JP4027268B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は立体画像を表示可能な画像表示装置を備えた遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる3D(立体)画像表示をすることにより、遊技者の興趣を増すことの可能な遊技機が、例えば特許文献1、特許文献2に開示されている。
【0003】
上記のものには、遊技者が右眼および左眼で異なる画像を観視することにより、視覚中枢で立体画像が形成されるのを利用した、いわゆる両眼視差法と称される立体画像の形成方式が用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−16351号公報
【特許文献2】
特開平8−141169号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した両眼視差法によって立体画像が形成される状況では、両眼のピントは画像表示面上に表示される右眼用画像、左眼用画像のそれぞれに調節される一方、視線は画像観視者にとっての前後方向に沿う方向の、画像表示面から離れた位置に調節される。これは日常生活ではあり得ない不自然な状態であり、「輻輳・調節の矛盾」として知られている。
【0006】
より斬新な画像表現を要求する遊技者は、3D画像によって新たな興趣を得ることができる反面、上述した不自然な状態が長時間続くと、平面表示を観視し続けた場合に比して眼精疲労を生じやすくなる。遊技機の性格上、長時間にわたって遊技が継続されることは珍しくないが、遊技者が眼精疲労を訴えて遊技を中断してしまうと、遊技場にとっては稼働率の低下という、営業上好ましくない状態が生じかねない。また、遊技者にとっても快いものではない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、立体画像を観視し続けることによる眼精疲労の進行を抑制し、長時間にわたる立体画像の観視が可能な立体画像表示装置を備えた遊技機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 第1の発明は、両眼視差により遊技者が立体画像を観視可能な立体画像表示装置を備え、該立体画像表示装置で識別情報を変動表示する変動表示ゲームが実行され、当該変動表示ゲームの結果態様として表示される識別情報が特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値を付与する遊技機において、前記立体画像表示装置に表示される前記立体画像を形成する右眼用画像と左眼用画像との間の視差量を、予め定められた時間間隔をおいて算出する視差量算出手段と、前記視差量を累積して累積視差量を算出する累積視差量算出手段と、前記累積視差量が予め設定されている許容値を越した場合、前記立体画像表示装置に表示される立体画像の視差量を変化させる立体画像表示制御手段と、
を有し、前記立体画像表示制御手段は、前記変動表示ゲームが行われている状態中に前記累積視差量が前記許容値を超した場合には、客待ち状態となるまで立体画像の視差量の変化を待たせることを特徴とするものである。
(2) 第2の発明は、前記累積視差量算出手段は、前記立体画像が前記遊技者にとって前記立体画像表示装置の画像表示面よりも手前側に出現する場合に、前記累積視差量を増加させ、前記立体画像が前記遊技者にとって前記立体画像表示装置の画像表示面よりも奥側に出現する場合に、前記累積視差量を減少させることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、両眼視差により遊技者が立体画像を観視可能な立体画像表示装置を備え、該立体画像表示装置で識別情報を変動表示する変動表示ゲームが実行され、当該変動表示ゲームの結果態様として表示される識別情報が特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値を付与する遊技機において、前記立体画像表示装置に表示される前記立体画像を形成する右眼用画像と左眼用画像との間の視差量を、予め定められた時間間隔をおいて算出する視差量算出手段と、前記視差量を累積して累積視差量を算出する累積視差量算出手段と、前記累積視差量が予め設定されている許容値を越した場合、前記立体画像表示装置に表示される立体画像の視差量を変化させる立体画像表示制御手段と、を有し、前記立体画像表示制御手段は、前記変動表示ゲームが行われている状態中に前記累積視差量が前記許容値を超した場合には、客待ち状態となるまで立体画像の視差量の変化を待たせるので、遊技者の興趣低下を最小限にしつつ、眼精疲労の蓄積を抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態を示す遊技機(カード球貸ユニットを併設したCR機)全体の構成を示す正面図で、図2は制御系のブロック図である。
【0011】
遊技機(パチンコ遊技機)1の前面枠3は本体枠(外枠)4にヒンジ5を介して開閉回動可能に組み付けられ、遊技盤6は前面枠3の裏面に取り付けられた収納フレーム(図示省略)に収装される。
【0012】
遊技盤6の表面には、変動表示装置(変動表示手段)8、大入賞口を備えた変動入賞装置10、一般入賞口11〜15、始動口16、普通図柄始動ゲート27A、27B、普通図柄表示器7、普通変動入賞装置9(補助入賞手段)等が配設された遊技領域が形成される。前面枠3には、遊技盤6の前面を覆うカバーガラス18が取り付けられている。
【0013】
変動表示装置(表示装置)8の表示領域には、例えば、左、中、右の三つの特別図柄(識別情報)が背景やキャラクタなどと共に表示される。これらの特別図柄には、例えば「0」〜「9」までの各数字と、「A」〜「E」のアルファベット文字等が割り当てられている。
【0014】
変動表示装置8は、始動口16へ遊技球の入賞があると、前述した数字、文字で構成される特別図柄が変動表示(例えば、スクロール表示)される。始動口16への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時に抽出した特別図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、大当たりとなる特別図柄の組み合わせである、左、中、右の特別図柄が揃った状態(特定の結果態様)で変動表示ゲームの結果が表示される。このとき、変動入賞装置10の大入賞口が所定の時間(例えば30秒)だけ大きく開き、多くの遊技球を獲得することができる大当たり状態(特別遊技状態)となる。
【0015】
この始動口16への遊技球の入賞は、特別図柄始動センサ52(図2参照)で検知される。この遊技球の通過タイミング(具体的には、入賞検出時点での遊技制御装置100(図2参照)内に備えられた特別図柄乱数カウンタの値)は、特別図柄入賞記憶として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(特別図柄乱数記憶領域)に、最大で連続した所定回数(例えば、最大で連続した4回分)を限度に記憶される。この特別図柄入賞記憶の記憶数は、変動表示装置8の下側に設けられた複数のLEDからなる特別図柄記憶状態表示器17に表示される。遊技制御装置100は、特別図柄入賞記憶に基づいて、変動表示装置8にて変動表示ゲームを行う。なお、特別図柄記憶状態表示器17の記憶数は任意の値に設定してよい。
【0016】
普通図柄表示器7は、普通図柄始動ゲート27A、27Bへ遊技球の入賞があると、普通図柄(例えば一つの数字からなる図柄)の変動表示を始める。普通図柄始動ゲート27A、27Bへの入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の普通図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、普通図柄に関する当たり状態となり、普通図柄が当たり図柄(当たり番号)で停止する。このとき、始動口16の両脇に設けられた普通変動入賞装置9が所定の時間(例えば0.5秒)だけ大きく開き、遊技球の始動口16への入賞可能性が高められる。
【0017】
この普通図柄始動ゲート27A、27Bへの遊技球の通過は、普通図柄始動センサ53(図2参照)で検知される。この遊技球の通過タイミング(具体的には、遊技制御装置100内に備えられた普通図柄乱数カウンタの通過検出時点での値)は、普通図柄入賞記憶として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(普通図柄乱数記憶領域)に、所定回数(例えば、最大で連続した4回分)を限度に記憶される。この普通図柄入賞記憶の記憶数は、普通図柄表示器7の右に設けられた複数のLEDからなる普通図柄記憶状態表示器19に表示される。遊技制御装置100は、普通図柄入賞記憶に基づいて、普通図柄に関する当たりの抽選を行う。なお、普通図柄記憶状態表示器19の記憶数は任意の値に設定してよい。
【0018】
前面枠3の下部の開閉パネル20には球を打球発射装置に供給する上皿21が、固定パネル22には下皿23および打球発射装置の操作部24等が配設される。
【0019】
カバーガラス18の上部の前面枠3には、点灯により球の排出の異常等の状態を報知する第1報知ランプ31、第2報知ランプ32が設けられている。
【0020】
カード球貸ユニット用の操作パネル26には、カードの残高を表示するカード残高表示部(図示省略)と、球貸しを指令する球貸しスイッチ28と、カードの返却を指令するカード返却スイッチ30等が設けられている。
【0021】
カード球貸ユニット2には、前面のカード挿入部25に挿入されたカード(プリペイドカード等)のデータの読込、書込等を行うカードリーダライタと球貸制御装置が内蔵され、カード球貸ユニット用の操作パネル26は遊技機1の上皿21の外面に形成される。
【0022】
図2は、遊技制御装置100を中心とする制御系を示すブロック構成図である。遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(遊技制御手段)であり、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための不変の情報(遊技制御プログラム、遊技制御データ等)を記憶しているROM、遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAMを内蔵した遊技用マイクロコンピュータ101、入力インターフェース102、出力インターフェース103、発振器104等から構成される。
【0023】
遊技用マイクロコンピュータ101は、入力インターフェース102を介しての各種検出装置(特別図柄始動センサ52、一般入賞口センサ18A〜18N、カウントセンサ40、継続センサ42、普通図柄始動センサ53)からの検出信号を受けて、大当たり抽選等、種々の処理を行う。そして、出力インターフェース103を介して、大入賞口ソレノイド36、普通電動役物ソレノイド90、普通図柄表示器7等を駆動制御し、各種制御装置(表示制御装置150、排出制御装置200、装飾制御装置250、音制御装置300)に指令信号を送信して遊技を統括的に制御する。なお、表示制御装置(表示制御手段)が演出制御装置(演出制御手段)として機能し、遊技制御装置からの指示に基づいて装飾制御装置250、音制御装置300を制御するように構成してもよい。
【0024】
排出制御装置200は、遊技制御装置100からの賞球指令信号又はカード球貸ユニット2からの貸球要求に基づいて、払出ユニットの動作を制御し、賞球又は貸球の排出を行わせる。
【0025】
装飾制御装置250は、遊技制御装置100からの装飾指令信号に基づいて、装飾用ランプ、LED等の装飾発光装置を制御すると共に、特別図柄記憶表示器17、普通図柄記憶表示器19の表示を制御する。
【0026】
音制御装置300は、スピーカからの効果音出力を制御する。なお、遊技制御装置100から、各種従属制御装置(表示制御装置150、排出制御装置200、装飾制御装置250、音制御装置300)への通信は、遊技制御装置100から従属制御装置に向かう単方向通信のみが許容されるようになっている。これにより、遊技制御装置100に従属制御装置側から不正な信号が入力されることを防止することができる。
【0027】
表示制御装置150は、2次元又は3次元の画像表示制御を行うもので、CPU(中央演算手段)151、VDC(Video Display Controller又は描画演算手段)156、プログラム等を格納したROM152、ワークエリアやフレームバッファを格納するRAM153、インターフェース154、画像データ(図柄データ、背景画データ、動画オブジェクトデータ、テクスチャデータ等)を格納したフォントROM158、RAM153等への書込読み出しを制御するDMAC(Direct Memory Access Controller)155、同期信号(基準クロック)やストローブ信号等を発生させるための発振器158等から構成される。なお、発振器158は、水晶振動子やオッシレータなどで構成される。
【0028】
CPU151は、ROM152に格納したプログラムを実行し、遊技制御装置100から出力される表示制御コマンドに基づいて所定の変動表示ゲームを変動表示装置8に出力するもので、2次元の画像情報(図柄表示情報、背景画面情報、動画オブジェクト画面情報等)を作成したり、3Dの画像情報(スプライトデータやポリゴンデータ等で構成される図柄表示情報、背景画面情報、動画オブジェクト画面情報等)の作成等を行い、これらの演算結果をフレームバッファとしてのRAM153の所定の領域に格納する。
【0029】
VDC156は、RAM153に格納した画像情報を所定のタイミング(垂直同期信号V_Sync、L/R信号、水平同期H_Sync)でLCD側(合成変換装置170)へ送信する。
【0030】
なお、フォント(キャラクタ)ROM157には、変動表示ゲームに用いる識別情報などの各図柄、背景、キャラクタ等のスプライトデータ又はポリゴンデータ、テクスチャデータ等が格納されている。
【0031】
VDC156が行う描画処理は、2次元と3次元の点描画、線描画、スプライト描画、トライアングル描画、ポリゴン描画を行い、さらに、テクスチャマッピング、アルファブレンディング、シェーディング処理、陰面消去(Zバッファ処理など)を行って、γ補正回路159を介して画像信号を合成変換装置170に出力する。
【0032】
ここで、フレームバッファは、2次元画像のフレームバッファと3次元画像のフレームバッファをそれぞれRAM153の所定の記憶領域などに設定しておき、VDC156は、2次元画像を別の2次元画像に重ね合わせて(オーバーレイ)出力することも可能である。また、RAM153に設定したフレームバッファには、3次元画像表示用の右眼用画像および左眼用画像をそれぞれ独立したフレームバッファに格納してもよい。
【0033】
VDC156には、クロック信号を供給する発振器158が接続されている。発振器158が生成するクロック信号は、VDC156の動作周期を規定し、VDC156から出力される信号、例えば、垂直同期信号(V_SYNC)と、水平同期信号(H_SYNC)を生成し、合成変換装置170および変動表示装置8へ出力される。
【0034】
VDC156からの画像信号は、γ補正回路159に入力された後に合成変換装置170へ出力される。このγ補正回路159では、変動表示装置8の信号電圧に対する照度の非線形特性を補正して、変動表示装置の表示照度を調整する。
【0035】
また、表示制御装置150のCPU151は、発振器158のクロック信号に基づいて、合成変換装置170へ出力する画像データ(RGB)が、左眼用の画像又は右眼用の画像のいずれであるかを識別するL/R信号を出力する。
【0036】
さらに、CPU151は、変動表示の状態(例えば、通常の変動表示ゲームか、大当たり中の表示か等)や遊技の状態に基づいて、変動表示装置8の発光量(輝度)を制御するため、デューティ制御信号DTY_CTRを発振器158のクロック信号に基づいて生成し、変動表示装置8へ出力する。
【0037】
合成変換装置170の概略的構成を示す図3において、合成変換装置170は、制御部171、右眼用フレームバッファ172、左眼用フレームバッファ173および立体視用フレームバッファ174が設けられており、CPU151からのL/R信号に基づいて、制御部171は、VDC156から送られてきた画像データが左眼用画像データであるか、右眼用画像データであるかを識別して、右眼用画像を右眼用フレームバッファ172に書き込み、左眼用画像を左眼用フレームバッファ173に書き込む。次いで、立体視用フレームバッファ174に書き込んで右眼用画像と左眼用画像とを合成して立体視用画像(3次元画像)を生成し、立体視用画像データをRGB信号等として変動表示装置8に出力する。なお、L/R信号は、Hiレベル(=1)で左眼用画像データを示し、Loレベル(=0)で右眼用画像データを示す。
【0038】
この左眼用画像と右眼用画像との合成による立体視用画像の形成(生成)は、図4で示すように、微細位相差板802に設けられた1/2波長板821の間隔毎に、左眼用画像と右眼用画像を組み合わせる。具体的には、本実施形態の変動表示装置8の微細位相差板802の1/2波長板821は、液晶表示パネル804の表示単位の間隔で配置されているので、液晶表示パネル804の表示単位の横方向ライン(走査線)毎に左眼用画像(例えば、奇数ライン)と右眼用画像(例えば、偶数ライン)とが交互に表示されるように立体視用画像を表示する。
【0039】
通常の表示状態では、L/R信号のHiレベル出力中にVDC156から送信されてきた画像データ(左眼用画像データ)を左眼用フレームバッファ173に書き込み、L/R信号のLoレベル出力中にVDC156から送信されてきた画像データ(右眼用画像データ)を右眼用フレームバッファ172に書き込む。そして、左眼用フレームバッファ173に書き込まれた左眼用画像データと、右眼用フレームバッファ172に書き込まれた右眼用画像データとを走査線一本毎に読み出して、立体視用フレームバッファ174に書き込む。
【0040】
変動表示装置8内には液晶ドライバ(LCD DRV)181、バックライトドライバ(BL DRV)182が設けられている。液晶ドライバ(LCD DRV)181は、合成変換装置170から送られてきたV_SYNC信号、H_SYNC信号およびRGB信号(画像データ)に基づいて、液晶表示パネルの電極に順次電圧をかけて、液晶表示パネル804に立体視用の合成画像を表示する。
【0041】
バックライトドライバ182は、CPU151から出力されたDTY_CTR信号に基づいて発光素子(バックライト)810に加わる電圧のデューティ比を変化させて、液晶表示パネル804の明るさを変化させる。
【0042】
図4は、変動表示装置8の構成を示す説明図で、光源801は、発光素子810、偏光フィルタ811、フレネルレンズ812によって構成されている。発光素子810には白色発光ダイオード(LED)等の点光源を横に並べて用いたり、冷陰極管等の線光源を水平に配置して構成されている。偏光フィルタ811は、左側領域811bと右側領域811aとで透過する光の偏光方向が異なる(例えば、左側領域811bと右側領域811aとで透過する光の偏光方向を90度ずらす)ように設定されている。フレネルレンズ812は一側面に同心円状の凹凸を有するレンズ面を有している。
【0043】
発光素子810から放射された光は、偏光フィルタ811によって一定の偏光方向の光のみが透過される。すなわち、発光素子810から放射された光のうち、偏光フィルタ811の左側領域811bを通過した光と、右側領域811aを通過した光とが異なる偏光方向を有する偏光光としてフレネルレンズ812に照射される。後述するように、偏光フィルタ811の左側領域811bを通過した光は観察者の右眼に到達し、右側領域811aを通過した光は観察者の左眼に到達するようになっている。
【0044】
なお、発光素子と偏光フィルタを用いなくても、異なる偏光方向の光を異なる位置から照射するように構成すればよく、例えば、異なる偏光方向の光を発生する発光素子を二つ設けて、異なる偏光方向の光を異なる位置からフレネルレンズ812に照射するように構成してもよい。
【0045】
偏光フィルタ811を透過した光はフレネルレンズ812に照射される。フレネルレンズ812は凸レンズとしての作用を有し、フレネルレンズ812では発光素子810から拡散するように出射された光を屈折・集光して略平行の光束とする。このように形成された平行光束は、微細位相差板802を透過して、液晶表示パネル804に到達する。なお、屈折・集光した光束は、左右各々の光源からの光を観視者(遊技者)の左右各々の眼に到達させればよく、平行光に限らなくてもよい。
【0046】
このとき、微細位相差板802を透過した光は、上下方向に広がることなく液晶パネル804に到達する。すなわち、微細位相差板802の特定の領域を透過した光が、液晶表示パネル804の特定の表示単位の部分を透過するようになっている。
【0047】
また、液晶表示パネル804に照射される光のうち、偏光フィルタ811の右側領域811aを通過した光と左側領域811bを通過した光とは、フレネルレンズ812の光軸に対して異なる角度でフレネルレンズ812に入射し、フレネルレンズ812で集光されて左右異なる経路で液晶表示パネル804に向けて出射する。
【0048】
液晶表示パネル804は、2枚の透明板(例えば、ガラス板)の間に所定の角度(例えば、90度)ねじれて配向された液晶が配置されており、例えば、TFT型の液晶表示パネルを構成している。液晶に電圧が印加されていない状態で液晶表示パネルを透過する光は、その偏光方向が90度ねじられる。一方、液晶に電圧が加わっている状態では、液晶のねじれが解けるので、入射光はその偏光方向が変化することなく出射される。
【0049】
液晶表示パネル804の光源801側には、微細位相差板802および偏光板803(第2偏光板)が配置されており、観察者側には、偏光板805(第1偏光板)が配置されている。
【0050】
微細位相差板802は、透過する光の位相を変える領域が、微細な間隔で繰り返して配置されている。具体的には、光透過性の基材に、微細な幅の1/2波長板821が設けられた領域802aと、1/2波長板821の幅と同一の微細な間隔で、1/2波長板821が設けられていない領域802bとが微細な間隔で繰り返して設けられている。すなわち、設けられた1/2波長板によって透過する光の位相を変える領域802aと、1/2波長板821が設けられていないために透過する光の位相を変えない領域802bとが微細な間隔で繰り返して設けられている。この1/2波長板821は、透過する光の位相を変化させる位相差板として機能している。
【0051】
1/2波長板821は、その光学軸を偏光フィルタ811の右側領域811aを透過する光の偏光方向に対して45度傾けて配置され、右側領域811aを透過した光の偏光軸を90度旋光させて出射する。すなわち、右側領域811aを透過した光の偏光を90度旋光させて、左側領域811bを透過する光の偏光と等しくする。すなわち、1/2波長板821が設けられていない領域802bは左側領域811bを通過した、偏光板803の偏光方向と同一方向の偏光軸を有する光を透過する。そして、1/2波長板821が設けられた領域2aは右側領域811aを通過した、偏光板803の偏光方向と直交する方向の偏光軸を有する光を、偏光板803の偏光方向に一致するように旋光させて出射する。
【0052】
この微細位相差板802の偏光特性の繰り返しピッチは、液晶表示パネル804の表示単位と略同一のピッチとして、表示単位毎(すなわち、表示単位の横方向の水平ライン毎)に透過する光の偏光が異なるようにする。よって、液晶表示パネル804の表示単位の水平ライン(走査線)に対応する微細位相差板802の偏光特性が異なるようになって、1水平ライン毎に出射する光の方向が異なる。
【0053】
あるいは、微細位相差板802の偏光特性の繰り返しは、液晶表示パネル804の表示単位のピッチの整数倍のピッチとして、微細位相差板802の偏光特性が複数の表示単位毎(すなわち、複数の表示単位の水平ライン毎)に変わるようにして、複数の表示単位毎に透過する光の偏光が異なるように設定してもよい。この場合において、液晶表示パネル804の表示単位の水平ライン(走査線)の複数本毎に微細位相差板の偏光特性が異なって、水平ラインの複数本毎に出射する光の方向が異なるようになる。
【0054】
このように、微細位相差板802の偏光特性の繰り返し毎に異なる光を液晶表示パネル804の表示素子(水平ライン)に照射する必要があるため、微細位相差板802を透過して液晶表示パネル804に照射される光は、上下方向の拡散を抑制したものである必要がある。
【0055】
すなわち、微細位相差板802の光の位相を変化させる領域802aは、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光を、左側領域811bを透過した光と同じ偏光方向を有する光に変えて透過する。また、微細位相差板802の光の位相を変化させない領域802bは、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光をそのまま透過する。そして微細位相差板802を出射した光は、左側領域811bを透過した光と同じ偏光方向を有して、液晶表示パネル804の光源側に設けられた偏光板803に入射する。
【0056】
偏光板803は第2偏光板として機能し、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光と同一の偏光方向を有する光を透過する偏光特性を有する。すなわち、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光は第2偏光板803を透過し、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光は偏光軸を90度回転させられて第2偏光板803を透過する。また、偏光板805は第1偏光板として機能し、偏光板803の偏光透過容易軸と直交する偏光方向の光を透過する偏光特性を有する。
【0057】
このような微細位相差板802、偏光板803および偏光板805を液晶表示パネル804に貼り合わせて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804および偏光板805を組み合わせて画像表示装置を構成する。このとき、液晶に電圧が加わった状態では、偏光板803を透過した光は偏光板805を透過する。一方、液晶に電圧が加わっていない状態では、偏光板803を透過した光は偏光方向が90度ねじれて液晶表示パネル804から出射されるので、偏光板805を透過しない。
【0058】
デフューザ806は、第1偏光板805の前面側(観察者側)に取り付けられており、液晶表示パネルを透過した光を上下方向に拡散する拡散手段として機能する。具体的には、縦方向にかまぼこ状の凹凸が繰り返し設けられたレンチキュラーレンズを用い液晶表示パネルを透過した光を、上下に拡散する。
【0059】
なお、レンチキュラーレンズに代わって縦方向により強い拡散指光性を持つマット状拡散面を設けたものであってもよい。上下方向の拡散が抑制された状態の光が液晶パネル804を透過するため、そのままでは視野角が狭くなってしまうことを、このデフューザ806で改善することができる。
【0060】
図5は、変動表示装置8の光学系を示す平面図である。光源としての発光素子810から放射された光は偏光フィルタ811を透過して放射状に広がっている。これについて詳述すると、発光素子810bから放射された光は、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過してフレネルレンズ812に到達し、フレネルレンズ812で集光されて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804、偏光板805に到達し、これらを略垂直(やや左側から右側)に透過して右眼に至る。
【0061】
一方、発光素子810aから放射された光は、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過してフレネルレンズ812に到達し、フレネルレンズ812で集光されて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804、偏光板805に到達し、これらを略垂直(やや右側から左側)に透過して右眼に至る。
【0062】
このように、発光素子810から放射され偏光フィルタ811を透過した光を光学手段としてのフレネルレンズ812によって集光し、液晶表示パネル804に略垂直に照射し、発光素子810、偏光フィルタ811およびフレネルレンズ812によって、偏光面が異なる光を集光し、略垂直に、かつ、異なる経路で液晶表示パネル804に照射する光源801を構成し、液晶表示パネル804を透過した光を異なる経路で出射させて、左眼又は右眼に到達させる。すなわち、液晶表示パネル804の走査線ピッチと、微細位相差板802の偏光特性変化の繰り返しピッチとを等しくして、液晶表示パネル804の走査線ピッチ毎に異なる方向から到来した光が照射され、異なる方向に光を出射する。
【0063】
図6は遊技の流れを示す状態遷移図であり、以下、この図に従って遊技の概要を説明する。
【0064】
まず、遊技開始当初(あるいは遊技開始前)の時点では、客待ち状態となっており、客待ち画面の表示を指令する表示制御コマンドが遊技制御装置100から表示制御装置150に送信され、変動表示装置8の画面には客待ち画面(動画又は静止画)が表示される。
【0065】
そして、遊技盤6の遊技領域に打ち出された遊技球が始動口16に入賞すると、その入賞に基づき、遊技制御装置100によって所定の乱数が抽出され、変動表示ゲームの大当たりの抽選が行われると共に、遊技制御装置100から表示制御装置150に変動表示を指令する表示制御コマンドが送信され、変動表示装置8の画面には予告キャラクタ表示が開始され、あるいは画面の左、右、中の変動表示領域に複数の図柄(識別情報)の変動表示が開始される。
【0066】
この変動表示の開始後、所定時間経過すると、変動表示は例えば左、右、中の順に仮停止(例えば、停止位置にて図柄を微少に変動させること等)されていくが、この過程でリーチ状態(例えば、左図柄と右図柄が大当たりの組合せを発生する可能性のある組合せであり、通常よりも大当たりとなる期待が持てる状態)が発生すると、所定のリーチ遊技が行われる。このリーチ遊技では、例えば中図柄の変動表示を極低速で行ったり、変動表示を高速で行ったり、変動表示に際しての図柄移動方向を逆転したりする。また、リーチ遊技に合わせた背景表示、キャラクタ表示が行われる。後で詳述するが、これら複数の図柄や背景表示、キャラクタ表示によって構成される画像を本明細書中では立体画像と称し、立体画像を構成する図柄、背景表示、キャラクタ表示のそれぞれを立体表示オブジェクトと称する。
【0067】
なお、仮停止状態とは遊技者が図柄を略停止状態として認識可能な状態で、かつ最終停止態様が確定しない状態であり、図柄の最終停止態様(結果態様)が確定した状態と区別される。なお、単に停止状態とした場合には、仮停止状態と、最終停止態様(結果態様)が確定した状態とを含む。また、仮停止状態の具体例としては、停止位置での微少変動の他に、図柄を拡大縮小表示させたり、図柄の色を変化させたり、図柄の形状を変化させる等の態様がある。
【0068】
そして、大当たり抽選の結果が大当たりであれば、最終的に左図柄、右図柄、中図柄が所定の大当たりの組合せで停止され、大当たり遊技(特定の遊技価値を付与)が発生する。
【0069】
この大当たり遊技が発生すると、変動入賞装置10が所定期間にわたって開かれる特別遊技が行われる。この特別遊技は、変動入賞装置10への遊技球の所定数(例えば10個)の入賞又は所定時間の経過(例えば30秒)を1単位(1ラウンド)として実行され、変動入賞装置10内の継続入賞口(不図示)への入賞(継続センサ53による入賞球の検出)を条件に、規定ラウンド(例えば16ラウンド)繰り返される。また、大当たり遊技が発生すると、大当たりのファンファーレ表示、ラウンド数表示、大当たりの演出表示等、遊技制御装置100から表示制御装置150に大当たり遊技の表示を指令する表示制御コマンドが送信され、変動表示装置8の画面に大当たり遊技の表示(特別遊技状態であることを示す画像)が行われる。
【0070】
このとき、大当たりが特定の大当たり(例えば、確率変動図柄である奇数図柄での大当たり)であれば、大当たり遊技後に特定遊技状態(例えば、確率変動状態や変動時間短縮状態などの、遊技者に有利な遊技状態)が発生され、次回の大当たりの発生確率を高確率にしたり、後述するように遊技球の始動口16への入賞に基づく変動表示装置8の変動表示ゲームの変動表示時間の短縮等が行われる。
【0071】
前記変動表示ゲーム中あるいは大当たり遊技中に遊技球が始動口16に入賞したとき(特別図柄始動記憶の発生時)には、変動表示ゲームが終了した後(ハズレのとき)にあるいは大当たり遊技が終了した後に、その特別図柄始動記憶に基づき、新たな変動表示ゲームが繰り返される。また、変動表示ゲームが終了したとき(ハズレのとき)、あるいは大当たり遊技が終了したときに、特別図柄始動記憶がなければ客待ち状態(デモ表示状態)に遷移する。
【0072】
図7を参照し、変動表示装置8に表示される立体画像について説明する。本明細書においては、液晶表示パネル804(画像表示面)に右眼用および左眼用画像が表示されることに基づいて、液晶表示パネル804の奥側および手前側に形成された仮想空間内に出現する(遊技者が立体的に感じ得る)画像の構成要素の1つ1つを「立体表示オブジェクト」と表現する。そして、この立体表示オブジェクトによって構成される画像を立体画像と表現する。例えば、図7(a)に示す「5」、「7」、「5」の図柄のそれぞれが立体表示オブジェクトに相当し、これら「5」、「7」、「5」の図柄で構成される全体の画像が立体画像に相当する。
【0073】
図7(a)は、液晶表示パネル804(画像表示面)に表示される右眼用画像、左眼用画像に基づいて、「5」、「7」、「5」と云う右図柄RO、中図柄CO、左図柄LOが立体表示されている様子を模式的に示す斜視図であり、いわゆる「リーチ状態」の表示が行われている様子(図6における変動表示状態に相当)を示している。この状態では、例えば表示される「5」、「7」、「5」の図柄のうち、リーチを構成する左図柄LO、右図柄RO(両脇の5の図柄)が仮停止状態で表示され、中図柄CO(中央の7の図柄)が、例えば5、6、7、…、と云うように変動表示されている。
【0074】
図7(a)において、液晶表示パネル804を挟む奥側・手前側の方向に延在する仮想空間内で、液晶表示パネル804に正対する遊技者から見て液晶表示パネル804の奥側に、立体表示オブジェクトとして例示する「5」の右図柄RO、左図柄LOが2つ出現し、液晶表示パネル804の手前側に、立体表示オブジェクトとして例示する「7」の中図柄COが1つ出現している様子を示している。図7(a)において符号ERは遊技者の右眼を、符号ELは左眼を示している。
【0075】
以下、液晶表示パネル804(遊技機)に正対する遊技者(観視者)にとっての前後方向、左右方向、上下方向に沿って、それぞれZ軸、X軸、Y軸をとり、以下の説明を行う。なお、本明細書中では、上記X、Y、Z軸に沿う方向をそれぞれX方向、Y方向、Z方向と称する。また、液晶表示パネル804(画像表示面)を基準として、遊技者に近づく方向を+Z方向、その逆の方向を−Z方向とする。同様に、遊技者の向かって左から右に向かう方向を+X方向とし、その逆の方向を−X方向とする。便宜上、液晶表示パネル804の表示エリア内で、遊技者から向かって一番左に表示される画素のX方向位置座標値を0とする。
【0076】
立体表示オブジェクトのZ方向の表示位置に関しては、実際にはZ方向に表示位置が変動しているのではなく、この立体表示オブジェクトを形成する右眼用画像および左眼用画像が液晶表示パネル804に表示される際の視差量、すなわち右眼用画像および左眼用画像のX方向の相対表示位置に基づき、遊技者の視覚中枢での処理によって遊技者が感覚として立体画像の出現位置が「近い(手前側に出現)」、あるいは「遠い(奥側に出現)」と感じるものである。この感じ方は、遊技者の眼幅や体調等にも左右されるものであるが、本明細書中では便宜的に、立体表示オブジェクトが+Zの位置に出現することを「手前側に出現」と表現し、−Zの位置に出現することを「奥側に出現」と表現する。また、図柄をこのように表示することを「立体表示する」と表現する。
【0077】
変動表示されている中図柄COに関しては、上述のように表示内容そのものが変わるのに加えて、表示位置も時間の経過とともに変動するが、図7(a)では、ある瞬間における表示状態を示している。
【0078】
図7(b)は、液晶表示パネル804上に平面画像が表示される様子を示す図であり、後で参照する図7(c)、図7(d)とともに図7(a)のX−Z平面へ投影した状態で図示されている。
【0079】
図7(c)は、変動表示されている中図柄COが立体表示される様子を示す図である。図7(c)において、液晶表示パネル804に表示される左眼用画像は遊技者の左眼ELのみによって、右眼用画像は右眼ERのみによって観視される。その結果、中図柄COの立体像が融像され、あたかも+Zfの位置に中図柄COが立体表示されているかのように遊技者には感じられる。すなわち、+Zfの位置に中図柄COが出現する。
【0080】
同様に、図7(d)において左眼用画像は遊技者の左眼ELのみによって、右眼用画像は右眼ERのみによって観視され、−Zrの位置に右図柄ROが出現する。なお、図7(d)においては、理解を容易にするために、右図柄ROが立体表示される様子をだけを示してあり、左図柄LOの図示は省かれている。
【0081】
ここで右眼用画像、左眼用画像のX方向表示位置に着目すると、図7(b)では右眼用画像および左画像の表示位置は同じである。同様に図7(c)では、左眼用画像の表示位置が右眼用画像の表示位置よりも右側(図7(c)において上側)にある。一方、図7(d)では右眼用画像のX方向表示位置が左眼用画像のX方向表示位置よりも右側にある。
【0082】
左眼用画像のX方向の表示位置をLとし、右眼用画像のX方向の表示位置をRとしたとき、L−Rを「ピクセル差分δ」と定義する。X方向の表示位置は、例えば液晶表示パネル804の一番左側の画素の表示位置を0とし、画素の数を単位として表現することが可能である。あるいは画素の数に画素の配列ピッチを乗じ、実際の寸法で表現することも可能である。ピクセル差分が図7(c)に示されるようにδ1(>0)となっている場合、+Z側の位置に立体画像が表示され、図7(d)に示されるようにピクセル差分がδ2(<0)となっている場合、−Z側の位置に画像が表示される。また、ピクセル差分の絶対値が大きい程、液晶表示パネル804(画像表示面)からより離れた位置に立体表示されることになり、ピクセル差分が0のときは図7(b)に示すように平面表示されることになる。
【0083】
液晶表示パネル804に右眼用画像および左眼用画像を表示して立体画像を表示する際に、上述したピクセル差分を用いて、Z方向の表示位置を管理することができる。なお、ピクセル差分を求める際に、左眼用、右眼用それぞれの画像の表示位置に関して、例えば表示される図柄の図心、表示オブジェクトのスプライトデータの表示位置を指示する座標データ、一番左側の画素等、表示位置を定量化するのに都合のよいものを用いることが可能である。以上に説明したピクセル差分は、立体表示オブジェクトを形成する右眼用画像と左眼用画像との視差量である。
【0084】
図7を参照して以上に説明した例では、立体画像を形成するための右眼用画像、左眼用画像の視差量としてピクセル差分を用い、立体表示オブジェクトのZ方向の出現位置を管理した。視差量とは、狭義には立体画像観察時の観察者の視線のなす角度(輻輳角)と、画像表示面(画像呈示面)で視線が交差する場合の輻輳角との差を意味する。本実施例では視覚負担を管理するためにピクセル差分(左眼用画像と右眼用画像との間の、前記立体画像表示装置の画像表示面上の画素単位のずれ量)に関係して定量化した値を視差量として扱っている。そして、本実施例では、予め表示条件(あるいは観察条件として画像呈示面サイズと視距離)を設定した上で、ピクセル差分を用いて視差量を定量化している。そして、視覚負担を、視差量として定量化して取り扱うことを特徴の一つとしている。なお、視差量を定量化する別の方法として、以下では、立体表示オブジェクトのZ方向出現位置の管理をする際に、仮想空間内のZ値を用いる例について説明する。
【0085】
いわゆる3Dグラフィクスでは、表示しようとする物体(立体表示オブジェクト)に対応するモデルを3次元の仮想空間内の所定の位置に配置してレンダリング処理をすることにより、2次元のディスプレイに表示するための2次元画像データを得る。この仮想空間は、図7(a)におけるX、Y、Z軸で定義される立体表示空間に置き換えることが可能である。すなわち、仮想空間内におけるZ値とは、XYZ空間として定義可能な仮想空間内にモデルを配置する際の、Z方向の配置位置に相当する。3次元空間中に配置されるモデルの位置を定義する方法としては、そのモデルごとに定められている基準点の位置の座標を特定すればよい。あるいは、モデル中で最前面側にある点の座標をモデルの位置座標に定めてもよい。さらに、モデルを形成する複数のポリゴン中で代表のポリゴンを定め、さらにその代表ポリゴンを定義する複数の頂点の中から代表頂点を定め、その代表頂点の座標をモデルの位置座標としてもよい。
【0086】
図8は、表示しようとする立体画像に対応するモデルを仮想空間内に配置し、レンダリングする例を示しており、図7(b)〜図7(d)と同様、図7(a)におけるX−Z平面へ投影した様子を示している。そして、図8(a)は、平面画像が液晶表示パネル804(画像表示面)上に平面画像が表示されるのに対応する状態を示し、図8(b)は、立体画像が+Zfの位置に表示されるのに対応する状態を示し、図8(c)は立体画像が−Zrの位置に表示されるのに対応する状態を示す。
【0087】
図8では、遊技者の眼から液晶パネル804(画像表示面)までの距離、すなわち観視距離は500mmに、そして遊技者の眼幅は65mmと想定する例が示されている。図8(a)では、遊技者の眼から500mm離れた位置にモデルを配置し、レンダリングする例が示されている。この場合、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のずれ量は0となる。したがって、実際に表示される画像は、Z=0の平面上に表示されることになる。
【0088】
図8(b)では、遊技者の眼から(500−Zf)(mm)離れた位置にモデルを配置してレンダリングする例が示されている。この場合、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のずれ量はδ1(mm)となる。液晶表示パネル804の表示画素ピッチをp(mm)としたとき、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のピクセル差分はδ1/pとなる。同様に、図8(c)では遊技者の眼から(500+Zr)(mm)離れた位置にモデルを配置してレンダリングする例が示されており、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のずれ量はδ2(mm)となる。このとき、ピクセル差分はδ2/pとなる。
【0089】
続いて、輻輳角を用いて立体画像のZ方向表示位置を管理する例について、図9を参照して説明する。図9においても、図8に示す例と同様に観視距離は500mmに、そして遊技者の眼幅は65mmと想定する例が示されている。図9(a)では、遊技者の眼から500mm離れた液晶表示パネル804(画像表示面)上に平面画像を表示する例が示されている。観視距離と眼幅とから輻輳角θ0=2*tan-1{(65/2)/500}で算出できる。本例では、輻輳角がθ0のとき、ピクセル差分は0となる。
【0090】
図9(b)は、遊技者の眼から(500−Zf)mm離れた位置に立体画像を表示する例が示されている。このとき輻輳角は、θf=2*tan-1{(65/2)/(500−Zf)}で算出される。遊技者にとって手前側(+Z側)に立体画像が表示される場合、θfはθ0よりも大きくなる。図9(c)では遊技者の眼から(500+Zr)mm離れた位置に立体画像を表示する例が示されており、このときの輻輳角は、θr=2*tan-1{(65/2)/(500+Zr)}で算出できる。θrはθ0よりも小さくなる。以上のように立体画像のZ方向表示位置を輻輳角で管理することも可能とである。そして、所定のZ方向位置に立体画像を表示する場合の輻輳角θと、上記θ0との差、あるいは比などを用いることにより、立体表示される画像のZ方向の表示位置を管理することができる。また、算出された輻輳角から以下のようにピクセル差分を求めることも可能である。すなわち、輻輳角をθとしたとき、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のずれ量δ(mm)は、δ=2*500*tan(θ/2)−65から算出でき、このときのピクセル差分はδ/p(p:液晶表示パネル804の表示画素ピッチ)となる。
【0091】
図7〜図9を参照して以上に説明した方法により、立体表示される画像のZ方向(遊技者にとっての前後方向)の表示位置を定量化して管理することができる。このとき、視差量として、ピクセル差分、Z値、輻輳角のうち、どの値を用いることも可能である。また、これらの値を演算加工(たとえば、整数化、上限値や下限値の補正、正負各々5段階の10段階評価など)して、扱いやすい数値に変換して視差量として用いてもよい。
【0092】
図10〜図16を参照し、立体画像を表示する際の立体感を管理する方法について説明する。いわゆる両眼視差法による立体表示を行う場合、遊技者(立体画像の観視者)が立体画像を観視し続ける時間と遊技者が感じる眼精疲労の程度とは密接な関連がある。突出表示される立体画像を観視し続けた場合、その疲労の蓄積速度は増加する傾向がある。その一方で、興趣に富む表示効果を得ようとすると、立体画像を突出表示させることが重要となる。本発明によれば、興趣に富む立体映像表現が可能で、観視し続けたときの眼精疲労の蓄積を抑制することが可能となる。
【0093】
図10〜図15は、CPU151により実行される変動表示処理プログラムの内容を概略的に説明するフローチャートである。この変動表示処理プログラムは、始動口16(図1)への遊技球の入賞があったことを遊技制御装置100(図2)が検出し、遊技制御装置100から表示制御装置150へ表示制御コマンドが送信されるのに応じて実行される。
【0094】
図10は、CPU151により行われる一連の変動表示処理の内容を示すフローチャートである。図10において、丸囲いの11〜15の数字は、これらの数字の付与された各処理が図11〜図15のフローチャートに従ってCPU151により実行されることを示している。例えば、丸囲いの11が付されている部分の処理は、図11に示すフローチャートに従ってCPU151により処理されることを示している。
【0095】
図11を参照し、表示制御コマンド受信処理について説明する。S1100においてCPU151は、遊技制御装置100から入力した表示制御コマンドに基づき、フォントROM157中にストアされている複数の変動表示制御手順の中から所定の変動表示制御手順を取得する。この変動表示制御手順は、動画を所定時間にわたって変動表示装置8(液晶表示パネル804)に表示する際の内容を定義するデータであり、この変動表示制御手順に基づいてXYZ空間内における立体表示オブジェクトの移動ルートや表示図柄の内容等が制御される。
【0096】
CPU151は、S1101において突出表示制限フラグが1(=突出表示制限あり)か、0(=突出表示制限なし)かを判定し、フラグが1であると判定されるとS1102に進み、突出表示制限処理を行いながら表示制御手順展開処理を行い、リターンする。つまり、CPU151はS1100で取得した変動表示制御手順を展開し、動画を構成するフレーム画像データを生成する。このときに、立体表示される画像の突出表示の程度を減ずる処理(突出表示制限処理)が行われる。この処理内容については後で図12を参照し、説明する。
【0097】
S1101における判定で突出表示制限フラグが0であると判定されたときの分岐先であるS1103においてCPU151は、突出表示制限処理をせずに表示制御手順の展開を行い、リターンする。
【0098】
図12は、図11における処理ステップS1102の処理内容を説明するフローチャートである。S1200においてCPU151は、S1100(図11)で取得した変動表示制御手順を展開し、変動表示装置8に表示される動画を構成するフレーム画像データを生成する。続くS1201において、CPU151は各フレーム画像データ中より立体表示される立体表示オブジェクトを抽出する。
【0099】
S1202においCPU151は、抽出された立体表示オブジェクトのZ方向の表示位置を修正する処理をしてリターンする。このS1202での処理において、例えばピクセル差分、Z値、輻輳角等のデータを用いてZ方向の表示位置データに処理を施すことが可能であるが、本例でCPU151はZ値を用いるものとして説明をする。
【0100】
S1202での処理例をさらに詳しく説明すると、CPU151は立体表示オブジェクトごとに求められたZ値(例:−3、+2、+1、+10)から一律にオフセット値(例:2)を差し引く。すると、処理後のZ値は、−5、0、−1、+8となる。これらのZ値の中で、依然として正の値をとるZ値については0に丸める。その結果、Z値は−3、0、−1、0となる。
【0101】
S1202での処理としては、上述したもの以外に、立体表示オブジェクトごとに求められたZ値(例:−3、+2、+1、+10)の中に正の値がある(突出表示される立体表示オブジェクトがある)場合、この中の最大のZ値が0となるようなオフセット値を選択し、すべてのZ値に対してオフセット処理を施すものであってもよい。上記のZ値の例では、+10が最大値なので、オフセット値は10となる。上記Z値のそれぞれからオフセット値10を差し引くと、補正後のZ値は−13、−8、−9、0となる。あるいは、各立体表示オブジェクトごとに求められたZ値の中で、正の値のものを一律0に丸める、という処理も可能である。
【0102】
S1202におけるさらに別の処理例としては、立体表示オブジェクトごとに求められるZ値の中で正の値を取るZ値に対し、1よりも小さい正の係数(例:0.5、0.3など)を一律に乗じたり、あるいはZ値の大きい立体表示オブジェクトの表示頻度を減じるように間引く処理を行ったりしてもよい。
【0103】
以上、図11および図12を参照して説明した処理が図10における丸囲いの数字11を付したブロックの処理に相当する。
【0104】
図13を参照し、表示制御手順処理について説明する。CPU151は、S1300において表示制御手順に関する情報を取得する。表示制御手順に関する情報としては、どのスプライトをどの方向へどれくらい動かすか、どのような背景を表示するか、等、1つのフレーム画像データごとに付与される情報である。
【0105】
CPU151は、S1301において表示制御手順をVDC156(図2)に出力する。VDC156は、受け取った表示制御手順に従って画像を合成変換装置170に出力する。
【0106】
S1303でCPU151は、変動表示装置8に表示されている立体画像のZ値を算出する処理を行い、リターンする。
【0107】
S1303におけるZ値算出処理について図14を参照して説明する。CPU151は、S1400において、Z値を算出する対象となる立体表示オブジェクトを抽出し、続くS1401において各立体表示オブジェクトごとにZ方向出現位置情報を算出する。S1402においてCPU151は、上述したZ方向出現位置情報の算出が、抽出されたすべての立体表示オブジェクトについて完了したかを判定し、否定されるとS1401に戻って上記処理を継続する一方、すべて完了したと判定されるとS1403に進む。
【0108】
S1403においてCPU151は、S1401〜S1402の処理を経て算出された立体表示オブジェクトごとのZ方向出現位置情報すべてについて統計処理を行い、リターンする。統計処理の内容としては、合計値、平均値、最大値、最小値のほか、中央値や最頻値等を算出する算術処理が含まれる。このとき、立体表示オブジェクトの表示内容に応じて加重算術処理を行うことも可能である。例えば、変動表示ゲーム中に変動表示される識別情報や大当たりの予告図柄等の、遊技者の注目を集める立体表示オブジェクト、画像表示面の最も中央寄りの位置(表示面のXY平面において最も画像表示面中央部に近い位置)に表示される立体表示オブジェクト、色彩的に目立ちやすい立体表示オブジェクト、表示サイズの比較的大きい立体表示オブジェクト、XYZの表示空間中で比較的動きの速い、あるいは移動量の大きい立体表示オブジェクト、遊技者にとって最も手前側、あるいは奥側に立体表示される立体表示オブジェクト等、これらの立体表示オブジェクトのうちの少なくともいずれかのZ方向出現位置に対して加重算術処理を行うことも可能である。このように加重算術処理を行えば、立体表示オブジェクトのZ方向の出現位置管理に際して、遊技者の注目を浴びることが想定される立体表示オブジェクトの影響度を高めることも可能である。あるいは、上述したような特徴を有する立体表示オブジェクトのうち、1つ又は複数の、一部の立体表示オブジェクトについてのみ算術処理を行うことでCPU151に対する負荷を減じつつ、所望の効果を得ることも可能である。特に、上述した変動表示ゲーム中に変動表示される識別情報や大当たりの予告図柄等は、遊技者の注目を非常に浴びやすいものであるから、これらの識別情報や予告図柄に対応する立体表示オブジェクトについてのみ算術処理を行っても効果的である。
【0109】
以上、図13および図14を参照して説明した処理が図10における丸囲いの数字13を付したブロックの処理に相当する。
【0110】
図15を参照してZ方向出現位置累積値管理処理について説明する。S1500においてCPU151は、立体画像のZ方向出現位置情報の累積値を更新する。すなわち、S1403で統計処理して算出した立体画像のZ方向出現位置情報を、もともとの累積値に足し込む処理を行う。
【0111】
S1501においてCPU151は、S1500で更新された累積値が予め設定されている許容範囲内にあるか否かを判定し、否定される、すなわち累積値が許容範囲を超していると判定するとS1502に進む。
【0112】
S1502においてCPU1501は、現状が突出表示制限可能状態にあるか否かを判定し、否定されると何もせずにリターンする。一方、S1502での判定が肯定されるとS1503に進んで突出表示制限フラグを「1」(=突出表示制限ありの状態)にセットし、リターンする。
【0113】
S1501での判定が肯定された場合の分岐先であるS1510においてCPU151は、上記累積値が下限に達しているか否かを判定し、否定されると何もせずにリターンする。一方、S1510での判定が肯定されると、CPU151はS1511に進み、突出表示制限フラグを「0」(=突出表示制限なしの状態)にセットし、リターンする。
【0114】
S1502での判定処理における「突出表示制限可能状態」について説明する。突出表示制限が可能でない状態、換言すると突出表示の制限をするのが好ましくない状態に相当するものとしては、変動表示が続いている状態、次の変動表示が、いわゆるリーチの状態(遊技者にとって大当たりの期待できる状態)、特別図柄始動記憶がまだ残存している状態(次も変動表示ゲームの行われることが確定している状態)などが考えられる。つまり、突出表示を制限することにより、遊技者の興趣をそいでしまう可能性のあるタイミングでは突出表示制限しないようにすることもできる。逆に、図6における客待ち状態のときに突出表示制限がかかるようにすれば、新たな遊技者が遊技を開始するまでの間にZ方向表示位置累積値を小さくすることできる。そのようにすれば、新たな遊技者が遊技を開始してからの経過時間が短いにもかかわらず、突出表示制限がかかってしまう、という可能性を下げることができる。このように、CPU151は、突出表示制限が必要と判定される場合に、遊技機の遊技状態を判定し、遊技機が上述したような所定の遊技状態(=突出表示の制限をかけても遊技者の興趣をそいでしまう可能性の少ない状態)と判断されるのを待って突出表示制限状態にするので、遊技者の興趣低下を最小限にしつつ、眼精疲労の蓄積を抑制することができる。
【0115】
以上、図15を参照して説明した処理が図10における丸囲いの数字15を付した処理に相当する。
【0116】
図16は、図10〜図15に示すプログラムが実行されることにより、変動表示装置8に表示される立体画像のZ方向出現位置の累積値、すなわち立体画像の突出表示量の累積値が管理され、この累積値が上限を超すかどうかが判定され、その判定結果に基づいて立体表示の内容が制御される例を示す図である。横軸には変動表示装置8への表示開始後の経過時間が、縦軸には立体画像のZ方向出現位置に関連する値がとられている。グラフ中、所定の時間間隔をおいて算出される立体画像のZ方向出現位置に関連する値(S1403で算出された値)が棒グラフで示されており、この値の累積値(S1500で算出された値)が折れ線グラフで示されている。この時間間隔に関しては、例えば画像の表示更新周期と一致させることが可能である。例えば、表示される画像がノン・インターレース・スキャンの場合は1/60秒とすればよいし、インターレース・スキャンの場合は1/30秒とするものであってもよい。あるいは、これらの画像表示更新周期とは関係なしに100msec.おき、1秒おき等、適宜の時間間隔に設定することが可能である。また、時間間隔は必ずしも等間隔である必要はない。
【0117】
図16のグラフ中、ゾーンAでは立体画像が継続して突出表示されているため、立体画像のZ方向出現位置の累積値(以下、これを「Z累積値」と称する)は単調増加している。ゾーンBでは後退表示があったことにより、Z累積値が減少している。ゾーンCでは再度突出表示が継続して行われたため、Z累積値が増加に転じ、ゾーンCとゾーンDとの境界でZ累積値は上限を超している。これを受け、S1503、S1102の処理が実行されて立体画像は後退表示され、Z累積値は減少し続ける。ゾーンDとゾーンEとの境界でZ累積値は上限値を下回るようになる。これを受け、S1501での判定は肯定されてS1510に分岐するが、Z累積値はまだ下限(本例において、下限は0とする)に達していないため、突出表示制限フラグはリセットされず、突出表示制限状態が維持される。
【0118】
ゾーンEとゾーンFとの境界において、Z累積値は下限に達する。これを受け、S1510での判定は肯定されてS1511に分岐し、突出表示制限フラグがリセットされ、制限解除状態もリセットされる。図16の例では、ゾーンEとゾーンFとの境界において、Z累積値が下限に達して突出表示制限状態が解除された後も後退表示が継続しているが、このような場合、Z累積値は例えばマイナスにはせず、下限値のまま維持し続ける。その後立体画像が再び突出表示されるようになり、ゾーンGではZ累積値が上昇に転じている。
【0119】
以上のようにZ累積値を管理し、このZ累積値と予め設定されている上限値との比較結果に基づいて立体画像の出現位置を制御することにより、長時間にわたって遊技者が立体画像を観視し続けても眼精疲労の蓄積を抑制することができ、遊技を継続し続けることができる。
【0120】
以上では、立体表示される複数の立体表示オブジェクトのZ方向表示位置に関連する値を算出し、この値の累積値を管理し(S1401、S1402)、表示される立体表示オブジェクトのZ方向出現位置を調節する(S1201、S1202)例について説明した。この具体例を図17および図18を参照して説明する。
【0121】
図17(a)は、7、8、7という数字の立体表示オブジェクトが突出表示(+Zの位置に立体表示オブジェクトが出現)されている状態を模式的に示している。図17(b)は、液晶表示パネル804に、上記立体表示オブジェクトに対応する右眼用画像7−1R、8R、7−2R、左眼用画像7−1L、8L、7−2Lが表示されている様子を模式的に示している。図17(b)において、左眼用画像7−1L、8L、7−2LのX方向表示位置が、対応する右眼用画像7−1R、8R、7−2RのX方向表示位置よりもプラス方向(右側)にある。すなわち、立体表示オブジェクトのピクセル差分はいずれもプラスとなっている。
【0122】
図17に示すような状態がしばらく続くと、Z累積値が上限を越し、突出表示制限状態となる。図18(a)は突出表示制限状態になった後、立体表示オブジェクトが後退表示されている状態を示している。図18(b)は、液晶表示パネル804に、上記立体表示オブジェクトに対応する右眼用画像7−1R、8R、7−2R、左眼用画像7−1L、8L、7−2Lが表示されている様子を模式的に示している。図18(b)において、右眼用画像7−1R、8R、7−2RのX方向表示位置が、対応する左眼用画像7−1L、8L、7−2LのX方向表示位置よりもプラス方向(右側)にある。すなわち、立体表示オブジェクトのピクセル差分はいずれもマイナスとなっている。
【0123】
以上のように、図17、図18に示す例では、Z累積値を計算する際にすべての立体表示オブジェクトのZ方向出現位置に関連する値を積算し、Z累積値が上限を超した場合にはすべての立体表示オブジェクトのZ方向表示位置が−Z側となるように立体表示を行う。
【0124】
なお、図17ではすべての立体表示オブジェクトが突出表示され、図18ではZ累積値を減じるべく、すべての立体表示オブジェクトが後退表示されているが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、図17において、一部の立体表示オブジェクトが後退表示されていてもよいし、逆に図18においては一部の立体表示オブジェクトが突出表示されていてもよい。すなわち、表示される立体表示オブジェクトのZ方向表示位置の総積算量が減少傾向となるように立体表示が行われていれば、総体的には後退表示が行われていると解釈することが可能である。このとき、先に説明したとおり、中図柄等、画像表示面の中央部寄りに出現する立体表示オブジェクトのZ方向表示位置に関連する値に対して加重算術処理を施してもよい。また、加重算術処理の対象となる立体表示オブジェクトの数は単数でも複数であってもよい。
【0125】
また、図17に例示されるような、すべての立体表示オブジェクトが画像表示面の前面側(遊技者から見て手前側)に偏在する場合、出現する複数の立体表示オブジェクトのうち、最前面(遊技者にとって最も手前側の位置)に出現する立体表示オブジェクトのZ方向出現位置に関連する値の累積値を計算し、その累積値が上限値を超す場合に立体表示オブジェクトの表示位置を調節してもよい。
【0126】
同様に、図18に例示されるような、すべての立体表示オブジェクトが画像表示面の背面側(遊技者から見て奥側)に偏在する場合、出現する複数の立体表示オブジェクトのうち、最背面(遊技者にとって最も奥側)に出現する立体表示オブジェクトのZ方向出現位置に関連する値の累積値を計算し、その累積値が下限値に達したら突出表示制限状態を解除してもよい。
【0127】
図19、図20は、立体画像中で突出表示又は後退表示を行う際の対象となる立体表示オブジェクトが、表示される複数の立体表示オブジェクト中の一部のみとなっている例を示す図である。
【0128】
図19に示される例では、複数の立体表示オブジェクトが突出表示されているが、Z累積値の算出は、表示画面の中央部近傍の領域に表示されている8(中図柄)の立体表示オブジェクトのZ方向出現位置に関連する値のみで行われる。図19(b)において、8の立体表示オブジェクトを形成する左眼用画像8LのX方向表示位置が右眼用画像8RのX方向表示位置よりもプラス方向(右側)にあり、したがってピクセル差分はプラスとなっている。
【0129】
図19に示される状態がしばらく続き、Z値の累積値が上限値を超したとき、図20に示されるように8の立体表示オブジェクトのみの出現位置が後退する。図20(b)において、8の立体表示オブジェクトを形成する右眼用画像8RのX方向表示位置が左眼用画像8LのX方向表示位置よりもプラス方向(右側)にあり、したがってピクセル差分はマイナスとなっている。
【0130】
以上では、表示画面の中央部近傍の領域に表示される立体表示オブジェクトが1つだけの場合を例示したが、複数の立体表示オブジェクトが表示画面中央部近傍の領域に表示されるものであってもよい。この場合、表示画面中央部近傍の領域に表示される複数の立体表示オブジェクトのうちのすべて、又は一部の立体表示オブジェクトのZ方向出現位置に関連する値を管理するものであってもよい。
【0131】
また、表示画面の中央部近傍の領域に表示される立体表示オブジェクに限らず、表示される立体画像のZ累積値を管理する際に、Z累積値計算の対象となる立体表示オブジェクトを予め1つ又は複数定めておくものであってもよい。このようにすれば、例えば遊技者が特に注視しやすい立体表示オブジェクトのZ方向表示位置に基づいてZ累積値を管理することができ、遊技者の眼精疲労抑止が可能となる。加えて、上述した算術処理の対象を絞ることにより、計算に係るCPU151の負荷を減じて画像表示速度を増すことも可能となる。
【0132】
図19、図20を参照して以上に説明したとおり、リーチ状態における中図柄等、遊技者が特に注視する可能性の高い立体表示オブジェクトや、視野の中心付近に表示される立体表示オブジェクトのみについて立体表示の量を管理することによっても本発明による効果を得ることができる。
【0133】
さらに、立体表示オブジェクトのZ値累積値が所定の範囲にあるか否かの判定結果に基づき、これら立体表示オブジェクトのZ方向出現位置が制御される例について図16を参照して説明したが、以下のようにZ方向出現位置を制御することが望ましい。すなわち、突出表示制限解除状態から制限状態へ、あるいは突出表示制限状態から制限解除状態へ切り替わったとき、唐突にZ方向出現位置を変化させるのではなく、緩やかに変化させることが望ましい。例えば、突出表示から後退表示に切り替える際に、平面表示、あるいはそれに近い表示状態を介在させることもできる。このように、突出表示状態と後退表示状態との間で表示状態を切り替える際に表示の変化を緩やかにすることで、表示状態の変化に際して遊技者が感じる違和感を低減することが可能となる。
【0134】
また、遊技の継続時間が長引いていることを検出して立体表示オブジェクトのZ方向出現位置を後退させるとき、図16のゾーンE〜ゾーンFに示されるように立体表示オブジェクトのZ方向表示位置を振動させることにより、遊技者の眼の筋肉をほぐす効果も期待できる。
【0135】
以上の発明の実施の形態と請求項との対応において、変動表示装置8(液晶表示パネル804)が立体画像表示装置を、CPU151が視差量算出手段、累積視差量算出手段、立体画像表示制御手段、遊技状態判定手段をそれぞれ構成する。
【0136】
今回開示した実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の遊技機全体の構成を示す正面図である。
【図2】同じく遊技機の電気回路の概略的構成を示すブロック図である。
【図3】右眼用画像、左眼用画像を各走査線ごとに交互に表示するための合成変換装置の概略的構成を示すブロック図である。
【図4】液晶表示パネルおよびその前後に配設される偏光光学系、集光光学系、照明装置を示す分解斜視図である。
【図5】液晶表示パネルに表示される右眼用画像・左眼用画像がそれぞれ遊技者の右眼・左眼で観視される様子を示す平面図である。
【図6】遊技の状態を示す状態遷移図である。
【図7】図7(a)は、液晶パネルの画像表示面の前面側および背面側に複数の立体表示オブジェクトが立体表示される様子を示した図である。図7(b)、図7(c)、図7(d)は、液晶表示パネルに表示される右眼用・左眼用画像の表示位置と立体表示オブジェクトの出現位置との関係を説明する図である。
【図8】図8は、立体画像の遠近方向の表示位置を、遊技者の眼と立体画像の表示位置との距離によって管理する例を説明する図である。
【図9】図9は、立体画像遠近方向の表示位置を、輻輳角で管理する例を説明する図である。
【図10】表示制御装置に組み込まれるCPUにより実行される、表示画像の立体感管理プログラムの一例を説明する概略フローチャートである。
【図11】同じく、変動表示制御コマンド受信処理の一例を説明する概略フローチャートである。
【図12】同じく、表示制御手順展開処理の一例を説明する概略フローチャートである。
【図13】同じく、画像表示制御手順処理の一例を説明する概略フローチャートである。
【図14】同じく、Z方向出現位置情報算出処理の一例を説明する概略フローチャートである。
【図15】同じく、ピクセル差分累積値管理処理の一例を説明する概略フローチャートである。
【図16】Z累積値管理により、立体画像の立体感が管理される様子を説明するグラフである。
【図17】変動表示画面に複数の立体表示オブジェクトが突出表示される様子を示す図である。
【図18】変動表示画面に複数の立体表示オブジェクトが後退表示される様子を示す図である。
【図19】変動表示画面に複数の立体表示オブジェクトが突出表示される様子を示す図である。
【図20】変動表示画面中で一部の立体表示オブジェクトが後退表示される様子を示す図である。
【符号の説明】
8 … 変動表示装置
100 … 遊技制御装置
150 … 表示制御装置
151 … CPU
170 … 合成変換装置
171 … 制御部
801 … 光源
802 … 微細位相差板
803 … 偏光板
804 … 液晶表示パネル
805 … 偏光板
806 … デフューザ
810 … 発光素子
811 … 偏光フィルタ
812 … フレネルレンズ
Claims (2)
- 両眼視差により遊技者が立体画像を観視可能な立体画像表示装置を備え、該立体画像表示装置で識別情報を変動表示する変動表示ゲームが実行され、当該変動表示ゲームの結果態様として表示される識別情報が特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値を付与する遊技機において、
前記立体画像表示装置に表示される前記立体画像を形成する右眼用画像と左眼用画像との間の視差量を、予め定められた時間間隔をおいて算出する視差量算出手段と、
前記視差量を累積して累積視差量を算出する累積視差量算出手段と、
前記累積視差量が予め設定されている許容値を越した場合、前記立体画像表示装置に表示される立体画像の視差量を変化させる立体画像表示制御手段と、
を有し、
前記立体画像表示制御手段は、前記変動表示ゲームが行われている状態中に前記累積視差量が前記許容値を超した場合には、客待ち状態となるまで立体画像の視差量の変化を待たせることを特徴とする遊技機。 - 前記累積視差量算出手段は、前記立体画像が前記遊技者にとって前記立体画像表示装置の画像表示面よりも手前側に出現する場合に、前記累積視差量を増加させ、前記立体画像が前記遊技者にとって前記立体画像表示装置の画像表示面よりも奥側に出現する場合に、前記累積視差量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
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