JP4033484B2 - 液晶パネル、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、該垂直配向モードの液晶パネルは、斜め方向から見た場合、光漏れによって黒表示に着色が生じるという問題がある。
この問題は、クロスニコルに配された2枚の偏光子の見かけの軸ずれと、液晶セルの厚み方向位相差と、の双方に起因する。
かかる偏光子の軸ずれを補償するために、短波長になるほど位相差が実質的に小さくなる特性を示す位相差フィルムを配置すると共に、さらに、液晶セルの厚み方向位相差を補償するために、短波長になるほど位相差が大きくなる特性を示す位相差フィルムを配置した液晶パネルが知られている(特許文献1)。つまり、この液晶パネルは、位相差の波長分散曲線が反対の、少なくとも2枚の位相差フィルムが設けられている。
しかしながら、上記従来の液晶パネルでは、光学特性の異なる2種類の位相差フィルムを設けなければならない。このため、液晶パネルの全体厚みが相対的に厚くなり、その結果、液晶パネルの薄型化の要望に対応できない。さらに、液晶パネルのコストアップともなる。
ただし、Rth(B)は、液晶セルの青領域を透過する波長450nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。Rth(G)は、液晶セルの緑領域を透過する波長546nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。Rth(R)は、液晶セルの赤領域を透過する波長633nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。
厚み方向位相差値Rth=[{(nx1+ny1)/2}−nz1]×d1で表される。nx1は、液晶セルの面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる方向)の屈折率を、ny1は、液晶セルの面内に於けるY軸方向(面内においてX軸に直交する方向)の屈折率を、nz1は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を、d1は、液晶セルの厚み[nm]を示す。
さらに、液晶パネルは、液晶セルの青領域、緑領域及び赤領域を透過する光に対する液晶セルの厚み方向位相差値Rth(B)、Rth(G)及びRth(R)が、|Rth(B)|<|Rth(G)|< |Rth(R)|の関係を満たすように形成されている。このため、波長が長くなるに従い位相差が大きくなる光学特性を示す上記光学補償層によって、液晶セルの厚み方向位相差を良好に補償することができる。
従って、本発明の液晶パネルは、黒表示時に、視野角変化に伴う着色を抑制できる。
さらに、本発明の液晶パネルは、上記光学補償層によって偏光子の軸ずれと液晶セルの位相差とを補償することができる。このため、本発明の液晶パネルは、光学特性の異なる2種以上の光学補償層を使用する従来の液晶パネルに比して、製品のコストダウンを図れ、さらには、液晶パネルを薄型化することも可能である。
ただし、nx2は、光学補償層の面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる方向)の屈折率を、ny2は、光学補償層の面内に於けるY軸方向(面内においてX軸に直交する方向)の屈折率を、nz2は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を示す。このように光学的二軸性の光学補償層を用いれば、1種類の光学補償層によって、偏光子の軸ずれと液晶セルの厚み方向位相差を補償できる。
さらに、本発明の好ましい態様では、光学補償層が、セルロース系フィルムを含む上記液晶パネルを提供する。
また、本発明の好ましい態様では、上記光学補償層が、繰り返し単位として下記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造のうち少なくとも何れかを有する鎖状ポリマーを配向させたフィルムを含む上記液晶パネルを提供する。
<液晶パネルの構成例>
図1に於いて、液晶パネル100は、青、緑、赤の各色領域を有するカラーフィルターを有する液晶セル20と、該液晶セル20の一方面側(視認側)に設けられた第1の偏光子10と、該液晶セル20の他方面側(バックライト側)に設けられた第2の偏光子40と、第1の偏光子10及び第2の偏光子40の層間に設けられた光学補償層30と、を備えている。この光学補償層30は、波長が長くなるに従って位相差が大きくなる光学特性(以下、この光学特性を「逆波長分散」という場合がある)を示す光学部材である。本発明の光学補償層30は、その面内位相差及び厚み方向位相差の何れもが、逆波長分散を示す。この光学補償層の具体的構成は、下記に於いて詳述する。
光学補償層30は、図示したように、液晶セル20のバックライト側(液晶セル20と第2の偏光子40の間)に設けられていてもよい。ただし、光学補償層30は、液晶セル20の視認側(液晶セル20と第1の偏光子10の間)に設けられていてもよい。また、両側にそれぞれ光学補償層を設けることも可能である。また、光学補償層30は、液晶セル20の表面に、粘着剤などの接着成分を介して直接接着されていることが好ましい。ただし、液晶セル20と光学補償層30の間に、他の光学部材が介在していてもよい。
尚、特に図示しないが、各偏光子10,40の外面や、液晶セルの表面などに、保護フィルムなどの各種の層が設けられていてもよい。
本発明の液晶セルは、液晶セルの各色領域を透過する光に対する液晶セルの厚み方向位相差値Rth(B)、Rth(G)及びRth(R)が、|Rth(B)|<|Rth(G)|< |Rth(R)|の関係を満たすように形成されている。
Rth(B)は、液晶セルの青領域を透過する波長450nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。Rth(G)は、液晶セルの緑領域を透過する波長546nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。Rth(R)は、液晶セルの赤領域を透過する波長633nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。
厚み方向位相差値Rthは、23℃で波長λ[nm]における厚み方向の位相差値であり、式(1):Rth=[{(nx1+ny1)/2}−nz1]×d1で求められる。
式(1)に於いて、nx1は、液晶セルの面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる方向)の屈折率を、ny1は、液晶セルの面内に於けるY軸方向の屈折率を、nz1は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を、d1は、液晶セルの厚み[nm]を示す。
この点、本発明の液晶セルは、|Rth(B)|<|Rth(G)|< |Rth(R)|とされているので、波長が長くなるに従い位相差が大きくなる上記光学補償層によって、液晶セルの厚み方向位相差を良好に補償することができる。
例えば、上記Rth(B)とRth(G)の差(|Rth(G)|−|Rth(B)|)は、好ましくは10nm以上であり、さらに好ましくは20nm以上である。一方、その上限は、好ましくは50nm以下である。
上記液晶セルのRth(B)とRth(G)の比(Rth(B)/Rth(G))は、好ましくは0.90以下であり、さらに好ましくは0.70〜0.90であり、特に好ましくは0.75〜0.90である。
上記液晶セルのRth(G)とRth(R)の比(Rth(R)/Rth(G))は、好ましくは1.05以上であり、さらに好ましくは1.05〜1.20であり、特に好ましくは1.05〜1.15である。
一般に、液晶セルは、上述のように、一対の基板、液晶層、カラーフィルター及び液晶材料を駆動させる電極素子などの構成部材からなる。垂直配向モードの液晶セルは、これら構成部材のうち、液晶層とカラーフィルターの厚み方向位相差が大きく影響する。また、垂直配向モードの液晶セルは、通常、波長が長くなるに従って位相差が小さくなる波長分散(正波長分散ともいう)を示す。従って、液晶層とカラーフィルターの厚み方向位相差を制御することで、上記関係を満たす液晶セルを作製できる。
具体的に、上記関係を満たす液晶セルの作製方法としては、例えば、(1)液晶層の厚みを各色領域毎に変える方法、(2)各色カラーフィルターの厚み方向位相差を変える方法、(3)前記(1)及び(2)の双方を用いる方法などが挙げられる。
以下、「厚み方向位相差」という用語を「Rth」と記載する場合がある。
上記Db<Dg<Drに形成する方法としては、(i)各色フィルターの厚みを変える方法、(ii)基板に所定パターンで凹凸を形成する方法、などが挙げられる。
上記各色フィルター(及び上記透明材料)の形成は、例えば、印刷法、フォトリソグラフィー法などで行うことができる。印刷法としては、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などが例示できる。印刷法を採用する場合には、各色フィルターを構成する着色組成物の印刷厚を、各色毎に設定する。フォトリソグラフィー法の場合には、着色組成物を厚みに塗工後、露光及び現像を行う。塗工時、各色の着色組成物の塗工厚を、各色毎に設定する。該塗工は、例えば、スピンコート法によって行うことができる。塗工厚の調整は、スピンコーターの回転数や回転時間を調整することにより行うことができる。
少なくとも1つの色領域の色素担体の樹脂を他の色領域の色素担体の樹脂と異なるRthを持つ樹脂を使用することが好ましい。青領域、緑領域及び赤領域のすべての色素担体の樹脂として、異なるRthを持つ樹脂を使用することも好ましい。
尚、カラーフィルターの着色組成物や形成方法については、下記に詳述する。
分子量の大きい樹脂の方が分子間の絡みが起き易いことから、溶剤に溶かした時に同一濃度であっても粘度は大きくなる。よって、塗工後の乾燥工程において、より早い段階から分子状態が固定される。この為、その後の更なる乾燥工程においてRthが発現する際に、分子量の小さい樹脂を使用した時に比べて相対的に大きなRthが発生する。この状態で電子線や熱、あるいはその他の方法で架橋することにより、Rthを制御した硬化物が得られる。
また、例えば水素基や炭化水素基をフッ素基に置換する方法でもRthを制御することができる。
カラーフィルターの各色領域は、着色組成物を視認側の透明基板に塗工することにより形成されている。着色組成物は、透明樹脂及びその前駆体からなる色素担体と、色素とを有し、好ましくは光重合開始剤を更に含有する。
透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。これらは単独で、または2種以上混合して用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
顔料のなかでは、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
以下に、本発明の着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色感光性着色組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
緑色感光性着色組成物には黄色顔料を併用することができる。
青色感光性着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
黒色感光性着色組成物には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料の混合物を用いることもできる。
黒色顔料としては、価格、遮光性の大きさからカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。
また、色調を調整するため、黒色感光性着色組成物には、青色顔料や紫色顔料を併用することができる。
更に、カーボンブラックの平均1次粒子径は、20〜50nmであることが好ましい。平均1次粒子径が20nm未満のカーボンブラックは、高濃度に分散させることが困難であり、経時安定性の良好な感光性黒色組成物が得られ難く、50nmより大きいカーボンブラックを用いると、ブラックマトリックス形状の劣化を招くことがあるためである。
無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。本発明の着色組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられる。これらは単独で又は混合して用いることができる。
また、2種以上の色素を含む感光性着色組成物は、各色素を別々に色素担体および溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。
色素を色素担体および溶剤中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、色素誘導体等の分散助剤を含有させることができる。
分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きい。このため、分散助剤を用いて顔料を色素担体および溶剤中に分散してなる感光性着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルターが得られる。
樹脂型顔料分散剤としては、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用できる。これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
光重合開始剤の使用量は、感光性着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜45質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは4〜10質量%である。
また、増感剤の中でも4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、より好ましくは4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜55質量%が好ましく、より好ましくは2.5〜40質量%で、更に好ましくは3.5〜25質量%である。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
尚、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明の光学補償層は、逆波長分散を示すものが用いられる。光学補償層は、単一層で構成されていてもよいし、複層で構成されていてもよい。光学補償層が、単一層から構成されている場合には、薄型軽量化に優れた液晶パネルを提供できる。
ただし、nx2は、光学補償層の面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる方向)の屈折率を、ny2は、光学補償層の面内に於けるY軸方向の屈折率を、nz2は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を示す。
ただし、Re(450)、Re(550)及びRe(650)は、23℃で波長450nm、550nm、650nmにおける光学補償層の面内位相差値であり、式(2):Re(λ)=(nx2−ny2)×d2で求められる。
Rth(450)、Rth(550)及びRth(650)は、23℃で波長450nm、550nm、650nmにおける光学補償層の厚み方向の位相差値であり、式(3):Rth(λ)=[{(nx2+ny2)/2}−nz2]×d2で求められる。
式(2)及び(3)に於いて、nx2は、光学補償層の面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる方向)の屈折率を、ny2は、光学補償層の面内に於けるY軸方向の屈折率を、nz2は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を、d2は、光学補償層の厚み[nm]を示す。
上記のような位相差特性(Re、Rth及びNz係数)を示す光学補償層を用いることにより、偏光子の軸ずれや液晶セルのRthを良好に補償して視野角特性に優れた液晶パネルを提供できる。
上記セルロース系ポリマーは、アセチル基およびプロピオニル基以外のその他の置換基を有し得る。その他の置換基としては、例えば、プチレート等のエステル基;アルキルエーテル基、アルキレンエーテル基等のエーテル基;等が挙げられる。
このような高分子材料としては、例えば、セルロースブチレート等のセルロースエステル;メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテル;等が挙げられる。
上記セルロース系ポリマーを用いる場合、そのフィルムの厚みは、好ましくは50〜150μm、より好ましくは60〜140μm、さらに好ましくは70〜130μmである。
上記フィルムは、任意の適切な成形法によって得ることができる。該成形法としては、例えば、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、ソルベントキャスティング法等が挙げられる。好ましくは、上記成形加工法は、ソルベントキャスティング法または押出成形法である。上記ソルベントキャスティング法は、例えば、主成分となるポリマーや添加剤を含む組成物が溶剤に溶解された濃厚溶液(ドープ)を、脱泡した後、エンドレスステンレスベルトまたは回転ドラムの表面に流延し、溶剤を蒸発させてフィルムを成形する方法である。また、上記押出成形法は、例えば、主成分となるポリマーや添加剤を含む組成物を加熱溶融し、Tダイ等を用いて、キャスティングロールの表面に押出して、冷却させてフィルムを形成する方法である。上記の方法を採用することによって、厚み均一性に優れたフィルムを得ることができる。
本発明の液晶パネルの偏光子は、自然光又は偏光から直線偏光を透過できるものであれば、適宜なものを採用できる。該偏光子としては、好ましくは、ヨウ素または二色性染料を含有するビニルアルコール系ポリマーを主成分とする延伸フィルムである。上記偏光子の厚みは、通常、5μm〜50μmである。上記ヨウ素または二色性染料を含有するビニルアルコール系ポリマーを主成分とする延伸フィルムは、例えば、特開2003−240952号公報の実施例1の方法により得ることができる。
本発明の液晶パネルは、液晶表示装置に組み込んで使用される。液晶表示装置は、液晶パネルの背面から光を照射して画面を見る、透過型であっても良いし、液晶パネルの視認側から光を照射して画面を見る、反射型であっても良い。また、上記液晶表示装置は、透過型と反射型の両方の性質を併せ持つ、半透過型であっても良い。
<シミュレーションの条件>
液晶表示器用設計シミュレータソフト(SHINTECH社製、商品名:LCD master)を用い、該ソフトのパラメータを表1のように設定した。
参考例1の液晶パネルは、視認側から順に、偏光子/トリアセチルセルロースフィルム/カラーフィルター/液晶セル/光学補償層/偏光子という層構成に設定した。
該液晶セルは、VA型で、液晶層の厚みが3.2μmの場合には、表2のRthを示す。光学補償層は、逆波長分散で且つ光学的二軸性(屈折率楕円体がnx>ny>nz)の位相差板を1枚使用に設定した。
表2のとおり、トリアセチルセルロースフィルム(以下、TACという)及び光学補償層のRthを設定し、これにカラーフィルターのRthを加算し(本シミュレーションではカラーフィルターのRthを零に設定した。参考例2及び比較参考例1〜3も同様にカラーフィルターのRthを零に設定した。)、各色領域の液晶層の最適厚みを求めた。
なお、コントラストコーン図は、その円の中心が正面から視た場合のコントラストを示し、円の中心から遠くなるほど斜めから見た場合(視野角を倒した場合)のコントラストを示す。参考例2及び比較参考例1〜3のコントラストコーン図も同様である。
また、図2Bに、参考例1の液晶パネルの極角変化によるカラーシフト(極角を変化させた際のカラーシフト)を、図2Cに、参考例1の液晶パネルの方位角変化によるカラーシフト(方位角を変化させた際のカラーシフト)を、それぞれ示す。
なお、極角変化は、方位角を45°とし、視野角を0°〜80°まで順に傾けた場合のxyをプロットしている。方位角変化は、極角を60°とし、方位角を0°〜360°に順次変化させた場合のxyをプロットしている。参考例2及び比較参考例1〜3の極角変化及び方位角変化も同様である。極角変化及び方位角変化の何れも、色度図上の点の動き(各図において、点の軌跡が黒色の実線で表されている)が小さいほど、カラーシフト(色変化)が小さいことを示す。
参考例1の液晶パネルは、光学補償層が逆波長分散の位相差板であり、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|Rth(B)|<|Rth(G)|<|Rth(R)|の関係を満たしている。具体的には、表2の「最適厚みのVA型液晶層のRth」の欄に於いて、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|−249.4|<|−297.7|<|−313.8|の関係を満たしている。かかる液晶パネルは、広視野角化及び低カラーシフト化を実現できる。
参考例2の液晶パネルは、視認側から順に、偏光子/光学補償層/カラーフィルター/液晶セル/光学補償層/偏光子という層構成に設定した。
液晶セルの両側にそれぞれ配置された各光学補償層は、逆波長分散で且つ光学的二軸性(屈折率楕円体がnx>ny>nz)の位相差板を1枚ずつ使用に設定した。
表2のとおり、光学補償層のRthを設定し、これにカラーフィルターのRthを加算し(本シミュレーションではカラーフィルターのRthを零に設定)、各色領域の液晶層の最適厚みを求めた。以下、参考例1と同様にしてシミュレートした。
参考例2の液晶パネルも参考例1と同様に、白色部分が多く、広視野角であることがわかる。また、参考例2の液晶パネルのカラーシフトは、図3B及び図3Cに示すように、比較参考例2に比べて小さかった。
参考例2の液晶パネルは、光学補償層が逆波長分散の位相差板であり、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|Rth(B)|<|Rth(G)|<|Rth(R)|の関係を満たしている。具体的には、表2の「最適厚みのVA型液晶層のRth」の欄に於いて、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|−271.2|<|−297.7|<|−306.9|の関係を満たしている。かかる液晶パネルは、広視野角化及び低カラーシフト化を実現できる。
比較参考例1の液晶パネルは、視認側から順に、偏光子/TAC(2枚)/カラーフィルター/液晶セル/光学補償層/偏光子という層構成を設定した。
比較参考例1では、TACを2枚積層使用し、光学補償層として、正波長分散(波長が長くなるに従って位相差が小さくなる波長分散)で且つ光学的二軸性(屈折率楕円体がnx>ny>nz)の位相差板を1枚使用に設定した。
比較参考例1の液晶パネルは、図4Aから明らかなように、黒色部分が多く、視野角が狭いことがわかる。また、比較参考例1の液晶パネルのカラーシフトは、図4B及び図4Cに示すように、参考例1に比べて大きかった。
比較参考例1の液晶パネルは、光学補償層が正波長分散の位相差板であり、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|Rth(B)|<|Rth(G)|<|Rth(R)|の関係を満たしている。具体的には、表3の「最適厚みのVA型液晶層のRth」の欄に於いて、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|−249.4|<|−297.7|<|−313.8|の関係を満たしている。かかる液晶パネルは、光学補償板が、正波長分散なので、広視野角化及び低カラーシフト化を実現できない。
比較参考例2の液晶パネルは、視認側から順に、偏光子/光学補償層/カラーフィルター/液晶セル/光学補償層/偏光子という層構成を設定した。
比較参考例2では、液晶セルの両側にそれぞれ配置された各光学補償層は、正波長分散で且つ光学的二軸性(屈折率楕円体がnx>ny>nz)の位相差板を1枚ずつ使用に設定した。従って、光学補償層としては、正波長分散の位相差板を2枚使用したことに等しい。
比較参考例2の液晶パネルは、図5Aから明らかなように、黒色部分が多く、視野角が狭いことがわかる。また、比較参考例2の液晶パネルのカラーシフトは、図5B及び図5Cに示すように、参考例2に比べて大きかった。
比較参考例2の液晶パネルは、光学補償層が正波長分散の位相差板であり、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|Rth(B)|<|Rth(G)|<|Rth(R)|の関係を満たしている。具体的には、表3の「最適厚みのVA型液晶層のRth」の欄に於いて、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|−271.2|<|−297.7|<|−306.9|の関係を満たしている。かかる液晶パネルは、光学補償板が、正波長分散なので、広視野角化及び低カラーシフト化を実現できない。
比較参考例3の液晶パネルは、視認側から順に、偏光子/TAC/カラーフィルター/液晶セル/光学補償層/偏光子という層構成を設定した。
比較参考例3では、TACを1枚使用し、光学補償層として、逆波長分散で且つ光学的二軸性(屈折率楕円体がnx>ny>nz)の位相差板を1枚使用に設定した。
比較参考例3の液晶パネルは、図6Aから明らかなように、黒色部分が多く、視野角が狭いことがわかる。また、比較参考例3の液晶パネルのカラーシフトは、図6B及び図6Cに示すように、参考例1及び参考例2に比べて大きかった。
比較参考例3の液晶パネルは、光学補償層が逆波長分散の位相差板であり、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|Rth(B)|>|Rth(G)|>|Rth(R)|の関係を満たしている。具体的には、表3の「最適厚みのVA型液晶層のRth」の欄に於いて、各色領域(B,G,R)のRthの絶対値が、|−318.2|>|−297.7|>|−291.7|の関係を満たしている。かかる液晶パネルは、|Rth(B)|>|Rth(G)|>|Rth(R)|なので、光学補償板が逆波長分散であっても、広視野角化及び低カラーシフト化を実現できない。
Claims (8)
- 青、緑、赤の各色領域を有するカラーフィルターを有する液晶セルと、液晶セルの一方面側に設けられた第1の偏光子と、液晶セルの他方面側に設けられた第2の偏光子と、第1の偏光子及び第2の偏光子の層間に設けられた光学補償層と、を備え、
光学補償層は、波長が長くなるに従い面内位相差及び厚み方向位相差が大きくなる光学特性を示し、
液晶セルは、垂直配向モードの液晶層を有し、液晶セルの各色領域を透過する光に対する厚み方向位相差値Rth(B)、Rth(G)及びRth(R)が、|Rth(B)|<|Rth(G)|< |Rth(R)|の関係を満たすことを特徴とする液晶パネル。
ただし、Rth(B)は、液晶セルの青領域を透過する波長450nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。Rth(G)は、液晶セルの緑領域を透過する波長546nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。Rth(R)は、液晶セルの赤領域を透過する波長633nmの光に対する液晶セルの厚み方向位相差値を示す。
厚み方向位相差値Rth=[{(nx1+ny1)/2}−nz1]×d1である。nx1は、液晶セルの面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる方向)の屈折率を、ny1は、液晶セルの面内に於けるY軸方向の屈折率(面内においてX軸に直交する方向)を、nz1は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を、d1は、液晶セルの厚み[nm]を示す。 - 前記光学補償層が、単一層からなる請求項1に記載の液晶パネル。
- 前記液晶セルは、青領域に対応する液晶層の厚みDb、緑領域に対応する液晶層の厚みDg、及び赤領域に対応する液晶層の厚みDrが、Db<Dg<Drに形成されている請求項1または2に記載の液晶パネル。
- 前記光学補償層が、nx2>ny2>nz2の光学特性を示すものである請求項1〜3のいずれかに記載の液晶パネル。
ただし、nx2は、光学補償層の面内に於けるX軸方向(面内に於いて屈折率が最大となる方向)の屈折率を、ny2は、光学補償層の面内に於けるY軸方向(面内においてX軸に直交する方向)の屈折率を、nz2は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を示す。 - 前記光学補償層が、液晶セルのバックライト側に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の液晶パネル。
- 前記光学補償層が、セルロース系フィルムを含む請求項1〜5のいずれかに記載の液晶パネル。
- 前記光学補償層が、繰り返し単位として下記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造のうち少なくとも何れかを有する鎖状ポリマーを配向させたフィルムを含む請求項1〜5のいずれかに記載の液晶パネル。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の液晶パネルを有する液晶表示装置。
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