JP4035307B2 - 光学系、光学機器、画像表示光学系および投射型画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリズム状の光学素子を基板部材により位置決め支持した光学系およびこれを用いた投射型画像表示装置等の光学機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
投射型画像表示装置には、光源からの照明光を複数の色光に分解したり画像表示素子により変調された複数の色光を合成したりするために偏光ビームスプリッターやダイクロイックプリズム等の光学素子が用いられる。これらの光学素子は、内部が光学媒質で満たされたプリズム状の複数の光学素子片を貼り合わせて構成され、貼り合わせ面には多層膜としての偏光分離膜やダイクロイック膜が形成されている。
【0003】
そして、このような光学素子は、基板部材上に位置決め固定されて装置筐体内に収容される。
【0004】
具体的な光学素子の固定方法としては、特開2001−154152号公報にて提案されているように、例えば2つの光学素子(プリズム)片を貼り合わせる場合に、両光学素子片の大きさを変えることによって形成される段差を利用して基板部材に対する位置決めを行うものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報にて提案の固定方法では、確実に2種類の大きさのプリズム片が必要となり、製造上でのコストが上昇するという問題がある。
【0006】
例えば、プリズム片の角度や平面の精度が要求される場合は、厳密な管理検査工程を2工程設けなくてはならず、また製造工程も2工程に分けなくてはならない。
【0007】
また、段差を作るために、光学素子に光学的に不要な部分を設けなければならないため、光学素子の大型化や重量増にもつながる。
【0008】
さらに、光学素子を支持する基板部材の形状が、上記段差に対応した複雑な形状となるため、基板部材の製造コストに影響してしまう。しかも、複数の光学素子を支持する基板部材が複雑な形状であると、熱膨張時の寸法変化に不均一性が生じて光学素子間の位置関係(各色光の光軸の一致性)が崩れ、いわゆるレジずれ(画素ずれ)の発生原因となり、カラー表示画像の色滲みやコントラスト低下が生ずるという問題もある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本願第1の発明では、それぞれ内部が光学媒質で満たされたプリズム状の第1の光学素子片および第2の光学素子片を貼り合わせて構成される光学素子と、この光学素子を位置決め支持する基板部材とを有する光学系において、第1の光学素子片における貼り合わせ面とこの貼り合わせ面に隣り合う面との間に、基板部材の支持面に対して垂直な方向に延びる面取り形状面を形成し、第2の光学素子片の貼り合わせ面のうち第1の光学素子片に面取り形状面を形成することにより露出した部分に、基板部材に設けられた位置決め用突部を当接させるようにしている。
【0010】
これにより、光学素子を大型化させたり重量を増加させたりすることなく、また光学素子を通る有効光束を遮ることなく、第2の光学素子片の貼り合わせ面の一部を露出させることができ、この露出部分や面取り形状面を利用して光学素子の基板部材に対する精度の高い位置決めを行うことが可能となる。しかも、双方の光学素子片の作り分けを最小限に留めて、製造コストの増加を抑えることが可能となる。
【0011】
さらに、基板部材の形状を簡素化して、熱膨張時の基板部材の形状変化を均一とすることが可能となる。したがって、この光学系を投射型画像表示装置に用いた場合には、熱膨張による表示画像の画素ずれの発生を防止することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の又は本発明に関連する実施形態について説明する。第2及び第3実施形態が本発明の実施形態である。また、第1,第4〜第12実施形態は、本発明の関連技術例としての実施形態である。
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態である投射型画像表示装置に備えられる画像表示光学系の構成を示している。
【0021】
1は連続スペクトルで白色光を発光する光源、2は矩形のレンズをマトリックス状に配置した第1のフライアイレンズ、3は光路を曲げる第1の反射ミラーである。
【0022】
また、4は第1のフライアイレンズ2の個々のレンズに対応した第2のフライアイレンズ、5は無偏光光を偏光光に揃える偏光変換素子、6はコンデンサーレンズ、7は光路を曲げる第2の反射ミラー、8はフィールドレンズである。
【0023】
9GはG(緑)の光の偏光方向を90°変換し、R(赤)・B(青)の光の偏光方向を変換しない第1の色選択性位相差板である。9RはRの光の偏光方向を90°変換し、Bの光の偏光方向を変換しない第2の色選択性位相差板である。
【0024】
10はP偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離膜を有する偏光ビームスプリッター(光学素子)であり、本実施形態では、4つの偏光ビームスプリッター10を用いて色分解合成光学系を構成している。
【0025】
11G、11B、11Rはそれぞれ、入射光を反射するとともに画像変調して画像を表示するG光用の反射型液晶表示素子、B光用の反射型液晶表示素子およびR光用の反射型液晶表示素子である。
【0026】
なお、これら反射型液晶表示素子11G、11B、11Rには不図示の駆動回路が接続されており、この駆動回路には、不図示のパーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオ、DVD等の画像情報供給装置から画像情報が供給される。駆動回路はその画像情報に基づいて反射型液晶表示素子を駆動し、各色用の画像を表示させる。
【0027】
12は1/4波長板、13は偏光ビームスプリッター10を搭載する基板である。14は投射レンズであり、15は光源1を冷却するファンである。
【0028】
この画像表示光学系において、光源1から射出した照明光は、第1のフライアイレンズ2、第1の反射ミラー3、第2のフライアイレンズ4、偏光変換素子5、コンデンサーレンズ6、第2の反射ミラー7、フィールドレンズ8および第1の色選択性位相差板9Gを通って色分解合成光学系に入射する。
【0029】
色分解合成光学系においては、図中の右下の偏光ビームスプリッター10の偏光分離面で照明光のうちG光が透過し、R、B光が反射される。G光はさらに図中の右上の偏光ビームスプリッター10の偏光分離面および1/4波長板12を透過してG光用の反射型液晶表示素子11Gに入射する。反射型液晶表示素子11Gで変調されたG光は、右上の偏光ビームスプリッター10に再度入射してその偏光分離面で反射され、図中の左上の偏光ビームスプリッター10に入射してその偏光分離面で投射レンズ14側に反射される。
【0030】
右下の偏光ビームスプリッター10の偏光分離面で反射されたR、B光のうちR光は、図中の左下の偏光ビームスプリッター10の偏光分離面および1/4波長板12を透過してR光用の反射型液晶表示素子11Rに入射する。反射型液晶表示素子11Rで変調されたR光は、左下の偏光ビームスプリッター10に再度入射してその偏光分離面を透過する。
【0031】
また、右下の偏光ビームスプリッター10の偏光分離面で反射されたR、B光のうちB光は、図中の左下の偏光ビームスプリッター10の偏光分離面で反射され、1/4波長板12を透過してB光用の反射型液晶表示素子11Bに入射する。反射型液晶表示素子11Bで変調されたB光は、左下の偏光ビームスプリッター10に再度入射してその偏光分離面で反射される。これにより、変調されたR光とB光とが合成される。
【0032】
そして、これらR、B光は図中の左上の偏光ビームスプリッター10に入射してその偏光分離面を透過して投射レンズ14側に進む。これにより、変調されたG光と変調されたR、B光とが合成されて投射レンズ14により不図示のスクリーン(被投射面)に投射され、スクリーン上にカラー画像が表示される。
【0033】
次に、図2および図3を用いて偏光ビームスプリッター10の構成およびこの偏光ビームスプリッター10の基板13に対する位置決め固定方法について説明する。なお、図2は偏光ビームスプリッター10の基板13上での配置を示す平面図(但し、位置決めピン13aについては透視状態で示している)であり、図3は偏光ビームスプリッター10を図2におけるA方向から見た図である。
【0034】
偏光ビームスプリッター10は、内部が光学硝子等の光学媒質により満たされた2つのプリズム片10A、10Bを貼り合わせて構成されており、一方の貼り合わせ面には多層膜からなる偏光分離面が形成されている。
【0035】
そして、プリズム片10Aにおける張り合わせ面とこの張り合わせ面に対して基板側にて90°の角度をなして隣り合う面(図3における下面)との間には面取り形状面10Amが形成されている。この面取り形状面10Amは、基板13の支持面と平行な方向に延びている。
【0036】
こうしてプリズム片10Aに面取り形状面10Amを形成することで、プリズム片10Bの貼り合わせ面の一部を露出させることができる。また、プリズム片10Aの面取り形状面10Amと露出したプリズム片10Bの貼り合わせ面の一部との間には略三角型断面を有する隙間が形成される。
【0037】
なお、プリズム片10Bにおける貼り合わせ面とこの張り合わせ面に対して基板とは反対側にて90°の角度をなして隣り合う面(図3における上面)との間には面取り形状面10Bmが形成されているが、これはプリズム片10Bをプリズム片10Aと同じ形状に製造したために存在するものであり、無くてもかまわない。
【0038】
また、面取り形状面10Am、10Bmには墨塗りを施して反射防止を行う。小型化を進めると、面取り形状面10Am、10Bmに不要光が入射して乱反射する可能性があるためである。
【0039】
基板13の支持面には、位置決めピン(位置決め用突部)13aが上方に突出するよう設けられている。この位置決めピン13aは上記隙間部に入り込んで、この隙間部に面した(露出した)プリズム片10Bの貼り合わせ面とプリズム片10Aの面取り形状面10Am、10Bmに突き当てられる。これにより、偏光ビームスプリッター10の基板13に対する張り合わせ面に直交する方向の位置が決定される。なお、偏光ビームスプリッター10と基板13の支持面とは接着剤により固定される。
【0040】
なお、本実施形態では、位置決めピン13aを基板13とは別部材として基板13に形成された穴部に圧入しているが、基板を型成形にて作成可能であれば、位置決めピンを一体成形し、より寸法精度を高めることができる。
【0041】
投射レンズ14と反射型液晶表示素子11G、11B、11Rとの間の光路に配置される偏光ビームスプリッター10の偏光分離面の位置精度と、偏光ビームスプリッター10の偏光分離面に対する反射型液晶表示素子11G、11B、11Rの位置精度はそれぞれ非常に厳しい。
【0042】
この点、本実施形態では、偏光分離面が形成されている張り合わせ面を基準に基板13に対する位置決め固定を行うことで、上記精度を高めることができる。
【0043】
また、本実施形態では、偏光ビームスプリッター10の張り合わせ面方向の位置決めを行っていないが、組立て治具により決定するか任意の位置決め部を設けてもよい。
【0044】
また、反射型液晶表示素子11G、11B、11Rはそれぞれが近接する偏光ビームスプリッター10に治具を用いて位置決めを行った後、基板13に接着固定する。これにより、基板13に熱膨張が発生しても、各偏光ビームスプリッター10の偏光分離面に対する各反射型液晶表示素子11G、11B、11Rのずれは互いに打ち消され合う。
【0045】
本実施形態において、熱により光学系が膨張した場合を図1に破線で示している。この図2から分かるように、熱膨張時の基板13(つまりは光学系)の形状変化は前後左右(図2では上下左右)に均一化することができる。そして、偏光ビームスプリッター10が基板13の膨張により位置がずれても、偏光ビームスプリッター10の張り合わせ面(偏光分離面)はこの張り合わせ面の延長方向にずれるだけなので、偏光分離面での反射光に影響を与えない。
【0046】
また、反射型液晶表示素子11B、11Rの位置は偏光ビームスプリッター10の張り合わせ面を中心とした対称的位置にずれるが、画素中心軸は結果的に一致する。同様に、反射型液晶表示素子11Gは、その画素中心軸が反射型液晶表示素子11B、11Rの画素中心軸と一致する位置にずれるで、結果としてRGBの各光軸は一致する。したがって、投射画像の画素ずれが防止される。
【0047】
(第2実施形態)
図4および図5には、本発明の第2実施形態である投射型画像表示装置に備えられる色分解合成光学系の構成および偏光ビームスプリッター110の基板13に対する位置決め構造を示している。なお、図4は偏光ビームスプリッター110の基板13上での配置を示す平面図であり、図5は偏光ビームスプリッター110の平面図である。
【0048】
本実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであり、共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付して説明に代える。本実施形態及び後述する第3実施形態にて説明する色分解合成光学系は、第1実施形態(図1)にて説明した画像表示光学系に用いられる。
【0049】
本実施形態では、偏光ビームスプリッター110のプリズム片110Aにおける張り合わせ面とこの張り合わせ面に対して45°をなして隣り合う面との間に面取り形状面110Amを形成するとともに、プリズム片110Bにおける張り合わせ面とこの張り合わせ面に対して45°をなして隣り合う面との間に面取り形状面110Bmを形成している。なお、偏光ビームスプリッター110において面取り形状面110Amと面取り形状面110Bmは貼り合わせ面を挟んで対角位置の関係となるように形成されており、いずれも基板13の支持面に対して垂直な方向に延びている。
【0050】
こうしてプリズム片110Aに面取り形状面110Amを形成することで、プリズム片110Bの貼り合わせ面の一部を露出させることができる。同様に、プリズム片110Bに面取り形状面110Bmを形成することで、プリズム片110Aの貼り合わせ面の一部を露出させることができる。また、プリズム片110Aの面取り形状面110Amと露出したプリズム片110Bの貼り合わせ面の一部との間には略三角型断面を有する隙間部が形成され、同様に、プリズム片110Bの面取り形状面110Bmと露出したプリズム片110Aの貼り合わせ面の一部とに面する略三角型断面を有する隙間部が形成される。
【0051】
また、面取り形状面110Am、110Bmには墨塗りを施して反射防止を行う。小型化を進めると、面取り形状面110Am、110Bmに不要光が入射して乱反射する可能性があるためである。
【0052】
基板13の支持面には、位置決めピン(位置決め用突部)13aが上方に突出するよう設けられている。この位置決めピン13aは上記隙間部に入り込んで、この隙間部に面した(露出した)プリズム片110A、110Bの貼り合わせ面と面取り形状面110Bm、110Amに突き当てられる。これにより、偏光ビームスプリッター110の基板13に対する位置が決定される。なお、本実施形態では、偏光ビームスプリッター110の張り合わせ面に直交する方向の位置だけでなく、張り合わせ面方向の位置も決定される。
【0053】
また、偏光ビームスプリッター110と基板13の支持面とは接着剤により固定される。
【0054】
本実施形態における熱膨張時の光学系の形状および位置変化は、第1実施形態と同様であり、図4中に破線で示す。
【0055】
(第3実施形態)
図6および図7には、本発明の第3実施形態である投射型画像表示装置に備えられる色分解合成光学系の構成および偏光ビームスプリッター210の基板13に対する位置決め構造を示している。なお、図6は偏光ビームスプリッター210の基板13上での配置を示す平面図であり、図7は偏光ビームスプリッター210の平面図である。
【0056】
本実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであり、共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0057】
本実施形態では、偏光ビームスプリッター210のプリズム片210Aにおける張り合わせ面とこの張り合わせ面に対して45°をなして隣り合う2つの面との間にそれぞれ面取り形状面210Amを形成している。なお、偏光ビームスプリッター210において2つの面取り形状面210Amは貼り合わせ面の片側に対角位置の関係となるように形成されており、いずれも基板13の支持面に対して垂直な方向に延びている。
【0058】
こうしてプリズム片210Aに2つの面取り形状面210Amを形成することで、プリズム片210Bの貼り合わせ面の一部(2箇所)を露出させることができる。また、プリズム片210Aの面取り形状面210Amと露出したプリズム片210Bの貼り合わせ面の一部とに面する略三角型断面を有する隙間部が形成される。
【0059】
また、2つ面取り形状面210Amには墨塗りを施して反射防止を行う。小型化を進めると、面取り形状面210Amに不要光が入射して乱反射する可能性があるためである。
【0060】
基板13の支持面には、位置決めピン(位置決め用突部)13aが上方に突出するよう設けられている。この位置決めピン13aは上記隙間部に入り込んで、この隙間部に面した(露出した)プリズム片210Bの貼り合わせ面とプリズム片210Aの面取り形状面210Amに突き当てられる。これにより、偏光ビームスプリッター210の基板13に対する位置が決定される。なお、本実施形態では、偏光ビームスプリッター210の張り合わせ面に直交する方向の位置だけでなく、張り合わせ面方向の位置も決定される。
【0061】
そして、本実施形態では、プリズム片210Aの2箇所に面取り形状面210Amを形成する一方、プリズム片210Bには面取り形状面を形成しないので、2つのプリズム片210A、210Bを作り分けなくてはいけないが、位置決めピン13aの配置を単純化できるので、偏光ビームスプリッター210の配置精度を向上させることができる。
【0062】
また、偏光ビームスプリッター210と基板13の支持面とは接着剤により固定される。
【0063】
本実施形態における熱膨張時の光学系の形状および位置変化は、第1実施形態と同様であり、図6中に破線で示す。
【0064】
(第4実施形態例)
図8および図9には、本発明の第4実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系の構成および偏光ビームスプリッター310の基板13に対する位置決め構造を示している。なお、図8は偏光ビームスプリッター310の基板13上での配置を示す平面図(但し、位置決めピン13aについては透視状態で示している)であり、図9は偏光ビームスプリッター310を図8における矢印B方向から見た図である。
【0065】
本実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであり、共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0066】
本実施形態では、偏光ビームスプリッター310のプリズム片310Aの基板側における張り合わせ面とこの張り合わせ面の両側においてこの張り合わせ面に90°および45°をなして隣り合う2つの面との間、つまりは張り合わせ面を含む3つの面の頂点部分に面取り形状面310Amを形成している。
【0067】
また、同様にして、プリズム片310Bの基板13とは反対側における張り合わせ面とこの張り合わせ面の両側においてこの張り合わせ面に90°および45°をなして隣り合う2つの面との間、つまりは張り合わせ面を含む3つの面の頂点部分に面取り形状面310Bmを形成している。
【0068】
なお、プリズム片310Bに面取り形状面310Bmが形成されているが、これはプリズム片310Bをプリズム片310Aと同じ形状に製造したために存在するものであり、無くてもかまわない。
【0069】
こうしてプリズム片310Aに面取り形状面310Amを形成することで、プリズム片310Bの貼り合わせ面の一部(2箇所)を露出させることができる。また、プリズム片310Aの面取り形状面310Amと露出したプリズム片310Bの貼り合わせ面の一部とに面する略三角錘形状を有する隙間部が形成される。
【0070】
また、面取り形状面310Am、310Bmには墨塗りを施して反射防止を行う。小型化を進めると、面取り形状面310Am、310Bmに不要光が入射して乱反射する可能性があるためである。
【0071】
基板13の支持面には、位置決めピン(位置決め用突部)13aが上方に突出するよう設けられている。この位置決めピン13aは上記隙間部に入り込んで、この隙間部に面したプリズム片310Bの貼り合わせ面の一部およびプリズム片Aの面取り形状面310Amに突き当てられる。これにより、偏光ビームスプリッター310の基板13に対する位置が決定される。
【0072】
なお、本実施形態では、偏光ビームスプリッター310の張り合わせ面に直交する方向の位置だけでなく、張り合わせ面方向の位置も決定される。
【0073】
そして、本実施形態では、面取り形状面310Am、310Bmが小さくて済むので、第1〜第3実施形態に比べて、偏光ビームスプリッター310を通る有効光束に対しより形状的・体積的に無駄のない偏光ビームスプリッター310とすることができる。
【0074】
また、偏光ビームスプリッター310と基板13の支持面とは接着剤により固定される。
【0075】
本実施形態における熱膨張時の系の形状および位置変化は、第1実施形態と同様であり、図9中に破線で示す。
【0076】
(第5実施形態)
図10には、本発明の第5実施形態である投射型画像表示装置の色分解合成光学系の構成および偏光ビームスプリッター410の基板413に対する位置決め構造を示している。
【0077】
本実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであり、共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0078】
本実施形態は、上記第1〜第4実施形態のようにプリズム片に面取り形状面を設けずに偏光ビームスプリッター410の基板413に対する位置決めを行うものである。
【0079】
413a、413bは基板413の支持面上に突出するよう設けられた位置決め用ピン(位置決め用突部)であり、いずれも互いに対向配置された2つの偏光ビームスプリッター410の間に設けられている。
【0080】
本実施形態では、1つの偏光ビームスプリッター410に対して3箇所に位置決めピンが設けられており、そのうち2箇所の位置決めピン413aは4つの偏光ビームスプリッター410の配置中心近くに設けられており、隣り合う(相互に対向する)偏光ビームスプリッター410と共用されている。
【0081】
また、他の1箇所の位置決めピン413bは、各偏光ビームスプリッター410の外側寄りの位置に、各偏光ビームスプリッター410の専用ピンとして設けられている。
【0082】
このような構成において、偏光ビームスプリッター410は、上記3箇所の位置決めピン413a、413bに対して片寄せされた後、基板413に接着される。これにより、位置決めピン413aは各偏光ビームスプリッター410の位置と隣り合う偏光ビームスプリッター410間の間隔とを決める役割を果たし、位置決めピン413bはピン413aのみでは阻止できない偏光ビームスプリッター410の基板413上での回転を阻止する役割を果たす。
【0083】
本実施形態では、偏光ビームスプリッター410に第1〜第4実施形態のような面取り形状面を形成する必要がないため、第4実施形態に比べてもさらに形状的・体積的に無駄のない偏光ビームスプリッター410とすることができる。
【0084】
しかも、隣り合う偏光ビームスプリッター410の間に規則的にピン413a、413bを配置しているので、図10中に破線で示すように、熱膨張時の光学系の形状変化を第1実施形態と同様に均一化することができる。
【0085】
なお、仮に上記ピンを、隣り合う偏光ビームスプリッター間に設けたものと設けないものとを混在させると、熱膨張時に光学系さらには偏光ビームスプリッターの張り合わせ面が不均一に変化して、反射型液晶表示素子11R、11G、11Bの画素中心の一致は望めない。
【0086】
(第6実施形態)
図11には、本発明の第6実施形態である投射型画像表示装置の色分解合成光学系の構成および偏光ビームスプリッター510の基板513に対する位置決め構造を示している。
【0087】
本実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであり、共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0088】
本実施形態は、上記第1〜第4実施形態のようにプリズム片に面取り形状面を設けずに偏光ビームスプリッター410の基板413に対する位置決めを行うものである。
【0089】
513a、513bは基板513の支持面上に突出するよう設けられた位置決めピン(位置決め用突部)であり、4つの偏光ビームスプリッター510を1つの群として見たときに、この偏光ビームスプリッター群の外周に設けられている。
【0090】
本実施形態では、1つの偏光ビームスプリッター510に対して3箇所に位置決めピンが設けられており、そのうち2箇所の位置決めピン513aは各偏光ビームスプリッター510の貼り合わせ面(偏光分離面)の上記外周側の端部近傍部分を挟むように設けられている。また、他の1箇所の位置決めピン513bは、各偏光ビームスプリッター510における上記位置決めピン513aが設けられた側とは反対側の位置に設けられている。
【0091】
このような構成において、偏光ビームスプリッター510は、上記3箇所の位置決めピン513a、513bに対して片寄せされた後、基板513に接着される。これにより、位置決めピン513a、513bは各偏光ビームスプリッター510の位置と隣り合う偏光ビームスプリッター510間の間隔を決める役割を果たす。
【0092】
本実施形態では、偏光ビームスプリッター510に第1〜第4実施形態のような面取り形状面を形成する必要がないため、第4実施形態に比べてもさらに形状的・体積的に無駄のない偏光ビームスプリッター510とすることができる。
【0093】
しかも、偏光ビームスプリッター群の外周に規則的に位置決めピン513a、513bを配置しているので、図11中に破線で示すように、熱膨張時の光学系の形状変化を第1実施形態と同様に均一化することができる。
【0094】
なお、仮に上記ピンを上記のように規則的に配置しなければ、熱膨張時に光学系さらには偏光ビームスプリッターの張り合わせ面が不均一に変化して、反射型液晶表示素子11R、11G、11Bの画素中心の一致は望めない。
【0095】
(第7実施形態)
図12には、本発明の第7実施形態である投射型画像表示装置の色分解合成光学系の構成および偏光ビームスプリッター610の基板613に対する位置決め構造を示している。
【0096】
本実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであり、共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0097】
本実施形態は、上記第1〜第6実施形態のようにプリズム片に面取り形状面を設けたり、基板に位置決めピンを設けたりせずに偏光ビームスプリッター610の基板613に対する位置決めを行うものである。
【0098】
本実施形態では、偏光ビームスプリッター610を、まず治具で基板613に対して位置決めした後、接着する。
【0099】
偏光ビームスプリッター610を構成する2つのプリズム片のうち所定の一方のプリズム片の底面に、互いに同一の略三角形状で同一面積の領域、すなわち同一の領域と基板613の支持面上との間に接着剤を配して、偏光ビームスプリッター610と基板613とを接着している。言い換えれば、接着剤を配する領域を、偏光ビームスプリッター610の張り合わせ面に対して規則的に設定している。
【0100】
これにより、偏光ビームスプリッター610に第1〜第4実施形態のような面取り形状面を形成する必要がないため、第4実施形態に比べてもさらに形状的・体積的に無駄のない偏光ビームスプリッター610とすることができる。
【0101】
しかも、4つの偏光ビームスプリッター610に規則的に接着領域を設定しているため、図12中に破線で示すように、熱膨張時の光学系の形状変化を第1実施形態と同様に均一化することができる。
【0102】
なお、仮に接着領域を規則的に設定しなければ、熱膨張時に光学系さらには偏光ビームスプリッターの張り合わせ面が不均一に変化して、反射型液晶表示素子11R、11G、11Bの画素中心の一致は望めない。
【0103】
(第8実施形態)
図13には、本発明の第8実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系の構成を示している。なお、第1実施形態と共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0104】
本実施形態では、第1実施形態に比して、1個の偏光ビームスプリッター10と、G光の偏光方向を90°変換してR、Bの光の偏光方向を変換しない色選択性位相差板9Gとを廃し、その代わりにダイクロイックミラー16を配している。
【0105】
また、第1実施形態に比して、G光用の反射型液晶表示素子11Gと1つの1/4板12の配置が異なる。すなわち、本実施形態は、G光のみを分離する機能の置き換えをしたものである。
【0106】
本実施形態では、ダイクロイックミラー16と3つの偏光ビームスプリッター10’とにより色分解合成光学系が構成されるが、この色分解合成光学系における偏光ビームスプリッター10’の基板13’に対する位置決め方法には、第1〜第7実施形態にて説明した位置決め方法を適用することができる。
【0107】
但し、ダイクロイックミラー16のみ他のプリズムと形状が異なるため、熱膨張時の光学系の形状変化も異なってくる。しかし、ダイクロイックミラー16は色分離を行うだけであるので、このダイクロイックミラー16がダイクロイック膜面方向に位置変化しなくても、画素中心のずれにはほとんど影響しない。
【0108】
なお、ダイクロイックミラー16がダイクロイック膜面方向にのみ変化するような基板13’への位置決め固定方法を用いることにより、照明範囲を狭めることが可能となり、光量損失を抑えることができる。熱膨張時に形状変化した状態は、図13中に破線で示している。
【0109】
(第9実施形態)
図14には、本発明の第9実施形態である投射型画像表示装置に備えられる画像表示光学系の構成を示している。
【0110】
701は連続スペクトルで白色光を発光する光源、702は矩形のレンズをマトリックス状に配置した第1のフライアイレンズ、703は光路を曲げる第1の反射ミラーである。
【0111】
また、704は第1のフライアイレンズ702の個々のレンズに対応した第2のフライアイレンズ、705は無偏光光を偏光光に揃える偏光変換素子、706はコンデンサーレンズ、707は光路を曲げる第2の反射ミラー、708はフィールドレンズである。
【0112】
709GはG(緑)の光の偏光方向を90°変換し、R(赤)・B(青)の光の偏光方向を変換しない第1の色選択性位相差板である。709RはRの光の偏光方向を90°変換し、Bの光の偏光方向を変換しない第2の色選択性位相差板である。
【0113】
710はP偏光を透過し、S偏光を反射する偏光分離膜を有する偏光ビームスプリッター(光学素子)であり、本実施形態では、4つの偏光ビームスプリッター710を用いて色分解合成光学系を構成している。
【0114】
711G、711B、711Rはそれぞれ、入射光を反射するとともに画像変調して画像を表示するG光用の反射型液晶表示素子、B光用の反射型液晶表示素子およびR光用の反射型液晶表示素子である。
【0115】
なお、これら反射型液晶表示素子711G、711B、711Rには不図示の駆動回路が接続されており、この駆動回路には、不図示のパーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオ、DVD等の画像情報供給装置から画像情報が供給される。駆動回路はその画像情報に基づいて反射型液晶表示素子を駆動し、各色用の画像を表示させる。
【0116】
712は1/4波長板、713は偏光ビームスプリッター10を搭載する基板である。714は投射レンズであり、715は光源701を冷却するファンである。
【0117】
この画像表示光学系において、光源701から射出した照明光は、第1のフライアイレンズ702、第1の反射ミラー703、第2のフライアイレンズ704、偏光変換素子705、コンデンサーレンズ706、第2の反射ミラー707、フィールドレンズ708および第1の色選択性位相差板709Gを通って色分解合成光学系に入射する。
【0118】
色分解合成光学系においては、図中の右下の偏光ビームスプリッター710の偏光分離面で照明光のうちG光が透過し、R、B光が反射される。G光はさらに図中の右上の偏光ビームスプリッター710の偏光分離面および1/4波長板712を透過してG光用の反射型液晶表示素子711Gに入射する。反射型液晶表示素子711Gで変調されたG光は、右上の偏光ビームスプリッター710に再度入射してその偏光分離面で反射され、図中の左上の偏光ビームスプリッター710に入射してその偏光分離面で投射レンズ714側に反射される。
【0119】
右下の偏光ビームスプリッター710の偏光分離面で反射されたR、B光のうちR光は、図中の左下の偏光ビームスプリッター710の偏光分離面および1/4波長板712を透過してR光用の反射型液晶表示素子711Rに入射する。反射型液晶表示素子711Rで変調されたR光は、左下の偏光ビームスプリッター710に再度入射してその偏光分離面を透過する。
【0120】
また、右下の偏光ビームスプリッター710の偏光分離面で反射されたR、B光のうちB光は、図中の左下の偏光ビームスプリッター710の偏光分離面で反射され、1/4波長板712を透過してB光用の反射型液晶表示素子711Bに入射する。反射型液晶表示素子711Bで変調されたB光は、左下の偏光ビームスプリッター710に再度入射してその偏光分離面で反射される。これにより、変調されたR光とB光とが合成される。
【0121】
そして、これらR、B光は図中の左上の偏光ビームスプリッター710に入射してその偏光分離面を透過して投射レンズ714側に進む。これにより、変調されたG光と変調されたR、B光とが合成されて投射レンズ714により不図示のスクリーン(被投射面)に投射され、スクリーン上にカラー画像が表示される。
【0122】
次に、図15を併せ用いて偏光ビームスプリッター710の基板713に対する位置決め固定方法について説明する。なお、図15は上記画像表示光学系のうち色分解合成光学系の側面図であり、基板713として、偏光ビームスプリッター710の上下に設けられた上基板713Uおよび下基板713Dを示している。
【0123】
偏光ビームスプリッター710は、内部が光学硝子等の光学媒質により満たされた2つのプリズム片を貼り合わせて構成されており、一方の貼り合わせ面には多層膜からなる偏光分離面が形成されている。
【0124】
本実施形態では、4つの偏光ビームスプリッター710は、それぞれの偏光分離面が基板713(上基板713Uおよび下基板713D)の支持面上の中心に向かって延びるように配置されている。
【0125】
そして、上基板713Uおよび下基板713Dの支持面上における上記4つの偏光ビームスプリッター710の偏光分離面を基板中心方向に延長した線が交わる位置(以下、この位置を中心という)の付近には略円形状に接着剤が塗布されている。
【0126】
4つの偏光ビームスプリッター710の上下面における上記中心寄りの領域は上記接着剤によって上基板713Uおよび下基板713Dに接着される。
【0127】
また、反射型液晶表示素子711G、711B、711Rは、それぞれが近接する偏光ビームスプリッタ−710に対して治具を用いて位置決めし、上基板713Uおよび下基板713D基板713に接着固定する。
【0128】
本実施形態によれば、上基板713Uおよび下基板713Dに位置決めピン等を設ける必要がなく、これに伴い偏光ビームスプリッター710にも位置決め用突部等を受ける形状を形成する必要がない。このため、偏光ビームスプリッター710を形状的・体積的に無駄のないものとすることができる。
【0129】
また、熱により光学系が膨張した場合を図14に破線で示している。この図14から分かるように、熱膨張時の基板713(つまりは光学系)の形状変化は上記延長線が交わる位置を中心とした放射状にかつ均一なものとなる。そして、偏光ビームスプリッター710が基板713の膨張により位置がずれても、偏光ビームスプリッター710の張り合わせ面(偏光分離面)はこの張り合わせ面の延長方向にずれるだけなので、偏光分離面での反射光に影響を与えない。
【0130】
また、反射型液晶表示素子711B、711Rの位置は偏光ビームスプリッター710の張り合わせ面を中心とした対称的位置にずれるが、画素中心軸は結果的に一致する。同様に、反射型液晶表示素子711Gは、その画素中心軸が反射型液晶表示素子711B、711Rの画素中心軸と一致する位置にずれるで、結果としてRGBの各光軸は一致する。したがって、投射画像の画素ずれが防止される。
【0131】
上基板713Uおよび下基板713Dの各支持面における接着剤を塗布する範囲には、浅い凹部713U−1、713D−1が形成されている。これら凹部713U−1、713D−1内に接着剤を塗布することにより、接着剤の塗布範囲を確実かつ容易に規定することができる。
【0132】
なお、本実施形態では、接着剤を塗布する範囲に凹部を形成した場合について説明したが、これに代えて、低い凸部を形成してもよい。
【0133】
ところで、上記中心付近のみに接着剤を塗布しただけでは耐衝撃性に問題が残る場合も考えられる。この場合には、上記中心付近の領域にはUV接着剤などの硬化後弾性を有さない非弾性接着剤を用い、その他の周辺部にシリコン系やゴム系の硬化後も弾性を有する弾性接着材を用いて接着するようにしてもよい。
【0134】
この場合、上基板713Uおよび下基板713Dの支持面における上記凹部以外の領域に弾性接着材を塗布する。
【0135】
(第10実施形態)
図16には、本発明の第10実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系の構成を示している。なお、第9実施形態と共通する構成要素には第9実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0136】
本実施形態では、偏光ビームスプリッター710と色選択性位相差板709R、709Dとを貼り合わせた点が第9実施形態と異なる。これにより、偏光ビームスプリッター710間の位置ずれが低減される。
【0137】
但し、色選択性位相差板709Dは色選択性の機能を有さないダミーの光学部材である。
【0138】
図16中に破線で示すように、熱膨張時の光学系の形状変化は第9実施形態と同様である。但し、偏光ビームスプリッター710の位置は、色選択性位相差板709R、709Dとの貼り合わせによって変化しない。
【0139】
(第11実施形態)
図17には、本発明の第11実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系の構成を示している。なお、第8実施形態と共通する構成要素には第8実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0140】
本実施形態では、第8実施形態に比して、1個の偏光ビームスプリッター710と、G光の偏光方向を90°変換してR、Bの光の偏光方向を変換しない色選択性位相差板709Gとを廃し、その代わりにダイクロイックミラー716を配している。
【0141】
また、第8実施形態に比して、G光用の反射型液晶表示素子711Gと1つの1/4板712の配置が異なる。すなわち、本実施形態は、G光のみを分離する機能の置き換えをしたものである。
【0142】
本実施形態では、ダイクロイックミラー716と3つの偏光ビームスプリッター710’とにより色分解合成光学系が構成されるが、この色分解合成光学系における偏光ビームスプリッター710’の基板713’に対する位置決め方法には、第8実施形態にて説明した位置決め方法を適用することができる。
【0143】
但し、ダイクロイックミラー716のみ他のプリズムと形状が異なるため、熱膨張時の光学系の形状変化も異なってくる。しかし、ダイクロイックミラー716は色分離を行うだけであるので、このダイクロイックミラー716がダイクロイック膜面方向に位置変化しなくても、画素中心のずれにはほとんど影響しない。
【0144】
なお、ダイクロイックミラー716がダイクロイック膜面方向にのみ変化するような基板713’への位置決め固定方法を用いることにより、照明範囲を狭めることが可能となり、光量損失を抑えることができる。熱膨張時に形状変化した状態は、図17中に破線で示している。
【0145】
(第12実施形態)
図18には、本発明の第12実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系の構成を示している。なお、第11実施形態と共通する構成要素には第11実施形態と同符号を付して説明に代える。
【0146】
本実施形態では、偏光ビームスプリッター710と色選択性位相差板709R、709Dとを貼り合わせた点が第11実施形態と異なる。これにより、偏光ビームスプリッター710間の位置ずれが低減される。
【0147】
但し、色選択性位相差板709Dは色選択性の機能を有さないダミーの光学部材である。
【0148】
図18中に破線で示すように、熱膨張時の光学系の形状変化は第11実施形態と同様である。
【0149】
なお、上記各実施形態では、偏光ビームスプリッターの基板に対する位置決め固定方法について説明したが、本発明は、偏光ビームスプリッター以外のプリズム状の光学素子(特に、光学素子片を貼り合わせて構成されるもの)、例えばダイクロイックプリズムの基板への固定にも適用することができる。
【0150】
また、上記各実施形態では、投射型画像表示装置の光学系について説明したが、本発明は投射型画像表示装置以外の光学機器の光学系にも適用することができる。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、本願第1の発明によれば、光学素子を大型化させたり重量を増加させたりすることなく、また光学素子を通る有効光束を遮ることなく、第2の光学素子片の貼り合わせ面の一部を露出させることができるので、この露出部分や面取り形状面を利用して光学素子の基板部材に対する精度の高い位置決めを行うことができる。しかも、双方の光学素子片の作り分けを最小限に留めて、製造コストの増加を抑えることができる。
【0152】
さらに、基板部材の形状を簡素化して、熱膨張時の基板部材の形状変化を均一とすることができる。したがって、この光学系を投射型画像表示装置に用いた場合には、熱膨張による表示画像の画素ずれの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の関連技術例としての第1実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系を説明する図。
【図2】 上記第1実施形態における偏光ビームスプリッターの基板上での配置を説明する図。
【図3】 上記第1実施形態における偏光ビームスプリッターの位置決め構造を説明する図。
【図4】 本発明の実施形態としての第2実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系に含まれる偏光ビームスプリッターの基板上での配置を説明する図。
【図5】 上記第2実施形態における偏光ビームスプリッターの位置決め構造を説明する図。
【図6】 本発明の実施形態としての第3実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系に含まれる偏光ビームスプリッターの基板上での配置を説明する図。
【図7】 上記第3実施形態における偏光ビームスプリッターの位置決め構造を説明する図。
【図8】 本発明の関連技術例としての第4実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系に含まれる偏光ビームスプリッターの基板上での配置を説明する図。
【図9】 上記第4実施形態における偏光ビームスプリッターの位置決め構造を説明する図。
【図10】 本発明の関連技術例としての第5実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系に含まれる偏光ビームスプリッターの基板上での配置を説明する図。
【図11】 本発明の関連技術例としての第6実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系に含まれる偏光ビームスプリッターの基板上での配置を説明する図。
【図12】 本発明の関連技術例としての第7実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系に含まれる偏光ビームスプリッターの基板上での配置を説明する図。
【図13】 本発明の関連技術例としての第8実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系を説明する図。
【図14】 本発明の関連技術例としての第9実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系を説明する図。
【図15】 上記第9実施形態における色分解合成光学系の側面図。
【図16】 本発明の関連技術例としての第10実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系を説明する図。
【図17】 本発明の関連技術例としての第11実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系を説明する図。
【図18】 本発明の関連技術例としての第12実施形態である投射型画像表示装置の画像表示光学系を説明する図。
【符号の説明】
1,701 光源
2,702 第1フライアイレンズ
3,703 第1の反射ミラー
4,704 第2フライアイレンズ
5,705 偏光変換素子
6,706 コンデンサーレンズ
7,707 第2の反射ミラー
8,708 フィールドレンズ
9(R,G),709(R,G,D) 色選択性位相差板
10,10’,710 偏光ビームスプリッター
11(R,G,B),711(R,G,B) 反射型液晶表示素子
12,712 1/4波長板
13,13’,713,713’ 基板
14,714 投射レンズ
15,715 ファン
16,716 ダイクロイックミラー
Claims (5)
- それぞれ内部が光学媒質で満たされたプリズム状の第1の光学素子片および第2の光学素子片を貼り合わせて構成される光学素子と、この光学素子を位置決め支持する基板部材とを有する光学系であって、
前記第1の光学素子片における貼り合わせ面とこの貼り合わせ面に隣り合う面との間に、前記基板部材の支持面に対して垂直な方向に延びる面取り形状面を形成し、
前記第2の光学素子片の貼り合わせ面のうち前記第1の光学素子片に面取り形状面を形成することにより露出した部分および前記面取り形状面のうち少なくとも一方に、前記基板部材に設けられた位置決め用突部を当接させたことを特徴とする光学系。 - 前記光学素子が偏光分離面を有する光学素子であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
- 請求項1に記載の光学系を備えたことを特徴とする光学機器。
- 請求項1に記載の光学系を用いて画像を表示することを特徴とする画像表示光学系。
- 請求項4に記載の画像表示光学系を備えたことを特徴とする投射型画像表示装置。
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