JP4030407B2 - 印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用塗工紙およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、顔料塗工層の塗工、乾燥時に発生する水蒸気の通過による直径10μm以上のクレーター状の穴空きの形成を抑制するとともに、表面強度を維持しつつ印刷濃度の低下がなく、さらに火じわの発生を抑制した印刷用塗工紙およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷用塗工紙の塗工用原紙には、コスト面、溶解調製時の作業性の良さ、2本ロールサイズプレス、およびゲートロール、シムサイザーなどのフィルムトランスファー方式の塗工装置で塗工する際のロールの汚れの発生などから澱粉を主成分とする表面サイズ剤を塗工するか、印刷面質を向上させる目的から最表層の印刷面にあたる顔料塗工層に類似した顔料主体のピグメンテーション液を原紙抄造の工程で、ゲートロール、シムサイザーなどのフィルムトランスファー方式の塗工装置で最表層層の下塗りとして原紙表面に塗工する、いわゆるダブル塗工を施すことが一般的な印刷用塗工紙における塗工用原紙の構成となってきている。
【0003】
抄紙機で抄紙した原紙に上記の下塗り層を塗工する場合も、マシンの高速化が進んだことから2本ロールサイズプレスより、ゲートロール、シムサイザーなどのフィルムトランスファー方式の塗工装置が主流となってきている。
【0004】
印刷業界においては、コストダウンを目的として、印刷機の高速化はもとより、本来は1ランク上のグレードの印刷用塗工紙が有するインキ付着量でのベッセルピック、紙粉の発生のない表面強度、ブロッキング特性、高い印刷光沢、インキ濃度などの品質の要求や、平判印刷からオフ輪印刷への切り替えなど、本来のグレード以上の印刷上がりや印刷時の操業性が印刷用塗工紙に要求されるようになってきている。
【0005】
このような業界の動きの中で、澱粉を主成分とした表面サイズ剤が主流となる以前に使用されていたポリビニルアルコール(以下、PVAと称す)を主体とした表面サイズ剤の使用が見直されてきている。例えば、PVAを主成分とした表面サイズ剤を用いることによりオフ輪印刷時の火じわが抑制できることが既に知られている。また、表面サイズ剤としてPVAを使用することで、印刷用塗工紙の表面強度が向上し、印刷時に発生するベッセルピックや紙粉の発生を抑制する効果が得られることが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、PVAを表面サイズ剤として塗工した塗工用原紙を用いた印刷用塗工紙の製造では、澱粉を主成分する表面サイズ剤を塗工した塗工用原紙や顔料主体のピグメンテーション液を下塗り層として塗工した塗工用原紙を使用する場合とは異なり、顔料主体の塗工層を塗工、乾燥する際に発生する水蒸気の抜け道が、PVAの成膜性の良さから、原紙面より水蒸気の抜ける頻度が低減し、ウェット塗工層面側の頻度が増加することから、顔料塗工層が乾燥不動化した時に、直径10μm以上の蒸気の通過したクレーター状の穴が形成され、印刷後の濃度、外観などの品質に悪影響を及ぼす。ただし、直径10μmに満たないクレーター状の穴であれば、澱粉を主成分とた表面サイズ剤を塗工した塗工用原紙や顔料主体のピグメンテーション液を下塗り層として塗工した塗工用原紙を用いても発生することがあり、印刷後の品質に影響は見られない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−350391号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、顔料塗工層の塗工、乾燥時に発生する水蒸気の通過による直径10μm以上のクレーター状の穴空きの形成を抑制するとともに、表面強度を維持しつつ印刷濃度の低下がなく、さらに火じわの発生を抑制した印刷用塗工紙およびその製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明の印刷用塗工紙およびその製造方法を発明するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の印刷用塗工紙は、
顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙において、原紙上にポリビニルアルコールを主体とし、スルホコハク酸塩系の浸透剤を該ポリビニルアルコールに対して0.5〜5.0質量%添加した表面サイズ剤を塗工した塗工用原紙に、顔料塗工層を設けてなることを特徴とするものである
【0012】
さらに、上記発明において、スルホコハク酸塩系浸透剤としては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムまたはジ−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムであることが好ましい。
【0013】
また、本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、ポリビニルアルコールを主体とし、該ポリビニルアルコールに対して0.5〜5.0質量%のスルホコハク酸塩系の浸透剤を添加して表面サイズ剤とし、該表面サイズ剤を2本ロールサイズプレス、およびゲートロール、シムサイザーのフィルムトランスファー方式から選ばれるいずれか1種の塗工装置を用いて原紙上に片面当たり0.8〜5.0g/m2塗工して塗工用原紙とし、該塗工用原紙に顔料塗工液を塗工することを特徴とするものである。
【0014】
上記発明において、塗工装置としては、2本ロールサイズプレス方式の塗工装置であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の印刷用塗工紙およびその製造方法について、詳細に説明する。本発明の印刷用塗工紙は、塗工用原紙としてPVAを主体とする表面サイズ剤に特定量のスルホコハク酸塩系の浸透剤を添加して原紙上に塗工して塗工用原紙とし、該塗工用原紙に顔料塗工層を設けることにより、顔料塗工層の塗工、乾燥時に発生する水蒸気の通過による直径10μm以上のクレーター状の穴空きの形成を抑制するとともに、表面強度を維持しつつ印刷濃度の低下がなく、さらに火じわの発生を抑制した印刷用塗工紙であることを特徴とする。
【0016】
本発明における表面サイズ剤は、PVAを主体とし、2本ロールサイズプレス、およびゲートロール、シムサイザーのフィルムトランスファー方式から選ばれるいずれか1種の塗工装置を用いて原紙上に0.8〜5.0g/m2塗工して塗工用原紙を製造し、該塗工用原紙に顔料塗工層を設けて印刷用塗工紙とする。ここで、表面サイズ剤の塗工量が0.8g/m2より少ない場合は、表面強度が低下し、ベッセルピックや紙粉が発生し易くなり、オフ輪印刷時の火じわ抑制効果も現れなくなる。また、表面サイズ剤の塗工量が5.0g/m2を越えて多い場合には、オフ輪印刷時のブリスターの発生が顕著となり、さらに塗工時にはロール、キャンバスなどのマシン汚れが発生して操業性を悪化させる。
【0017】
本発明において、表面サイズ剤の塗工に当たって、2本ロールサイズプレスを用いることにより、PVAを原紙中により深く浸透させ、原紙表面でのPVAの成膜を緩和させ、続く顔料塗工層の塗工、乾燥時に発生する水蒸気の通り道を原紙面側へより多く確保できることから、Wet塗工面から抜けていく水蒸気量を減らし、顔料塗工層にクレーター状の穴空きの形成を緩和させることができる。
【0018】
本発明における表面サイズ剤に使用されるPVAとしては、完全鹸化型、部分鹸化型、変性PVAなどが挙げられ、これらを単独もしくは併用することができる。また、適宜消泡剤を添加してもよい。PVAの種類については、現行の澱粉溶解設備を有効利用した場合、水分散時または溶解時に”ままこ”の発生が少なく、攪拌や液循環時の発泡性の低い完全鹸化型か変性PVAが好ましい。また、塗工時のロール、キャンバスなどのマシン汚れの発生を抑えるためには、同一の溶解濃度でB型粘度が低く、パルプ繊維に浸透し易い低重合度のPVAが好ましい。
【0019】
本発明において、表面サイズ剤中に添加する浸透剤としては、公知のカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル塩、タウリン誘導体塩、サルコシン誘導体塩などのアニオン性界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩、カチオン化セルロースなどのカチオン性界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型、イミダゾリン型、グリシン型、エーテルアミンオキシド型などの両性界面活性剤、ポリエチレングリコール型、多価アルコール型などの非イオン性界面活性剤が使用できるが、上記に例示した中でも、パルプ繊維に対する浸透性から、本発明においては浸透剤として、少なくともスルホコハク酸塩を用いる。本発明に用いるスルホコハク酸塩中、PVAに対する相溶性からジオクチルスルホコハク酸ナトリウムまたはジ−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムがより好ましい。
【0020】
本発明において、顔料塗工層に直径10〜50μmのクレーター状の穴空きが形成されないようにするためには、表面サイズ剤中へ浸透剤をPVA固形分に対して0.5〜5.0質量%添加することが必要であり、添加量が0.5質量%未満では発生する穴の直径が10μm以上となって印刷後のインキ濃度の低下や外観を悪化を生じる。また、添加量が5.0質量%以上では表面サイズ剤の泡立ちが激しく表面サイズ剤の塗工量が不均一となり、表面強度、火じわ抑制効果などが低下、ロール汚れなどの操業面での問題も発生する。
【0021】
本発明において、塗工用原紙に塗工される顔料塗工層の顔料としては、例えば、カオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、湿式粉砕重質炭酸カルシウムが好ましく、タルク、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、酸化チタン、シリカ、酸化亜鉛、活性白土、珪素土、レーキ、プラスチックピグメントなどを混合して使用しても良い。
【0022】
また、本発明において、塗工用原紙に塗工される塗工層の接着剤としては、特に制限されるものでなく公知の接着剤を用いることができる。例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、酢酸ビニル・アクリル系、ブタジエン・メチルメタクリル系などの各種共重合体ラテックスおよびポリビニルアルコール、酸化澱粉、エステル化澱粉、熱化学変性澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、カゼイン、デキストリンなどから適宜選択して単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
上記の共重合ラテックスとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、1,3ブタジエン、2−メチル−1,3ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和酸単量体、アクリロニトリル単量体およびエチレン性不飽和カルボボン酸アルキルエステル、エチレン性不飽和カルボン酸アミド、他の有機カルボン酸およびその誘導体などの共重合可能な単量体を公知の方法で共重合して得られるもので、好ましくはスチレン・ブタジエン・メタクリル酸メチル/アクリロニトリル共重合体を挙げることができる。
【0024】
本発明に用いられる原紙は、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、BCTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなど古紙パルプなどのパルプが用いられ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種の填料、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を適宜含有し、酸性、中性、アルカリ性で抄造されるものである。
【0025】
本発明において、塗工液を本発明による塗工用原紙に塗工する方法は、一般の各種塗工装置が使用可能であるが、特に高速塗工ではブレード塗工装置の適用が好ましく、その種類については特に限定されるものではなく、ショートドウエルコータ、ロールアプリケーター型、ノズルアプリケーター型などの各種ブレード塗工装置の使用が可能であり、ベベル方式、ベント方式でも塗工可能である。さらに、塗工、乾燥された塗工紙は、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー処理などを施され、印刷用塗工紙とするものである。
【0026】
【実施例】
以下で実施例を用い、さらに詳細に本発明の効果を説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例中の部はそれぞれ質量部を示す。
【0027】
参考例1
<原紙>
LBKP 70部
NBKP 30部
炭酸カルシウム 6部
市販カチオン澱粉 2部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 0.02部
上記配合により調整されパルプスラリーを用い、抄紙機により坪量54g/m2の原紙を製造した。
【0028】
<表面サイズ剤>
PVA(日本合成化学社製;PVA−105) 100部
リン酸エステル系浸透剤 2.5部
消泡剤 0.025部
上記の配合により表面サイズ剤を調製し、上記原紙にゲートロール方式の塗工装置を用いて、表面サイズ剤を片面2.0g/m2塗工し、乾燥して塗工用原紙を製造した。
【0029】
<顔料塗工層塗工液>
市販高白微粒カオリン 50部
市販高白1級カオリン 20部
市販重質炭酸カルシウム 30部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
ラテックスバインダー 12部
市販燐酸エステル化澱粉 1部
市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC) 0.1部
ステアリン酸カルシウム 0.5部
印刷適性剤 0.5部
水酸化ナトリウム pH9.8に調製
上記配合の顔料塗工液を調製し、上記により製造された塗工用原紙にベントブレード方式の塗工装置を用いて、塗工速度900m/分で顔料塗工液を片面14g/m2塗工し、乾燥して参考例1の印刷用塗工紙を製造した。
【0030】
実施例
参考例1で用いた表面サイズ剤の浸透剤をスルホコハク酸ナトリウムに代えた以外は参考例1と同様にして実施例の印刷用塗工紙を製造した。
【0031】
実施例
参考例1で用いた表面サイズ剤の浸透剤をジオクチルスルホコハク酸ナトリウムに代えた以外は参考例1と同様にして実施例の印刷用塗工紙を製造した。
【0032】
実施例
実施例で用いた表面サイズ剤中の浸透剤の添加量を0.5部にした以外は実施例と同様にして実施例の印刷用塗工紙を製造した。
【0033】
実施例
実施例で用いた表面サイズ剤中の浸透剤の添加量を5.0部にした以外は実施例と同様にして実施例の印刷用塗工紙を製造した。
【0034】
比較例1
参考例1における表面サイズ剤の浸透剤を無添加とした以外は参考例1と同様にして比較例1の印刷用塗工紙を製造した。
【0035】
比較例2
実施例における表面サイズ剤中の浸透剤の添加量を0.3部にした以外は実施例と同様にして比較例2の印刷用塗工紙を製造した。
【0036】
比較例3
実施例における表面サイズ剤中の浸透剤の添加量を6.0部にした以外は実施例と同様にして比較例3の印刷用塗工紙を製造した。
【0037】
上記参考例1、実施例1〜および比較例1〜3により製造した印刷用塗工紙について、下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。
【0038】
<クレーター個数>
三菱重工業社製ダイヤ印刷機を用い、大日本インキ工業社製GEOS−Gの墨、藍、紅、黄の4色100%ベタを印刷し、紙面温度を125℃となるように乾燥し、インキ濃度や印刷外観に影響を及ぼす直径10μm以上のクレーターの発生頻度を光学顕微鏡を用いて1cm2当たりの個数を測定した。
【0039】
<表面強度>
RIテスターを用い、大日本インキ工業社製GEOS−Gの単色ベタ刷りにて塗層の面強度を目視判定5段階で評価した。5が最も良好で、3は許容範囲、1は極めて悪い。
【0040】
【表1】
Figure 0004030407
【0041】
評価;
表1の結果より、PVAを表面サイズ剤として使用した塗工用原紙を用いた印刷用塗工紙を製造するに当たり、表面強度、火じわの発生の抑制効果は維持したままで、顔料塗工層を塗工し、乾燥する際に発生する水蒸気の通過した後である直径10以上μmのクレーター状の穴空きの形成を抑制し、印刷濃度の低下させることがないことがわかる。
【0042】
実施例
<原紙>
LBKP 70部
NBKP 30部
炭酸カルシウム 6部
市販カチオン澱粉 2部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 0.02部
上記配合により調整されパルプスラリーを用い、抄紙機により坪量54g/m2の原紙を製造した。
【0043】
<顔料塗工層塗工液>
市販高白微粒カオリン 40部
市販高白1級カオリン 30部
市販重質炭酸カルシウム 30部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
ラテックスバインダー 12部
市販燐酸エステル化澱粉 1部
市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC) 0.1部
ステアリン酸カルシウム 0.5部
印刷適性剤 0.5部
水酸化ナトリウム pH9.8に調製
上記配合の顔料塗工液を調製し、上記により製造された塗工用原紙にベントブレード方式の塗工装置を用いて、塗工速度900m/分で顔料塗工液を片面14g/m2塗工し、乾燥して実施例の印刷用塗工紙を製造した。
【0044】
実施例
実施例による表面サイズ剤の塗工を2本ロールサイズプレスを用いた以外は実施例と同様にして実施例の印刷用塗工紙を製造した。
【0045】
実施例
実施例で用いた表面サイズ剤の塗工量を0.8g/m2とした以外は実施例と同様にして実施例の印刷用塗工紙を製造した。
【0046】
実施例
実施例で用いた表面サイズ剤の塗工量を5.0g/m2とした以外は実施例と同様にして実施例の印刷用塗工紙を製造した。
【0047】
比較例4
実施例で用いた表面サイズ剤の塗工量を0.5g/m2とした以外は実施例と同様にして比較例4の印刷用塗工紙を製造した。
【0048】
比較例5
実施例で用いた表面サイズ剤の塗工量を6.0g/m2とした以外は実施例と同様にして比較例5の印刷用塗工紙を製造した。
【0049】
上記実施例および比較例4〜5により製造した印刷用塗工紙について、上記の評価方法により評価し、その結果を表2に示した。
【0050】
【表2】
Figure 0004030407
【0051】
評価;
表2の結果より、ゲートロール方式の塗工装置と2本ロールサイズプレスとの塗工方式の違いにより、2本ロールサイズプレスを用いた方が、クレーター状の穴空きの形成を抑制し、印刷濃度の低下を抑え、かつ火じわ抑制効果があることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明の印刷用塗工紙は、PVAを主体とし特定量の浸透剤を添加した表面サイズ剤を原紙に塗工した塗工用原紙に、顔料塗工層を設けることで、顔料塗工層の塗工、乾燥時に発生する水蒸気の通過による直径10μm以上のクレーター状の穴空きの形成を抑制するとともに、表面強度を維持しつつ印刷濃度の低下がなく、さらに火じわの発生を抑制することができる。

Claims (3)

  1. 顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙において、原紙上にポリビニルアルコールを主体とし、スルホコハク酸塩系の浸透剤を該ポリビニルアルコールに対して0.5〜5.0質量%添加した表面サイズ剤を塗工した塗工用原紙に、顔料塗工層を設けてなることを特徴とする印刷用塗工紙。
  2. スルホコハク酸塩系浸透剤が、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムまたはジ−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムであることを特徴とする請求項記載の印刷用塗工紙。
  3. 顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、ポリビニルアルコールを主体とし、該ポリビニルアルコールに対して0.5〜5.0質量%のスルホコハク酸塩系の浸透剤を添加して表面サイズ剤とし、該表面サイズ剤を2本ロールサイズプレス、およびゲートロール、シムサイザーのフィルムトランスファー方式の塗工装置から選ばれるいずれか1種の塗工装置を用いて原紙上に片面当たり0.8〜5.0g/m2塗工して塗工用原紙とし、該塗工用原紙に顔料塗工液を塗工することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
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