JP4029672B2 - プリントプログラム、プリントサーバ、およびプリント方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリントプログラム、プリントサーバ、およびプリント方法に関し、特に、プリントの効率を上げるために複数台の画像形成装置を用いてプリントを行うためのプリントプログラム、プリントサーバ、およびプリント方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタなどの画像形成装置を用いて大量の用紙を印刷出力する場合、プリンタを複数台用いて並行してプリントアウトすることで作業時間の短縮を図ることができる。このように複数のプリンタで並行してプリントを行うことを分散プリント(Cluster Printing)と呼ぶ。
【0003】
分散プリントにおいては、複数台のプリンタを管理するプリントサーバが用いられる。ここで、プリントサーバに4台のプリンタを接続して、分散プリントシステムを構築した場合を想定する。たとえば、この分散プリントシステムが100ページの画像データを4部プリント(合計400ページをプリント)するジョブを受け付けたとき、4台のプリンタで並行して100ページずつプリントされる。これにより、プリント完了までの時間は、1台のプリンタで処理を行うときの約1/4になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、分散プリントシステムで用いられるプリンタに、プリントデータを記憶するための十分なメモリが搭載されていない場合、プリントサーバは、プリンタのプリント速度に合わせてプリントデータを転送する必要がある。
【0005】
しかしながら、上述の分散プリントシステムでは、トータルとしてのプリント速度は接続されたプリンタの台数に比例して高くなるため、プリントサーバからのデータ転送速度もプリンタの台数に応じて高い速度が必要となる。ここで、複数のプリンタからなるプリンタ群を構成することによりプリント速度が高くなると、結果として、プリンタへのデータ転送速度がプリンタのプリント速度よりも低くなるおそれがある(本明細書において、データ転送速度の単位として、プリント速度(1分間に処理できる画像データのページ数)の単位と同じPPM(page per minute)を使用する)。
【0006】
また、プリントサーバの画像記憶装置であるハードディスクの読出速度には上限があるため、プリントサーバからのデータ転送速度(PPM)は、データサイズの大きい画像データであるほど低く、データサイズの小さい画像データであるほど高くなる。ここで、画像データのデータサイズが大きい場合、プリントサーバからのデータ転送速度(PPM)が低くなり、結果として、プリンタへのデータ転送速度がプリンタのプリント速度よりも低くなるおそれがある。
【0007】
つまり、画像データのデータサイズが大きく、データ転送先のプリンタの台数が多いほど、プリンタへのデータ転送速度がプリンタのプリント速度よりも低くなる可能性が高くなる。この結果、1ページのプリント中に、1ページ分の画像データ転送が完了できず、プリント画像に欠損(ビデオアンダーラン)が生じるおそれがあるという問題があった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、複数の画像形成装置で複数部数の画像を形成するときに画像欠損が生じることを防止できるプリントプログラム、プリントサーバ、およびプリント方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0010】
(1)複数の画像形成装置にデータを転送することが可能なプリントプログラムであって、複数ページからなるデータを複数部数並行して転送する場合、並行して転送される複数部数分のページのデータサイズ、およびプリントサーバのデータ転送能力に基づいて、当該複数部数分のページのデータ転送速度を演算する演算手順と、前記演算手順において演算されたデータ転送速度と所定台数の画像形成装置におけるプリント速度とを比較し、所定台数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定手順と、前記判定手順において画像欠損が生じると判定された場合、転送される複数部数のデータのうち所定部数のデータについてページに関する転送順を逆転させる転送順逆転手順と、をコンピュータに実行させるためのプリントプログラム。
【0011】
(2)前記転送順逆転手順において、転送される複数部数のデータのうちnを自然数としてn部のデータについて転送順を逆転させても画像欠損が生じると判定される場合、(n+1)部のデータについて転送順を逆転させることを特徴とする上記(1)に記載のプリントプログラム。
【0012】
(3)前記転送順逆転手順においていかなる部数のデータについて転送順を逆転させても画像欠損が生じると判定される場合、データの転送先である画像形成装置の台数を減少させる台数減少手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする上記(2)に記載のプリントプログラム。
【0013】
(4)複数の画像形成装置にデータを転送することが可能なプリントサーバであって、複数ページからなるデータを複数部数並行して転送する場合、並行して転送される複数部数分のページのデータサイズ、およびプリントサーバのデータ転送能力に基づいて、当該複数部数分のページのデータ転送速度を演算する演算手段と、前記演算手段により演算されたデータ転送速度と所定台数の画像形成装置におけるプリント速度とを比較し、所定台数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により画像欠損が生じると判定された場合、転送される複数部数のデータのうち所定部数のデータについてページに関する転送順を逆転させる転送順逆転手段と、を有することを特徴とするプリントサーバ。
【0014】
(5)複数の画像形成装置にデータを転送することが可能なプリント方法であって、複数ページからなるデータを複数部数並行して転送する場合、並行して転送される複数部数分のページのデータサイズ、およびプリントサーバのデータ転送能力に基づいて、当該複数部数分のページのデータ転送速度を演算する演算ステップと、前記演算ステップにおいて演算されたデータ転送速度と所定台数の画像形成装置におけるプリント速度とを比較し、所定台数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて画像欠損が生じると判定された場合、転送される複数部数のデータのうち所定部数のデータについてページに関する転送順を逆転させる転送順逆転ステップと、を有することを特徴とするプリント方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るプリントシステムの全体構成図である。
【0017】
図1に示すように、プリントシステムは、クライアント10と、プリントサーバ21と、複数台のプリンタ51〜54とを備え、これらはネットワーク60を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク60は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN、あるいはLAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。
【0018】
クライアント10にインストールされたプリンタドライバにより、各種アプリケーションソフトウェアで作成されたドキュメントデータ、定型業務システムからの帳票データ、あるいは画像処理ソフトウェアなどにより作成された画像データなどの各種データに基づいて、プリントジョブが作成される。クライアント10で作成されたプリントジョブは、プリントサーバ21に送られる。プリントサーバ21は、クライアント10から送られてきたプリントジョブをプリンタ51〜54が画像形成するための画像データ(ビットマップデータ)に変換する。
【0019】
本実施形態において、プリントサーバ21とプリンタ51〜54とは、ネットワーク60を介して接続されているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、たとえばIEEE1394シリアルバス等の専用インタフェース用バスを介して接続されていてもよい。
【0020】
また、ネットワーク60に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。本実施形態において、たとえばプリンタを4台接続しているが、4台に限らず何台接続してもよい。また、プリンタの代わりに、ファクシミリ装置、コピー機、およびそれらの複合機(MFP)などの画像形成装置を用いてもよい。
【0021】
次に、上記各機器の構成について説明するが、各機器で同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0022】
図2は、クライアント10の概略構成を示すブロック図である。クライアント10は、たとえば、一般的なパーソナルコンピュータである。
【0023】
図2に示すように、クライアント10は、装置全体の制御および各種演算処理を行うCPU101、各種プログラムやデータを格納するためのROM102、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するためのRAM103、図示しないフレキシブルディスクを読み取るためのフレキシブルディスクドライブ(FDD)104、図示しないCD−ROMを読み取るためのコンパクトディスクドライブ(CDD)105、CPUによるプログラムの実行時にRAMに読み込まれる各種プログラムやデータを記憶するためのハードディスク106、各種情報の表示のための液晶ディスプレイなどの表示部107、各種指示の入力のためのキーボードやマウスなどからなる入力部108、およびネットワーク60に接続するためのLANカードなどのネットワークインタフェース109を含み、これらは信号をやり取りするためのバス110を介して相互に接続されている。
【0024】
ハードディスク106は、プリンタドライバや、データ送受信用のアプリケーションを格納することができる。ここで、ハードディスク106にインストールされるプリンタドライバは、プリンタを制御するためのソフトウェアであり、アプリケーションから受け取った文字や画像のデータをプリンタが解釈することのできるPDL(Page Description Language:ページ記述言語)に変換し、プリントジョブを作成することができる。また、プリンタドライバには、複数ページを縮小して1枚の用紙に印刷する割り付け機能や、プリンタの状態を監視して用紙切れやトナー切れを警告する機能などが備わっている。
【0025】
図3は、プリントサーバ21の概略構成を示すブロック図である。プリントサーバ21は、プリンタ用のサーバコンピュータである。
【0026】
プリントサーバ21は、CPU201、ROM202、RAM203、FDD204、CDD205、ハードディスク206、表示部207、入力部208、ネットワークインタフェース209、および、通信部210を含み、これらは信号をやり取りするためのバス211を介して相互に接続されている。
【0027】
ハードディスク206は、データ送受信用のアプリケーションを記憶することができる。また、ハードディスク206には、外部のたとえばクライアント10から受信したプリントジョブにおけるPDLなどで記述されたプリント制御データを解釈し、内部処理可能な形式のデータである中間レコードに変換するプログラムと、作成した中間レコードに基づき画像データを生成するプログラムとが記憶されており、これらプログラムを実行することによりプリントジョブから画像データを生成することができる。
【0028】
通信部210は、たとえばIEEE1394シリアルバス用のインタフェースとその制御部分とから構成される。この通信部210は、IEEE1394シリアルバスを介して、各種データを送受信するためのものである。
【0029】
図4は、プリンタ51の概略構成を示すブロック図である。プリンタ51は、プリントサーバ21からの指示に基づき、プリントサーバで生成された画像データを用紙上にプリントするものである。プリンタ52〜54は、プリンタ51と同様の構成であるため詳細な説明を省略する。
【0030】
プリンタ51は、CPU501、ROM502、RAM503、操作パネル部504、印刷部505、ネットワークインタフェース506、および、通信部507を含み、これらは信号をやり取りするためのバス508を介して相互に接続されている。
【0031】
操作パネル部504は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部505は、画像データをレーザビーム方式により用紙などの記録材上にプリントする。図5に示すように、印刷部505は、ポリゴンミラーの回転制御を行うスキャナ制御部511と、感光体ドラムへの帯電、現像バイアスおよび転写ローラへの転写バイアスの電圧印加などの高電圧制御を行う高圧制御部512と、レーザビームの変調制御を行うレーザ制御部513と、用紙などの記録材の搬送制御を行う搬送制御部514等とを有している。
【0032】
なお、クライアント10、プリントサーバ21、プリンタ51〜54は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0033】
次に、図6〜図9を参照して、プリントサーバ21で行われる処理について説明する。なお、図6〜図8のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリントサーバ21のハードディスク206などの記憶装置にプログラムとして記憶されており、CPU201により実行される。
【0034】
本実施形態では、複数ページからなるデータを複数部数並行して複数のプリンタに転送するプリントジョブが受信された場合について、以下に説明する。
【0035】
まず、クライアント10により作成されたプリントジョブを受信し、受信したプリントジョブを一旦ハードディスク206に蓄積する(S101)。なお、ステップS101は、プリントスプーラと称されるプリントジョブ要求管理モジュールによって実行される。次いで、プリント実行可能となったプリントジョブをラスタライズする(S102)。具体的には、プリントジョブを、プリンタ51〜54でプリント可能なビットマップ形式の画像データ(プリントデータ)に変換する。
【0036】
続いて、ラスタライズされて得られたプリントデータの各ページのデータサイズ、およびプリントサーバ21のデータ転送能力に基づき、各ページの所定部数分のデータをプリンタへ転送することが可能なデータ転送速度(ハードディスクからの読出速度)を算出し、図9に示すようなジョブヘッダテーブル700を作成する(S103)。
【0037】
図9に示すジョブヘッダテーブル700には、たとえば、10ページの画像データを4部並行して転送し印刷出力するプリントジョブに関する情報が記録されている。ここで、ジョブヘッダテーブル700には、まず、1部転送する場合の各ページに対するデータサイズ(バイト)およびデータ転送速度(PPM)が示される1部転送モード欄701が、テーブルのたとえば左端に記録される。そして、1部転送モード欄701の隣に、複数部数(ここでは4部)転送する場合における複数部数分のページのデータサイズ(バイト)およびデータ転送速度(PPM)が示される4部転送モード欄710が記録される。
【0038】
ラスタライズされて得られたプリントデータの各ページは、一旦ハードディスク206に蓄積される(S104)。
【0039】
ステップS105では、ジョブヘッダテーブルの内容に基づいて、処理しようとするプリントジョブに関するプリントデータの転送順を決定するための処理が行われる。ここで、並行して転送される複数部数のプリントデータのうち、何部のプリントデータについて、ページに関する転送順を逆転させるかが決定される。ステップS105の処理の具体的な内容は後述する。
【0040】
続いて、ステップS105で複数部数のプリントデータごとに転送順が決定された各プリントデータを、プリントサーバ21からのデータの転送先として設定される各プリンタに対して送信する(S106)。そして、各プリンタは、受信したプリントデータの印刷を並行して行う。
【0041】
次に、図7を参照して、ステップS105におけるプリントデータの転送順決定処理について説明する。
【0042】
まず、プリントサーバ21に接続されているプリント可能なプリンタが存在するか否かが判断される(S201)。具体的には、各プリンタのステータス情報を取得し、ステータス情報に基づいて当該プリンタがプリント可能であるか否かが判断される。プリント可能なプリンタが存在しない場合(S201でNO)、プリント可能なプリンタのステータス情報が得られるまで待機し、クライアントに待機中である旨とその理由(たとえばプリント中である等)が通知される。
【0043】
次いで、プリント可能なプリンタのステータス情報から各プリンタのプリント性能(プリント速度を含む)を取得し、これにより、プリント可能なプリンタ全体(プリンタ群)のプリント速度を取得する(S202)。たとえば、4台のプリンタ51〜54がプリント可能であり、それぞれが1分間に20枚のプリントが可能な場合(20PPM)、このプリントシステムにおけるプリント速度は、20PPM×4=80PPMとなる。
【0044】
続いて、ステップS103で作成されたジョブヘッダテーブルの解析を行う(S203)。すなわち、ジョブヘッダテーブルの内容に基づいて、プリント速度と処理しようとするプリントジョブに関する複数部数分のページのデータ転送速度との比較を行う。
【0045】
比較を行った結果、複数ページからなるデータを複数部数並行して複数のプリンタに転送してプリントする場合に、画像欠損が発生するか否かが判定される(S204)。ここで、データ転送速度がプリント速度よりも低い場合に、画像欠損が発生すると判定されるが、本発明はかかる判定方法に限定されるものではない。たとえば、データ転送速度のプリント速度に対する割合が所定の閾値以下の場合に、画像欠損が発生すると判定されてもよい。
【0046】
たとえば、図9のジョブヘッダテーブルにおける1部転送モード欄701に示されるように、第6ページの画像データは、そのデータサイズが大きい。この第6ページの画像データを4部並行して転送しようとすると、4部転送モード欄710に示されるように、72PPMのデータ転送速度でしか転送することができない。この場合、データ転送速度がプリント速度(80PPM)よりも低くなるため、プリント時に画像欠損を生じてしまう。
【0047】
このように、プリント速度と複数部数分のページのデータ転送速度とを比較した結果、プリント時に画像欠損が発生すると判定された場合(S204:YES)、画像欠損が実際上起こらないように、並行して転送される複数部数のプリントデータのうち、所定部数のプリントデータについて、ページに関する転送順を逆転させる処理が行われる(S205)。ステップS205の処理の具体的な内容は後述する。
【0048】
一方、プリント速度と複数部数分のページのデータ転送速度とを比較した結果、プリント時に画像欠損が発生しないと判定された場合(S204:NO)、結果的に、プリントデータの転送順を変更しない(転送順はページ順のまま)ことに決定され、図6のフローチャートに戻る。たとえば、図9に示されるプリントジョブの場合、第1ページの画像データを4回、第2ページの画像データを4回、……および第10ページの画像データを4回、それぞれ並行して転送することに決定される。つまり、同一ページの画像データを4回並行して転送することになる。
【0049】
次に、図8を参照して、ステップS205における転送順の逆転処理について説明する。
【0050】
まず、プリントデータの転送順を逆転させる部数nが1にセット(n=1)される(S301)。たとえば、図9に示されるプリントジョブの場合、第1ページの画像データを3回と第10ページの画像データを1回、第2ページの画像データを3回と第9ページの画像データを1回、……および第10ページの画像データを3回と第1ページの画像データを1回、それぞれ並行して転送することに仮に決定される。
【0051】
続いて、ジョブヘッダテーブルの解析を行う(S302)。ここで、図9に示されるジョブヘッダテーブル700の4部転送モード欄710の隣に、1部のプリントデータの転送順を逆転して転送する場合における複数部数分のページのデータサイズ(バイト)およびデータ転送速度(PPM)が示される1部逆転転送モード欄711が記録される。また、同様にして、プリントデータの転送順を逆転させる部数をさらに増やす場合には、1部逆転転送モード欄711の隣に、2部逆転転送モード欄712等が順次記憶される。なお、1部逆転転送モード欄711および2部逆転転送モード欄712等のn部逆転転送モード欄720は、ジョブヘッダテーブルを最初に作成するときに(S103)記録されてもよい。そして、ジョブヘッダテーブルのn部逆転転送モード欄720の内容に基づいて、プリント速度とデータ転送速度との比較を行う。
【0052】
比較を行った結果、所定部数(n部)のプリントデータについて転送順を逆転させた場合に、画像欠損が発生するか否かが判定される(S303)。
【0053】
たとえば、図9において、1部のプリントデータの転送順を逆転させた場合、第5ページの画像データのデータサイズは小さいので、当初並行して転送予定の4部の第6ページが3部の第6ページおよび1部の第5ページに変えられる結果、そのデータサイズは3/4程度に縮小される。これにより、データ転送速度は、81PPMとなって、プリント速度(80PPM)よりも大きくなるため、画像欠損を発生させることなくプリントデータの転送が可能となる。
【0054】
このように、n部のプリントデータについて転送順を逆転させたときに、画像欠損が発生しないと判定された場合(S303でNO)、結果的に、並行して転送される複数部数のプリントデータのうち、n部のプリントデータについて、ページに関する転送順を逆転させることに決定され、図7のフローチャートに戻る。
【0055】
一方、n部のプリントデータについて転送順を逆転させた場合でも、画像欠損が発生すると判定された場合(S303でYES)、プリントデータの転送順を逆転させる部数nが1だけインクリメント(n=n+1)される(S304)。たとえば、図9に示されるプリントジョブにおいて、n=2の場合、第1ページの画像データを2回と第10ページの画像データを2回、第2ページの画像データを2回と第9ページの画像データを2回、……および第10ページの画像データを2回と第1ページの画像データを2回、それぞれ並行して転送することに仮に決定される。
【0056】
ステップS305では、プリントデータの転送順を逆転させる部数nが、プリントジョブに関する画像データのページ数Nの1/2以下であるか否かが判断される。
【0057】
n≦N/2である場合(S305でYES)、ステップS302に戻って、ジョブヘッダテーブルのn部逆転転送モード欄720の内容に基づいて、プリント速度とデータ転送速度との比較を行い、プリント時に画像欠損が発生するか否かが再度判定される(S303)。
【0058】
一方、n≦N/2でない場合(S305でNO)、いかなる部数のデータについて転送順を逆転させても画像欠損が生じると判定され、プリントデータの転送先であるプリンタの台数を減少させるプリンタ台数減処理が行われる(S306)。つまり、プリントサーバ21からのデータの転送先であるプリンタの台数を減少させて、プリントサーバ21が制御するプリンタ群のプリント速度を下げることにより、画像欠損の発生を防止する処理が行われる。なお、このステップS306では、プリンタ台数減処理を行う代わりに、並行して転送される複数部数のプリントデータのうち、所定部数のプリントデータについてのジョブを、ネットワーク60上の他のプリントサーバに転送して当該他のプリントサーバからプリンタヘ転送させる制御を行ってもよい。さらには、プリント速度よりも小さいデータ転送速度しか得られない複数部数分のページのデータのうち、所定部数分のページのデータを、ネットワーク60上の他のプリントサーバに転送して当該他のプリントサーバからプリンタヘ転送させる制御を行ってもよい。
【0059】
このように本実施形態によれば、複数のプリンタで複数部数の画像を形成するときに、並行して転送される複数部数のプリントデータのうち、所定部数のプリントデータについて、ページに関する転送順を逆転させることで、データ転送速度を高くして、プリント速度がデータ転送速度を上回ることを防止することが可能となる。したがって、プリントシステム全体のパフォーマンスを維持しつつ、プリント時の画像欠損を防止することが可能となる。
【0060】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0061】
本発明において、プリントサーバにおける各種処理を行う手段、およびプリント方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶装置に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【0062】
なお、上述した本発明の実施形態には、特許請求の範囲の請求項1〜5に記載した発明以外にも、以下の付記1に示すような発明が含まれる。
【0063】
[付記1] 請求項1〜3のいずれか1つに記載のプリントプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の画像形成装置で複数部数の画像を形成するときに、並行して転送される複数部数のデータのうち、所定部数のデータについて、ページに関する転送順を逆転させることで、データ転送速度を高くして、プリント速度がデータ転送速度を上回ることを防止することが可能となる。したがって、プリントシステム全体のパフォーマンスを維持しつつ、プリント時の画像欠損を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るプリントシステムの全体構成図である。
【図2】 クライアントの概略構成を示すブロック図である。
【図3】 プリントサーバの概略構成を示すブロック図である。
【図4】 プリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】 印刷部の概略構成を示す図である。
【図6】 プリントサーバで行われる処理について説明するためのフローチャートである。
【図7】 プリントデータの転送順決定処理について説明するためのフローチャートである。
【図8】 転送順の逆転処理について説明するためのフローチャートである。
【図9】 ジョブヘッダテーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
10…クライアント、
21…プリントサーバ、
201…CPU、
202…ROM、
203…RAM、
204…FDD、
205…CDD、
206…ハードディスク、
207…表示部、
208…入力部、
209…ネットワークインタフェース、
210…通信部、
211…バス、
51〜54…プリンタ、
60…ネットワーク。
Claims (6)
- 複数の画像形成装置にデータを転送することが可能なプリントプログラムであって、
複数ページからなるデータを複数部数並行して転送する場合、並行して転送される複数部数分のページのデータサイズ、およびプリントサーバのデータ転送能力に基づいて、当該複数部数分のページのデータ転送速度を演算する演算手順と、
前記演算手順において演算されたデータ転送速度と所定台数の画像形成装置におけるプリント速度とを比較し、所定台数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定手順と、
前記判定手順において画像欠損が生じると判定された場合、転送される複数部数のデータのうち所定部数のデータについてページに関する転送順を逆転させる転送順逆転手順と、
をコンピュータに実行させるためのプリントプログラム。 - 前記転送順逆転手順において、転送される複数部数のデータのうちnを自然数としてn部のデータについて転送順を逆転させても画像欠損が生じると判定される場合、(n+1)部のデータについて転送順を逆転させることを特徴とする請求項1に記載のプリントプログラム。
- 前記転送順逆転手順においていかなる部数のデータについて転送順を逆転させても画像欠損が生じると判定される場合、データの転送先である画像形成装置の台数を減少させる台数減少手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項2に記載のプリントプログラム。
- 複数の画像形成装置にデータを転送することが可能なプリントサーバであって、
複数ページからなるデータを複数部数並行して転送する場合、並行して転送される複数部数分のページのデータサイズ、およびプリントサーバのデータ転送能力に基づいて、当該複数部数分のページのデータ転送速度を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算されたデータ転送速度と所定台数の画像形成装置におけるプリント速度とを比較し、所定台数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により画像欠損が生じると判定された場合、転送される複数部数のデータのうち所定部数のデータについてページに関する転送順を逆転させる転送順逆転手段と、
を有することを特徴とするプリントサーバ。 - 複数の画像形成装置にデータを転送することが可能なプリント方法であって、
複数ページからなるデータを複数部数並行して転送する場合、並行して転送される複数部数分のページのデータサイズ、およびプリントサーバのデータ転送能力に基づいて、当該複数部数分のページのデータ転送速度を演算する演算ステップと、
前記演算ステップにおいて演算されたデータ転送速度と所定台数の画像形成装置におけるプリント速度とを比較し、所定台数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて画像欠損が生じると判定された場合、転送される複数部数のデータのうち所定部数のデータについてページに関する転送順を逆転させる転送順逆転ステップと、
を有することを特徴とするプリント方法。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載のプリントプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002172900A JP4029672B2 (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | プリントプログラム、プリントサーバ、およびプリント方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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