JP4029963B2 - 吸音材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばダッシュパネルやフロアパネルに装着されるインシュレータダッシュ、フロアカーペット等に好適な吸音材に係り、特に、紡績工程で発生する繊維屑等の繊維屑を有効利用することで、廉価に製作できるとともに、吸音性能に優れ、しかもリサイクルに適した吸音材に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、車両には、走行時における静粛性を確保するために、各種防音材が設置されている。例えば、図20に示すように、エンジンルームEと車室Rとを区画するダッシュパネル1aの室内側には、インシュレータダッシュ1が装着されているとともに、車室R内のフロアパネル2aの室内面にフロアカーペット2が敷設されている。
【0003】
また、エンジンルームE内には、ダッシュパネル1aのエンジンルーム側に取り付けられるダッシュフロントインシュレータ3やフードパネル4aの室内側に取り付けられるフードインシュレータ4等が設置され、エンジンルームE内の音圧低下を図るとともに、ルーフパネル5aの室内面には、ルーフトリム5が装着されている。尚、図示はしないが、トランクルームやラゲージルーム内にはトランクトリム、ラゲージトリム、ホイールハウストリム等の防音性を有する内装材が設置されている。
【0004】
このように、車室RやエンジンルームE、あるいはトランクルーム、ラゲージルーム内には各種防音材が設置されているが、その代表的なものとして、ダッシュパネル1aの室内面に装着されるインシュレータダッシュ1の構成について図21を基に説明する。このインシュレータダッシュ1としては、吸音・遮音性能を有する吸音材6の表面側に遮音材7を一体化した2層構造のものが従来から知られている。
【0005】
そして、遮音材7は、高密度の再生ゴムシートや再生塩ビシート等、重量の嵩むシート材料が使用されている。一方、吸音材6の素材としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)等のポリエステル繊維やその他の合成繊維をベースとして、低融点の熱融着性繊維や熱可塑性樹脂パウダー等の樹脂バインダを添加して、ニードリング加工や熱風をかけながらプレス加工を行なうことにより基材を作製し、この基材を加熱軟化処理後、コールドプレス成形することによりダッシュパネル1aの形状に合わせて吸音材6を成形している。
【0006】
また、別の従来例としては、反毛(繊維製品のぼろや屑のもつれを解きほぐしたもの)を主繊維とし、これにバインダを添加して成形性を付与したフエルトを使用することもあり、このフエルトは、同様に加熱軟化処理後、所要形状にコールドプレス成形することにより吸音材6を成形している。
【0007】
更に、型内にウレタン樹脂液を注入後、発泡成形により得られるウレタン発泡成形体を吸音材6として使用する場合もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上述したインシュレータダッシュ1の吸音材6では、吸音性を高めるためには、吸音材6の厚みを厚肉にするか、あるいは目付量を多く設定するようにしているが、目付量を増大させると製品のコストアップに繋がり、また、目付量を一定のまま製品厚みを厚肉にした場合低密度となるため、ホコリが発生し易く、作業環境の悪化を招くという不具合があった。また、成形性も悪化して、高展開率部分で裂け易くなるという問題点があった。
【0009】
更に、従来の不織布を使用した吸音材6では、吸音性を高めるために細径繊維の配合量を増やすと、これもまたコストアップに繋がるとともに、これらの繊維は基材を固める機能がないため、基材の剛性が損なわれるという問題点が指摘されている。
【0010】
一方、フエルトを使用した場合、反毛は繊維が太いため、吸音性能の低下や製品の重量化を招くという不具合があった。また、ウレタン発泡成形体を使用した場合、コストダウンは期待できるものの、焼却の際、窒素酸化物が発生し、またリサイクル面でも不利であるという問題点があった。
【0011】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、インシュレータダッシュやフロアカーペット、フードインシュレータ等、広範囲に適用できる吸音材であって、コストが廉価にもかかわらず、優れた吸音性能が期待でき、リサイクルにも好適な吸音材を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この出願の請求項1記載の発明は、製糸、紡績工程で発生した繊維屑と該繊維屑を結合させるバインダとして、繊維径1.9〜290μm、繊維長2〜80mm、融点90〜170℃の熱可塑性樹脂繊維、あるいは熱可塑性樹脂芯鞘構造繊維を使用し、混綿工程を経て基材を製作し、基材の少なくとも片面に不織布、あるいはフィルムを積層してホコリ成分を固定した状態で所要形状に成形したことを特徴とする。
更に、この出願の請求項2記載の発明は、製糸、紡績工程で発生した繊維屑と該繊維屑を結合させるバインダとして、繊維径1.9〜290μm、繊維長2〜80mm、融点90〜170℃の熱可塑性樹脂繊維、あるいは熱可塑性樹脂芯鞘構造繊維を使用し、混綿工程を経て基材を製作し、基材の表面に水、水溶液、薬剤を含侵処理してホコリ成分を固定した状態で所要形状に成形したことを特徴とする。
【0013】
ここで、本発明に係る吸音材の用途としては、例えばインシュレータダッシュ、フロアカーペット、フードインシュレータ、ダッシュフロントインシュレータ、ルーフトリム、トランクトリム等、多岐に亘っている。
【0014】
また、製糸、紡績工程で発生した繊維屑としては、スカーティング工程で取り除かれた綿。選毛工程、梳毛工程、そ毛工程、そ綿工程で取り除かれた綿。コーマ工程で取り除かれたコーマ繊維屑、ノイル綿。紡糸、紡績工程で生じた屑繊維。紡糸、紡績における検査で規格外品とされた繊維。等の使用が可能である。
【0015】
次いで、繊維屑を結合させる樹脂バインダは、熱可塑性樹脂タイプと熱硬化性樹脂タイプのものがあり、熱可塑性樹脂タイプのものでは、低融点ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表される低融点ポリエステル樹脂繊維等の熱融着性繊維や、ポリエチレン(以下、PEという)樹脂等の樹脂パウダー、あるいは反応性接着剤(例えば、ウレタン系樹脂接着剤)等の使用が可能である。また、熱硬化性樹脂タイプでは、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が使用できる。
【0016】
次いで、吸音材の成形方法としては、熱可塑性樹脂タイプをバインダとして使用した際は、繊維類と熱可塑性樹脂バインダ(繊維状でもパウダー状でも良い)から原反マットを作製し、熱風加熱等により加熱軟化させた後、所要形状にコールドプレス成形することにより吸音材が得られる。
【0017】
また、繊維類と熱可塑性樹脂バインダを型内に充填し、成形型の表面に開けた孔から高温の水蒸気や熱風を吹き込んで、成形型の型面に沿って吸音材を成形するようにしても良い。
【0018】
一方、熱硬化性樹脂バインダを使用する場合の成形工法としては、繊維類と熱硬化性樹脂バインダを散布した後、ホットプレス成形用金型で熱圧成形しても良く、あるいは、成形型内に充填して成形しても良い。
【0019】
そして、請求項1に記載の吸音材によれば、製糸、紡績工程で製品を得るために取り除かれた繊維屑を使用するため、繊維屑が細繊維でしかも安価であることから、吸音性能と低コストを両立させることができる。
【0020】
この出願の好ましい実施の形態においては、前記成形体の平均面密度が300〜3000g/m2 の範囲内にあることを特徴とする。
【0021】
ここで、成形体の面密度を300〜3000g/m2 の範囲内に設定した理由としては、平均面密度が300g/m2 未満であると、吸音・遮音効果を得るための嵩高感のあるフエルト状とすることが困難であり、吸音・遮音効果が低下するためである。
【0022】
一方、平均面密度が3000g/m2 を越えた場合には、基材の通気抵抗が著しく高くなり、基材製造時の熱風加熱が困難となり、また、プレス中に型内に冷風を吹き込むことも困難となり、成形タクトが著しく延長するという欠点がある。
【0023】
更に、平均面密度が3000g/m2 を越えた場合には、所定厚みに成形した場合の硬さが増し、吸音・遮音性能が悪化する傾向にある。
【0024】
そして、上記実施の形態によれば、成形体の平均面密度を上記範囲内に設定することにより、所望の吸音・遮音効果が得られるとともに、基材製造時における熱風加熱処理やプレス中に型内に冷風を吹き込む処理を円滑に行なえる。
【0025】
この出願の好ましい実施の形態においては、前記成形体の素材となる繊維屑、バインダの質量比が、繊維屑/バインダ=30〜90:10〜70であることを特徴とする。
【0026】
ここで、安価な繊維屑の配合量が30%未満であれば、コストダウン効果が小さく、配合する繊維の種類が増えて調合に手間がかかるため、添加の意味がなくなる。一方、繊維屑の割合が90%を上回ると、バインダ繊維よりも繊維屑が圧倒的に多くなり、まとまりが低下し、ホコリ発生や強度低下を引き起こす。
【0027】
更に、バインダを10〜70%の範囲内に設定する理由としては、10%未満ではバインダが足りず、繊維屑をまとめきれないため、ホコリ発生や強度低下を引き起こすためである。一方、70%を超えた場合には、バインダが高価であるため、コストダウン効果が出なくなり、成形品の板厚を確保することが困難となり、また、成形品が硬くなりすぎるので吸音・遮音の面で不利となる。
【0028】
そして、上記実施の形態によれば、繊維屑、バインダの質量比を上記範囲内に設定することにより、成形体の良好な強度を維持しながらホコリの発生を有効に抑えた状態で廉価な吸音材を実現できる。
【0029】
この出願の好ましい実施の形態においては、前記成形体の素材となる繊維屑、バインダに他繊維を添加し、各素材の質量比が、繊維屑/バインダ/他繊維=5〜80:5〜80:5〜70である。
【0030】
ここで、この他繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアミド(PA)、ビニロンなどの合成繊維、竹,麻,綿,ケナフ,バナナ,ジュート,椰子等の植物を原料とした繊維状解繊物、あるいは羊毛,絹,獣毛に代表される動物由来繊維等の天然繊維、衣類や繊維製品を解繊することで得られた反毛繊維、各種廃棄物の粉砕品あるいは解繊品等の使用が可能である。
【0031】
他繊維の配合割合を5〜70%の範囲に設定する理由としては、5%未満であると、配合する繊維の種類が増えて調合に手間がかかるため、添加の意味がなくなる。逆に70%を越えた場合には、繊維屑及びバインダの添加量が減少することにより、コスト増大、吸音・遮音性能低下、強度低下、ホコリ発生を招くためである。
【0032】
そして、上記実施の形態によれば、低コストで高い吸音・遮音性能等の要求項目を維持したまま、他繊維添加による多様な性状付与が可能になる。
【0033】
この出願の好ましい実施の形態においては、繊維屑として、綿の種子から得られる繊維のうち、繊維長2〜60mm、繊維径6〜30μmである落綿類を使用したことを特徴とする。
【0034】
ここで、繊維長2〜60mmとした理由は、繊維長が2mm未満であると、基材の強度低下、ホコリ発生を引き起こし易いためであり、一方、繊維長が60mmを越えた場合には、繊維の絡みが過剰となることから、解繊・混綿が難しくなり、基材制動が困難となるばかりか、成形品の板厚を確保することが難しくなるためである。
【0035】
更に、繊維径6〜30μmとした理由は、繊維径が6μm未満であると、繊維の本数が増え、繊維の密度が高くなり、基材の通気抵抗が異常に高くなり、基材製造時の熱風加熱や成形時に熱風加熱・空冷が困難となる。一方、繊維径が30μmを越えた場合には、吸音・遮音性能が低下する。
【0036】
そして、上記実施の形態によれば、繊維屑のうち、繊維長、繊維径を上記範囲に設定することにより、吸音・遮音性能等、強度が高くなり、ホコリの発生が少ない基材、製品を提供できる。
【0037】
この出願の好ましい実施の形態においては、バインダとして、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル系あるいはポリオレフィン系のいずれか1種以上の素材であって、平均粒径0.1〜1mmの範囲にある熱可塑性樹脂パウダーを使用したことを特徴とする。
【0038】
ここで、バインダの平均粒径を0.1〜1mmの範囲に設定した理由としては、平均粒径が0.1mm未満であると、基材製造時の熱風加熱時、及び成形前の熱風加熱時にバインダ粒子が吹き飛んでしまい、バインダの機能を果たさないためであり、平均粒径が1mmを越えた場合には、単位重量あたりの粒の数が少なくなるため、バインダとしての効果が出にくくなるためである。
【0039】
そして、上記実施の形態によれば、バインダとしてパウダーを採用することで、高度な混綿設備、不織布製造設備を使用することなく基材の製造が可能になる。例えば、簡易的な解繊機と混合機さえあれば水蒸気加熱工法を使用することにより、基材の製造が可能となる。
【0040】
この出願の好ましい実施の形態においては、バインダとして、繊維径1.9〜290μm、繊維長2〜80mm、融点90〜170℃の熱可塑性樹脂繊維を使用したことを特徴とする。
【0041】
バインダとして熱可塑性樹脂繊維を使用するとともに、繊維径を1.9〜290μmの範囲に設定する理由としては、繊維径が1.9μm未満であると、繊維の本数が増える。従って、繊維径を細くしすぎると繊維の密度が高くなり、基材の通気抵抗が異常に高くなり、基材製造時の熱風加熱や成形時の熱風加熱・空冷が困難となるためである。また、繊維径が290μmを越えた場合には、吸音・遮音性能が悪化するとともに、単位重量あたりの本数が減るためバインダの効果が発揮しづらくなるためである。
【0042】
次いで、熱可塑性樹脂繊維の繊維長を2〜80mmの範囲に設定する理由としては、繊維長が2mm未満であると、繊維屑をまとめきれず、基材の強度低下、ホコリ発生を引き起こすためである。一方、繊維長が80mmを越えた場合には、繊維の絡みが過剰となるため、解繊・混綿が難しくなり、基材製造が困難となるばかりか、成形品の板厚を確保することが難しくなるためである。
【0043】
次に、融点を90〜170℃に限定した理由としては、融点が90℃未満であると、実用上発生する車内の高温に耐えられず、変形してしまうためである。従って、これより高い融点のバインダを採用するのが好ましい。一方、融点が170℃を越えた場合には、基材製造時、及び成形時の加熱で高い温度まで加熱しなければならず、加熱に時間が余計にかかるため、量産上不利になるためである。
【0044】
そして、上記実施の形態によれば、バインダとして上記範囲の繊維を採用することで、理想的な強度を備え、しかも、吸音・遮音性能の優れた吸音材を実現できる。また、バインダが繊維であるため、繊維屑と絡まり易く、ホコリが発生しにくく成形性も高くなる。
【0045】
この出願の好ましい実施の形態においては、バインダとして、繊維径1.9〜290μm、繊維長2〜80mm、鞘部の融点90〜170℃である熱可塑性樹脂芯鞘構造繊維を使用したことを特徴とする。
【0046】
ここで、バインダとして使用する合成樹脂芯鞘構造の繊維径を1.9〜290μm、繊維長を2〜80mm、鞘部の融点90〜170℃の範囲内に設定する理由は、熱可塑性樹脂繊維と同様である。
【0047】
そして、上記実施の形態によれば、バインダとして上記範囲の芯鞘繊維を採用することで、強度が高く、吸音・遮音性能の優れた吸音材を実現できる。また、バインダが繊維であるため、繊維屑と絡まり、ホコリが発生しにくく成形性も高くなる。
【0048】
それに加えて、芯鞘構造の繊維の特徴として、高温に加熱しても鞘部が溶けるだけで芯部は繊維のまま残るという性質があるため、成形品の繊維本数を多くすることが可能である。このことは、吸音・遮音性の面で有利である。また、成形の温度範囲が高い側に広くなるので成形温度のバラツキに対しある程度寛容になり、量産性を高めることができる。
【0049】
この出願の好ましい実施の形態においては、バインダとして、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂のいずれか1種以上の熱硬化性樹脂を使用したことを特徴とする。
【0050】
そして、上記実施の形態によれば、熱硬化性樹脂をバインダとして採用することで、ホコリを高度に封じ込めることが可能である。更に、成形前の加熱が不要であるため、短時間での成形が可能となる。
【0051】
この出願の好ましい実施の形態においては、他繊維として、繊維径1.9〜290μm、繊維長2〜80mmであるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリアミド(PA)、ビニロンのいずれか1種以上を使用したことを特徴とする。
【0052】
ここで、他繊維の繊維径を1.9〜290μm、繊維長を2〜80mmの範囲に限定する理由としては、繊維径が1.9μm未満であると、繊維の密度が高くなりすぎ、基材の通気抵抗が異常に高くなるためである。すなわち、基材製造時の熱風加熱や成形時の熱風加熱・空冷を困難にするため、加熱工法上の限界があるため、1.9μmを下限値とする。一方、繊維径が290μmを越えた場合には、吸音・遮音性能が悪化する。また、繊維径が太くなるほど単位重量あたりの本数が減り、バインダの効果が出にくくなるため上限値を290μmとする。
【0053】
次に、繊維長を2〜80mmにする理由としては、繊維長が2mm未満であると、基材の強度低下、ホコリ発生を引き起こし易い。逆に繊維長が80mmを越えた場合には繊維の絡みが過剰となるため、解繊・混綿が難しくなり、基材製造が困難となるばかりか、成形品の板厚を確保することは難しくなる。
【0054】
更に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ビニロン等の繊維は、いずれも安価かつ指定繊維径・長さで安定して供給される繊維であり、繊維屑との混綿や基材化も容易にできる。
【0055】
かつ、繊維屑にはない反応性や強度を有するため、これらの繊維を添加することで多様な性状を付与できる。
【0056】
そして、上記実施の形態によれば、繊維屑、バインダだけでは付与できない性状が他繊維の添加で可能となる。更に、上記範囲の他繊維を採用することで、強度、ホコリの出にくさ、吸音・遮音性、量産性、低コストといった必要性能を損なうことなく多様な性状を付与できる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る吸音材の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0058】
図1乃至図6は本発明に係る吸音材を自動車用インシュレータダッシュに適用した一実施形態を示すもので、図1はインシュレータダッシュの構成を示す断面図、図2は同インシュレータダッシュの製造工程を示すチャート図、図3は同インシュレータダッシュに使用する吸音材における基材の製造工程を示すチャート図、図4は同基材の製造工程を示す概要図、図5はインシュレータダッシュの製造工程を示す概要図、図6はインシュレータダッシュの成形に使用するプレス成形用金型に真空吸引力、あるいは圧空力を作用させるタイミングを示すチャート図である。
【0059】
また、図7は本発明に係る吸音材のホコリ発生防止構造を示す説明図、図8は本発明に係る吸音材の遮音性強化構造を示す各パターンの説明図、図9乃至図17は本発明に係る吸音材の成形工程の別実施形態をそれぞれ示すチャート図並びに工程説明図、図18,図19は本発明に係る吸音材の積層構造を採用した変形例を示す各断面図である。
【0060】
図1乃至図6に基づいて、本発明に係る吸音材をインシュレータダッシュに適用した一実施形態について説明する。
【0061】
図1において、自動車用インシュレータダッシュ10は、エンジンルームEと車室Rとを区画するダッシュパネル11の車室側に装着されており、吸音材20の表面に再生ゴム、再生塩ビシート等、比較的面密度の高い遮音材21が積層一体化された2層構造体から構成されている。そして、エンジンルームEからダッシュパネル11を通じて車室内側に伝播する騒音を吸音材20の良好な吸音性能により減衰している。
【0062】
上記吸音材20は、製糸、紡績工程で製品を得るために取り除かれた繊維屑を基本的に使用するもので、例えば、製糸、紡績工程で発生した繊維屑としては、スカーティング工程で取り除かれた綿。選毛工程、梳毛工程、そ毛工程、そ綿工程で取り除かれた綿。コーマ工程で取り除かれたコーマ繊維屑、ノイル綿。紡糸、紡績工程で生じた屑繊維。紡糸、紡績における検査で規格外品とされた繊維のような屑繊維を使用する。上記繊維屑は、繊維長2〜60mm、繊維径6〜30μmであることが好ましい。
【0063】
そして、上記屑繊維を結合させるバインダは、熱可塑性樹脂の融着繊維(単繊維でも芯鞘構造でも良い)や、熱可塑性樹脂パウダー、あるいは熱硬化性樹脂等を適宜使用可能である。
【0064】
上記バインダとして使用する熱可塑性樹脂は、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル系、あるいは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂から適宜選択して良い。
【0065】
また、バインダとして使用する熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂等から適宜選択して良い。
【0066】
ここで、繊維屑等の主繊維に添加する他繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアミド(PA)、ビニロンなどの合成繊維、竹,麻,綿,ケナフ,バナナ,ジュート,椰子等の植物を原料とした繊維状解繊物、あるいは羊毛,絹,獣毛に代表される動物由来繊維等の天然繊維、衣類や繊維製品を解繊することで得られた反毛繊維、各種廃棄物の粉砕品あるいは解繊品等の使用が可能である。尚、本発明と従来例との配合を対比して表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0004029963
【0068】
また、従来の吸音材組成に比べ、本発明のように、繊維屑等をベースとした主繊維を使用することで、表2に示すように、吸音性能とコスト面で有利である。
【0069】
このことは、吸音性能に優れた合成繊維は高価であり、逆に、コスト的に有利な反毛繊維は繊維が太いため吸音性能に劣る傾向にあるものの、本発明のように繊維屑等を使用すれば、細繊維で吸音性能が優れ、しかも、安価であるため、吸音性能と低コストの両立が可能となる。
【0070】
【表2】
Figure 0004029963
【0071】
更に、吸音材20の平均面密度が300〜3000g/m2 の範囲内にあることが望ましい。
【0072】
ここで、吸音材20の面密度を300〜3000g/m2 の範囲内に設定した理由としては、平均面密度が300g/m2 未満であると、吸音・遮音効果を得るための嵩高感のあるフエルト状とすることが困難であり、吸音・遮音効果が低下するためである。
【0073】
一方、平均面密度が3000g/m2 を越えた場合には、基材の通気抵抗が著しく高くなり、基材製造時の熱風加熱が困難となり、また、プレス中に型内に冷風を吹き込むことも困難となり、成形タクトが著しく延長するという欠点がある。
【0074】
更に、平均面密度が3000g/m2 を越えた場合には、所定厚みに成形した場合の硬さが増し、吸音・遮音性能が悪化する傾向にある。
【0075】
従って、吸音材20の平均面密度を300〜3000g/m2 の範囲に設定することにより、所望の吸音・遮音効果が得られるとともに、基材製造時における熱風加熱処理やプレス中に型内に冷風を吹き込む処理を円滑に行なえる。
【0076】
次いで、図2,図3のチャート図及び図4,図5の工程説明図を基に、上記インシュレータダッシュ10の製造工程について説明する。
【0077】
ここで、成分Aは、製糸、紡績工程で製品を得るために取り除かれた繊維屑類を指し、成分Bは、繊維屑類に添加される合成繊維や天然繊維等の他繊維を指し、成分Cは、樹脂バインダ(融着繊維でもパウダー状でも良い)を指す。
【0078】
そして、熱可塑性樹脂の融着繊維をバインダとして、かつ遮音材21としてゴムシートを使用した場合の製造工程について説明すると、まず、成分A,成分B,成分Cを図4に示すように、解繊機30に供給し、この解繊機30で解繊・混合された綿類をホッパー31に供給した後、コンベア32上にマット状に押し出す。
【0079】
次いで、熱風炉33内にベルト34を循環駆動させることにより材料を供給し、熱風加熱しながらベルト34により加圧を施し、吸引装置35で吸引して、室温まで冷却した後、カット刃36により定寸カットし、基材Mが作製される。
【0080】
次に、基材Mを熱風加熱処理し、表皮シートSに赤外加熱を施した後、両者をコールドプレス成形により所要形状に成形し、トリムピアスカット処理を施した後、アッシーして、自動車用インシュレータダッシュ10の成形が完了する。このとき、コールドプレス成形前に基材Mの熱風加熱処理後、必要に応じ、パウダー散布すれば、遮音材21との接着性を高めることができる。
【0081】
この基材Mと表皮シートSの加熱工程、成形工程は、図5に示すように、赤外加熱炉40で表皮シートSを所定温度に加熱軟化させるとともに、熱風加熱炉41で基材Mの加熱を行ない、加熱軟化処理した基材Mにパウダー42を散布し、それぞれ表皮シートSと基材Mの周縁を必要に応じてクランプ装置43,44により保持した状態でコールドプレス成形用上下型45,46により所要形状にプレス成形を施し、外周カットピアス加工を施せば、図1に示す自動車用インシュレータダッシュ10の成形が完了する。
【0082】
このとき、プレス成形のサイクル時間を短縮化するために、コールドプレス成形用上型45及びコールドプレス成形用下型46にそれぞれ真空吸引力及び圧空力を作用させることも可能である。
【0083】
上記真空吸引力及び圧空力を作用させるタイミングは自由に選択できる。このタイムチャート図を図6(a)〜(d)に示す。図6(a)に示すものは、上型45からの真空吸引と下型46からの圧空の開始時期と停止時期を同期させるように制御する。よって、上型45に作用させる真空吸引力により、製品の板厚を確保するとともに、下型46からエアを供給することにより、冷却時間を速めることができる。
【0084】
また、図6(b)に示すように、はじめに下型46で真空吸引力を作用させて、その後、同時に上型45から真空吸引し、下型46から圧空力を作用させるようにすれば、このはじめの下型46からの真空吸引力により、遮音材21を吸音材20に対する接着強度を高めることができる。
【0085】
次に、図6(c)に示すように、上型45から真空吸引力を作用させ、下型46から圧空を作用させることで、製品の板厚を確保して、冷却時間を短縮化するとともに、製品の脱型性を高めるために、上型45の上昇時に上型45から圧空を作用させて、脱型性を高めるか、あるいは下型46に真空吸引力を作用させて、製品を下型46に吸着させるようにしても良く、再度真空吸着した後、下型46から圧空させて、脱型させるのが好ましい。
【0086】
また、図6(d)に示すように、型開きタイミングに合わせて上型45に真空吸引力を引き続き続行させて、下型46からも圧空力を作用させた状態で製品を上型45に吸着保持した状態で型開きを行ない、その後、上型45から圧空力を作用させて脱型させるようにしても良い。
【0087】
このように、コールドプレス成形用上下型45,46に真空吸引力、圧空力を自由に作用させて、成形時間の短縮化や製品の脱型を円滑に行なうようにすることができる。
【0088】
次いで、図7は本発明に使用する繊維屑等の成分に廃材の粉砕品を添加すると、基材Mや成形後の製品からほこりが発生し易いという欠点があったため、その対策パターン例を示すもので、図7(a)に示すように、基材Mの少なくとも片面に不織布50(10〜300g/m2 )を積層する。
【0089】
この積層方法は、熱融着、低融点パウダー、ホットメルト、ニードルパンチ等が使用でき、接着せずに重ね合わせ、あるいは仮止めのみとして、成形時の高温で基材Mと不織布50とを融着一体化するようにしても良い。
【0090】
また、図7(b)に示すように、基材Mの少なくとも片面にフィルム51を積層しても良く、フィルム51の接着方法は、熱融着、パウダー融着、ホットメルト融着等が使用でき、接着せずに重ね合わせ、あるいは仮止めのみとして、基材Mの成形時における高温で熱融着するようにしても良い。
【0091】
更に、図7(c)に示すように、基材Mの表面に、不織布50とフィルム51を積層した積層体を積層しても良い。この不織布50は、フィルム51が破けるのを防止するもので、不織布50の面密度は10〜300g/m2 程度であり、フィルム51の接着方法は、図7(b)と同様である。
【0092】
また、基材Mの表面、あるいは裏面のそれぞれに異なる処理を施すこともできる。
【0093】
次に、図8は基材Mに遮音機能を強化した構造を示すもので、図8(a)に示すように、高密度な表面層52として使用し、ベース53と積層する。この高密度な表面層52は、バインダ成分を配合を多くした高密度に設定され、バインダの替わりに樹脂含侵で高密度としても良い。
【0094】
また、図8(b)に示すように、製品の室内面となる面に非通気層54を基材Mに積層一体化しても良く、この非通気層54としては、合成樹脂シート、塩ビシート、発泡樹脂シート、ゴムシート、金属シート等、厚みは10μm以上である。更に、図8(c)に示すように、バインダ成分の配合を少なく、低密度としたパネル側表面層55とベース53とを積層しても良い。尚、図7に示す各種の積層構造においても、ホコリ防止構造の他に遮音性を高める機能も備えている。
【0095】
次いで、本発明に係る吸音材における各種変形例の製造工程について説明する。
【0096】
図9は基材Mの製造工程は上述した実施形態と同様であり、ただ、通気性表皮を積層一体化する点で異なる。この場合、通気性表皮は、基材Mと重ね合わせて熱風加熱により一体加熱することができる。次いで、図10は、通気性表皮を積層する際、基材Mの製造時に前もって一体化する方法である。
【0097】
更に、図11は、バインダとして熱可塑性樹脂バインダを使用するが、基材M状態を経由せず、直接表皮を積層して製品を得る場合であり、図12に示すように、成形用上下型60,61の型内に成分A,成分B,成分Cの解繊・混合物を充填して、型締め後、水蒸気または熱風を吹き込んで、内部のバインダを溶融させて、直接成形し、このとき、通気性表皮に赤外加熱を施し、成形用上下型60,61間にセットすることもできる。
【0098】
次いで、図13乃至図15は、混綿繊維類を結合させるバインダとして熱硬化性樹脂バインダを使用した製造工程のチャート図であり、図13に示す製造工程を繊維屑等の成分Aと合成繊維や天然繊維等の補強成分Bと、熱硬化性樹脂バインダを混合したもので基材を製造し、必要に応じてパウダーを散布した後、表皮層と重ね合わせ、ホットプレス成形用金型により所要形状に成形し、トリムピアスカット処理後、アッシー工程を経て製品を成形できる。
【0099】
また、図14に示すように、基材Mの製造時に前もって表皮層を重ね合わせ一体化することもでき、図15に示すように、基材状態を経由せず表皮層を積層することもできる。
【0100】
次いで、図16は、チップウレタンの製造ラインに混綿工程を追加して吸音材を製造する工程チャート図であり、繊維屑類である成分Aと補強繊維である成分Bと、熱可塑性樹脂バインダである成分Cとを計量した後、混合解繊し、図17に示すように、解繊・混合繊維を型70内に充填し、加圧板71により所定圧に加圧した状態で高温の水蒸気または熱風を吹き込み、型70からブロックBを取り出し、一定厚みにスライス加工を施すことにより、また外周カットを施して、基材Mを製造する。
【0101】
更に、基材Mに各種の表面処理を施すことも考えられる。例えば、基材Mの少なくとも片面に水、溶液で処理を行なう。このときの処理のタイミングは基材M製造の熱風処理の直前や成形工程における熱風加熱の直前に行なえば、乾燥工程が不要となる。
【0102】
水以外の処理薬剤は、例えば、下記のものが考えられる。
【0103】
<合成接着剤>
・種々の有機系あるいは水性接着剤
・エマルジョン及びエマルジョン系接着剤
<天然物質由来の接着剤及び多糖類など>
(海藻抽出物)
例)寒天、カラギーナン
例)アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸化合物
(植物抽出物)
例)澱粉、アミロペクチン、ペクチン、アラビアガム
例)ローカストビーンガム、グァーガム
例)砂糖、ブドウ糖などの糖類
(動物性蛋白)
例)ゼラチン、カゼイン
(セルロース系)
例)カルボオキシメチルセルロース
例)メチルセルロース他セルロースに化学的に修飾したもの
(その他)
・タッキファイヤー(粘着付与材樹脂)
・ロジン(松脂)化合物
・アミロース、ペクチン酸、キシラン、アルギン酸繊維、蛋白質系繊維
【0104】
そして、薬剤の処理方法は、スプレー、刷毛のり、塗布ロール、浸漬等が使用でき、基材Mが化学構造に親水基をもつ成分を含む場合には、水や水溶液を用いれば、基材M表面に水素結合が結合されてホコリ成分が固定される。
【0105】
薬剤処理を行なう際に、基材M表面を基材搬送速度と同期しないロールで基材M表面を擦れば、薬剤処理の効果を高められる。
【0106】
また、基材Mの少なくとも片面にホットメルト類で処理を行なうようにしても良く、ウエブ状(くもの巣状)、あるいは網目状ホットメルトで表面を覆い、通気度を下げることでホコリ発生を抑制する。目付10〜150g/m2 のものを用いる。
【0107】
樹脂パウダーを散布してから熱処理し、基材M表面を流動してつぶれたパウダーで覆い、ホコリ発生を抑制する。上記ホットメルト、パウダーは低融点のポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル系やポリオレフィン系であり、融点100〜170℃のものが推奨される。あるいは、液状ホットメルトを糸状に、基材表面にランダムあるいは網目状に塗布してホコリを抑制する。
【0108】
基材M作製の任意の時期に、水、水溶液や薬剤を綿にスプレーする。綿全体の処理となるので、基材の表面から内部まで全体が処理対象となるので、ホコリ抑制の効果が高い。スプレー処理で、繊維にホコリ成分を吸着させた状態となるので、基材の製造工程でのホコリ発生も抑制できる。繊維やホコリ成分の化学構造が親水基を含む場合、薬剤が水系であれば、ホコリ成分が繊維に水素結合により強固に吸着される。処理薬剤は上述したものと同様のものを使用する。
【0109】
次いで、基材Mの配合及び構成の具体例について説明する。
【0110】
図18に示すように、吸音層56の両面に表面層57が積層される場合には、吸音層56は繊維屑類/繊維径6〜30μm、PET/290μm以下、PETバインダ=5〜80:0〜70:5〜70、総厚み5〜60mm、密度0.005〜0.6g/cm3 。また、表面層57としては、290μm以下のPET/290μm以下のPETバインダ=0〜95:5〜100、12〜300g/m2 の面密度である。
【0111】
そして、添加する合成繊維としては、繊維径1.9〜290μm(好ましくは60〜150μm)、繊維長さ2〜80mm(好ましくは30〜74mm)、バインダ(繊維の場合)では、繊維径1.9〜290μm(好ましくは20〜150μm)、繊維長さ2〜80mm(好ましくは30〜74mm)、素材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアミド(PA)、ビニロン等からなる合成繊維。融点は、90〜170℃の範囲のものが良い。
【0112】
単一素材からなるバインダ繊維に限らず、芯鞘構造、例えば、芯がPP、外側がPEとなる構造や、芯がPP、外側がPETとなる構造をもつ繊維を使用しても良い。
【0113】
バインダ(樹脂パウダー)では、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアミド(PA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)等からなる樹脂パウダー、単一素材からなるパウダーに限らず、ブレンドポリマーからなるパウダーを使用するか、異なる素材からなるパウダーをブレンドしても良い。尚、パウダーの平均粒径0.1〜1mmの範囲のものが良い。
【0114】
バインダ全般は、繊維状バインダとパウダー状バインダを併用することも可能である。
【0115】
次に、表3乃至表11は、吸音層56と表面層57との組成配合を各種変えたもので、表3に示すように両側の表面層57を高バインダ配合とし、サンドイッチ構造とすることで、製品の剛性アップを図ることができる。
【0116】
【表3】
Figure 0004029963
【0117】
また、表4に示すように、両側の表面層57のバインダを減らして嵩高な柔軟不織布とし、表面層57自体にも吸音性を付与し、かつ吸音層56をmass.表面層57をバネとして遮音性アップを図る配合で、吸音層56が車体パネルにソフトタッチとなるため、遮音性能がより強化される。
【0118】
【表4】
Figure 0004029963
【0119】
表5の構成では、吸音層56の繊維屑類の配合量を高め、吸音性アップを図る配合で、基材Mのバネ定数低減で遮音性アップも期待できる。
【0120】
【表5】
Figure 0004029963
【0121】
また、表6では、合成繊維の配合量を高め、基材の強度アップを図る配合で、表7では吸音層56のバインダ量を極限まで減らし、低バネとすることで遮音性アップを図る。
【0122】
【表6】
Figure 0004029963
【0123】
【表7】
Figure 0004029963
【0124】
表8では、吸音層56のバインダ量を高め、天井等、高い耐熱変形性を要求される部品に対応できる配合で、バインダに結晶性の熱融着性繊維を使用すれば、耐熱変形性改善に役立つ。
【0125】
【表8】
Figure 0004029963
【0126】
表9では、吸音層56に天然繊維を添加し、基材M物性の多様化を図る配合で、竹繊維等の硬い繊維を用いれば、基材M及び製品の剛性強度をアップできる。
【0127】
【表9】
Figure 0004029963
【0128】
表10に示すように、表面層57に天然繊維を添加し、基材M物性の多様化を図る配合であって、竹繊維等の硬い繊維を用いれば、サンドイッチ構造による剛性アップの効果が高い。
【0129】
【表10】
Figure 0004029963
【0130】
更に、表11に示すように、表面層57の目付を極限まで減らし、吸音層56の目付を高めることで吸音性を向上させることができる。
【0131】
【表11】
Figure 0004029963
【0132】
また、図19に示すように、室内側の不織布を高バインダ配合、パネル側の低バインダ配合とし、3層それぞれの個別の役割をもたせることができる。
【0133】
このとき、室内側表面層58aは、60μm、PET/20μm、バインダ=10:90、面密度150g/m2 で、バインダ量を多くして硬い高密度層とし、遮音材を不要とする。
【0134】
更に、パネル側表面層58bは、60μm、PET/20μm、バインダ=95:5、面密度250g/m2 で、バインダ量を少なくしてフワフワ状とし、パネルにソフトタッチとすると良い。
【0135】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る吸音材は、吸音材の主繊維としてPET繊維や反毛繊維を使用せず、製糸、紡績工程で製品を得るために取り除かれた屑繊維を使用するため、再生繊維を廉価に使用することができ、吸音性能を高めることができるとともに、コスト面でも合成繊維をベースとした場合の1/4程度に低減させることができ、吸音性能に優れるとともに、コストを大幅に低減できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸音材を適用した一実施形態を示すもので、自動車用インシュレータダッシュの構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す自動車用インシュレータダッシュの製造工程を示すチャート図である。
【図3】図2に示す製造工程のチャート図における基材の製造工程を示すチャート図である。
【図4】図3に示すチャート図の構成説明図である。
【図5】基材と表皮シートからインシュレータダッシュを製造する製造工程を示す説明図である。
【図6】図5に示す製造工程における金型のタイムチャート図である。
【図7】本発明に係る吸音材に使用する基材のホコリ発生防止構造を示す説明図である。
【図8】本発明に係る吸音材に使用する基材の遮音性強化構造を示す説明図である。
【図9】本発明に係る吸音材の成形工程の別実施形態を示すチャート図である。
【図10】本発明に係る吸音材の成形工程の別実施形態を示すチャート図である。
【図11】本発明に係る吸音材の成形工程の別実施形態を示すチャート図である。
【図12】基材の成形工程を示す説明図である。
【図13】本発明に係る吸音材の成形工程の別実施形態を示すチャート図である。
【図14】本発明に係る吸音材の成形工程の別実施形態を示すチャート図である。
【図15】本発明に係る吸音材の成形工程の別実施形態を示すチャート図である。
【図16】本発明に係る吸音材の成形工程の別実施形態を示すチャート図である。
【図17】図16に示すチャート図の工程説明図である。
【図18】本発明に係る吸音材における基材の配合構成を示す断面図である。
【図19】本発明に係る吸音材における基材の配合構成を示す断面図である。
【図20】車両用防音材の設置箇所を示す説明図である。
【図21】従来の自動車用インシュレータダッシュの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 自動車用インシュレータダッシュ
11 ダッシュパネル
20 吸音材
21 遮音材
30 解繊機
31 ホッパー
32 コンベア
33 熱風炉
34 ベルト
35 吸引装置
36 カット刃
40 赤外加熱炉
41 熱風加熱炉
42 パウダー
43,44 クランプ装置
45 コールドプレス成形用上型
46 コールドプレス成形用下型
50 不織布
51 フィルム
52 高密度表面層
54 非通気層
55 パネル側表面層
56 吸音層
57 表面層
58a 室内側表面層
58b パネル側表面層
60 上型
61 下型
70 型
71 加圧板
M 基材
S 表皮シート

Claims (2)

  1. 製糸、紡績工程で発生した繊維屑と該繊維屑を結合させるバインダとして、繊維径1.9〜290μm、繊維長2〜80mm、融点90〜170℃の熱可塑性樹脂繊維、あるいは熱可塑性樹脂芯鞘構造繊維を使用し、混綿工程を経て基材を製作し、基材の少なくとも片面に不織布、あるいはフィルムを積層してホコリ成分を固定した状態で所要形状に成形したことを特徴とする吸音材。
  2. 製糸、紡績工程で発生した繊維屑と該繊維屑を結合させるバインダとして、繊維径1.9〜290μm、繊維長2〜80mm、融点90〜170℃の熱可塑性樹脂繊維、あるいは熱可塑性樹脂芯鞘構造繊維を使用し、混綿工程を経て基材を製作し、基材の表面に水、水溶液、薬剤を含侵処理してホコリ成分を固定した状態で所要形状に成形したことを特徴とする吸音材。
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