JP4034429B2 - 生体磁気計測装置 - Google Patents

生体磁気計測装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4034429B2
JP4034429B2 JP21808798A JP21808798A JP4034429B2 JP 4034429 B2 JP4034429 B2 JP 4034429B2 JP 21808798 A JP21808798 A JP 21808798A JP 21808798 A JP21808798 A JP 21808798A JP 4034429 B2 JP4034429 B2 JP 4034429B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling
dewar
sensor
subject
refrigerant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21808798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000041965A (ja
Inventor
洋一 高田
重治 大湯
渡辺  泉
芳裕 佐久間
知宏 竹上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP21808798A priority Critical patent/JP4034429B2/ja
Publication of JP2000041965A publication Critical patent/JP2000041965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4034429B2 publication Critical patent/JP4034429B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被験者の脳や心臓など、生体から発生する磁気(磁場)を計測する生体磁気計測装置に関し、とくに、冷却容器としてのデュワ内に、磁気を検知するためのアレイ状に配置した複数の磁気センサと、この磁気センサを冷却する冷却機構とを備え、そのデュワおよび冷却機構の構造や形状を改善した生体磁気計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体磁気計測装置は、生体の脳や心臓などの部位から発生する微弱な磁気(磁場)信号を捕らえて、それらの部位の機能診断に利用するもので、近年、その開発や研究が盛んに行われている。
【0003】
従来良く知られているように、例えば人の心臓は、その動きに伴って電流を発生する。この電気信号は非常に微弱であるが、種々の方法により非侵襲的に測定することができる。その1つの方法が生体磁気計測であり、これは生体中を流れる電流に因って生じる磁気(磁場,磁場)を測定するものである。脳を対象とした生体磁気計測を脳磁界計測と、心臓を対象としたそれを心磁界計測が代表的なものである。
【0004】
従来知られている生体磁気計測装置は、患者を載せる寝台又はこれと同等機能の装置と、磁気センサを先端部または底辺部に取り付けた円筒状または桶型のデュワと、磁気センサにより検知され、信号線を介してデュワ外部に取り出された検知信号を処理する計算機を有する処理装置とを備える。デュワをこのように円筒状や桶型に形成するのは、その内側底面に磁気センサを配置し易いこと、冷媒の蒸発防止、冷却効率が比較的良いことなどが挙げられる。このデュワはガントリの一部として構成され、このガントリおよび寝台は磁気シールドルーム内に設けられる。
【0005】
磁気センサには、非常に微弱な磁気信号を検知する高感度性が要求されている。このため、最近では、SQUID(超伝導量子干渉素子:Superconducting QUantum Interference Device )を用いることが多く、このSQUIDを複数個用いる多チャンネル化(例えば数十チャンネル)も進んでいる。最近では、このSQUIDを液体窒素温度(77K)で動作するYBCO材料で製作することも多くなっている。各磁気センサは、磁気信号を検知するループコイルを有するコイル部と、その磁気信号を電流信号に変換するジョセフソン接合を有する電流検出器とを備える。コイル部は、一般的には、磁束が貫くことにより微小電流を生じさせる単一ループまたは多ループのコイルで構成される。例えば、心臓からの磁気信号を検知する場合、コイル部は被験者の胸前部と胸側部などに極力近接して配置されることが望ましい。それは磁界強度の変化に起因しており、磁界強度は電流源からの距離の3乗に比例して弱くなるからである。
【0006】
このように超伝導材料を用いた、電流検出器を含む磁気センサは、その動作に必要な超伝導状態を保持するため、かつ、温度上昇による熱雑音であるジョセフソン雑音を減らすためにも、非常に低温な状態に維持する必要がある。
【0007】
この低温維持のため、磁気センサはデュワと呼ばれる断熱容器内に設置され、デュア内に貯めた冷媒(液体窒素や液体ヘリウム)で冷却される。これにより、その超電導状態が維持される。典型的なデュワは直径が約55cm、長さが約120cmの円筒形である。冷却方法としては、デュワ内に貯めた冷媒内に磁気センサを浸し、直接冷却する方法が一般的である。デュワ内に冷媒を貯めておく必要があるので、デュワは通常、真空断熱層を有する2重層構造になっている。現時点では、SQUIDから成る磁気センサの特性を超電導状態に維持するには、極低温液体の窒素やヘリウムが不可欠である。
【0008】
現在使用に供している高感度のSQUID磁束計を用いた生体磁気計測装置の場合、円筒状のデュワは寝台上に仰向けになった被験者の例えば胸の直上に設置される。生体からの磁気信号を感度良く検知するには、上述したように、磁気センサを被検体になるべく近付けた方が良い。デュワが2重層構造であると、センサと被験者の体表との間の距離が真空断熱層の分、遠くなるので、検出信号のS/Nが悪くなってしまう。デュワのサイズのみならず、センサを極力、体表に近接して配置する必要性から、デュワの幾何学的形状を綿密に設計したいところではある。通常、磁気センサはデュワ内部の最底面またはこの面に近い位置に設けられる。
【0009】
処理装置には、MRI(磁気共鳴イメージング)装置やX線CTスキャナなどのモダリティにより収集された患者の画像情報が与えられる。処理装置は従って、その画像情報を参照しながら磁気センサに拠る検知信号を処理して画像情報を生成し、表示する。この生成・表示情報を元に生体の機能診断が行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術に係るデュワによれば、デュワの形状・構造に起因して様々な問題または不満足な点が指摘されている。
【0011】
その1つは、デュワ内に冷媒を貯めて磁気センサを冷却する冷却構造に起因する。
【0012】
(1)第1に、デュワ(センサ容器または冷却容器)の形状に関する問題がある。前述したように、磁気信号を感度良く検知するには、磁気センサをなるべく生体表面に近付けた検知態勢をとりたい。生体表面はフラットではなく、種々の形状を成しているから、デュワの形状をC字状、L字状、U字状など、生体表面に合わせた任意形状に加工してデュワ内に配置した複数の磁気センサが成す検出面が生体表面に一様に接近するようにしたい。仮に、デュワを任意形状に加工し、磁気センサをその内部で任意位置に設置すると、液体冷媒を充填しづらい、デュワ内の均一的な冷却が難しい、繋目のシール部が多くなり液体冷媒が蒸発し易くなるなどの状況が起こり易く、設置位置によっては冷却されないセンサが生じることにもなる。さらに、センサ部の容器を傾けることもあり得るが、そのような場合に冷媒に触れない、すなわち冷却されない、冷却不十分なセンサが生じてしまうこともある。
【0013】
(2)さらに、デュワを任意形状に加工したとしても、センサを冷却するための冷却系に拠るデュワの大形化および重量増は、従来のものと同様に、回避できない。とくに、全部の磁気センサを均一かつ十分に冷却するには、それだけデュワ全体を大きくして、内部に十分な冷媒を貯めなければならない。また、冷媒の蒸発に対処するためのデュワ内圧の調整弁、冷媒補給装置などもデュワに設置する必要がある。このため、デュワの大形化、重量増、製造コストや運用コストの上昇を招いてしまう。したがって、これらに鑑みると、デュワの任意形状化は実際上、実現困難であった。
【0014】
(3)そこで、かかる状況に鑑みてデュワの形状を円筒状または桶型のまま放置した場合、複数個の磁気センサからなるセンサ部は通常、デュワの底面付近に設置されるので、磁気センサの設置ばかりか、その交換などの作業が困難化し、保守・点検などに手間がかかる。
【0015】
(4)さらに、デュワは通常、その底面にも真空断熱層を有するので、被験者の胸部等と磁気センサとの距離が遠くなり、検知された信号の強度が十分に確保されていなかった。
【0016】
また、別の問題は心磁界計測用のデュワの底面形状に起因する。
【0017】
(5)従来の心磁界計測用の円筒状のデュワはその底面がフラットであるため、胸部前面しか計測できなかった。心臓からの磁界は胸部全周囲から出ているので、それらの磁界信号全部を計測することがS/N向上の観点からも好ましいと考えられる。とくに、心臓の位置は通常、胸部中央よりも左側に寄っているので、左胸側部を含めて計測することが望ましいと考えられる。しかし、従来の心磁界計測用の装置の場合、デュワ底面がフラットであるため、一様で且つ最短距離の胸部外周面へのアクセスができず、S/Nが不足するという問題があった。
【0018】
本発明の目的
本発明は、上述した従来技術が有する種々の未解決の問題に鑑みてなされたものである。その目的の1つは、磁気センサを設置する容器(デュワ)の形状を任意に且つ安価に形成でき、このように任意形状に形成した場合でも各磁気センサの正確な冷却性能を確保することである。
【0019】
また、本発明の別の目的は、上述の目的を達成すると同時に、かかる容器のコンパクト化、軽量化を実現し、さらに良好なメインテナンス性を確保することである。
【0020】
さらに、本発明の別の目的は、被験者の体表とセンサ面との間の距離を最短に且つ体表全体に渡ってほぼ一定に設定でき、これにより、被験者の診断部位から出ている磁界をなるべく多く検知して、検知信号のS/Nを向上させることである。とくに、心磁界計測用の装置において、胸前部や胸側部、または、これらに後背部を加え、それらの体表部位から放射されている磁束を同時に計測し、検知信号のS/Nを向上させることである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記種々の目的を達成するため、本発明に基づく生体磁気計測装置は種々の構成を採る。
【0023】
その第1の構成は、被験者の磁気信号を検出するために配置される冷却容器を備えた生体磁気計測装置において、前記冷却容器を、略板状の外観を呈し且つその内部に略板状の空間を有する構造体をその途中で略直角に湾曲させ、その側面に対向する方向から見て略L字型の冷却容器に形成し、前記冷却容器は、当該冷却容器の側面に対向する方向から見た状態で、被験者を横たえる寝台の天板との間で診断時に略コ字状の位置関係を形成し、この冷却容器の湾曲部から延びる2つの平坦部が被験者の胸部前面と胸部側面とを連続的に覆うように配置して、被験者の心臓から生じる磁気を計測するようにし、このL字型冷却容器の内部空間に、前記磁気信号を検出する複数個のSQUIDセンサと、この複数個のSQUIDセンサを低温状態に冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする。
【0024】
例えば、前記被験者の一方の肩に相当する前記冷却容器の前記湾曲部の角部に、被験者の腕を通すための切込み部を形成してもよい。また、前記冷却容器は、非磁性で且つ電気絶縁性の材料から構成される。
【0025】
また、例えば、前記冷却手段は、作動媒体を充填したヒートパイプであり、このヒートパイプの一端の凝集部を冷却装置に結合し、他端の蒸発部に前記複数のSQUIDセンサを結合する一方で、前記冷却装置を前記冷却容器の外部に配置するとよい。また、前記ヒートパイプは前記冷却容器の内部空間にその略L字状の湾曲方向に沿って複数本配置し、各ヒートパイプの蒸発部に前記SQUIDセンサを複数個、その軸方向の複数個の位置に取り付けてもよい。さらに、前記SQUIDセンサの一つとして、環境磁場を除去するために用いる参照用のSQUIDセンサを前記冷却容器の内部空間の湾曲部に配置することが望ましい。前記内部空間を所定真空度の真空状態に保持する真空保持手段を設けてもよい。
【0026】
また、この第1の構成において、前記冷却容器の湾曲部の湾曲度を、前記被験者の胸部前面と胸部側面との間の体表の湾曲状態に合わせることが望まれる。
【0027】
さらに、この第1の構成において、前記冷却容器を前記寝台に対して可倒動作可能に支持する支持手段を備えてもよい。
【0028】
本発明の第2の構成は、被験者の磁気信号を検出するために配置される冷却容器を備えた生体磁気計測装置において、前記冷却容器を、それぞれが内部に略板状の空間を有する別体の構造体を互いに略直角に突き合わせ、それら構造体の側面に対向する方向から見て略L字型に配置し、この各構造体の内部空間に、前記磁気信号を検出する複数個のSQUIDセンサと、この複数個のSQUIDセンサを低温状態に冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする。この構成において、とくに、前記冷却容器を前記寝台に対して可倒動作可能に支持する支持手段を備えることが望ましい。
【0029】
また本発明の第3の構成は、被験者の磁気信号を検出するために配置される冷却容器を備えた生体磁気計測装置において、前記冷却容器を、それぞれが内部に略板状の空間を有する別体の構造体を互いに略直角に突き合わせ、それら構造体の側面に対向する方向から見て略コ字型に配置し、この各構造体の内部空間に、前記磁気信号を検出する複数個のSQUIDセンサと、この複数個のSQUIDセンサを低温状態に冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする。とくに、前記被験者を載せる寝台を備え、この寝台は、前記コ字型冷却容器の下方の構造体が当該寝台下への位置決めを許容する退避構造に形成することが望ましい。
【0030】
上記第1、第2、および第3の構成において、前記冷却容器を床上で移動可能に支持する支持手段を備えると都合がよい。
【0031】
さらに、上記第1、第2、および第3の構成において、作動媒体が充填され且つ断熱部を介して凝集部および蒸発部を両端部にそれぞれ生じるヒートパイプと、このヒートパイプの蒸発部に取り付けられ且つ冷却状態で前記磁気信号を検出するセンサとを備え、前記ヒートパイプの凝集部には冷却源を取り付ける構成とすることが好適である。
【0032】
この構成において、一例として、前記センサは熱伝導媒体を介して間接的に前記ヒートパイプに取り付ける。この場合、前記冷却装置を前記冷却容器から離間して設け、前記断熱部を断熱材により断熱することが望ましい。
【0033】
また、1本の前記ヒートパイプの蒸発部に前記センサを複数個、そのパイプの軸方向に沿って並置してもよい
【0034】
さらに、上記第1、第2、および第3の構成において、前記冷却容器内にあって冷媒を通過させるとともにその冷媒によって前記磁気信号を検出する磁気センサを冷却可能に保持する保持手段と、前記冷却容器の外部に設けられ且つ前記手段に前記冷媒を強制的に循環させる強制循環手段とを備える構成とすることが好適である。
【0035】
この構成では、とくに、前記保持手段は、前記被験者の体軸方向から見たときに所定厚さのL字状または略L字状の形状を成し、その被検体の胸部前面から一方の胸部側面にかけた領域を覆うように形成することが望ましい。
【0036】
また、前記保持手段は、その側面方向から見たときにL字状または略L字状を成すパイプ状の部材であってこの部材を前記被験者の体軸方向にアレイ状に複数本配設し且つその軸方向に沿って前記SQUIDセンサを複数個保持する構造の複数本のセンサホルダと、この複数本のセンサホルダのそれぞれと対を成し且つ前記冷媒を循環させる複数本のパイプ部材とを備えるようにしてもよい。この場合、前記センサホルダのそれぞれは前記SQUIDセンサを着脱自在に装着する装着孔を備え、その装着孔はそのパイプ状のセンサホルダの内部空間に開口して穿設してもよい。さらに、前記センサホルダはその軸方向に直交する断面が四角形またはコの字形に形成するとよい。
【0037】
さらに、この構成において、前記保持手段は、その側面方向から見たときにL字状または略L字状を成し内部空間を有する板状部材であってこの部材を前記被験者の体軸方向に直交する横向きに配設し且つ前記SQUIDセンサを2次元的に複数個保持する1個のセンサホルダと、このセンサホルダの内部空間に連通し前記冷媒を循環させるパイプ部材とを備えることができる。また、前記冷却容器は、前記被験者に対向した容器側面を残りの容器本体に対して開閉自在に取り付けることができる。さらに、前記強制循環手段は、前記保持手段の冷媒流路に連結され且つ循環してきた冷媒を液化する凝集装置と、この液化された冷媒を貯蔵するタンクと、この貯蔵された冷媒を吐出するポンプとを備えていてもよい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0039】
第1の実施形態
第1の実施形態を図1〜図5に基づき説明する。
【0040】
この実施形態に係る生体磁気計測装置は、心磁界計測用の装置であり、そのデュワとしてL字型デュワを搭載したことを特徴とする。このデュワは本発明で言及している冷却容器または容器に相当する。
【0041】
図1は、この生体磁気計測装置の概略構成を示す。この生体磁気計測装置は、被験者Pを通常、仰向けの状態で寝かせる寝台1と、この寝台1上に寝かせた被験者Pの心臓が発生した磁束を検知するセンサ部2と、このセンサ部2を内部に搭載したL字型デュワ3と、このL字型デュワ3を載置・固定する台座4と、センサ部2の駆動および検知信号の処理に供する駆動・処理ユニット5と、センサ部2の冷却機構6と、装置全体の制御装置7と、センサ部2の検知信号の解析を行う解析装置8と、解析結果を表示する表示装置9とを備える。
【0042】
ここで、図1において、便宜的な座標軸として、寝台1の天板1aの長さ(長手)方向、すなわち一般的には被験者Pの体軸方向をZ軸とし、天板上下方向をY軸、天板の幅方向をX軸と定める。
【0043】
L字型デュワ3は、所定高さの略直方体で板状の密閉ケーシングを図示の如く、略L字状に湾曲させた状態に加工したものである(図2参照)。このケーシングをL字状に湾曲させたときの横手方向、すなわちX軸方向の長さは被験者Pの体幅を十分にカバーできるようになっている。つまり、ケーシングの高さHに比較して、横手方向の幅Wが長いという特徴がある。また、ケーシングの湾曲部Cの湾曲度は、寝ている被験者Pの胸部前面から胸部側面に掛けての体表の丸みに極力合わせるように設定されている。つまり、この湾曲部Cは被験者Pの体表の丸みにフィットし、心臓から放射される微弱な磁気信号をなるべく感度良く検知できるように配慮した構造になっている。
【0044】
ケーシング(すなわちL字型デュワ3)のL字状湾曲によって、この側面に対向する方向(すなわちZ軸方向)からみて、その内部にもL字状に湾曲した内部空間ISが形成される。この内部空間ISは高さ(Y軸)方向空間部ISy,湾曲空間部ISc,幅(X軸)方向空間部ISxが連続して形成される。
【0045】
ケーシングはその全体が外側ケーシング11aと内側ケーシング11bとで形成され、それらの間に真空断熱層VSがつくられている。内側ケーシング11bの内部が上述した内部空間ISを形成する。この内部空間ISも真空に形成され、冷熱が逃げないように真空断熱されている。
【0046】
センサ部2は、複数個の磁気検知のためのSQUIDセンサ21…21を備える。各SQUIDセンサ21はデュワのケーシングの内部空間IS内に、その各空間部ISy,ISc,ISxに沿って列状で且つこの列をZ軸方向に複数列並べる2次元配置とされる。各磁気センサ21は、筒状のボビン22と、このボビン22に例えば1次微分型に巻装したピックアップコイル23と、ボビン22の所定位置に取り付けたジョセフソン結合を有するSQUID(超伝導リング体)(図示せず)とを備える。この結果、例えば体軸(Z軸)方向に直交するXY面で見た場合、各SQUIDセンサ21の微分方向は、L字型デュワ3の立上がり部分(Y軸方向の部分)で微分方向=X軸(左右)方向となり、その状態から湾曲部にて微分方向が徐々にY軸(上下)方向に変化し、そして、水平部分(X軸方向の部分)で微分方向=Y軸(上下)方向になる。
【0047】
ケーシングの湾曲部Cには、SQUIDセンサ21同士の湾曲外径側の間に隙間ができるので、この隙間に、環境磁場を排除処理するときの参照コイル群25を設置する。これにより、コイルの設置スペースを有効に利用できる。
【0048】
冷却機構6は、冷凍機31と、この冷凍機31に直結しているヒートパイプ32とを用いてセンサやコイルを冷却するようにしている。この冷却構造は、後で詳述する。
【0049】
台座4内に設けた駆動・処理ユニット4は、駆動回路41およびプリプロセッサ回路42のユニットを備える。駆動回路41は、SQUIDセンサ21…21を駆動する、例えばFLL回路である。プリプロセッサ回路42は、SQUIDセンサ21…21を用いて駆動回路41により検出された信号を前処理するアナログフィルタリング回路、増幅回路などから成る。
【0050】
制御装置7は、寝台、駆動回路・プリプロセッサ回路、冷凍機の動作を制御する。制御装置のモニタ信号(制御される側がどのような状態にあるかを示す信号)が解析装置に伝送される。解析装置では、駆動回路・プリプロセッサ回路を通して得られたセンサ信号とモニタ信号などを用いて、心電図や心筋の電気生理現象を解析し、表示する。
【0051】
このようなデュワ構造にすることで、とくに、L字型デュワ3の湾曲部Cをはじめとして、その前後のデュワ部分が被験者Pの胸部体表にフィットし、SQUIDセンサ21…21と胸部体表との間の距離を短く且つ一定に確保することができる。したがって、心臓から発生する磁気信号を効率良く計測できる。
【0052】
ここで、上述したL字型デュワ3とその冷却機構6の、より具体的な構造の一例を図3〜4に基づき説明する。
【0053】
この冷却機構6は、ヒートパイプを利用するので、まず、ヒートパイプの原理から説明する。
【0054】
ヒートパイプは、図3に示すように、パイプを有し、そのパイプの内壁側に金網、多孔質材などの毛細管力の大きな構造体(ウイック),内部には熱の輸送を可能にする作動液と呼ばれる液体(気体)がある圧力下で充填されている。ウイックはパイプ内壁に溝を切った構造とし、その溝を利用することも可能である。ヒートパイプは、その一方の端部を蒸発(吸熱)部、他方の端部を凝集(放熱)部とし、蒸発部で外部より得られた熱に因ってウイック中の凝集液がパイプ内に蒸発する。熱を持った蒸気は圧力の低い他方の凝集部に移動する。移動してきた蒸気は冷却されるから、ウイック部へ液体の形で凝集し、この凝集液がウイックの毛細管力に拠り再び蒸発部に戻される。ウイック部内では、蒸発部の圧力が凝集部に比べて低い。この蒸発、凝集のサイクルを介して、蒸発部での吸熱を凝集部に運ぶことで冷却が可能になる。なお、蒸発部と凝集部との間は断熱部であり、熱勾配が極めて低くなっている。
【0055】
ここでは、このような原理のヒートパイプを生体磁気計測装置に使用するので、パイプ材、ウイック材ともに非磁性材料を使用する。また、パイプ材は内圧に十分耐えるように、内部液体や気体の漏洩を防止するようにしている。
【0056】
なお、上述では、ウイックを有するヒートパイプを例に挙げて説明したが、ヒートパイプはこの構造に限定されるものではなく、ウイックを持たないループ細管形のヒートパイプを用いるように構成してもよい。
【0057】
このヒートパイプを用いたL字型デュワ3の構造を概略的に示す。
【0058】
このL字型デュワ3は、図4に示す如く、同図の上側に位置する上側カバー3Uと、その下側に位置する下側カバー3Lを備える。そして、両カバー3U,3Lにより、その全体が側面方向(Z軸方向)から見て、湾曲部を介してL字型に形成されている。両カバー3U,3L共に、前述したように外側ケーシング11aおよび内側ケーシング11bの二重の断熱構造になっている。
【0059】
上側カバー3Uは、その全体が側面に対向するZ軸方向から見て略L字型の部分と、その両端に一体に立設した側面カバー3Ua ,3Ub とを一体に有する。この側面カバー3Ua ,3Ub と下側カバー3Lとの接触部には、シール部51,52がそれぞれ介挿され、気密性が確保されている。なお、この下側カバー3Lは、捩子などの開閉手段によりシール部51,52を介して側面カバー3Ua ,3Ub に取り付けられている。このため、下側カバー3Lは、保守などの便宜のため、着脱自在に開閉可能になっている。
【0060】
このように上側カバー3U(および側面カバー3Ua ,3Ub )および下側カバー3Lにより画成されて、その内部に空間ISが形成される。この内部空間ISには、上側カバー3Uの所定位置に挿通させた連結ホース54を介して真空ポンプ55に接続されている。このため、真空ポンプ55を作動させることで、内部空間ISが所定真空度の真空層に形成され、断熱状態になる。
【0061】
一方、上側カバー3U(および側面カバー3Ua ,3Ub )および下側カバー3Lのそれぞれは、前述した如く、内部に真空層ISa(ISb)を持つように2重構造になっており、この真空層ISa,ISbがやはり断熱機能を有する。つまり、L字型デュワ3内部に置かれるセンサに対して、二重の断熱構造になっている。これにより、外部からの熱流入を極力抑えるように配慮してある。
【0062】
冷凍機31にはヒートパイプ32が接続されている。ヒートパイプ32は、シール部56によりシールされた上側カバー3Uの一方の側の取付け穴を通ってデュワ内部に至る。このヒートパイプ32に対し、冷凍機31および上側カバー3U間の露出部分およびデュワ内部での露出部分は、断熱材57により覆われている。このため、断熱材57はヒートパイプ32に対する断熱機能を有し、外部への熱流出を極力防止する一方で、ヒートパイプ32を固定保持する機能をも果たす設計になっている。
【0063】
このヒートパイプ32は、デュワ3の内部空間ISにおいて直角に方向を変え、断熱材57から抜けてそのまま内部空間ISの略L字型の隙間に沿って延び、もう一方の端部に至る。上側カバー3Uの内側のパイプ到達位置には段部が形成され、この段部に、パイプ取り付け部58を介してヒートパイプ32のもう一方の端部が取付け・固定されている。これにより、内部空間ISにおいてヒートパイプ32全体も固定される。
【0064】
また、L字型デュワ3にて、ヒートパイプ32にはSQUIDセンサ21…21が一定間隔または調整された間隔でパイプの延び方向に沿って複数個立設されている。なお、図4では図示していないが、上述のように構成されたヒートパイプ32はZ軸方向に沿って複数本配置され、これにより、SQUIDセンサ21…21は、側面方向から見てL字状の内部空間ISに沿って2次元配置されている。
【0065】
各SQUIDセンサ21は、図5に示す如くパイプ32との接合面に設けた熱伝導体58を介して設けるか、または、パイプ32の外壁に直接に取り付けられる。いずれの場合も、各SQUIDセンサ21は熱伝導に拠り冷却される。SQUIDセンサ21は取り外し可能に取り付けられる。デュワ3の患者に一番近い面、すなわち下側カバー3Lが開閉可能になっているため、不良チャンネルが発生した場合、不良になったSQUIDセンサ21を容易に交換できる。
【0066】
また、ヒートパイプ32の作動液として窒素を使用している。作動液はSQUIDセンサ21の材質により変えてもよい。SQUIDセンサ21の材質が超電導状態を維持できるのであれば、アンモニア水、アルコール、メタンなどを用いてもよい。また液体窒素では十分冷却できない場合、ネオン、ヘリウムでもよい。
【0067】
このように、ヒートパイプ32の凝集部には、極低温冷媒である液体窒素タンクもしくはそれに相当する冷却能力を持った冷凍機31を備え、ヒートパイプ32のもう一方の蒸発部にSQUIDセンサ21…21を取り付ける構造になっている。これにより、SQUIDセンサ21…21の部分の熱をヒートパイプ32により凝集部へ輸送することができ、これにより、SQUIDセンサ21…21が冷却される。
【0068】
本第1の実施形態に係る生体磁気計測装置にあっては、側面に対向する方向
(Z軸方向)からみてL字型で、かつ、寝台の上下方向(Y軸方向)からみて2次元的な拡りを有するデュワ構造にし、その内部空間に2次元的にSQUIDセンサを配置することで、被験者Pの体側に沿った面にも2次元的にSQUIDセンサが位置する。したがって、心磁界計測に好適なデュワ構造となり、胸前部と胸側部から同時に磁気信号を検出でき、心臓からの磁場を効率良く収集できる。この結果、従来のように胸前部だけから、或いは、胸側部だけから検出する場合に比べて、検出データ数が多く、また各種の方向から検出できるので、磁場源解析精度が大幅に向上する。
【0069】
とくに、上述した実施形態のデュワは、その一方の平面部から他方の平面部に移る途中を湾曲面部にし、極力、被験者の体表面に滑らかに沿った構造にするとともに、その湾曲面部にも2次元的にSQUIDセンサを配置している。これにより、体表の斜めの部分からも同じように磁気信号を計測できるので、磁場源解析精度をより一層向上させることができる。
【0070】
一方、上述のL字型デュワは、従来のように液体冷媒を貯蔵した中にSQUIDセンサを浸す方式とは異なり、ヒートパイプを用い、その先にヒートシンクを取り付け、ウイック部を循環する冷却液体、およびヒートパイプのウイック内部を通る冷媒が蒸発するときの蒸発潜熱によりSQUIDセンサを冷却するようにしている。これにより、冷媒循環型のデュワを提供することができ、デュワの形状を選ばない。したがって、デュアの形状を診断に最適なものにできる。
【0071】
また、このL字型デュワの高さ(厚さ)は、ヒートパイプ、SQUIDセンサ、および断熱層の部分を確保できる値であればよいから、全体にコンパクトな設計が可能になる。コンパクトに設計するほど扱い易いという利点もある。
【0072】
また、ヒートパイプを利用することにより、一度に多量の冷媒が不要であり、その分、蒸発量を抑え、装置の運用コストを下げることができる。さらに、冷媒の貯蔵位置をデュワから離すことができるから、この点からも、デュワの小形軽量化を図ることができる。
【0073】
第2の実施形態
第2の実施形態を図6に基づき説明する。なお、この実施形態から第7の実施形態までの生体磁気計測装置は、心磁界計測用のデュアの構造・配置に特徴を有する。これ以降の説明において、上述した第1の実施形態と同一または同等の構成要素には同一符号を用いてその説明を省略または簡略化する。
【0074】
上述した第1の実施形態の場合、生体磁気計測装置はL字型デュワを採用し、そのデュワのデュワ面(すなわち、被験者の胸部前面から胸部側面に掛けた体表部位に対向する測定面)を一体形状にしていた。これに対し、この第2の実施形態に係る生体磁気計測装置も、全体形状としては略L字型を成すデュワ61を備える。このL字型デュワ61は、しかし、被験者Pの胸部側面に対向した縦方向デュワ61Xと、その胸部前面に対向した横方向デュワ61Yとの分割した別体構造になっている。
【0075】
この縦方向デュワ61Xおよび横方向デュワ61Yは連結部材62を介して図示の如くL字状に結合されている。台座4には支柱63が立設され、この支柱63にアーム64が取り付けられ、このアーム64に上述の連結部材62が固設、または、着脱自在に或いは移動可能に設置されている。
【0076】
縦方向デュア61Xおよび横方向デュワ61Yのそれぞれは単独で、前述した第1の実施形態の同様の独立したセンサ構造および冷却構造を有するが、両方のデュワで使用するヒートパイプ32X,32Yは共通の冷凍機31に接続されている。この冷凍機31は省スペース化のためにアーム64上に載置してある。
【0077】
このように、L字型データ61を縦方向デュワ61Xおよび横方向デュワ61Yの別体構造とすることにより、被験者Pの胸部側面と胸部前面との両方を同時に測定でき、検出データの豊富化の観点から、前述したと同様または同等の作用効果を得ることができる。また、別体構造とすることで、デュワ全体を簡単な構造にでき、製作コストや保守コストの低減化にも寄与できる。
【0078】
第3の実施形態
第3の実施形態を図7に基づき説明する。この実施形態もデュワ構造に特徴を有するもので、第2の実施形態のデュワ構造をさらに展開したものである。
【0079】
この第3の実施形態に係る生体磁気計測装置は、全体形状としては略コ字型を成すデュワ66を備える。このコ字型デュワ66は、被験者Pの胸部側面に対向した縦方向デュワ66Sと、その胸部前面に対向した上側横方向デュワ66Uと,下側横方向デュワ66Lとの分割した別体構造になっている。
【0080】
これらの分割デュワ66S,66U,66Lは連結部材62…62を介して図示の如く略コ字状に結合されている。このとき、縦方向デュワ66Sは被験者Pの胸部左側面に対向し、そして、上側横方向デュワ66Uおよび下側横方向デュワ66Lは被験者Pの胸部前面および後背部面にそれぞれ対向するように位置決めされている。つまり、この3個のデュワが被験者Pの心臓に3方から対向できる。このコ字状デュワ66は図示の如くアーム64に固設・吊持されている。
【0081】
また、デュワ66の被験者Pへのアクセスを容易にするため、寝台1の天板1Nを、デュワ66とは反対向きのコ字状に形成し、その下側部位を寝台基部に取り付けてある。この反対向きのコ字状構造が、下側横方向デュワ66Lの寝台下への位置決めを許容する退避構造を達成している。このため、少なくとも診断時には、デュワ66の下側横方向デュワ66Lを天板1Nの下方位置まで差し込むことができる。
【0082】
分割デュワ66S,66U,66Lのそれぞれは単独で、前述した第1の実施形態の同様の独立したセンサ構造および冷却構造を有するが、3者のデュワで使用するヒートパイプ32S,32U,32Lは共通の冷凍機31に接続されている。この冷凍機31は省スペース化のためにアーム64上に載置してある。
【0083】
このように、コ字型デュワ66を3個の平面状(板状)の分割デュワ66S,66U,66Lで構成するとともに、寝台1をその内の分割デュワ66Lがアクセス可能な構造にしたことにより、被験者Pの胸部側面および胸部前面のみならず、後背部面をも合わせて同時に測定でき、検出データの一層の豊富化の観点から、前述したと同等の作用効果を得ることができる。また、別体構造にしてあるので、第2の実施形態と同様に、デュワ全体を簡単な構造にでき、製作コストや保守コストの低減化にも寄与できる。
【0084】
第4の実施形態
第4の実施形態を図8,9に基づき説明する。この実施形態はデュワの支持構造に特徴を有するもので、第1の実施形態のデュワ構造をさらに展開したものである。とくに、デュワを可倒式に構成した装置である。
【0085】
この第4の実施形態に係る生体磁気計測装置は、形状および内部構造としては第1の実施形態のものと同一のL字型デュワ3を備える。このL字型デュワ3に、本実施形態独特の可倒式の構成が付加されている。
【0086】
具体的には、L字型デュワ3から冷凍機31まで引き出されているヒートパイプ32の部分が所定値だけ長く形成され、この部分を覆う断熱材57の部分もその分長くなっている。一方、台座4は、その寝台と反対側の上部角部にてテーパ面4aが形成されている。このテーパ面4aにより、L字型デュワ3の後述する可倒動作が容易になる。台座4のテーパ面4aの上側角部に沿って蝶番68(可倒式連結手段)が横向きに固設され、この蝶番68により、L字型デュワ3の下部の一部が台座4に連結されている。このため、L字型デュワ3の全体は台座4から可倒可能に支持される。
【0087】
診断を開始または終了するときに、被験者Pが寝台1に乗りまたは寝台1から降りる場合、L字型デュワ3全体は図9に示す如く、上側に跳ね上げられる。このため、被験者Pは乗り降りし易くなる。診断時には、L字型デュワ3全体は図8に示す如く、所定の診断位置まで倒される。この診断位置は第1の実施形態で説明したものと同様である。これにより、被験者の寝台へのアクセス、乗り降りの容易化を図り、患者の負担を軽減できる一方で、患者スループット向上やオペレータの操作上の負担軽減にも寄与できる。
【0088】
なお、この可倒式のデュワ支持構造は第2の実施形態のL字型デュワに対して適用することもできる。また、可倒式連結手段の構造としては、上述した蝶番構造に限定されるものではなく、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、電動モータなどの可倒機構を用いても構成できるし、さらに、それらの可倒機構を所定の跳ね上げ位置と診断位置との間で操作スイッチに応答して自動的に制御するように構成してもよい。
【0089】
第5の実施形態
第5の実施形態を図10に基づき説明する。この実施形態はデュワの支持構造、とくにデュワを支持している台座の移動性に特徴を有するもので、第4の実施形態のデュワ構造をさらに展開したものである。
【0090】
この第5の実施形態に係る生体磁気計測装置は、第4の実施形態のものと同一のL字型デュワ3を備える。このL字型デュワ3は、台座4に第4の実施形態と同様に可倒動作可能に取り付けられている。台座4の下面には、キャスタ69…69などの移動手段が設けられている。
【0091】
このため、被験者Pに対するデュワ3のアクセスの自由度を上げることができ、またベッドサイドへのデュワ3の搬送も可能になる。
【0092】
なお、この実施形態では台座4の移動手段が特徴的な事項であり、デュワの可倒動作は二次的な特徴である。このため、デュワが可倒動作の構造にはなっていない固定式の場合でも、かかる移動手段を台座4に設けることができる。
【0093】
第6の実施形態
第6の実施形態を図11に基づき説明する。この実施形態はデュワの支持構造、とくにデュワを支持している台座の支持安定性に特徴を有するもので、第4の実施形態のデュワ構造をさらに展開したものである。
【0094】
この第6の実施形態に係る生体磁気計測装置は、第4の実施形態のものと同一のL字型デュワ3を備える。このL字型デュワ3は、台座4に第4の実施形態と同様に可倒動作可能に取り付けられている。さらに、この台座4には脚部4bが固設され、この脚部4bが寝台1の下方に張り出され、床上で横方向(X軸方向)に沿って架設されている。
【0095】
これにより、L字型デュワ3の支持が安定し、また台座4の受けるデュワ重量に拠る負荷が軽減する。
【0096】
なお、この実施形態において、図11に示す如く、寝台1またはその天板1aを台座4の側面に直接取り付けてもよい。これにより、被験者PとSQUIDセンサの位置合わせが簡便になる。
【0097】
第7の実施形態
第7の実施形態を図12に基づき説明する。この実施形態はデュワの形状、とくに被験者の腕の位置を考慮した形状に特徴を有するもので、代表的な第1の実施形態のデュワ構造をさらに展開したものである。
【0098】
この第7の実施形態に係る生体磁気計測装置は、第1の実施形態のものと同一のL字型デュワ3を備える。さらに、このL字型デュワ3の被験者の左肩に相当する部分に、適宜な大きさの切込み部3Mが形成されている。ただし、この切込み部3Mを形成した場合でも、第1の実施形態のときと同様に、デュワ内部には十分な数のSQUIDセンサが複数個、2次元的に配置され、超伝導状態まで冷却されるようになっている。
【0099】
一般に、胸部面の磁気計測を行う場合、型部は邪魔になり易い。また、心電計や体温計を使用したり、脈拍や血圧などの生理検査を行ったり、さらには静脈注射による薬剤投与を施しながら磁気計測する場合、被験者は腕を体側から離し、できれば横方向に延ばした方が好都合であることが多い。
【0100】
そこで、そのような場合、L字型デュワ3の切込み部3Mから図に示す如く腕Pamを横方向に延ばすことができる。このとき、腕Pamを載せておくアームレスト3Rを天板1aに設置しておけば、被験者に楽な姿勢で(つまり患者の負担を軽減して)治療を受けてもらいながら磁気計測を行うことができる。また、L字型デュワの構造に拠って、心臓前面部と心臓側面部とを同時に磁気計測することもできる。
【0101】
なお、このL字形デュワの切り込み部およびその腕(アーム)によるアームレストの構造に代えて、図45および図46に示すアームレストの構造を採用することもできる。図45に示す被験者の体位は、両腕を頭の方に伸ばし、腕を組むもので、これにより、腕の動きを抑え、かつ、胸部側面側をセンサ面(デュワ)に一層接近させることができ、体動の少ない安定した体位を採らせるものである。この場合、図46に示すアームレスト140が効果的である。このアームレスト140は、寝台上に設置されるもので、その両側の湾曲した縁140a,140aが両腕を載せるのに適した形状、高さを有し、レスト中央には枕140bを設ける構造を有する。このアームレストにより、本発明に係るデュワの任意形状に拠る各種の効果がより顕著に発揮される。
【0102】
第8の実施形態
本発明の第8の実施形態を図13に基づき説明する。なお、第8〜第11の実施形態は特にデュア内の細部構造に関する。
【0103】
図13は本発明の生体磁気計測装置に搭載するL字型デュワ70の概略構造を示す。このL字型デュワ70は、とくに、その冷却機構71に特徴を有する。
【0104】
この冷却機構71は、冷凍機(または冷媒タンク)31と、この冷凍機31に、Z軸方向の1列毎に、接続された2本のヒートパイプ32A,32Bとを備える。この内、一方のヒートパイプ32AはL字型デュワ70の根元部の側面からデュワ内に入って、垂直に立ち上がり、その後、デュワの内部空間ISに沿って直角に曲げられた状態で設置される。このため、ヒートパイプ32Aの蒸発部は横方向(X軸方向)に向く。この蒸発部に、複数個のSQUIDセンサ21が検出面を下方に向けながらその軸方向に沿って並設されている。
【0105】
もう一方のヒートパイプ32Bは、L字型デュワ70の底面部分から内部に入り、そのままデュワの縦方向空間に沿って曲がり部分まで延びる。このヒートパイプ32Bの蒸発部は縦方向(Y軸方向)に向く。この蒸発部に、複数個のSQUIDセンサ21が検出面を横方向に向けながらその軸方向に沿って並設されている。
【0106】
ヒートパイプ32A,32Bのデュワ外部への延出部分は断熱材57で覆われている。
【0107】
この結果、両方のヒートパイプ32A,32Bそれぞれの蒸発部に取り付けられた複数個のSQUIDセンサ21により、センサ部2を構成する複数のL字型列のそれぞれが形成される。このように形成された列が複数列装備され(図示せず)、全体として、L字型に折り曲げた面に沿った2次元配列(つまりは3次元配列)のセンサ部2が形成される。
【0108】
そのほかの構成は第1の実施形態のものと同様であるので、このL字型デュワによっても、被験者の胸部前面および胸部側面を同時に磁気検出することができる。
【0109】
なお、上述の冷却機構71の変形例の一つとして、図14に記載の構造を採用してもよい。この冷却機構71にあっては、冷媒タンク(または冷凍機)31から延びるヒートパイプ32は1本であるが、その途中から2本のヒートパイプ32A,32Bに分岐されている。このヒートパイプ32A,32Bにより、上述したと同様のセンサ部に構成される。この構成によって、冷媒タンク31の周辺でのヒートパイプの引き回しが簡素化される利点がある。
【0110】
第9の実施形態
本発明の第9の実施形態を図15に基づき説明する。この実施形態は、本発明のデュワに適用されるヒートパイプの形状に関する。
【0111】
図15に、内壁側にウイックを有するヒートパイプ32の断面形状を示す。このヒートパイプ32は、その断面を楕円形(または円形)に形成されるとともに、その下面にセンサ取付け部としての凹部32Hが軸方向に所定間隔で形成されている。この凹部32HにSQUIDセンサ21がねじ込み又は差し込み方式により取り外し可能に取り付けされる。
【0112】
このヒートパイプ32で主たる特徴とする点は、重力方向に対して垂直な面を形成したことである。これにより、重力方向の撓み荷重に耐えられるようになっている。
【0113】
なお、このヒートパイプの断面形状としては、図16または図17に記載の構造を採用してもよい。図16のヒートパイプ32は矩形の断面形状を有し、図17のそれはH型の断面形状を有する一方で、共にその下面にセンサ取付け部としての凹部32Hが形成されている。また、共に、重力方向に対して垂直な面を形成し、重力方向の撓み荷重に耐えられるようになっている。
【0114】
第10の実施形態
第10の実施形態を図18に基づき説明する。この実施形態は、図13の第8の実施形態で説明したと同様に、L字型デュワの冷却機構に関する。
【0115】
図18には、L字型デュワ70と、その冷却機構71とを示す。冷却機構71は特に図13のものを発展させたもので、冷凍機(または冷媒タンク)31と、この冷凍機31に接続された、センサ部2を構成する複数のL字型列のそれぞれに対する、複数本のヒートパイプ32A,32B,…,32nとを備える。複数本のヒートパイプ32A,32B,…,32nの内、前半の複数本が1つのグループとしてL字型データ70の横方向空間部まで延設され、それぞれのヒートパイプにSQUIDセンサ21が1個ずつ取り付けられている。また後半の複数本が別の1グループとしてL字型データ70の縦方向空間部まで延び、それぞれのヒートパイプにSQUIDセンサ21が1個ずつ取り付けられている。複数本のヒートパイプ32A,32B,…,32nのそれぞれは、デュア内部にてホルダ72により支持されている。
【0116】
これにより、複数本のヒートパイプ32A,32B,…,32nそれぞれの蒸発部にSQUIDセンサ21が取り付けられ、Z軸方向に並ぶL字型のセンサ列が形成される。このように形成されたセンサ列が複数列装備され(図示せず)、全体として、L字型に折り曲げた面に沿った2次元配列(つまりは3次元配列)のセンサ部2が形成される。
【0117】
このL字型デュワ70および冷却機構71によっても、被験者の胸部前面および胸部側面を同時に磁気検出することができる。
【0118】
なお、上述したL字型デュワ70において、センサ取り付け構造およびヒートパイプ支持構造については更に以下のような変形が可能である。
【0119】
図19には、センサ取り付け構造の変形例を示す。この構造によれば、SQUIDセンサ21のボビン22の上端面に凹状の取り付け部22aを穿設し、この取り付け部22aの底面に板状の熱伝導体73を設置してある。なお、SQUIDセンサ21において、ボビン22に巻装された検出コイル23は、そのボビンに設置された超伝導リング体24に電気的に接続され、このリング体24から信号線25が引き出される。これに対し、ヒートパイプ32A,32B,…,32nのそれぞれの取り付け部先端には、同図に示す如く、ボビン22に穿設した取り付け部22aに寸法を合わせて拡径した捩子式の取り付け部74を設ける。この拡径構造により熱伝導面を増やすことができ、また熱伝導体73の介挿によってセンサ21の冷却効率を上げることができる。さらに、捩子式の取り付け部74を設けたので、SQUIDセンサ21を着脱自在に取り付けることができ、保守点検が容易になる。
【0120】
また図20〜図22には、ヒートパイプ支持構造の好適な変形例を示す。図20に、互いに所定間隔を空けてZ軸方向に延びるヒートパイプ支持用の複数のホルダ72A,72B,…72Fを一例として横(Z軸)方向にアレイ状に配置したホルダ体を示す。このホルダ体を図20における横方向(1)から一部破断して見た様子を図21に、一方、図20における上方向(2)から見た様子を図22にそれぞれ示す。なお、ここでは、このホルダ体は横(Z軸)方向に配置した場合を例示するが、当然に縦(Y軸)方向にも配置できる。
【0121】
各ホルダ72A(〜72F)はその両端部側面の取り付け金具75を介してL字型デュワの所定位置に固定される。この支持構造の場合、ホルダ72A,72B,…72Fはヒートパイプ32A,32B,…,32Fをそれぞれ、その下面に当接して直接支持する。つまり、ホルダ72A,72B,…72Fは、図21に示す如く、先に位置するほど高くなるように互いに段差を付けてデュワに固定される。これにより、ヒートパイプ32A,32B,…,32Fの1組は互いに上下方向に互いに重なった状態で支持される。これを上方向から見た場合、図21、22に示す如く、あたかも1本のパイプに見える。一番低い手前のホルダ72Aは最初のヒートパイプ32Aを支持し、その次のホルダ72Bは次のヒートパイプ32Bを支持するといった具合である。
【0122】
このホルダ72A,72B,…72Fそれぞれの所定位置には上下方向から見て略半円状の切込み76が穿設されている。最終列のホルダ72Fの切込み76を除いて、残りの72A,72B,…72Eのそれは互いに隣接するように位置決めされている。このため、切込み76の各対(最終列では1個の切込み)の部分に形成される略円形孔を通して、各ヒートパイプ32A(〜32F)の先端に取り付けたSQUIDセンサ21が下方に通される。
【0123】
このヒートパイプ32A,32B,…,32Fを1組とし、その複数組がホルダ72A,72B,…72Fにより支持されるので、結局、SQUIDセンサ21はL字型デュワ内の縦方向または横方向の空間部で2次元状に配置されることになる。このとき、ホルダの段差配置を利用しているので、複数本のヒートパイプが重なり合った状態で支持でき、デュワ内部での占有スペースを最小限に止めることができる。
【0124】
第11の実施形態
第11の実施形態を図23〜図25に基づき説明する。この実施形態のデュワは、平面型のヒートパイプを使用したことを特徴とする。
【0125】
図23に平面型のヒートパイプ80の概略を示す。同図に示すように、この平面型ヒートパイプ80は、その内部に、ウイックWで仕切られた背丈の短いヒートパイプ等価体81を、各センサ位置でセンサ検出面に垂直な方向にそれぞれ設置し、これらヒートパイプ等価体を一体化したパイプ構造を有する。個々のヒートパイプ81の一端の蒸発部(吸熱部)にSQUIDセンサ21が例えばねじ込み方式により着脱自在に取り付けられる。ヒートパイプ81の他端の凝集部(放熱部)には外部から冷媒を流出入させる通路82が設けられている。この通路82は、図24(a),(b)に示す如く、冷媒入り口83および冷媒出口84に連通している。この入り口および出口は適宜な位置に形成できる。この入り口および出口は好適には、図示しない外部の冷媒循環ポンプに接続され、例えば図25に示す如く、冷媒(液体、ガス)を内部の蛇行通路82を強制的に循環させるようになっている。この結果、平面型ヒートパイプ80の上面側が放熱部、底面側が吸熱部になり、SQUIDセンサ21が冷却される。
【0126】
この平面型ヒートパイプ80を採用し、冷媒を循環させることによって、少量の冷媒で効率的な冷却ができ、またデュワのセンサ取り付け方向の厚さを極力薄くすることができる。
【0127】
第12の実施形態
第12の実施形態を図26〜図41に基づき説明する。
【0128】
この実施形態に係る生体磁気計測装置は、前述してきたヒートパイプに代えて、任意の形状に形成されたデュワ内に冷媒を強制的に循環させる冷却手段を採用したことを特徴とする。具体的には、後述するように、冷媒を循環させる装置と、この装置から送り出される冷媒をSQUIDセンサのホルダ内を通過させ、この通過に伴ってSQUIDセンサの検出コイルおよびSQUIDリング(チップ)を超伝導状態まで冷却する構成を採る。デュワの任意形状としては、例えば前述したようなL型または略L型が挙げられる。これにより、任意形状のデュワ内に冷媒を満たす必要がある液体貯蔵型の冷却方法の不便さを解消できる。デュワ内で冷媒液体の充填が不均一になることに因る問題や、この問題を回避することに因る重量増、機構の複雑化、取扱の困難さなどの2次的な問題なども一挙に解消しようとするものである。
【0129】
この生体磁気計測装置の骨子となる構造(信号処理部を除く)を図26に概念的に示し、その中のセンサホルダおよび冷媒循環の機構の具体的な一例を図27に示す。
【0130】
この生体磁気計測装置は、前述したと同様に心磁界を胸部前面および胸部側面から検出するため、L字型デュワ90を備える。このL字型デュワ90の内部空間ISにセンサホルダ91および冷媒循環パイプ92を1組として、この組を複数組備える(図27参照)。
【0131】
センサホルダ91は、その1個で複数のSQUIDセンサ21を装着・支持するとともに、冷媒を循環させる流路の役目も担うもので、一方の端部を取り付け用に曲げて延出させているが、全体には略L字状に形成された板状の中空パイプから成る。このセンサホルダ91を図示の如く、デュワ90のL字状の内部空間に沿ってデュワ内壁に配置・固定している。この固定は、センサホルダ91のほぼ両端部に突設したねじ込み式、はめ込み式などの取付け部91a,91bによりなされる。この取付け部によりセンサホルダ91の脱着が容易になり、組立て、保守などの負担を著しく軽減することができる。
【0132】
このセンサホルダ91は、図27に示す如く、横(X軸)方向に沿わせ且つ患者体軸(Z軸:デュワ長軸)方向に任意の複数本(複数チャンネル)、並設されている。
【0133】
センサホルダ91の下方に位置する端部は、デュワ内においてジョイント部93を介して、後述する冷媒循環装置94に接続した一方の連結パイプ95に結合されている。また、センサホルダ91の上方に位置するもう一方の端部は、そのまま内部流路を連通させた状態で冷媒循環パイプ92の一方の端部に一体に取り付けられている(図27参照)。この冷媒循環パイプ92も図27に示すように、センサホルダ91の直上に位置し且つ同様にL字状にデュワ内に配置されている。環境磁場除去のための参照コイル群を内蔵する参照コイルボックス96が冷媒循環パイプ92の途中に介挿させている。このボックス96は、丁度、L字型デュワの曲がり角部に位置し、その下端面をセンサホルダ91の角部に固定することで、冷媒循環パイプ92の固定支持も行うようになっている。この冷媒循環パイプ92の下方の端部はデュワ内で別のジョイント部97を介して、冷媒循環装置94に接続したもう一方の連結パイプ98に結合されている。L字型デュワ90の外部に露出している連結パイプ95、98の部分は断熱材99により覆われている。
【0134】
なお、ここでは、参照コイルボックス96を各列毎、すなわち各冷媒循環パイプ毎に設ける構成を示しているが、必ずしもそのように全列に装備する必要はなく、必要な列(チャンネル)だけに使用する構成にしてもよい。
【0135】
以上の構成により、図26中の矢印で示す如く、冷媒循環装置94から連結パイプ98を介して冷媒循環パイプ92に入り(その途中で参照コイルボックスを通る)、そしてセンサホルダ91を通った後、別の連結パイプ95を介して冷媒循環装置94に戻る流路が形成される。この一連の流路は、図27に示す如く、センサホルダ91および冷媒循環パイプ92の組毎に複数経路、形成される。
【0136】
さらに、センサホルダ91は、その軸方向に直交する断面の形状として例えば図28に示すように中空の四角形に形成したパイプであり、その内部空間は冷媒流路PWとなる。この断面形状としては、図29に示すようにコ字状に形成してもよい。このパイプの材料は、GFRPやCFRPが好適である。いずれの断面形状においても、ホルダ自体の歪みに因るセンサの位置ずれを極力防止できるように配慮されている。つまり、重力方向に沿った側面SFのサイズを十分に確保してあるので、センサホルダ91が重力方向に撓むのを防止することができる。なお、この側面構造に代えて、後述するようにデュアの内壁にホルダ両端を固定することによっても、ホルダ全体の撓みを防止できる。
【0137】
センサホルダ91には、一例として図26に示す如く、そのL字状の軸方向における所定間隔の位置毎に、そのパイプを軸方向に直交する方向に貫通する、例えば捩子式のセンサ装着孔91cが複数個穿設されている。この装着孔91cの位置および間隔は磁気計測に要求される仕様によって決まる。
【0138】
このセンサ装着孔91cには、図30に示す如く形成された熱伝導型のSQUIDセンサ100が気密に装着される。この装着例を図31に示す。
【0139】
図30に示すSQUIDセンサ100は、検出コイル101、SQUIDチップ102を樹脂などの非磁性材料で一体成形されたボビン103を有する。樹脂製のボビン103内に、検出コイル101とSQUIDチップ102を埋め込むようにしてもよい。また、検出コイル101を樹脂製のボビン103の周りに巻装してもよい。検出コイル101を実装しているボビン部分103cの隣に、このボビン103の装着部103aが形成されている。装着部103aは一例として捩子式に構成されている。この装着部103aが図31に示す如く、センサホルダ91のセンサ装着孔91cに捩子込まれて装着される。この装着にはシールが使用され、装着隙間の気密性が確保される。
【0140】
またボビン部分103cは、装着部103aよりも小径に形成されていることも特徴の1つである。この小径構造により、SQUIDセンサ100をセンサ装着孔91cに装着(挿入)する時の検出コイルへの損傷を防止できる。SQUIDセンサ100にはさらに、図30に示すように、捩子込みのときに捩子込み過多となり、センサ検出位置が変動するのを防止するストッパ103bが一体に形成されている。同図中、104はセンサの信号線を示す。
【0141】
なお、この冷媒循環型に好適なSQUIDセンサとしては、図30に記載のもののほか、種々の構造、形状のものを採用できる。図32にその変形例の1つを示す。同図に示すSQUIDセンサ100は同様に熱伝導型であり、図30の構造に比べて、ストッパ103bと捩じ込みの装着部103aとの位置がセンサ軸方向にて反対に形成されている点が大きく異なる。
【0142】
図30および図32の構造のSQUIDセンサ100は、どちらの場合も、ボビン103を伝導する冷媒の熱により、検出コイル101を冷却するようになっている。
【0143】
図33に別のSQUIDセンサを示す。このSQUIDセンサ100では、その内部を空洞に形成し、その内部に検出コイル101およびSQUIDチップ102を内蔵する。検出コイル101はその内部で又は外部でボビン樹脂の周りに巻いてもよい。そして、ボビン103の装着部103aに軸方向に直交する貫通孔103dを穿設する。このSQUIDセンサ100を図34に示す如く、センサホルダ91の装着孔91cに例えば捩子込んで装着する。このとき、貫通孔103dがセンサホルダ91の冷媒流路PW内に位置し、且つ、貫通孔103dの出入り口の向きが流路方向を向くように設定する。この結果、センサホルダ91の冷媒流路PWを流れてきた冷媒の一部は、SQUIDセンサ100の貫通孔103dをも通過しつつ、センサ内部の空洞に溜まるので、検出コイル101およびSQUIDチップ102が直接、冷媒により効率良く、例えば極低温まで冷却される。
【0144】
図35に更に別のSQUIDセンサとして、高温超伝導体を用いた磁気センサのユニットを示す。高温超伝導材料の場合、基板上に検出コイルを成型する方が容易であるため、このSQUIDセンサ100もそのように基板105に設けている。この基板105を用いることにより、センサ全体の高さを、低温超伝導タイプのものに比べて、低く成形することができる。この基板105をボビン103内部に設置する方法は種々のものを採用でき、例えば、基板を非磁性の樹脂で一体成形してもよいし、ボビン内部を空洞化させて、その中に検出コイルとSQUIDチップを一体成形した基板を配設するようにしてもよい。この高温超伝導タイプのSQUIDセンサ100に対する冷却も低温超伝導タイプのそれを同様に行える。一例として、センサホルダ91の冷媒流路を通過する冷媒とそのSQUIDセンサ100を熱伝導体(図示せず)で熱的に接合する構造にし、その熱伝導に拠り冷却する方法が挙げられる。
【0145】
さらに、センサ装着部の構成例を説明する。前述した図31に示すように、センサ装着孔91cとSQUIDセンサ100との接触部分に、軟質エラストマなどのシール部材106を介挿させることで、装着孔91cはその冷媒流路PWに対して開放した構造にすることが1つの望ましい態様である。これにより、流路PWを通過する冷媒により、SQUIDセンサ100が直接、冷却される。
【0146】
また別の構造として、図36に示す装着構造を採用できる。この装着構造の場合、センサ装着孔91cに例えば熱伝導体107を装着し、この装着孔を冷媒流路PWに対して開放しない構造とする。このため、熱伝導体107の内周面に密接する状態で装着孔91c、すなわち熱伝導体107にSQUIDセンサ1001が取り付けられる。このため、SQUIDセンサ100の熱は、熱伝導体107を通して冷媒に伝わり(熱伝導)、循環する冷媒がその熱を奪いさることでセンサが冷却される。
【0147】
一方、冷媒循環装置94は、図37に示す如く、冷却が終了して戻ってきた冷媒を凝集させ液化させる凝集装置111と、この凝集装置により液化された液体冷媒を貯蔵する貯蔵タンク112と、この貯蔵タンクに貯蔵されている冷媒をセンサ冷却用に吐出するポンプ113とを備える。貯蔵タンク112には調整弁114を取り付けてある。凝集装置111から送られてくる液体の圧力と液体冷媒が蒸発するときに発生する圧力とによりタンク内圧が高くなるが、この内圧が一定値以上になると自動的に調整弁14が開いて圧力を逃がすようになっている。したがって、タンク内圧が一定以上にはならないように自動調整される。
【0148】
また、冷媒循環装置94と冷媒循環パイプ92との接続は、樹脂製ナットなどでかしめる方式が採用される。デュワ90から外部に延出される連結パイプ95、98の部分は、発泡スチロールなどの断熱材99で断熱される。
【0149】
また、貯蔵タンク112は、その壁としてステンレス鋼の2重構造の壁を採用し、その壁間を真空層VSに形成してある。この2重壁の内、内側に位置する壁は、GFRFやCFRPで形成し、この壁の内側には、さらに、発泡スチロールなどの発泡性の断熱材115を貼り付けてある。これにより、2重の断熱構造になっており、冷媒の蒸発を防止している。また、この貯蔵タンク112には冷媒充填用のポート116が設けられている。
【0150】
なお、本発明に適用可能な冷媒循環装置は必ずしもこのような構成に限定されるものではなく、センサホルダ91および冷媒循環パイプ92を介して冷媒を強制循環させることができる手段であれば、他の構成を採用してもよい。
【0151】
さらに、この生体磁気計測装置における、センサホルダ91のデュワ内壁への取付け構造およびデュアの開閉構造の例を図38〜図40に示す。デュワ90の壁は、その外壁を非磁性金属板で、内壁を非磁性の樹脂などでそれぞれ形成し、その中間層に発泡スチロールなどの断熱材を埋めたサンドイッチ構造に形成してある。このデュワ90の内壁のセンサホルダ91の両端部に対向する位置には段部90d,90eがそれぞれ形成され(図38、39参照)、この段部90d,90eにセンサホルダ91の両端に突設された取付け部91bおよび91aを一例として捩子止めするようになっている。なお、センサホルダのデュワ内壁への取付けは捩子止めに限らず、差し込み方式であってもよい。
【0152】
一方、デュワ90の下面を形成する、被験者に直接、対向する略L字状の下側カバー90Cは開閉可能になっている。これは、一例として、図38、39に示す如く、デュワ90本体側との間に形成した段状の取付け部分にシール部材120を介して気密に捩子止めできるようになっている。この捩子を着脱することで、図40に示す如く、下側カバー90Cを自在に開閉できる。これにより、SQUIDセンサ100が故障したときに、故障したチャンネルのセンサのみが交換可能である。シール部材120としては、軟質のエラストマ、インジウム、シリコンオイルなどを用いることができる。なお、この下側カバー90Cは図41に示す如く、ヒンジ121を片端部に用いて開閉可能に構成してもよい。
【0153】
図示していないが、デュア90の内部空間ISは計測時には真空状態に保持される。このため、デュアの一部に真空引き用のパイプが接続され、例えば油拡散型の真空ポンプなどでデュア内部を真空に引く構成が付加される。このデュワの開閉構造の場合、デュワの内部空間IS自体には冷却用液体を存在させないので、保守のときには、その真空層(内部空間IS)を大気圧に戻すだけで済み、従来の液体貯蔵型のデュワに比べて、保守性が著しく向上する。なお、真空ポンプからの雑音の影響を極力排除するために、このポンプはデュワ90からできるだけ遠くに離して配置する構成が望ましい。
【0154】
したがって、デュワ外部の冷媒循環装置94から送出された冷媒は、冷媒循環パイプ92を通過しつつ、参照コイル群を冷却し、この後、パイプ状のセンサホルダ91の冷媒流路PWに入る。冷媒はこの流路PWを通過しながら、全部のSQUIDセンサ100を確実に且つ効率良く冷却する。この冷媒は、凝集機で液化された後、再度、冷媒循環装置から送出され、上述の冷却を継続して行う。
【0155】
また、複数のSQUIDセンサ100で検出される磁場情報は、センサから電気信号として出力され、図示しない外部の磁場源解析用の計算機に送られる。
【0156】
このように冷媒を流路(センサホルダおよび冷媒循環パイプを経由する流路)に沿って強制循環させ、その冷媒流路の一部にSQUIDセンサを装着する構造のデュワに採用することができる。このため、従来タイプのデュワである、液体貯蔵タイプの円筒型または桶型以外の、診断対象に最も適したデュワ形状とセンサ配置が可能になる。また、SQUIDセンサそれぞれを強制循環の冷媒で効率的に冷却することができる。さらに、一度、冷却に用いた冷媒を再利用することができ、生体磁気計測装置の運用コストの低減が可能になる。さらにまた、デュワ全体を軽量に形成でき、運搬、取付けなどを容易化できる一方、SQUIDセンサをセンサホルダに取り付ける構造のために、各チャンネル毎のセンサの保守点検が容易に行えるという利点も得られる。
【0157】
なお、デュワの形状は必ずしもL字型または略L字型でなくてもよい。SQUIDセンサを支持するホルダがその内部に冷媒を強制循環させつつ、SQUIDセンサに冷媒が直接または間接に当接し、そのセンサを冷却させることができる構造であればよい。
【0158】
かかる変形例の1つを図42、43に示す。この変形例に係るセンサホルダ130は、全体がその側面に対向するZ軸方向から見て略L字状を成し、かつZ軸方向の全センサ列、すなわち全チャンネルを一体に保持する一体構造になっている。このセンサホルダ130の内部は中空に成形され、冷媒は入り口ポート13aと出口ポート130bを通ってその内部流路131を循環するようになっている。このセンサホルダ130には、そのL字状平面に沿って複数チャンネル分のセンサ装着孔132がZ軸方向にアレイ状に穿設されている。内部流路131も図43に示す如く、各センサ列に沿ってY軸(X軸)方向に走行し、かつ、直列にまたは並列に入り口ポート13aおよび出口ポート130bに連通している。SQUIDセンサ100は、前述と同様に複数の装着孔132のそれぞれに装着され、ホルタ内部を循環する冷媒の熱伝導などに因り冷却される。
【0159】
なお、上述したL字型または略L字型のセンサホルダを用いた生体磁気計測装置の別の例を図44に示す。冷媒循環パイプ92の一部をデュワ90の外部に断熱して設置するとともに、SQUIDセンサ100の群の一部に交換容易型のセンサ部SA,SBを形成している。
【0160】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の生体磁気計測装置によれば、磁気センサを設置する容器の形状を任意に且つ安価に形成できる。このように任意形状に形成した場合でも各磁気センサの正確な冷却性能を確保できる。
【0161】
また、磁気センサを収容する容器をコンパクト化および軽量化でき、さらに、メインテナンス性を向上させる。
【0162】
さらに、被験者の体表とセンサ面との間の距離を最短に且つ体表全体に渡ってほぼ一定に設定できるので、これにより、被験者の診断部位から出ている磁界をなるべく多く検知して、検知信号のS/Nを向上させることができる。とくに、心磁界計測用の装置において、胸前部や胸側部、または、これらに後背部を加え、それらの体表部位から放射されている磁束を同時に計測し、検知信号のS/Nを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る生体磁気計測装置のL字型デュワの構造を中心とした全体構造を示す構成図。
【図2】L字型デュワの外観の一連を示す斜視図。
【図3】ヒートパイプの原理を説明する説明図。
【図4】L字型デュワのヒートパイプおよびSQUIDセンサの配置状況を説明する部分的な断面図。
【図5】SQUIDセンサの取り付けの一例を示す説明図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る生体磁気計測装置のL字型デュワの構造を中心とした全体構造を示す構成図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る生体磁気計測装置のコ字型デュワの構造を中心とした全体構造を示す構成図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る生体磁気計測装置のL字型デュワの構造および可倒動作を説明する図。
【図9】第4の実施形態に係る生体磁気計測装置のL字型デュワの構造および可倒動作を説明する図。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る生体磁気計測装置の台座の移動構造を説明する図。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る生体磁気計測装置の台座の支持構造を説明する図。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る生体磁気計測装置のL字型デュワの切込み部を説明する図。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る生体磁気計測装置のL字型デュワの冷却機構を概念的に説明する構成図。
【図14】第8の実施形態の変形例に係る生体磁気計測装置のL字型デュワの冷却機構を概念的に説明する構成図。
【図15】本発明の第9の実施形態に係る生体磁気計測装置におけるL字型デュワのヒートパイプの断面図。
【図16】第9の実施形態の1つの変形例に係るヒートパイプの断面図。
【図17】第9の実施形態の別の変形例に係るヒートパイプの断面図。
【図18】本発明の第10の実施形態に係る生体磁気計測装置のL字型デュワおよびその冷却機構の構造を示す図。
【図19】第10の実施形態の1つの変形例に係るセンサ取り付け構造を説明する図。
【図20】第10の実施形態の別の変形例に係るヒートパイプ支持構造を説明する図。
【図21】図20における横方向からみた一部破断した図。
【図22】図20における上方向からみた外観図。
【図23】本発明の第11の実施形態に係る生体磁気計測装置に適用される平面型ヒートパイプの概略構成図。
【図24】(a),(b)共に平面型ヒートパイプの側面から見た外観図。
【図25】平面型ヒートパイプの冷媒循環を説明する図。
【図26】本発明の第12の実施形態に係る生体磁気計測装置の冷媒循環型のデュア構造を概念的に示す構成図。
【図27】図26の概念的構成に基づく冷媒循環路の構成の一例を示す斜視図。
【図28】冷媒循環パイプの断面形状の一例を示す図。
【図29】冷媒循環パイプの断面形状の他の一例を示す図。
【図30】SQUIDセンサの一例を示す図。
【図31】図30のSQUIDセンサをセンサホルダに装着した状態を例示する図。
【図32】SQUIDセンサの別の一例を示す図。
【図33】SQUIDセンサのさらに別の一例を示す図。
【図34】図33のSQUIDセンサをセンサホルダに装着した状態を例示する図。
【図35】SQUIDセンサ(高温超伝導タイプ)のさらに別の一例を示す図。
【図36】SQUIDセンサのセンサホルダへの装着例を示す概略図。
【図37】冷媒循環装置の概略構成を説明する系統ブロック図。
【図38】センサホルダのデュワ内壁への取付け構造およびデュアの開閉構造を示すデュワの一端部の部分断面図。
【図39】センサホルダのデュワ内壁への取付け構造およびデュアの開閉構造を示すデュワの他端部の部分断面図。
【図40】デュアの下面カバーの開閉自在構造の一例を示す概念図。
【図41】デュアの下面カバーの開閉自在構造の別の例を示す概念図。
【図42】デュア構造の別の例を示す斜視図。
【図43】図42中のA−A′線に沿った概略断面図。
【図44】冷媒循環装置を用いた生体磁気計測装置の別の例を概念的に示す図。
【図45】アームレストを用いるときの被験者の計測体位を説明する図。
【図46】アームレストの一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 寝台
1N 天板
2 センサ部
3 L字型デュワ
3U 上側カバー
3L 下側カバー
3M 切込み部
3R アームレスト
4 台座
4a テーパ面
4b 脚部
5 駆動・処理ユニット
6 冷却機構
11a,11b 外側、内側ケーシング
21 SQUIDセンサ
25 参照コイル群
31 冷凍機(冷媒タンク)
32,32X,32Y,32S,32U,32L,32A,32B ヒートパイプ
54 連結ホース
55 真空ポンプ
57 断熱材
58 熱伝導体
61 L字型デュワ
61X 横方向デュワ
61Y 縦方向デュア
62 連結部材
63 支柱
64 アーム
66 コ字型デュワ
66S 縦方向デュワ
66U 上側横方向デュワ
66L 下側横方向デュワ
68 連結用蝶番
69 キャスタ
70 L字型デュワ
71 冷却機構
80 平面型ヒートパイプ
90 L字型デュワ
91 センサホルダ
91c 装着孔
92 冷媒循環パイプ
94 冷媒循環装置
100 SQUIDセンサ
101 検出コイル
102 SQUIDチップ
103 ボビン
103a 装着部
103b ストッパ
103d 貫通孔
111 凝集装置
112 貯蔵タンク
113 ポンプ
130 略L字型のデュワ
131 内部流路
132 センサ装着孔
P 被験者
IS 内部空間
ISx,ISy 幅方向、高さ方向空間部
ISc 湾曲空間部
C 湾曲部
PW 冷媒流路

Claims (25)

  1. 被験者の磁気信号を検出するために配置される冷却容器を備えた生体磁気計測装置において、
    前記冷却容器を、略板状の外観を呈し且つその内部に略板状の空間を有する構造体をその途中で略直角に湾曲させ、その側面に対向する方向から見て略L字型の冷却容器に形成し、前記冷却容器は、当該冷却容器の側面に対向する方向から見た状態で、被験者を横たえる寝台の天板との間で診断時に略コ字状の位置関係を形成し、この冷却容器の湾曲部から延びる2つの平坦部が被験者の胸部前面と胸部側面とを連続的に覆うように配置して、被験者の心臓から生じる磁気を計測するようにし、
    このL字型冷却容器の内部空間に、前記磁気信号を検出する複数個のSQUIDセンサと、この複数個のSQUIDセンサを低温状態に冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  2. 請求項記載の発明において、
    前記被験者の一方の肩に相当する前記冷却容器の前記湾曲部の角部に、被験者の腕を通すための切込み部を形成したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  3. 請求項記載の発明において、
    前記冷却容器は、非磁性で且つ電気絶縁性の材料から成ることを特徴とした生体磁気計測装置。
  4. 請求項記載の発明において、
    前記冷却手段は、作動媒体を充填したヒートパイプであり、このヒートパイプの一端の凝集部を冷却装置に結合し、他端の蒸発部に前記複数のSQUIDセンサを結合する一方で、前記冷却装置を前記冷却容器の外部に配置し
    前記ヒートパイプは前記冷却容器の内部空間にその略L字状の湾曲方向に沿って複数本配置し、各ヒートパイプの蒸発部に前記SQUIDセンサを複数個、その軸方向の複数個の位置に取り付けたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  5. 請求項記載の発明において、
    前記SQUIDセンサの一つとして、環境磁場を除去するために用いる参照用のSQUIDセンサを前記冷却容器の内部空間の湾曲部に配置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  6. 請求項記載の発明において、
    前記内部空間を所定真空度の真空状態に保持する真空保持手段を設けたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  7. 請求項記載の発明において、
    前記冷却容器の湾曲部の湾曲度を、前記被験者の胸部前面と胸部側面との間の体表の湾曲状態に合わせたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  8. 請求項記載の発明において、
    前記冷却容器を前記寝台に対して可倒動作可能に支持する支持手段を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  9. 被験者の磁気信号を検出するために配置される冷却容器を備えた生体磁気計測装置において、
    前記冷却容器を、それぞれが内部に略板状の空間を有する別体の構造体を互いに略直角に突き合わせ、それら構造体の側面に対向する方向から見て略L字型に配置し、
    この各構造体の内部空間に、前記磁気信号を検出する複数個のSQUIDセンサと、この複数個のSQUIDセンサを低温状態に冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  10. 請求項記載の発明において、
    前記冷却容器を前記寝台に対して可倒動作可能に支持する支持手段を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  11. 被験者の磁気信号を検出するために配置される冷却容器を備えた生体磁気計測装置において、
    前記冷却容器を、それぞれが内部に略板状の空間を有する別体の構造体を互いに略直角に突き合わせ、それら構造体の側面に対向する方向から見て略コ字型に配置し、
    この各構造体の内部空間に、前記磁気信号を検出する複数個のSQUIDセンサと、この複数個のSQUIDセンサを低温状態に冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  12. 請求項11記載の発明において、
    前記被験者を載せる寝台を備え、この寝台は、前記コ字型冷却容器の下方の構造体が当該寝台下への位置決めを許容する退避構造になっていることを特徴とした生体磁気計測装置。
  13. 請求項または11記載の発明において、
    前記冷却容器を床上で移動可能に支持する支持手段を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  14. 請求項1、9または11記載の発明において、
    作動媒体が充填され且つ断熱部を介して凝集部および蒸発部を両端部にそれぞれ生じるヒートパイプと、このヒートパイプの蒸発部に取り付けられ且つ冷却状態で前記磁気信号を検出するセンサとを備え、前記ヒートパイプの凝集部には冷却源を取り付けたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  15. 請求項14記載の発明において、
    前記センサは熱伝導媒体を介して間接的に前記ヒートパイプに取り付けたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  16. 請求項15記載の発明において、
    前記冷却装置を前記冷却容器から離間して設け、前記断熱部を断熱材により断熱したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  17. 請求項14記載の発明において、
    1本の前記ヒートパイプの蒸発部に前記センサを複数個、そのパイプの軸方向に沿って並置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  18. 請求項1、9または11記載の発明において、
    前記冷却容器内にあって冷媒を通過させるとともにその冷媒によって前記磁気信号を検出する磁気センサを冷却可能に保持する保持手段と、前記冷却容器の外部に設けられ且つ前記手段に前記冷媒を強制的に循環させる強制循環手段とを備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  19. 請求項18記載の発明において、
    前記保持手段は、前記被験者の体軸方向から見たときに所定厚さのL字状または略L字状の形状を成し、その被検体の胸部前面から一方の胸部側面にかけた領域を覆うように形成したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  20. 請求項18記載の発明において、
    前記保持手段は、その側面方向から見たときにL字状または略L字状を成すパイプ状の部材であってこの部材を前記被験者の体軸方向にアレイ状に複数本配設し且つその軸方向に沿って前記SQUIDセンサを複数個保持する構造の複数本のセンサホルダと、この複数本のセンサホルダのそれぞれと対を成し且つ前記冷媒を循環させる複数本のパイプ部材とを備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  21. 請求項20記載の発明において、
    前記センサホルダのそれぞれは前記SQUIDセンサを着脱自在に装着する装着孔を備え、その装着孔はそのパイプ状のセンサホルダの内部空間に開口して穿設したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  22. 請求項21記載の発明において、
    前記センサホルダはその軸方向に直交する断面が四角形またはコの字形に形成したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  23. 請求項18記載の発明において、
    前記保持手段は、その側面方向から見たときにL字状または略L字状を成し内部空間を有する板状部材であってこの部材を前記被験者の体軸方向に直交する横向きに配設し且つ前記SQUIDセンサを2次元的に複数個保持する1個のセンサホルダと、このセンサホルダの内部空間に連通し前記冷媒を循環させるパイプ部材とを備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  24. 請求項18記載の発明において、
    前記冷却容器は、前記被験者に対向した容器側面を残りの容器本体に対して開閉自在に取り付けたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  25. 請求項18記載の発明において、
    前記強制循環手段は、前記保持手段の冷媒流路に連結され且つ循環してきた冷媒を液化する凝集装置と、この液化された冷媒を貯蔵するタンクと、この貯蔵された冷媒を吐出するポンプとを備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
JP21808798A 1998-07-31 1998-07-31 生体磁気計測装置 Expired - Fee Related JP4034429B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21808798A JP4034429B2 (ja) 1998-07-31 1998-07-31 生体磁気計測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21808798A JP4034429B2 (ja) 1998-07-31 1998-07-31 生体磁気計測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000041965A JP2000041965A (ja) 2000-02-15
JP4034429B2 true JP4034429B2 (ja) 2008-01-16

Family

ID=16714442

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21808798A Expired - Fee Related JP4034429B2 (ja) 1998-07-31 1998-07-31 生体磁気計測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4034429B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10918293B2 (en) 2016-03-03 2021-02-16 Ricoh Company, Ltd. Magnetic measuring apparatus

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001314388A (ja) * 2000-05-10 2001-11-13 Toshiba Corp 生体磁気計測装置
US7104687B2 (en) * 2001-06-07 2006-09-12 Hitachi Medical Corporation X-ray diagnosis apparatus having a common cooler
JP2013124873A (ja) 2011-12-13 2013-06-24 Seiko Epson Corp 磁場測定装置及びセルアレイ
CN105188529B (zh) * 2013-03-13 2019-05-07 安都磁学有限公司 磁性检测器
JP7075340B2 (ja) * 2016-06-03 2022-05-25 国立大学法人 東京医科歯科大学 生体磁気測定装置
US11666261B2 (en) 2017-10-16 2023-06-06 National University Corporation Tokyo Medical And Dental University Biomagnetism measurement device
KR102017597B1 (ko) * 2017-10-19 2019-09-03 전남대학교산학협력단 스퀴드를 이용한 의료용 마이크로/나노로봇의 자율 내비게이션 시스템
WO2023203636A1 (ja) * 2022-04-19 2023-10-26 Tdk株式会社 計測装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10918293B2 (en) 2016-03-03 2021-02-16 Ricoh Company, Ltd. Magnetic measuring apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000041965A (ja) 2000-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4996479A (en) Magnetometer device with a Dewar vessel for measuring weak magnetic fields
US5442289A (en) Biomagnetometer having flexible sensor
US5713354A (en) Biomagnetometer with whole head coverage of a seated reclined subject
US5471985A (en) Biomagnetometer with whole head coverage of a seated or reclined subject
US9714992B2 (en) Versatile superconducting magnet for extremities magnetic resonance imaging
JP4138922B2 (ja) パルスチューブ冷凍機
US10184711B2 (en) Cryogenic cooling system
US7881760B2 (en) Measuring structure for magneto encephalographic equipment with a superconducting magnetic-shield
JP4034429B2 (ja) 生体磁気計測装置
US5061680A (en) Superconducting biomagnetometer with remote pickup coil
JPH07213506A (ja) 核スピン共鳴トモグラフィ装置
EP0436711A4 (en) Biomagnetometer with remote pickup coil
JP4077945B2 (ja) 生体磁気計測装置
EP2972443B1 (en) Versatile superconducting magnet for extremities magnetic resonance imaging
JP3907753B2 (ja) 医用診断システム用の位置決め装置及びその位置決め方法
US20220178497A1 (en) Cryostat for operation with liquid helium and method of operating the same
US7482808B2 (en) Superconductive magnet apparatus and magnetic resonance imaging apparatus
Laine et al. Zero Helium Boiloff MEG Technology
JP3743385B2 (ja) 心磁測定装置
JP3260086B2 (ja) 磁気共鳴映像装置
JP5253926B2 (ja) 脳磁計
JPH0640868B2 (ja) 生体磁場計測装置
JPH03112537A (ja) Mri装置
JPH0975314A (ja) 脳磁界測定装置および方法
JP2000126153A (ja) 超電導磁石装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050719

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070928

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071023

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071025

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees