JP4027005B2 - テレビジョンチューナ出力回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョンチューナ出力回路に係わり、特に、集合型集積回路の中間周波信号出力端とチューナ出力端子との間に接続され、中間周波信号利得を低下させずに不要周波数信号成分を大幅に減衰させ、静電気の除去を可能にしたローパス型フィルタ回路からなるテレビジョンチューナ出力回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレビジョンチューナにおいては、周波数混合回路(MIX)、局部発振回路(LOSC)、位相同期回路(PLL)、中間周波増幅回路(IF AMP)からなる回路部分を一体的に集積化した集合型集積回路(MOP IC)を用いたものが知られている。この集合型集積回路は、局部発振回路が局部発振信号を発生し、位相同期回路が局部発振回路の局部発振信号の周波数を安定化し、周波数混合回路が受信した無線周波(RF)信号と局部発振回路が出力した局部発振信号とを周波数混合し、それらの信号の差周波数からなる中間周波(IF)信号を発生し、中間周波増幅回路が周波数混合回路で発生した中間周波信号を増幅している。そして、中間周波信号は、中間周波増幅回路の出力側に設けた中間周波信号出力端から取り出され、中間周波信号よりも高い周波数の不要な信号成分を除去するローパス型フィルタ回路を通してチューナ出力端子に伝送され、チューナ出力端子に接続された表面弾性波フィルタ(SAW FIL)等の外部回路に供給される。この場合、ローパス型フィルタ回路は、テレビジョンチューナ出力回路を構成している。
【0003】
ここで、図2は、既知のテレビジョンチューナ出力回路の構成の一例を示す回路図であって、テレビジョンチューナ出力回路とともにその周辺回路を併せて表している。
【0004】
図2に示されるように、テレビジョンチューナ20は、集合型集積回路(MOP IC)21と、テレビジョンチューナ出力回路であるローパス型フィルタ回路22と、水晶発振器(XTAL)23と、チューナ出力端子24とを備えている。また、テレビジョンチューナ20は、外部に、表面弾性波フィルタ(SAWFIL)25やビデオ中間周波信号用集積回路(VIF IC)26等が接続配置される。
【0005】
そして、集合型集積回路21は、周波数混合回路(MIX)211 と、局部発振回路(LOSC)212 と、位相同期回路(PLL)213 と、中間周波増幅回路(IF AMP)214 とを一体的に集積回路化したもので、中間周波増幅回路214 には中間周波信号出力端215 が設けられ、位相同期回路213 には基準信号入力端216 が設けられ、周波数混合回路211 には無線周波(RF)信号入力端217 が設けられている。中間周波信号出力端215 はローパス型フィルタ回路22の入力端に接続され、基準信号入力端216 は水晶発振器23の出力端に接続され、無線周波信号入力端217 は図示されていない無線周波信号増幅回路の出力端に接続される。また、ローパス型フィルタ回路22は、入力端と出力端との間に直列接続されたインダクタ221 と、出力端と接地点との間に分路接続されたコンデンサ222 とからなっており、出力端がチューナ出力端子24に接続される。さらに、テレビジョンチューナ20の外部に配置される表面弾性波フィルタ25は、入力端がチューナ出力端子24に接続され、出力端がビデオ中間周波信号用集積回路26の入力端に接続される。
【0006】
この場合、ローパス型フィルタ回路22は、中間周波増幅回路214 から出力された中間周波信号を伝送通過させるもので、インダクタ221 のインダクタンス値及びコンデンサ222 の容量値が中間周波信号よりも高い周波数の不要信号を減衰させるような定数にそれぞれ設定されている。
【0007】
このような構成を具備するローパス型フィルタ回路22(テレビジョンチューナ出力回路)を用いることにより、集合型集積回路21の中間周波増幅回路214 から出力された中間周波信号は、ローパス型フィルタ回路22で殆んど減衰されずにチューナ出力端子24に供給され、チューナ出力端子24に接続された表面弾性波フィルタ25で不要な周波数信号成分がさらに除去された後、ビデオ中間周波信号用集積回路26に供給される。一方、の中間周波増幅回路214 から出力された中間周波信号よりも高い周波数の不要な信号成分は、ローパス型フィルタ回路22で減衰されてチューナ出力端子24に殆んど供給されず、表面弾性波フィルタ25にも殆んど供給されない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記既知のテレビジョンチューナ出力回路(ローパス型フィルタ回路22)は、集合型集積回路21の中間周波信号出力端215 から中間周波信号が出力された場合、中間周波信号がローパス型フィルタ回路22を通してチューナ出力端子24に伝送される。このとき、ローパス型フィルタ回路22は、中間周波信号に重畳されている中間周波信号の周波数よりも高い周波数の不要な信号成分を除去する機能があるものの、集合型集積回路21内でリークして中間周波信号に重畳出力される中間周波信号の周波数(例えば、56.5MHz)よりも低い不要な信号成分である水晶発振器23の発振信号の周波数(例えば、4MHz)を除去する機能がないので、中間周波信号に重畳されている水晶発振器23の発振信号は、ローパス型フィルタ回路22で除去されず、そのままテレビジョンチューナ20のチューナ出力端子24から出力されてしまう。
【0009】
これとは別に、テレビジョンチューナ20を製造している際またはテレビジョンチューナ20をテレビジョンセット内に組み込んでいる際等においては、テレビジョンチューナ20内に静電気による高電圧が発生し、この静電気による高電圧が集合型集積回路21の中間周波信号出力端215 から出力され、ローパス型フィルタ回路22に印加されることがある。
【0010】
このとき、前記既知のテレビジョンチューナ出力回路(ローパス型フィルタ回路22)は、何等かの原因によって発生した静電気による高電圧を殆んど減衰しない状態で通過させるもので、規格に定められている静電破壊耐性を満たしていないものである。すなわち、前記既知のテレビジョンチューナ出力回路(ローパス型フィルタ回路22)を用いた場合、チューナ出力端子24の近傍に発生した静電気による高電圧は、チューナ出力端子24に表面弾性波フィルタ25が接続されていると、表面弾性波フィルタ25に印加されて表面弾性波フィルタ25を静電破壊するだけでなく、テレビジョンチューナ出力回路(ローパス型フィルタ回路22)を通して集合型集積回路21に供給され、集合型集積回路21を破壊することがある。
【0011】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、中間周波信号を減衰することなく不要な周波数信号成分を大幅に減衰し、かつ、静電気による高電圧の伝送を阻止することを可能にしたテレビジョンチューナ出力回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によるテレビジョンチューナ出力回路は、周波数混合回路、局部発信回路、位相同期回路、中間周波増幅回路を内蔵した集合型集積回路と、集合型集積回路の中間周波信号出力端とチューナ出力端子との間に接続されるローパス型フィルタ回路とを備えたテレビジョンチューナ出力回路であって、ローパス型フィルタ回路は、中間周波信号出力端とチューナ出力端子との間に直列接続されたインダクタ、第2コンデンサ、抵抗と、チューナ出力端子と接地点間に接続された第1コンデンサとからなり、第2コンデンサは50乃至100pFの範囲内の容量値を有し、抵抗は10乃至75Ωの範囲内の抵抗値を有するものを選び、中間周波信号に対してインダクタと第2コンデンサの直列回路のインピーダンスが誘導性を示すようにそのインダクタンス値及びその容量値を設定し、かつ、その誘導性インピーダンスと第1コンデンサの容量値とが中間周波信号で共振するように第1コンデンサの容量値を設定している構成を具備する。
【0013】
このような構成を採用すれば、インダクタと第2コンデンサとからなる直列回路を中間周波信号周波数よりも低い周波数に直列共振させ、その直列回路の誘導性インピーダンスと第1コンデンサの容量値とを中間周波信号で共振させることにより、中間周波信号に対するフィルタ利得を大きくし、かつ、中間周波信号に重畳される不要な低い周波数成分、例えば水晶発振器の発振信号周波数等を減衰させることができる。さらに、小抵抗値の抵抗を接続したことにより、中間周波信号のフィルタ利得を減衰させることなく、第2コンデンサの小容量値と相俟って印加される静電気による高電圧を大幅に減衰させ、高い静電破壊耐性を有するテレビジョンチューナ出力回路が得られる。
【0014】
前記構成によるローパス型フィルタ回路において、インダクタと第2コンデンサの直列回路は、中間周波数よりもその帯域幅で1乃至2チャネル分低い周波数に直列共振するように、そのインダクタンス値及び容量値を選んでいる構成にすることが好ましい。
【0015】
このような構成にすれば、中間周波信号に対するフィルタ利得を犠牲にすることなく、中間周波信号に重畳される不要な低い周波数成分、例えば水晶発振器の発振信号周波数等の減衰を大きくすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明に係わるテレビジョンチューナ出力回路の一つの実施の形態を示す回路図であって、テレビジョンチューナ出力回路とともにその周辺回路を併せて表している。
【0020】
図1に示されるように、テレビジョンチューナ7は、集合型集積回路(MOPIC)1と、テレビジョンチューナ出力回路であるローパス型フィルタ回路2と、水晶発振器(XTAL)3と、チューナ出力端子4とを有している。また、テレビジョンチューナ7の外部には、表面弾性波フィルタ(SAW FIL)5とビデオ中間周波信号用集積回路(VIF IC)6が接続配置されている。
【0021】
そして、集合型集積回路1は、図2に図示された集合型集積回路21と同じように、周波数混合回路(MIX)11 と、局部発振回路(LOSC)12 と、位相同期回路(PLL)13 と、中間周波増幅回路(IF AMP)14 とを一体的に集積回路化したもので、中間周波増幅回路14 には中間周波信号出力端15 が設けられ、位相同期回路13 には基準信号入力端16 が設けられ、周波数混合回路11 には無線周波(RF)信号入力端17 が設けられる。中間周波信号出力端15 は、ローパス型フィルタ回路2の入力端に接続され、基準信号入力端16 は、水晶発振器3の出力端に接続され、無線周波信号入力端17 は、図示されていない無線周波信号増幅回路の出力端に接続されている。ローパス型フィルタ回路2は、入力端と出力端との間に直列接続されたインダクタ21 、第2コンデンサ23 、抵抗24 と、出力端と接地点との間に分路接続された第1コンデンサ22 とからなっており、出力端がチューナ出力端子4に接続される。さらに、表面弾性波フィルタ5は、図2に図示された表面弾性波フィルタ25と同じように、入力端がチューナ出力端子4に接続され、出力端がビデオ中間周波信号用集積回路6の入力端に接続される。
【0022】
この実施の形態によるローパス型フィルタ回路2は、インダクタ21 のリアクタンス値と第2コンデンサ23 の容量値を適宜選定して、インダクタ21 と第2コンデンサ23 の直列回路の直列共振周波数を中間周波数よりも1チャネル分の帯域幅だけ低い周波数になるように、例えば、中間周波数の帯域中心周波数が56.5MHzで、中間周波数の帯域幅が6MHzであったとき、56.5−6.0=50.5MHzになるように選び、また、第1コンデンサ22 の容量値を適宜選定して、中間周波数、例えば56.5MHzで、インダクタ21 と第2コンデンサ23 の直列回路の誘導性インピーダンスと第1コンデンサ22 の容量値とが共振するようにする。さらに、抵抗24 の抵抗値を小さい値に選び、中間周波数の信号成分が抵抗24 によって殆んど減衰されず、しかも、抵抗24 の抵抗値と第2コンデンサ23 の小さい容量値によって静電気による高電圧を大きく減衰するようにしている。
【0023】
このような構成にすれば、中間周波増幅回路14 の中間周波信号出力端15 から出力され、ローパス型フィルタ回路2の入力端に供給された中間周波信号成分は、殆んど減衰されないでローパス型フィルタ回路2の出力端からチューナ出力端子4に供給される。このとき、チューナ出力端子4に表われる終端インピーダンスが比較的高い値、例えば1KΩであるとき、ローパス型フィルタ回路2における中間周波信号のフィルタ利得は約47dBになり、高いフィルタ利得を得ることができる。一方、中間周波信号に重畳されている中間周波数よりも高い不要な周波数成分は、図2に図示の既知のローパス型フィルタ回路20と同様に、ローパス型フィルタ回路2のローパス特性によって大きく減衰され、ローパス型フィルタ回路2の出力に表われることがなく、中間周波信号に重畳されている中間周波数よりも低い不要な周波数成分、例えば水晶発振器3の発振信号成分(周波数4MHz)等は、インダクタ21 と第2コンデンサ23 の直列回路等によって大きく減衰される。これと同時に、中間周波増幅回路14 の中間周波信号出力端15 からローパス型フィルタ回路2の入力端に静電気による高電圧が印加しても、その静電気による高電圧は、抵抗24 の抵抗値と第2コンデンサ23 の小さい容量値の相乗作用によって大きく減衰され、ローパス型フィルタ回路2の出力端から出力されず、静電破壊耐圧の高いローパス型フィルタ回路2にすることができる。
【0024】
この実施の形態によるローパス型フィルタ回路2において、各構成要素の具体的なパラメータ値の一例を挙げれば、インダクタ21 のリアクタンス値が250nH、第1コンデ2 の容量値が20pF、第2コンデンサ23 の容量値が75pF、抵抗24 の抵抗値が40Ωである。
【0025】
前記実施の形態によるローパス型フィルタ回路2においては、インダクタ21 と第2コンデンサ23 の直列回路の直列共振周波数を中間周波数よりも1チャネル分の帯域幅だけ低い周波数になるように、例えば、中間周波数の帯域中心周波数が56.5MHzで、中間周波数の帯域幅が6MHzであったとき、56.5−6.0=50.5MHzになるように選んでいるが、本発明におけるインダクタ21 と第2コンデンサ23 の直列回路の直列共振周波数は、前述のような周波数に限られるものではなく、中間周波数よりも2チャネル分の帯域幅だけ低い周波数になるように、例えば、中間周波数の帯域中心周波数が56.5MHzで、中間周波数の帯域幅が6MHzであったとき、56.5−(2×6.0)=44.5MHzになるように選んでもよく、それらの間の周波数、例えば50.5MHzと44.5MHzの中間の周波数になるように選んでもよい。
【0026】
そして、インダクタ21 と第2コンデンサ23 の直列回路の直列共振周波数を、中間周波数よりも2チャネル分の帯域幅だけ低い周波数になるように、例えば44.5MHzになるように選んだときは、インダクタ21 のリアクタンス値を420nHにすればよく、このときのローパス型フィルタ回路2における中間周波信号のフィルタ利得は約50dBになり、同様に、高いフィルタ利得を得ることができる。
【0027】
また、前記実施の形態によるローパス型フィルタ回路2においては、第2コンデンサ23 の容量値が75pFで、抵抗24 の抵抗値が40Ωである例を挙げているが、本発明における第2コンデンサ23 の容量値及び抵抗24 の抵抗値は、これらの値のものに限られるものではなく、その近傍の値、第2コンデンサ23 の容量値については50乃至100pFの範囲内、抵抗24 の抵抗値については10乃至75Ωの範囲内であれば、前記実施の形態によって得られる作用効果とほぼ同等の作用効果を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、インダクタと第2コンデンサとからなる直列回路を中間周波信号周波数よりも低い周波数に直列共振させ、その直列回路の誘導性インピーダンスと第1コンデンサの容量値とを中間周波信号で共振させることにより、中間周波信号に対するフィルタ利得を大きくし、かつ、中間周波信号に重畳される不要な低い周波数成分、例えば水晶発振器の発振信号周波数等を減衰させることができるという効果がある。
【0029】
また、本発明によれば、小抵抗値の抵抗を接続したことにより、中間周波信号のフィルタ利得を減衰させることなく、第2コンデンサの小容量値と相俟って印加される静電気による高電圧を大幅に減衰させ、高い静電破壊耐性を有するテレビジョンチューナ出力回路が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるテレビジョンチューナ出力回路の一つの実施の形態を示す回路図である。
【図2】既知のテレビジョンチューナ出力回路の構成の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 集合型集積回路(MOP IC)
11 周波数混合回路(MIX)
12 局部発振回路(LOSC)
13 位相同期回路(PLL)
14 中間周波増幅回路(IF AMP)
15 中間周波信号出力端
16 基準信号入力端
17 無線周波(RF)信号入力端
2 ローパス型フィルタ回路
21 インダクタ
22 第1コンデンサ
23 第2コンデンサ
24 抵抗
3 水晶発振器(XTAL)
4 チューナ出力端子
5 表面弾性波フィルタ(SAW FIL)
6 ビデオ中間周波用集積回路(VIF IC)
7 テレビジョンチューナ
Claims (2)
- 周波数混合回路、局部発信回路、位相同期回路、中間周波増幅回路を内蔵した集合型集積回路と、前記集合型集積回路の中間周波信号出力端とチューナ出力端子との間に接続されるローパス型フィルタ回路とを備えたテレビジョンチューナ出力回路であって、前記ローパス型フィルタ回路は、前記中間周波信号出力端と前記チューナ出力端子との間に直列接続されたインダクタ、第2コンデンサ、抵抗と、前記チューナ出力端子と接地点間に接続された第1コンデンサとからなり、前記第2コンデンサは50乃至100pFの範囲内の容量値を有し、前記抵抗は10乃至75Ωの範囲内の抵抗値を有するものを選び、中間周波信号に対して前記インダクタと前記第2コンデンサの直列回路のインピーダンスが誘導性を示すようにそのインダクタンス値及びその容量値を設定し、かつ、その誘導性インピーダンスと前記第1コンデンサの容量値とが中間周波信号で共振するように前記第1コンデンサの容量値を設定していることを特徴とするテレビジョンチューナ出力回路。
- 前記インダクタと前記第2コンデンサの直列回路は、前記中間周波数よりもその帯域幅で1乃至2チャネル分低い周波数に直列共振するように、そのインダクタンス値及びその容量値を設定していることを特徴とする請求項1に記載のテレビジョンチューナ出力回路。
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