JP4027556B2 - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents
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Description
本発明は自動車等の内燃機関から排出される排気ガスを浄化する装置に係わり、特に希薄空燃比(リーンバーン)で運転可能な内燃機関及び該内燃機関を搭載した自動車から排出される排ガスの浄化装置に関する。
【従来の技術】
自動車等の内燃機関から排出される排ガスに含まれる、一酸化炭素(CO),炭化水素(HC:Hydrocarbon),窒素酸化物(NOx)等は大気汚染物質として人体に悪影響を及ぼす他、植物の生育を妨げる等の問題を生起する。そこで、従来より、これらの排出量低減には多大の努力が払われ、内燃機関の燃焼方法の改善による発生量の低減に加え、排出された排ガスを触媒等を利用して浄化する方法の開発が進められ、着実な成果を挙げてきた。ガソリンエンジン車に関しては、三元触媒なるPt,Rhを活性の主成分とし、HC及びCOの酸化とNOxの還元を同時に行って無害化する触媒を用いる方法が主流となっている。
ところで、三元触媒はその特性から、ウィンドウと称される理論空気燃料比近傍で燃焼させて生成した排ガスにしか効果的に作用しない。そこで従来は、空燃比は自動車の運転状況に応じて変動するものの変動範囲は原則として理論空燃料(ガソリンの場合A(空気の重量)/F(燃料の重量)=約14.7 ;以下本明細書では理論空燃比をA/F=14.7 で代表させるが燃料種によりこの数値は変る。)近傍に調節されてきた。しかし、理論空燃比より希薄(リーン)な空燃比でエンジンを運転できると燃費を向上させる事ができることから、リーンバーン燃焼技術の開発が進められ、最近では空燃比18以上のリーン域で内燃機関を燃焼させる自動車が珍しくない。しかし前述の様に現用三元触媒でリーンバーン排気の浄化を行わせるとHC,COの酸化浄化は行えるもののNOxを効果的に還元浄化することはできない。したがって、リーンバーン方式の大型車への適用,リーンバーン燃焼時間の拡大(リーンバーン方式の適用運転域の拡大)を進めるには、リーンバーン対応排ガス浄化技術が必要となる。そこでリーンバーン対応排気浄化技術、すなわち酸素(O2 )が多量に含まれる排ガス中のHC,NO,NOxを浄化する技術の開発、特にNOxを浄化する技術の開発が精力的に進められている。
特開昭63−61708 号公報では、リーンバーン排ガスの上流にHCを供給し、排ガス中のO2 濃度を触媒が有効に機能する濃度域まで低め触媒の能力を引き出す方法が提案されている。
特開昭62−97630号,同62−106826号,同62−117620号公報は排ガス中のNOxを(NOは酸化して吸収され易いNO2 に変換した後)NOx吸収能を有する触媒と接触させて吸収除去し、吸収効率が低下した時点で排ガスの通過を止めて H2 ,メタン・ガソリン等のHC、等の還元剤を用いて蓄積されたNOxを還元除去し、触媒のNOx吸収能を再生する方法が示されている。
また、PCT/JP92/01279及びPCT/JP92/01330には、排ガスがリーンの時にNOxを吸収し排ガス中の酸素濃度を低下させると吸収したNOxを放出するNOx吸収剤を排気通路に設置し、排気ガスがリーンのときにNOxを吸収させ、吸収させたNOxをNOx吸収剤に流入する排ガス中のO2 濃度を低下せしめて放出させる、排気浄化装置が提案されている。
しかし、特開昭63−61708 号公報において触媒が機能する空燃比である(A/F)14.7程度に相当する排ガスの組成(O2 濃度約0.5%程度)を達成するには多量のHCが必要となる。同発明のブローバイガスの利用は有効であるものの、内燃機関運転中の排ガスを処理するに十分な量ではない。燃料を投入することも技術的には不可能ではないが、リーンバーン方式で節減した燃費を低下させる結果となる。
また、特開昭62−97630号,同62−106826号,同62−117620号公報では、NOx吸収剤の再生にあたり排ガスの流通を停止してHC等の還元剤をNOx吸収剤に接触させるため、還元剤の排ガス中のO2 による燃焼消費が大幅に抑制されて還元剤の使用量が激減する。しかし、NOx吸収剤を2つ設け、且つ、排ガスをこれらに交互に流通させるための排気切り替え機構が必要で、排気処理装置の構造が複雑になることは否定できない。
さらに、PCT/JP92/01279及びPCT/JP92/01330では、排ガスを常時NOx吸収剤に流通させておき、排ガスがリーンの時にNOxを吸収させ、排ガス中のO2 濃度を低下させて吸収したNOxを放出させて吸収剤を再生するため、排ガス流の切り替えは不要で、上記方式の問題点は解消する。しかし、排ガスがリーンのときにNOxを吸収し排ガス中のO2 濃度が低下せしめられたときにNOxを放出できる材料の適用が前提となる。この材料の場合、NOxの吸収と放出を行うことは必然的に吸収剤の結晶構造の周期的な変化を繰り返すこととなり、耐久性に対する慎重な配慮が必要となる。また、放出NOx の処理が必要であり大量に放出される場合には三元触媒による後処理も考慮する必要が生じる。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、排気処理装置の構造が簡単であり、且つ、還元剤の消費量が少なく、且つ、耐久性に優れた、内燃機関のリーンバーン排ガスからNOx等の有害成分を効果的に除去・無害化できる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明の各方法により解決することができる。
本発明では、排ガス中の各成分間の酸化還元化学量論関係において還元剤に対して酸化剤が多い状態でNOxを化学吸着し、酸化剤に対し還元剤が同量以上の状態で吸着したNOxを接触還元するNOx吸着触媒を排ガス流路に配置し、排ガス中の各成分間の酸化還元化学量論関係において還元剤に対して酸化剤が多い状態をつくって吸着触媒上にNOxを化学吸着させ、次に酸化剤に対し還元剤が同量以上の状態をつくり、吸着触媒上に吸着したNOxを還元剤と接触反応させてN2 に還元して無害化する。
ここで吸着触媒は、NOx等の物質を吸着する能力を持ち同時に触媒機能を持つ材料を指す。本発明では、NOxを吸着して捕捉する能力とNOxを接触的に還元する能力及びHC,CO等を接触的に酸化する能力を持つ材料を指す。
また、酸化剤はO2 ,NO,NO2 等で主として酸素である。還元剤は、内燃機関に供されたHC,燃焼仮定で生成するその派生物としてHC(含む含酸素炭化水素),CO,H2 等、さらには、後述の還元成分として排ガス中に添加されるHC等の還元性物質である。
前述のように、リーン排ガスとNOxを窒素にまで還元するための還元剤としてのHC,CO,H2 等とを接触させるとこれらは排ガス中の酸化剤としての O2 と燃焼反応を起こす。NOx(NO及びNO2 )もこれらと反応して窒素に還元される。通常は両反応が平行して進行するため酸素の共存下では還元剤の利用率が低い。特に反応温度が(触媒材料にも依るが)500℃以上の高温では後者の割合がかなり大きくなる。そこで、NOxを吸着触媒で排ガスから分離し (少なくとも排ガス中のO2 から分離し)しかる後に還元剤と接触反応させることによりNOxのN2 への還元を効果的に行うことが可能となる。本発明では、NOx吸着触媒によりリーン排ガス中のNOxを吸着除去することにより排ガス中のNOxをO2 から分離する。
本発明においては、次に、排ガス中の酸化剤(O2,NOx等)と還元剤(HC,CO,H2 等)で構成される酸化還元系において還元剤が同量かもしくは卓越する状態をつくり、吸着触媒上に吸着したNOxをHC等の還元剤と接触反応させてN2 に還元する。
ところで排ガス中のNOxはほぼNOとNO2 からなる。NO2 はNOに比べて反応性に富む。したがってNO2 の吸着除去と還元はNOよりも容易である。したがってNOをNO2 に酸化すれば排ガス中のNOxの吸着除去と還元が容易となる。本発明はリーン排ガス中のNOxを共存するO2 によりNO2 に酸化し除去する方法、そのための酸化手段例えば吸着触媒にNO酸化機能を持たせたり吸着触媒前段に酸化触媒を設けることをも包含するものである。
本発明における、化学吸着したNOxの還元反応はおおよそ以下の反応式で記述できる。
M−NO3+HC→MO+N2 +CO2 +H2O→MCO3+N2 +H2O
ここに、Mは金属元素(還元生成物にMCO3を採用した理由は後述する)
上記の反応は発熱反応である。金属Mとしてアルカリ金属とアルカリ土類金属を取り上げ、それぞれNa及びBaを代表させて反応熱を評価すると標準状態 (1気圧,25℃)では以下となる。
吸着種の熱力学量には相当する固体の値を用いた。
ちなみにC3H6 5/9moleの燃焼熱は1070kjuleであり、上記各反応は HCの燃焼熱に匹敵する発熱量である。当然のことながらこの発熱は接触する排ガスに伝えられ吸着触媒表面の局部的な温度上昇は抑制される。
NOxの捕捉剤がNOx吸収剤の場合、吸収剤のバルク内に捕捉されたNOxも還元されるため発熱量は大きくなり、排ガスへの伝達には限度があるため吸収剤の温度上昇をもたらす。この発熱は下式に示す吸収反応の平衡を放出側にずらす。
【化1】
放出したNOxを速やかに還元して装置外へ排出される排ガス中のNOx濃度を低減すべく還元剤の濃度を高めても、気相においてはNO2 とHCの反応はあまり進まない。したがって、還元剤の増量でNOx放出量を十分に減ずることができない。また、NOx吸収量が少ない段階で還元反応による操作を行うことも考えられるが、NOx吸収剤の再生頻度が増し、実用的でない。
本発明の吸着触媒は、その表面近傍でのみNOxを捕捉するため発熱の絶対量としては少なく、且つ速やかに排ガスに伝達されるため吸着触媒の温度上昇は少ない。したがって一旦捕捉したNOxの放出を防止することができる。
本発明のNOx吸着触媒は、NOxをその表面で化学吸着により捕捉しNOxの還元に際しての発熱反応でNOxの放出を生起しない材料として特徴付けられる。また、本発明のNOx吸着触媒は、NOxをその表面で化学吸着によりもしくは表面近傍で化学結合により捕捉し、NOxの還元に際しての発熱反応でNOxの放出を生起しない材料として特徴付けられる。
本発明者等は、少なくともカリウム(K),ナトリウム(Na),マグネシウム(Mg),ストロンチウム(Sr)及びカルシウム(Ca)から選ばれる一種以上の元素を成分の一部として含むNOx吸着触媒で上記特徴を実現し得ることを見出した。
本発明の内燃機関の排ガス浄化装置は、少なくともカリウム(K),ナトリウム(Na),マグネシウム(Mg),ストロンチウム(Sr)及びカルシウム(Ca)から選ばれる一種以上の元素を成分の一部として含むNOx吸着触媒を排ガス流路に配置し、排ガス中の各成分間の酸化還元化学量論関係において還元剤に対して酸化剤が多い状態をつくって吸着触媒上にNOxを化学吸着させ、次に酸化剤に対し還元剤が同量以上の状態をつくり、吸着触媒上に吸着したNOxを還元剤と接触反応させてN2 に還元して無害化することを特徴とする。
本発明の内燃機関の排ガス浄化装置は、また、少なくともカリウム(K),ナトリウム(Na),マグネシウム(Mg),ストロンチウム(Sr)及びカルシウム(Ca)から選ばれる一種以上の元素を成分の一部として含むNOx吸着触媒を排ガス流路に配置し、酸化還元化学量論関係においてHC等の還元剤に対してO2 等の酸化剤が多い状態をつくって吸着触媒表面及び表面近傍にNOxを化学結合により捕捉し、次に酸化剤に対し還元剤が同量かもしくは多い状態をつくり、吸着触媒に捕捉されたNOxを還元剤と接触反応させてN2 に還元して無害化することを特徴とする。
本発明におけるNOx吸着触媒としては特に以下が好適に適用できる。
カリウム(K),ナトリウム(Na),マグネシウム(Mg),ストロンチウム(Sr)及びカルシウム(Ca)から選ばれる少なくとも一種と、セリウム等からなる希土類から選ばれる少なくとも一種と、白金,ロジウム,パラヂウム等からなる貴金属から選ばれる少なくとも一種の元素を含む、金属および金属酸化物(もしくは複合酸化物)からなる組成物、該組成物を多孔質耐熱性金属酸化物に担持してなる組成物。本組成物は、優れたNOx吸着能に加え優れた耐SOx性を有する。
本発明の方法における、酸化剤に対し還元剤が同量かもしくは多い状態は以下の方法で作る事ができる。
内燃機関における燃焼条件を理論空燃比もしくは燃料過剰(リッチ)とする。また、リーンバーン排ガスに還元剤を添加する。
前者は以下の方法で達成することができる。
排気ダクトに設けられた酸素濃度センサー出力及び吸気流量センサー出力等に応じて燃料噴射量を制御する方法。本法では、複数の気筒の一部を燃料過剰とし残部を燃料不足とし、全気筒からの混合排ガス中の成分が酸化還元化学量論関係において酸化剤に対して還元剤が同量かもしくは多い状態をつくる方法をも含む。
後者は以下の各方法で達成することができる。
排ガス流の吸着触媒上流に還元剤を投入する方法。還元剤には内燃機関の燃料としてのガソリン,軽油,灯油,天然ガス、これらの改質物,水素,アルコール類,アンモニア等が適用できる。ブローバイガス及びキャニスターパージガスを吸着触媒上流に導きこれらに含まれる炭化水素等の還元剤を投入することも有効である。燃料直噴式内燃機関においては、排気行程で燃料を噴射し還元剤としての燃料を投入することが有効である。
本発明における吸着触媒は、各種の形状で適用することができる。コージェライト,ステンレス等の金属材料からなるハニカム状構造体に吸着触媒成分をコーティングして得られるハニカム形状を始めとし、ペレット状,板状,粒状,粉末として適用できる。
本発明における、酸化剤に対し還元剤が同量かもしくは多い状態を作るタイミングは以下の各方法によることができる。
ECU(Engine Control Unit)で決定される空燃比設定信号,エンジン回転数信号,吸入空気量信号,吸気管圧力信号,速度信号,スロットル開度,排ガス温度等からリーン運転時におけるNOx排出量を推定し、その積算値が所定の設定値を超えたとき。
排気流路の吸着触媒上流または後流に置かれた酸素センサー(もしくはA/Fセンサー)の信号により累積酸素量を検出し累積酸素量が所定の量を超えたとき。
その変形態様として、リーン運転時の累積酸素量が所定の量を超えたとき。
排気流路の吸着触媒上流に置かれたNOxセンサー信号により累積NOx量を算出し、リーン運転時における累積NOx量が所定の量を超えたとき。
排気流路の吸着触媒後流に置かれたNOxセンサーの信号によりリーン運転時におけるNOx濃度を検出し、NOx濃度が所定濃度を超えたとき。
本発明における、酸化剤に対し還元剤が同量かもしくは多い状態を維持する時間もしくは維持すべく投入する還元剤量は、前述のごとく、予め吸着触媒の特性,内燃機関の諸元と特性等を考慮して決めることができるが、これらは、燃料噴射弁のストローク,噴射時間及び噴射間隔を調整して実現できる。
【発明の実施の形態】
本発明の具体的実施態様を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施態様及び実施例に限定されるものでなく、その思想範囲内において各種の実施態様があることは言うまでもない。
[吸着触媒]
本発明の方法による吸着触媒の特性について説明する。アルカリ金属として Naを含むN−N9とKを含むN−K9の特性は次の様である。
《吸着触媒調製法》
吸着触媒N−N9を以下の方法で得た。
アルミナ粉末とベーマイトを硝酸邂逅して得たバインダーとしてのアルミナゾルを混合し硝酸酸性アルミナスラリーを得た。該コーティング液にハニカムを浸漬した後速やかに引き上げ、セル内に閉塞した液をエアーブローして除去した後、乾燥、続いて450℃で焼成した。この操作を繰返しハニカムの見掛け容積1Lあたり150gのアルミナをコーティングした。該アルミナコートハニカムに触媒活性成分担持しハニカム状吸着触媒を得た。例えば、硝酸セリウム(硝酸Ce)溶液を含浸し乾燥後600℃で1時間焼成した。続いて硝酸ナトリウム (硝酸Na)溶液とチタニアゾル溶液と硝酸マグネシウム(硝酸Mg)溶液の混合溶液を含浸し、同様に乾燥,焼成した。さらにジニトジアンミンPt硝酸溶液と硝酸ロジウム(硝酸Rh)溶液の混合溶液に含浸し、乾燥後450℃で1時間焼成した。最後に硝酸Mg溶液を含浸し450℃で1時間焼成した。以上によりアルミナ(Al2O3)にCe,Mg,Na,Ti,Rh,Ptを担持したハニカム状吸着触媒、2Mg−(0.2Rh,2.7Pt)−(18Na,4Ti,2Mg)−27Ce/Al2O3を得た。ここで、/Al2O3は活性成分がAl2O3上に担持されたことを示し、元素記号前の数値はハニカム見掛け容積1L当たりに担持した表示金属成分の重量(g)である。表記順序は担持順序を示しており、Al2O3に近く表記される成分から離れる成分の順で担持し、( )で括られた成分は同時に担持した。ちなみに各活性成分の担持量は含浸溶液中の活性成分濃度を変化させることにより変えることができる。
吸着触媒N−K9を以下の方法で調製した。
吸着触媒N−N9調製における硝酸Na溶液に代わり硝酸カリウム(硝酸K)溶液を用い、その他は吸着触媒N−N9と同様の方法でN−K9 2Mg− (0.2Rh,2.7Pt)−(18K,4Ti,2Mg)−27Ce/Al2O3を得た。また同様の方法で比較触媒N−R2 2Mg−(0.2Rh,2.7Pt)− 27Ce/Al2O3を得た。
《性能評価法》
上記方法で得た吸着触媒を700℃で5時間酸化雰囲気で熱処理した後、以下の方法で特性を評価した。
排気量1.8L のリーンバーン仕様ガソリンエンジンを搭載した乗用車に本発明の方法により調製した容積1.7L のハニカム状吸着触媒を搭載しNOx浄化特性を評価した。
《吸着触媒の特性》
吸着触媒N−N9を搭載し、A/F=13.3 のリッチ運転30秒間とA/F=22のリーン運転約20分間を交互に繰り返し図2のNOx浄化率経時特性を得た。同図から本吸着触媒によりリーン運転期間中のNOxが浄化されることが伺える。リーン運転中NOx浄化率は徐々に低下し初期に100%あった浄化率は20分後には約40%となる。しかしこの低下した浄化率は30秒間のリッチ運転で100%にまで回復する。再びリーン運転を行うとNOx浄化能は回復して前述の経時変化を繰り返す。リーン運転とリッチ運転を複数回繰返してもリーン運転中のNOx浄化率の経時低下の速度は不変であり、これはリッチ運転によりNOx吸着性能が十分に再生されたことを示している。
車速を約40km/h一定(排ガスの空間速度(SV)約20,000/h一定)とし点火時期を変化させて排ガス中のNOx濃度を変え、NOx濃度とリーン排ガス中のNOx浄化率の関係を求めて図3を得た。NOx浄化率は経時的に低下するがNOx濃度が低いほど低下速度は小さい。NOx浄化率50%及び30%に至るまでに捕捉されたNOx量を同図から求めると表1となる。
【表1】
NOx捕捉量はNOx濃度に依らずほぼ一定である。吸着量が吸着質の濃度 (圧力)に寄らないのは化学吸着の特徴である。
供試吸着触媒中でNOx吸着楳として先ず考えられるのはPt粒子である。露出Pt量を評価する手段として多用されるCO吸着量評価を行ったところCO吸着量(at 100℃)は4.5×10-4molであった。この値は上記NOx吸着量の約1/100でありPtがNOx吸着楳の主役でないことは明らかである。
一方、本吸着触媒のコーディェライトごと測定したBET比表面積(窒素吸着で測定)は約25m2/gでハニカム1.7L当たり28,050m2であった。また、本発明の吸着触媒のNaの化学構造について検討したところ、鉱酸にCO2 ガスを発生して溶解すること及び鉱酸による中和滴定曲線における変曲点の値から判断して主にNa2CO3として存在すると判断できた。仮に全ての表面が Na2CO3で占められているとすると表面には0.275molのNa2CO3が露出していることになる(Na2CO3の比重が2.533g/mlであることから Na2CO31分子の体積が求まる(Na2CO3を立方体と仮定してその1面の面積を求めこれを表面Na2CO3の占有面積とした))。前出の反応式に従えば 0.275molのNa2CO3は0.55molのNO2 を吸着する能力がある。しかし、実際に本発明の吸着触媒が除去したNOx量はその1/10以下の0.04molのオーダーである。この相違はBET法が物理表面積を評価するものでAl2O3等のNa2CO3以外の表面積も評価していることによる。以上の評価は、吸着 NOx量はNa2CO3バルクのNOx捕捉能よりはるかに少なく、少なくとも NOxがNa2CO3表面か表面近傍の限られた領域で捕捉されていることを示している。
なお、図3においてNOx浄化率20%前後から浄化率低下の速度が低下しているが、これは触媒機能による還元反応が生じていることを示すものである。
図4は、リーン運転からストイキ運転に切替えた直後のNOx浄化率を示す。本吸着触媒では、ストイキ運転への切替え直後から90%以上のNOx浄化率が得られることが分かる。
図5,図6に、リーンからストイキあるいはリッチへの切替え前後における NOx浄化特性を示した。図5は吸着触媒N−N9の入口と出口のNOx濃度を示したもので、図(a)はA/F=22のリーンからA/F=14.2のリッチへ空燃比を切替えた場合である。リッチ切替え直後の再生の開始時点においてはA/F=14.2 の排ガスNOx濃度が高いためリッチ運転の入口NOx濃度が大きく増加し、これに伴い過渡的に出口NOx濃度は増加するが、常時出口NOx濃度は入口NOx濃度を大きく下回る。再生は速やかに進み短時間で出口NOx濃度は0近傍に到達する。図(b)はA/F=22のリーンからA/F=14.2のリッチへ空燃比を切替えた場合であるが、図(a)と同様に、常時出口NOx濃度は入口NOx濃度を大きく下回り、且つ、より短時間で出口NOx濃度は0近傍に到達する。
以上から明らかであるが、再生条件としてのA/F値は再生に要する時間に影響する。再生に適したA/F値,時間、さらには還元剤量は、吸着触媒の組成,形状,温度,SV値,還元剤の種類,排気流路の形状や長さの影響を受ける。従って、再生条件はこれらを考慮して総合的に決められるものである。
図6は吸着触媒N−K9の入口と出口のNOx濃度を示したもので、図(a)はA/F=22のリーンからA/F=14.2 のリッチへ空燃比を切替えた場合、図(b)はA/F=22のリーンからA/F=14.2のリッチへ空燃比を切替えた場合であるが、上述の吸着触媒N−N9の場合と同様に常時出口NOx濃度は入口NOx濃度を大きく下回り、且つ、短時間で吸着触媒の再生が進んでいる。
《吸着触媒の基礎特性》
モデルガスを用い基礎特性、特にNOx浄化率に与える酸素濃度の影響を評価した。
N−N9の6ml小ハニカムを内径28mmφの石英反応管内に充填し、モデルガスを流通させた。モデルガス中の酸素濃度を変化させNOx浄化率に与える影響を検討した。反応温度は触媒入り口ガス温度で300℃とした。
先ず、O2 5%(体積分率;以下同じ),NO600ppm,C3H6500ppm (1500ppm as Cl),CO1000ppm,CO2 10%,H2O10%及び N2 Balance なる組成のガスを流通させNOx浄化率が安定した10分後に酸素濃度のみを所定の値まで低下させて20分間保持し、最後に再び初期のガス組成に戻した。この間のNOx濃度変化を、低下させる酸素濃度を0%,0.5%, 0.7%,1%,2% 及び3%の6種変化させ図19を得た。図19では、リーンガス中の酸素濃度が低くなるとすなわち酸化雰囲気が弱まり還元雰囲気が強くなるとNOx浄化率が高くなる傾向が認められ、本吸着触媒がNOxを還元により浄化していることを示唆している。また、図19では、NOx浄化率は常に正の値であり本吸着触媒では酸素濃度の如何に因らず吸着触媒通過後NOx濃度が増すことはない。
次に、O2 5%,NO600ppm,N2 Balanceなる組成のガスを流通させつつこのガス中の酸素濃度を同様に変化させて図20を得た。本検討ではガス中に還元剤が含まれていないことに特徴がある。図20において酸素濃度を低下させて酸化雰囲気が弱めてもNOx浄化率は向上しない。この事は本吸着触媒がNOxを還元により浄化していることを示唆している。図20において、NOx浄化率が負になることはなく、本吸着触媒では酸化還元の雰囲気によって、一旦捕捉したNOxを放出することはない。
[排気浄化装置]
図1は本発明の排ガス浄化装置の一実施態様を示す装置の全体構成である。
本発明の装置は、リーンバーン可能なエンジン99,エアフローセンサー2,スロットルバルブ3等を擁する吸気系,酸素濃度センサー(or A/Fセンサー)19,排気温度センサー21,NOx吸着触媒18等を擁する排気系及び制御ユニット(ECU)等から構成される。ECUは入出力インターフェイスとしてのI/O LSI,演算処理装置MPU,多数の制御プログラムを記憶させた記憶装置RAMおよびROM,タイマーカウンター等より構成される。
以上の排気浄化装置は、以下のように機能する。エンジンへの吸入空気はエアクリーナー1により濾過された後エアフローセンサー2により計量され、スロットルバルブ3を経て、さらにインジェクター5から燃料噴射を受け、混合気としてエンジン99に供給される。エアフローセンサー信号その他のセンサー信号はECU(Engine Control Unit)へ入力される。
ECUでは後述の方法によって内燃機関の運転状態及びNOx吸着触媒の状態を評価して運転空燃比を決定し、インジェクター5の噴射時間等を制御して混合気の燃料濃度を所定値に設定する。シリンダーに吸入された混合気はECU25からの信号で制御される点火プラグ6により着火され燃焼する。燃焼排ガスは排気浄化系に導かれる。排気浄化系にはNOx吸着触媒が設けられ、ストイキ運転時にはその三元触媒機能により排ガス中のNOx,HC,COを浄化し、また、リーン運転時にはNOx吸着能によりNOxを浄化すると同時に併せ持つ燃焼機能により、HC,COを浄化する。さらに、ECUの判定及び制御信号により、リーン運転時にはNOx吸着触媒のNOx浄化能力を常時判定して、NOx浄化能力が低下した場合燃焼の空燃比等をリッチ側にシフトして吸着触媒のNOx吸着能を回復させる。以上の操作により、本装置では、リーン運転,ストイキ(含むリッチ)運転の全てのエンジン燃焼条件下における排ガスを効果的に浄化する。
エンジンに供給される混合気の燃料濃度(以下空燃比)は次の様に制御される。図7に空燃比制御方法をブロック線図で示した。
アクセルペダルの踏み込みに応じた信号を出力する負荷センサー出力,エアフローセンサーにより計量された吸気量の出力信号,クランク角センサーにより検出されるエンジン回転数信号,排ガス温度信号,スロットル開度を検出するスロットルセンサー信号,エンジン冷却水温信号,スターター信号等の情報からECU25は空燃比(A/F)を決定し、さらにこの信号は酸素センサーからフィードバックされる信号に基づき補正され、燃料噴射量を決定する。なお、低温時,アイドル時,高負荷時等では各センサー及びスイッチの信号によりフィードバック制御を停止する。また、空燃比補正学習機能により空燃比の微妙な変化や急な変化にも正確に対応できるよう空燃比補正学習機能で対応する。
決定された空燃比がストイキ(A/F=14.7)及びリッチ(A/F<14.7)のときECUの指示によりインジェクタの噴射条件が決定されストイキ及びリッチ運転が行われる。一方、リーン(A/F>14.7)運転が決定された場合、 NOx吸着触媒のNOx吸着能の有無の判定を行い吸着能があると判定された場合に指示通りのリーン運転を行うべく燃料噴射量が決定され、吸着能がないと判定された場合には空燃比を所定期間リッチシフトしてNOx吸着触媒を再生する。
図8に空燃比制御のフローチャートを示した。ステップ1002で各種の運転条件を指示するあるいは運転状態を検出する信号を読み込む。これらの信号に基づきステップ1003で空燃比を決定、ステップ1004では決定された空燃比を検出する。ステップ1005で決定された空燃比と理論空燃比との大小を比較する。ここでの比較対象となる理論空燃比は、正確には吸着触媒においてNOxの接触還元反応の速度が吸着による捕捉速度を上回る空燃比であり、予め吸着触媒の特性を評価して決定されるもので、理論空燃比近傍の空燃比が選定される。ここで、設定空燃比≦理論空燃比の場合ステップ1006に進み吸着触媒の再生操作を行うことなく指示通りの空燃比運転を行う。設定空燃比>理論空燃比の場合ステップ1007に進む。ステップ1007ではNOx吸着量の推定演算を行う。推定演算方法については後述する。続いてステップ1008で推定NOx吸着量が所定限界量以下であるか否かを判定する。限界吸着量は予め実験等により吸着触媒のNOx捕捉特性を評価して、また排ガス温度や吸着触媒温度等を考慮して、排ガス中のNOxが十分に浄化できる値に設定される。NOx吸着能がある場合にはステップ1006に進み、吸着触媒の再生操作を行うことなく指示通りの空燃比運転を行う。NOx吸着能がない場合にはステップ1009に進み、空燃比をリッチ側にシフトする。ステップ1010ではリッチシフト時間をカウントし、経過時間Trが所定の時間(Tr)cを超えればリッチシフトを終了する。
NOx吸着能の判定は次のように行うことができる。
図9はリーン運転時の各種運転条件からNOx排出量を積算し判定する方法である。
ステップ1007−E01で排ガス温度等のNOx吸着触媒の作動条件に関する信号と排ガス中のNOx濃度に影響する各種の機関運転条件に関する信号とを読み込み単位時間に吸着するNOx量EN を推算する。ステップ1007−E02 でEN を積算し、ステップ1008−E01で積算値ΣENと吸着量の上限値 (EN )cとの大小を比較する。ΣEN≦(EN )cの場合は積算を継続し、ΣEN>(EN )cの場合ステップ1008−E02で積算を解除しステップ1009に進む。
図10はリーン運転の積算時間で判定する方法である。
ステップ1007−H01でリーンの運転時間HL を積算し、ステップ1008−H01で積算値ΣHL と積算時間の上限値(HL )cとの大小を比較する。ΣHL ≦(HL )cの場合積算を継続し、ΣHL >(HL )cの場合ステップ1008− H02で積算を解除しステップ1009に進む。
図11はリーン運転時の酸素センサー信号で判定する方法である。
ステップ1007−O01でリーン運転における酸素量QO を積算し、ステップ1008−O01で積算値ΣQO と積算酸素量の上限値(QO )cとの大小を比較する。ΣQO ≦(QO )cの場合積算を継続し、ΣQO >(QO )cの場合ステップ1008−O02で積算を解除しステップ1009に進む。
図12はリーン運転時のNOx吸着触媒入口で検出したNOx濃度センサー信号で判定する方法である。
ステップ1007−N01でNOx濃度センサー信号に基づきNOx吸着触媒入口におけるNOx量QN を積算する。ステップ1008−N01で積算値 ΣQN と積算NOx量の上限値(QN )cとの大小を比較する。ΣQN ≦(QN )cの場合積算を継続し、ΣQN >(QN )cの場合ステップ1008−N02で積算を解除しステップ1009に進む。
図13はリーン運転時のNOx吸着触媒出口で検出したNOx濃度センサー信号で判定する方法である。
ステップ1007−C01でNOx濃度センサー信号に基づきNOx吸着触媒入口におけるNOx濃度CNを検出する。ステップ1008−C01でCN と CN の上限値(CN )cとの大小を比較する。CN ≦(CN )cの場合検出を継続し、CN >(CN )cの場合ステップ1009に進む。
図14に本発明の排ガス浄化装置の他の実施態様を示す。図1の態様との相違は、エンジン近くの排気ダクトにマニホールド触媒17を設けた点にある。自動車排ガスの排出規制の強化は、エンジン起動直後に排出されるHC等の有害物の浄化を必要としている。すなわち従来は触媒が作動温度に達するまで未処理で排出されていたが、この量を大幅に低減する必要がある。これには、触媒を作動温度まで急速に昇温する方法が有効である。図14はエンジン起動時のHC,CO排出量低減と、リーン及びストイキ(含むリッチ)運転における排ガス浄化に対応できる装置構成である。図14の構成においてマニホールド触媒17にはPt,Rh,CeO2 を主たる成分とするいわゆる三元触媒やこれらにPdを添加したりあるいはPd等の燃焼活性成分を中心成分とした燃焼触媒が適用できる。本構成では、起動時にはマニホールド触媒17が短時間で昇温してHCやCOの浄化を起動直後から行い、ストイキ運転時にはマニホールド触媒と吸着触媒18の双方が機能してHC,CO,NOxの浄化を行い、リーン運転時は吸着触媒が NOxを吸着浄化する。吸着触媒の再生にあたり空燃比をリッチシフトすると還元剤としてのHC,COはマニホールド触媒で大きな化学変化を受けることなく吸着触媒に到達し、これを再生する。このような構成を可能とするのは吸着触媒の大きなな特長である。
図15に本発明の排ガス浄化装置のさらに他の実施態様を示す。図1の態様との相違は、エンジン99が筒内噴射方式である点にある。本発明の装置は筒内噴射方式エンジンにも良好に適用することができる。
図16に本発明の排ガス浄化装置のさらに他の実施態様を示す。図1及び図15の態様との相違は、吸着触媒の下流に後触媒24を設けたことにある。たとえば後触媒に燃焼触媒を置くことによりHC浄化能を向上させた装置が、三元触媒を置くことによりストイキ時の三元機能を強化させた装置が、実現する。
図17に本発明の排ガス浄化装置のさらに他の実施態様を示す。図1及び図14〜図16の図との相違は、リッチシフトの指示により、還元剤インジェクタ23を通じて吸着触媒上流に燃料を添加することにある。本方式ではエンジンの運転状態を吸着触媒の状態と無関係に設定することができるという大きな利点がある。以下、具体例を挙げて本発明の効果を説明する。
本発明の吸着触媒及び装置の排ガス浄化性能を評価した。排気量1.8L のリーンバーン仕様車に吸着触媒及び比較触媒を搭載し、シャシダイナモメータ上で走行させた。両供試触媒は容積1.7Lのハニカム状(400cell/in2)で、700℃で5時間酸化雰囲気で熱処理したものを床下に置いた。走行は、定常走行及び国内排ガス規制測定法に基づく10−15モード走行とした。排ガス分析は自動車排気ガス測定装置を用いダイレクト分析で排ガス中のNOx,HC, COの濃度を測定する方法と、自動車定容量希釈サンプリング装置でCVS (Constant Volume Sampling)を求める方法を適用した。
なお、10−15モード走行においては、10モード及び15モードの定常走行時と10モードの20km/hから40km/hへの加速時及び15モードの40km/hから60km/hへの加速時と50km/hから70km/hへの加速時をリーン(A/F=22,23)走行としその他をストイキ走行とした。図18に、本発明の方法による吸着触媒N−N9を搭載した場合、吸着触媒N−K9を搭載した場合、また比較の触媒N−R2を搭載した場合の、3度繰返される10モードの最後の10モードとそれに続く15モードにおける吸着触媒前後のNOx濃度を示した。比較触媒は後掲の表2に示す組成のものとした。
図18において、吸着触媒N−N9およびN−K9を搭載した場合全運転域において出口NOx濃度は入口NOx濃度を下回り、リーン運転とストイキ運転が繰返されることにより吸着触媒が効果的に再生されNOx浄化機能を保持し続けていることが分かる。一方、比較触媒N−R2においては出口NOx濃度が入口NOx濃度を上回る部分が生じている。
各種吸着触媒および比較触媒で得たCVS値を吸着触媒組成とともに表2及び表3に示した。吸着触媒および比較触媒の調製は前述の方法によったが、調製原料として、バリウム(Ba)には硝酸Baを、シリコン(Si)にはシリカゾルを用いた。Siはシリカ(SiO2)もしくはその複合酸化物として存在すると推定される。
【表2】
【表3】
【発明の効果】
以上から明らかな様に、本発明の装置によれば、排ガス流路にNOx吸着触媒を設け、リーン排ガスの酸化雰囲気でNOxを吸着捕捉し還元雰囲気をつくって吸着触媒を再生することにより、リーンバーン排ガス中のNOx等を、燃費に大きな影響を与えることなく高効率で浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施態様を示す本発明の方法による排ガス浄化装置の構成図。
【図2】本発明の方法によりリッチ運転とリーン運転を交互に繰返したときのNOx浄化率の経時特性。
【図3】リーン排ガス中のNOx濃度とNOx浄化率の関係。
【図4】ストイキ排ガス中のNOx浄化率。
【図5】リッチ(ストイキ)運転からリーン運転に切替えたときの吸着触媒入口NOx濃度と出口NOx濃度の関係。
【図6】リッチ(ストイキ)運転からリーン運転に切替えたときの吸着触媒入口NOx濃度と出口NOx濃度の関係。
【図7】空燃比の制御方法を示すブロック線図。
【図8】空燃比の制御方法を示すフローチャート。
【図9】リーン運転時のNOx排出量の積算方法を示すフローチャート。
【図10】図8のフローチャートにおけるNOx量推算部分。
【図11】図8のフローチャートにおけるNOx量推算部分。
【図12】図8のフローチャートにおけるNOx量推算部分。
【図13】図8のフローチャートにおけるNOx量推算部分。
【図14】マニホールド触媒を設けた実施態様を示す装置の構成図。
【図15】筒内噴射エンジンにおける実施態様を示す装置の構成図。
【図16】後触媒を設けた実施態様を示す装置の構成図。
【図17】吸着触媒の上流に還元剤を添加する実施態様を示す装置構成図。
【図18】モード運転したときのNOx浄化特性図。
【図19】モデルガスを用いて酸素濃度を変化させたときのNOx浄化特性を示すグラフ。
【図20】モデルガスを用いて酸素濃度を変化させたときのNOx浄化特性を示すグラフ。
【符号の説明】
1…エアクリーナ、2…エアフローセンサー、3…スロットルバルブ、5…インジェクタ、6…点火プラグ、7…アクセルペダル、8…負荷センサー、9…吸気温度センサー、12…燃料ポンプ、13…燃料タンク、17…マニホールド触媒、18…吸着触媒、19…酸素センサー、20…吸着触媒温度センサー、21…排ガス温度センサー、22…NOx濃度センサー、23…還元剤インジェクター、24…後触媒、25…ECU、26…ノックセンサー、28…水温センサー、29…クランク角センサー、99…エンジン。
Claims (3)
- 排ガス中の各成分間の酸化還元化学量論関係において還元剤に対して酸化剤が多い状態でNOxを表面近傍にNO 2 として化学吸着(但し、硝酸イオンNO 3 - の形で吸収保持するものを除く)により捕捉し、酸化剤に対し還元剤が同量以上の状態で吸着したNOxを接触還元するNOx吸着触媒を排ガス流路に配置してなる排ガス浄化装置であって、前記NOx吸着触媒としてカリウム,ナトリウム,ストロンチウム及びカルシウムから選ばれる少なくとも一種と、セリウム等の希土類から選ばれる少なくとも一種と、白金,ロジウム,パラヂウム等の貴金属から選ばれる少なくとも一種と、チタン及びシリコンから選ばれる少なくとも一種の元素を含む、金属及び金属酸化物もしくは複合酸化物からなる組成物を多孔質耐熱性金属酸化物に担持してなる触媒を備え、ECUの判定及び制御信号によりリーン運転から酸化剤に対し還元が同量以上のリッチ状態へのシフトを行い、該リッチシフトの時間をカウントし所定の時間を超えればリッチシフトを完了するようにしたことを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。
- 請求項1において、前記リーン運転時にNOx吸着量の推定演算を行い該推定NOx吸着量が所定限界量であるか否かを判定し、NOx吸着能がない場合に前記リッチ側へのシフトを行い前記リッチシフト時間のカウントを行うことを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。
- 請求項1において、前記リーン運転時にNOx吸着量の推定演算を行い該推定NOx吸着量が所定限界量であるか否かを判定し、NOx吸着能がある場合には前記ECUの指示通りの設定空燃比運転を行い、NOx吸着能がない場合に前記リッチ側へのシフトを行い前記リッチシフト時間のカウントを行うことを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。
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