JP4034967B2 - 化粧用脂取り紙 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、化粧用脂取り紙に関するものであり、詳しくは、皮脂のみかけの吸収性(脂の取れた感じ)及び真の皮脂の吸収性に優れるとともに、絵柄,文字等の意匠性を有し、且つ使用時に皮脂が取れたことを明確に確認できて使用者に充分な満足感を与えることのできる化粧用脂取り紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人間の身体では、顔面、特に鼻,顎,眉間等の周囲は、皮脂の分泌が盛んであって、脂っぽくなり易く、従って、その部分では化粧くずれを起こし易い。
一般に、皮脂が浮き出たまま化粧すると化粧料が皮膚によく馴染まないため、通常は、脂分を取り除いた後に化粧を行う。すなわち、化粧時又は化粧直し時に皮脂の浮き出した部分を化粧用脂取り紙で押さえ、化粧用脂取り紙に脂分を吸取らせてから化粧を行っている。
従来使用されている市販の化粧用脂取り紙では、吸脂性を有する麻等の植物繊維からなる紙類が使用されている。しかるに、麻繊維からなる紙は、皮脂分の吸収力は大きいが、麻繊維が比較的硬いため使用時に皮膚を刺激することがある。
この皮膚への刺激を減少するために、化粧用脂取り紙の製造時に強圧縮のロールプレスを行ったり、紙の表面に炭酸カルシウム粉末や他の無機粉末を塗布することなどが行われている。
しかるに、化粧用脂取り紙の製造時にロールプレスして、紙を構成する繊維を押し潰した場合、経時により繊維が起毛状態となり、これが皮膚へ刺激を与える。また、炭酸カルシウム顔料や他の無機質顔料を塗布した化粧用脂取り紙の場合は、使用時の皮膚への刺激は少ないが、皮脂分の吸収能力がなくなってしまうという問題がある。これは無機質顔料を紙面に塗布する際に、無機質顔料と接着剤とを混合して塗布するので、得られる塗工紙はその表面が皮脂分の吸収力が小さい顔料と接着剤とにより被覆されてしまい、化粧用脂取り紙の脂取り効果が減少するのは免れない。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、先に皮脂の吸取効果が高く、しかも使用時に皮膚への刺激が著しく少ない化粧用脂取り紙を開発した(特開平6−319664号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記先願発明においては、脂取り紙の有する吸油性により、紙が透明化することで皮脂が取れたことは一応確認できた。本発明は、上記先願発明の技術を基礎として、脂取り前の脂取り紙に絵柄,文字等の意匠性を持たせ、紙が油脂分を吸収し透明化するに従ってその絵柄,文字等が消えると共に、新しい絵柄,文字等が現れることにより皮脂の吸取効果を更に明確に確認できるように、インジケータ−機能を付与することにより、使用者に、更に、満足感を与えることのできる化粧用脂取り紙を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の状況に鑑み鋭意研究を重ねた結果、紙料原料として皮脂吸収性の優れた植物繊維を用い、かつ吸油性の優れた無機質顔料を併用する特定緊度の紙の表面に透明化剤及び耐油剤を各々異なった絵柄、文字等の印刷模様の形に塗布することにより、目的とする性能を有する化粧用脂取り紙を得ることができることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(A)植物繊維を主成分とするパルプ原料100重量部に、(B)無機質填料50重量部以下を配合してなる紙料を調成し、抄紙して得られる緊度が0.6以上の紙の少なくとも一方の面の一部に透明化剤及び耐油剤を各々異なった印刷模様に塗布してなる化粧用脂取り紙を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明において、化粧用脂取り紙を抄紙するにあたり、その紙料を調製するのに供される(A)成分のパルプ原料は、植物繊維を主成分とし、これと木材パルプ,ポリオレフィン合成パルプ及び合成繊維から選ばれた少なくとも一種とからなるものである。
ここで、植物繊維としては種々のものが挙げられ、例えば、マニラ麻をはじめとして、亜麻,大麻,黄麻,楮,みつまたあるいは雁皮からなる靱皮繊維、コットン,コットンリンター等の木綿、その他、藁、竹、エスパルト、バガス、ケナフ等が使用できる。
【0006】
これらの植物繊維は、勿論、パルプ製造法において、通常行われる各種のパルプ化法、例えば、クラフト法、ソーダ法、亜硫酸法などのケミカルパルプ化法、その他公知のパルプ化法によってパルプ繊維として取り出されて用いられる。
これらの植物繊維は、それぞれ単独で用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでは、マニラ麻からの植物繊維が皮脂の吸収性、入手のし易さ、供給量等の点から好ましく用いられる。
そして、この植物繊維は、紙料の調製にあたって、他のパルプ原料に対して少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上配合するようにして用いられる。
【0007】
次に、化粧用脂取り紙の紙料の調製にあたり、前記(A)成分のパルプ原料には、植物繊維の他に、製紙業界において一般的に用いられている木材パルプ,ポリオレフィン合成パルプ及び合成繊維から選ばれた少なくとも一種を用いることができる。
木材パルプとしては、針葉樹,広葉樹などからクラフト法,ソーダ法、亜硫酸法などのケミカルパルプ化法、その他公知のパルプ化法によって製造された木材パルプを用いることができる。
また、ポリオレフィン合成パルプとしては、多くの合成樹脂メーカーによって開発された種々の方法によって製造されたものを用いることができる。
ここで、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン,ポリプロピレン等の合成パルプが適しており、市場への供給性,均質性あるいは入手価格等からポリエチレン合成パルプが最も適している。
【0008】
例えば、現在一般に市販されていて容易に入手することができる典型的なものとしては、ポリエチレン合成パルプ“SWP”〔三井化学(株)製〕が挙げられる。
合成繊維としては、化学繊維紙の製造に一般的に供されているもの、すなわち、合成繊維の原料樹脂を湿式,乾式,溶融などのいずれかの方法で紡糸されたものを適宜長さの短繊維に切断したものをいずれも用いることができる。
具体的には、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル,ポリビニルアルコール,アクリル,ポリエステル,ナイロン,レーヨン等の繊維、あるいはコアがポリエチレンで、シースがポリプロピレンの芯鞘構造を有する複合繊維、エチレン・酢酸ビニル共重合繊維などが挙げられる。
【0009】
これらの合成繊維は、水中での分散性をよくするために、予め疎水性の繊維表面を親水加工したもの、あるいは植物繊維のように枝状化(フィブリル化)加工したものが用いられる。
これらのなかで、例えば、ポリプロピレン繊維は、プロピレンをチーグラー型触媒で重合して得られるアイソタクチックポリマーから溶融紡糸された繊維を所望長さに切断したものである。このようにして得られるポリプロピレン繊維は、比重が0.9〜0.92、融点164〜170℃であって、その軟化点は約150℃である。
これらの合成繊維の繊維長は、通常、0.5〜30mmで、一般的には3〜6mm程度のものが最も多く用いられる。
本発明においては、ポリオレフィン合成パルプ及び合成繊維は、化粧用脂取り紙に真の吸油性や柔軟性を付与するのに効果を発揮する。
【0010】
前記のポリオレフィン合成パルプは、熱処理によって溶融し、ポリオレフィン合成パルプ相互に、あるいはポリオレフィン合成パルプと合成繊維を相互に熱融着、固定化し、又はポリオレフィン合成パルプを合成繊維に熱融着、固定化して紙状シートを得ることができるものである。勿論、熱処理をせず、通常のパルプと同様に用いることができる。
熱処理する場合、ポリオレフィン合成パルプの熱処理温度は、150℃以下であることが好ましい。
また、前記の合成繊維は、親油性が大きく、またヒートボンディング性を有しており、従って、種類と配合率をコントロールしてこれらを用いることによって、柔軟にして親油性のある化粧用脂取り紙を得ることができる。
これらの木材パルプ,ポリオレフィン合成パルプあるいは合成繊維はそれぞれ単独で用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
そして、その使用量は、植物繊維に対して50重量%以下、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは5〜30重量%配合するように用いられる。
【0011】
本発明の化粧用脂取り紙に供される(B)成分の無機質填料としては、化粧用脂取り紙の吸脂性を高めるのに効果的な吸油性に優れたものを用いることができる。例えば、天然填料として、安価で耐薬品性や平滑性を付与するのに効果的なクレー,タルク,カオリン等を用いることができる。また、人工填料としては、高白色度,不透明性を付与するのに効果的な炭酸カルシウム,酸化チタン,ホワイトカーボン等を用いることができる。
これらの無機質填料は、繊維と繊維との間隙に詰まって紙に不透明性を付与し、また、紙の密度を高くし紙面を平滑にする。その結果、皮脂の吸収性が向上し、紙質を柔軟にする効果も有する。
【0012】
これらの無機質填料の形状については特に制限はなく、粒状,張り状,紡錘状,板状,無定形など種々のものが使用でき、また、粒径については、光沢度や紙の柔軟性、紙面の平滑性などに関係してくるので、通常、3μm以下のものが好ましく用いられる。そして、着色する必要がある場合には、例えば、ベンガラ,群青,各種酸化鉄などを適宜その適量を使用しても差し支えなく、粒径はより微細なものが好適である。
化粧用脂取り紙の紙料調製にあたり、(B)成分の無機質填料は、(A)成分のパルプ原料100重量部に対して、5〜50重量部の範囲で配合される。この配合量が5重量部未満では皮脂吸収性の向上効果がそれ程認められない。また、50重量部を超えると、強度が低下し実用上好ましくない。
【0013】
本発明の化粧用脂取り紙は、上記のような組成を有する脂取り紙の少なくとも一方の面、好ましくは一方の面に透明化剤及び耐油剤を各々異なった印刷模様に塗布することを特徴としている。
本発明において使用できる透明化剤としては、透明化剤を塗布した印刷部が化粧用脂取り紙が皮脂を吸収することにより透明となった非印刷部と同色となるものが好ましく、例えば、石油系炭化水素樹脂又は該石油系炭化水素樹脂にパラフィンワックス、イソパラフィン等の飽和炭化水素、菜種油、大豆油、牛脂硬化脂肪酸の動植物油脂、ステアリン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の飽和若しくは不飽和脂肪酸の1種又は2種以上を配合したものを挙げることが出来る。ここで石油系炭化水素樹脂とは、1, 4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2,2’−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の脂環族飽和炭化水素、芳香族不飽和炭化水素から得られる樹脂及びその他アミノ基、水酸基、ビニル基、ニトロ基、カルボニル基等の各種置換基を有する樹脂を意味する。また、一般的な透明化剤として知られる、セルロースの屈折率にほぼ等しい屈折率を有する物質、例えば、流動パラフィン、ポリブテン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェ ート、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン無水マレイン酸共重合体、ポリスチロール樹脂などの熱硬化性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和アルキド樹脂、変性アクリル樹脂、変性エポキシ樹脂、変性ウレタン樹脂などに、それぞれ適切なビニルモノマーと光増感性物質とを含ませた紫外線硬化型樹脂、オレフィン重合油を主成分とするもの等を例示することができる。
これらの透明化剤の内では、特に、石油系炭化水素樹脂又は該石油系炭化水素樹脂に飽和炭化水素、動植物油脂、飽和若しくは不飽和脂肪酸の1種又は2種以上を配合したものが好ましく使用できる。
上記透明化剤は、適当な溶媒で希釈した塗液の形で脂取り紙の上に塗布することができ、その塗液中における濃度は1〜30重量%が一般的である。溶媒としては、トルエン、水、イソプロピルアルコール等のアルコール類を挙げることができるが、これらに限らず、透明化剤の種類に応じた適当な溶剤を選択して使用することができる。
【0014】
本発明において使用できる耐油剤としては、例えば、過フッ化炭化水素エステルなどのフルオロカーボン系化合物、ポリビニルアルコール変性物、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等を使用することができるが、特に、過フッ化炭化水素エステルが好ましく使用できる。
上記耐油剤は、例えば、イソプロピルアルコール,エチルアルコールなどのアルコール類、水等あるいはこれらの混合液等の溶媒で希釈した塗液の形で脂取り紙の上に塗布することができ、その塗液中における濃度は1〜30重量%が一般的である。
上記透明化剤を含有する塗液及び耐油剤を含有する塗液には、更に付加機能を与えることを目的として、その一方又は両方に、ジャスミン、ミント、ローズマリー等の芳香剤,お茶の抽出物であるカテキン等の消臭剤、酸化チタン等の抗菌剤などを適量添加することができる。
【0015】
このような透明化剤及び耐油剤は、紙の表面の少なくとも一部分に塗布されれば充分であり、その塗布面積は脂取り紙の皮脂吸収性を阻害しない範囲でこれらのバランスの面から適宜決定することができ、例えば、合計で、脂取り紙全体の面積の10%以下が適当である。
透明化剤及び耐油剤は部分的に同じ場所に重複して塗布することもできるが、全てを同じ場所に塗布することはインジケータ−機能を付与するという目的からは無意味であり、異なった印刷模様にして、重複部分はできるだけ少なくなるように塗布するのが好ましい。また、透明化剤及び耐油剤は同じ面に塗布しても、異なった面に塗布しても良い。
本発明の化粧用脂取り紙の塗布部分における透明化剤及び耐油剤の塗布量としては、合計で10g/m2 以下であることが好ましい。塗布量が10g/m2 より多い場合は脂取り紙そのものの本来の脂油性を阻害する場合がある。
この点から、透明化剤及び耐油剤の塗布量としては、各々5g/m2 以下であることが更に好ましい。
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、グラビア印刷,フレキソ印刷,凸版印刷等従来周知の印刷方法及びロールコータ等の塗工機がいずれも使用できる。
透明化剤を含有する塗液を塗布した後、及び耐油剤を含有する塗液を塗布した後は、各々、乾燥を行い塗布を完了する。
【0016】
本発明の化粧用脂取り紙は、前記(A)成分の植物繊維を主成分とし、木材パルプ,ポリオレフィン合成パルプ及び合成繊維から選ばれた少なくとも一種からなるパルプ原料に、(B)成分の無機質填料を配合してなる紙料を調成し、通常の木材パルプを用いて抄紙するのと同様にして抄紙し、更にその上に上記透明化剤及び耐油剤の塗布を行うことによって得ることができる。
すなわち、化粧用脂取り紙を抄紙するにあたっては、まず、(A)成分の植物繊維単独のパルプ原料、もしくは植物繊維に、木材パルプ,ポリオレフィン合成パルプ及び合成繊維から選ばれた少なくとも一種を50重量%以下、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは5〜30重量%含むパルプ原料を水に分散する。ここで、このパルプ原料を水に分散するにあたっては、植物繊維と共にポリオレフィン合成パルプや合成繊維を用いる場合には、水のぬれの問題があるので、適宜ぬれ調節剤を用いて分散すると効果的である。
ぬれ調節剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0017】
次いで、水に分散されたパルプ原料は、ビーター,リファイナー等を用い目的とする抄紙に適した状態に水で膨潤(ハイドレーション)させ、枝状化(フィブリル化)及び切断(ショートニング)するようにして、柔軟性のある緻密な紙を得ることができるように叩解処理される。
続いて、叩解処理されたパルプ原料に、(B)成分の無機質填料を、(A)成分のパルプ原料100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の範囲で配合し化粧用脂取り紙用の紙料を調製する。
なお、紙料調成にあたっては、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、各種添加成分を配合することができる。例えば、強度を向上させるために、紙力増強剤として、アクリルエマルジョン,エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン,スチレン−ブタジエンラテックスなどを用いたり、あるいは耐光性を向上させるために紫外線吸収剤を添加したり、さらには着色剤その他の助剤を用いて紙料を調成することができる。
【0018】
前記のようにして調成された紙料は、通常の抄紙方法によって抄紙し、乾燥する。
化粧用脂取り紙は、通常、坪量10〜50g/m2 、好ましくは10〜30g/m2 で抄紙されものであり、緊度が0.6以上、更に好ましくは、0.7以上とすることにより、皮脂の吸収性に優れたものを得ることができる。
ここで、緊度を高める方法としては種々の方法がある。例えば、抄紙時に、マシンキャレンダーを用いる方法、あるいは後処理として、スーパーキャレンダーを用いて行う方法などがある。勿論、これらの方法に限定されるものではない。
抄紙は、通常、ヤンキー式抄紙機、長網式抄紙機などで行われる。
【0019】
なお、化粧用脂取り紙は、(A)成分の一部として、ポリオレフィン合成パルプあるいは合成繊維を用いた場合、柔軟にして、より親油性のあるものを得ることができ、熱処理することによって、薄くても強度のすぐれたものとなる。
この熱処理は、通常、処理温度110〜150℃に設定された熱加工機で行われ、熱加工機としては、加熱ロールと加圧ロールを備えたものであれば、いかなる形態のものでも適用することができる。そして、この熱処理は、乾燥と同時であってもよいし、あるいは、上記のように一旦抄紙、乾燥してから、巻取り紙を熱処理するなどいずれであってもよい。
【0020】
【実施例】
更に、実施例により本発明を、更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0021】
実施例1
マニラ麻(CSF400ml)100重量部をビーターにて所定の叩解度に調成し、マイクロタルク〔LMR100(富士タルク製)〕20重量部と混合して均一分散した。そして、その後、ヤンキー抄紙機で抄造した。抄造した原紙を用いて、スーパーキャレンダー処理を行い、坪量15g/cm2 、紙厚22mm、緊度0.68g/cm2 の加工紙を得た。
次いで、この加工紙の一方の表面に、グラビア印刷機にて下記の塗液Aを用いて、塗布面積1%、塗布量1g/m2 で絵柄の塗布・乾燥を行なった。
(塗液A)
透明化剤〔クラリテンDC(大和化学工業(株)社製)〕 50重量部
トルエン 50重量部
続いて、この透明化剤が塗布された加工紙の同じ面に、グラビア印刷機にて下記の塗液Bを用いて、塗布面積1%、塗布量1g/m2 で別の絵柄の塗布・乾燥を行い、本発明の化粧用脂取り紙を得た。
(塗液B)
耐油剤〔スコッチバンFC−807(住友3M社製)〕 10重量部
イソプロピルアルコール 80重量部
水 10重量部
芳香剤〔ジャスミン〕 上記3成分の合計に対し10重量%
【0022】
実施例2
実施例1において、加工紙の坪量を20g/m2 、紙厚を27mm、緊度0.74g/cm2 とした以外は同様にして、本発明の化粧用脂取り紙を得た。
【0023】
実施例3
実施例1において、塗工液Aを下記の塗工液A’とした以外は同様にして、本発明の化粧用脂取り紙を得た。
(塗液A’)
透明化剤〔クラリテンDCE(大和化学工業(株)社製)〕 50重量部
水 50重量部
【0024】
実施例1、2及び3の各々で得られた化粧用脂取り紙について、その品質評価として脂取り後の絵柄の確認を視覚により行った。
評価方法は、10人のランダムに抽出したパネラーについて、各々その鼻部を化粧用脂取り紙で皮脂を吸取らせた後、その化粧用脂取り紙の表面に浮き出る絵柄を視覚にて確認し、下記の基準で評価した。
◎:10人全員が明確に最初あった絵柄が消え、新しい絵柄が現れるのを確認した。
○:10人未満5人以上が明確に最初あった絵柄が消え、新しい絵柄が現れるのを確認した。
△:5人未満のパネラーが、最初あった絵柄が消え、新しい絵柄が現れるのを確認した。
×:1人も最初あった絵柄が消えるのも、新しい絵柄が現れるのも確認できなかった。
品質評価の結果、実施例1、2及び3の各々で得られた化粧用脂取り紙の何れについても、◎と評価された。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、皮脂のみかけの吸収性(脂の取れた感じ)及び真の皮脂の吸収性に優れるとともに、使用時に皮脂が取れたことを明確に確認でき使用者に充分な満足感を与えることのできる化粧用脂取り紙を提供することができる。
したがって、本発明の化粧用脂取り紙は、上記特性から、充分に使用に耐えうるもので、化粧品材として、その利用が期待される。
Claims (5)
- (A)植物繊維を主成分とするパルプ原料100重量部に、
(B)無機質填料50重量部以下を配合してなる紙料を調成し、抄紙して得られる、緊度が0.6以上の紙の少なくとも一方の面の一部に透明化剤及び耐油剤を各々異なった印刷模様に塗布してなる化粧用脂取り紙。 - 透明化剤が、石油系炭化水素樹脂又は該石油系炭化水素樹脂に飽和炭化水素、動植物油脂、飽和又は不飽和脂肪酸の1種又は2種以上を配合したものから選ばれる少なくとも一種であり、耐油剤が、フルオロカーボン系化合物、ポリビニルアルコール変性物、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、カルボキシメチルセルロース、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート及びニトリルブタジエンゴムから選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の化粧用脂取り紙。
- 透明化剤及び耐油剤の塗布量が、合計で10g/m2 以下である請求項1又は2に記載の化粧用脂取り紙。
- パルプ原料が、木材パルプ、ポリオレフィン合成パルプ及び合成繊維から選ばれた少なくとも一種を50重量%以下含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧用脂取り紙。
- 無機質填料が、クレー,タルク,カオリン,炭酸カルシウム,酸化チタン及びホワイトカーボンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧用脂取り紙。
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