(a)参照)を作製する。モデル型8は、例えば木型を通常のNC工作機等で加工して作製することができる。
【0025】
次に、抄造型1を構成する前記板部2に前記モデル型8に対応した位置に孔20を形成する。そして、当該板部2を前記外枠部3に取り付けて固定し枠体23を形成する(板部の取付工程)。
【0026】
次に、図3(a)に示すように、モデル型8の上に枠体23を反転させた状態で配設する。そして、各ピン4を前記孔20に挿設し(ピンの挿設工程)、モデル型に各ピン4を当接させ、各ピン4をモデル型の外形に合わせて位置決めする(ピンの位置決め工程)。さらに、位置決めされた各ピン4を前記固定手法で板部2に固定する(ピンの固定工程)。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、枠体23に前記枠体6を取付けて固定し、図3(c)に示すように、これらを反転させる。そして、当接板7及びネットをピン4の上方に配し、図1に示すように、当接板7を外枠部の端面部に取り付けて固定する。
【0028】
最後に、前記当接板7の挟持板72で前記抄造ネット5の周縁部50を挟持し、当接板7に抄造ネット5を固定して各ピン4を覆うように抄造ネット5を配設し(ネットの配設工程)、抄造型1の製造を完了する。
【0029】
このようにして製造された抄造型1は、左右対称の同様の抄造型とともに一対で用いられる。そして、パルプモールド成形体の製造装置における型締手段のプラテンに対向するように固定されて使用される。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の抄造型1によれば、成形する成形体のモデル型に対応させて簡単に金型を抄造面(成形面)を形成でき、しかも溝加工が不要であるので、従来の抄造型に比べて、金型の作製の手間及びコストを大幅に削減することができる。また、ピンが取り外し可能であるので、成形する成形体の形状に設計変更が生じた場合にも、変更に対応したモデル型を作製し、該モデル型でピンの位置を変更するだけで済むので、型自体が無駄にならず、成形体の形状変更にも迅速に対応することができる。さらに、抄造型1は、中空パイプ状及び中実のピン4を組み合わせて配置してあるので、所望の肉厚を得たい部分に中空パイプ状のピン4を配置することで容易に肉厚を制御することができる。
【0031】
また、本実施形態の抄造型1の製造方法によれば、前記効果を奏する抄造型1を効率よく製造することができる。
【0032】
本発明は、前記実施形態に何等制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
【0033】
本発明は、前記実施形態の抄紙型1におけるように、中空パイプ状及び中実のピンを用いることが好ましいが、成形する成形体の形状(製品形状)に応じて、中空パイプ状又は中実の何れか一方のピンのみを用いることもできる。
【0034】
また、前記実施形態の抄造型1では、板部2及び外枠部3で箱状の枠体23を形成し、これに枠体6を取り付ける形態としたが、外枠部を予め箱状の形態とし、該外枠部にその内部を仕切るように前記板部2を着脱自在に取り付けて固定する形態とすることもできる。この場合には、外枠部3内部の板部2で仕切られた上下両方の空間に通じるように流体の流通孔30を形成することが好ましい。
【0035】
また、前記実施形態の抄造型1では、外枠部3と枠体6とを別体で設けたが、外枠部3と前記枠体6の周壁部とを一体的に形成するとともに、枠体6の底面部を別体で形成して外枠部とし、前記板部2をこれらの内部を仕切るように固定することもできる。
【0036】
また、前記実施形態の抄造型の製造方法では、モデル型8に各ピン4を当接させて位置決めした後に当該各ピン4を板部2に固定するようにしたが、板部2の孔20に各ピン4を摺動自在に配設しておき、モデル型8をこれら各ピン4に当接させて当該各ピン4の位置決めを行うこともできる。
【0037】
本発明は、前記実施形態におけるように、パルプモールド成形体等の繊維成形体の湿式製造用の抄造型に特に好適であるが、湿式製造されたパルプモールド成形体等の繊維成形体の乾燥型(排気溝、乾燥溝)にも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の繊維成形体の抄造型によれば、金型の作製の手間及びコストを大幅に削減することができ、且つ成形体の設計変更にも迅速に対応することができる。また、本発明の繊維成形体の抄造型の製造方法によれば、前記本発明の抄造型を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維成形体の抄造型の一実施形態を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の繊維成形体の抄造型の一実施形態を模式的に示す分解斜視図である。
【図3】同実施形態の抄造型の製造方法の手順を模式的に示す図であり、(a)はピンの挿設、位置決め、固定を行った状態を示す図、(b)は枠体を取り付けた状態を示す図、(c)は抄造ネットの配設工程を示す図である。
【符号の説明】
1 繊維成形体の抄造型
2 板部
20 孔
3 外枠部
30 流通孔
4 ピン
40 先端面
5 抄造ネット
8 モデル型

Claims (4)

  1. 所定位置に配設された多数の孔を有する板部と、流体の流通孔を有し且つ前記板部が固定される外枠部と、前記各孔に挿通された多数のピンと、多数の該ピンの先端部で支持される抄造ネットとを備えた繊維成形体の抄造型であって、
    前記各ピンは、抄造する繊維成形体の外形に合わせてその先端部が位置決めされて前記板部に固定されている繊維成形体の抄造型。
  2. 左右対称の一対で用いられ、前記ピンの配設位置に合わせて開口する開口部を有する当接板が前記外枠部の上端面部に固定され、対向する他の抄造型との突き合わせ面が該対向状態における該当接板の前面部で形成されている請求項1記載の繊維成形体の抄造型。
  3. 前記抄造ネットの周縁部が前記当接板に固定されている請求項2記載の繊維成形体の抄造型。
  4. ピンを多数の孔を有する板部の該各孔に挿設するピンの挿設工程と、抄造する繊維成形体に対応するモデル型及び前記各ピンを互いに当接させ、該各ピンを該モデル型の外形に合わせて位置決めするピンの位置決め工程と、位置決めされた前記各ピンを前記板部に固定するピンの固定工程と、前記各ピンの先端部で支持されるように抄造ネットを配設するネットの配設工程とを具備している抄造型の製造方法。
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