JP4033464B2 - 床構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば一般住宅等の建築構造物の床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、住宅等の床は、床梁の上面にALC等からなる床材を直接載置した構造となっていることが多い。しかし、このような床の場合、床材上に物が落下したときや、床材上で子供が飛び跳ねたとき等に、床材に発生する振動や衝撃音が床梁を伝って床下に伝搬し易いといった問題があった。
【0003】
このため、床の防振性能を高めるために、床材そのものの重量を重くしたり、床梁や床材の剛性を大きくするといった対策が施されていたが、この場合、建物の重量が重くなり、骨組や基礎への影響が大きく、また大幅なコストアップを招くといった不具合があった。
【0004】
そこで、近年では、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように、床梁に弾性支持部材を介して床受部材を支持し、この床受部材の載置面に床材を載置した防振床が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2003-35003号公報
【特許文献2】
特開2002-201754号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1及び2に開示されている防振床の場合、床梁の上面に床材を直接載置していた従来の一般床と比較すると、床材表面すなわち床面の高さレベルが変化してしまい、このため掃き出しサッシや階段、コンポーネント内装材等の設計の見直が必要となったり、場合によっては建物の基本構造自体を大きく変更する必要が生じることがあった。特に、床受部材の載置面の高さレベルが、床梁の上面の高さレベルよりも高くなっていると、その分だけ床面の高さレベルが上がり、天井高さが低くなるといった問題も生じていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、床面の高さレベルを一般床の高さレベルと同等に低く抑えることができる防振機能を有する床構造の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明の床構造は、床梁の側部に弾性支持部材を介して床受部材を支持し、この床受部材に床材を設置してなり、前記床梁の上面と略同じ高さレベルに揃えた前記床受部材の載置面に前記床材を載置して、この床材の端部を前記床梁の直上に延出させるとともに、その端部下面を切り欠くことによって、前記床材の端部下面と前記床梁の上面との間に、前記床材の振動を許容する間隙を形成したことを特徴とする。
【0009】
具体的に、前記床受部材は、C形鋼からなり、その上側片の上面を前記載置面とするとともに、この載置面をH形鋼若しくはI形鋼からなる前記床梁の上フランジの上面と略同じ高さレベルに揃えている。
【0011】
さらに、前記弾性支持部材をH形鋼若しくはI形鋼からなる床梁へ取り付けるためのブラケットを備え、このブラケットは、前記床梁のウエブから上又は下フランジにかけて当てがわれた状態で、前記床梁に固定された固定片と、その固定片から側方へ張り出して、前記弾性支持部材を設置する設置片とを備えている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図において、(1)は、H形鋼からなる床梁であり、この床梁(1)の両側部には、ブラケット(2)(2)…を介して弾性支持部材(3)(3)…が取り付けられている。
【0013】
ブラケット(2)は、床梁(1)のウエブ(4)から下フランジ(6)にかけて当てがわれた状態で、床梁(1)に固定された略L形の固定片(7)と、その固定片(7)の垂直部(8)に溶接等によって固定されて、その垂直部(8)から床梁(1)の上下フランジ(5)(6)と平行に側方へ張り出した設置片(10)と、その設置片(10)よりも下側において、固定片(7)と設置片(10)に跨るように溶接等によって固定された略台形の一対のリブ片(11)(11)とを備えている。
【0014】
そして、床梁(1)のウエブ(4)に当てがわれた固定片(7)の垂直部(8)が、横ボルト(12)(12)…及びナット(13)(13)…によってウエブ(4)に固定されている。また、床梁(1)の下フランジ(6)に当てがわれた固定片(7)の水平部(9)が、縦ボルト(14)(14)…及びナット(15)(15)…によって下フランジ(6)に固定されている。このように、略L形の固定片(7)を、床梁(1)のウエブ(4)から下フランジ(6)にかけて当てがいながら固定することで、ブラケット(2)を床梁(1)に対して強固に固定することができる。
【0015】
弾性支持部材(3)は、例えば流体封入式マウントが用いられ、ブラケット(2)の設置片(10)に設置されている。この流体封入式マウントでは、振動が加わると、内部のゴム弾性体の変形により圧力変化が生じて、内部の低粘性流体又は高粘性流体がオリフィス通路を流動し、これによって振動を吸収する構造になっている。
【0016】
なお、流体封入式マウントには、パッシブタイプと、センサー付のアクティブタイプがあるが、床状況に応じていずれかを適宜選択すれば良い。また、弾性支持部材(3)としては、このような流体封入式マウントに限らず、例えば防振ゴム等を用いるようにしても良い。さらに、弾性支持部材(3)の種類を適宜変更することによって、床振動の低減を重視した構造、床衝撃音の低減を重視した構造、或いはこれらの双方を重視した構造とすることが可能となる。
【0017】
そして、床梁(1)の長手方向に間隔をあけて配置されている弾性支持部材(3)(3)…上には、床受部材(20)が取り付けられ、その床受部材(20)上に床材(21)(21)…の端部が設置されている。
【0018】
床受部材(20)は、例えば上側片(22)と下側片(23)の一端部同士を垂直片(24)によって一体的に連結したC形鋼からなり、これら各片(22)(23)(24)に跨る補強片(19)(19)…が要所要所に設けられている。この床受部材(20)は、その開放部分が床梁(1)と反対側を向くようにして、床梁(1)と平行に配置されている。そして、床受部材(20)の上側片(22)の上面は、床材(21)を載置する載置面(22a)となっており、この載置面(22a)の高さレベルが、床梁(1)の上フランジ(5)の上面と略同じ高さレベルに揃えられている。
【0019】
床材(21)は、例えばALCからなり、床受部材(20)の載置面(22a)の上面に載置されている。この床材(21)には、切欠部を介して連結ボルト(27)が上下方向に挿通されており、この連結ボルト(27)の下端部に取り付けた連結金具(28)を、床受部材(20)の上側片(22)に係合させることで、床材(21)が床受部材(20)上に固定されている。また、床材(21)の端部は、床梁(1)の直上にまで延出されて、その端部下面を切り欠くことによって、端部下面と床梁(1)の上フランジ(5)の上面との間に、床材(21)の振動を許容する間隙(30)が形成されている。これにより、床材(21)が振動しても、その振動が床梁(1)に伝搬しないようになっている。
【0020】
また、床材(21)(21)…の上面には、パーティクルボード等の下地材(26)及びフローリング材等の仕上材(25)が張り付けられている。
【0021】
上記構成の床構造においては、床面上での歩行や飛び跳ね、物の落下等に伴う振動が、弾性支持部材(3)(3)…によって減衰されるので、床振動や床衝撃音を低減することができる。
【0022】
しかも、床梁(1)の上面と略同じ高さレベルにある床受部材(20)の載置面(22a)に床材(21)(21)…を載置しているので、その床材(21)(21)…の表面が、床梁(1)の上面に直接載置した一般床の床材の表面と略同じ高さレベルに位置することになる。従って、各種内装材の設計の見直や、建物の基本構造自体の変更を必要とせず、また天井高さが低くなるといった問題も生じることはない。
【0024】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明では、防振機能を有する床の床面を、防振機能を有しない一般床の床面の高さレベルと同等に低く抑えることができる。これによって、内装材の設計の見直しや基本構造の変更等を伴わず、また天井高さが低くなるといった不具合も生じさせずに、防振機能を有する床を簡単かつ安価に提供することができるといった効果がある。
【0026】
また、床材の端部を、一般床の床材のように床梁に直上に配置することで、既存の床材配置パターンを大きく変更することなく、防振機能を有する床の施工が可能となる。しかも、この場合、床材の端部下面と床梁の上面との間に床材の振動を許容する間隙を形成すれば、床材の振動が床梁へ伝搬するのを防止することができる。
【0027】
さらに、ブラケットの固定片を、床梁のウエブから上又は下フランジにかけて当てがいながら床梁に固定することで、ブラケットを床梁に強固に固定して、床材を安定して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る床構造の要部の側面断面図である。
【図2】同じくその正面断面図である。
【図3】同じくその要部の正面断面図である。
【符号の説明】
(1) 床梁
(2)(40) ブラケット
(3) 弾性支持部材
(4) ウエブ
(5) 上フランジ
(6) 下フランジ
(7) 固定片
(10) 設置片
(20) 床受部材
(21) 床材
(22a) 載置面
(30) 間隙
Claims (3)
- 床梁の側部に弾性支持部材を介して床受部材を支持し、この床受部材に床材を設置した床構造において、前記床梁の上面と略同じ高さレベルに揃えた前記床受部材の載置面に前記床材を載置して、この床材の端部を前記床梁の直上に延出させるとともに、その端部下面を切り欠くことによって、前記床材の端部下面と前記床梁の上面との間に、前記床材の振動を許容する間隙を形成したことを特徴とする床構造。
- 前記床受部材は、C形鋼からなり、その上側片の上面を前記載置面とするとともに、この載置面をH形鋼若しくはI形鋼からなる前記床梁の上フランジの上面と略同じ高さレベルに揃えた請求項1記載の床構造。
- 前記弾性支持部材をH形鋼若しくはI形鋼からなる床梁へ取り付けるためのブラケットを備え、このブラケットは、前記床梁のウエブから上又は下フランジにかけて当てがわれた状態で、前記床梁に固定された固定片と、その固定片から側方へ張り出して、前記弾性支持部材を設置する設置片とを備えた請求項1又は2記載の床構造。
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