JP4034604B2 - 生理用又は失禁用ショーツ - Google Patents

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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生理用又は失禁用ショーツに係り、その目的は優れた消臭効果及び吸湿性を有し、肌ざわりが良く、生理用又は失禁用ナプキンの交換時あるいは運動時に出る音の消音効果を有する生理用又は失禁用ショーツを提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ショーツ等の下着のうち、生理用及び失禁用ショーツは、ナイロン、ポリエステルなどを主体とする合成繊維素材で形成され、股下部の肌側にナイロンシートやポリエステルシートなどの基布を全面で接着した防水布で配するように構成されており、この股下部に生理用ナプキン又は失禁用ナプキンを粘着テープ等で接着固定して使用する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の生理用又は失禁用ショーツには、以下に述べる問題点があった。
従来の生理用及び失禁用ショーツは通気性の良い素材を使用していても、股下部は防水布と身生地の二重で形成され、更に生理用又は失禁用ナプキンをつけるため通気性が悪くなり、蒸れやすかった。また、生理用及び失禁用ショーツは、下着の中でも汚れやすいものであり、径血や尿のもれなどで汚れたショーツにおいては、悪臭を発することがあった。また、生理用及び失禁用ショーツの股下部の防水布は液体を通さない素材からなるため、それ自体肌ざわりが悪く、着用時に違和感を覚えることがあった。
更に、股下部に生理用ナプキン又は失禁用ナプキンを粘着テープで接着して着用するため、ナプキンを交換する際、又はショーツからナプキンを剥がした時、あるいは着用しながら運動する時にもガサガサと音がした。自分が生理中であるということを気づかれるのを好まない女性も多く、ナプキンの交換時や運動時に出来るだけ音のしない生理用又は失禁用ショーツが望まれていた。
【0004】
本発明は上記した問題点を全て解決するためになされたものであって、優れた消臭効果及び吸湿性を有し、肌ざわりが良く、生理用又は失禁用ナプキンの交換時や運動時に起こる音の消音効果を有する生理用又は失禁用ショーツを創出しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明のうち請求項1に係る発明は、ショーツの少なくとも股下部に防水布を配置する生理用又は失禁用ショーツであって、前記防水布が、前記基布とポリウレタンフィルムが接着してなり、該防水布の基布に、塩基性悪臭物質を吸着脱臭する消臭糸を使用し、該消臭糸が、セルロース繊維にメタクリル酸をグラフト共重合させた改質セルロース繊維を原料とし、かつ、30〜60番手、又は60/2〜120/2番手であり、前記基布が、天竺編で編まれた基布であり、該基布と前記ポリウレタンフィルムとの接着面が、前記防水布全体の30−70%で、かつ、該接着面と非接着面が略均一に分布する部分接着であることを特徴とする生理用又は失禁用ショーツに関する。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記接着面が、前記防水布全体の50−70%であることを特徴とする請求項1記載の生理用又は失禁用ショーツに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る生理用又は失禁用ショーツについて、図面を参照しつつ説明する。
図1(1)〜(3)は本発明の実施の形態である生理用又は失禁用ショーツの斜視図を示し、図2a(1)〜(3)は図1に示す本発明に係る生理用又は失禁用ショーツの股下部の拡大斜視図を示し、図2bは図1に示す本発明に係る生理用又は失禁用ショーツの股下部の断面図を示す。
【0012】
本発明に係る生理用又は失禁用ショーツは図1(1)〜(3)に示すように、前身頃(1)、後身頃(2)及び股下部(3)から構成されている。前記前身頃(1)と前記後身頃(2)の上縁部に形成される胴回り部及び一対の脚開口部とを有し、前記股下部(3)が生理用又は失禁用ナプキンの装着部とされている。該股下部(3)の肌側には防水布(4)が付設されており、該防水布(4)と生理用又は失禁用ナプキンが粘着テープにより接着される。
ショーツの裁縫方法としては、特に限定されないが、図1(1)に示す前身頃(1)、後身頃(2)及び股下部(3)の生地をそれぞれ裁断し、縫い合わせるショーツや、図1(2)に示す脇部分に縫い目のないチューブラータイプのショーツ、図1(3)に示す1枚布を脇部分で縫い合わせて作成するショーツなどが例示できる。
【0013】
図2a(1)〜(3)、及び図2bに示すように、前記防水布(4)は、基布(5)とポリウレタンフィルム(6)の二重構造からなり、前記基布(5)が肌側になるように生理用又は失禁用ショーツの身生地(7)に付設される。
【0014】
基布(5)の素材としては、汚れや蒸れなどが原因で発生する悪臭を消臭する目的として消臭糸を使用する。
本発明における消臭糸は、セルロース繊維にメタクリル酸をグラフト共重合反応させて得られる改質セルロース繊維よりなるものである。改質させるセルロース繊維としては、木綿繊維、麻繊維又はレーヨン繊維を使用する。前記改質セルロース繊維はアンモニアやアミン、屎尿臭等の塩基性悪臭物質に対する吸着性に優れており、消臭繊維として作用する。尚、前記改質セルロース繊維の製造方法は、具体的には、日本蚕毛染色株式会社の所有する特許第3239146号で既に明らかになっている。
本発明に使用する消臭糸としては、前記改質セルロース繊維を5〜40%含む紡績糸よりなる消臭糸を使用することが好ましい。なお、改質セルロース繊維が5%未満の場合、消臭効果が著しく低下し、また40%を超えると糸質が低下する。
【0015】
前記消臭糸の糸の太さとしては特に限定されないが、30〜60番手、又は60/2〜120/2番手の細番手の糸を使用するのが好ましい。番手とは糸の太さの単位のことをいい、番手数が大きくなるほどその糸は細くなる。また、30〜60番手の糸は単糸であり、60/2〜120/2番手の糸は該単糸を2本撚ったものであり双糸と呼ばれる。双糸は単糸に比べて糸の太さが一定になるため丈夫な糸となる。本発明においては前記した太さの範囲の単糸、双糸とも好適に使用することができる。
尚、30番手又は60/2番手より太い糸を使用すると基布が厚くなりすぎてソフト性に欠けるので好ましくなく、60番手又は120/2番手より細い糸を使用すると薄くなりすぎ、繰り返されるナプキンの装脱着や複数回の洗濯などの影響を受け、傷みやすくなるため好ましくない。
【0016】
基布(5)の編み方としては特に限定はされないが、天竺編(平編)、経編、斜文編、リブ編、片袋編、パール編、コード編などが挙げられる。好ましくは天竺編で編まれた編地を基布として使用する。その理由としては、天竺編地は軽くて薄く、適度な伸縮性があるからである。
また、糸は左撚り、右撚りのどちらの撚り方による糸も好ましく使用することができるが、左撚りの糸で編まれた天竺編地、又は左撚り・右撚りの糸で編まれた天竺編地を使用することが好ましい。更に、左撚り・右撚りの糸で編んだ天竺編地は生地安定性が高いので洗濯後も斜行しないため、変形しないという特性を持つ。
【0017】
上述した如く、前記消臭糸で編まれた本発明に用いる基布(5)は消臭力に優れ、更に、対洗濯性にも優れており、且つ紡績糸の優しい風合いはそのままであるため、肌ざわりがよい。
【0018】
前記防水布(4)を構成する基布(5)とポリウレタンフィルム(6)のうち、ポリウレタンフィルム(6)は透湿と防水を目的として使用される。ポリウレタンフィルム(6)は無孔質でかつ透湿性があるため、蒸れにくく、透湿と防水だけではなく、また基布に消臭効果がある素材を用いるため、効果的な消臭効果を得ることが出来る。
【0019】
また、図2a(1)〜(3)、及び図2bに示すように、前記基布(5)と前記ポリウレタンフィルム(6)を部分接着で接着する。部分接着の方法としては、特に限定されないが、図2a(1)に示す点接着、図2a(2)に示す格子接着、又は図2a(3)に示すボーダー接着、その他千鳥格子接着、ストライプ接着などが例示できる。接着面は防水布(4)全体の30〜70%、好ましくは50〜70%となるようにし、接着面と非接着面が均一に分布するようにする。
基布(5)とポリウレタンフィルム(6)を無接着にて生理用又は失禁用ショーツを作成した場合は、着用中に基布とポリウレタンフィルムがずれて違和感を感じたり、ナプキンの交換時に音がしやすくなるため、好ましくない。
前記部分接着で接着した基布(5)とポリウレタンフィルム(6)からなる防水布は、従来の全面接着に比べて接着面積が少なくなるため柔らかくなり肌ざわりが良くなる。また、ナプキンの交換時又は運動時に起こるガサガサという音が低減する。更に、基布(5)に使用する消臭糸の原料であるセルロース繊維は短繊維であるため、ナプキンをショーツから剥がし易くなり、同様に音の低減効果を有する。
【0020】
尚、本発明に係る生理用ショーツは、羽根付きナプキン、羽根なしナプキンのいずれにも好適に用いることが出来る。また、失禁用ショーツは女性用ショーツ、男性用ブリーフのいずれも含むものとし、それぞれナプキンを使用しない場合でも好適に使用することができる。
【0021】
以下本発明の実施例を記載することにより、本発明の効果をより明確なものとする。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
まず、実施例1として、前身頃、後身頃及び股下部から構成されるショーツであって、基布とポリウレタンフィルムからなる防水布を股下部に設置したショーツを作成した。基布には、木綿繊維にメタクリル酸をグラフト共重合させた改質セルロース繊維を原料とする60番手の消臭糸を使用した左撚りの天竺編地を用いた。また、基布とポリウレタンフィルムは点接着にて接着させた防水布を用いた。尚、接着面積が50%となるように接着させた。
【0023】
(実施例2)
次に、実施例2として、実施例1のうちレーヨン繊維を改質させた改質セルロース繊維を原料とする消臭糸を用いてショーツを作成した。
【0024】
(実施例3)
実施例3として、実施例1のうち60/2番手の消臭糸を用いた。
【0025】
(実施例4)
実施例4として、実施例1のうち基布に左撚り・右撚りの天竺編地を用いた。
【0026】
(実施例5)
実施例5として、実施例1のうち基布とポリウレタンフィルムを格子接着にて接着させた防水布を用いた。尚、接着面積が50%となるように接着させた。
【0027】
(比較例1)
比較例1として、実施例1のうちポリエステル糸で編んだ左撚りの天竺編地を用いた基布を使用した。
【0028】
(比較例2)
比較例2として、実施例1のうち20番手の消臭糸を使用した。
【0029】
(比較例3)
比較例3として、実施例1のうち基布とポリエステルフィルムからなる無接着の防水布を使用した。
【0030】
(比較例4)
比較例4として、実施例1のうち基布とポリウレタンフィルムを全面接着にて接着した防水布を使用した。
【0031】
【試験例】
実施例1〜5、及び比較例1〜4で作成したショーツを用い、本発明の生理用及び失禁用ショーツの効果を以下の試験例に基き説明する。
(試験例)
消臭効果、肌ざわり、ナプキンの交換時又は運動時の音、通気性について年齢18〜35才までの女性20人を無差別に選び、官能テストを行った。悪いを0、良いを5として数値評価させて、その平均値をとり、平均0〜2.9を×、3.0〜3.9を△、4.0〜5.0を○として評価した。
その結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0004034604
【0033】
上記の結果から、本発明に係る生理用又は失禁用ショーツは消臭力と通気性に優れており、汚れや蒸れからくる悪臭を消臭することがわかった。また、肌ざわりも良く長時間の着用でも違和感を覚えることがない。更に、生理用又は失禁用ナプキンの交換時又は運動時における音も低減することがわかった。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1に係る発明は、ショーツの少なくとも股下部に防水布を配置する生理用又は失禁用ショーツであって、前記防水布が、前記基布とポリウレタンフィルムが接着してなるので、ナプキンを装着する股下部の通気性が良くなり、蒸れにくくなる。また、前記防水布の基布に、塩基性悪臭物質を吸着脱臭する消臭糸を使用するので、汚れや蒸れが原因の悪臭を消臭することができる。また、前記消臭糸が、セルロース繊維にメタクリル酸をグラフト共重合させた改質セルロース繊維を原料とし、かつ、30〜60番手、又は60/2〜120/2番手であるので、優れた消臭効果を持ち、経血や尿のもれなどの汚れや蒸れが原因の悪臭を消臭することができ、長時間の着用においても気になる臭いを抑えながら、ショーツの股下部の防水布の基布の編地が細かく、肌ざわりがよい。さらに、前記基布が、天竺編で編まれた基布であり、該基布と前記ポリウレタンフィルムとの接着面が、前記防水布全体の30−70%で、かつ、該接着面と非接着面が略均一に分布する部分接着であるので、吸湿性に優れ、耐洗濯性にも優れているので、複数回の洗濯にも強く変形することがなく、防水布が柔らかくソフトになり、ナプキンを取り替える時、又は運動時の音を低減することができる。
【0035】
請求項2に係る発明は、前記接着面が、前記防水布全体の50−70%であることを特徴とする請求項1記載の生理用又は失禁用ショーツであるので、防水布が柔らかくソフトでありながら、ナプキンを取り替える時、又は運動時の音をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る生理用又は失禁用ショーツの斜視図であり、図1(1)は前身頃、後身頃及び股下部の生地をそれぞれ裁断し、縫い合わせたショーツ、図1(2)は脇部分に縫い目のないチューブラータイプのショーツ、図1(3)は1枚布を脇部分で縫い合わせたショーツを示す。
【図2】(a)は、図1に示す生理用又は失禁用ショーツの股下部の拡大斜視図であり、(1)は点接着、(2)は格子接着、(3)はボーダー接着を示す。
(b)は、図1に示す生理用又は失禁用ショーツの股下部の断面図である。
【符号の説明】
1 前身頃
2 後身頃
3 股下部
4 防水布
5 基布
6 ポリウレタンフィルム
7 身生地

Claims (2)

  1. ショーツの少なくとも股下部に防水布を配置する生理用又は失禁用ショーツであって、
    前記防水布が、前記基布とポリウレタンフィルムが接着してなり、
    該防水布の基布に、塩基性悪臭物質を吸着脱臭する消臭糸を使用し、
    該消臭糸が、セルロース繊維にメタクリル酸をグラフト共重合させた改質セルロース繊維を原料とし、かつ、30〜60番手、又は60/2〜120/2番手であり、
    前記基布が、天竺編で編まれた基布であり、該基布と前記ポリウレタンフィルムとの接着面が、前記防水布全体の30−70%で、かつ、該接着面と非接着面が略均一に分布する部分接着であることを特徴とする生理用又は失禁用ショーツ。
  2. 前記接着面が、前記防水布全体の50−70%であることを特徴とする請求項1記載の生理用又は失禁用ショーツ。
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