JP4029944B2 - 液透過型ガス拡散陰極構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、効率良く電解生成物を除去できるガス拡散陰極構造体に関し、より詳細にはソーダ電解に好ましく使用でき、生成する苛性ソーダをその表面から容易に除去できるガス拡散陰極構造体に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
クロルアルカリ電解を代表とする電解工業は素材産業として重要な役割を果たしている。このような重要な役割を持つもののクロルアルカリ電解に要する消費エネルギーが大きく、日本のようにエネルギーコストが高い国ではその省エネルギー化が大きな問題となる。例えばクロルアルカリ電解では環境問題の解決とともに省エネルギー化を達成するために、水銀法から隔膜法を経てイオン交換膜法へと転換され、約25年で約40%の省エネルギー化を達成してきた。しかしこの省エネルギー化でも不十分で、エネルギーである電力コストが全製造費の50%を占めているが、現行の方法を使用する限りこれ以上の電力節約は不可能なところまで来ている。より以上の省エネルギー化を達成するためには電極反応を修正する等の抜本的な変化を行なわなければならない。その例として燃料電池等で採用されているガス拡散電極の使用は現在考えられる中で最も可能性が高く、電力節約が大きい手段である。
【0003】
従来の金属電極(水素発生型陰極)を使用する食塩電解反応(1)が、陰極としてガス拡散電極を使用すると食塩電解反応(2)に変換される。
(1)2NaCl+2H2 0→Cl2 +2NaOH+H2 O =2.21V
(2)2NaCl+ 1/2O2 +H2 O→Cl2 +2NaOH EO =0.96V
つまり金属電極をガス拡散電極に変換することにより、理論分解電圧が2.21Vから0.96Vに減少し、理論的には約65%の省エネルギー化が可能になる。
従ってこのガス拡散電極の使用によるクロルアルカリの実用化に向けて種々の検討が成されている。ガス拡散電極の構造は一般に半疎水(撥水)型と言われるもので、表面に白金等の触媒が担持された親水性の反応層と撥水性のガス拡散層を接合した構造を有している。反応層及びガス拡散層ともバインダーとして撥水性のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂を使用し、このPTFE樹脂の特性を利用してガス拡散層ではその割合を多くし、反応層では少なくして両層を構成している。
【0004】
このようなガス拡散電極をクロルアルカリ電解に使用すると幾つかの問題点が生ずる。例えば高濃度の苛性ソーダ中では撥水材であるPTFE樹脂が親水化して撥水性を失い易くなる。これを防止するために前記ガス拡散層のガス室側に薄い多孔性のPTFEシートを貼ることが試みられている。又このガス拡散電極に酸素や空気を供給しながら電解を進行させるが、副反応として一部過酸化水素が生成しそれが構成材料である炭素を腐食して炭酸ソーダを生成することがある。アルカリ溶液中では前記炭酸ソーダは沈澱してガス拡散層を閉塞したり表面を親水化したりしてガス拡散電極の機能を劣化させることがある。この炭酸ソーダが生成しなくても炭素表面に触媒を担持するのみで該触媒による炭素腐食が生ずることも観察されている。
【0005】
このような欠点を解消するために従来は、使用する炭素の選択やその作製法及び炭素と樹脂との混合比をコントロールすることが検討されている。しかしながらこれらの方法は根本的な解決法とはならず、炭素の腐食を遅らせることはできても、腐食を停止することはできない。炭素を使用しなければこのような腐食の問題は起きないため、炭素の代わりに金属である銀を使用することが試みられている。ところがこの金属を使用するガス拡散電極は炭素を構成材料とするガス拡散電極と異なり焼結法で製造され、その製造方法が極めて複雑になり、更に金属を使用するガス拡散電極では親水性部分と疎水性部分を制御しにくいという問題点がある。
【0006】
これらの問題点の解決法としてかつ更に電解電圧を低下させる方法として、ガス拡散電極をイオン交換膜に密着又は接着して実質的に陰極室をなくしてしまう、換言すると陰極室をガス室として構成する方法が提案されている。この方法を採用した電解槽を使用してクロルアルカリ電解を行なうと、生成する苛性ソーダは反応層及びガス拡散層を通って陰極室であるガス室に到達する。この方法は陰極液が存在しないためガス室の高さ方向の圧力差の影響がなくなり大型化しても圧力分布を考える必要がないこと、陰極液が実質的に存在しないため電気抵抗が最小になり電解電圧を最小に維持できるという利点を有する一方、前記した生成する苛性ソーダのガス室方向への透過を促進するためにガス拡散層の貫通孔の大きさ及び分布を制御しなければならない。しかもガス室側に取り出された苛性ソーダが前記ガス拡散層の貫通孔を閉塞し易く、閉塞が生ずると電解の円滑な進行に支障を来たし、実験室レベルではさほど問題にはならないが、実用槽などの大型電解槽では前記閉塞による電流分布の不均一や電解電圧の上昇といった問題が起こり易く、前記貫通孔の閉塞が電解槽の大型化を達成するための最大に障害となっている。
又通常の食塩電解以外にも芒硝電解等のソーダ電解でも同様の問題点が指摘されている。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、前述の従来技術の問題点、つまりガス拡散電極を食塩電解や芒硝電解等の電気化学反応に実用的なレベルで使用できないという欠点を解消し、アルカリ中等の過酷な条件下でも長期間安定で食塩電解等に実質的に使用可能な液透過型ガス拡散陰極構造体を提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
本発明に係わる液透過型ガス拡散陰極は、陽極室及び陰極ガス室を区画するイオン交換膜に接触したガス拡散陰極、前記ガス拡散陰極に接触した金属網状体、及び該金属網状体に接続され該網状体を通して前記ガス拡散陰極に給電するための給電体を含んで成り、陰極液を前記金属網状体に接触させ、三次元的に拡散させることを特徴とする液透過型ガス拡散陰極構造体である。
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明では、ガス拡散陰極を使用する食塩電解や芒硝電解等のソーダ電解や他の電解反応においてガス室を構成する陰極室側に取り出される苛性ソーダ等の陰極生成物を前記ガス拡散陰極のガス拡散陰極の表面から迅速に除去してガス拡散陰極の閉塞や親水性化に起因する電解条件の不安定化を抑制し、長期間使用しても安定した条件で電解を行ない得るガス拡散陰極構造体を提供できる。
ガス拡散陰極の表面から得られる苛性ソーダ溶液を離脱させることは、前記ガス拡散陰極表面を撥水化することによりつまり液の濡れ性を悪くすることにより円滑に行ない得ると考えられる。
【0010】
しかし単にガス拡散陰極の表面を撥水化するのみでは表面の濡れ性の低下は達成できるものの、ガス拡散陰極を透過してガス室側に達する溶液が水玉状の液滴としてガス拡散陰極表面に残り、この液滴はかなり大きくならないと表面から離脱しないという問題点がある。
通常ガス拡散陰極のイオン交換膜と反対面には前記ガス拡散陰極に通電するための給電体が接続されている。
本発明ではこの給電体とガス拡散陰極との間に該ガス拡散陰極と接触するように金属網状体を挟み込み、ガス拡散陰極で生成し該ガス拡散陰極を透過して陰極室側に達する陰極液を前記金属網状体に接触させるようにする。この陰極液は金属網状体がないと液滴としてガス拡散陰極表面に残りやすくなるのに対し、前記金属網状体は前記陰極液を三次元的に拡散させ、つまり該金属網状体中で前記ガス拡散陰極表面と平行方向に拡散させるだけでなく、前記給電体方向へも前記陰極液を拡散させる機能を有し、該陰極液が前記ガス拡散陰極表面に保持されることにより生ずる前述したガス拡散陰極の閉塞や該ガス拡散陰極の表面の親水化等を防止し、ガス拡散陰極の機能を劣化させることなく長期間安定した電解を行なうことを可能にする。
【0011】
前記金属網状体は陰極液をガス拡散陰極表面から迅速に拡散させ除去することにより、酸素や空気等の陰極ガスの供給及び生成ガスの取り出しも円滑に行ない得るようにする。更に前記金属網状体が弾性を有していると、該弾性によりガス拡散陰極をイオン交換膜方向に押圧して前記ガス拡散陰極をイオン交換膜に均一に密着させるため、より低電圧での電解が可能になる。
本発明で使用する網状体は金属製であることが必要である。これは給電体とガス拡散陰極を電気的に接続するため、及び本発明のガス拡散陰極が食塩電解による苛性ソーダ等の腐食性の陰極液製造に使用されることが多いためである。いわゆるソーダ電解では通常30〜40%程度の苛性ソーダが得られ、その中には10〜100 ppm 程度の食塩が混入し、この種の溶液は腐食性が強く、多くの金属を腐食させる。特に電解中の前記網状体は陰極液と接触する箇所では陰分極状態になく、より腐食を受けやすい状態にある。そのため、前記網状体は耐食性の高い金属例えばニッケルや銀を使用することが好ましく、更に耐食性の高いこれらの金属の合金を使用することが望ましい。又銅などの比較的腐食性の低い金属や合金の表面に厚付けニッケル又は銀メッキした複合体の使用も可能である。
【0012】
前記網状体は、金属ワイヤを編んで網状とした形状とすることが望ましく、例えば0.02〜0.2 mm程度の径のワイヤを編み、これを重ね合わせて又は三次元状に編み込んで網状体を構成する。この他に、複数の長寸のワイヤを互いにランダムに絡み合わせてフェルト状の網状体を構成することもできるが、この場合にはワイヤ間に間隙を形成することが比較的困難で表面の濡れ性を良くしてもワイヤ間に液が詰まってガス流通を妨げることがある。従って該フェルト状の網状体を使用する際には、径が0.1 〜0.2 mmと比較的太いワイヤを使用して、前記網状体の充填密度を例えば10%未満程度と低くして前記ワイヤ間の液詰まりを防止することが好ましい。
【0013】
網状体の最適の形態は表面に凹凸を付した弾性を付与した編みメッシュの積層体であり、この場合にはメッシュの目開きが0.5 〜1mm程度で見掛け厚さ0.5 〜2mm程度のメッシュを5〜20層積層したものが良い。メッシュの目開きや見掛け厚さは三次元状網状体の場合も同様である。
なお前述した積層体や三次元体等の他に、金属フォームも本発明の網状体として使用可能である。しかし金属フォームは比較的弾性が弱いため、比較的目開きが大きく線径の太いものを選択するようにする。
この最適形状の網状体を含めて前記網状体の見掛け厚さは特に限定されないが、圧力を加えない自然状態で5〜10mm、設置された状態で1〜3mm程度が望ましい範囲である。
【0014】
これらの網状体を構成する金属や金属合金は通常苛性ソーダやその他の水溶液に対して十分な濡れ性を有するが、該濡れ性が不十分で金属等の表面に液滴が形成される場合は前記網状体を空気中などの酸化性雰囲気で高温処理して前記網状体の表面に酸化物を形成して改質し、前記濡れ性を改善することができる。
前記網状体は、ガス拡散陰極と給電体の間に挿入して前記ガス拡散陰極全体に圧力を掛けて一体化することにより、前記ガス拡散陰極と給電体に接続された状態で所定位置に固定される。
【0015】
この状態で両極間に通電すると、ガス拡散陰極で苛性ソーダ等の陰極生成物が生成し、この苛性ソーダ等が前記ガス拡散陰極を透過してガス拡散陰極表面に達する。この苛性ソーダ等は該表面に位置する網状体に接触し、かつ網状体のワイヤ等に沿って三次元的に広がり、容易にガス拡散陰極表面から離脱する。従って前記ガス拡散陰極表面には最小限の苛性ソーダ等のみが存在して、ガス拡散陰極の貫通孔を閉塞することがなく、ガスの供給及び脱離も容易に行なうことができ、更に前記網状体が設置時の圧力により圧縮されて弾性を有し、この弾性により前記ガス拡散陰極をイオン交換膜方向に押圧してガス拡散陰極とイオン交換膜を均一に密着させるため、低電圧での電解を可能にする。
【0016】
添付図面は、本発明に係わる2室型ソーダ電解用電解槽を例示するもので、図1はその概略縦断面図、図2は図1の要部拡大図である。
電解槽本体1は、イオン交換膜2により陽極室3と陰極室(ガス室)4に区画され、前記イオン交換膜2の陽極室3側にはメッシュ状の不溶性陽極5が密着し、該イオン交換膜2の陰極室4側にはガス拡散陰極6が密着している。該ガス拡散陰極6の陰極室4側には、金属ワイヤを三次元的に編んで成る金属網状体7が位置し、該網状体7には陰極集電体8が接続されている。なお9は陽極室底板に形成された陽極液導入口、10は陽極室天板に形成された陽極液及びガス取出口、11は陰極室天板に形成された酸素含有ガス導入口、12は陰極室底板に形成された苛性ソーダ取出口である。
この電解槽本体1の陽極室3に陽極液例えば食塩水を供給しかつ陰極室4に酸素含有ガスを供給しながら両電極5、6間に通電すると、イオン交換膜2の陰極室4側表面で苛性ソーダが生成し、この苛性ソーダはガス拡散陰極6を透過して金属網状体7表面に達する。この金属網状体7は三次元的広がりを有するため、前記苛性ソーダは液滴とならず、前記金属網状体7のワイヤ等に沿って前記金属網状体表面から離脱し、前記ガス拡散陰極6の表面に苛性ソーダが留まることがなく、ガスの供給及び取り出しを円滑に行なうことができ、ガス拡散陰極の閉塞も防止できる。
なお添付図面では2室型ソーダ電解用電解槽を示したが、本発明は3室型ソーダ電解用電解槽等にも適用可能である。
【0017】
【実施例】
次に本発明に係わるガス拡散陰極及び該電極を使用する電解の実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【0018】
【実施例1】
厚さ1mmのエルテック社製の空孔率90%のニッケルフォームをプレスにより0.2 mm厚に潰しこれを基体とした。平均粒径30μmのニッケル粉と、フッ素樹脂の水分散剤であるデュポン社製のPTFE分散剤J30をニッケルとPTFEが体積比で1:1となるように混合したスラリーを前記基体に含浸させた。この基体の片面に、平均粒径0.1 μmの銀粉末を前述のPTFE分散剤J30に銀:PTFE=9:1となるように分散して調製したペーストを銀が20g/m2となるように塗布し、これを0.2 kg/cm2の圧力下で300 ℃、15分間加熱焼結して、液透過性のガス拡散陰極本体とした。
【0019】
この陰極の電極物質側を、デュポン社製のイオン交換膜ナフィオン90209 に密着させ、前記ガス拡散陰極のイオン交換膜の反対側には、線径0.1 mmで目開きが10mm、凹凸が6〜7mm程度のメッシュを積層した見掛け厚さ10mmのニッケル製の金属網状体を位置させ、該網状体の前記陰極とは反対側に線径1mmのニッケル製の給電体を接続した。前記イオン交換膜の陽極室側にはチタンメッシュに酸化ルテニウムと酸化タンタルから成る混合物を被覆した不溶性陽極を密着させ、前記陰極給電体と不溶性陽極間に圧力を掛けて固定し、電解面積が高さ25cm×幅10cmのソーダ電解用電解槽を構成した。なお網状体の充填率は55%、設置後の見掛け厚さは2〜3mmであった。
この電解槽の陽極室に180 g/リットルの食塩水を、陰極室に酸素濃度を90%とした酸素富化空気を水層に通して湿潤化したガスを理論量の120 %供給しながら温度90℃、電流密度30A/dm2 で電解を行なった。
初期槽電圧は2.06Vであり、陰極室から濃度32%の苛性ソーダが得られた。陰極室の給電体裏面には僅かな苛性ソーダの液滴が見られたが、大部分は網状体を通して下方に取り除かれていた。30日の連続運転後の槽電圧は2.08Vであり、液除去は円滑に行なわれていた。
【0020】
【比較例1】
金属網状体を設置しなかったこと以外は実施例1と同じ電解槽を組み立て、同一条件で苛性ソーダの電解生成を行なった。
初期の槽電圧は2.48Vであったが、1時間後には電圧が2.8 Vまで上昇し、僅かな水素発生が見られたので電解を中止した。陰極給電体から見ると、ガス拡散陰極の裏面一面に陰極液である苛性ソーダの液滴が付着していることが観察された。陰極液除去が円滑に行なわれず、十分な酸素供給ができなかったため、槽電圧が上昇したものと推測できる。
【0021】
【実施例2】
給電体とガス拡散陰極間に銀の厚付けメッキを行なったステンレススチール製の網状体を挟んだこと以外は実施例1と同一の電解槽を構成した。前記網状体は線径0.15mmのSUS310S で形成した見掛け厚さ10mmの三次元編み物を450 ℃で2時間加熱酸化して表面を親水化したものであり、電解槽組み立て後の見掛け厚さは3mmであった。
陽極室への食塩水供給量を200 g/リットルとしたこと及び酸素富化空気を湿潤化しなかったこと以外は実施例1と同一条件で電解を行なった。
初期槽電圧は2.20Vであり、陰極室から濃度40〜42%の苛性ソーダが得られた。100 日の連続運転後も槽電圧には変化はなかった。
【0022】
【実施例3】
網状体表面に銀の厚付けメッキを行なっていないステンレススチール製の網状体を使用したこと以外は実施例2と同一の電解槽を構成し、同一条件で電解を行なったところ、約100 日経過すると僅かではあるが前記網状体表面に腐食が見られるようになった。これは電解液に含まれる微量の塩素根によるものと推測できる。
【0023】
【比較例2】
ステンレススチール製の網状体を設置しなかったこと以外は実施例2と同じ電解槽を組み立て、同一条件で苛性ソーダの電解生成を行なった。
初期の槽電圧は2.55Vであり、最高電圧を2.8 Vに設定して電解を継続したところ、30分後に電流密度が10A/dm2 となってしまい水素発生が見られたので電解を中止した。
【0024】
【発明の効果】
本発明のガス拡散陰極は、陽極室及び陰極ガス室を区画するイオン交換膜に接触したガス拡散陰極、前記ガス拡散陰極に接触した金属網状体、及び該金属網状体に接続され該網状体を通して前記ガス拡散陰極に給電するための給電体を含んで成り、陰極液を前記金属網状体に接触させ、三次元的に拡散させることを特徴とする液透過型ガス拡散陰極構造体である。
このガス拡散陰極構造体は、ガス拡散陰極で生成し透過する苛性ソーダ等が該ガス拡散陰極表面に位置する三次元構造を有する金属網状体に接触して該網状体を介して前記ガス拡散陰極から三次元的に広がってその表面から離脱する。従って前記苛性ソーダ等によりガス拡散陰極が貫通孔を閉塞し電解条件を不安定にすることがなく、従来のガス拡散陰極を使用するソーダ電解等と異なり、長期間運転を継続してもガス拡散陰極の表面に苛性ソーダ等が留まることがなく、生成した苛性ソーダ等を直ちに陰極室側から取り出すことができる。更にこれによりガスの供給及び取り出しを円滑に行なうことが可能になり、槽電圧の低下を達成できる。
【0025】
電解槽を大型化する際には前述したガス拡散陰極表面からの液離脱が重大な問題点となりやすく、この問題点解決が電解槽大型化のネックになることが多い。本発明によると電解槽を大型化しても、金属網状体をそれに対応するように大型化するのみで大量の液離脱を円滑に行なうことができる。
又本発明に係わるガス拡散陰極で使用される金属網状体は弾性を有していることが望ましく、該弾性によりガス拡散陰極をイオン交換膜に均一に密着させ、より以上の槽電圧の低下を達成できる。
金属網状体の形態としては、金属ワイヤの網を積層したものや金属ワイヤを三次元的に編んだもの、あるいは金属フォーム等があり、いずれの形態でもガス拡散陰極表面から生成する苛性ソーダ等を容易かつ円滑に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるソーダ電解用電解槽を例示する概略縦断面図。
【図2】図2は図1の要部拡大図。
【符号の説明】
1・・・電解槽本体 2・・・イオン交換膜 3・・・陽極室 4・・・陰極室(ガス室) 5・・・不溶性陽極 6・・・ガス拡散陰極 7・・・金属網状体 8・・・陰極給電体 9・・・陽極液導入口 10・・・陽極液及びガス取出口 11・・・酸素含有ガス導入口 12・・・苛性ソーダ取出口

Claims (5)

  1. 陽極室及び陰極ガス室を区画するイオン交換膜に接触したガス拡散陰極、前記ガス拡散陰極に接触した金属網状体、及び該金属網状体に接続され該網状体を通して前記ガス拡散陰極に給電するための給電体を含んで成り、陰極液を前記金属網状体に接触させ、三次元的に拡散させることを特徴とする液透過型ガス拡散陰極構造体。
  2. 金属網状体が弾性を有し該弾性によりガス拡散陰極をイオン交換膜に均一に密着させた請求項1に記載のガス拡散陰極構造体。
  3. 金属網状体が金属ワイヤの網を積層したものである請求項1に記載のガス拡散陰極構造体。
  4. 金属網状体が金属ワイヤを三次元的に編んだものである請求項1に記載のガス拡散陰極構造体。
  5. 金属網状体が金属フォームである請求項1に記載のガス拡散陰極構造体。
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