JP4026230B2 - 自動車用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外気温の低い条件における後席乗員の快適性を高める自動車用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
後席乗員の暖房を行う自動車用空調装置として、足元のマットから上方へ向けて温風を吹き出すタイプが知られている(実開昭55−92513号公報、実開昭56−150604号公報に開示される技術)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の空調装置は、乗員の足元に向けて温風を吹き出すため、足元は高い暖房効果が得られる。
しかし、外気温度が非常に低い条件では、図5に示すように、空気が後席サイドガラスJ1 によって冷やされて下方に流れ落ちる冷気Rが、前席のサイドフェイス吹出口J2 より吹き出されたサイドフェイス流Fによって後ろへ流れた後、後席シートJ3 に沿って流れ落ち、後席乗員の膝が寒くなってしまう。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、コールドドラフトによる後席乗員の不快感を解消できる自動車用空調装置の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕外気温度が非常に低い条件において、空気が窓によって冷やされて下方に流れ落ちる冷気が発生する。この冷気は、前席のサイドフェイス吹出口より吹き出された空気流によって後ろへ流れる。一方、後席サイドガラスの下部の半分より後ろ側のみに設けられた後席用デフ吹出口からは、上方へ向けて温風が吹き出されている。このため、サイドフェイス流によって後方に流された冷気が、後席用デフ吹出口から吹き出される温風によって押し上げられ、冷気が後席シートに沿って流れ落ちる不具合を防ぐことができ、結果的にコールドドラフトによる後席乗員の不快感を解消できる。
【0006】
〔請求項の手段〕サイドフェイス流によって後方に流された冷気が、シートから吹き出された温風によって押し上げられ、冷気が後席シートに沿って流れ落ちる不具合を防ぐことができ、結果的にコールドドラフトによる後席乗員の不快感を解消できる。
【0007】
〔請求項の手段〕後席シートから上方に向かって吹き出される温風の吹出風速は、窓側の方がその内側よりも速い。このため、サイドフェイス流によって後方に流された冷気が、シートから吹き出された温風によって押し上げられ、冷気が後席シートに沿って流れ落ちる不具合を防ぐことができ、結果的にコールドドラフトによる後席乗員の不快感を解消できる。
【0008】
〔請求項の手段〕後席シートから上方に向かって吹き出される温風の吹出温度は、窓側の方がその内側よりも高い。このため、サイドフェイス流によって後方に流された冷気が、シートから吹き出された温風によって打ち消され、結果的にコールドドラフトによる後席乗員の不快感を解消できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、複数の実施例および変形例に基づいて説明する。
〔第1実施例〕
図1の自動車用空調装置の作動説明図を用いて第1実施例を説明する。
自動車用空調装置は、主に車両前席側の空調を行うための空調ユニット(図示しない)と、この空調ユニットに接続されて後席乗員の足元に温風を吹き出すフット吹出手段(図示しない)と、空調ユニットに接続されて後席サイドガラスの下部から上方へ向けて温風を吹き出す後席デフ吹出手段(図示しない)とを備える。
【0010】
空調ユニットは、冷風〜温風を吹き出し可能な周知のユニットで、少なくとも車両前部のダッシュボードの両側に、乗員の上半身〜フロントサイドガラスに向けて空調風を吹き出すためのサイドフェイス吹出口1を備えるものである。
フット吹出手段は、後席乗員の足元の床面から上方へ向けて温風を均一的に吹き出す多数の足元吹出孔2を備え、この多数の足元吹出孔2には、空調ユニットで発生させた温風が供給可能に設けられている。
【0011】
後席デフ吹出手段は、後席サイドガラス3の下部から上方へ向けて温風を吹き出すことのできる後席用デフ吹出口4を備え、この後席用デフ吹出口4には空調ユニットで発生させた温風が供給可能に設けられている。この実施例では後席サイドガラス3の半分よりも後ろ側のみに後席用デフ吹出口4を設けている。
【0012】
(第1実施例の作用)
外気温度が非常に低い暖房時において、サイドフェイス吹出口1から空調風が吹き出される状態では、空気が後席サイドガラス3によって冷やされて下方に流れ、その冷気Rがサイドフェイス吹出口1より吹き出された空気流によって後ろへ流れる。
この様な状態において、後席用デフ吹出口4を自動的開き、後席用デフ吹出口4から上方へ向かう温風を吹き出させる。
すると、サイドフェイス流Fによって後方に流された冷気Rが、後席用デフ吹出口4から吹き出される温風によって押し上げられ、冷気Rが後席シート5に沿って流れ落ちることなく、リヤピラー等に設けられた排気口(図示しない)から車外に排出される。
【0013】
一方、この暖房時に、空調ユニットで発生させた温風を、後席乗員の足元に設けた多数の足元吹出孔2から吹き出させる。上述の後席用デフ吹出口4から吹き出される温風によってコールドドラフトが解消されているため、多数の足元吹出孔2から均一に吹き出される温風によって、乗員の左右の膝〜足元がほぼ均一に暖房される。
【0014】
(第1実施例の効果)
上記の作用で示したように、後席用デフ吹出口4から吹き出される温風によってコールドドラフトが解消されるとともに、多数の足元吹出孔2から吹き出される温風によって後席の乗員の左右の膝〜足元が均一に暖房されるため、後席乗員の快適度を大きく向上することができる。
【0015】
〔第2実施例〕
図2の自動車用空調装置の作動説明図を用いて第2実施例を説明する。
この第2実施例の自動車用空調装置は、上記第1実施例の後席デフ吹出手段に代えて、後席シート吹出手段を採用したものである。
この後席シート吹出手段は、後席シート5に設けられた多数のシート吹出孔6から上方へ向けて温風を吹き出すもので、この多数のシート吹出孔6には空調ユニットで発生させた温風が供給可能に設けられている。
【0016】
この第2実施例では、後席シート吹出手段から吹き出される温風の風量は、窓側(図中、ドア側)がその内側(図中、中央側)より多くなるように設けられている。
窓側の温風風量をその内側よりも多くする手段として、窓側のシート吹出孔6の開口面積をその内側よりも大きくしたり、窓側のシート吹出孔6の数をその内側より多くすることで実現している。
なお、シート吹出孔6から吹き出される温風の風量は、窓側のみ多くしても良いし、窓側に近づくほど多くしても良い。
【0017】
(第2実施例の作用)
第1実施例の作用で示したように、外気温度が非常に低い暖房時において、サイドフェイス吹出口1から空調風が吹き出される状態では、空気が後席サイドガラス3によって冷やされて下方に流れ、その冷気Rがサイドフェイス吹出口1より吹き出された空気流によって後ろへ流れる。
この様な状態において、シート吹出孔6を自動的あるいは手動によって開き、シート吹出孔6から上方へ向かう温風を吹き出させる。
すると、サイドフェイス流Fによって後方に流された冷気Rが、窓側のシート吹出孔6から吹き出される温風によって押し上げられ、冷気Rが後席シート5に沿って流れ落ちることなく、リヤピラー等に設けられた排気口から車外に排出される。
【0018】
なお、窓側のシート吹出孔6から吹き出される温風量は、その内側よりも多いが、その差の風量によって冷風を押し上げてコールドドラフトを解消しているため、後席シート5から吹き出される温風による暖房効果は左右ほぼ同じになる。また、多数の足元吹出孔2から均一に吹き出される温風によって、乗員の左右の膝〜足元もほぼ均一に暖房される。
【0019】
(第2実施例の効果)
上記の作用で示したように、シート吹出孔6から吹き出される温風によってコールドドラフトが解消されるとともに、後席シート5から吹き出される温風によって後席乗員にほぼ均一な暖房効果を与えることができる。また、多数の足元吹出孔2から吹き出される温風によっても、後席の乗員の左右の膝〜足元が均一に暖房される。このため、後席乗員の快適度を大きく向上することができる。
【0020】
〔第3実施例〕
図3の自動車用空調装置の作動説明図を用いて第3実施例を説明する。
上記の第2実施例では、窓側のシート吹出孔6から吹き出される温風量を多くしてコールドドラフトを解消する例を示した。しかるに、この第3実施例は、窓側のシート吹出孔6から吹き出される温風の吹出速度を速くすることで、コールドドラフトを解消するものである。
【0021】
窓側の温風風速をその内側よりも速くする手段として、窓側のシート吹出孔6への温風の供給割合を、内側よりも多くすることで実現している。
なお、シート吹出孔6から吹き出される温風の風速は、窓側のみ速くしても良いし、窓側に近づくほど速くしても良い。また、窓側の風速を上げるだけでなく、窓側の風量も多くなるように設けても良い。
【0022】
〔第4実施例〕
図4の自動車用空調装置の作動説明図を用いて第4実施例を説明する。
上記の第2、第3実施例では、窓側の風量あるいは風速を大きくすることでコールドドラフトを解消する例を示したが、この第4実施例では窓側に吹き出す温風の温度をその内側よりも高くしてコールドドラフトを解消するものである。
【0023】
窓側の温風温度をその内側よりも高くする手段として、空調ユニット内のヒータコアを通過した温風のみを窓側のシート吹出孔6へ供給することで実現している。
なお、シート吹出孔6から吹き出される温風温度は、窓側のみ高くしても良いし、窓側に近づくほど高くしても良い。また、窓側の温度を上げるだけでなく、窓側の風量が多くなるように設けたり、窓側の風速が速くなるように設けても良い。
【0024】
〔変形例〕
上記の実施例では、後席用デフ吹出口4あるいはシート吹出孔6の一方を有する空調装置を例に示したが、後席用デフ吹出口4とシート吹出孔6の両方を有する空調装置を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用空調装置の作動説明図である(第1実施例)。
【図2】自動車用空調装置の作動説明図である(第2実施例)。
【図3】自動車用空調装置の作動説明図である(第3実施例)。
【図4】自動車用空調装置の作動説明図である(第4実施例)。
【図5】自動車用空調装置の作動説明図である(従来例)。
【符号の説明】
3 後席サイドガラス
4 後席用デフ吹出口
5 後席シート
6 シート吹出孔

Claims (4)

  1. 外気温度が低い暖房時において、サイドフェイス吹出口からの空調風が吹き出される状態で、後席サイドガラスの下部に、上方へ向けて温風を吹き出すことで、前記後席サイドガラスによって冷やされ、前記サイドフェイス吹出口からの空調風によって後ろへ流された冷気のリアピラーに設けられた排気口からの車外排出を促進する後席用デフ吹出口を備え
    前記後席用デフ吹出口は、前記後席サイドガラスの半分よりも後ろ側のみに設けられていることを特徴とする自動車用空調装置。
  2. 請求項1の自動車用空調装置において、
    前記後席用デフ吹出口に代えて後席シートに設けられたシート吹出孔を用い、このシート吹出孔から上方へ向けて温風を吹き出すことを特徴とする自動車用空調装置。
  3. 請求項2の自動車用空調装置において、
    前記後席シートの窓側の温風吹出風速は、その内側よりも速いことを特徴とする自動車用空調装置。
  4. 請求項2の自動車用空調装置において、
    前記後席シートの窓側の温風吹出温度は、その内側よりも高いことを特徴とする自動車用空調装置。
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