JP4026293B2 - 空気調和機の配管清浄方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機を据え付ける施工時における空気調和機の配管清浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セパレート型エアコンに用いられる冷凍サイクルは冷凍圧縮機、熱交換器、キャピラリーチューブまたは膨張弁等の膨張機構を有する冷媒流量制御部を銅管等の配管にて接続して構成される機構的な部分と、冷媒、潤滑油組成物等の冷凍サイクル内部に充填される流体から構成されている。
【0003】
セパレート型エアコンでは、冷凍圧縮機、熱交換器を有する室外ユニットと、冷凍空調がなされる部位に設置される熱交換器を有する室内ユニットを銅管等の接続配管にて接続して構成される。このような冷凍サイクルでは、予め室外ユニット側に冷媒の一部あるいは全部と潤滑油組成物を充填し、室外ユニットのバルブを閉じておき、施工時に接続配管を用いて室内ユニットと接続したのち冷媒を室内外ユニットに流通させて冷凍サイクルを形成するのが一般的である。
【0004】
近年、地球環境保護の観点からエアコン用の冷媒がHCFCからHFCへと転換が進んでいる。
【0005】
HCFCを用いたエアコンをHFCの冷媒を用いたエアコンに入れ替える場合、接続配管も新しくすることが多い。しかしながら接続配管が予め建物の壁内に埋め込まれているような場合には、従来用いていた接続配管を使用した方が建物の美観を損ねることなく好ましい。
【0006】
しかしながら、このような既設配管内は、従来設置されていたエアコンによるオイルやスラッジ等で汚れている場合がある。このような配管を用いて、HCFC系冷媒を用いたエアコンからHFC系冷媒を用いたエアコンに入れ替える場合には、次のような問題が生じる。
【0007】
すなわち、HFC系冷媒を使用した空気調和機では冷凍機油としてエステル油やエーテル油が用いられている。これらの油は従来のHCFC系冷媒を用いた空気調和機の冷凍機油としてよく用いられている鉱油に比べ吸湿性が高く水分により劣化しやすい。その結果、スラッジが発生し圧縮機への負荷が増大し、最終的には、エアコンの停止に至る。そのため、HFC冷媒を用いた空調装置は、従来にもまして厳しい水分管理が必要となる。
【0008】
配管内にある、これらの汚れを取り除くために、従来はフロンなどの溶剤を、ポンプを有する配管洗浄装置を用いて配管内を循環させ、配管内のスラッジを除去していた。
【0009】
しかしながら、これらの配管洗浄装置は大型であり洗浄時間も長いため、コストもかかり施工時間の増大にもつながっていた。
【0010】
しかも、フロンを大気中に放出してしまう危険性があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、HFC系冷媒の使用に際して既設配管をそのまま利用しても、長期信頼性の得られる簡易でかつ低コストな空気調和機の配管清浄方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明における空気調和機の配管清浄方法は、空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流動させる配管の一方の配管口から挿入された清浄部材を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、清浄部材が排出される配管口に、先端が閉塞され、かつ、円周方向の側面部に複数の穴を設けた屈曲性を有するパイプを接続し、前記パイプの中に吸油性を有する部材を入れたことにより、パイプは長さを任意に変えることにより、配管内に残留したオイル水分などの回収位置を任意に設定できるとともに、清浄部材の捕獲機能有しているため、部品点数も少なくてすみ、安価である。
【0013】
請求項2記載の本発明における空気調和機の配管清浄方法は、空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流動させる配管の一方の配管口から挿入された清浄部材を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、清浄部材が排出される配管口に、先端が閉塞され、かつ、円周方向の側面部に複数の穴を設けた屈曲性を有するパイプを接続し、前記パイプの中に弾力性を有する部材を入れたことにより、清浄部材を捕獲する際の衝撃音を小さくすることができ、周囲に騒音を出さない安全な作業を提供できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明の配管清浄方法を適用する空気調和機の設置状況を示すモデル図である。空気調和機は室外機1に対して、たとえば3台の室内機2、3、4が分岐ユニット5を経由して備えられている。銅配管6は住宅の外観を配慮して住宅壁の内部に埋め込んだ状態で引き回され、室外機から離れた室内機の場合、長い銅配管では、30mにもおよぶ場合がある。本発明の配管洗浄方法は室外機1、室内機2を接続する前に銅配管6に対して実施するものである。
【0016】
(実施の形態1)
この清浄方法に対して、本発明の実施の形態について図2を用いて説明する。
【0017】
まず銅配管6の一方から清浄部材7を銅配管6に挿入する。ここで清浄部材7を挿入する銅配管6の開口端は室外側、室内側のどちらでも構わない。しかし、挿入した清浄部材7は銅配管6の他端から出てくる際に配管内部に含有されていたオイルや水分やゴミを排出する。そのため、これらの排出による室内の汚染を防ぐために清浄部材7は銅配管の室内側の開口端から導入する方が好ましい。ここでは、清浄部材7が室外側に排出される場合で説明する。
【0018】
挿入した清浄部材7が排出される側の銅配管6の端には、取り外し可能にした網状の袋8を、屈曲性を有するパイプ9を介してバンド10にて接合し、パイプ9はスリットの入った円筒状のスリーブ11を介してバンド10にて取り付けてある。網状の袋8は、金網をスポット溶接にて製作したものでも、塩化ビニルやポリプロピレンを素材とした樹脂網を溶着にて加工したもので良い。
【0019】
パイプ9は市販されている塩化ビニル製の水道ホースを使用しており、パイプ長は、任意(オイルやゴミを排出する場所により異なるため)であるが、ここでは長さが50cmのものを用いている。スリーブ11の外径はパイプ9の内径にあわせた寸法であり、スリーブ11の内径は、銅配管6の外径に合わしており、ゴムなどの弾力性のある素材を使用している。
【0020】
また、網状の袋8の周りには、排出したオイルや水分およびゴミが周囲に飛散しないように、ウエスや吸水シートで覆っておき、さらに、それらをバケツのなかに設置している。(図は省略している。)
挿入する清浄部材7は、独立気泡を有する発泡体もしくはその発泡体の表面に不織布を配置したものが好ましい。独立気泡を有する発泡体として、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなど公知の素材を使用することができる。この発泡体の表面には不織布を配置するが、その不織布は、ポリプロピレン、ポリエステルなどの公知の素材を用いることができる。不織布は水分吸収性の高いのもである方が配管内面の水分を拭き取ることができて好ましい。
【0021】
また、発泡体は略円柱状であり円柱の側面に沿って不織布が配置されており、少なくとも円柱の天面または底面側で該不織布端面が接合されていることが好ましい。接合方法としては、糸でしばる、熱溶着する等公知の方法を用いることができる。
【0022】
清浄部材7を銅配管6に挿入後、銅配管6に耐圧ホース12接続し、その後、圧縮気体ボンベ13を接続する。また、圧縮気体ボンベ13には圧力を任意に設定できるレギュレータ14を備え付けており、一次圧計を検知しながら二次圧を任意に設定できる。また、レギュレータ14には圧縮気体を流すバルブ15が設けられている。圧縮気体としては、窒素、二酸化炭素、炭化水素など種々のものを選択することができるが、窒素が搬送圧力を上げやすく好ましい。
【0023】
今回、行った評価では、外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm、長さ30m、既設配管相当)を用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。配管に挿入する清浄部材7として外径10mm、長さ約20mmの略円柱状発泡ポリエチレンの側面にポリプロピレン不織布を1周巻き、両端を熱溶着した物を用いた。15℃の雰囲気で銅配管6の内部に、清浄部材7を圧縮しながら挿入した。そして耐圧ホース12、レギュレータ14、窒素ボンベ13の順に接続する。
【0024】
そして、バルブ15を開とし二次圧計16を見ながらレギュレータ14を調整し、圧力を徐々に上昇させると、清浄部材7は0.2Mpaで始動し始め、配管内のオイル・水分を排除しながら移動し最後には、他方の配管口から通過し放出され、清浄部材7は網状の袋8の中に捕獲され、排除されたオイルと水分は、網状の袋8の周囲に巻かれたウエスに吸収された。そして、この作業を1〜2回繰り返すと、鉱油は95%、水分は99%除去することができた。また、清浄部材を複数個搬送しても、前記の網状の袋8に捕獲されるため、清浄部材の搬送作業ごとに清浄部材を回収する必要がなく、作業者は一人で十分作業可能であった。
【0025】
さらに、パイプ9の長さを自由に長くできるため、例えば、室内に向けて清浄部材7をする場合でも、パイプ長を長くすることにより、網状の袋8を室外に設置でき、排除されたオイルや水分が室内で飛散する危険性を防ぐことができる。
【0026】
また、内径の異なるスリーブ11を前もって準備しておけば、管径が異なる銅配管に対しても、パイプ9やバンド11および網状の袋8は共通して使用できる。
【0027】
(実施の形態2)
次に本発明における他の実施の形態について図2および図3を用いて説明する。
【0028】
図3において、挿入した清浄部材7が排出される側の銅配管6の端には、先端が閉塞しかつその材質が気体透過性のものでできた円筒状の部材17をスリットの入った円筒状のスリーブ11を介し、バンド10にて取り付けられている。気体透過性を有する部材17の材質はポリプロピレン製の濾紙を使用し、スリーブ11の内径は清浄しようとする銅配管6の外径に合わしており、ゴムなどの弾力性のある材質のものを使用している。
【0029】
図2に示すボンベ13の圧縮気体により清浄部材7を配管内に搬送すると、清浄部材7は部材17の中に捕獲され、部材7が気体透過性を有しているため、圧縮気体は部材7の外部に放出され、オイルおよび水分は部材17の周囲から飛散することなく染み出る。そのため、オイルや水分の飛散を防ぐウエスや吸水シートの必要はない。また、部材17はバンド10にて取り付けられているため、簡単に取り外し可能であり、捕獲された清浄部材7は容易に回収できる。
【0030】
さらに、(実施の形態1)と同様に銅配管6と気体透過性を有する部材17を任意の長さをもつ、屈曲性を有したパイプ9にて接続すれば、オイルや水分の回収場所を任意に設定できることは言うまでもない。
【0031】
(実施の形態3)
次に本発明における他の実施の形態について説明する。構成は図2と同様であり、図4に示すように、挿入した清浄部材7が排出される側の銅配管6の端には、先端が閉塞されかつ、円周方向の側面部には複数個の穴を設けた屈曲性を有するパイプ18を、前記スリーブ11を介してバンド10にて取り付けられている。
【0032】
パイプ18は、通常市販されている塩化ビニル製の水道ホースを、先端を熱溶着加工にて閉塞し、円周方向の側面部には直径φ3程度の穴を複数個加工し製作したものである。また、パイプ18の中には、吸水性を有するシート19(ここでは、ポリプロピレン製の吸水シートを使用した)を挿入しておく。
【0033】
図2に示すボンベ13の圧縮気体により清浄部材7を銅配管内に搬送すると、清浄部材7はパイプ18の中に捕獲され、排出したオイルや水分は、前記のシート19に吸収され、周囲に飛散することはない。
【0034】
また、パイプ18の長さを任意に設定すれば、清浄部材7やオイルおよび水分の回収場所が任意に設定できる。さらには、パイプ18が清浄部材7の捕獲機能を有しているため、部品点数が少なくてすみ低コストが図れる。
【0035】
(実施の形態4)
次に本発明における他の実施の形態について説明する。構成は図2と同様であり、図5に示すように、挿入した清浄部材7が排出される側の銅配管6の端には、先端が閉塞されかつ、円周方向の側面部には複数個の穴を設けた屈曲性を有するパイプ18を、前記スリーブ11を介して、バンド10にて取り付けられている。
【0036】
パイプ18は、塩化ビニル製の水道ホースを、先端を熱溶着加工にて閉塞し、円周方向の側面部には直径φ3程度の穴を複数個加工し製作したものである。パイプ18の中には、弾力性を有する部材20を挿入している。ここでは、ポリプロピレン樹脂のばねを使用した。部材20は、ある程度弾力性があれば筒状の発泡ポリウレタンや40メッシュ程度の金網を使用しても良い。
【0037】
ボンベ13の圧縮気体により清浄部材7を配管内に搬送すると、清浄部材7は、弾力性を有する部材20により衝突力を緩和されるため、衝撃音なく前記パイプ18の中に捕獲される。今回、行った別の評価の中で、外径9.525mmで長さが30mの配管で、管の扁平率が70%をこえる扁平個所が5箇所以上あると、清浄部材7を圧送する圧力は0.5Mpaを超え、清浄部材7とパイプ18との衝撃音は異常に大きくなる。
【0038】
また、排出されるオイルや水分は前記パイプ18の穴を通過する前に、弾力性のあるばね等の部材20に干渉されるため、パイプ18の穴から放出される際には、その速度も弱まり飛散することはない。
【0039】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、本発明によれば、清浄部材を複数個搬送しても、網状の袋に捕獲できるため、清浄部材の搬送作業ごとに清浄部材を回収する必要がなく、室内側あるいは室外側より作業しても作業者一人で十分作業でき、作業効率が良い。
【0040】
また、網状の袋と銅配管を連結するパイプの長さを変えることにより、配管内に残留したオイルや水分およびゴミの回収位置を任意に設定でき、いかなる作業環境においても、室内にオイル等が飛散するといった危険性を回避することができる。
【0041】
また、部品構成は、水道用ホースや樹脂網およびウエスといった容易に入手できる安価な部品で構成することができ、低コスト化が図れる。
【0042】
また、本発明によれば、気体透過性を有する円筒状の部材により、清浄部材の捕獲およびオイルや水分など配管残留物の吸収が同時に可能なため、構成部品の部品点数も削減でき、低コスト化が図れる。
【0043】
また、円筒状の部材は簡単に取り外し可能なため、捕獲された清浄部材を容易にかつ、手を汚さずに回収することができ、残留異物等の回収作業もしやすいといった効果をもつ。
【0044】
また、本発明によれば、パイプは長さを任意に変えることにより、配管内に残留したオイル水分などの回収位置を任意に設定できるとともに、清浄部材の捕獲機能有しているため、部品点数も少なくてすみ、安価である。
【0045】
また、本発明によれば、部品を捕獲する際の衝撃音を小さくすることができ、周囲に騒音を出さない安全な作業を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の配管清浄方法を適用する空気調和機の設置状況を示すモデル図
【図2】 本発明の配管清浄方法における実施の形態を示す概略図
【図3】 本発明の配管清浄方法における他の実施の形態を示す概略図
【図4】 本発明の配管清浄方法における他の実施の形態を示す概略図
【図5】 本発明の配管清浄方法における他の実施の形態を示す概略図
【符号の説明】
1 室外機
2 室内機
3 室内機
4 室内機
5 分岐ユニット
6 銅配管
7 清浄部材
8 網状の袋
9 パイプ
10 バンド
11 スリーブ
12 耐圧ホース
13 圧縮気体ボンベ
14 レギュレータ
15 バルブ
16 二次圧計
17 気体透過性を有する部材
18 パイプ
19 吸油性を有するシート
20 弾力性を有する部材

Claims (2)

  1. 空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流動させる配管の一方の配管口から挿入された清浄部材を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、清浄部材が排出される配管口に、先端が閉塞され、かつ、円周方向の側面部に複数の穴を設けた屈曲性を有するパイプを接続し、前記パイプの中に吸油性を有する部材を入れた空気調和機の配管清浄方法。
  2. 空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流動させる配管の一方の配管口から挿入された清浄部材を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、清浄部材が排出される配管口に、先端が閉塞され、かつ、円周方向の側面部に複数の穴を設けた屈曲性を有するパイプを接続し、前記パイプの中に弾力性を有する部材を入れた空気調和機の配管清浄方法。
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