JP4029160B2 - バリスタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はバリスタの製造方法に関し、特にたとえば単板型のバリスタや積層型のバリスタなどのバリスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、機器の小型化や回路の高速化により、素子のチップ化や高周波化が進んでおり、多くの小型の積層型セラミックチップ部品が使用されている。バリスタについても例外ではなくチップ化が進んでいる。
また、近年、PL法に伴う製造物責任・製造者責任の強化により、商品の安全性とりわけ寿命特性に対し、よりよい特性が望まれるようになってきた。
このような積層型セラミックバリスタを製造するためのバリスタの製造方法では、セラミック材料と内部電極との積層工程および焼成工程や外部電極の取付工程を有し、さらに、外装部をコーティングする工程を有する場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の工程において、焼成後の工程とりわけ数100℃で熱処理を行う工程を経過した後、バリスタの寿命特性が悪化する現象がある。これらの熱処理工程において、セラミック材料中のBiの変化等が研究されているが、バリスタの寿命特性が悪化する原因は解明されていない。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、寿命特性の優れたバリスタを安価に製造することができるバリスタの製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかるバリスタの製造方法は、酸化亜鉛を主成分とするバリスタの製造方法において、バリスタ素体の焼成後、雰囲気中の水蒸気濃度を2g/m3 以下で熱処理することを特徴とする、バリスタの製造方法である。
この発明にかかるバリスタの製造方法は、たとえば、雰囲気中の水蒸気濃度を2g/m3 以下で外部電極を焼き付けることを特徴とする。
この発明にかかるバリスタの製造方法は、たとえば、積層型のバリスタの外装部に、雰囲気中の水蒸気濃度を2g/m3 以下で高抵抗物または高抵抗を形成する物質を焼き付けることを特徴とする。
【0006】
上述の課題を解決するために、本願発明者は、バリスタ素子の焼成後において外部電極の焼き付けに必要な熱処理工程や外装部に高抵抗化物または高抵抗を形成する物質の焼き付けに必要な熱処理工程に着目し、かつ、これらの熱処理時の周囲雰囲気に着目した。この結果、雰囲気中の水蒸気濃度がバリスタの寿命特性を悪化させる要因であることを見出した。検討をした結果、上記の熱処理時の雰囲気中の水蒸気濃度を2g/m3 以下におさえることで、寿命特性の悪化を防止することができることが判明した。また、この水蒸気の影響が300℃未満では起こらないことを確認した。ただし、この熱処理時間が数時間と長い場合には、300℃未満でも寿命特性の劣化が生じる場合がある。しかし、このような長い工程は通常用いられないため、問題とはならない。以上をまとめると、焼成後の300℃以上で熱処理を施す工程において、水蒸気濃度を2g/m3 以下とすることでバリスタの寿命特性を安定化することができる。この効果は、酸化亜鉛を主成分としたセラミックなどからなる積層型のバリスタだけではなく、同じように酸化亜鉛を主成分とする単板型のバリスタにおいても奏する。
【0007】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施例)
まず、ZnO100に対し、AlがAl2 O3 に換算して100ppm、BiがBi2 O3 に換算して1.0mol%、CoがCo2 O3 に換算して0.5mol%、MnがMnOに換算して0.5mol%、SbがSbO3/2 に換算して0.5mol%、YがY2 O3 に換算して1.0mol%、SiがSiO2 に換算して0.2mol%、BがB2 O3 に換算して0.2mol%を配合し、ボールミルで60時間混合・粉砕した後、脱水を行い、乾燥後#60のふるいで造粒して、粉体を得た。この粉体を750℃で2時間仮焼し、できあがった仮焼物を粗粉砕した後、ボールミルで再度混合・粉砕して、スラリーを得た。このスラリーを脱水・乾燥して、粉体を得た。
【0009】
この粉体に溶剤、バインダおよび分散剤を加え、厚さ50μmのシートを成形した。このシートを所定の大きさに打ち抜いて、多数のグリーンシートを得た。そして、図1に示すように、一部のグリーンシート1の一部にAgPd(Ag:Pd=9:1)電極ペースト2をスクリーン印刷法で印刷した。そして、これらのグリーンシートを所定の順・方向に積層し、積層体を得た。
【0010】
このようにして得られた積層体を600℃で樹脂分を分解、放出させた後、850℃〜900℃で3時間焼成して焼結体(バリスタ素体)を得た。
【0011】
この焼結体を100℃〜800℃の範囲で1〜6時間、水蒸気を0.3〜10g/m3 含むエアー気流中で熱処理し、その後、外部電極を塗布して、試料(図2に示す積層型のバリスタ10)を作製した。なお、図2に示す積層型のバリスタ10は、上述の焼結体であるバリスタ素体12を含む。バリスタ素体12は、上述のグリーンシートを焼結したセラミック体14を有する。セラミック体14中には、上述のAgPd電極ペーストからなる多数の内部電極16,16,・・が形成されている。また、バリスタ素体12の両側面には、2つの外部電極18,18がそれぞれ形成されている。2つの外部電極18,18は、複数の内部電極16,16,・・に交互に接続されている。
【0012】
そして、試料について、一方の外部電極から他方の外部電極に1mAおよび10mAの電流を流し、2つの外部電極間の電圧を測定することにより、バリスタ電圧(V1mA)およびαを測定した。バリスタ電圧(V1mA)は、試料の一方の外部電極から他方の外部電極に1mAの電流を流しているときの試料の2つの外部電極間の電圧であり、αはα=1/log(V10mA/V1mA)の式により算出した値である。なお、式中のV10mAは、試料の一方の外部電極から他方の外部電極に10mAの電流を流しているときの試料の2つの外部電極間の電圧である。
また、試料の寿命特性として、試料を85℃の恒温槽中に入れ、上記のように測定したバリスタ電圧(V1mA)の85%のDC電圧を印加し、200時間後に試料を取り出し、1時間常温で放置した後、同様にバリスタ電圧およびαを測定して、恒温槽中に投入する前のデータと比較して、バリスタ電圧の変化率ΔV1mAを計算した。
この結果を図3および図4に示す。
【0013】
さらに、上述の焼結体に実際に外部電極を600℃1時間、水蒸気濃度0.9、2.0、4.5g/m3 で焼き付けた試料1(積層型のバリスタ)と、試料1の外装にガラスを塗布し外部電極を焼き付けた温度・条件と同じ温度・条件で焼き付けた試料2(積層型のバリスタ)とを作製し、試料の寿命特性と同様に、試料1および試料2の寿命特性を確認した。この結果を図5に示す。
【0014】
また、上述の実施例の組成で作製した原料に酢酸ビニルをバインダとして加え、2t/cm2 の圧力で直径10mm、厚み0.5mmの成形体を作製し、1250℃で2時間焼成して、焼結体を作製した。この焼結体の両面にAgペーストを塗布し、650℃で焼き付けて2つの外部電極を形成して、試料3(単板型のバリスタ)を作製した。この時の焼き付けの雰囲気を上記の水蒸気濃度と同じく0.9、2.0、4.5g/m3 にした。この試料3についての結果も図5に示す。
【0015】
図3に示す結果から明らかなように、熱処理温度が高く、かつ、水蒸気濃度が高いほどバリスタ電圧の劣化が大きくなる。熱処理温度が200℃以下では水蒸気濃度の影響は無視できる程度であるが、熱処理温度が300℃以上となると水蒸気濃度の影響が顕著になる。この水蒸気濃度によるバリスタ電圧の変化は、酸化亜鉛を主成分とするバリスタの粒界の酸素欠陥へ、水分が吸着され、高温で電解の負荷がかかったとき、乖離することが原因と見られる。水分は高温になればなるほど粒界に拡散し、粒界に吸着する量が増加すると見られ、この対策のためには、より低温での熱処理(電極の焼き付け等)や水蒸気濃度を極力下げた雰囲気下での熱処理を行うことが有効である。
【0016】
図4および図5に示す結果から明らかなように、焼成後の300℃以上での熱処理は2g/m3 以下の水蒸気濃度で行うことが望ましい。水蒸気濃度を2g/m3 とした理由は、200時間の寿命特性において、600℃で6時間以下のキープ時間を有する熱処理においてバリスタ電圧の変化率が3%未満であることを基準としたからである。この条件以上の長時間の熱処理はコスト等がかかり、有効ではなく、また、通常必要とされない熱処理時間である。バリスタ電圧の変化率が3%以下の基準は、寿命特性として、一般に1000時間で10%以下という基準があり、加速性を考え、3%が基準を1000時間での満たす下限値であると判断したためである。
【0017】
上述の現象は酸化亜鉛を主成分としたセラミックなどからなるバリスタに対応すると考えられるため、この発明は、積層型のバリスタや単板型のバリスタに限定されるものではない。ただし、材料組成や焼成の条件により、効果の度合いは変化すると考えられる。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、寿命特性の優れたバリスタを安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】グリーンシートの一部にAgPd電極ペーストを塗布した状態を示す平面図である。
【図2】試料(積層型のバリスタ)を示す図解図である。
【図3】試料における熱処理温度と水蒸気濃度が寿命特性に与える影響との関係を示すグラフである。
【図4】試料における水蒸気濃度と熱処理時間が寿命特性に与える影響との関係を示すグラフである。
【図5】試料1、試料2および試料3における水蒸気濃度と寿命特性との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 グリーンシート
2 AgPd電極ペースト
10 積層型のバリスタ
12 バリスタ素体
14 セラミック体
16 内部電極
18 外部電極
Claims (3)
- 酸化亜鉛を主成分とするバリスタの製造方法において、バリスタ素体の焼成後、雰囲気中の水蒸気濃度を2g/m3 以下で熱処理することを特徴とする、バリスタの製造方法。
- 雰囲気中の水蒸気濃度を2g/m3 以下で外部電極を焼き付けることを特徴とする、請求項1に記載のバリスタの製造方法。
- 積層型の前記バリスタの外装部に、雰囲気中の水蒸気濃度を2g/m3 以下で高抵抗物または高抵抗を形成する物質を焼き付けることを特徴とする、請求項1に記載のバリスタの製造方法。
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