JP4027292B2 - 歯車組立体、歯車列組立体およびその組立方法 - Google Patents

歯車組立体、歯車列組立体およびその組立方法 Download PDF

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Description

本発明は歯車に関し、詳細には非限定的に歯車列のバックラッシュの減少に関する。
従来の技術
1つの歯車の歯が別の歯車の間隙部に噛み合うとき、間隙部は代表的には歯を収容するに必要な空間より大きい空間を有する。この過剰な空間はある場合にはラッシュ、またはバックラッシュと名付けられる。バックラッシュは多くの要素によって変化し、これは多くの歯車製造過程に代表的な歯車軸受の半径方向遊隙、歯車軸の偏心度、歯車の中心間の間隙の不正確性および歯車間の変動を含む多くの要素によって変化する。
バックラッシュに関連する余分な間隙は、通常歯車の歯に過大な衝撃荷重を生ずる。この荷重は過大な騒音を発生し、又はその他の歯車列の問題を発生せしめる。例えば、バックラッシュは歯車の摩耗を促進させる。バックラッシュを減少せしめることは内燃機関の場合に特に重要であり、特にディーゼル機関の歯車列において重要である。米国特許第5450112号明細書、同第4920828号明細書、同第4770582号明細書、同第3523003号明細書は各種の機関に対する歯車列の適用に関する背景情報を示している。
バックラッシュを減少せしめる1つの方法は、歯車の精密な加工と取付けにある。しかし、この方法は通常は費用がかかり、摩耗によって時間と共に変化するバックラッシュを適切に処理できない。バックラッシュを減少せしめる別の方法として歯車列の間に1つ以上のシザー(scissor)歯車を挿入する方法がある。通常、シザー歯車の歯は噛み合う歯車の歯間の空間を占めるように調節可能となされている。米国特許第4747321号明細書、同第4739670号明細書、同第3365973号明細書、同第2607238号明細書は各種形式のシザー歯車の例を示している。
シザー歯車によるバックラッシュ制御は、シザー歯車が異なる量のバックラッシュを有する2つ以上の歯車と噛み合う場合には制限される。代表的には、シザー歯車の有効な歯の寸法は最小のバックラッシュを有する歯車によって決定されるが、これは他方の噛み合う歯車が大きいバックラッシュを有する場合に通常不適当である。この問題の解決策の1つはバックラッシュの差が最小となるように噛み合う歯車を選択することであるが、このバックラッシュ適合方法は通常、時間がかかり、費用が高い。従って、歯車列の場合、シザー歯車と噛み合う多数の歯車におけるバックラッシュの差を処理する必要性がある。
シザー歯車の一つの形態として、共通中心の回りに回転可能な2つの歯車が互いにばね偏倚されているものがある。この形態において対をなすそれぞれの歯車の歯車歯は拡がって噛み合う歯車の歯間の隙間を充填する。ある歯車列においては噛み合う歯車によって歯の対に与えられる荷重が、ばねの偏倚力に抗してそれぞれの歯車対を整合せしめるに充分に大となる。代表的には整合する歯車対の各歯車は同一の公称歯厚を持って高い荷重を比例的に分担する形状を有する。しかし公称値からの無作為の偏向は、通常は各対の一方または他方の歯が異常に高い負荷を受けて変形して他方の歯車に適合するようになる。この変形工程で歯車歯はしばしば逆方向負荷を受け、一方向の曲げ負荷を受ける場合に対比して急速に摩耗する。また、このような変形は歯相互間の大きい変化を生じて性能を低下せしめ歯車列の騒音を高くする。従って、これらの欠点がなく高い負荷を可能とするバックラッシュのない歯車組立体について要望がある。
重負荷のディーゼル機関の場合にノッキングが燃焼行程において発生するが、高い衝撃による歯車歯の騒音によることがある。代表的にはこの騒音は通常のシザー歯車によっては充分に除去することができない。従って、この形式の騒音についても歯車列の改良が要望される。
本発明は、1つ以上のバックラッシュのない歯車組立体を使用するバックラッシュのない歯車組立体および歯車列に関する。本発明の各種態様は新規であり、自明でなく、各種の利点を有する。本発明の本質は添付の請求の範囲によってのみ決定されるものであるが、望ましい実施例の特性をなすいくつかの性質を以下に略述する。
本発明の1つの形態において、第1の歯車を定め、第1の歯車と第2の歯車との間に第1の噛み合いを確立することによって、歯車列が組立られる。第2の歯車はシザー歯車形式であって、歯の大きさの有効値は第1の噛合いによって決定される。第3の歯車の取付け位置は第2の歯車と第2の噛合いを形成するように選択される。この取付け位置は有効な歯寸法の関数として決定され、第2の噛合いのバックラッシュを制御する。
別の形態において、歯車列を含む機関装置が提供される。装置は内燃機関を含み、これに第1、第2および第3の歯車がピボット的に連結される。第2の歯車は第1の噛み合いによって第1の歯車と係合し、第3の歯車は第2の噛み合いによって第2の歯車と係合する。第2の歯車はシザー歯車形式である。この装置は調節可能な位置決め機構を含み、第2の歯車の回転軸線に相対的な第3の歯車の回転軸線の位置の範囲を与えて第2の噛み合いのバックラッシュを制御するに適した調節可能な位置決め機構を含む。本発明のこの形式の1つの利点はシザー歯車と噛み合う2つの歯車間のバックラッシュの差が示される点にある。
本発明の別の態様において、バックラッシュ防止歯車組立体が与えられ、第1の数の円周方向に配置された歯を有する第1の歯車と、ばね偏倚力を受けて第1の歯車と係合する第2の歯車とを含み、ばね偏倚力は第1の歯車と第2の歯車とを互いに相対的にほぼ共通の回転中心の回りに回転せしめる。第2の歯車は多数の円周方向に配置された歯を含み、それぞれ第1の歯車の対応する歯と対をなしている。それぞれの歯の対は偏倚力に抗して作用する力によって決定される複合歯厚を有している。第1の歯はそれぞれ第1の円弧歯厚を有し、第2の歯はそれぞれ第2の円弧歯厚を有し、これは公称的には第1の歯厚より小となされる。一般的には、この歯厚の差は第1の歯車に対する偏倚力を越える負荷を利用して逆方向の曲げ負荷を減少せしめる。
本発明のさらに別の態様において、例えばシザー歯車などのバックラッシュ防止歯車組立体が高い最大偏倚トルクを有して与えられ、ディーゼル機関のノッキング音を減少せしめる。通常、これらの音を減少させるに必要な最大偏倚トルクは特定の機関設計および予期される負荷の関数として選択される。望ましい実施例において、最大偏倚トルクは少なくとも約135N−m(約100ft−lbs)とする。さらに望ましい実施例においては、最大偏倚トルクは少なくとも約270N−m(約200ft−lbs)とする。さらに望ましい実施例においては最大偏倚トルクは少なくとも約675N−m(約500ft−lbs)となされる。従来の常識に反して、この比較的に高い偏倚トルクがディーゼル機関にしばしば見られる不愉快なハンマー音やノッキング音を減少せしめるに有効であることが判った。
さらに別の形態において、バックラッシュ防止歯車組立体は、第1の数の円周方法に配置された歯と第1の数のスプラインとを有する第1の歯車を含む。この組立体はさらに第2の数の円周方法に配置された歯と第2の数のスプラインとを有する第2の歯車を含む。第1および第2のスプラインは、ほぼ共通の回転軸線の回りに互いに係合し、この軸線に対して傾斜して、第1および第2の歯車を相対的に回転せしめる。第1および第2の歯は対をなして第1および第2の歯車の相対的な回転に伴って寸法を変化せしめる。
本発明の別の形態において、バックラッシュ防止歯車組立体は、第1の数の円周方法に配置された歯を有する第1の歯車と、ばね偏倚力を受けて第1の歯車と係合する第2の歯車とを含み、第1および第2の歯車は共通回転軸線の回りに相対的に回転する。第2の歯車は第2の数の歯を含み、それぞれの歯は第1の歯車の対応する歯と対をなして、多数の可変歯厚の複合歯を形成してバックラッシュを減少させる。第1の歯車に担持されたねじ付きステムと頭部とを有する整合装置が設けられる。頭部は第1の歯車に選択的に位置決めされて、第2の歯車に調節可能な支持関係を与えて、第1および第2の歯の整合を対応的に変化せしめる偏倚力に対抗する。望ましくは頭部は、第1および第2の歯をほぼ整合せしめる1つの位置を有して、当該組立体を歯車列に取付けることを容易とする。
本発明の別の形態において、バックラッシュ防止歯車組立体を歯車列内に組み込み、内燃機関と共に使用する。
作用
本発明によれば、シザー歯車を有する歯車列組立体のバックラッシュが、別の噛み合いによって決定される有効歯寸法を有するシザー歯車と噛み合う組合わせ歯車を配置することによって減少せしめられる。
本発明によれば機関の歯車列の発する騒音が減少する。
本発明によれば歯車列の騒音の発生が減少せしめられたバックラッシュ防止歯車組立体が得られる。
本発明によれば比較的に高い偏倚トルクを作用せしめることによって、騒音の発生が減少せしめられたバックラッシュ防止歯車組立体が得られる。
本発明によればシザー歯車組立体の複数の歯車間の負荷分割を制御することが可能となる。
さらに本発明によれば、取付け容易で信頼性の高いバックラッシュ防止歯車組立体が得られる。
本発明の上述以外の目的、特徴、効果、および態様は図面を参照する以下の説明によって明らかとなされる。
本発明の理解を容易とするため添付図面に実施例を示し、これを説明するため特殊の用語を使用する。しかし、これらは本発明を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲を限定しない。説明した装置の変形、改変および以下に説明する本発明の原理の応用であって当業者の容易に行い得るものは本発明の範囲内にある。
図1は本発明による内燃機関装置20を示す。装置20は破線で示すクランク軸24を有する機関ブロック22を含む。さらに、装置20は機関ブロック22に連結されたヘッド組立体30を含む。ヘッド組立体30は破線で示す燃料噴射カム軸32と破線で示す弁カム軸34とを含む。一つの実施例において、ブロック22とヘッド組立体30は大能力直列6シリンダディーゼル機関である。本発明は当業者に公知の他の形式の機関にも適用可能である。
装置20はタイミング歯車列40を含む。歯車列40はクランク軸24に連結された駆動歯車42を含む。クランク軸24と駆動歯車42とは十字線で示す回転中心44を有している。図面において回転中心は回転軸線が図面に垂直でないとき鎖線または破線として示し、図面に垂直なとき十字線で示す。歯車42は機関装置20の作動時に中心44の回りにクランク軸24と共に回転して、歯車列40の残りの歯車を駆動する。
歯車42は歯46を有し、これが下方のバックラッシュ防止アイドル歯車50と噛み合う。歯車50は回転中心54を有する軸53の回りに回転する。軸53はファスナ即ち固定具55によってブロック22に取付けられる。軸受56が軸53と歯車50のバックラッシュのないバックラッシュ防止歯車組立体58との間の回転支持を与える。
図2ないし図5は歯車50のバックラッシュ防止歯車組立体58の構造と作動とに関する付加的な詳細を示す。図2において、歯車組立体58に組込む以前の歯車60の詳細が示される。歯車60はハブ63を含む。ウエブ64が円周方向に間隔をおかれた7つの開口65を限定する。さらに、各開口65についてウエブ64は一端にフィンガ部つき縁部65aを、他端に対抗する縁部65bを有する。開口65、縁部65a、65bは中心54の回りの仮想円の円周に沿ってほぼ均等に間隔をおかれている。歯車60は多数の円周方向に間隔をおかれた歯車歯66をリム67に限定されて有する。リム67はウエブ64によってハブ63に連結される。歯車歯66の隣接する各部材はギャップ即ち間隙68によって互いにほぼ均等な間隔を有している。歯66および間隙68は図面の明確化のため、いくつかの数のみに符号が付してある。歯車歯66の各部材は互いに寸法、形状がほぼ同一である。同様に間隙68も互いに寸法、形状がほぼ同一である。
図3を参照すると、バックラッシュ防止歯車組立体58の歯車70が示されている。歯車70はハブ73を含み、ハブ73は軸受56を介して軸53と回転支持関係にある(図1参照)。歯車60のハブ63はハブ73と係合している。ハブ63とハブ73との間の干渉は歯車60、70の相対的な回転を可能とする。歯車70はウエブ74を含む。タブ74aがウエブ74から図3の紙面に対してほぼ垂直方向に突出し、一方側がリム77に連結されて対応する凹所75を限定する。少なくとも1つのタブ74aは貫通するねじ付き孔79を限定する。ねじ付き孔79は図3の紙面にほぼ平行な長手方向軸線を有している。ウエブ74はそれぞれ凹所75のそれぞれに対応する重量軽減孔75aを限定する。凹所75とタブ74aとは中心54の回りの仮想円の円周にそってほぼ均等に間隔をおかれている。
歯車70はリム77によって限定される多数の歯車歯76を含む。リム77はウエブ74によってハブ73に一体的に取付けられる。歯車歯76の隣接する部材は互いにほぼ均等な間隙78をもって間隔をおかれる。歯76および間隙78は数個のみを示す。歯車歯76はそれぞれ互いに寸法、形状がほぼ同等である。同様に、間隙78もほぼ同一形状、寸法である。望ましくは歯車70の歯76の数は歯車60の歯66の数と同一とする。
図4は歯車列40に取付ける以前に通常見られる非整合状態のバックラッシュ防止歯車組立体58を示す。歯車60、70は互いに緩く係合し、歯車60の各開口65は歯車70の対応する凹所75とほぼ重なって複数のポケット80を限定する。それぞれ一端82と他端84とを有する多数のコイルばね81が設けられる。各ばね81は対応するポケット80にそれぞれ位置決めされ、端部82は対応するタブ74aと係合し、端部84は対応する縁部65aと整合する。しかし、端部84は縁部65aと係合しなくともよい。
組立体58はさらに、ねじ付きのステム92と対抗する頭部94とを有する調節ボルト90を含む。ステム92は図4の孔79に充分にねじこまれるようにねじ切りされ、頭部94は対応するタブ74aに接触する。通常、歯66、76は非整合位置にあり、歯66は歯76間に限定される間隙78と重なり、歯76は歯66間に限定される間隙68と重なっている。歯車70のハブ73は歯車60のハブ63と回転支持関係を形成し、歯車60、70は相対的に回転可能となされる。頭部94には歯車60が歯車70に対して反時計方向に回転するとき歯車60の隣接する縁部65bを支持する形状の接触表面95が限定されている。歯車60が歯車70に対して時計方向に回転するとき、ばね端部84が対応する縁部65aと係合するようになる。望ましくは各縁部65aは各ばね81のコイル内に嵌合する寸法のフィンガを限定し、歯車60との適切な整合を容易とする。充分な力で時計方向に回転させると図5に示すように、ばね81は対応する縁部65aとタブ74aとの間で圧縮される。
図5は歯車60、70の整合位置を示し、歯車列40に取付けるに適した状態を示す。整合状態で歯76、66は図5に示すように互いに重なり合っている。ばね81は縁部65aとタブ74aとの間で高圧縮状態であり、対応する高いばね力を生じている。調節組立体58は図4の形態から図5の形態にボルト90を緩めることによって変化し、頭部94はステムの軸線Sに沿って孔79から離れる。この緩め運動が継続すると、表面95は隣接する縁部65bに支持され、ばね81は隣接して整合するタブ74aと縁部65aとの間で圧縮される。
ボルト90を緩めると関連するタブ74aと縁部65bとが離れて歯車60、70を互いに相対的に回転せしめ、歯66、76を相対的に運動せしめる。歯車の歯66は図4の偏倚力を受けない位置から図5の高い偏倚力を受ける位置までの間にいくつかの歯76を通過する。
図5は歯車60の歯66の面66aを示している。歯車70の歯76は同様に面76aを有しており、いくつかを図示する。代表的な面66aの歯幅をW60として示す。同様に歯幅W70は代表的な面76aの歯幅を示す。望ましくは歯幅W60は歯幅W70より小とする。さらに望ましくは歯幅W70は歯幅W60より少なくとも約50%大とする。さらに望ましくは歯幅W70は少なくとも歯幅W60の約2倍とする。
特に図4、図5を参照すると、バックラッシュ防止歯車組立体58は歯車70を準備し、ばね81の1つを孔79に整合せしめることによって構成される。ボルト90が孔79内にねじこまれ、頭部94を関連するタブ74aに接触させる。残りのばね81が歯車70の凹所75に配置される。歯車60が歯車70上に配置され仮想円86(図4に破線で示す)に沿ってほぼ均等に間隔をおかれた対応するポケット80を限定する。縁部65aが対応するばね81の端部84と整合する。
軸53上に組立体58を取付けるに先立って、歯66、76を整合させることが望ましい。この整合を与えるためにボルト90を孔79から部分的に緩めて、頭部94が歯車60の隣接する縁部65bと接触して、対応的にばね81を圧縮する。これに応答して歯66、76は互いに通過して運動する。ボルト90を緩めることによってこの運動は継続して、図5に示す整合位置にほぼ到達する。この結果、図5に示すように歯車60は軸線Sに沿って距離Dだけ歯車70から分離する。図4の非整合位置でも図5の整合位置でも、ボルト90のステム92は部分的に孔79内にねじこまれていることに注意する。別の実施例において、1つ又はすべてのタブ74aが孔79をボルト90に整合せしめる。同様に、多数の孔79を有する場合には多数のボルト90を使用してもよい。
図5の形態において歯66、76が整合したならば、組立体58を軸受56を介して軸53に取付ける。取付けが完了すると、整合した歯66、76は駆動歯車42の歯46と噛合い48を形成する。しかし噛合い48は、歯66、76がボルト90の延長部によって強制的に整合せしめられている場合、相当量のバックラッシュを有する。この歯車50のバックラッシュをなくすために、歯車60および歯車70が圧縮されたばね81による偏倚力を受けて相対的に回転可能となされる。組立体58の取付け後にボルト90を孔79内にねじこんで駆動歯車42との噛合い48を形成することのより、回転可能となされる。この結果ばねの偏倚力により歯66、76は互いに偏倚して噛合い48を形成する隣接する歯46間の全空間を占める。特に注意することは噛合い48は歯66、76が図4に示す無負荷位置に戻ることを許容しない。
最初に整合した歯66、76の各対は全体として可変の有効寸法、すなわち歯厚を有する複合歯として作用し、この「歯厚」は組合わされる歯46間の寸法によって変化する。「歯厚」を変化させると噛合い48のバックラッシュは複合歯によって減少し、または実質的にゼロとなる。組立体58を完成させるため、ボルト90を締付けて頭部94が関連するタブ74aに接触するようにする。ボルト90は望ましくは調節工程時に歯車70に担持され、組立体58は歯車50の部分として利用される。
望ましくは歯車60、70はディーゼル機関のタイミング歯車列として長期間使用するに適した金属材料から機械加工される。ボルト90とばね81とは同様にディーゼル機関用として長期間使用するに適した材料からつくることが望ましい。しかし、当業者に公知の別の材料を使用してもよい。
歯車50は図1においてアイドル歯車として示されるが、駆動歯車、被駆動歯車その他、当業者に公知の別の配置としてもよい。すべての場合、歯車50は新規の形式のシザー歯車である。
図1を参照すると、歯車50は歯車列40内においてアイドル歯車100と噛合い96を形成する。アイドル歯車100は回転中心104の回りに回転して、間隙108によって間隔をおかれた円周方向歯106を限定し歯車50と噛合い96を形成する。
図6を付加的に参照するとアイドル歯車100の詳細が示される。アイドル歯車100はウエブ114に一体的に連結されて歯106を限定するリム107を含む。ウエブ114には重量軽減孔116がある。ウエブ114はハブ118に一体的に連結され、ハブ118は図6の断面図に示すように中心104に対応する回転軸線に沿う歯厚がリム107よりいくらか少ない。円筒形ブッシュ119が軸103とハブ118との間の回転軸受面を提供する。軸103はアイドル歯車100をブロック22に取付ける4つの通路105を限定する。
アイドル歯車100の取付けは調節可能の位置決め機構120によって行う。機構120は取付け板130を含み、板130はアイドル歯車100の軸103とブロック22との間に位置する。注意すべきことは、板130はアイドル歯車100のハブ118との間に間隙があって、アイドル歯車100が軸103の回りに自由に回転することである。
アイドル歯車100と取付け板130とはブロック22と保持板140との間に位置している。保持板140には取付け孔145が軸103の取付け孔105と板130の取付け孔135とブロック22のねじ孔25とほぼ整合して設けられている。注意することは、孔105は歯車100の回転軸線に直角な軸線に関して取付け孔135、取付け孔145およびねじ孔25より大きい寸法を有している。アイドル歯車100は板130と板140との間に、孔145、通路105および通路135を貫通してキャップねじファスナ即ち固定具150を差し込みかつねじ付きステム152の端部を孔25にねじこむことによって固定される。ファスナ150はそれぞれねじ付きステム152に対抗する頭部154を有する。ステム152が充分に孔25にねじこまれたとき、頭部154は保持板140に接触して保持板140を軸153に把持し、軸153を板130に把持する。
作動時に機構120はアイドル歯車100を望ましくは図1の平面に平行で図6の平面に直角な平面区域に配置する。この区域において歯車100は図1の矢印X、Yに示す2方向の自由度を有する。
アイドル歯車100を取付けるために、取付け板130が図示しないファスナを使用して通常の方法でブロック22に最初に固着され、通路135が孔25に整合せしめられる。板130がブロック22に固着されるとアイドル歯車100は板130上に位置決めされ、通路105と通路135とは重なる。次に、保持板140が軸103上に配置され、孔145は対応する通路105、135および孔25と重なる。ファスナ即ち固定具150が、それぞれ整合する孔145、通路105および通路135を通過して対応する孔25内に緩くねじ込まれる。望ましくは固定具150は最初に孔25内に、板140に接触してアイドル歯車100を所定位置に従動的に保持するに充分な量だけねじこまれる。この形態において、アイドル歯車100の矢印X、Yで示す平面区域に相対的な位置は通路105内における固定具150の遊隙によって許容される範囲内に選択される。XーY位置が選択されると、固定具150は締付けられてアイドル歯車100と機構120とは固着される。
アイドル歯車100の歯106はバックラッシュ防止歯車200との間に噛合い196を形成する。歯車200はシリンダヘッド組立体30の燃料噴射カム軸32に取付けられ、回転中心204の回りに回転する。歯車200は望ましくは歯車50と同様に参照数字266で示す複合歯車歯の対を有する。さらに、歯車200のばね281は歯車50のばね81と同様な形状を有しているが、その数は少ない(3個が図示される)。同様に、取付け調節ボルト290が示される。この調節ボルトは歯車50のボルト90と同様な取付け機能を有する。歯車50と歯車200の一方または双方にベレビレ座金を使用してコイルばねと共に又はコイルばねなしで、ばね偏倚力を与えるようにしてよい。
歯車200は歯車300と共に噛合い296を形成する。歯車300は弁カム軸34に取付けられて回転中心304の回りに回転する。歯車300は歯306を限定し、これが歯車200の歯の対266と干渉して噛合い296を形成している。
作動時に駆動歯車42がクランク軸24と共に回転して歯車50を回転せしめる。これに応答して、歯車50は噛合い96を介してアイドル歯車100を回転せしめる。アイドル歯車100は噛合い196を介して歯車200を回転せしめて、燃料噴射カム軸32を回転させることによって機関装置20のための燃料噴射器(図示しない)のタイミングを調節する。更に、歯車200は噛合い296を介して歯車300を回転せしめ、弁カム軸34を回転させてヘッド組立体30のための機関の弁(図示しない)のタイミングを行う。すなわち、歯車列40はクランク軸24の回転に応答してヘッド組立体30のカム軸32、34を回転せしめて機関装置20のタイミングを制御する。
別の実施例として、歯車列40の歯車の異なる数および配置とすることが当業者には容易である。さらに別の実施例として、通常のシザー歯車が歯車50又は歯車200又は双方の代わりに使用される。さらに別の実施例では、調節可能の位置決め機構を有するアイドル歯車を省略してもよい。
歯車列40の一実施例において、駆動歯車42の歯46の数は約48で、歯車60、70の歯66、76の数はそれぞれ約70であり、調節可能のアイドル歯車100の歯106の数は約64で、歯車200の複合歯266の数は約76であり、歯車300の歯306の数は約76である。さらに、この場合において歯車42、50、100、200、300はスパー歯車で、内燃機関と共に長期間使用可能な金属材料製となされ、図1の平面にほぼ直交するほぼ平行な回転軸線を有する。
装置20の構造および作動について上述したが、装置20の組立てについて、図7A、図7Bを参照して説明する。図7A、図7Bにおいて参照数字は図1ないし図6に示すものと同等であるが、歯の噛合いは拡大図として示し、本発明の選択された特徴を強調している。図7Aは駆動歯車列40の中間組立て段階を示している。この段階において駆動歯車42は既に取付けられて、矢印R1に示す方向に中心44の回りに回転する。同様に、噛合う歯車300は矢印R5に示す方向に中心304の回りに回転するように取付けられる。
歯車42、300が取付けられた後に歯車50、200が取付けられて、歯車42、50間に噛合い48を、歯車200、300間に噛合い296を形成するようにする。噛合い48、296の形成は、歯車50、200の歯が歯車42、300の歯46、306間の間隙をそれぞれ占めるとき、対応する歯の対の有効複合寸法を決定する。明示のため歯車50について、歯車70の歯76は破線で示され、歯車60の歯66は実線で示される。歯車50の1つの複合歯の対の有効円弧歯厚T50も示される。有効円弧歯厚は噛合い48について歯車50のピッチ円に沿って決定される。注意することは、アイドル歯車100がない場合、歯厚T50は歯車42の歯46の噛合い間隙によって決定される。
噛合い296において、歯車200は複合歯の対266を形成する。それぞれの対266は明示のため破線で示す部材と実線で示す部材とを有する。1つの複合歯の対266の歯の有効円弧歯厚は歯車200のピッチ円に相対的な円弧歯厚T200として示される。
矢印R4、R5はそれぞれ歯車200、300が駆動されるときの回転方向を示す。参考のため、機関ブロック22の取付け孔25も示される。
複合円弧歯厚T50、T200が限定され、アイドル歯車100が取付けられて図7Bに示すように歯車50と噛合い96を形成し、歯車200と噛合い196を形成する。歯の歯厚T50、T200は、噛合い48、296におけるバックラッシュの量の差に対応して差を有する。機構120を使用して固定の回転中心54、204に相対的な回転中心104のX−Y位置を調節し、アイドル歯車100を歯車50、200の予め定めた歯寸法に最適に噛み合うようにするが、これはバックラッシュの差に関係しない。機構120のファスナ即ち固定具150が参考のため図7Bに示される。
アイドル歯車100の他の歯車に相対的な位置調節は噛合い96、196におけるバックラッシュの量の制御に重要である。異なる歯厚T50、T200によるバックラッシュの差がある範囲内にあれば、アイドル歯車100を噛合う歯車の回転軸線に直角な平面区域に沿って適当な位置に配置することによって、バックラッシュを減少せしめまたはゼロとすることができる。
注意することは、望ましい実施例においてアイドル歯車100との間に2つの噛合い96、196が示されるが、噛合う歯車の数が異なる場合でのバックラッシュの制御も可能である。例えば、3つの歯車42、50、100から成る歯車列にもこの技術が適用可能である。
図8Aないし図8Cを参照すると、歯車42、50、100の選択された作動状態が図1ないし図6におけると同様な参照数字を使用して概略的に示されているが、各種の特徴を明示するため歯は大きく、数が少なく示される。図8Aにおいて、歯車42、50、100は互いに静止(運動しない)位置にある。噛合い48において、仮想のピッチ円C1、C2、C3が歯車42、50、100についてそれぞれ破線で示される。歯車50の1対の歯車歯76、66の円弧歯厚T50aはピッチ円C2に沿う円弧として示される。矢印DF1は図8Aに示す静的状態において歯車50の偏倚力に対抗して作用する力を示す。歯車100の静的反作用力は矢印RF1として示される。選択された歯66の円弧歯厚T60、も示される。選択された歯76の円弧歯厚T70も示される。それぞれの歯60、70について、円弧歯厚T60は円弧歯厚T70より公称的に小であることが望ましい。1つの望ましい実施例においてT60はT70より少なくとも約0.0508mm(0.002インチ)だけ小とする。さらに望ましくは、この差は少なくとも約0.1016mm(0.004インチ)とする。最も望ましくは、この差は0.0508〜0.1524mm(0.002〜0.006インチ)の範囲とする。
図8Bにおいて、駆動歯車42は矢印R1の方向に回転し、矢印DF2に示す合力駆動力を与える。これに応答して歯車50は矢印R2に示す方向に回転し、歯車100は矢印R3に示す方向に回転する。歯車100に示される反作用力は矢印RF2として示される。合力DF2、RF2は充分に大であって、ばね偏倚力に部分的に打ち勝って歯車50のばね81を圧縮する。この結果、歯車50の歯の複合対の円弧歯厚T50bは歯厚T50aに対比して減少する(ここでT50bはT50aより小である)。駆動歯車42から伝達される力の大きさが増加すると、歯車歯66、76は整合に近づく。
図8Cにおいて、歯車42の合力駆動力DF3と歯車100の反作用力RF3とが、ばね81を圧縮して歯車歯66、76を整合せしめる。整合が行われると複合歯厚T50cが得られる。T50cは、T50aおよびT50bより小であり、歯76の円弧歯厚T70にほぼ等しい。ばね81は図8Cにおいてほぼ充分に圧縮され、図5の状態のばね81とほぼ等しいエネルギを貯蔵するようになされる。
歯76に対比して歯66の円弧歯厚が小さい(T60<T70)ことは、歯66の負荷が図8Cの圧縮ばねによって与えられる負荷を越えることを防止する。これに対比して、歯76はばね負荷を越える負荷を負担する。歯66の負荷をばね偏倚力に限定することは通常、公称的には同一円弧歯厚を有する歯の対の各部材の無作為の寸法差に基づく逆方向曲げ負荷を減少せしめる。望ましくは各歯76の広い方の歯幅W70はばね偏倚力を越える高い駆動負荷を負担するように選択されるが、歯車50について全歯幅の増加(W60+W70)は、すべての歯について同一の公称円弧歯厚を有するシザー歯車による逆方向曲げ負荷に耐えるに必要な歯幅の増加量より通常は小さい。
図9は減少した円弧歯厚T60の歯車の円弧歯厚T70の歯車に対比した効果を負荷曲線400について示すグラフである。ここで破線は歯車60を示し、実線は歯車70を示す。水平部分410は図8Aの静的状態における歯車50の予め負荷された偏倚力に対応する。傾斜部分420は図8Aの静的状態と図8Cの整合位置との間の歯66、76の負荷状態に対応する。図8Bは傾斜部分420に沿う一点を示す。負荷によってばね81が圧縮され図8Cに示すように歯が整合すると、歯車60の歯66の負荷は、ばね81の最大荷重で平坦になり、図9の破線430として示される。同時に、歯76の厚い歯幅W70は図9に傾斜線440として示す高い負荷を担持する。歯車70が高い負荷を受けて、歯車60の負荷が円弧歯厚の差(T70−T60)によって制限されることにより、曲げ負荷が制限される。
不愉快な騒音、例えば大負荷のディーゼル機関のハンマー音などは、これらの機関に関連する歯車列の高い衝撃音によっている。歯車列内にシザー歯車を設けることによって比較的高い偏倚トルクを与えることによって、全体的な騒音強度の減少を含む予期しない音量の劇的な変化が経験された。ここに「偏倚トルク」とは、ばね偏倚されたシザー歯車によって与えられるトルクをいう。偏倚トルクは歯車の回転中心から歯までの半径方向距離と半径に対応する円に接線方向に作用する力との積の大きさによって決定される。代表的には偏倚トルクはシザー歯車の偏倚負荷の量の関数として変化する。望ましくは偏倚トルクは歯車歯が偏倚力に抗してほぼ整合したとき最大となる。図5における歯66、76の整合形態において、半径方向ベクトルTと力ベクトルFとが図示され、これらを使用して組立体58の偏倚トルクを決定することができる。
少なくとも約135N−m(100ft−lbs)の最大偏倚トルクによって歯車列の騒音特性および強度を改善することができることが判った。さらに望ましくは最大偏倚トルクを約270N−m(200ft−lbs)とする。さらに望ましくは最大偏倚トルクを約675N−m(500ft−lbs)とする。
図10は本発明の別の実施例として示すバックラッシュ防止歯車組立体558の回転中心554に関する展開斜視図である。組立体558はハブ563の内側円筒形表面ウエブ564に設けたスプライン561を有する歯車560を含んでいる。ハブ563は貫通する開口563aを有する。スプライン561は中心554の回りに螺旋形をなし、歯車560の回転軸線に対して傾斜している。ハブ563はウエブ564に一体的に連結されている。ウエブ564に一体的に連結されたリム567には多数の円周方向に配置された歯566が設けられる。歯566は中心554の回りに互いにほぼ均等に間隔をおかれており、それぞれほぼ同一の寸法、形状を有している。隣接する歯566間に間隙568が同様に互いにほぼ均等に間隔をおかれて、ほぼ同一の寸法、形状を有している。歯車560のウエブ564は2つの対向する開口569を限定する。
組立体558は歯車570も有している。歯車570はハブ573の外側円筒形表面572に設けたスプライン571を含む。スプライン571は中心554に関して螺旋形であり、歯車570の回転軸線に対して傾斜している。スプライン571はスプライン561とほぼ同様に傾斜しており、互いに組合わされる。ハブ573には内側円筒形表面ウエブ574で囲まれる開口573aが設けられ、取付軸に対して回転支持関係を有している。歯車570はハブ573に一体的に連結されたウエブ574を含む。歯576がウエブ574に一体的に連結されたリム577に設けられる。歯576は回転中心554の回りにほぼ均等に間隔をおかれており、互いにほぼ同一の寸法、形状を有している。歯576は間隙578を有している。間隙578は互いにほぼ均等に間隔をおかれて、ほぼ同一の寸法、形状を有している。すなわち、ハブ573、ウエブ574、リム577は円筒形凹所575を限定する。ウエブ564はそれぞれ開口569の1つに対応する2つの対向するねじ付き凹所579を限定する。
複数のコイルばね581がそれぞれ凹所575に配置され、互いにほぼ均等に間隔をおかれて中心554の回りに、ハブ573とリム577との間に配置されている。調節装置590a、590bがそれぞれねじ付きステム592を有する調節ボルト590を有する。ステム592は頭部594と対抗する端部593とを有する。調節装置590a、590bはそれぞれステム592が貫通する座金596を含む。頭部594は座金596が通過しない大きさとなっている。座金596の外径は開口569を通過しない大きさとなっている。開口569の大きさはステム592に対して充分な余裕を有し、ステム592の選択的な位置決めが可能である。ねじ付き孔579はステム592の対応する1つが係合するに適した形状となっている。
図11Aを参照すると組立体558の非整合位置、即ち歯車560、570の歯566、576が、図4に示す実施例と同様に整合しない位置にある状態が示される。付加的に図11Bを参照すると組立体558の非整合位置の側面立面図が示される。歯車560のスプライン561が歯車570のスプライン571と係合する。それぞれの装置590a、590bについてステム592は対応する長手方向軸線S1、S2を有する。ステム592は、対応する座金596と開口569を通過して最初にねじ付き孔即ち凹所579に係合する。ばね581は図11A、図11Bでは実質的に圧縮されていない。
図12A、図12Bを参照すると、組立体558の整合状態の斜視図と側面立面図とがそれぞれ示される。この整合状態は図5の組立体58の整合状態と対応している。組立体558を整合状態とするため、調節装置590a、590bのステム592が凹所579に充分にねじこまれ、ばね581を歯車560、570間に圧縮する。ばね581が圧縮されると、組合わせスプライン561、571の傾斜によって横移動作用が生じ、これが装置590a、590bの並進運動を歯車560、570の回転運動に変換させる。装置590a、590bのステム592がねじ戻されると、圧縮されたばね81の力によって、歯車560、570は反対方向に回転するが、これはスプライン561、571の係合によっている。組立体558は、ステム592が凹所579に充分にねじこまれたとき歯566、576がほぼ整合するようになされる。この組立体558の整合配向は選択された最大偏倚トルクを与える形状となされる。歯車560、570がステムの軸線S1、S2に沿って占める距離は図11Bにおける非整合位置のD1から図12Bにおける整合位置のD2まで変化し、D1はD2より大である。注目すべきことは、D2は組立体558の歯車560、570がステムの軸線S1、S2に沿って占める最小距離である。すなわち、歯車560、570はそれらが中心554に対応する回転軸線に沿って占める距離によって互いに相対的に回転する。
望ましくは歯566の数は歯576の数と同一とする。また、螺旋形スプライン561、571の数も歯566、576の数と同一とする。歯とスプラインとを同一の数とすると、歯566、576の整合と高いばね圧縮力とが一致することを保証するためにスプライン561、571の割出しを行う必要がなくなる。別の実施例において、開口569は図10に示すような円形でなく、非円形としてもよい。別の実施例において、開口569は中心554の回りの円弧を有する弓形となされる。
スプライン561、571はハブ563、573以外の位置に設けてもよい。非限定的な例として、一方の歯車に弓形の溝孔を設け、その内側表面にスプラインを設け、他方の歯車から該溝孔内に延長するフランジに設けたスプラインと係合せしめる。係合するスプラインの1つ以上の部片を回転軸線の回りに配置することにより、軸線を取囲まないでも歯車の相対的回転が可能である。
組立体58の場合と同様に、組立体558に整合装置が設けられ、バックラッシュ防止歯車組立体の2つの歯車の歯を該組立体のばね偏倚力に抗して選択的に整合せしめる。ステム592が締付けられて図12A、図12Bの整合状態を与え、取付けを容易とする。組立体558が別の歯車例えば歯車42と噛合うと、それぞれの装置590a、590bのステム592が緩められて、歯車560、570の相対的回転が可能となって、噛合う歯車のバックラッシュが取上げられる。この緩め位置は図11A、図11Bの形態と同様であるが、望ましくはそれぞれのボルト590の頭部594と座金596との間に間隙を設けて対応する噛合いのバックラッシュ状態の変化に適応するようにする。一つの実施例において、組立体558が別の歯車と噛合って取付けられたとき、装置590a、590bは除去される。この実施例は噛合いによって偏倚力に抗している。
それぞれの組立体58、558は一方の歯車に連結されてステムの軸線に沿って延長するねじ付きステムを有する調節装置を有する。装置はさらに、歯車に対して相対的な位置決めを与えるためステムに連結された頭部を含む。通常、組立体58、558は本発明の他の特性に関して互換性がある。更に、組立体58、558はバックラッシュ防止歯車200と共に使用することができる。また、組立体58、558の別の実施例においてボルト90、590は、歯車の一方に固定されたねじ付きステムとし、これにねじ込まれたナットを可動の頭部としてもよい。ナットはステムに沿って位置決めされて他方の歯車に選択的に係合する。さらに別の実施例において、バックラッシュ防止組立体は省略される。本発明の変形例において、通常のシザー歯車が使用される。
本明細書で引用した刊行物、特許明細書、特許出願明細書は参考文献として示すものであるが、個々の刊行物、特許明細書、特許出願明細書それぞれ本明細書の一部を構成する。
上述の説明および図面によって本発明は図示され、詳述されたが、これらは説明を目的とするもので本発明を限定しない。すなわち、本発明の精神の範囲内のすべての変形例および改変例は保護されるべきである。
図1は本発明の一実施例として示す内燃機関装置の前面立面図である。 図2は図1の実施例のバックラッシュ防止歯車組立体の部品の上面平面図。 図3は図1の実施例のバックラッシュ防止歯車組立体の部品の上面平面図。 図4は図2および図3の部品がバックラッシュ防止歯車組立体に整合しない関係で組込まれた上面平面図。 図5は図4のバックラッシュ防止歯車組立体の整合した状態の斜視図。 図6は図1の線6−6に沿う断面図で、アイドル歯車と調節可能の位置決め機構の断面図。 図7Aおよび図7Bは図1の装置の組み立ての異なる段階を示す概略正面立面図である。 図8A、図8Bおよび図8Cは図1の装置の一部の選択された作動状態を示す概略正面立面図である。 図9は図8Aないし図8Cに示す作動状態に関連する関係を示すグラフ。 図10は本発明の別の実施例として示すバックラッシュ防止歯車組立体の分解斜視図。 図11Aは図10のバックラッシュ防止歯車組立体の整合しない形態の上面平面図。図11Bは図11Aのバックラッシュ防止歯車組立体の側面立面図。 図12Aは図10のバックラッシュ防止歯車組立体の整合した形態の上面平面図。図12Bは図12Aのバックラッシュ防止歯車組立体の側面立面図。
符号の説明
20 内燃機関装置 40 歯車列
50 バックラッシュ防止歯車 58 バックラッシュ防止歯車組立体
60、70 歯車 65 開口
75 凹所 66、76 歯車歯
67、77 リム 81 コイルばね
90 調節ボルト 92 ステム
94 頭部 100 アイドル歯車
120 位置決め機構 130 取付板
140 保持板 150 ねじ固定具

Claims (9)

  1. (a)第1の歯車(42)を準備し、
    (b)前記第1の歯車(42)と第2の歯車(50)との間に第1の噛合い(48)を確立し、該第2の歯車はシザー歯車であって、その有効歯寸法(T50)が第1の噛合い(48)によって決定され、
    (c)前記第1の噛合の確立後に、前記第2の歯車(50)と第2の噛合い(96)を形成する第3の歯車(100)の取付け位置を選択し、該取付け位置は、前記第2の噛合い(96)のバックラッシュを制御するために、有効歯寸法(T50)の関数として決定する、ことを特徴とする歯車列組立方法。
  2. 前記選択が前記第3の歯車(100)の取付け位置を調節可能の位置決め組立体(120)によって変更し、該位置決め組立体(120)は、前記第3の歯車(100)を回転軸線(104)回りの回転を可能とし、前記回転軸線(104)にほぼ垂直な平面に沿った調節を与える、ことを特徴とする請求項1の歯車列組立方法。
  3. 前記第2の歯車(50)は、ばね偏倚トルクにより互いに連結された対をなす歯車部材(60,70,560,570)から成り、該対の歯車部材は多数の対をなす歯(66,76,566,576)の各々が、前記第1の噛合い(48)の関数として変化する有効円弧歯厚(T50)を有する複合歯を与える形状を有しており、前記第1の歯車との噛合の確立が
    (b1)前記第2の歯車の前記対の歯車部材の(66,76,566,576)の各対を整合せしめるため前記ばね偏倚トルクに対抗し、
    (b2)前記第1の噛合い(48)を形成するために前記ばね偏倚トルクに対抗して前記第2の歯車(50)を前記第1の歯車(42)に噛合わせ、
    (b3)前記噛合わせ後に前記ばね偏倚トルクに対する対抗を中止し、前記第1の噛合い(48)によって歯の対(66,76,566,576)の前記有効寸法の決定を可能とする、ことを特徴とする請求項1又は2の歯車列組立方法。
  4. (d)第3の歯車(100)を取付け位置に回転自在に取付け、
    (e)シザー歯車である第4の歯車(200)を第5の歯車(300)と係合させて第3の噛合い(296)を形成し、
    前記第3の歯車(100)を前記第4の歯車(200)と係合させて第4の噛合い(196)を形成し、
    前記第1の歯車と第2の歯車との噛合いの確立が前記第1および第2の歯車(42,50)を回転可能に取付けて第1の噛合い(48)を形成することを含み、前記の選択が前記第3の歯車(100)の取付け位置を調節可能な位置決め組立体(120)によって変更することを含み、該位置決め組立体(120)は前記第3の歯車(100)を回転軸線(104)回りの回転を許容し該回転軸線(104)に直角な平面に沿う調節を与えることを特徴とする請求項3の歯車列組立方法。
  5. (a)内燃機関と、
    (b)該内燃機関に回転可能に連結されて第1の軸線(44)の回りに回転する第1の歯車(42)と、
    (c)前記内燃機関に回転可能に連結されて第2の軸線(54)の回りに回転し、かつ、前記第1の歯車(42)と第1の噛合い(48)状態に係合する、シザー歯車である第2の歯車(50)と、
    (d)前記内燃機関に回転可能に連結されて第3の軸線(104)の回りに回転し、かつ、前記第2の歯車(50)を第2の噛合い(96)状態に係合する、第3の歯車(100)と、
    (e)前記第3の歯車(100)の第2の歯車(50)に相対的な位置を或る範囲で決定して前記第2の噛合い(96)のバックラッシュを制御する、調節可能な位置決め機構(120)と、を含むことを特徴とする機関装置。
  6. 前記内燃機関に回転可能に連結され、第3の歯車(100)と第3の噛合い(196)状態に係合する、シーザ歯車である第4の歯車(200)と、
    第4の歯車(200)と第4の噛合い(296)状態に係合する、第5の歯車(300)とを含み、
    前記調節可能な位置決め機構(120)が前記第3の軸線(104)を前記第4の歯車(200)に相対的に位置決めして前記第3の噛合い(196)のバックラッシュを制御する、ことを特徴とする請求項5の機関装置。
  7. 前記第3の歯車(100)は、1対の取付け通路(105)が貫通する軸(103)を含み、前記調節可能な位置決め機構(120)はそれぞれ対応する前記通路(105)の1つを貫通する1対のねじ付きファスナ(150)を含むことを特徴とする請求項5又は6の機関装置。
  8. 前記位置決め機構(120)は、前記第1、第2および第3の軸線(44,54,104)にほぼ垂直な平面に沿って相対的な調節を与えることを特徴とする請求項5〜請求項7のいづれか1項の機関装置。
  9. 前記内燃機関がクランク軸(24)を含み、前記第1の歯車(42)が前記クランク軸(24)と共に回転して前記第2の歯車(50)を駆動し、前記第2の歯車(50)は前記第3の歯車(100)を駆動することを特徴とする請求項5〜請求項8のいづれか1項の機関装置。
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