JP4028936B2 - グリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿やゴルフクラブ等に用いるコルクグリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
コルクは植物の細胞壁にコルク組織が沈着した細胞層であって、多孔性の部材である。軽くて弾力性に富み、熱、電気、音、水などに優れた耐性を示す。近年、このコルク部材が釣竿,ゴルフクラブ,テニスラケット等のグリップ部分に多く用いらるようになっている。このコルク製グリップは、木の表皮をはぎ取って圧をかけて板状にしたコルク板から所定の筒状形状に打ち抜いたコルク片を連結し、表面を加工して製造するものである。
【0003】
このようにして製造したコルク製グリップには、多くの孔(一般に「鬆」と呼ばれる部分である)が存在する。そして、この「鬆」にはコルク粉とバインダーとを混合した補充材を補充し、コルク製グリップの耐久性を向上させるとともに意匠性を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
鬆に注入された補充材では、鬆の内部でバインダーが密着固化して補充材が鬆からこぼれ落ちないようになっている。しかし、このバインダーの固化の結果、補充材を詰めていない他のコルク部分より補充材を詰めた鬆の部分が固くなってしまい、グリップを握った際のグリップ感に違和感が生じる場合がある。ここで、補充材の固化後の硬度を低下させるためにバインダーの含有量を低下させることが考えられるが、補充材自身の強度の低下を招き耐久性に欠けることになる。
【0005】
本発明の課題は、良好なグリップ感を有し耐久性に優れるグリップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1にかかるグリップは、釣竿やゴルフクラブなどの振回する棒状部材に設けるグリップであって、外周面に鬆を有するコルク製本体部と、鬆に入され、バインダーに中空又は中実状の弾性部材が混入された補充材とを備えている。この場合には、補充材中の弾性部材がバインダーの固化した後の補充材においても適度な弾力性を演出する。この結果、補充材を注入した鬆の部分と他のコルク部分との弾力性の差違を少なくでき、優れたグリップ感を演出できる。
【0007】
発明2にかかるグリップは、発明1のグリップであって、補充材はコルク粉さらに混入されている。この場合には、補充材中のコルク粉がコルク色を演出して補充材以外のコルク部分との融合性を高める。またグリップ感もさらに向上する。発明3にかかるグリップは、発明1または2のグリップであって、弾性部材は球状発泡樹脂,ガラスマイクロバルーンまたはマイクロバルーンである。
【0008】
この場合には、球状発泡樹脂,ガラスマイクロバルーンまたはマイクロバルーンがバインダーの固化した後の補充材においても適度な弾力性を演出する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(全体の構成)
本発明の一実施形態を採用した釣竿は、図1に示すように、複数の竿体からなり穂先側の竿体を順次竿元側の竿体内に挿入して収納可能な内部竿体2と、内部竿体2が挿入され収納可能なように内部竿体2の竿元側に連結された外部竿体1とを有している。
【0010】
内部竿体1及び外部竿体2は、それぞれ炭素繊維やガラス繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻回して焼成して得られた先細り筒状部材である。また、内部竿体2及び外部竿体1には釣糸を挿通可能なラインガイド3が所定の間隔を隔てて複数設けられている。外部竿体1は、竿元側端部に配置された竿元グリップ4と、竿元グリップ4の穂先側に設けられリール(図示せず)を装着可能なリールシート5と、リールシート5の穂先側に配置された前グリップ6とを有している。そして、リールからの釣糸は順次ラインガイド3を通って、穂先側に導かれる。
【0011】
図2に示すように、前グリップ6は、コルク製の円筒型部材であって、外部竿体1の所定の位置にはめ込まれて接着材等で固定されている。前グリップ6は、外部竿体1が差し込まれた円筒状のコルク製本体部21と、コルク製本体部21の穂先側端部にはめ込まれたキャップ部22とを有している。本体部21は、コルクの木の表皮をはぎ取って圧をかけて板状にしたコルク板から所定の円筒形状に打ち抜いたコルク片30(図4参照)から構成されている。この本体部21は、天然コルク材からなり、そのコルク材の多孔性より表面には多くの鬆Pが浮き出ている。そしてこの表面に浮き出ている鬆には、図3に示すように、補充材10が注入されている。この補充材10は、バインダー11に弾性部材12を混入したものである。このバインダー11は放置後に鬆P内にて接着固化するものである。弾性部材12は中空または中実の部材であり、例えば、EVA等の発泡プラスチックやガラスマイクロバルーン,マイクロバルーン等を用いることができる。
【0012】
なお、本体部21は、コルク板を円筒形に打ち抜く際に、コルクの木の径方向が打ち抜いたコルク片30の軸方向に交差するようにして、コルクの鬆Pが本体部21の軸方向に交差するように位置づけている。キャップ部22は穂先側ほど小径になるように形成された先細り円筒形部材である。合成樹脂または金属から形成されており、竿元側の開口側が本体部21の穂先側にはめ込まれている。
【0013】
また、竿元グリップ4は、前グリップ6と同様にコルク板を所定の形状に加工した蓋付き円筒形部材である。この竿元グリップ4もグリップの周表面に現れる鬆Pには、所定の補充材10が詰め込まれている。
(グリップの製造方法)
以下、前グリップ6の製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
まず、図4に示すように、コルクの木Tの表皮部分をはぎ取り、加圧して板状に引き延ばしてコルク板Sを製造する。このコルク板Sには、コルクの木Tの径方向にコルクの多孔質を形成する鬆が配向している(図4のy方向)。このコルク板Sから円筒形のコルク片30を打ち抜いて製造する。このとき、コルク片30の軸方向に交差する方向に鬆が配向するように(図4のz方向にコルク片30の軸方向が位置するように)打ち抜く。
【0015】
続いて、図5(a)に示すように、コルク片30を軸方向に中央付近で貫通する貫通孔30aを形成し、図5(b)に示すように複数のコルク片30を貫通孔30aから軸棒Lに順次貫通させて軸方向に連結する。そして、個々のコルク片30を接着剤等で接着する。この状態では、各コルク片30同士の大きさ形状等が一致しておらず外周面を削取等して表面加工を施して均一なものとする。ここでコルク片30の周表面に現れている鬆に弾性部材12及びバインダー11からなる補充剤10を注入して補強し、さらに表面を研磨等して加工する。
【0016】
その後、軸棒Lを引き抜き所定の長さにカットして本体部21を製造する。
この本体部21は外部竿体1の所定の位置に差し込まれた後、接着剤等で固定される。さらにキャップ部材22を本体部21の穂先側にはめ込んで前グリップ6を製造する。
なお、竿元グリップ4も前グリップ6と同様にして製造される。
【0017】
(作用)このように構成された釣竿では、補充材10中の弾性部材12がバインダー11の固化した後の補充材10においても適度な弾力性を演出する。この結果、補充材10を注入した鬆の部分と本体部21の他のコルク部分との弾力性の差違を少なくでき、グリップ時の違和感がない。また、本体部21の軸方向に交差する方向に鬆が配向されており、本体部21表面に大きな鬆Pが現れないので、鬆Pに補充された補充材10が剥がれ落ちにくく耐久性が向上し、意匠性も向上する。
【0018】
[他の実施形態]
(a)本発明にかかるグリップは、釣竿のグリップに限定されるものではなく、ゴルフクラブ,テニスラケット,ステッキ等に用いることもできる。
(b)補充剤10にはさらにコルク粉を混入してもよい。このようにコルク粉を混入することで、コルク色を演出して補充材以外のコルク部分との融合性を高める。またグリップ感もさらに向上する。
【0019】
【発明の効果】
本発明にかかるグリップは、補充材中に弾性部材が混入されているので良好なグリップ感を有し耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図2】図1の前グリップ付近の拡大図。
【図3】前グリップの鬆の部分の拡大図。
【図4】前グリップをコルクの木から製造する状態を示した図。
【図5】前グリップの製造工程を示した図。
【符号の説明】
1 内部竿体
4 竿元グリップ
6 前グリップ
10 補充材
11バインダー
12 弾性部材
21 本体部
22 キャップ部

Claims (3)

  1. 釣竿やゴルフクラブなどの振回する棒状部材に設けるグリップであって、
    外周面に鬆を有するコルク製本体部と、
    前記鬆に入され、バインダーに中空又は中実状の弾性部材が混入された補充材とを備え
    前記弾性部材は、前記バインダーが固化した後も前記補充材に適度な弾性力を与えるものであり、
    前記コルク製本体部と前記鬆に注入された補充材の部分とで弾性力の差異を少なくした
    ことを特徴とするグリップ。
  2. 前記補充材は、コルク粉さらに混入されている、請求項1に記載のグリップ。
  3. 前記弾性部材は球状発泡樹脂,ガラスマイクロバルーンまたはマイクロバルーンである、請求項1または2に記載のグリップ。
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