以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す遊技機(カード球貸ユニットを併設したCR機)全体の構成を示す正面図で、図2は、図1に示す遊技機に設置される赤外センサの反応エリアを概略的に示す図で、図3は、遊技制御装置100を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
遊技機(パチンコ遊技機)1の前面枠3は本体枠(外枠)4にヒンジ5を介して開閉回動可能に組み付けられ、遊技盤6は前面枠3の裏面に取り付けられた収納フレーム(図示省略)に収装される。
遊技盤6の表面には、変動表示装置(表示装置)8、大入賞口を備えた変動入賞装置10、一般入賞口15、始動口16、普通図柄始動ゲート14、普通図柄表示器7、普通変動入賞装置9(補助入賞手段)等が配設された遊技領域が形成される。前面枠3には、遊技盤6の前面を覆うカバーガラス18が取り付けられている。
変動表示装置8は、表示領域に、例えば、左、中、右の三つの表示図柄(識別情報)が表示される。これらの表示図柄には、例えば「0」〜「9」までの各数字と、「A」〜「E」のアルファベット文字等が割り当てられている。
変動表示装置8は、始動口16へ遊技球の入賞があると、前述した数字、文字で構成される表示図柄が順に表示される。始動口16への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の特別図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、大当たり状態となり、三つの表示図柄が揃った状態(大当たり図柄)で停止する。このとき、変動入賞装置10の大入賞口が所定の時間(例えば30秒)だけ大きく開き、多くの遊技球を獲得することができる。
この始動口16への遊技球の入賞は、特別図柄始動センサ51(図3参照)で検知される。この遊技球の通過タイミング(具体的には、入賞検出時点での遊技制御装置100(図3参照)内に備えられた特別図柄乱数カウンタの値)は、特別図柄入賞記憶として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(特別図柄乱数記憶領域)に、最大で連続した所定回分を限度に記憶される。遊技制御装置100は、特別図柄入賞記憶に基づいて、変動表示装置8にて変動表示ゲームを行う。
普通図柄表示器7は、普通図柄始動ゲート14へ遊技球の入賞があると、普通図柄(例えば一つの数字からなる図柄)の変動表示を始める。普通図柄始動ゲート14への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の普通図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、普通図柄に関する当たり状態となり、普通図柄が当たり図柄(当たり番号)で停止する。このとき、始動口16の手前に設けられた普通変動入賞装置9が所定の時間(例えば0.5秒)だけ大きく開き、遊技球の始動口16への入賞可能性が高められる。
この普通図柄始動ゲート14への遊技球の通過は、普通図柄始動センサ52(図3参照)で検知される。この遊技球の通過タイミング(具体的には、遊技制御装置100内に備えられた普通図柄乱数カウンタの通過検出時点での値)は、普通図柄入賞記憶として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(普通図柄乱数記憶領域)に、所定回数(例えば、最大で連続した4回分)を限度に記憶される。この普通図柄入賞記憶の記憶数は、普通図柄表示器7の左右に設けられた複数のLEDからなる普通図柄記憶状態表示器19に表示される。遊技制御装置100は、普通図柄入賞記憶に基づいて、普通図柄に関する当たりの抽選を行う。なお、普通図柄記憶状態表示器19の記憶数は任意の値に設定される。
前面枠3の下部の開閉パネル20には球を打球発射装置に供給する上皿21が、固定パネル22には下皿23及び打球発射装置の操作部24等が配設される。
カバーガラス18の上部の前面枠3には、点灯により球の排出の異常等の状態を報知する第1報知ランプ31、第2報知ランプ32が設けられている。
カード球貸ユニット用の操作パネル26には、カードの残高を表示するカード残高表示部(図示省略)と、球貸しを指令する球貸しスイッチ28と、カードの返却を指令するカード返却スイッチ30等が設けられている。
カード球貸ユニット2には、前面のカード挿入部25に挿入されたカード(プリペイドカード等)のデータの読込、書込等を行うカードリーダライタと球貸制御装置が内蔵され、カード球貸ユニット用の操作パネル26は遊技機1の上皿21の外面に形成される。
変動表示装置8の上方には、三つの赤外センサ17a、17b、17cが配設されている。これらの赤外センサは、図1において向かって左側から順に、左赤外センサ17a、中赤外センサ17b、右赤外センサ17cを右赤外センサの順に配列されている。遊技者が所定のタイミングでこれらの赤外センサ17a、17b、17cのいずれかに手指をかざすと、遊技制御装置100がそれを検知するように構成されている。
これらの赤外センサ17a、17b、17cは、いずれも反射型のセンサであり、不図示の赤外発光ダイオードとフォトダイオードとが所定の間隔をおいて、その発光面および受光面が略同一の方向に向くように配設されたものである。あるいは、赤外発光ダイオードと、ビーム位置検出素子(PSD)と、これら赤外発光ダイオード、ビーム位置検出素子の前側に配設された投光用・受光用レンズ等(いずれも不図示)で構成される、いわゆる「三角測距」によってセンサと対象物との距離を測定するタイプのものも使用可能である。いずれの場合も、これらの赤外センサ17a、17b、17cはいずれもセンサ近傍に物体が近づいたことを検出可能な近接センサとして用いられる。これらの赤外センサ17a、17b、17cは、図2に示されるように遊技盤6の盤面に対して斜め下向きで、カバーガラス18の外側かつカバーガラス18の近傍に反応エリアが位置するように配設されている。
上述のように反応エリアを設定することにより、遊技者の頭や体に対してこれらの赤外センサ17a、17b、17cは反応しないようになっている。加えて、遊技者の後方を他の遊技者が移動したような場合であってもセンサ17a、17b、17cが反応しないようになっている。
再び図1を参照し、赤外センサ17a、17b、17cの上方には立体感表示インジケータ11が配設されている。遊技者が左赤外センサ17a、右赤外センサ17bのいずれかに向かって手指をかざして、変動表示装置8に表示される立体画像の立体感の許容範囲を設定するのに応じ、バーグラフや数字等の表示が立体感表示インジケータ11になされる。この立体感表示インジケータ11の配置位置は、赤外センサ17a、17b、17cとともに、変動表示装置8の近傍に配置、すなわち遊技者の視野範囲にこれらがすべて収まるように配置することが望ましい。
図3において、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置であり、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための不変の情報を記憶しているROM、遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAMを内蔵した遊技用マイクロコンピュータ101、入力インターフェース102、出力インターフェース103、発振器104等から構成される。
遊技用マイクロコンピュータ101は、入力インターフェース102を介して各種検出装置(特別図柄始動センサ51、一般入賞口センサ55A〜55N、カウントセンサ54、継続センサ53、普通図柄始動センサ52)からの検出信号を受けて、大当たり抽選等、種々の処理を行う。そして、出力インターフェース103を介して、各種制御装置(表示制御装置150、排出制御装置200、装飾制御装置250、音制御装置300)、大入賞口ソレノイド36、普通電動役物ソレノイド90、普通図柄表示器7等に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
排出制御装置200は、遊技制御装置100からの賞球指令信号またはカード球貸ユニット2からの貸球要求に基づいて、払出ユニットの動作を制御し、賞球または貸球の排出を行わせる。
装飾制御装置250は、遊技制御装置100からの装飾指令信号に基づいて、装飾用ランプ、LED等の装飾発光装置を制御すると共に、特別図柄記憶表示器(特図保留LED)12、普通図柄記憶状態表示器19の表示を制御する。
音制御装置300は、スピーカからの効果音出力を制御する。なお、遊技制御装置100から、各種従属制御装置(表示制御装置150、排出制御装置200、装飾制御装置250、音制御装置300)への通信は、遊技制御装置100から従属制御装置に向かう単方向通信のみが許容されるようになっている。これにより、遊技制御装置100に従属制御装置側から不正な信号が入力されることを防止することができる。
表示制御手段を構成する表示制御装置150は、画像の表示制御を行うもので、合成変換装置170と共に表示制御手段として機能する。この表示制御装置150は、CPU151、GDP(Graphics DisplayProcessor)156、RAM153、インターフェース155、プログラムやシーケンスデータ等を格納したROM152、画像データ(図柄データ、背景画データ、動画キャラクタデータ、テクスチャデータ等)を格納したフォントROM157、同期信号やストローブ信号を発生させるタイミング信号を生成する発振器158、赤外センサ17a、17b、17c、遊技店用立体感設定スイッチ17d、立体感設定表示インジケータ11等から構成される。
遊技店用立体感設定スイッチ17dとしては、通常のトグルスイッチの外に、ディップスイッチやサミールスイッチ、あるいはポテンショメータ等を用いることができる。このとき、トグルスイッチを用いて遠近感を単に大、小と二段階で切り替えるよりも、ディップスイッチやサミールスイッチ、あるいはポテンショメータ等を用いることにより、立体感設定の分解能を上げたり、設定可能な幅を広げたりすることが可能となる。
CPU151は、ROM152に格納されたプログラムを実行し、遊技制御装置100からの信号に基づいて所定の変動表示ゲームのための画像制御情報(スプライトデータやポリゴンデータ等で構成される図柄表示情報、背景画面情報、動画オブジェクト画面情報等)を演算して画像生成をGDP156に指示する。
GDP156は、フォントROM157に格納された画像データ及びCPU151により画像制御情報を演算した内容に基づいて、例えば、画像のポリゴン描画(または、通常のビットマップ描画)を行うとともに、各ポリゴンに所定のテクスチャを貼り付けてフレームバッファとしてのRAM153に格納する。そして、GDP156は、RAM153の画像を所定のタイミング(垂直同期信号V_SYNC、水平同期信号H_SYNC)でLCD側(合成変換装置170)へ送信する。
GDP156が行う描画処理は、点描画、線描画、トライアングル描画、ポリゴン描画を行い、さらにテクスチャマッピング、アルファブレンディング、シェーディング処理(グローシェーディングなど)、陰面消去(Zバッファ処理など)を行って、γ補正回路159を介して画像信号を合成変換装置170に出力する。
なお、GDP156は、描画した画像データをフレームバッファとしてのRAM153へ一旦格納した後、同期信号(V_SYNCなど)に合わせて合成変換装置170へ出力しても良い。
ここで、フレームバッファは、複数のフレームバッファをそれぞれRAM153の所定の記憶領域などに設定しておき、GDP156は、任意の画像に重ね合わせて(オーバーレイ)出力することも可能である。
GDP156には、クロック信号を供給する発振器158が接続されている。発振器158が生成するクロック信号は、GDP156の動作周期を規定している。GDP156は、このクロック信号を分周して垂直同期信号(V_SYNC)と、水平同期信号(H_SYNC)を生成し、合成変換装置170へ出力する。同時に、GDP156は、合成変換装置170を経由して、変動表示装置8にも垂直同期信号(V_SYNC)と水平同期信号(H_SYNC)を出力する。
GDP156から出力されるRGB信号は、γ補正回路159に入力されている。このγ補正回路159は、変動表示装置8の信号電圧に対する照度の非線形特性を補正して、変動表示装置8の表示照度を調整して、変動表示装置8に対して出力するRGB信号(画像データ)を生成する。
また、表示制御装置150のCPU151は、発振器158のクロック信号(例えば、垂直同期信号V_SYNC)に基づいて、合成変換装置170へ出力する画像データ(RGB)が、左眼用の画像又は右眼用の画像の何れであるかを識別するL/R信号(画像識別信号)を出力する。
さらに、CPU151は、変動表示装置8の発光量(輝度)を制御するため、デューティ制御信号DTY_CTRを発振器158のクロック信号(または垂直同期信号V_SYNC)に基づいて生成し、変動表示装置8へ出力する。
CPU151はまた、遊技店用立体感設定スイッチ17d、あるいは左赤外センサ17a、右赤外センサ17cを介して設定された許容範囲に基づき、変動表示装置8に表示される立体画像の立体感を管理する。この許容範囲とは、液晶表示パネル804に表示される画像に基づいて生成される立体画像を構成する立体表示オブジェクトのうち、遊技者にとってもっとも遠方にあると感じられるものともっとも近い側にあると感じられるものの、Z方向の差(すなわち遠近差)の取りうる範囲を定めたものである。この許容範囲については後で詳述する。
このときCPU151は、左赤外センサ17a、右赤外センサ17cを介して遊技者により設定された許容範囲に基づき、立体感表示インジケータ11に例えば5段階のバーグラフ表示や数値の表示を行う。したがって、遊技者が遊技店内を移動して同種の他の遊技盤で遊技を行う場合や、後日来店して同種の遊技盤で遊技を行う場合等であっても、遊技者の好みに合った立体感を実現する許容範囲の設定を容易に行うことができる。
図1に示されるように、立体感表示インジケータ11の設置位置は、左赤外センサ17a、右赤外センサ17cの反応エリア(操作部位)よりも、やや上方にあることが望ましい。なぜならば、遊技者がこれら左赤外センサ17a、右赤外センサ17cの反応エリアに手指をかざして許容範囲の設定をしているときに、立体感表示インジケータ11が遊技者の手で隠れることがないからである。さらに、左赤外センサ17a、右赤外センサ17cの反応エリアは、立体画像が表示される変動表示装置8の画像表示部(液晶パネル804)と重なる部位、もしくは画像表示部の近傍に設けることで、反応エリアと立体画像との距離が近くなって、操作時の遊技者の視線変化が少なくなり、立体画像を見やすくすることができる。
さらに好ましくは、変動表示装置8にて表示される立体画像の内容と、立体感表示インジケータ11の表示内容とを、遊技者が同時に認識(同一の視界にて認識)できるような構成が望まれる。つまり、できるだけ変動表示装置8の近傍に立体感表示インジケータ11を設置したり、或いは、設定された許容範囲に対応する数値表示やバーグラフ表示等の表示(つまり、立体感表示インジケータ11に相当する表示)を、変動表示装置8の表示エリア内で行うような構成が好ましいといえる。後者の場合は、設定された許容範囲に対応する数値表示やバーグラフ表示等の表示をも立体表示にすると、立体画像との出現位置が近くなって、より認識しやすくなる。
ただし、本発明においては、立体感表示インジケータの設置位置は図1のものに限定されず、遊技者が視認可能な範囲で任意の位置に設置しうる。
遊技店用立体感設定スイッチ17dは、遊技者が左赤外センサ17a、右赤外センサ17cの操作を介して設定可能な許容範囲の値やデフォルト値(初期状態の値)を設定することができる。
合成変換装置170の概略的構成を示す図4において、合成変換装置170は、制御部171、右眼用フレームバッファ172、左眼用フレームバッファ173及び立体視用フレームバッファ174が設けられており、CPU151からのL/R信号に基づいて、制御部171は、GDP156から送られてきた右眼用画像を右眼用フレームバッファ172に書き込み、左眼用画像を左眼用フレームバッファ173に書き込む。次いで、立体視用フレームバッファ174に書き込んで右眼用画像と左眼用画像とを合成して立体視用画像(3次元画像)を生成し、立体視用画像データをRGB信号等として変動表示装置8に出力する。なお、L/R信号は、Hiレベル=1で左眼用画像データを示し、Loレベル=0で右眼用画像データを示す。
この左眼用画像と右眼用画像との合成による立体視用画像の生成は、図5で示すように、微細位相差板802に設けられた1/2波長板821の間隔毎に、左眼用画像と右眼用画像を組み合わせる。具体的には、本実施形態の変動表示装置8の微細位相差板802の1/2波長板821は、液晶表示パネル804の表示単位の間隔で配置されているので、液晶表示パネル804の表示単位の横方向ライン(走査線)毎に左眼用画像と右眼用画像とが交互に表示されるように立体視用画像を表示する。
通常の表示状態では、L信号出力中にGDP156から送信されてきた左眼用画像データを左眼用フレームバッファ173に書き込み、R信号出力中にGDP156から送信されてきた右眼用画像データを右眼用フレームバッファ172に書き込む。そして、左眼用フレームバッファ173に書き込まれた左眼用画像データと、右眼用フレームバッファ172に書き込まれた右眼用画像データとを走査線一本毎に読み出して、立体視用フレームバッファ174に書き込む。
変動表示装置8内には液晶ドライバ(LCD DRV)181、バックライトドライバ(BL DRV)182が設けられている。液晶ドライバ(LCDDRV)181は、合成変換装置170から送られてきたV_SYNC信号、H_SYNC信号及びRGB信号(画像データ)に基づいて、液晶表示パネルの電極に順次電圧をかけて、液晶表示パネル804に立体視用の合成画像を表示する。
バックライトドライバ182は、CPU151から出力されたDTY_CTR信号に基づいて発光素子(バックライト)810に加わる電圧のデューティー比を変化させて、液晶表示パネル804の明るさを変化させる。
図5は、変動表示装置8の構成を示す説明図で、光源801は、発光素子810、偏光フィルタ811、フレネルレンズ812によって構成されている。発光素子810には白色発光ダイオード(LED)等の点光源を横に並べて用いたり、冷陰極管等の線光源を水平に配置して構成されている。偏光フィルタ811は、左側領域811bと右側領域811aとで透過する光の偏光方向が異なる(例えば、左側領域811bと右側領域811aとで透過する光の偏光方向を90度ずらす)ように設定されている。フレネルレンズ812は一側面に同心円状の凹凸を有するレンズ面を有している。
発光素子810から放射された光は、偏光フィルタ811によって一定の偏光方向の光のみが透過される。すなわち、発光素子810から放射された光のうち、偏光フィルタ811の左側領域811bを通過した光と、右側領域811aを通過した光とが異なる偏光方向を有する偏光光としてフレネルレンズ812に照射される。後述するように、偏光フィルタ811の左側領域811bを通過した光は観察者の右眼に到達し、右側領域811aを通過した光は観察者の左眼に到達するようになっている。
なお、発光素子と偏光フィルタを用いなくても、異なる偏光方向の光を異なる位置から照射するように構成すればよく、例えば、異なる偏光方向の光を発生する発光素子を二つ設けて、異なる偏光方向の光を異なる位置からフレネルレンズ812に照射するように構成してもよい。
偏光フィルタ811を透過した光はフレネルレンズ812に照射される。フレネルレンズ812は凸レンズであり、フレネルレンズ812では発光素子810から拡散するように出射された光を屈折して略平行の光束とする。このように形成された平行光束は、微細位相差板802を透過して、液晶表示パネル804に到達する。
このとき、微細位相差板802を透過した光は、上下方向に広がることなく液晶パネル804に到達する。すなわち、微細位相差板802の特定の領域を透過した光が、液晶表示パネル804の特定の表示単位の部分を透過するようになっている。
また、液晶表示パネル804に照射される光のうち、偏光フィルタ811の右側領域811aを通過した光と左側領域811bを通過した光とは、フレネルレンズ812の光軸に対して異なる角度でフレネルレンズ812に入射し、フレネルレンズ812で集光されて左右異なる経路で液晶表示パネル804に向けて出射する。
液晶表示パネル804は、2枚の透明板(例えば、ガラス板)の間に所定の角度(例えば、90度)ねじれて配向された液晶が配置されており、例えば、TFT型の液晶表示パネルを構成している。液晶に電圧が印加されていない状態で液晶表示パネルを透過する光は、その偏光方向が90度ねじられる。一方、液晶に電圧が加わっている状態では、液晶のねじれが解けるので、入射光はその偏光方向が変化することなく出射される。
液晶表示パネル804の光源801側には、微細位相差板802及び偏光板803(第2偏光板)が配置されており、観察者側には、偏光板805(第1偏光板)が配置されている。
微細位相差板802は、透過する光の位相を変える領域が、微細な間隔で繰り返して配置されている。具体的には、光透過性の基材に、微細な幅の1/2波長板821が設けられた領域802aと、1/2波長板821の幅と同一の微細な間隔で、1/2波長板821が設けられていない領域802bとが微細な間隔で繰り返して設けられている。すなわち、設けられた1/2波長板によって透過する光の位相を変える領域802aと、1/2波長板821が設けられていないために透過する光の位相を変えない領域802bとが微細な間隔で繰り返して設けられている。この1/2波長板821は、透過する光の位相を変化させる位相差板として機能している。
1/2波長板821は、その光学軸を偏光フィルタ811の右側領域811aを透過する光の偏光方向に対して45度傾けて配置され、右側領域811aを透過した光の偏光軸を90度旋光させて出射する。すなわち、右側領域811aを透過した光の偏光を90度旋光させて、左側領域811bを透過する光の偏光と等しくする。すなわち、1/2波長板821が設けられていない領域802bは左側領域811bを通過した、偏光板803の偏光方向と同一方向の偏光軸を有する光を透過する。そして、1/2波長板821が設けられた領域2aは右側領域811aを通過した、偏光板803の偏光方向と直交する方向の偏光軸を有する光を、偏光板803の偏光方向に一致するように旋光させて出射する。
この微細位相差板802の偏光特性の繰り返しピッチは、液晶表示パネル804の表示単位と略同一のピッチとして、表示単位毎(すなわち、表示単位の横方向の水平ライン毎)に透過する光の偏光が異なるようにする。よって、液晶表示パネル804の表示単位の水平ライン(走査線)に対応する微細位相差板802の偏光特性が異なるようになって、1水平ライン毎に出射する光の方向が異なる。
あるいは、微細位相差板802の偏光特性の繰り返しは、液晶表示パネル804の表示単位のピッチの整数倍のピッチとして、微細位相差板802の偏光特性が複数の表示単位毎(すなわち、複数の表示単位の水平ライン毎)に変わるようにして、複数の表示単位毎に透過する光の偏光が異なるように設定してもよい。この場合において、液晶表示パネル804の表示単位の水平ライン(走査線)の複数本毎に微細位相差板の偏光特定が異なって、水平ラインの複数本毎に出射する光の方向が異なるようになる。
このように、微細位相差板802の偏光特性の繰り返し毎に異なる光を液晶表示パネル804の表示素子(水平ライン)に照射する必要があるため、微細位相差板802を透過して液晶表示パネル804に照射される光は、上下方向の拡散を抑制したものである必要がある。
すなわち、微細位相差板802の光の位相を変化させる領域802aは、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光を、左側領域811bを透過した光と同じ偏光方向を有する光に変えて透過する。また、微細位相差板802の光の位相を変化させない領域802bは、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光をそのまま透過する。そして微細位相差板802を出射した光は、左側領域811bを透過した光と同じ偏光方向を有して、液晶表示パネル804の光源側に設けられた偏光板803に入射する。
偏光板803は第2偏光板として機能し、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光と同一の偏光方向を有する光を透過する偏光特性を有する。すなわち、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光は第2偏光板803を透過し、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光は偏光軸を90度回転させられて第2偏光板803を透過する。また、偏光板805は第1偏光板として機能し、偏光板803の偏光方向と直交する偏光軸を有する光を透過する偏光特性を有する。
このような微細位相差板802、偏光板803及び偏光板805を液晶表示パネル804に貼り合わせて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804及び偏光板805を組み合わせて画像表示装置を構成する。このとき、液晶に電圧が加わった状態では、偏光板803を透過した光は偏光板805を透過する。一方、液晶に電圧が加わっていない状態では、偏光板803を透過した光は偏光が90度ねじれて液晶表示パネル804から出射されるので、偏光板805を透過しない。
デフューザ806は、第1偏光板805の前面側(観察者側)に取り付けられており、液晶表示パネルを透過した光を上下方向に拡散する拡散手段として機能する。具体的には、縦方向にかまぼこ状の凹凸が繰り返し設けられたレンチキュラーレンズを用い液晶表示パネルを透過した光を、上下に拡散する。
なお、レンチキュラーレンズに代わって縦方向により強い拡散指光性を持つマット状拡散面を設けたものであってもよい。液晶パネル804透過まで上下方向の拡散を抑制したことにより視野角が狭くなっていることを、このデフューザ806で改善することができる。
図6は、変動表示装置8の光学系を示す平面図である。
発光素子810から放射された光は偏光フィルタ811を透過して放射状に広がっている。光源から放射された光のうち偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光は、フレネルレンズ812に到達し、フレネルレンズ812で集光されて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804、偏光板805に到達し、これらを略垂直(やや左側から右側)に透過して右眼に至る。
一方、光源から放射された光のうち偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光は、フレネルレンズ812に到達し、フレネルレンズ812で集光されて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804、偏光板805に到達し、これらを略垂直(やや右側から左側)に透過して左眼に至る。
このように、発光素子810から放射され偏光フィルタ811を透過した光を光学手段としてのフレネルレンズ812によって集光し、液晶表示パネル804に略垂直に照射し、発光素子810、偏光フィルタ811及びフレネルレンズ812によって、偏光面が異なる光を集光し、略垂直に、かつ、異なる経路で液晶表示パネル804に照射する光源1を構成し、液晶表示パネル804を透過した光を異なる経路で出射させて、左眼又は右眼に到達させる。すなわち、液晶表示パネル804の走査線ピッチと、微細位相差板802の偏光特性の繰り返しピッチとを等しくして、液晶表示パネル804の走査線ピッチ毎に異なる方向から到来した光が照射され、異なる方向に光を出射する。
図7は遊技の流れを示す状態遷移図であり、以下、この図に従って遊技の概要を説明する。
まず、遊技開始当初(あるいは遊技開始前)の時点では、客待ち状態となっており、客待ち画面の表示を指令する信号が遊技制御装置100から表示制御装置150に送信され、変動表示装置4の画面には客待ち画面(動画または静止画)が表示される。
そして、遊技盤6の遊技領域に打ち出された遊技球が始動口16に入賞すると、その入賞に基づき、遊技制御装置100によって所定の乱数が抽出され、変動表示ゲームの大当たりの抽選が行われると共に、遊技制御装置100から表示制御装置150に変動表示を指令する信号が送信され、変動表示装置8の画面の左、右、中の変動表示領域に複数の図柄の変動表示が開始される。
この変動表示の開始後、所定時間経過すると、変動表示は例えば左、右、中の順に仮停止(例えば、停止位置にて図柄を微少に変動させること等)されていくが、この過程でリーチ状態(例えば、左の図柄と右の図柄が大当たりの組合せを発生する可能性のある組合せであり、通常よりも大当たりとなる期待が持てる状態)が発生すると、所定のリーチ遊技が行われる。このリーチ遊技では、例えば中の図柄の変動表示を極低速で行ったり、高速変動したり、変動表示を逆転したりする。また、リーチ遊技に合わせた背景表示、キャラクタ表示が行われる。
なお、仮停止状態とは遊技者が図柄を略停止状態として認識可能な状態であり、最終停止態様が確定しない状態であり、停止状態とは、この仮停止状態と図柄が停止した状態を含む状態である。なお、仮停止状態の具体例としては、停止位置での微少変動の他に、図柄を拡大縮小表示したり、図柄の色を変化させたり、図柄の形状を変化させる等の態様がある。
そして、大当たり抽選の結果が大当たりであれば、最終的に左、右、中の図柄が所定の大当たりの組合せで停止され、大当たり(大当たり遊技=特定遊技価値の付与)を行う、特別遊技状態が発生する。
この大当たり遊技が発生すると、変動入賞装置10が所定期間にわたって開かれる特別遊技が行われる。この特別遊技は、変動入賞装置10への遊技球の所定数(例えば10個)の入賞または所定時間の経過(例えば30秒)を1単位(1ラウンド)として実行され、変動入賞装置10内の継続入賞口への入賞(継続センサ53による入賞球の検出)を条件に、規定ラウンド(例えば16ラウンド)繰り返される。また、大当たり遊技が発生すると、大当たりのファンファーレ表示、ラウンド数表示、大当たりの演出表示等、遊技制御装置100から表示制御装置150に大当たり遊技の表示を指令する信号が送信され、変動表示装置8の画面に大当たり遊技の表示(特別遊技状態が発生していることを示す画像)が行われる。
この場合、大当たりが特定の大当たりであれば、大当たり遊技後に特定遊技状態が発生され、次回の大当たりの発生確率を高確率にしたり、後述するように遊技球の始動口16への入賞に基づく変動表示装置8の変動表示ゲームの変動表示時間の短縮等が行われる。
前記変動表示ゲーム中あるいは大当たり遊技中に遊技球が始動口16に入賞したとき(特別図柄始動記憶の発生時)には、変動表示ゲームが終了した後(ハズレのとき)にあるいは大当たり遊技が終了した後に、その特別図柄始動記憶に基づき、新たな変動表示ゲームが繰り返される。また、変動表示ゲームが終了したとき(ハズレのとき)、あるいは大当たり遊技が終了したときに、特別図柄始動記憶がないときは、客待ち状態に戻される。
なお、普通図柄始動ゲート14を遊技球が通過すると、その通過または普通図柄始動記憶に基づき、普通図柄に関する乱数が抽出され、乱数が当たりであれば、普通図柄表示器7に当たり表示が行われて、始動口16の普通変動入賞装置9が所定時間にわたって拡開され、始動口16への入賞が容易にされる。
次に、図8を参照し、立体画像の立体感の定量化と、定量化によって得た値を用いて立体画像の立体感が所定範囲内に収まるように管理する制御について説明を行う。本明細書においては、液晶表示パネル804(画像表示面)に右眼用および左眼用画像が表示されることに基づいて、液晶表示パネル804の奥側および手前側に形成された仮想空間内に出現する(遊技者が立体的に感じ得る)画像の構成要素の1つ1つを立体表示オブジェクトとし、この立体表示オブジェクトの集合体を立体画像と表現している。例えば、後述の「5」や「7」の図柄は立体表示オブジェクトに相当し、この「5」や「7」の図柄全体で構成される全体画像が立体画像に相当する。
そして、立体画像の立体感を定量化した結果得られる値を立体度として定義する。この立体度は、立体画像を構成する立体表示オブジェクトのうち、遊技者にとってもっとも遠方にあると感じられるもの(最も奥側に出現したもの)と、もっとも近い側にあると感じられるもの(最も手前側に出現したもの)との、奥行方向の出現位置の差に関連して定義される値のことを意味し、具体的な定義の例は後述する。
この立体度が取りうる許容範囲は、変動表示装置8の画像表示面のサイズや、画像表示面と遊技者の眼球位置との間の距離(視距離)との関係を考慮しながら、実験結果等に基づいて、適切と思われる値が予め(遊技店に遊技機1が導入された時点で)設定されている。そして、遊技者若しくは遊技店の操作によってこの値をさらに変更することにより、遊技者の個人差や体調等に合わせた立体感の表示を行うことができる。CPU151は以下に説明するように、変動表示装置8によって出現する立体画像の立体感を定量的に評価し、表示されるオブジェクトの立体感が、上述のように遊技者により設定された許容範囲から外れることの無いよう、管理する制御を行う。
図8(a)は、遊技球が始動口16へ入賞して、変動表示装置8の液晶表示パネル804の画像表示面にて、図柄(識別情報)が変動表示しているところを示している。この図においては、左図柄と右図柄に「5」が停止表示して、所謂リーチの態様が形成され、中図柄のみが変動表示を行っている状態を示しているが、説明のため中図柄には「7」の図柄を用いている。これら、左、右、中図柄で構成される「575」の図柄は、それぞれが液晶表示パネル804の画像表示面に表示される右眼用画像、左眼用画像に基づいて、立体表示されている。そして、既に停止表示となった「5」の図柄の表示が固定され、変動中の「7」の図柄は、例えば「5」→「6」→「7」→‥‥というように、変動表示を継続している。なお、各図柄は、何れもが立体表示オブジェクトである。
図8(a)においては、液晶表示パネル804(画像表示面)の奥行方向に形成された仮想空間内で、遊技者から見て液晶表示パネル804の奥側に、立体表示オブジェクトとして例示する「5」の図柄が2つ出現し、遊技者から見て液晶表示パネル804の手前側に、立体表示オブジェクトとして例示する「7」の図柄が1つ出現している様子を示している。また、符号ELは遊技者の左眼を、ERは遊技者の右眼を示している。
以下、遊技者にとっての奥行方向にZ軸をとり、画像表示面に沿う方向で、遊技者にとっての左右方向に沿ってX軸をとり、そして上下方向に沿ってY軸をとり、以下の説明を行う。なお、本明細書中では、上記X、Y、Z軸に沿う方向をそれぞれX方向、Y方向、Z方向と称する。また、液晶表示パネル804の画像表示面を基準として、遊技者に近づく方向を+Z方向、その逆の方向を−Z方向とする。同様に、遊技者の向かって左から右に向かう方向を+X方向とし、その逆の方向を−X方向とする。便宜上、液晶表示パネル804の表示エリア内で、遊技者から向かって一番左に表示される画素のX位置座標値を0とする。
Z方向の表示位置に関しては、実際にはZ方向に表示位置が変動しているのではなく、液晶表示パネル804に表示される右眼用画像と左眼用画像とのX方向の相対位置に基づき、遊技者の視覚中枢での処理によって遊技者が感覚として表示位置が「近い」、あるいは「遠い」と感じるように図柄が出現するものである。この感じ方は、遊技者の眼幅や体調等にも左右されるものであるが、本明細書中では便宜的に「近くに出現」、「手前に出現」、「遠くに出現」、「奥に出現」等の表現を用いることとする。また、図柄をこのように表示することを「立体表示する」と表現する。
変動表示されている「7」の図柄に関しては、上述のように表示内容そのものが変わるのに加えて、出現位置も変動するが、図8(a)では、ある瞬間における表示状態を示している。図8(a)において、固定表示される二つの「5」の図柄はもっとも奥側に出現し、変動表示されている「7」の図柄はもっとも手前側に出現している。
図8(b)は、変動表示されている「7」の図柄が立体的に出現する出現位置と、液晶表示パネル804に表示される「7」の図柄の右眼用画像および左眼用画像の表示位置との関係を、図8(a)のX−Z平面に投影した状態で図示している。また、同様に、図8(c)は、固定表示されている「5」の図柄が立体的に出現する出現位置と、液晶表示パネル804に表示される「5」の図柄の右眼用画像および左眼用画像の表示位置との関係を、図8(a)のX−Z平面に投影した状態で図示している。
図8(b)において、液晶表示パネル804に表示される左眼用画像IL7は遊技者の左眼ELのみによって、右眼用画像IR7は右眼ERのみによって観視される。その結果、「7」の立体像が融像され、あたかも+Zfの位置に「7」の図柄が立体表示されているかのように遊技者には感じられる。すなわち、+Zfの位置に「7」の図柄が出現する。
同様に、図8(c)において左眼用画像IL5は遊技者の左眼ELのみによって、右眼用画像IR5は右眼ERのみによって観視され、−Zrの位置に「5」の図柄が出現する。なお、図8(c)においては、理解を容易にするために、遊技者から向かって右側にある5の図柄のみが立体表示される様子を示しており、左眼用画像IL5、右眼用画像IR5をZ方向に若干ずらして図示している。
右眼用画像、左眼用画像のX方向表示位置に着目すると、図8(b)では左眼用画像IL7の表示位置が右眼用画像IR7の表示位置よりも右側(図8(b)において上側)にある。一方、図8(c)では右眼用画像IR5のX方向表示位置が左眼用画像IL5のX方向表示位置よりも右側にある。
ここで、左眼用画像のX方向の表示位置をLとし、右眼用画像のX方向の表示位置をRとしたとき、L−Rを「ピクセル差δ」と定義する。ピクセル差が図8(b)に示されるように「+」となっている場合、+Z側の位置に立体表示オブジェクトが出現し、図8(c)に示されるようにピクセル差が「−」となっている場合、−Z側の位置に立体表示オブジェクトが出現する。また、ピクセル差の絶対値が大きい程、液晶表示パネル804の表示面から離れる方向に立体表示されることになる。なお、左眼用、右眼用それぞれの画像の表示位置に関してであるが、たとえば表示される図柄の図心、一番左側の画素等、表示位置を定量化するのに都合のよいものを用いることが可能である。
ここで、変動表示される「7」の出現位置(最も手前に出現した立体表示オブジェクトの出現位置)と固定表示される「5」の出現位置(最も奥側に出現した立体表示オブジェクトの出現位置)とのZ方向の差について考える。これらの図柄のZ方向の出現位置の差は、Zf−(−Zr)=Zf+Zrと表すことができる。この値が大きい程、変動表示装置8に立体表示される立体画像(すなわち、立体表示オブジェクトの集合体としての画像)の立体感が強調されているといえる。よって、この値を立体度として定義することにより、遊技者の感覚に過ぎない立体感というものを数値的に扱うことが可能となる。上記の例では、遊技者にとって手前側の出現位置のZ軸座標値である+Zfと奥側の出現位置のZ軸座標値である−Zrとの差を取ったが、逆に差をとる、すなわち被減数と減数とを入れ替えてもよい。この場合、差はマイナスとなるが、差の絶対値が大きいほど全体としての立体感が強調され、立体度も大きくなる。つまり、差の絶対値を用いれば、図8(a)の例とは逆に「7」の図柄が奥側に出現され、「5」の図柄が手前側に出現されるような場合であっても、扱いを単純化することができるので都合がよい。
但し、立体画像を構成する立体表示オブジェクトの全てが画像表示面よりも手前側に出現している場合には、立体表示オブジェクト同士の出現位置の差を立体度として設定しないで、最も手前側に出現する立体表示オブジェクトの出現位置と画像表示面との距離を、立体度として設定する。同様に、立体画像を構成する立体表示オブジェクトの全てが画像表示面よりも奥側に出現している場合には、立体表示オブジェクト同士の出現位置の差を立体度として設定しないで、最も奥側に出現する立体表示オブジェクトの出現位置と画像表示面との距離を、立体度として設定する。
このように立体感の立体度を設定することにより、立体画像を見た遊技者が実際に感じ取る仮想空間(画像表示面の前後に広がって立体表示オブジェクトを立体的に出現させることのできる空間)の奥行方向の大きさを、数値的に表現することが可能となる。
先に説明した立体度が取りうる許容範囲には、範囲の上限と下限が設定される。そして、この上限を最大立体感とし、下限を最小立体感と定義することにする。つまり、最大立体感は、表示される立体画像のZ軸方向の奥行きととらえることができ、最大立体感が大きく設定されるほど、複数の図柄間のZ方向の相対的な出現位置(立体表示オブジェクト同士の奥行方向の相対的な出現位置)が大きく変動しうることになる。この最大立体感は、上述したように遊技店、遊技者によって設定される。
− ピクセル差を用いての定量評価・管理 −
前述した立体度の定義では、最も手前に出現した立体表示オブジェクトの出現位置と、最も奥側に出現した立体表示オブジェクトの出現位置とのZ方向の距離の値「Zf+Zr」をそのまま用いて定義を行っている。一方、立体表示オブジェクトの出現位置は前述した「ピクセル差δ」によって決定され、最も手前に出現した立体表示オブジェクトの出現位置を決定するための第1ピクセル差と、最も奥側に出現した立体表示オブジェクトの出現位置を決定するための第2ピクセル差とを得ることも可能である。そして、この第1ピクセル差、第2ピクセル差同士の「較差」の値は、距離の値「Zf+Zr」と相関があり、「較差」の増減にしたがって距離の値「Zf+Zr」も増減する。したがって、前述した立体度を、距離の値「Zf+Zr」ではなく、第1ピクセル差、第2ピクセル差同士の「較差」を用いることも可能である。
以下の実施の形態では、立体感を上述したピクセル差δを用いて定量評価し、ある瞬間における立体表示の立体感に対応する立体度が、予め設定された最大立体感を超さないように管理する例について、図8に加えて図9〜図11を参照して説明する。
図8(b)において、左眼用画像IL7と右眼用画像IR7とのピクセル差、たとえば左眼用画像IL7、右眼用画像IR7それぞれの図心の表示位置のX座標値の差は、XL7−XR7=δ7(>0)で表される。同様に、図8(c)において左眼用画像IL5と右眼用画像IR5とのピクセル差は、XL5−XR5=δ5(<0)となる。画像のZ方向の出現位置は、画像表示面から離れていなければ、このピクセル差にほぼ比例する。ここで、X方向の座標値としては、画像を構成する画素の位置に置き換えることができる。すなわち、画像の中心となる画素が、液晶表示パネル804の左から数えて何画素目に表示されるかをX方向の座標値とすることができる。
また、上述のように求めた画素のX方向の位置に、液晶表示パネル804の表示画素ピッチ(例えば0.3mm)を乗じ、表示画面上での実寸で扱うようにしてもよい。
以上のようにして求めたピクセル差δ7、δ5の差の絶対値(以下、これを「ピクセル差の較差」と称する)が、遊技者に観視される立体画像の立体感、すなわち二つの立体表示オブジェクト間の、Z方向出現位置の差の絶対値を評価する尺度となる。例えば、δ7=10、δ5=−6であれば、「ピクセル差の較差」は、 δ7−δ5=16となり、この値が立体度となる。したがって、
i)その時々に応じてZ方向の異なる位置に複数の立体表示オブジェクトが出現する場合に、リアルタイムで上述したピクセル差を、最も手前側および最も奥側に出現する立体表示オブジェクトに対応してそれぞれ求め、これらのピクセル差から「ピクセル差の較差」を算出し、
ii)上記「ピクセル差の較差」が最大立体感に相当する値よりも小さいかどうかを監視(管理)し、
iii)上記「ピクセル差の較差」が最大立体感に相当する値を超した場合には立体表示オブジェクトのZ方向表示位置を補正することにより、変動表示装置8にて遊技者に観視される立体画像の立体感を適正な範囲に収めることができる。
なお、以上の例では、「ピクセル差の較差」が「最大立体感」を超すことの無いように管理する例について説明したが、立体感の大きさの下限に相当する「最小立体感」を設定し、この「最小立体感」に基づいて画像のZ方向の出現位置を管理・補正することにより、ある程度の立体感を常に維持して立体表示することができて、立体画像が平板なものにならないようにすることも可能である。
図9は、CPU151(図3)により実行される、表示画像の管理処理内容を概略的に説明するフローチャートである。図9の処理は、V_SYNCに同期して1/60秒ごとに実行される。なお、出現位置をZ方向に自在に可変できる立体表示オブジェクトを可動オブジェクトと称し、出現位置を変更しない立体表示オブジェクトを固定オブジェクトと称する。
S901においてCPU151は、変動表示中の図柄、すなわち可動オブジェクト(図8(a)における「7」の図柄)のZ方向出現位置が前面空間にあるか、背面空間にあるか判定する。ここで、前面空間は液晶表示パネル804の画像表示面よりも遊技者側(+Z側)の空間を意味し、背面空間は画像表示面よりも奥側(−Z側)の空間を意味する。
可動オブジェクトのZ方向出現位置が前面空間にあると判定されると、CPU151はS902において、背面空間側に他のオブジェクト(図柄)が出現しているかどうかを判定する。なお、本例において、上述した他のオブジェクトは、固定オブジェクトのみで構成されているものとする。
S902での判定が肯定された場合の分岐先であるS910においてCPU151は、現状で設定されている立体度許容範囲の最大立体感にしたがって、最背面側に出現している(Z方向の出現位置座標がもっとも小さい)オブジェクト(例えば図8(a)における「5」の図柄)のZ方向出現位置を基準として、可動オブジェクトのZ方向の出現可能範囲(図の表示可能範囲に相当)を算出する。CPU151は、この出現可能範囲に基づいて可動オブジェクトを立体表示させるための右眼用画像、左眼用画像のピクセル差の許容範囲を算出する。
続くS940においてCPU151は、可動オブジェクトの既定の移動ルートマップを取得する。移動ルートマップとは、立体表示されるオブジェクトが表示空間中をどのように移動するかを予め定めた(プログラムした)マップである。このマップより、次の1/60秒間に表示される更新画像で、可動オブジェクトが出現する予定のZ方向の位置を求めることができる。
S941においてCPU151は、S940で取得した、更新画像中における可動オブジェクトのZ方向予定出現位置に基づいて、可動オブジェクトの補正前の出現位置におけるピクセル差(これを「予定ピクセル差」と称する)を算出し、この値とS910で算出したピクセル差の許容範囲とを比較する。そして、上記予定ピクセル差が許容範囲を超す場合にはS942に分岐して予定ピクセル差に補正を施すことにより、可動オブジェクトの移動ルートを補正し、S950に進む。一方、予定ピクセル差が許容範囲内であれば移動ルートの補正をすることなくS950に進む。
CPU151はS950において、更新後の画像に表示を切り替える割り込み処理タイミングになるのを待つ。そして、続くS951で可動オブジェクト・固定オブジェクトを出現させるための左眼用画像および右眼用画像を液晶表示パネル804に表示する処理を行う。
S952においてCPU151は、立体感表示インジケータ11の表示内容を、現状で設定されている立体度の許容範囲に基づいて更新し、S901に戻る。
以上に説明した処理内容について説明する。以上に説明した処理の流れでは、可動オブジェクトが前面空間に出現し、固定オブジェクトが背面空間に出現している。CPU151は、現状で設定されている最大立体感から、背面空間で最も奥側に出現している表示オブジェクトのZ方向出現位置を基準として出現可能範囲を算出する。そして、可動オブジェクトの次の表示更新タイミングにおける予定出現位置が出現可能範囲内に収まっていると判定されると、上述した予定ピクセル差に補正を施さずに更新画像の表示を行う。この様子が図10(a)に示されている。一方、予定出現位置が出現可能範囲外にあると判定されると予定ピクセル差に補正を施してから更新画像の表示を行う。この様子が図10(b)に示されている。
再び図9に戻り、S903、S920、S930の処理内容について説明する。S901において可動オブジェクトが背面空間にあると判定された場合の分岐先であるS903においてCPU151は、前面空間に他の表示オブジェクトがあるかないかを判定する。S903での判定が否定された場合、すなわち他の表示オブジェクトが液晶表示パネル804の画像表示面上か、背面空間に出現している場合には、S920に分岐する。
S920においてCPU151は、現状で設定されている最大立体感から、液晶表示パネル804の画像表示面(Z=0の面)を基準として可動オブジェクトのZ方向の出現可能範囲を算出する。CPU151は、この出現可能範囲に基づいて可動オブジェクトを立体表示させるための右眼用画像、左眼用画像のピクセル差の許容範囲を算出し、S940に進む。
S903の判定で、他の表示オブジェクトが前面空間側に出現していると判定された場合、CPU151はS930に分岐する。そして、現状で設定されている最大立体感から、最前面側に出現している表示オブジェクトのZ方向出現位置を基準として可動オブジェクトのZ方向の出現可能範囲を算出する。次いでCPU151は、この出現可能範囲に基づいて右眼用画像、左眼用画像のピクセル差の許容範囲を算出し、S940に進む。
上述したS903、S920、S930の処理と、それに続く処理とを合わせて説明する。
S903からS920、S940を経る処理は、可動オブジェクトおよび他の表示オブジェクトが共に液晶表示パネル804の画像表示面よりも背面側に出現している場合に行われる。この場合、CPU151は、液晶表示パネル804の画像表示面を基準として可動オブジェクトのZ方向の出現可能範囲を算出する。そして、可動オブジェクトの次の表示更新タイミングにおける予定出現位置が出現可能範囲内に収まっていると判定されると上述した予定ピクセル差に補正を施さずに更新画像の表示を行う。この様子が図10(c)に示されている。一方、予定出現位置が出現可能範囲外にあると判定されると予定ピクセル差に補正を施してから更新画像の表示を行う。この様子が図10(d)に示されている。
S903からS930、S940を経る処理は、可動オブジェクトが背面空間側に出現し、他の表示オブジェクトが前面空間側に出現している場合に行われる。この場合、CPU151は、その他の表示オブジェクトの最前面側の出現位置を基準として可動オブジェクトのZ方向の出現可能範囲を算出する。そして、可動オブジェクトの次の表示更新タイミングにおける予定出現位置が出現可能範囲内に収まっていると判定されると上述した予定ピクセル差に補正を施さずに更新画像の表示を行う。この様子が図11(a)に示されている。一方、予定出現位置が出現可能範囲外にあると判定されると予定ピクセル差に補正を施してから更新画像の表示を行う。この様子が図11(b)に示されている。
また、S902で、その他の表示オブジェクトが液晶表示パネル804の画像表示面上か前面空間側に出現していると判定された場合、CPU151はS920、S940を経てそれに後続する処理を行う。この処理は、可動オブジェクトおよび他の立体表示オブジェクトが共に液晶表示パネル804の画像表示面上か前面空間側に出現している場合に行われる。この場合、CPU151は、液晶表示パネル804の画像表示面を基準として可動オブジェクトのZ方向の出現可能範囲を算出する。そして、可動オブジェクトの次の表示更新タイミングにおける予定出現位置が出現可能範囲内に収まっていると判定されると上述した予定ピクセル差に補正を施さずに更新画像の表示を行う。この様子が図11(c)に示されている。一方、予定出現位置が出現可能範囲外にあると判定されると予定ピクセル差に補正を施してから更新画像の表示を行う。この様子が図11(d)に示されている。
以上に説明を整理すると、図10、11において可動オブジェクトOMと、他の表示オブジェクトOFとが、液晶表示パネル804の表示面を挟んで対向するように出現している場合、以下のように出現可能範囲が設定される。すなわち、他のオブジェクトOF中で、液晶表示パネル804の表示面から最も離れて表示されているオブジェクトのZ方向出現位置を基準として可動オブジェクトOMの出現可能範囲が決定される。図10(a)、(b)、図11(a)、(b)に示されるような場合がこれに該当する。一方、可動オブジェクトOMおよび他のオブジェクトOFが共に液晶表示パネル804の表示面の前面側または背面側に出現している場合は、この表示面(Z=0の面)を基準として出現可能範囲が決定される。図10(c)、(d)、図11(c)、(d)に示されるような場合がこれに相当する。
以上ではまた、可動オブジェクトOMのみ、画像の出現位置が変動する一方、他のオブジェクトOFは少なくともZ方向には固定されている例について説明した。本発明はこれに限られるものではなく、例えば他のオブジェクトOFのZ方向出現位置が変動してもよい。この場合、1/60秒ごとに行われる表示画像の更新タイミングで可動オブジェクトOMおよび他のオブジェクトOFの予定出現位置を移動ルートマップから読みとり、上述した処理を行えばよい。そして可動オブジェクトOM、他のオブジェクトOFのZ方向出現位置を補正する場合、可動オブジェクトOMの出現位置および他のオブジェクトOFの出現位置のうち、少なくともいずれかを補正すればよい。
なお、本実施の形態では、可動オブジェクトの出現位置が移動するルートを予め定めておいて、可動オブジェクトが移動する毎に出現位置が許容範囲を満たすか否かを判定しながら、その都度、可動オブジェクトの出現位置を補正しているが、可動オブジェクトの出現位置が許容範囲を満たしているかの判定は、他のタイミングで行っても良い。例えば、最初に可動オブジェクトを出現させる前に、予め定めてある可動オブジェクトの出現位置の移動ルートの全体が許容範囲に収まるかを判定し、許容範囲に収まらない場合には、移動ルートの全体を許容範囲に納めるように変形させる処理(例えば、図10の楕円形の移動ルートを相似変形して許容範囲に収めるような処理)を行った後に、可動オブジェクトの出現を開始するようにしてもよい。
− 仮想空間内のZ値差分を用いての定量評価・管理 −
上記の例は、立体画像を形成するための右眼用画像、左眼用画像のピクセル差を用い、立体表示される画像が所定の立体感を超すことがないように、表示される画像を定量評価・管理するものであった。以下では、表示される立体画像の定量評価・管理をする際に、仮想空間内のZ値差分(距離情報)を用いる例について説明する。このZ値差分の値は、最も手前に出現した立体表示オブジェクトの出現位置と、最も奥側に出現した立体表示オブジェクトの出現位置とのZ方向の距離の値「Zf+Zr」を、極めて正確に近似することが可能である。
まず、仮想空間のZ値差分について説明する。いわゆる3Dグラフィクスでは、表示しようとする物体(表示オブジェクト)を3次元の仮想空間内の所定の位置に配置してレンダリング処理をすることにより、2次元のディスプレイに表示するための2次元画像データを得る。この仮想空間は、図8(a)におけるX、Y、Z軸で定義される立体表示空間に置き換えることが可能である。すなわち、仮想空間内のZ値差分とは、XYZ空間として定義可能な仮想空間内に複数のオブジェクトを配置する際の、これら複数のオブジェクト間のZ方向の距離に相当する
図12は、背面空間に表示対象となるオブジェクトのモデルを配置し、レンダリングする手順を模式的に描いた図である。図12(a)、(b)では、背面空間中の座標(X1、Y1、Z1)にモデルM1を配置し、あたかも遊技者の左眼EL、右眼ERそれぞれの位置に相当する場所からモデルM1の像を画像表示面に投影して撮影するかのようにして左眼用画像IL1、右眼用画像IR1が得られる様子を示している。
図12(c)、(d)では、前面空間中の座標(X2、Y2、Z2)にモデルM2を配置し、あたかも遊技者の左眼EL、右眼ERそれぞれの位置に相当する場所からモデルM2の像を画像表示面に投影して撮影するかのようにして左眼用画像IL2、右眼用画像IR2が得られる様子を示している。
図12の例では、座標(X1、Y1、Z1)に配置されるモデルM1と、座標(X2、Y2、Z2)に配置されるモデルM2とのZ方向の距離、すなわち、それぞれのモデルのZ方向の配置位置を定義する座標Z1とZ2との差の絶対値がZ値差分として定義され、このZ値差分を立体画像の立体感を定量化した値(立体度)として用いている。本例では、遊技者が観視する立体画像の立体度が最大立体感を超すことがないよう、Z値差分を用いて管理される。
なお、3次元空間中に配置されるモデルの位置を定義するには、そのモデルごとに定められている基準点の位置の座標を特定すればよい。あるいは、モデル中で最前面側にある点の座標をモデルの位置座標に定めてもよい。さらに、モデルを形成する複数のポリゴン中で代表のポリゴンを定め、さらにその代表ポリゴンを定義する複数の頂点の中から代表頂点を定め、その代表頂点の座標をモデルの位置座標としてもよい。
図13(a)は、上記の方法によって可動オブジェクトOM1、他のオブジェクトOS1の立体画像のZ方向出現位置が管理され、必要に応じて補正される様子を示している。図13(a)に示される例においても、図9〜図11を参照して説明したのと同様に、可動オブジェクトOM1のZ方向出現位置、他のオブジェクトOS1のZ方向出現位置、液晶ディスプレイ804の画像表示面の相対位置関係に基づいて立体画像の出現可能範囲の基準位置が決められる。そして、その基準位置と、設定されている最大立体感とから、可動オブジェクトOM1のZ方向出現可能範囲が決められる。図13(a)においては、他のオブジェクトOS1のZ方向出現位置を基準として出現可能範囲が決定され、その出現可能範囲中に可動オブジェクトOM1が出現している例が示されている。
CPU151による処理の内容を概略的に示すフローチャートである図14を参照し、上述した処理の内容について説明する。なお、図14において、図9に示すフローチャートと同様の処理ステップには同じステップ番号を付し、処理内容の説明を囲う枠を波線で示してその説明を省略する。
可動オブジェクトが前面空間に、他のオブジェクトが背面空間にある場合の分岐先であるS1410でCPU151は、設定されている最大立体感に基づき、最背面に表示されるオブジェクトのZ方向出現位置を基準として可動オブジェクトの移動可能範囲を決定する。
可動オブジェクトおよび他のオブジェクトが共に画像表示面上か同じ側の空間(前面空間または背面空間)にある場合の分岐先であるS1420でCPU151は、設定されている最大立体感に基づき、液晶表示パネル804の画像表示面を基準として可動オブジェクトの移動可能範囲を決定する。
可動オブジェクトが背面空間に、他のオブジェクトが前面空間にある場合の分岐先であるS1430でCPU151は、設定されている最大立体感に基づき、最前面に表示されるオブジェクトのZ方向表示位置を基準として可動オブジェクトの移動可能範囲を決定する。
S1441においてCPU151は、S940で取得した可動オブジェクトのZ方向の予定出現位置が、S1410、S1420、およびS1430のうちのいずれかのステップで決定された移動可能範囲内にあるか否かを判定する。S1441での判定が否定されると、S1442で可動オブジェクトのZ方向出現位置を補正する一方、肯定されると可動オブジェクトのZ方向出現位置を補正することなくS950に進む。
以上のようにして、遊技者の好みに応じて設定された最大立体感を超すことがないように立体表示がなされるので、より自然で、長時間にわたって観視し続けても眼の疲れを軽減することが可能となる。
以上では、可動オブジェクトOM1のZ方向出現位置、Z方向の出現位置が固定されている他のオブジェクトOS1のZ方向出現位置、液晶ディスプレイ804の画像表示面の相対位置関係に基づいて立体画像の出現可能範囲の基準位置が決められる例について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、可動オブジェクト、他のオブジェクトともにZ方向の出現位置が時々刻々と変化するものであってもよい。この例について図13(b)を参照して説明する。
図13(b)では、二つの可動オブジェクトOMa、OMbが同時に立体表示されている例を示している。CPU151は、次の1/60秒の画像表示タイミングにおける二つの可動オブジェクトOMa、OMbの予定表示位置を移動ルートマップから読みとる。そして、液晶表示パネル804の画像表示面(Z=0)、可動オブジェクトOMa、OMbそれぞれのZ方向出現位置のうち、最前面に位置するもののZ座標(≧0)と、最背面に位置するもののZ座標(≦0)との差が設定されている最大立体感を超すか否かを判定する。もし、最大立体感を超すと判定された場合、二つの可動オブジェクトOMa、OMbそれぞれのZ方向出現位置のうち、少なくともいずれかの出現位置を補正する。すなわち、図13(b)に示す例において、可動オブジェクトOMaのZ方向出現位置が前面空間側に向かって変化しつつある場合、可動オブジェクトOMbのZ方向出現位置の自由度は前面空間側に増すことになる。複数の移動オブジェクトのZ方向出現位置が、いわばお互いの出現位置を監視するようにして補正されるので、図柄のZ方向出現位置の自由度が増し、効果的な表示を行うことができる。
図13(b)に示す例では、同時に二つの可動オブジェクトOMa、OMbが出現する例について説明したが、本発明において出現するオブジェクトの数はこれに限られるものではない。すなわち、3以上の可動オブジェクトが同時に出現したり、複数の可動オブジェクトに加えて静止表示されるオブジェクトが同時に出現するものであってもよい。
また、以上に説明したとおり、可動オブジェクト、他のオブジェクト、および液晶表示パネル804の画像表示面の位置関係に基づいて、あるいは複数の可動オブジェクトと液晶表示パネル804の画像表示面との位置関係に基づいて、可動オブジェクトの出現可能範囲の基準が定められるのが望ましい。しかし、表示可能範囲の基準を定める際に、液晶表示パネル804の画像表示面の位置を考慮せず、表示される複数のオブジェクトのZ方向の位置のみに基づいて上記基準が定められるものであってもよい。
− 遊技者による最大立体感の設定 −
遊技者による許容範囲の設定は、図8(a)に示すように、変動表示ゲームにより識別情報の表示が行われているときに可能となるのが望ましい。何故ならば、この変動表示ゲームの結果に対応して、遊技者に特典を付与する特別遊技状態(大当たり)が発生するので、遊技者は識別情報(図中の「5」、「7」等の図柄)の表示内容を最も注目するからである。特に、3つの識別情報が揃って停止表示される場合に特別遊技状態が発生するので、2つの識別情報が揃って停止表示して、残りの識別情報のみが変動表示している状態(リーチ状態)のときは、遊技者の注目度が、より一層高まることになる。
このリーチ状態では、図8(a)に示すように、二つの図柄「5」が確定して固定表示されている。このように、少なくとも二つの図柄が固定表示されているときに、設定された許容範囲に応じて互いにZ方向に離れた位置にこれらの図柄を固定表示することにより、許容範囲がどのように設定されているのかを遊技者は容易に確認することができる。以下、リーチ状態のときに遊技者によって許容範囲の設定が行われる様子を、図15を参照して説明する。
図15は、CPU151によって実行される、許容範囲設定変更処理の内容を概略的に示すフローチャートである。この許容範囲設定変更処理は、遊技者が左赤外センサ17aまたは右赤外センサ17cの反応エリアに手指をかざしたことをCPU151が検出することにより実行される。
S1500においてCPU151は、割り込み表示タイマを初期化する。この割り込み表示タイマは、許容範囲の設定変更に伴う操作が行われなくなってから所定時間が経過したときに、許容範囲の設定変更割り込み処理から抜け出すためのものである。
S1501においてCPU151は、確定図柄等の固定図柄が2つ以上あるかどうかを判定する。この判定が肯定されるとS1502に進む一方、否定された場合には何もせずにリターンする。
S1502においてCPU151は、現状で設定されている許容範囲に丁度収まる立体度となる立体画像を表示するために、立体表示オブジェクトとなる2つの固定図柄を、許容範囲内の最も奥側となる箇所と、許容範囲内の最も手前側となる箇所に、それぞれ出現させる。
CPU151は、S1503において遊技者による操作内容を判定し、操作なし(いずれの赤外センサも反応していない)と判定するとS1530に分岐し、範囲拡張操作あり(例えば、左赤外センサ17aが反応している)と判定するとS1510に分岐し、範囲縮小操作あり(例えば、右赤外センサ17cが反応している)と判定するとS1520に分岐する。
S1510においてCPU151は、現状で設定されている許容範囲が、設定可能範囲の上限に達しているか否かを判定し、判定の結果肯定された場合、すなわちこれ以上許容範囲を広げることはできないと判定された場合は、何もせずにS1523に進む。S1510での判定が否定された場合、すなわち許容範囲の範囲拡張が可能であると判定された場合、S1511に分岐する。
CPU151は、S1511において許容範囲を拡張し、拡張された許容範囲内の最も奥側となる箇所と、許容範囲内の最も手前側となる箇所に、立体表示オブジェクトとなる2つの固定図柄をそれぞれ出現させる。
S1512においてCPU151は、立体感表示インジケータ11(図1)の表示内容を更新し、S1523に進む。
S1503で、範囲縮小操作ありと判定された場合の分岐先であるS1520においてCPU151は、現状で設定されている許容範囲が、設定可能範囲の下限に達しているか否かを判定し、判定の結果肯定された場合、すなわちこれ以上許容範囲を縮小することはできないと判定した場合には、何もせずにS1523に進む。S1520での判定が否定された場合、すなわち許容範囲の範囲縮小が可能であると判定された場合、S1521に分岐する。
S1521でCPU151は、許容範囲を縮小し、縮小された許容範囲内の最も奥側となる箇所と、許容範囲内の最も手前側となる箇所に、立体表示オブジェクトとなる2つの固定図柄をそれぞれ出現させる。
S1522においてCPU151は、立体感表示インジケータ11の表示内容を更新し、S1523に進む。
CPU151は、S1523において割り込み表示タイマをクリアし、S1503に戻る。
図16は、変動表示装置8に画像が表示される様子を模式的に示す図であり、変動表示装置8および遊技者を上方から見た様子を示す平面図である。CPU151による以上の処理内容について、図16を参照して説明する。S1501での判定が肯定され、S1502の処理が実行されると、変動表示装置8の画像表示状態は、図16(a)に示す状態から図16(b)に示す状態へと変化する。すなわち、2つの固定図柄OF1、OF2のうち、固定図柄OF1は現状で設定されている許容範囲内の最も奥側となる箇所に出現し、固定図柄OF2は許容範囲内の最も手前側となる箇所に出現する。
S1503で範囲拡大操作であると判定され、S1510の判定が否定され、S1511が実行されると、表示可能範囲が拡大され、それにともなって画像表示状態が、図16(b)に示す状態から図16(c)に示す状態へ、あるいは図16(c)に示す状態から図16(d)に示す状態へと変化する。すなわち、2つの固定図柄OF1、OF2のZ方向の表示間隔が、許容範囲(出現可能範囲)の拡大に対応して広げられている。
S1503で範囲縮小操作であると判定され、S1520の判定が否定され、S1521が実行されると、表示可能範囲が縮小され、それにともなって画像表示状態が、図16(d)に示す状態から図16(c)に示す状態へ、あるいは図16(c)に示す状態から図16(b)に示す状態へと変化する。すなわち、2つの固定図柄OF1、OF2のZ方向の表示間隔が、許容範囲(出現可能範囲)の縮小に対応して狭められている。
再度図15を参照し、S1523、S1530の処理について説明する。S1503で範囲拡張操作または範囲縮小操作がなされたと判定された場合、CPU151は図16を参照して以上に説明したような処理をした後、S1523で割り込み表示タイマをクリアする。すなわち、範囲拡張操作または範囲縮小操作が継続して行われる間、このタイマはクリアされる。そして、上記いずれの操作もされない状態が続くと、S1503、S1530の処理が繰り返し実行される。そしてS1530で、上記いずれの操作もされない状態が始まってから所定の時間が経過したことをCPU151が判定すると、リターンし、変動表示装置8の表示内容は以前の状態に戻る。
図16では、設定された許容範囲に基づいて出現可能範囲が決定され、その出現可能範囲に対応して、遊技者から見て手前側に出現する固定図柄OF2の出現位置が変更される例が示されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、固定図柄OF1、OF2双方の出現位置が共に変更されてもよいし、あるいは固定図柄OF1の出現位置が変更されるものであってもよい。
また、以上では許容範囲の上限、すなわち最大立体感が設定変更される例を示したが、許容範囲の下限、すなわち最小立体感が設定変更されるようにしても良い。
さらに、以上では、いわゆるリーチ状態のときに立体画像の立体度の許容範囲の設定変更が行われる例について説明したが、例えばCPU151が赤外センサ17a〜17cのいずれかが反応したことを検知した場合に、遊技の進行状態を一時中断(変動表示ゲームの進行を中断)して図17に例示されるような、予め用意されたデモ画面(立体度許容範囲設定度画面)に切り換えるようにしてもよい。
図17は、立体画像の立体度の許容範囲の設定を変更さる際に表示されるデモ画面の一例を示す。変動表示装置8を構成する液晶表示パネル804の手前側および奥側のそれぞれに図柄OF1、OF2が出現し、そして液晶表示パネル804の画像表示面上には立体画像の立体度の許容範囲の設定中である旨の表示がなされる。許容範囲の設定が変更されるのに応じて図柄OF1、OF2のZ方向の出現位置が変更され、立体感表示インジケータ11の表示内容も更新される。デモ画面表示用の画像データは、フォントROM157(図3)に格納されている。遊技者が許容範囲変更の操作を中止してから所定の時間が経過すると、図17に示すデモ画面の表示が終了し、遊技の進行が再開する。このように、遊技の進行を中断して、許容範囲の設定変更のデモ画面に切り換えてから、遊技者に操作を行わせるようにすると、遊技者は、変動表示ゲームの進行状態を気にせず、設定変更操作に専念することが出来る。
− 設定された許容範囲の初期化・遊技継続時間の経過に伴う許容範囲縮小 −
以上に説明した許容範囲は、遊技者の好みに応じて設定されるものである。したがって、その遊技者が遊技を終えて、遊技台から離れた場合、設定された許容範囲を、初期状態であるデフォルト値(例えば、工場出荷時に設定されていたり、遊技店用スイッチ17dを用いて遊技店が設定することも可能)に戻すことが望ましい。ただし、遊技者が遊技台から離れるのは、遊技を完了したときだけでなく、何かの用事を足すために一時的に離席することもある。
また、遊技者が連続して遊技をするような場合、変動表示装置8に表示される画像を観視し続ける時間も長くなる。遊技時間の経過に伴い、遊技者の疲労が増すこともある。
そこで、本発明に係る遊技機では、以下に説明するようにして遊技者が遊技を完了したことを判定して、設定された許容範囲をデフォルトの設定に戻すと共に、遊技時間が長引いていると判定される場合には表示される画像の立体感を減少させる。
図18は、CPU151によって実行される上記の処理手順を説明する概略フローチャートである。図18に示す処理手順は、ソフトウェアタイマまたはハードウェアタイマにより、一定の時間間隔をおいて割り込みがかけられるのに応じて実行される。
S1800においてCPU151は、図柄変動待機状態、すなわち図7の状態遷移図における客待ち状態であるかどうかを判定する。S1800で、図柄変動待機状態と判定された場合の分岐先であるS1801においてCPU151は、待機タイマを加算する。待機タイマとは、遊技が中断されていると判定される状態がどれくらい続いているかを計時するためのタイマである。
続くS1802においてCPU151は、待機タイマがタイムアップしたか、すなわち遊技が中断されていると判定されている時間が、所定時間(例えば3分)に達したか否かを判定する。
S1802で、待機タイマがタイムアップしたと判定された場合、CPU151はS1803に進み、許容範囲の設定値をデフォルトの値に戻し、それに連動して立体感表示インジケータ11の表示を初期状態に戻す。
続くS1820でCPU151は、遊技タイマをクリアし、S1821で待機タイマをクリアしてリターンする。上記の遊技タイマは、遊技者が遊技を継続していると判定される時間(遊技開始後の経過時間)がどれくらいかを計時するためのタイマである。
S1800で、図柄変動待機状態ではない、すなわち遊技がまだ継続していると判定された場合の分岐先であるS1810においてCPU151は、待機タイマをクリアする。
CPU151は、S1811において遊技タイマを加算し、S1812で遊技タイマがタイムアップしたか否か、すなわち遊技者が遊技を開始してから所定の時間(例えば1時間)が経過したか否かを判定する。CPU151は、この判定が否定されると何もせずにリターンする。
S1812で遊技タイマがタイムアップしたと判定された場合の分岐先であるS1813において、CPU151は、許容範囲が設定可能範囲の下限に設定されているか否かを判定し、否定された場合にはS1814に分岐して許容範囲の設定を1ランク下げ、それに合わせて立体感表示インジケータ11の表示も更新する。一方、S1813での判定が肯定された場合は何もせずにS1820に分岐する。
CPU151により実行される以上の処理について説明する。図18に示される処理の中では、2つのタイマ、すなわち遊技者が遊技を継続していると判定される時間を計時する遊技タイマと、遊技が中断されていると判定される時間を計時する待機タイマの計時・判定が行われ、その判定結果に基づいて許容範囲の設定変更が行われる。
S1800、S1801、S1802、S1803、S1820、S1821と続く処理の流れでは、遊技が中断されて所定の時間が経過したとCPU151によって判定され、許容範囲の設定がデフォルト値に戻されるとともに、遊技タイマ、待機タイマの双方がクリアされる。
S1800、S1801、S1802、S1811、S1812、S1813、S1814、S1820、S1821と続く処理の流れでは、遊技機が図柄変動待機状態になってからそれほど時間が経過していないので、CPU151はまだ遊技が継続していると判定して遊技タイマを加算する。そして遊技タイマがタイムアップしたと判定するのに伴い、許容範囲を範囲が狭くなる方向へ1ランク下げ、それに応じて変動表示画面8および立体感表示インジケータ11の表示内容を変更し、遊技タイマおよび待機タイマをクリアする。その後も遊技が続けられ、さらに所定の時間が経過したとCPU151が判定すると、設定可能範囲の下限に達するまで許容範囲を1ランクづつ下げる。このようにして、変動表示画面8に表示される立体画像の立体感が徐々に減少されてゆくので、遊技者が違和感を感じることなく、かつ遊技者の疲れを軽減することが可能となる。
S1800、S1810、S1811、S1812、S1813、S1814、S1820、S1821と続く処理の流れでは、遊技機が図柄変動状態になっているので待機タイマがクリアされ、遊技タイマが加算される。そして、遊技タイマが遊技タイマがタイムアップしたと判定するのに伴い、許容範囲を1ランク下げ、それに応じて変動表示画面8および立体感表示インジケータ11の表示内容を変更し、遊技タイマおよび待機タイマをクリアする。その後も遊技が続けられ、さらに所定の時間が経過したとCPU151が判定すると、設定可能範囲の下限に達するまで許容範囲を1ランクづつ下げるのは上記の処理の流れと同様である。
CPU151は、以上のようにして遊技者が遊技を中止して所定の時間が経過したと判定すると設定されている許容範囲をデフォルトの値に戻し、遊技が所定の時間を超して継続していると判定すると許容範囲を1ランク下げ、その後も継続して遊技時間の時間を計時する。そして、所定の時間が経過する度に、設定可能範囲の下限に達するまで許容範囲を1ランクづつ下げる。
上記では、遊技が継続しているか否かを判定するために、図柄変動待機状態になってからの経過時間を計時する例について説明した。このようにすることにより、特別なセンサ等を増設することなく遊技の継続の有無を判定することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば他の入賞口センサやカウントセンサ54からの信号を検出することも可能である。また、遊技機の背面側で遊技機外に排出されてゆく遊技球の流れをセンサで検出してもよいし、打球発射装置の操作部24にタッチセンサを設けてもよい。あるいは、遊技機の盤面下部に、遊技者の存否を検出するための赤外センサを設けてもよい。
また、本発明の遊技機のように、変動表示ゲームの結果に対応して遊技者に特典を付与する特別遊技状態を生起する遊技制御手段を備えた遊技機においては、その遊技状態に対応して、立体画像の立体度の許容範囲が変化するように構成しても良い。例えば、大当たりである特別遊技状態のときは、通常の遊技状態よりも、許容範囲の上限(最大立体感)や下限(最小立体感)を変化させることにより、特別遊技状態に表示される立体画像の立体感を、より強調させるようにしてもよい。
あるいは、特別遊技状態が発生する直前の立体画像の立体度(又は許容範囲)に対応して、特別遊技状態における許容範囲を設定してもよい。例えば、立体画像の立体度が所定値よりも大きいリーチ態様を経て、つまり立体感が強調されたリーチ態様の画面で大当たりとなった場合は、特別遊技状態における許容範囲の上限(最大立体感)を、リーチ時よりも小さくして遊技者の眼を休ませたりしてもよい。逆に、立体画像の立体度が所定値よりも小さいリーチ態様を経て、つまり立体感が小さくなるように抑制されたリーチ態様の画面で大当たりとなった場合に、特別遊技状態における許容範囲の下限(最小立体感)を大きくして、リーチ時よりも大きくして立体感を強調させてもよい。
特許請求の範囲に記載した以外の本発明の観点の代表的なものとして、次のものがあげられる。
(1)両眼視差により遊技者が立体画像を観視可能な立体画像表示装置を備えた遊技機において、前記立体画像表示装置にて遊技者に観視される立体画像は、単数又は複数の立体表示オブジェクトにより構成され、この立体画像の立体感を、前記立体表示オブジェクトの出現位置に関連して、立体度として定量化する立体感定量化手段と、前記立体度の許容範囲を設定可能な許容範囲設定手段と、前記立体度が、前記許容範囲設定手段により設定された許容範囲内に収まるように管理する制御を行う立体画像管理制御手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。
(2)両眼視差により遊技者が立体画像を観察可能な立体画像表示装置を備えた遊技機において、前記立体画像表示装置にて遊技者に観視される立体画像は、単数又は複数の立体表示オブジェクトにより構成され、この立体画像の立体感を、立体表示オブジェクトの出現位置に関連して、立体度として定量化する立体感定量化手段と、前記立体度の許容範囲を設定可能な許容範囲設定手段と、前記立体度が、前記許容範囲設定手段により設定された許容範囲内に収まっているか否かを判定する立体度判定手段と、前記立体度判定手段によって立体度が前記許容範囲外にあると判定される場合に、立体画像の立体度が前記許容範囲内に収まるように、前記立体表示オブジェクトの出現位置を補正する立体画像補正手段と、を有することを特徴とする遊技機。
(3)前記許容範囲設定手段による許容範囲の設定状態を表示する設定状態表示手段をさらに有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の遊技機。
(4)前記設定状態表示手段は、前記立体画像表示装置の画像表示面内にて、又はこの画像表示面近傍の箇所にて、前記許容範囲の設定状態を表示することを特徴とする(3)に記載の遊技機。
(5)前記許容範囲設定手段は、前記立体画像表示装置において複数の立体表示オブジェクトが奥行方向に間隔を空けて出現しているときに、前記許容範囲を設定変更可能であるとともに、前記許容範囲の設定変更内容に対応して、前記複数の立体表示オブジェクト同士の出現位置の間隔を変更することを特徴とする(1)から(4)のいずれか1つに記載の遊技機。
(6)前記許容範囲設定手段による前記許容範囲の設定を行う際に、予め用意された立体度許容範囲設定用画面を表示することを特徴とする、(1)から(4)のいずれか1つに記載の遊技機。
(7)遊技者の不在を判定する遊技者不在判定手段と、前記遊技者不在判定手段が遊技者不在と判定したときに、前記許容範囲を予め設定されている初期状態に変える許容範囲初期化手段と、をさらに有することを特徴とする(1)から(6)のいずれか1つに記載の遊技機。
(8)遊技者が遊技を開始してからの経過時間を計測する遊技時間計測手段と、前記遊技時間計測手段により計測された前記経過時間の増大に伴い、前記許容範囲を縮小する許容範囲縮小手段と、をさらに有することを特徴とする(1)から(7)のいずれか1つに記載の遊技機。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。