JP4033009B2 - 定電流制御回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主トランジスタに流れる電流を一定値に制御する定電流制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に示された定電流回路は、エミッタフォロアの出力電流生成用トランジスタのエミッタ側に、ダイオードと正の温度係数を持つ抵抗との並列回路が接続された構成を備えている。特許文献2に示された電流源回路は、カレントミラー型定電流回路(第1の定電流源回路)と、そのカレントミラー回路を構成する各トランジスタと電源線との間に接続された第2、第3の定電流源回路部とを備え、それら第2、第3の定電流源回路部を構成するトランジスタと電源線との間にそれぞれ負の温度係数を持つ抵抗が接続された構成を備えている。
【0003】
特許文献3に示された定電流回路は、基準電圧回路と該基準電圧回路に接続された温度特性を補正する温度特性補正用回路とからなる電圧発生回路と、温度特性が補正された電圧により内部の電流検出用抵抗に流れる電流を制御する定電流制御回路とを備え、電圧発生回路の温度特性と電流検出用抵抗の温度特性とが相殺されるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−35352号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2000−124743号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2002−236521号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図6は、定電流制御回路の電気的構成を示している。この定電流制御回路1は、端子2から電流検出用の抵抗R1、MOSトランジスタQ1および抵抗R2を通して端子3に至る主電流経路4に流れる主電流ILを一定に制御するものである。主電流ILに応じて表れる抵抗R1の両端電圧の変化は、トランジスタQ2、Q3および抵抗R1、R2、R3から構成されるカレントミラー回路5において、トランジスタQ3のコレクタ電流を変化させる。
【0008】
トランジスタQ3のコレクタと端子3に繋がる電源線6との間にはトランジスタQ4が接続されており、このトランジスタQ4とトランジスタQ5とはカレントミラー回路7を構成している。トランジスタQ2と電源線6との間およびトランジスタQ5と電源線8との間には、ベース・エミッタ間電圧を基準電圧とする自己バイアス形の定電流回路9、10が接続されている。
【0009】
この定電流制御回路1において、例えば主電流ILが目標電流値よりも大きくなると、抵抗R1の両端電圧が所定電圧よりも増大し、トランジスタQ3のベース・エミッタ間電圧およびコレクタ電流が増加し、トランジスタQ1のゲート電位が低下して主電流ILを抑制するフィードバック制御が機能する。しかし、この定電流制御回路1において、温度変化などにより定電流回路9の出力電流値が変動すると、その変動によりトランジスタQ2、Q3、Q4、Q5に流れる電流ひいてはトランジスタQ1のゲート電位が変動し、主電流ILが目標電流値からずれてしまう。
【0010】
この場合、定電流回路9と10が図示しないカレントミラー回路によって関係付けられていると、トランジスタQ5に流れる電流と定電流回路10の出力電流とは、温度変化によって同じような電流変動傾向を示すため、主電流ILの変動は緩和されることになる。しかしながら、実際には抵抗R1ないしR3の抵抗値も変化するため、動作温度が−40℃から145℃まで変化すると、主電流ILは目標電流値1.5Aに対し約200mAも変動してしまう(図2(b)参照)。この場合、定電流回路9と10をバンドギャップリファレンスを用いた回路構成とすれば変動は小さくなるが、回路構成が複雑化してしまう。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ベース・エミッタ間電圧に基づいてバイアス用の定電流を生成する定電流回路を備えたものにおいて、温度変化による被制御電流の変動を低減できる定電流制御回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した手段によれば、定電流制御される主電流(被制御電流)は、電流出力端子から電流検出用抵抗、主トランジスタを介して第1の電源線に至る主電流経路に流れる。この主電流は、電流検出用抵抗の端子間電圧として検出され、その電圧は第1のカレントミラー回路の第2のトランジスタのベース・エミッタ間に与えられる。第2のトランジスタに流れる電流は第2のカレントミラー回路に流れ込み、この第2のカレントミラー回路の出力電流と第2の定電流回路の出力電流とに基づいて主トランジスタのベース電位が決定される。
【0013】
例えば、主電流が目標電流値よりも増加すると、電流検出用抵抗の端子間電圧すなわち第2のトランジスタのベース・エミッタ間電圧が増加し、第2のトランジスタのコレクタ電流ひいては第2のカレントミラー回路の出力電流が増加しようとする。その結果、主トランジスタのベース電位が低下し、主電流を減少させるように作用する。この負帰還制御により、主電流が一定値に制御される。
【0014】
ところで、第1の定電流回路はトランジスタのベース・エミッタ間電圧を基準電圧として動作しているため、例えば温度が上昇するとベース・エミッタ間電圧の温度係数(−2mV/℃)に応じて出力電流が減少する。第1の定電流回路は、第1のトランジスタに基準のバイアス電流を供給するものであるため、上記出力電流の減少により第2のカレントミラー回路の出力電流が減少し、主トランジスタのベース電位ひいては主電流が目標電流値を超えて増加してしまう。
【0015】
これに対し、第2のカレントミラー回路において、第2のトランジスタのコレクタ電流が流れる第3のトランジスタのソースと第1の電源線との間に正の温度係数を持つ第1の補償用抵抗を設けたので、上記第2のトランジスタのコレクタ電流の減少に伴う第3、第4のトランジスタのゲート・ソース間電圧の減少ひいては第2のカレントミラー回路の出力電流の減少が抑制される。その結果、温度が変化しても、主トランジスタのベース電位の変動を抑えることができ、主電流を目標電流値に等しく制御することができる。
【0016】
請求項2に記載した手段によれば、第2の定電流回路は、第3の定電流回路と第5、第6のトランジスタからなる第3のカレントミラー回路とから構成されており、第6のトランジスタのソースと第2の電源線との間に第2の補償用抵抗が設けられている。これにより、例えば温度が上昇して第1の定電流回路の出力電流が減少しても、第2の補償用抵抗の両端電圧が増加して第5、第6のトランジスタのゲート・ソース間電圧が減少し、第2のカレントミラー回路の出力電流も減少傾向を示すようになる。その結果、温度が変化しても、主トランジスタのベース電位の変動を抑えることができ、主電流を目標電流値に等しく制御することができる。第1、第2の補償用抵抗は、何れか一方を用いてもあるいは両方を用いてもよい。
【0017】
請求項3に記載した手段によれば、第1の定電流回路と第2の定電流回路または第1の定電流回路と第3の定電流回路は、カレントミラー回路を用いて関係付けられているので、温度変化に対する定電流回路の電流変動特性はほぼ等しくなる。その結果、温度変化に対する主電流の変動を一層低減することができる。
【0018】
請求項4に記載した手段によれば、主トランジスタのエミッタと第1の電源線との間に帰還用抵抗が設けられている。この帰還用抵抗は、主電流に対し負帰還制御を行うので、主電流の定電流化および安定化に資する。また、過大な主電流が流れた場合に主トランジスタを保護する効果も得られる。
【0019】
請求項5に記載した手段によれば、電流検出用抵抗と第1のトランジスタのエミッタとの間および電流出力端子と第2のトランジスタのエミッタとの間に、それぞれ第1および第2の抵抗を設けたので、当該抵抗値を適宜設定することにより、第1のカレントミラー回路を所望するバイアス状態で動作させることができる。
【0020】
請求項6に記載した手段によれば、電流検出用抵抗および第1、第2の抵抗がアルミ配線抵抗により構成されているので、抵抗の面積ひいては半導体集積回路装置のチップ面積を低減することができコストを低減できる。
【0021】
なお、本発明において、定電流回路は、バイポーラトランジスタのベース・エミッタ間電圧に基づいて定電流を生成する構成であるが、その他のトランジスタは、バイポーラトランジスタに限らずFETであってもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図3を参照しながら説明する。
図1は、定電流制御回路の電気的構成を示している。この定電流制御回路11は、例えば自動車のエアバッグを駆動するために用いられるもので、半導体集積回路装置(IC)として構成されている。ICの端子11aと11bは、制御用電源端子であり、電源電圧Vcc(例えば25V)が与えられるようになっている。また、ICの端子11c(電流出力端子に相当)は、エアバッグの駆動に係る負荷12と半導体スイッチング素子からなるハイサイドスイッチ回路13とを介して、電源電圧Vp(例えば35V)を供給する昇圧電源に接続されるようになっている。端子11dは、端子11cに対応したパワー系のグランド端子である。この定電流制御回路11は、スイッチ回路13が閉じられたときに負荷12に対し一定電流(例えば1.5A)を流すように制御する。
【0023】
端子11aに繋がる電源線14(第2の電源線に相当)と端子11b、11dに繋がる電源線15(第1の電源線に相当)との間には、NPN形トランジスタQ11のベース・エミッタ間電圧を基準電圧として定電流Iaを生成する自己バイアス型の定電流回路16が接続されている。この定電流回路16を構成するトランジスタは、全てバイポーラトランジスタである。トランジスタQ11のベース・エミッタ間には、電流値を決めるための抵抗R11が接続されており、トランジスタQ11のベースとコレクタにはそれぞれトランジスタQ12のエミッタとベースが接続されている。
【0024】
これらトランジスタQ11、Q12の各コレクタと電源線14との間には、カレントミラー回路を構成するトランジスタQ13、Q14が接続されており、そのトランジスタQ13のエミッタ・コレクタ間には、起動用の抵抗R12が接続されている。さらに、電源線14と15との間には、トランジスタQ15とQ16とが直列に接続されている。このうちトランジスタQ15は、トランジスタQ14とともにカレントミラー回路を構成しており、トランジスタQ16は、トランジスタQ17とともにカレントミラー回路を構成している。
【0025】
電源線14に対しソース接地されたMOSトランジスタQ18、Q19から構成されるカレントミラー回路17は、上記定電流回路16から出力される定電流Iaを入力してそのまま出力するもので、定電流回路16とカレントミラー回路17とによって本発明でいう第2の定電流回路が構成されている。
【0026】
一方、端子11cと11dとの間には、抵抗R13(電流検出用抵抗に相当)とNチャネル型LDMOSトランジスタQ20(主トランジスタに相当)と抵抗R14(帰還用抵抗に相当)とが直列に接続されており、主電流経路18が形成されている。カレントミラー回路19(第1のカレントミラー回路に相当)は、基準となる一定のバイアス電流(基準電流)を入力しており、その基準電流と抵抗R13に流れる主電流ILとに応じた電流を出力する回路である。本実施形態では、この基準電流は定電流回路16から出力される定電流Iaに等しく、カレントミラー回路19は、その出力電流が主電流ILの変化に応じて変化する電流検出手段として機能する。
【0027】
このカレントミラー回路19は、ベース同士が接続されたPNP形トランジスタQ21、Q22(第1、第2のトランジスタに相当)、トランジスタQ21のエミッタと抵抗R13との間に接続された抵抗R15(第1の抵抗に相当)、およびトランジスタQ22のエミッタと端子11cとの間に接続された抵抗R16(第2の抵抗に相当)から構成されている。ここで、抵抗R13、R15、R16はアルミ配線抵抗により構成されているため、チップ内での占有面積を小さくすることができる。
【0028】
トランジスタQ21のベースとコレクタは接続されており、そのコレクタと電源線15との間にはMOSトランジスタQ23とNPN形トランジスタQ24とが直列に接続されている。このうちトランジスタQ24は、上記定電流Iaを流す定電流回路(第1の定電流回路に相当)であって、そのベースは上記トランジスタQ16、Q17のベースに接続されている。MOSトランジスタQ23は、トランジスタQ24のコレクタ電位を固定する機能を有しており、MOSトランジスタQ23のゲートにはバイアス電圧Vbiasが与えられている。
【0029】
トランジスタQ22のコレクタと電源線15との間には、MOSトランジスタQ25(第3のトランジスタに相当)のドレイン・ソース間と正の温度係数を持つ抵抗R17(第1の補償用抵抗に相当)とが直列に接続されている。また、MOSトランジスタQ26(第4のトランジスタに相当)のゲートとソースは、それぞれMOSトランジスタQ25のゲートと電源線15に接続されている。これらMOSトランジスタQ25、Q26と抵抗R17とによりカレントミラー回路20(第2のカレントミラー回路に相当)が構成されている。
【0030】
MOSトランジスタQ26のドレインと上述したMOSトランジスタQ19のドレインとの間には、MOSトランジスタQ27が接続されている。このMOSトランジスタQ27は、MOSトランジスタQ23と同様にMOSトランジスタQ26のドレイン電位を固定する機能を有しており、MOSトランジスタQ27のゲートには上記バイアス電圧Vbiasが与えられている。MOSトランジスタQ19とQ27のドレインは、MOSトランジスタQ20のゲートに接続されている。
【0031】
次に、本実施形態の作用について図2および図3も参照しながら説明する。 まず、定電流制御回路11の基本動作を説明する。スイッチ回路13がオフした状態でICに電源電圧Vccが与えられると、定電流回路16は(トランジスタQ11のベース・エミッタ間電圧VBE/抵抗R11の抵抗値)で定まる定電流Iaを出力し、その電流はMOSトランジスタQ18、Q19に流れる。一方、スイッチ回路13がオフしているため、MOSトランジスタQ25、Q26はオフ状態となり、MOSトランジスタQ20のゲート電位は電源電圧Vcc付近まで上昇している。
【0032】
ここで、図示しないECU(Electronic Control Unit) から駆動信号が入力されると、スイッチ回路13がオンとなり、図示しない昇圧電源からスイッチ回路13、負荷12、ICの端子11c、抵抗R13、MOSトランジスタQ20、抵抗R14、ICの端子11dを通して主電流ILが流れる。主電流ILが流れると抵抗R13の両端に主電流ILに応じた電圧が発生し、その電圧が、トランジスタQ22のベース・エミッタ間電圧、トランジスタQ22のコレクタ電流、MOSトランジスタQ25、Q26のドレイン電流の変化を通してMOSトランジスタQ20のゲート電圧にフィードバックされる。
【0033】
例えば、一定温度の下で主電流ILが目標電流値(1.5A)に制御されているときに外乱によって主電流ILが減少すると、抵抗R13の両端電圧が低下し、トランジスタQ22のコレクタ電流およびMOSトランジスタQ25のドレイン電流が減少する。MOSトランジスタQ25とQ26はカレントミラー回路20を構成しているため、MOSトランジスタQ26のゲート・ソース間電圧が減少する。その一方で、MOSトランジスタQ26と直列接続されているMOSトランジスタQ19は、MOSトランジスタQ18とともにカレントミラー回路17を構成しており定電流Iaを流そうとする。このため、MOSトランジスタQ20のゲート電圧は上昇する。すなわち、主電流ILが目標電流値(1.5A)からずれると、それを妨げるように負帰還がかかり、主電流ILが一定の目標電流値に制御される。
【0034】
続いて、ICの温度変化に伴う動作を説明する。例えば、ICの温度が上昇すると、トランジスタQ11のベース・エミッタ間電圧VBEが低下する(−2mV/℃)ため定電流Iaが減少し、トランジスタQ24ひいてはトランジスタQ21に流れる電流が減少する。トランジスタQ21に流れる電流が減少すると、抵抗R15の両端電圧が減少して、主電流ILが減少した場合と同じようにトランジスタQ22のコレクタ電流、MOSトランジスタQ25のドレイン電流が減少してしまう。抵抗R17が存在しない従来構成の場合には、トランジスタQ22のコレクタ電流の減少によりMOSトランジスタQ20のゲート電圧が上昇してしまい、主電流ILが目標電流値に対し増加してしまう不都合があった。
【0035】
これに対し、MOSトランジスタQ25のソースと電源線15との間に正の温度係数を持つ抵抗R17を設けた本実施形態の場合、温度上昇によってMOSトランジスタQ25のドレイン電流が減少しても、抵抗R17の抵抗値が増加することにより、ドレイン電流の減少によるMOSトランジスタQ26のゲート・ソース間電圧の減少を防止する。この補償作用の結果、温度変化による主電流ILの変動が抑制される。実際には、温度上昇によってカレントミラー回路17の出力電流も減少するため、抵抗R17の抵抗値およびその温度係数(>0)は、これらを総合的に評価して定められることになる。
【0036】
図2は、ICを構成する各トランジスタのジャンクション温度を−40℃、27℃、145℃に変化させた場合の主電流ILのシミュレーション波形を示している。図2(a)は、抵抗R17を設けた本実施形態に係るものであり、図2(b)は、抵抗R17を設けていない従来構成(図6参照)に係るものである。また、抵抗R17の抵抗値Rのばらつきによる影響を検討するため、図3には、抵抗値Rを所定値から+10%または−10%変化させた場合の主電流ILのシミュレーション波形を示している。
【0037】
図2の(a)と(b)を比較すると、従来構成の場合の主電流ILは、ジャンクション温度−40℃と145℃との場合とで206mAの変動がある。これに対し、本実施形態の定電流制御回路11の主電流ILは、ジャンクション温度−40℃と145℃との場合とで11mA(図3参照)の変動に抑えられている。すなわち、抵抗R17を追加したことにより、温度変化による主電流ILの変動を約1/18に低減することができる。
【0038】
また、図3に示したように、抵抗R17の製造ばらつきとして抵抗値Rに±10%を許容した場合、主電流ILは目標電流値に対し若干のばらつきが生じる。しかし、この場合であっても、各抵抗値Rにおける温度変化による主電流ILの変動は、最大で17mAに止まっている。このことから、本手段は、実際のICの製造にも適した補償手段であることが分かる。なお、レーザトリミングにより抵抗R17の抵抗値Rを調整すれば、目標電流値のばらつきおよび温度変化による主電流ILの変動幅を一層低減することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、定電流制御回路11のカレントミラー回路20において、トランジスタQ22のコレクタ電流が流れるMOSトランジスタQ25のソースと電源線15との間に正の温度係数を持つ補償用の抵抗R17を設けた。これにより、温度が変化して定電流回路16の出力電流IaひいてはトランジスタQ22のコレクタ電流が変動しても、MOSトランジスタQ25、Q26のゲート・ソース間電圧の変動を防止でき、MOSトランジスタQ20のゲート電位の変動すなわち主電流ILの変動を抑えることができる。
【0040】
また、MOSトランジスタQ20のゲート電位は、カレントミラー回路17とカレントミラー回路20の出力電流に応じて定まるが、これらカレントミラー回路17、20は、ともに定電流回路16の出力電流Iaに基づいた電流を出力するように構成されている。このため、温度変化が生じた場合において、出力電流Iaの変化による影響が相殺されるように作用し、主電流ILの変動を一層低減することができる。
【0041】
さらに、MOSトランジスタQ20のソースと電源線15との間に帰還用の抵抗R14を設けた。この抵抗R14は、主電流ILに対し負帰還制御を行うので、主電流ILの定電流化および安定化に資する。また、過大な主電流ILが流れた場合にMOSトランジスタQ20を保護する効果もある。
【0042】
カレントミラー回路19には、電流検出用の抵抗R13に加えて、抵抗R15、R16を設けたので、その抵抗値を適宜設定することにより、カレントミラー回路19を所望するバイアス状態で動作させることができる。また、その抵抗R13、R15、R16がアルミ配線抵抗により構成されているので、チップ内での抵抗の占有面積すなわちICのチップ面積を低減することができ、製造コストを低減できる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図4および図5を参照しながら説明する。なお、図4において図1と同一部分には同一符号を付して示し、以下異なる構成部分についてのみ説明する。
【0044】
図4に示す定電流制御回路21は、図1に示す定電流制御回路11と比較して、抵抗R17に替えて、電源線14とMOSトランジスタQ19のソースとの間に抵抗R18(第2の補償用抵抗に相当)を設けた点が異なっている。この抵抗R18は、正の温度係数を持っている。ここで、MOSトランジスタQ25とQ26とによりカレントミラー回路22(第2のカレントミラー回路に相当)が構成され、MOSトランジスタQ18、Q19(第5、第6のトランジスタ)と抵抗R18とによりカレントミラー回路23(第3のカレントミラー回路に相当)が構成されている。なお、定電流回路16は、第3の定電流回路に相当する。
【0045】
この構成において、例えばICの温度が上昇して定電流Iaが減少すると、第1の実施形態で説明したようにMOSトランジスタQ25、Q26のドレイン電流が減少してしまう。しかし、その一方で抵抗R18の抵抗値が増えるため、カレントミラー回路23の出力電流も減少し、MOSトランジスタQ20のゲート電位の変動が抑えられる。
【0046】
図5は、ICを構成する各トランジスタのジャンクション温度を−40℃、27℃、145℃に変化させた場合の主電流ILのシミュレーション波形を示している。本実施形態の定電流制御回路21の主電流ILは、ジャンクション温度−40℃と145℃との場合とで10mAの変動に抑えられている。このように、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0047】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
定電流回路16は、バイポーラトランジスタのベース・エミッタ間電圧VBEに基づいて定電流を生成する構成であるが、その他の部分のトランジスタは、バイポーラトランジスタのみにより構成し、FETのみにより構成し、またはバイポーラトランジスタとFETを混在して構成してもよい。
第1、第2の実施形態で用いた抵抗R17、R18を共に設けた構成としてもよい。
【0048】
トランジスタQ24と、カレントミラー回路17を構成するMOSトランジスタQ18、Q19とは、ともに定電流回路16で生成された定電流Iaを流すように構成されているが、互いに異なる定電流回路で生成された定電流を流すように構成されていてもよい。
MOSトランジスタQ23とQ27は、必要に応じて設ければよい。
定電流制御回路11、21は、負荷12として抵抗、ソレノイド、リレーコイルなどを接続した場合であっても定電流制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示す定電流制御回路の電気的構成図
【図2】 トランジスタのジャンクション温度を変えた場合の主電流ILのシミュレーション波形図
【図3】 抵抗値Rを+10%または−10%変化させた場合の主電流ILのシミュレーション波形図
【図4】 本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図5】 図2相当図
【図6】 従来技術を示す定電流制御回路の概略的な電気的構成図
【符号の説明】
11、21は定電流制御回路、11cは電流出力端子、14は電源線(第2の電源線)、15は電源線(第1の電源線)、16は定電流回路(第3の定電流回路)、18は主電流経路、19はカレントミラー回路(第1のカレントミラー回路)、20、22はカレントミラー回路(第2のカレントミラー回路)、23はカレントミラー回路(第3のカレントミラー回路)、Q20はMOSトランジスタ(主トランジスタ)、Q21はトランジスタ(第1のトランジスタ)、Q22はトランジスタ(第2のトランジスタ)、Q24はトランジスタ(第1の定電流回路)、Q25はMOSトランジスタ(第3のトランジスタ)、Q26はMOSトランジスタ(第4のトランジスタ)、Q18はMOSトランジスタ(第5のトランジスタ)、Q19はMOSトランジスタ(第6のトランジスタ)、R13は抵抗(電流検出用抵抗)、R14は抵抗(帰還用抵抗)、R15は抵抗(第1の抵抗)、R16は抵抗(第2の抵抗)、R17は抵抗(第1の補償用抵抗)、R18は抵抗(第2の補償用抵抗)である。
Claims (6)
- 第1、第2のトランジスタおよびその第1のトランジスタのエミッタと電流出力端子との間に設けられた電流検出用抵抗からなり、前記第1のトランジスタのベースとコレクタおよび前記第2のトランジスタのベースが共通に接続された第1のカレントミラー回路と、
前記電流出力端子から前記電流検出用抵抗を介して第1の電源線に至る主電流経路に設けられた主トランジスタと、
前記第1のトランジスタのコレクタと前記第1の電源線との間に設けられ、トランジスタのベース・エミッタ間電圧に基づいて定電流を生成する第1の定電流回路と、
第2の定電流回路と、
前記第2のトランジスタのコレクタと前記第1の電源線との間に設けられた第3のトランジスタ、前記第2の定電流回路と前記第1の電源線との間に設けられた第4のトランジスタ、および前記第3のトランジスタのソースと前記第1の電源線との間に設けられた正の温度係数を持つ第1の補償用抵抗からなり、前記第4のトランジスタのドレインが前記主トランジスタのベースに接続され、前記第3のトランジスタのゲートとドレインおよび前記第4のトランジスタのゲートが共通に接続された第2のカレントミラー回路とを備えて構成されていることを特徴とする定電流制御回路。 - 前記第2の定電流回路は、
トランジスタのベース・エミッタ間電圧に基づいて定電流を生成する第3の定電流回路と、
この第3の定電流回路と第2の電源線との間に設けられた第5のトランジスタおよび前記第4のトランジスタのドレインと前記第2の電源線との間に設けられた第6のトランジスタからなり、前記第5のトランジスタのゲートとドレインおよび前記第6のトランジスタのゲートが共通に接続された第3のカレントミラー回路とを備えて構成され、
前記第6のトランジスタのソースと前記第2の電源線との間に、前記第1の補償用抵抗に替えてまたは前記第1の補償用抵抗とともに用いられる正の温度係数を持つ第2の補償用抵抗を設けたことを特徴とする請求項1記載の定電流制御回路。 - 前記第1の定電流回路とその他の定電流回路とは、カレントミラー回路を用いて関係付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の定電流制御回路。
- 前記主トランジスタのエミッタと前記第1の電源線との間に帰還用抵抗が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の定電流制御回路。
- 前記電流検出用抵抗と前記第1のトランジスタのエミッタとの間および前記電流出力端子と前記第2のトランジスタのエミッタとの間に、それぞれ第1および第2の抵抗が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の定電流制御回路。
- 前記電流検出用抵抗および前記第1、第2の抵抗がアルミ配線抵抗により構成されていることを特徴とする請求項5記載の定電流制御回路。
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