JP4027492B2 - 洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄装置に関し、特に、各種の自動分析装置における構成部材のコンタミネーション(汚染)を防止するための洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動化学分析装置等においては、概して人の体液をサンプルとして用いて、これに所望の試薬を反応させることによりこの反応状態を光学的に測定して化学分析を行う。このような化学分析を行う場合、サンプル、試薬、あるいは両者の混合液を反応セルに供給するための各種ノズルや、混合液を攪拌するために攪拌子が使用されている。このようなノズルや攪拌子などの構成部材は異なった液に多数回連続的に接触するため、各液と接触する間に、液間の相互汚染を防止するための十分な洗浄処理を施すことが必要となる。
【0003】
図6はこのような洗浄処理に用いられている従来の一般的な洗浄装置を示す断面図である。側面に洗浄液の供給口101が形成された中空容器102と、この中空容器102を固定するとともに、排水口103を有する外側容器104を備えた部材からなっている。前記した供給口101を介して一定量の洗浄液を供給することにより、中空容器102の内部には満水の水位までの洗浄液105が常に満たされる。従って、被洗浄物106を下降させて洗浄水105に浸漬すれば洗浄が行われることになる。
【0004】
上記した洗浄装置において、例えば、特開昭56−168552号公報は、電気泳動による洗浄装置において、サンプル分注ノズルと塗布先それぞれの治具に対応した洗浄槽(一体式)を備え、さらに水位検知部を配設することによって吸水排水を制御している。この装置は、洗浄水を一定時間だけ供給し、同時に気泡を発生させることで少ない水量で効果的な洗浄を行うことができることを特徴としている。
【0005】
また、日本国特許第2549115号は、ノズル、攪拌子等を洗浄する洗浄装置において、洗浄槽の中で表面張力による液体膜を形成し、その液体膜を旋回させることにより被洗浄物を洗浄することを開示している。よって、旋回させた乱流による洗浄のため、少量の洗浄液で洗浄効果を高めることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開昭56−168552号公報においては、ノズル洗浄と塗布先洗浄が同じ洗浄槽で行われるため、洗浄槽の構造が大きくなり洗浄時に多量の洗浄水を必要とする。また、洗浄液中から気泡を発生させるため、洗浄液として洗剤を用いることができず、発生する泡によって洗浄液が周辺に飛び散る恐れがある。
【0007】
また、上記した日本国特許第2549115号においては、乱流状態にある旋回流による洗浄のため、被洗浄物の洗浄範囲が狭いという欠点がある。
また、従来の洗浄装置は一般に、容器を満水の水位まで洗浄液で満たし、被洗浄物を容器中に浸漬させている間に、さらに洗浄液を押し出して洗浄するというものである。この構成では、多少の対流が発生するものの洗浄効果は小さく、コンタミネーションを防止しきれない、また洗浄液の供給量と洗浄力とのバランスをとるのが困難であり、期待の洗浄効果を出すためには多量の洗浄液または洗浄時間を必要とする。さらには、洗浄液の供給口の変形や配管中の空気の混入等で洗浄液が外に飛び出すことがある。
【0008】
本発明の洗浄装置はこのような課題に着目してなされたものであり、従来技術よりもより短時間で従来と同等の洗浄効果を得ることができ、加えて使用される洗浄液量もより少量で済む洗浄装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る洗浄装置は、所定の反応容器に収納された分析用液体について複数の処理を往復移動しながら行う処理具である被洗浄物を洗浄する洗浄装置であって、前記被洗浄物を前記反応容器に対して下降または水平移動するための駆動手段と、前記被洗浄物が下降または水平方向に通過する位置に前記被洗浄物を円弧状の水平移動により通過させるための円弧状の通路に沿い形成された通過口を備えた中空部材と、前記通過口を介して前記中空部材の内部を通過する前記被洗浄物に向けて前記中空部材の側部から粒径1μm〜5mmの玉状の洗浄液を断続的に吐出させて、前記断続的な状態の洗浄液と前記中空部材中の空気の混合である気液混合流体による衝突を起こさせる洗浄液吐出部と、を具備し、前記洗浄液吐出部を前記円弧状の通路に沿い間隔を設けて複数配設する。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記中空部材の通過口付近に、洗浄液の噴流に基づく液飛散を防止するためのエアーカーテンを具備する
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る洗浄装置の構成の断面図であり、図2はその上面図である。図において、中空部材8の上部には、被洗浄物7が下降または水平方向に通過する位置にそれを通すための狭通過口20が設けられている。中空部材8の側部には中空部材8の内部方向に洗浄液12を吐出する洗浄液供給部10が設けられている。この洗浄液供給部10には第1の洗浄液吐出部としての狭内径口11が設けられ、この狭内径口11の口径は、洗浄液12が断続的に粒径1μm〜5mmの玉状になって吐出されるような構造である。また、洗浄液供給部10の狭内径口11は配管21を介して洗浄液12を圧縮して送り出すための送液部材9に連結されている。この送液部材9の圧力は狭内径口11の口径とのバランスを考慮して設計されている。配管21と送液部材9とは第2の洗浄液吐出部を構成している。
【0013】
さらに、被洗浄物7の洗浄位置Aは、洗浄液12の圧力が高い状態を維持できる距離で、かつ、被洗浄物7の洗浄したい部分に洗浄液12が衝突するような高さに設定される。洗浄液供給部10が洗浄液12を断続的に吐出する方向は、被洗浄物7の方向にほぼ一致していれば上下の角度は可変である。しかし、洗浄効果を高めるため、また排水効率を良くするために、被洗浄物7に対して上から下の方向が望ましい。
【0014】
また、送液部材9としてはシリンジ、コンプレッサー等が考えられ、被洗浄物7としては、サンプルプローブ、試薬プローブ、攪拌棒等が考えられ、さらに洗浄液としては脱イオン水、脱気水、温水洗浄液が用いられるがこれらに限定されることはない。
【0015】
上記した構成において、被洗浄物7は洗浄のため中空部材8の洗浄位置Aまで下降される。または、被洗浄物7は図2に示すように、洗浄のため中空部材8を水平に通過する。それと同時に、洗浄液12が送液部材9により圧縮され、洗浄液供給部10の先端の狭内径口11から被洗浄物7の方向に断続的に吐出される。
【0016】
このように、本実施形態では、水滴状の物体を断続的に吐出する機能を有する霧吹きやスプレーの作用を利用して被洗浄物7を洗浄することを特徴とする。送液部材9により圧縮された洗浄液12は、中空部材8の狭内径口11を出る際、その圧力を保持し、断続的に先端部から押し出される(吐出される)。このときの吐出速度は、0.5m/s以上、好ましくは10m/s以上とする。これによって、断続的な状態の洗浄液12と、中空部材8の中の空気とが互い違いに被洗浄物7に衝突することになる。このような気液交互の衝突は、気泡を含む液体を吐出させて得られる洗浄作用と比べてもより強力なものとなる。したがって、玉状の洗浄液12と空気の混合である気液混合流体の衝突作用、及びその吐出圧力により、少量の洗浄液12でしかも短時間で従来と同等の洗浄効果を得ることができる。ここで、サンプルプローブ、試薬プローブ、及び攪拌棒の外壁に関して洗浄効果を高めたのは、粒径0.8mm〜3.0mmの範囲で、特に、1.3mm〜2.2mmの洗浄液を吐出させたときである。また、スプレー的に吐出されるため、広い範囲に洗浄液12が吐出されることになり、洗浄範囲を大きくすることができる。さらに、一体式の中空部材8の上部の壁面により、洗浄液12が外部に飛び出して他を汚すことがない。
【0017】
次に図3を参照して本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では図3に示すように、洗浄液供給部10a,10bを複数設けたことを特徴とする。このように洗浄時に複数の供給部から洗浄液が吐出されることにより、より大きな洗浄効果が期待でき、洗浄時間のより一層の短縮が可能となる。さらに、複数の取付位置は中空部材8の内部であればその上部、下部で可変であり、これによってより洗浄範囲を広げることができ、洗浄効果も期待できる。
【0018】
次に図4を参照して本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、図4に示すように1体の洗浄液供給部10cに複数の狭内径口11a,11bを設けたことを特徴とする。洗浄時には複数の狭内径口11a,11bから洗浄液が吐出されるため、特に、縦に狭内径口を配列した場合には洗浄範囲を縦に広げることができる。このように本実施形態では、洗浄目的に応じて狭内径口の数、配置を変更することができる。もちろん第2実施形態のように、洗浄液供給部10cを複数設けることも可能である。
【0019】
図5は上述した第1〜第3の実施形態の洗浄装置を好適に組み合せた自動分析システムにおいて、移動を伴なって複数の異なる分析用液体(試料または試薬)を処理する処理具(プローブ、攪拌棒、電極等)に適用した場合の構成を示す図である。図5において、回転テーブル50は、所定の試薬が入れられ周方向に沿って設けられた複数の試薬容器51を有し、モータM1(52)によって制御部54の制御の下で回転駆動される。また、回転テーブル56は周方向に沿って設けられた複数の反応容器57を有し、モータM2(55)によって制御部54の制御の下で回転駆動される。さらに、制御部54の制御の下でモータM3(53)により支持部60を回動させることにより、これに支持された被洗浄物7(図では試薬プローブ)を中空部材8に設けた円弧状通路である狭通過口20を通しつつ回転テーブル50の吸引位置58と回転テーブル56の吐出位置59との間で移動させる。ここで、中空部材8には、共通の配管21の先方を分岐させて複数の洗浄液供給部10a、10bを前記円弧状通路に沿って適宜の間隔で配設している。この複数の洗浄液供給部10a、10bは、夫々制御弁(図示せず)によってモータM3の駆動に応じて開閉制御されているので、被洗浄物7の回動に追随して最も近い洗浄液供給部10a、10bのみが吐出する構成になっている。そして、被洗浄物7が吐出位置59から吸引位置58に向かう途中で中空部材8内で上記した方法により被洗浄物7の洗浄が行われる。このような洗浄装置によれば、複数の処理を往復移動しながら行う被洗浄物7を、移動の間に効率よく実施できる。
【0020】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば上述した実施形態では、気液混合流体を得るために、送液を断続的に行う手段を用いたが、コンプレッサーから出される高速気流(例えば40m/s以上)を配管21により送気し、その間に送液部材9から連続的に配管21内へ洗浄液を送り出すようにして噴出口の径を広くしてもよい。また、狭内径口11付近に、液滴を形成するための加振手段を設けるようにしても、送液部材9による断続的吐出を行わずに済む。
【0021】
また、洗浄液の噴流による洗浄中にエアロゾルが発生する可能性が有る場合や中空部材8の上部侵入用開口からの液飛散を充分に行えない場合には、上部侵入開口部にエアーカーテンを設定すれば、エアロゾルや飛散液の排出設備が不要になる。
【0022】
以上、本発明の気液混合流体による洗浄によれば、例えば、サンプルプローブや試薬プローブの洗浄を従来の洗浄方法と比べて半分以下の液量で完了できる。ここで、コンプレッサーを利用してジェット気流を噴出させる例では、気圧を高めることにより、圧力による汚れの押しのけ作用はもとより、洗浄液による汚れへの洗浄作用も促進され、この場合、洗浄液の供給速度を遅くするか供給を部分的に停止させる間に気流速度を高めることで、汚れの押しのけ作用のみを顕著に高めて洗浄効率をさらに向上させることもできる。
【0023】
また、本発明において、配管21の狭内径口11付近における気液の比率は、節水面、洗浄促進面の両観点から適宜の洗浄時間内で調整可能にするのが好ましい。
【0024】
【発明の効果】
本発明の各請求項によれば、従来技術よりもより短時間で優れた洗浄効果を得ることができ、加えてそのときに使用される洗浄液量もより少量で済むという相乗効果が得られる。さらには、洗浄範囲を大きくすることができ、かつ、洗浄液の飛び散りの無い洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る洗浄装置の構成の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る洗浄装置の構成の上面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図5】本実施形態の洗浄装置を自動分析システムに適用した場合の構成を示す図である。
【図6】従来の洗浄装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
7…被洗浄物、
8…中空部材、
9…送液部材、
10…洗浄液供給部、
11…狭内径口、
12…気液混合流体(洗浄液)、
20…狭通過口。

Claims (2)

  1. 所定の反応容器に収納された分析用液体について複数の処理を往復移動しながら行う処理具である被洗浄物を洗浄する洗浄装置であって、
    前記被洗浄物を前記反応容器に対して下降または水平移動するための駆動手段と、
    前記被洗浄物が下降または水平方向に通過する位置に前記被洗浄物を円弧状の水平移動により通過させるための円弧状の通路に沿い形成された通過口を備えた中空部材と、
    前記通過口を介して前記中空部材の内部を通過する前記被洗浄物に向けて前記中空部材の側部から粒径1μm〜5mmの玉状の洗浄液を断続的に吐出させて、前記断続的な状態の洗浄液と前記中空部材中の空気の混合である気液混合流体による衝突を起こさせる洗浄液吐出部と、
    を具備し、前記洗浄液吐出部を前記円弧状の通路に沿い間隔を設けて複数配設したことを特徴とする洗浄装置。
  2. 前記中空部材の通過口付近に、洗浄液の噴流に基づく液飛散を防止するためのエアーカーテンを具備することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
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