JP4032449B2 - 絶縁電線 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性、耐摩耗性に優れたポリアミドイミド樹脂を用いた絶縁電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリアミドイミド樹脂はその電気的性質、機械的性質、耐熱性が優れているため、例えばコーティング剤(特開平3−181511号公報、特開平7−216226号公報等)、耐熱繊維(特公昭51−6770号公報等)、接着剤(特開平1−284528号公報、特開平1−284529号公報等)、成型材(特開平7−150027号公報、特開平7−157646号公報等)等として幅広く利用されている。その中でも特に電線の電気絶縁皮膜としては種々の樹脂が利用されているが、近年、電子機器の高機能化、高性能化に伴って、電線皮膜に対するより一層の耐熱性、耐摩耗性の向上が要求されるようになってきた。
【0003】
しかし、現在までに知られているポリアミドイミド樹脂は、耐熱性等ある程度の性能は発揮するものの耐摩耗性を満足するものはないのが実情である。またポリアミドイミド樹脂にシリコーン樹脂、フッ素樹脂あるいは無機微粒子等、種々の滑剤を添加し耐摩耗性を向上させる工夫も行われているが、依然性能は不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の絶縁電線の有する問題点を解決し、H種(180℃クラス)以上の耐熱性を有し、かつ耐摩耗性に優れた絶縁電線を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の絶縁電線は、酸成分と反応してイミド結合及びアミド結合を形成する一般式(1)で示すアミン残基成分を繰り返し単位としてポリアミドイミド樹脂中の全アミン残基に対し100モル%分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂単位とエポキシ樹脂単位0.1〜40重量%とを有する樹脂組成物が電気良導体上を覆っていることを特徴とする。
【0006】
【化4】
【0007】
上記の構成からなる本発明の絶縁電線は、優れた耐熱性及び耐磨耗性を示す。
【0008】
本発明の好適な実施態様としては、樹脂組成物と電気良導体との間に電気絶縁物を介在することができる。
【0009】
また、本発明の好適な実施態様としては、樹脂組成物が、酸成分と反応してイミド結合及びアミド結合を形成する一般式(1)で示すアミン残基成分を繰り返し単位としてポリアミドイミド樹脂中の全アミン残基に対し100モル%分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂0.1〜40重量%との混合組成物であることができる。
【0010】
さらにまた、本発明の好適な実施態様としては、樹脂組成物が、酸成分と反応してイミド結合及びアミド結合を形成する一般式(1)で示すアミン残基成分を繰り返し単位としてポリアミドイミド樹脂中の全アミン残基に対し100モル%分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂に一般式(2)又は一般式(3)で示すエポキシ樹脂残基が結合したものであることができる。
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明において、酸成分と反応してイミド結合及びアミド結合を形成する一般式(1)で示すアミン残基成分を繰り返し単位として分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂単位とはポリアミドイミド樹脂の単位が任意の形で存在すればいいということであり、ポリアミドイミド樹脂だけでエポキシ樹脂とは結合していない状態であってもよく、また、エポキシ樹脂と結合していても良いものである。また、エポキシ樹脂単位とはエポキシ樹脂の単位が任意の形で存在すればいいということであり、エポキシ樹脂だけでポリアミドイミド樹脂とは結合していない状態であってもよく、また、ポリアミドイミド樹脂と結合していても良いものである。
【0015】
本発明で用いる樹脂組成物中に含まれるポリアミドイミド樹脂単位を形成するポリアミドイミド樹脂は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、ポリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを反応させるイソシアネート法、ポリカルボン酸無水物の塩化物とジアミンとを反応させる酸クロリド法、ポリカルボン酸無水物とジアミンとを縮合剤の存在下、直接反応させる直接重縮合法等の方法等があるが、工業的にはイソシアネート法が適している。
【0016】
重合溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、テトラメチルウレア、γ−ブチルラクトン等を用いることができる。また、これらの一部をトルエン、キシレン等の炭化水素系有機溶媒、ジグライム、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶媒等で置換えてもよい。
【0017】
反応温度は、通常50〜200℃が好ましい。また、触媒は、第3級アミン類、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等を用いて重合反応を行ってもよい。また重合時の濃度は、通常10〜50重量%であるのが一般的である。
【0018】
一般式(1)のアミン残基成分を繰り返し単位として分子鎖中に含めるために重合に使用する原料としては、酸成分としてトリメリット酸無水物、ジフェニルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4’−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸無水物等のトリカルボン酸無水物、および/またはピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸無水物とイソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸の混合物が好ましい。また、アミン成分としてトリジン、O−トリジンジイソシアネート等がある。
【0019】
本発明において一般式(1)のアミン残基成分を繰り返し単位として分子鎖中に含有する量は、ポリアミドイミド樹脂中の全アミン残基に対し100モル%である。
【0020】
また、ポリアミドイミド樹脂の分子量の最適値は共重合組成によって異なるが、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃での対数粘度の値にして0.1〜2.5デシリットル/gの範囲に相当するような分子量のものであり、好ましくは0.4〜1.5デシリットル/gのものである。対数粘度が0.4デシリットル/g以下では耐摩耗性が不十分であり、また、1.5デシリットル/g以上では溶液粘度が高くなり、加工が困難となる。
【0021】
一般式(1)のアミン残基成分を繰り返し単位として分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂において、他の共重合可能な構造単位を形成することのできる単量体を酸成分、アミン成分の形で下記に例示するが、アミン成分としてこれらのイソシアネート、酸成分としてこれらの酸無水物や酸塩化物が利用できる。
【0022】
酸成分としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ジフエニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、l,2−ジフェニルエタン−4,4’−ジカルボン酸、l,2−ジフェニルエタン−2,4’−ジカルボン酸、1,2−ジフェニルエタン−3,4’−ジカルボン酸、1,2−ジフェニルエタン−3,3’−ジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2−(2−カルボキシフェニル)2−(4−カルボキシフェニル)プロパン、2−(3−カルボキシフェニル)プロパン、2−(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルポン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルポン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフィド−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフィド−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−2,4’−ジカルボン酸、シクロヘキサン−4,4’−ジカルボン酸、シクロヘキサン−2,4’−ジカルボン酸、シクロヘキサン−3,4’−ジカルボン酸、シクロヘキサン−3,3’−ジカルボン酸、トリメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3’,4’−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−l,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビフェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、デカヒドロナフタレン−l,4,5,8−テトラカルボン酸、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、フェナントレン−1,3,9,10−テトラカルボン酸、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、ビシクロー(2,2,2)−オクト−7−エン−2:3:5:6−テトラカルボン酸等のポリカルボン酸、およびこれらの−無水物、二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上の混合物として用いることができるられる。
【0023】
一方アミン成分としては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、l,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロイソプロピリデン、α,α’−ジアミノ−p−キシレン、α,α’−ジアミノ−m−キシレン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、l,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(l−メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、5−アミノ−l−(4’−アミノフェニル)−1,3,3’−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−l,3,3’−トリメチルインダン、5−ニトロ−メタフェニレンジアミン、5−クロロ−メタフェニレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシル、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、あるいはこれらの対応ジイソシアネート等を単独あるいは2種以上の混合物として、耐摩耗性、耐熱性を損なわない範囲で共重合させてもよい。
【0024】
本発明で用いる樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂単位を形成するエポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、あるいはN,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミン等のアミン変性型エポキシ樹脂、ポリエーテル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌレート型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の反応性希釈剤、またはこれらの水素化やハロゲン化物等を用いることができ、ポリアミドイミド樹脂に混合した混合組成物であっても良く、ポリアミドイミド樹脂に一般式(2)又は一般式(3)で示す形で結合していても良い。
【0025】
前記ポリアミドイミド樹脂に混合又は結合するエポキシ樹脂の量はポリアミドイミド樹脂に対して0.1〜40重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。エポキシ樹脂が0.1重量%未満ではポリアミドイミドの分子量によっては耐摩耗性や耐熱性が不十分であり、また40重量%を越えると皮膜の可撓性が劣ってくる。またエポキシ当量は特に限定はないが、皮膜の特性と電線への加工性とのバランスを考慮すると50〜300程度が好ましい。
【0026】
ポリアミドイミド樹脂へのエポキシ樹脂の混合は重合終了後、エポキシ樹脂を直接あるいは重合溶媒と同じ溶剤に溶解した溶液を添加し撹拌する。また、反応して結合させる場合は一般式(2)又は一般式(3)で示すエポキシ樹脂残基が結合したものとしてポリアミドイミド樹脂に結合するよう、エポキシ樹脂溶液を添加反応させる。典型的には、ポリアミドイミド樹脂の重合終了後、重合溶媒と同じ溶媒でエポキシ樹脂を10〜30重量%程度に希釈した後、50〜180℃の温度で1〜6時間程度撹拌する。この際、イミダゾール化合物や第3級アミン類、あるいはアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩やアルコラートを触媒として用いると効率的である。
【0027】
上記のようにして得られたポリアミドイミド樹脂組成物溶液は、電線被覆がしやすいようにさらに適当な溶剤で希釈して溶液粘度、濃度を調節するが、ポリアミドイミド樹脂組成物を精製し再溶解してもよい。希釈または再溶解する溶剤は、重合時の重合溶媒と同様のものが挙げられる。
【0028】
かかる樹脂組成物を電気良導体上に直接又は電気絶縁物を介して固着させる事により、本発明の絶縁電線を得ることができる。電気良導体としては、銅の細線より糸、銅の太線単線等を用いるが、電気良導体の表面に金や銀のメッキ層を形成しておくのが好ましい。
【0029】
また、本発明においては、電気絶縁皮膜の諸特性、例えば耐熱性、機械特性、電気特性、接着性、滑り性、加工性等を改良する目的で、他の樹脂や有機化合物、および無機化合物を混合させたり、あるいは反応させて併用してもよい。例えばシリコーン化合物、フッ素化合物、ポリイソシアネート化合物、イソシアヌレート化合物、ポリオレフィン、二硫化モリブデン等の樹脂や有機化合物、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機化合物をこの発明の目的を阻害しない範囲で併用することができる。
【0030】
絶縁電線の製造条件に関しては特に制限はなく、通常行われる方法で直接電気良導体に又は電気絶縁物を介してポリアミドイミド樹脂組成物を塗布することができる。電気絶縁物としては、例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の樹脂層を挙げることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。なお、この実施例により本発明が特に限定されるものではない。
【0032】
(参考例1)
無水トリメリット酸1モル(192g)、2,4−トリレンジイソシアネート0.2モル(35g)及びトリジンジイソシアネート0.8モル(211g)をN−メチル−2−ピロリドン1050g中に加え撹拌しながら、150℃まで1時間で昇温し、さらに150℃で5時間反応させた。次いで室温まで冷却し、エピコート152(油化シェル(株)製エポキシ樹脂)20gをN−メチル−2−ピロリドン1000gに溶解した溶液を添加し、100℃で約2hr撹拌した。
【0033】
得られた樹脂組成物溶液を入れた槽に、直径約1mmの銅線を25mm/minの速度で通過させた。次いで、この銅線を皮膜の厚さが2μmとなるようにダイスを通し、400℃、風速4m/sec、炉長4mの熱風循環炉を直ちに通過させた。この操作を10回繰り返し、JIS1種のエナメル線を得た。次いでJIS C3003の方法で電線の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0034】
(参考例2)
無水トリメリット酸1モル(192g)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート0.5モル(125g)、およびトリジンジイソシアネート0.5モル(132g)をN−メチル−2−ピロリドン1080g中に加え撹拌しながら、150℃まで1時間で昇温し、さらに150℃で3時間反応させた。次いで室温まで冷却し、エピコート152(油化シェル(株)製エポキシ樹脂)20gをN−メチル−2−ピロリドン1000gに溶解した溶液を添加し、100℃で約2hr撹拌した。
【0035】
得られた樹脂組成物溶液を、参考例1と同様にして皮膜の厚さが2μmとなるように直径1mmの銅線に焼き付けてJIS1種のエナメル線を得た。次いでJIS C3003の方法で電線の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0036】
(実施例1)
無水トリメリット酸0.8モル(153g)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物0.2モル(64g)およびトリジンジイソシアネート1モル(264g)をN−メチル−2−ピロリドン1600g中に加え撹拌しながら、150℃まで1時間で昇温し、さらに150℃で3時間反応させた。次いで、室温まで冷却し、エピコート154(油化シェル(株)製エポキシ樹脂)13gをN−メチル−2−ピロリドン800gに溶解した溶液を添加し、100℃で約2hr撹拌した。
【0037】
得られた樹脂組成物溶液を、参考例1と同様にして皮膜の厚さが2μmとなるように直径1mmの銅線に焼き付けてJIS1種のエナメル線を得た。次いでJIS C3003の方法で電線の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0038】
(参考例3)
無水トリメリット酸1モル(192g)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート0.7モル(175g)、およびトリジンジイソシアネート0.3モル(79g)をN−メチル−2−ピロリドン1430g中に加え撹拌しながら、150℃まで1時間で昇温し、さらに150℃で5時間反応させた。次いで、室温まで冷却し、TETRAD−D(三菱瓦斯化学(株)製エポキシ樹脂)10gをN−メチル−2−ピロリドン800gに溶解した溶液を添加し、100℃で約5hr撹拌した。
【0039】
得られた樹脂組成物溶液を、参考例1と同様にして皮膜の厚さが2μmとなるように直径1mmの銅線に焼き付けてJIS1種のエナメル線を得た。次いでJIS C3003の方法で電線の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0040】
(参考例4)
無水トリメリット酸1モル(192g)、2,4−トリレンジイソシアネート0.2モル(35g)及びトリジンジイソシアネート0.8モル(211g)をN−メチル−2−ピロリドン1050g中に加え撹拌しながら、150℃まで1時間で昇温し、さらに150℃で5時間反応させた。次いで室温まで冷却し、エピコート154(油化シェル(株)製エポキシ樹脂)20gをN−メチル−2−ピロリドン1000gに溶解した溶液を添加し、室温で約2hr撹拌した。
【0041】
このようにして得られた樹脂組成物溶液を入れた槽に、直径約1mmの銅線を25mm/minの速度で通過させた。次いで、この銅線を皮膜の厚さが2μmとなるようにダイスを通し、400℃、風速4m/sec、炉長4mの熱風循環炉を直ちに通過させた。この操作を10回繰り返し、JIS1種のエナメル線を得た。次いで、JIS C3003の方法で電線の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0042】
(比較例1)
無水トリメリット酸1モル(192g)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1モル(250g)をN−メチル−2−ピロリドン1400g中に加え撹拌しながら、150℃まで1時間で昇温し、さらに150℃で3時間反応させた。
【0043】
得られた樹脂組成物溶液を、参考例1と同様にして皮膜の厚さが2μmとなるように直径1mmの銅線に焼き付けてJIS1種のエナメル線を得た。次いでJIS C3003の方法で電線の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0044】
(比較例2)
無水トリメリット酸1モル(192g)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1モル(250g)をN−メチル−2−ピロリドン1400g中に加え撹拌しながら、150℃まで1時間で昇温し、さらに150℃で3時間反応させた。次いで室温まで冷却し、エピコート152(油化シェル(株)製エポキシ樹脂)20gをN−メチル−2−ピロリドン1000gに溶解した溶液を添加し、100℃で約2hr撹拌した。
【0045】
得られた樹脂組成物溶液を、参考例1と同様にして皮膜の厚さが2μmとなるように直径1mmの銅線に焼き付けてJIS1種のエナメル線を得た。次いでJIS C3003の方法で電線の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明の絶縁電線はH種(180℃クラス)以上の耐熱性を有し、かつ、耐摩耗性が優れている。
Claims (4)
- 樹脂組成物と電気良導体との間に電気絶縁物を介在したことを特徴とする請求項1記載の絶縁電線。
- 樹脂組成物が、酸成分と反応してイミド結合及びアミド結合を形成する一般式(1)で示すアミン残基成分を繰り返し単位としてポリアミドイミド樹脂中の全アミン残基に対し100モル%分子鎖中に含有するポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂0.1〜40重量%との混合組成物であることを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09157197A JP4032449B2 (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | 絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09157197A JP4032449B2 (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | 絶縁電線 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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