JP3645703B2 - ガス拡散電極構造体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ガス供給を円滑に行ない得るガス拡散電極構造体に関し、より詳細にはガス供給を円滑にして水酸化ナトリウム製造や過酸化水素製造用電解で使用でき、ガス供給を阻害する恐れのある目的生成物を含む電解液をガス供給路からより円滑に除去して大きな省エネルギー効果を達成できるガス拡散電極構造体、特に酸素ガス拡散陰極構造体に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
クロルアルカリ電解を代表とする電解工業は素材産業として重要な役割を果たしている。このように重要な役割を持つが、クロルアルカリ電解に要する消費エネルギーが大きく、日本のようにエネルギーコストが高い国ではその省エネルギー化が大きな問題となる。例えばクロルアルカリ電解では環境問題の解決とともに省エネルギー化を達成するために、水銀法から隔膜法を経てイオン交換膜法へと転換され、約25年で約40%の省エネルギー化を達成してきた。しかしこの省エネルギー化でも不十分で、エネルギーである電力コストが全製造費の50%を占めている。現行の方法を使用する限りこれ以上の電力節約は不可能なところまで来ている。さらなる省エネルギー化を達成するためには、従来と異なる電極反応を用いる等の抜本的に変えなければならない。その例として燃料電池等で採用されているガス拡散電極の使用は現在考えられる中で最も可能性が高く、電力節約が大きい手段である。
【0003】
ガス拡散電極は、反応物質としてガスを電極表面に供給しやすい性質を有することを特徴とし、燃料電池等の用途を踏まえて開発されてきた。最近になってガス拡散電極を工業電解に利用することが検討され始め、例えば過酸化水素のオンサイト製造装置では酸素還元反応を行なうための疎水性陰極が利用されている(Industrial Electrochemistry (2nd Edit.) p279〜、1991) 。又アルカリ製造や各種回収プロセスでは対極反応としての陽極の酸素発生或いは陰極の水素発生の代替として、陽極での水素酸化あるいは陰極での酸素還元反応をガス拡散電極を用いて行ない、消費電力の低減を図っている。又亜鉛採取等の金属回収あるいは亜鉛めっきの対極としても水素陽極による減極が可能であることが報告されている。
しかしながらこれらの工業電解系では、溶液やガスの組成あるいは運転条件が燃料電池の場合と比較して単純でないために、前記電極の寿命や性能が十分に得られないという問題点がある。
【0004】
食塩電解による水酸化ナトリウム製造プロセスにおける一例を述べる。工業用原料として重要である水酸化ナトリウム及び塩素は主として食塩電解により製造されている。この電解プロセスは前述の通りの変遷を経て、イオン交換膜を隔膜とし、過電圧の小さい活性化陰極を使用するイオン交換膜法に移行してきた。この間、水酸化ナトリウム1トンの製造の電力原単位は2000kWhまで減少した。更に従来法のように陰極で水素発生を行なわせる代わりに水素発生を伴わない酸素還元反応を行なわせれば、理論分解電圧は従来の2.19Vから0.96Vとなり、1.23Vの低減が可能になり、大幅な省エネルギー化が期待できる。
この新プロセスを工業的に実現するためには高性能かつ上記電解系で十分な安定性を有する酸素ガス拡散陰極(酸素を供給ガスとするガス拡散陰極)の開発が不可欠になる。
【0005】
従来の食塩電解における陽極反応及び陰極反応はそれぞれ次の通りであり、理論分解電圧は2.19Vとなる。
陽極反応:2Cl- →Cl2 + 2e (1.36V)
陰極反応:2H2 O + 2e → 4OH- + H2 (−0.83V)
ここで陰極に酸素を供給しながら電解すると、水素が供給酸素で消費されて陰極反応は次のようになる。
陰極反応:2H2 O+O2 +4e → 4OH- (0.40V)
従って理論的には1.23V、実用的電流密度範囲でも0.8 V程度の電力消費を低減でき、水酸化ナトリウム1トン当たり700 kWhの節減になる。このような省エネルギー化の観点から1980年代以降、ガス拡散電極を利用する食塩電解の実用化が検討されているが、このタイプの電極には次のような欠点があった。
【0006】
▲1▼ 電極材料として用いられるカーボンが高温で水酸化ナトリウム及び酸素の共存下では容易に劣化し、電極性能を著しく低下させる。
▲2▼ 液圧の上昇及び電極の劣化に伴い発生する水酸化ナトリウムのガス室側へのリークを防止することが困難である。
▲3▼ 実用レベルで必要な大きさ(1m2 以上)の電極の作製が困難である。
▲4▼ 槽内の圧力は高さによって変化し、それを補償する供給酸素ガス圧分布を与えることが困難である。
▲5▼ 陰極液の溶液抵抗損失があり、又溶液の攪拌の動力を必要とする。
▲6▼ 実用化に際し、既存の電解設備の大幅な改造が必要になる。
▲7▼ 酸素ガスとして空気を利用すると、空気中の炭酸ガスが水酸化ナトリウムと反応して炭酸ナトリウムとしてガス拡散電極の細孔に析出するため、ガス拡散能が低下してしまう。
【0007】
これらの問題点を解決する電解法がセロギャップ型電解法である。この電解法では、電解槽の酸素ガス拡散陰極とイオン交換膜を密着することにより溶液室を無くし、原料である酸素ガス及び水を供給し、又生成物である水酸化ナトリウムも同じ側から回収することを特徴としている。
この電解法を用いると、溶液室とガス室との間のガスリークが無くなるため、前記問題点▲2▼が解消し、又電極とイオン交換膜が密着した構造であるため従来のイオン交換膜法の電解設備をあまり改良することなく使用できるため、前記問題点▲5▼▲6▼も解決される。
この電解プロセスに適した酸素ガス拡散陰極に要求される性能は、ガス透過性が高いこと、水酸化ナトリウムによる湿潤を避けるために必要な疎水性が高いこと、及び水酸化ナトリウムが電極内を移動するのに必要な透過性が高いことである。このような目的のために前記酸素ガス拡散陰極はニッケルや銀等の耐久性金属で作製されており,前記問題点▲1▼が解決されて、長時間の電解が期待できる。
【0008】
又この電解プロセスでは、酸素供給側に透過してきた水酸化ナトリウムを回収するので,従来のように陰極により溶液室とガス室に区画することが不要になる。従って電極は液が透過しても問題が起こらず、大型化も比較的に容易になると考えられ、問題点▲3▼が解決される。溶液室が存在せず、従って高さ方向による液圧変化を受けないため、当然問題点▲4▼は起こりえない。又生成した水酸化ナトリウムが、必然的に電極内部を通って酸素供給側に移動するため、問題点▲7▼が起こりにくくなる。
このようにガス拡散電極を工業電解系に適合させる試みは継続的に行なわれ、種々の改良が施され、成果が上がっている。しかし高さが1mにも達する既存の電解槽を利用する場合には、上述の構造を有するガス拡散電極でも本来の電解性能が充分に得られない。その理由として、酸素供給側に移動するアルカリ溶液に加えて、重力により高さ方向に移動した液が、電極内部並びに外部ガス供給面の一部に滞留するので、ガス供給が阻害されることが挙げられる。
本出願人は、この欠点を解消するために、図1に示す酸素ガス拡散陰極を使用する食塩電解用電解槽を提案している(例えば特願平9-299563号)。
電解槽本体1は、イオン交換膜2により陽極室3と陰極室4に区画され、前記イオン交換膜2の陽極室3側にはメッシュ状の不溶性陽極5が密着し、該イオン交換膜2の陰極室4側にはシート状の親水性液透過層6が密着し更に該親水性液透過層6の陰極室側には液透過型酸素ガス拡散陰極7が密着し、該酸素ガス拡散陰極7にはメッシュ状の陰極集電体8が接続され該集電体8により給電されるようになっている。
【0009】
この電解槽1の陽極室3に陽極液である飽和食塩水を供給しかつ陰極室4に加湿した酸素含有ガスを供給しながら両電極5、7間に通電すると、イオン交換膜2の陰極室4側表面で水酸化ナトリウムが生成する。通常の電解槽ではこの水酸化ナトリウムは水溶液として酸素ガス拡散陰極を透過してその陰極室側表面に達する。しかし図示の電解槽1ではイオン交換膜2と酸素ガス拡散陰極7の間に親水性液透過層6が存在するため、前記水酸化ナトリウム水溶液は前記陰極7内を透過するよりも抵抗が小さくなる、前記親水性液透過層6内を分散し、特に重力により下降して該親水性液透過層6の下端に達して液滴として陰極室4底部に落下して貯留される。
この電解槽を従来の電解槽と比較すると、従来型電解槽では、生成する水酸化ナトリウム水溶液は密度の高い酸素ガス拡散陰極内を透過しなければならず、従って電極内での滞留時間が長くなり、供給される酸素含有ガスの円滑な透過を阻害し、反応を律速するガス供給が不十分になるため生成する水酸化ナトリウムも不足し、反応効率が大きく低下する。それに比べ、図1の電解槽では、生成する水酸化ナトリウム水溶液の反応サイトからの取り出しが比較的抵抗の小さい親水性液透過層の分散により行なわれ、陰極内に殆ど滞留しないため、反応ガスの供給が円滑に行なわれ、従って反応効率も高く維持される。
【0010】
このように図1の電解槽を使用して電解を行うと、生成する水酸化ナトリウムを含む陰極液が親水性液透過層6を通って陰極室底部へ抜き出され、ガス拡散陰極7へ滲み出る液量が大幅に減少するため、ガス供給が容易になりその分電解電圧が低下して省エネルギー化が達成される。
しかしながら工業的な規模の電解に図1の電解槽を使用する場合には、前記ガス拡散陰極及び親水性液透過層の高さは1m以上にも達することがあり、従って親水性液透過層の上端部で該液透過層に接する陰極液は1m分前記親水性液透過層を下降しなければ抜き出されなくなる。この下降距離はかなり大きく、ガス拡散陰極側へ滲み出る抵抗にも匹敵し、大型電解槽として図1の電解槽を使用する場合には親水性液透過層を設置する価値が幾分か低下することになる。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、この問題点、つまり単にガス拡散電極に親水性液透過層を併設するのみでは工業規模の電解では十分に円滑なガス供給を行い得ないという問題点を解決し、低電解電圧下で水酸化ナトリウムや過酸化水素等を製造できるガス拡散電極構造体を提供することを目的とする。
【0012】
【問題点を解決するための手段】
本発明に係わるガス拡散電極構造体は、ガス拡散電極と該ガス拡散電極のイオン交換膜側に親水性液透過層を密着させてなるガス拡散電極構造体において、前記親水性液透過層の端部を前記ガス拡散電極より大きく形成し、前記親水性液透過層端部を前記ガス拡散電極の縁部を通して前記イオン交換膜の反対側に位置させたことを特徴とするガス拡散電極構造体である。又その代わりにガス拡散電極に切り欠きを形成し、この切り欠きを通して前記親水性液透過層の端部を前記イオン交換膜の反対側に位置させても良い。
【0013】
以下本発明を詳細に説明する。
従来からガス拡散電極の食塩電解等の工業電解への適用は検討され報告されている。例えば陰極室を酸素ガス拡散陰極により溶液室とガス室とに区画するタイプの電解槽では、イオン交換膜と陰極間の液による液抵抗は無視できないほど大きい。
イオン交換膜と陰極を密着させるゼロギャップタイプは、この液抵抗を低減させるために開発された技術である。例えば食塩電解の場合、前述した陰極反応:2H2 O+2e→4OH- +H2 がイオン交換膜と陰極との界面で生じ、生成した水酸化ナトリウムは溶液として酸素ガス拡散陰極を透過して該陰極のガス相側から取り出される。この場合水酸化ナトリウムの流れ方向と酸素含有ガスの流れ方向が逆であるため、溶液が酸素電極内に滞留したり、ガス供給速度が遅くなったりする。
【0014】
例えば酸素ガス拡散陰極を食塩電解に使用する場合とガス発生電極を食塩電解に使用する場合における電流密度の増加に対する電解電圧の上昇は、前者の方が後者の約1.5 〜2倍であることが知られている。これは酸素ガス拡散陰極の特性として捉えられ、その主要因は反応の種類ではなく、電極反応以外の過電圧に依るものであることが判っている。その過電圧上昇の原因の1つが酸素ガス拡散陰極に対する供給ガス不足であり、例えば食塩電解の場合、ガス源を空気とする場合と純酸素とする場合では前者の方が約200 mV過電圧が高くなることが知られている。又供給量を増加した方が過電圧が低くなるが、生成物の取り出しに支障を来たし、結局円滑なガス供給もできなくなる。
【0015】
本発明は、この酸素ガス拡散陰極を食塩電解に使用する場合以外にも、水素ガス拡散陽極を3室法の塩分離に使用する場合、及びガス拡散電極を過酸化水素の電解製造に使用する場合等における電解生成物を含む溶液の取り出しと原料ガスの供給を共に円滑に行ない得る電解槽、特に工業用の大型電解槽で使用するガス拡散電極構造体を提供することも目的とし、これによりガス拡散電極を使用する工業電解槽の実現の可能性が高くなる。
本発明では、イオン交換膜とガス拡散電極を密着させて設置するゼロギャップ型電解槽の前記イオン交換膜と前記ガス拡散電極間に親水性液透過層を設けかつ該親水性液透過層の端部を前記ガス拡散電極間の縁部又は隣接するガス拡散電極の分割片間の空間を通して前記イオン交換膜との反対側に位置させてガス拡散電極構造体を構成する。この親水性液透過層は、イオン交換膜で生成する水酸化ナトリウムや過酸化水素を溶解した溶液の全部又は一部を、該親水性液透過層を通して電極室の周囲、特に下部に抜き出して前記溶液がイオン交換膜とガス拡散電極間に滞留する時間を短くし、これによりガス拡散電極背面からの酸素含有ガスや水素含有ガス等の原料ガスの供給を円滑に行なうようにしたものである。従って本発明によると生成物を溶解した溶液の円滑な抜き出しと原料ガスの円滑な供給という方向の異なる操作を最大効率で行ない、電解電圧を従来以上に低減してガス拡散電極を工業電解へ適用する道を大きく開くことを可能にする。
このガス拡散電極構造体は、食塩電解の酸素ガス拡散陰極としても、塩分離の水素ガス拡散陽極としても、過酸化水素製造用ガス拡散電極としても使用でき、各種電解のガス拡散電極として有用である。
【0016】
液抵抗の面から見れば、イオン交換膜とガス拡散電極との間には何も存在しないことが好ましいので、本発明の親水性液透過層を両者間に挿入しないほうが良いことになり、挿入すれば電解電圧は上昇する。しかし純水電解のようなイオン交換膜を固体電解質として利用する場合以外はイオン交換膜と電極とが密着しなければならない必然性はなく、前記親水性液透過層の挿入による電解電圧の上昇分以上の効果が現れれば、全体としての省エネルギー化が達成できる。
本発明はまさにこの効果を狙ったもので、前述の溶液を親水性液透過層を通して取り出すことにより、ガス供給の円滑化を達成し、これにより前記親水性液透過層の挿入による上昇分以上の電解電圧の低減を行い、全体として省エネルギー化を図ろうとするものである。
【0017】
図1の電解槽を使用して食塩電解を行なうと、酸素ガス拡散陰極のイオン交換膜側表面近傍で主として生成する水酸化ナトリウムの大部分を前記親水性液透過層を通してつまり酸素ガス拡散陰極を通さずに抜き出すことができる。その際に該親水性液透過層がシート状であると、前記水酸化ナトリウムがその周縁に達しなければ抜き出されず、抜き出しまでに比較的長時間を要することがある。この問題点を解決するために、本発明では、親水性液透過層を複数に分割して各分割層の一端を、例えば1〜5mm幅のスリットやガイド等の切り欠きを形成したガス拡散電極のこれらの切り欠きの隙間から又は隣接するガス拡散電極の分割片の間の空間から電極背面に達するように配置し、生成水酸化ナトリウムが周縁に達する前に、つまり移動距離を最小にしてガス供給を殆ど阻害することなしに、短時間でイオン交換膜とガス拡散電極間から抜き出される。この態様はガス拡散電極の縦方向の高さが1mにも及ぶ工業電解の際に特に有用で高さが10〜50cm程度の比較的小さいガス拡散電極を使用する場合には複数に分割しなくても良い。なお切り欠きを形成したガス拡散電極又は複数に分割されたガス拡散電極は強度的に弱いため、該ガス拡散電極へ給電するための集電体にも切り欠きを形成し又は分割された集電体を前記ガス拡散電極に接触させ、前記親水性液透過層の端部を集電体を通して該集電体の裏側まで導くことが望ましい。
【0018】
又親水性液透過層が連続した液層であると、この液層の高さ方向に前記ガス拡散電極へ掛かる圧力差が生じ、大型化へのネックになる可能性がある。
本発明に係わるガス拡散電極構造体は、前述の通りイオン交換膜−親水性液透過層−ガス拡散電極により構成され、例えばこの構造体を食塩電解槽の酸素ガス拡散陰極としてイオン交換膜と密着状態でガス室のみから成る陰極室に収容すると、該陰極室には溶液室がなく酸素ガス拡散陰極の背面側にはガス圧が等しく掛かっていること、及び前記溶液は前記親水性液透過層から実質的に液滴として抜き出され、該親水性液透過層内には連続的な液層が生じているのではなく途中で途切れた液膜状になっていると考えることが妥当であることから、高さ方向の圧力変化を酸素ガス拡散陰極が受けることはなく、特に親水性液透過層が複数に分割されている場合は勿論である。これは本発明のガス拡散電極構造体を3室法電解槽の水素ガス拡散陽極あるいは過酸化水素製造用ガス拡散電極に適用した場合も同様である。
【0019】
本発明で使用するガス拡散電極は従来のガス拡散電極の特徴を活かしたまま使用できる。例えばチタン、ニオブ、タンタル、ステンレス、ニッケル、ジルコニウム、カーボン、銀などの耐食性材料から成る金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体、発泡体等の材料を、必要に応じて前処理洗浄してガス拡散電極とするか、又はその表面に、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム,銅、銀、コバルト、鉛等の金属又はそれらの酸化物等を担持した導電性グラファイトやカーボンブラック粉末、又は金属銀粉末単独あるいは白金や白金族金属合金を担持した酸化チタン等のセラミックをバインダーであるフッ素樹脂と混練してペーストとし、このペーストを150 〜300 ℃で加熱又はホットプレスにより焼付けを行ってガス拡散電極とする。なお前記金網等の表面に、混練物を塗布し焼き付けても良い。ガス拡散電極の多孔性を更に高めるためには前記ペースト中にアルコールやエチレングリコール等の加熱により分解又は揮発する化合物を添加しすれば良い。又このような分解性又は揮発性物質でなく、発泡剤を添加しても良いことは勿論である。
【0020】
反応ガスの物質移動を速やかに行なうために、疎水性材料を、前記ガス拡散電極や集電体に分散担持することが好ましい。疎水性材料としては、フッ化ピッチ、フッ化黒鉛、フッ素樹脂等が望ましく、特にフッ素樹脂は均一かつ良好な性能を得るために、200 から400 ℃の温度において焼成することも好ましい。フッ素成分の粉末の粒径は0.005 〜100 μmとすることが好ましい。疎水性や親水性の部分は電極断面方向に沿ってそれぞれ連続していることが望ましい。
耐食性や経済性の観点から、前記ガス拡散電極に貴金属めっき特に銀めっきを施すことが望ましい。疎水性銀めっき浴は、例えば、チオシアン化銀10〜50g/リットル、チオシアン化カリウム200 〜400 g/リットルの水溶液中へ、PTFE粒子10〜200 g/リットル、及び界面活性剤10〜200 g/(g/PTFE)を添加して調製し、適度に攪拌しながら、室温にて電流密度0.2 〜2A/dm2 で電着させる。めっき厚としては1〜300 μmのときに良好な疏水性及び耐食性を発現する。めっき後はアセトン等で充分に洗浄することが好ましい。
【0021】
本発明においてイオン交換膜とガス拡散電極間に位置する親水性液透過層は電子の移動には寄与しないため、導電性は無くても良い。その材質は特に限定されないが、例えば食塩電解では高濃度の水酸化ナトリウムと約100 ℃で接触するため十分な耐性を有することが必要である。又塩分離用陽極として使用する場合には電位はほぼ同じであるが電解液が強酸になることが多いため、耐酸性の材料であることが必要である。更に電解槽内に設置されるイオン交換膜は必ずしも完全な平面ではないので、前記ガス拡散電極もそれに沿ってある程度変形できるフレキシビリティを有することが望ましく、換言すると圧力の不均一が生ずる場合に変形して前記圧力を吸収する材料であることが望ましい。
前記親水性液透過層の材質としては、例えば酸化ジルコニウム、酸化珪素及び酸化チタン等の金属酸化物、カーボン、炭化珪素等のセラミックス、親水性化したPTFE、EEP等の樹脂、ニッケル、ステンレス、銀等の金属や合金などがあり、前記した樹脂以外の材料の場合はバインダーである30%以下のフッ素樹脂とともに焼き付け、必要に応じて前処理洗浄して親水性液透過層とする。
【0022】
前記親水性液透過層の形状は厚さが0.01〜10mm、好ましくは0.1 〜1mmのシート状とすることが好ましく、更に電解液を常に保持し得る材料及び構造であることが好ましく、例えばその構造としては、網、織物、不織物、発泡体があり、特に粉末を原料として孔形成剤と各種バインダーでシート状に成形した後、溶剤により孔形成粒子を除去した焼結板又はそれを重ねた物が好ましい。
親水性液透過層を構成する粉末の平均気孔率はこれに限定されるものではないが50〜90%、望ましくは70〜90%とする。気孔率が90%を越えると物理強度が弱くなって取扱い上の問題が生じ、又50%未満では保水率及び透水率が低くなり更に電解時の電気抵抗が大きくなる。他の条件にも依るが、気孔率を50〜90%にするための親水性液透過層材料の平均粒径は5〜10μm程度であり、粒度分布はできるだけ小さくすることが好ましい。
【0023】
該親水性液透過層の厚さは、イオン交換膜からガス拡散電極に向かって流れる電解液の量、つまり該親水性液透過層により除去されるべき電解液の量に応じて加減すれば良いが、前記厚さを0.5 〜1mmと厚くする場合には、使用する粒子の平均粒径もそれに対応して大きくすることが好ましい。該親水性液透過層が厚過ぎると電解電圧が高くなり電力原単位が悪くなることがある。
又該親水性液透過層を前述した金属酸化物等の粒子とバインダーのみで構成すると強度が不十分になり取扱いが不便になることがある。この場合には金属フォームや金属メッシュあるいは炭素繊維やフッ素樹脂等を心材として使用し、この心材の両面に前記粒子及びバインダーによる多孔層を形成すれば良い。但しこの心材も前述した親水性液透過層の材質に関して述べた特性が必要であり、例えば食塩電解の酸素ガス拡散陰極として使用する場合には、金属銀や銀めっきを施した銅やニッケルを使用することが、又塩分離の水素ガス拡散陽極として使用する場合には、耐酸性のあるチタンやジルコニウム又はハステロイを使用することが望ましい。この心材も親水性液透過層と同様に電子の移動には寄与しないため、導電性でも非導電性でも良いが、電極としての作用はできるだけ小さくすることが好ましい。
【0024】
このような心材を有する親水性液透過層を製造するには、心材の両面に上述した原料粉末とフッ素樹脂の混練物を塗布し、僅かに圧力を掛けながら例えば200 〜350 ℃程度の温度でホットプレスして成型することができる。
この親水性液透過層をイオン交換膜とガス拡散電極間に配置するには、前記イオン交換膜とガス拡散電極間に挟み、電解液の液高さによる水圧差0.1 〜30kgf/cm2 程度の圧力で一体化することができる。又前記親水性液透過層を予めガス拡散電極の膜側表面又はイオン交換膜のガス拡散電極側表面に形成し、該イオン交換膜及びガス拡散電極を密着させて所定位置に配置するようにしても良い。
【0025】
しかしながら液及びガス透過性を有する前記ガス拡散電極は、前記親水性液透過層の片面の少なくとも一部に該ガス拡散電極を構成する成分である電極物質の混練物を含有するペーストを塗布し、加熱及び焼付けを行って形成しても良い。この加熱は例えば空気中200 〜350 ℃で行うことができる。200 ℃未満でも加熱焼付けは可能であるが、その場合は添加する化合物をより分解又は揮発しやすいものとする。加熱温度が350 ℃を越えるとバインダーであるフッ素樹脂の分解が生じ始めるため短時間での処理が必要になり、又高温度では触媒粒子同士の焼結や不活性化が進行しやすくなる。このようにペースト塗布によるガス拡散電極の形成条件は電極物質の種類やバインダーの種類に応じて適宜設定する必要がある。
【0026】
食塩電解に本発明のガス拡散電極構造体を使用する場合、イオン交換膜としてはフッ素樹脂系の陽イオン交換膜が耐食性の面から好適である。陽極は通常のDSAと呼ばれるチタン製の不溶性電極を使用することが望ましく、他の電極の使用も可能である。
電解条件は、例えば温度60〜90℃、電流密度10〜100 A/dm2 とすることが好ましく、必要に応じて供給酸素含有ガスを加湿する。加湿方法としては、電解槽入口に70〜95℃に加湿された加湿装置を設け、前記酸素含有ガスを通すことにより制御する。現在市販されている膜の性能では、陽極液の濃度を200 g/リットル以下、特に170 g/リットル付近に維持すると、酸素含有ガスの加湿は不要になる。得られる水酸化ナトリウム濃度は25〜40%程度が適当であるが、基本的にはイオン交換膜の性能により決定される。
【0027】
図2は、本発明に係わるガス拡散電極構造体を使用する食塩電解用電解槽の一例を示す縦断面図、図3は図2の電解槽の親水性液透過層とガス拡散陰極の関係を示す斜視図である。
電解槽本体11は、イオン交換膜12により陽極室13と陰極室14に区画され、前記イオン交換膜12の陽極室13側にはメッシュ状の不溶性陽極15が密着し、該イオン交換膜12の陰極室14側にはシート状の親水性液透過層16が密着し更に該親水性液透過層16の陰極室側には液透過型酸素ガス拡散陰極17が密着し、該酸素ガス拡散陰極17にはメッシュ状の陰極集電体18が接続され該集電体18により給電されるようになっている。
なお19は陽極室底部近傍の側壁に形成された陽極液(飽和食塩水)導入口、20は陽極室上部近傍の側壁に形成された陽極液(未反応食塩水)及び塩素ガス取出口、21は陰極室上部近傍の側壁に形成された(加湿)酸素含有ガス導入口、22は陰極室底面に形成された水酸化ナトリウム及び過剰酸素の取出口である。
前記親水性液透過層16、酸素ガス拡散陰極17及び集電体18は縦方向に5分割され、各親水性液透過層16の分割片はその下端が陰極17方向に折り曲げられ、隣接する該陰極17及び前記集電体18の間の空間を通って集電体18の背面に達している。
【0028】
この電解槽11の陽極室13に陽極液である飽和食塩水を供給しかつ陰極室14に加湿した酸素含有ガス例えば純酸素や空気を供給しながら両電極15、17間に通電すると、イオン交換膜12の陰極室14側表面で水酸化ナトリウムが生成する。通常の電解槽ではこの水酸化ナトリウムは水溶液として酸素ガス拡散陰極を透過してその陰極室側表面に達する。しかし図示の電解槽11ではイオン交換膜12と酸素ガス拡散陰極17の間に親水性液透過層16が存在するため、前記水酸化ナトリウム水溶液は前記陰極17内を透過するよりも抵抗が小さくなる、前記親水性液透過層16内を分散し、特に重力により下降して5個の親水性液透過層16分割片の下端に達し集電体18方向に折り曲げられた該分割片に案内されて集電体18方向に移動し液滴として陰極室14底部に落下して貯留される。
この電解槽を図1の電解槽と比較すると、図1の電解槽では、生成する水酸化ナトリウム水溶液は密度の高い酸素ガス拡散陰極ではなく抵抗の小さい親水性液透過層6内を透過できるが、該親水性液透過6から除去されるためにはその周縁部までの長い距離を移動しなければならず、従って抵抗も大きくなりかなりの量がガス拡散陰極を通してその背面まで達しガス供給を阻害することになる。これに対し、図2の電解槽では親水性液透過層16が縦方向に分割され各分割片毎に水酸化ナトリウム水溶液が案内されるため、移動距離が小さくなり換言すると抵抗が小さくなり、前記水酸化ナトリウム水溶液の殆どがガス拡散陰極17方向へ透過せず前記親水性液透過層16を通して取り出されるため、ガス供給を阻害することがなくなる。これにより反応ガスの供給が円滑に行なわれ、従って反応効率も高く維持される。
【0029】
図4は、親水性液透過層とガス拡散陰極の他の関係を示す斜視図である。
図4では陰極を複数に分割せず、陰極17′に横長の四角形の形状のスリット23を形成した例である。図3のように陰極を複数に分割すると各分割片ごとに給電する必要があって煩雑であるが、図4のように陰極17′にスリット23を形成し、このスリット23を通して親水性液透過層16′の下端をガス拡散陰極背面に位置させるようにすると、陰極への給電を単一の集電体で行なえるため、更に好都合である。
【0030】
【実施例】
次に本発明に係わるガス拡散電極構造を使用する電解の実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【0031】
【実施例1】
炭素繊維製の厚さ0.3 mmの布状織物の表面に見掛け平均粒径約10μmのカーボンブラック粒子を、その30重量%のポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)をバインダーとし、0.2 kg/cm2の圧力を掛けながら温度200 ℃で15分間保持することにより焼付け、高さ20cm、幅が14cmの親水性液透過層とした。
平均粒径5μmの銀粒子とその40重量%のテフロンを含む分散液との混練物を厚さ0.2 mmとなるように平板状に引延し、その片面に更に平均粒径0.3 μmの活性な銀粒子のペーストを塗布して高さ19cm、幅14cmのガス拡散電極とし、このガス拡散電極の銀塗布側を上端縁が一致するように前記親水性液透過層に密着させ、0.2 kg/cm2の圧力を掛けながら温度180 ℃で15分間ホットプレスして親水性液透過層付きガス拡散電極(ガス拡散電極構造体)とした。
【0032】
このガス拡散電極構造体を5枚準備し、各々の親水性液透過層の下端が隣接するガス拡散電極間の空間を通って反対側に位置するようにしながら、前記5枚のガス拡散電極構造を縦方向に2室法電解槽に取り付けた。
この電解槽の陽極室に180 g/リットルの食塩水を循環しながら、陰極室には水蒸気を飽和した純度90%の酸素ガスを理論量の1.2 倍供給しながら電流密度30A/dm2 で電解を行ったところ、電解電圧は2.0 〜2.05Vで安定していた。電流効率は96%で、陰極液として濃度31.5%の水酸化ナトリウム水溶液が得られた。この低電解電圧は陰極液が下端縁がガス拡散電極間の空間を通してガス拡散電極背面に達している親水性液透過層を通してガス供給路から円滑に除去されるためと推測できる。
【0033】
【比較例1】
ガス拡散電極を高さ20cmとして隣接するガス拡散電極の分割片間に空間を設けずガス拡散電極と親水性液透過層を完全に密着させたこと以外は実施例1と同様にしてガス拡散電極構造体を5枚使用して電解槽を構成し、同一条件で食塩電解を行ったところ、当初の電解電圧は2.05Vであったが5時間後には2.2 Vまで上昇した。これは陰極液(生成する水酸化ナトリウム水溶液)の一部が親水性液透過層からガス拡散電極を透過して該電極裏側に滲み出したため、ガス供給が幾分阻害されたためであると推測できる。
【0034】
【比較例2】
親水性液透過層を形成しなかったこと以外は比較例1と同様にして電解槽を組み、比較例1と同一条件で食塩電解を行ったところ、当初の電解電圧は2.03Vであったが徐々に上昇し6時間後には2.25〜2.3 Vまで上昇して安定した。これは陰極液の殆どがガス拡散電極を通ってその背面に滲み出しており、ガス拡散電極の部分的な閉塞が起きていることに起因すると推測できる。
【0035】
【実施例2】
銀めっきを施したニッケルフォームに銀粒子をテフロン樹脂をバインダーとして担持して心材とし、この心材の片側に塩化白金酸水溶液を塗布し水素気流中200 ℃で吹き付けて液透過型ガス拡散電極を作製した。なお前記銀粒子とテフロン樹脂の量比はテフロン樹脂を40%として弱い撥水性とした。
線径0.05mmの銀線から成る見掛け厚さ0.2 mmで気孔率85%の網状体を親水性液透過層とし、前記ガス拡散電極の白金担持面に密着させてガス拡散電極構造体とした。
【0036】
親水性液透過層及びガス拡散電極の大きさ及び枚数は実施例1と同じとし、親水性液透過層の下端をガス拡散電極の分割片間の空間を通って反対側に位置させるようにした。ガス拡散電極とイオン交換膜の接触圧力を0.2 kg/cm2とし、実施例1と同一条件で食塩電解を行ったところ、電解電圧は1.95Vで安定していた。親水性液透過層である銀網状体の裏側下端部からは電解液が流れ出ることが観察され、電解停止後、親水性液透過層から流れ出る電解液量とガス拡散電極へ透過する電解液量を測定したところ、ガス拡散電極側へ透過する電解液量は20%以下であった。
【0037】
【実施例3】
短繊維のフッ素樹脂ファイバーと酸化ジルコニウム粉末を少量のテフロン樹脂をバインダーとして焼結し見掛け厚さ0.3 mmの布状としたものを親水性液透過層として使用したこと以外は実施例2と同一条件で電解槽を組み電解を行ったところ、電流密度30A/dm2 における電解電圧は2.0 V、電流密度40A/dm2 における電解電圧は2.18Vで安定し、これらの電圧値は100 時間連続電解後も変化しなかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明のガス拡散電極構造体は、ガス拡散電極と該ガス拡散電極のイオン交換膜側に親水性液透過層を密着させてなるガス拡散電極構造体において、前記親水性液透過層の端部を前記ガス拡散電極より大きく形成し、前記親水性液透過層端部を前記ガス拡散電極の縁部を通して前記イオン交換膜の反対側に位置させたことを特徴とするガス拡散電極構造体である。
従来のガス拡散陰極を使用する電解槽特にガス拡散電極をイオン交換膜に密着させるゼロギャップタイプの電解槽では、イオン交換膜表面で生ずる目的生成物が比較的密度の高い前記ガス拡散電極を透過してつまり供給される反応ガスの供給方向と反対方向に、換言すると反応ガスの供給を阻害しながら前記ガス拡散電極を透過しなければならず、生成物が増加するほど反応ガスの反応サイトへの供給が阻害されて反応効率が低下するという問題点があった。
【0039】
これに対し本発明では、ガス拡散電極とイオン交換膜の間に親水性液透過層を配置したため、従来はその殆ど全てが前記ガス拡散電極を透過して取り出されなければならなかった水酸化ナトリウム水溶液等の生成物がガス拡散電極を透過せずに前記親水性液透過層を通って反応ガスの供給方向は対向することなく取り出すことができる。親水性液透過層をガス拡散電極より大きく形成しているため電解液の親水性液透過層からの取り出しが円滑になる。
更に親水性液透過層及びガス拡散電極を複数に分割し、親水性液透過層の分割片の端部を隣接するガス拡散電極の分割片間の空間からガス拡散電極背面に導くように構成すると、該透過層の縁部までの移動距離が減少し、ガス供給が更に円滑になる。従って生成物量が増加しても、反応ガス供給には殆ど影響がなく、反応効率を高く維持したまま、所定の電解反応を継続できる。
前述のようにガス拡散電極の複数に分割すると各分割片への通電が必要になり煩雑である。これを回避するためには、ガス拡散電極にスリット状の切り欠きを形成し、これを通して前記親水性液透過層の分割片を電極背面に導くようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス拡散電極を使用する電解槽を例示する概略図。
【図2】本発明に係わるガス拡散電極構造体を使用する食塩電解用電解槽の一例を示す縦断面図。
【図3】図2の電解槽の親水性液透過層とガス拡散陰極の関係を示す斜視図。
【図4】親水性液透過層とガス拡散陰極の他の関係を示す斜視図。
【符号の説明】
11・・・電解槽本体 12・・・イオン交換膜 13・・・陽極室 14・・・陰極室 15・・・不溶性陽極 16・・・親水性材料 17・・・酸素ガス拡散陰極 18・・・集電体 23・・・切り欠き
Claims (3)
- ガス拡散電極と該ガス拡散電極のイオン交換膜側に親水性液透過層を密着させてなるガス拡散電極構造体において、前記親水性液透過層の端部を前記ガス拡散電極より大きく形成し、前記親水性液透過層端部を前記ガス拡散電極の縁部を通して前記イオン交換膜の反対側に位置させたことを特徴とするガス拡散電極構造体。
- ガス拡散電極を縦方向に複数に分割し、かつ親水性液透過層も前記ガス拡散電極の分割に対応するように分割し、対応する分割された親水性液透過層の端部を分割されたガス拡散電極の縁部を通してイオン交換膜との反対側に位置させるようにした請求項1に記載のガス拡散電極構造体。
- ガス拡散電極と該ガス拡散電極のイオン交換膜側に親水性液透過層を密着させてなるガス拡散電極構造体において、前記親水性液透過層の端部をガス拡散電極に形成した切り欠きを通して前記イオン交換膜の反対側に位置させたことを特徴とするガス拡散電極構造体。
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