JP4026786B2 - 扁平薄型角型電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、扁平薄型角型電池に関する。
【0002】
【従来技術】
機器のポータブル化に伴い種々の新しい電池が望まれるようになってきた。この結果ニッケル水素電池、リチウム電池等が新しく開発された。しかし、望まれているのは新しい電池系の実用化だけではなく、新しい電池形状も強く求められている。
従来の電池、特に金属ケースを使用している電池では円筒形状が標準的な形状であった。これは気密封口が可能であり且つ生産性に優れているからである。近年、機器に収納した際のスペース効率を高めるために外観形状が直方体形状、もしくは各部が丸められた直方体形状であるような角型電池が実用化されてきた。しかし、この方法は気密封口が容易である反面、非常に生産性が低く、電池コストが高くつくという問題があった。また、ある程度以上の扁平薄型容器にすることは技術的に非常に困難であった。
【0003】
そこで角型電池を封口する生産性の優れた方法として、二重巻締め方式およびプレス方式(各部および直線部に分割された数個の金型を用いてかしめ封口する方式)による封口を検討した。しかし、これらの方式は、気密封口が難しいという問題があった。また、レーザ溶接と異なり封口部分が鍔状に盛り上がるので内部電極面積よりも大きな外装面積となってしまい、さらに、従来円筒型電池やレーザ溶接により封口した角型電池に用いてきた熱収縮チューブによる外装加工が著しく難しいという問題もあった。外装加工は電池の腐食を防止したり電池同士の接触による短落を防止したり、各電池に必要な記載事項を表示したりするために必要とされる。
扁平薄型電池のもう一つの問題点として外部からの応力に対して弱いというものがある。一つは折り曲げに関するもの、もう一つは落下させた場合の側面方向からの衝撃によるものである。
また、扁平薄型の電池を得ようとすると、多くの場合扁平型の容器と蓋を以って熱融着フィルムなどで封口を行っているが、この場合においても熱融着部からの微量の水分進入が避けられないことと、封口部分が鍔状に盛り上がるので内部電極面積よりも大きな外装面積となってしまう。
これらの問題を解決するために特開平6−236750では電池ケースおよび蓋の材料(金属板)にコーティングされている樹脂材料が二重まき締め方式もしくはプレス方式によって気密封口することによりガスケットの機能を果たすという発明を行っているが、水分進入を完全に防止することはできなかった。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の問題点を解消し、比較的簡便に量産が可能で、かつ強度が大きく、さらに高エネルギー密度な扁平薄型角型電池を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、広口面が一方向に開放され、かつ該広口面の周辺に鍔形状部分を有する金属単体からなる扁平薄型容器部分と、金属単体からなり該容器部分の蓋となる部分の間に電池要素を収納し、また、前記扁平薄型容器部分の鍔形状部分と蓋部分を金属接合によって気密封口した扁平薄型角型電池において、該電池が下記の要件を満足することを特徴とする扁平薄型角型電池に関する。
(1) 気密封口した鍔形状の少なくとも一部分を容器部分の底部方向に曲げ加工した部分を有すること。
(2) 曲げ加工した部分の先端と容器部分の底部とが同一平面に位置すること。
(3) 外挿された熱収縮チューブを設けていること。
なお、上記容器及び/又は蓋の外表面については、金属又は金属以外の材料で被覆等の処理を施すことができる。
【0006】
すなわち、従来の扁平薄型角型電池は物理的に折り曲げる力に対して弱いという問題点を有しているが、本発明の扁平薄型角型電池では、折り曲げ強度と電池側面からの耐衝撃性が大幅に改善され、電池の取り扱いに対しても大きな注意を払う必要が無くなり、また、これまで封口部分が鍔状に盛り上がり、加工が困難であった熱収縮チューブによる外装加工が簡便にできるようになり、高エネルギー密度の扁平薄型角型電池を得ることが可能となった。
【0007】
本発明の扁平薄型角型電池において、曲げ加工した部分の先端と扁平薄型容器部分の底部とが同一平面に位置することにより、熱収縮チューブによる外装加工が簡便になった。特に折り曲げ強度と電池側面からの耐衝撃性が大幅に改善されることにより信頼性の高い扁平薄型角型電池を得られるようになった。
また、曲げ加工を行う前に、曲げ加工した部分の先端と扁平薄型容器部分の底部とがほぼ同一平面に位置する長さに該鍔形状部分が加工されたものを用いることにより、曲げ加工した部分の先端の長さを加工後切り揃える手間を省くことができ、大幅なタクトの短縮が可能となり、コストの低減をもたらした。
前記「同一平面」とは、前記のような効果を奏する「平面内」であれば良く、「ほぼ同一平面内」の範囲のものであっても良い。
曲げ加工した部分の先端と扁平薄型容器部分の底部とがほぼ同一平面に位置するようにすることにより、熱収縮チューブによる外装加工が簡便になった。
【0008】
前記曲げ加工は、鍔形状部分の4辺を同時に曲げ加工することにより大幅なタクトの短縮が可能となり、コストの低減をもたらすことができる。
このときプレス加工を用いることにより、より精密に制御された折り曲げ鍔部の加工を行うことができるようになり、大幅なタクトの短縮が可能となり、コストの低減をもたらした。
該曲げ加工した鍔部の角度は広口面に対して70°〜90°の範囲が好ましく、さらに好ましくは80°〜90°の範囲であり、本発明により、より折り曲げ強度と電池側面からの耐衝撃性が大幅に改善され扁平薄型角型電池の取り扱いに対しても大きな注意を払う必要が無くなった。
【0009】
本発明において該鍔形状部分の金属接合を超音波接合とすることにより信頼性の高い気密封口部が得られ、また、大幅なタクトの短縮が可能となり、コストの低減をもたらした。
さらに、本発明において該鍔形状部分の金属接合をレーザ溶接とすることにより信頼性の高い気密封口部が得られ、また、大幅なタクトの短縮が可能となり、コストの低減をもたらした。
以下、リチウム二次電池の場合を実施例として本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、非水溶媒および電解質塩は十分に精製を行い、水分20ppm以下としたもので、さらに脱酸素および脱窒素を行った電池グレードのものを使用し、すべての操作は不活性ガス雰囲気下で行った。
【0010】
【実施例】
実施例1
(正極)
ポリ弗化ビニリデン3重量部をN−メチルピロリドン38重量部に溶解して、活物質としてLiCoO250重量部と導電剤として黒鉛9重量部を加えてホモジナイザーにて不活性雰囲気下で混合分散し、正極用塗料を調整した。これを大気中にてワイヤーバーを用いて20μmアルミニウム箔両面に塗布し、125℃30分間乾燥させた後圧縮形成して帯状正極1を得た。成形後の合計厚さは両面ともに膜厚70μmと同一とした。
(負極)
ポリ弗化ビニリデン2重量部をN−メチルピロリドン58重量部に溶解してコークスの2500℃焼成品40重量部を加えてロールミル法にて不活性雰囲気下で混合分散し、負極用塗料を調整した。これを大気中にて20μm銅箔上に塗布、100℃15分間乾燥させた後圧縮形成して帯状負極3を得た。成形後の合計厚さは両面とも膜厚80μmと同一とした。
【0011】
前記帯状正極1、帯状負極3および厚さ25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムより成るセパレータ2を楕円状に多数回巻し、図1に示したような負極3、セパレータ2、正極1、セパレータ2(ただし、このセパレータは図示していない。)の順に積層した楕円状渦巻式電極体4を作成した。
このようにして作製した渦巻式電極体4を図2に示すように内部に絶縁処理を施したアルミニウム製扁平薄型容器5に収納した。アルミニウム製扁平薄型容器5のサイズは48×90×3mmで鍔部を含むと58×100×3mmである(アルミニウムの板厚:0.2mm)。アルミニウム製正極リード6を正極集電体から導出して電池蓋7に設けた正極端子8に、ニッケル製負極リード9を負極集電体から導出して電池蓋7に設けた負極端子10にスポット溶接した。電池蓋7のサイズは58×100mmである。この扁平薄型容器5を減圧注液装置中に配置させ、該容器の中にエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(1/1:体積比)に溶解した1.0mol/1LiPF6溶液の電解液を減圧注液し、蓋を重ねて4辺の鍔部11をアルゴン溶接によって封口した。
その後、コーナー部4箇所を溶接部1mmを残して正方形に切り落とし、1辺ずつ該鍔部を下部方向へ90°の角度に折り曲げた。折り曲げた後、電池底部よりも下方に出ている鍔部を切り取り、熱収縮チューブで端子部を除く電池全体を包むことにより本発明の50×92×3mmのサイズの扁平薄型角型電池を得た。この扁平薄型角型電池容器の断面図を図3に示す。本発明の折り曲げ鍔部の長さとは13の長さを表し、容器厚さとは12を表す。
以上のように作製した電池を1/3Cの電流レートで充放電した容量密度とサイクル特性を評価した。容量評価は上部からの単位投影面積当りの電池の容量密度で行い、単位を(mAh/cm2)として表した。また、サイクル特性は初期容量の80%になった時点で評価した。
耐衝撃試験は本扁平薄型角型電池10個を100cmの高さから側面より大理石からなる机上に落下させて、それによって起こる不良率を測定した。ここでは落下試験後から急激に容量が低下したもの、内部ショートによる動作不良を起こしたものを不良とみなした。
タクトの測定は、試験プラントにおける鍔部の封止から折り曲げに至る工程に要する時間を測定した。
【0012】
実施例2
鍔部の折り曲げ処理を4辺同時に行うこと以外は実施例1と同様である。
【0013】
実施例3
鍔部をアルゴン溶接によって封口した容器(58×100×3mm)を、プレス機に設置した曲げアール0.5の金型(ダイス)にセットし、上部金型(ポンチ)を下降させ、ポンチ荷重150kgfにて4辺同時に折り曲げ加工を行うこと以外は実施例1と同様である。
【0014】
実施例4
曲げ加工を行う前に、曲げ加工した部分の先端と扁平薄型容器部分の底部とがぼぼ同一平面に位置する長さに予め図4に示すような打ち抜き加工を電池蓋と鍔部に加工した以外は実施例3と同様である。
【0015】
実施例5
4辺の鍔部を超音波溶接法により溶接した以外は実施例4と同様。
超音波溶接は20×3mmの溶接面積を持つヘッドを用い、2mmの重なりを持つようにヘッドをずらしながら鍔部全周に溶接を行った。溶接は20kHzバッチタイプの溶接機を用い、振幅20μm、圧力15kgf、溶接時間0.2sec/shotの条件で超音波溶接を行った。
【0016】
実施例6
4辺の鍔部をYAGレーザにより溶接した以外は実施例4と同様である。
YAGレーザは密着させた鍔部の中央部分に沿って照射していった。溶接の条件は370V、1.7ms、150ppsのパルスで、20mm/sの走査速度で行った。
【0017】
比較例1
曲げ加工を行わないこと以外は実施例1と同様である。
【0018】
比較例2
4辺の鍔部を熱融着フィルム(ポリプロピレン製)により融着した以外は実施例1と同様である。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
図5に広口面に対して90°に折り曲げた折り曲げ鍔部の長さと折り曲げ荷重との関係を示す。
実験は電池長手方向の中央部分が直角になった台座の端部に来るように固定し、電池の固定されていない側の端を上部から下方向へ荷重をかけていき、30°の角度まで折れ曲がるのに要した最大荷重を記録したものである。
【0022】
図6に折り曲げ鍔部の広口面に対する角度と折り曲げ荷重との関係を示す。
実験は電池長手方向の中央部分が直角になった台座の端部に来るように固定し、電池の固定されていない側の端を上部から下方向へ荷重をかけていき、30°の角度まで折れ曲がるのに要した最大荷重を記録したものである。
【0023】
図7に側面からの耐衝撃試験における折り曲げ鍔部の広口面に対する角度と不良率との関係を示す。
耐衝撃試験は本扁平薄型角型電池10個を100cmの高さから側面より大理石からなる机上に落下させて、それによって起こる不良率を測定した。ここでは落下試験後から急激に容量が低下したもの、内部ショートによる動作不良を起こしたものを不良とみなした。
【0024】
【効果】
(1)請求項1の発明により、熱収縮チューブによる外装加工が簡便になり、また折り曲げ強度と電池側面からの耐衝撃性が大幅に改善され、電池の取り扱いに対しても大きな注意を払う必要が無くなった。
(2)請求項2の発明により、曲げ加工した部分の先端の長さを加工後切り揃える手間を省くことができ、大幅なタクトの短縮が可能となり、コストの低減をもたらした。
【図面の簡単な説明】
【図1】楕円状渦巻式電極体を示す図である。
【図2】アルミニウム製扁平薄型容器と、アルミニウム製扁平薄型容器と電池蓋にアルミニウム製正極リードおよびニッケル製負極リードを溶接したものを示す図である。
【図3】折り曲げ加工後の電池容器の断面を示す図である。
【図4】電池蓋または電池容器の4辺の打ち抜き処理を示す図である。
【図5】折り曲げ鍔部の長さと折り曲げ荷重との関係を示す図である。
【図6】折り曲げ鍔部の広口面に対する角度と折り曲げ荷重との関係を示す図である。
【図7】側面からの耐衝撃試験における折り曲げ鍔部の広口面に対する角度と不良率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 帯状正極
2 セパレータ
3 帯状負極
4 渦巻式電極体
5 内部に絶縁処理を施したアルミニウム製扁平薄型容器
6 アルミニウム製正極リード
7 電池蓋
8 正極端子
9 ニッケル製負極リード
10 負極端子
11 鍔部
12 容器厚さ
13 折り曲げ鍔部の長さ
Claims (2)
- 広口面が一方向に開放され、かつ該広口面の周辺に鍔形状部分を有する金属単体からなる扁平薄型容器部分と、金属単体からなり該容器部分の蓋となる部分の間に電池要素を収納し、また、前記扁平薄型容器部分の鍔形状部分と蓋部分を金属接合によって気密封口した扁平薄型角型電池において、該電池が下記の要件を満足することを特徴とする扁平薄型角型電池。
(1) 気密封口した鍔形状の少なくとも一部分を容器部分の底部方向に曲げ加工した部分を有すること。
(2) 曲げ加工した部分の先端と容器部分の底部とが同一平面に位置すること。
(3) 外挿された熱収縮チューブを設けていること。 - 該鍔形状部分が、曲げ加工した部分の先端と容器部分の底部とが同一平面に位置する長さに曲げ加工を行う前に加工されたものである請求項1記載の扁平薄型角型電池。
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