JP4025502B2 - 二酸化炭素を酸化剤に用いる低級炭化水素よりのアルデヒド製造触媒及びアルデヒド製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は触媒の存在下で、低級炭化水素からホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどのアルデヒドを直接製造する方法とそこで用いる触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工業上重要な原料であるホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは、メタンやエチレンを用いて何段階かのプロセスを経て合成されている。たとえば、ホルムアルデヒドでは(1)メタンの水蒸気改質による合成ガスの生成、(2)合成ガスよりのメタノール合成、及び(3)メタノールの酸化によるホルムアルデヒドの製造という3段階のプロセスが必要である。従って、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどのアルデヒドをより簡単なプロセスで、より安価に合成することができれば、省エネルギー、省資源プロセスとして意義が大きい。
【0003】
そのために、メタンの酸素(空気)酸化によりホルムアルデヒドを得る試みとして、MoO3をSiO2に担持した触媒を用いて150oC程度の低温で光照射下に行われているが、収率は高くない(T.Suzuki、K.Wada, M.Shima, Y.Watanabe, Chemical Communications 1990, 1059 参照)。
【0004】
微量の鉄イオンをSiO2に分散させた触媒を用いるメタンの酸素酸化によるホルムアルデヒド合成は、現在までに報告されている中で収率も選択性も最も高いものである(T.Kobayashi, K.Nakagawa, K.Tabata, M.Haruta, Chemical Communications 1994, 1609参照)。
しかし、酸素を酸化剤に用いると、副生成物としてメタンの完全燃焼により二酸化炭素が必ず生じ、原料が無駄に消費されその割合も場合によっては70%程度と高い。
【0005】
エタンからアセトアルデヒドを直接酸化により得る方法も報告されている(K.Wada, K.Yoshida, Y.Watanabe, T. Suzuki, Applied Catalysis 74, L1 (1991) 参照)。そのうち、光照射下の触媒反応では選択性は良いが収率は高くなく、酸素酸化ではアセトアルデヒドのみではなくホルムアルデヒドが主生成物になっている。
このように、炭化水素から含酸素化合物であるアルデヒドを一段で製造するのは極めて困難な状況にある。
【0006】
本発明者等は酸素の酸化力が生成物のホルムアルデヒドやアセトアルデヒドに対して、原料に対する酸化力よりも高いため高収率、高選択性を保つことはできないとの判断に基づき、酸化剤として二酸化炭素を用いることの可能性について検討してきた。その結果、含酸素化合物を得ることはできなかったが、二酸化炭素が脱水素反応を促進し、見かけ上酸化的脱水素反応を行なうことを見いだした(鈴木俊光、中川清晴、梶田千晶、特願2000-9436参照)。
このような知見に基づき、炭化水素へ酸素を直接導入する可能性について検討を行なった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
現在までに二酸化炭素が酸化剤として作用するケースとしては、次の式(1)で示されるように、高温における炭素と二酸化炭素の反応による一酸化炭素の生成のみが知られている。
C + CO2 → 2CO (2)
ここで、炭素の代わりに炭化水素を用いて、炭化水素を二酸化炭素により酸化し、有用な含酸素化合物を得ようとするものである。このことによって、原料の無用な燃焼による損失を抑制し、かつ地球温暖化ガスの二酸化炭素の有効利用をはかろうとするものである。
【0008】
本発明はメタンやエタン、エチレンといった低級炭化水素から二酸化炭素によりホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといったアルデヒドを直接得るための製造方法と、そこで用いる触媒を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
次の(2),(3)なる化学反応については現在までに全く検討されたことがなかった。化学反応が進行するか否かを熱力学計算により検討した。
CH4+2CO2 →HCHO+2CO+H2O (2)
C2H6+2CO2→CH3CHO+2CO+H2O (3)
【0010】
本発明者らは、そこで種々の触媒について本反応の可能性について検討した結果、触媒の担体として酸化ダイヤモンドを初め、幾つかの化合物を用いると、上の(2),(3)の反応が進行することが分かった。さらに担持される触媒成分について詳細に検討し、酸化バナジウムが最も良好な活性を示すことを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の触媒は、二酸化炭素を酸化剤に用いる低級炭化水素よりのアルデヒド製造触媒であって、酸化バナジウムを第IV族又は第V族の金属酸化物からなる担体に担持したものである。
【0012】
また、本発明の製造方法は、本発明の触媒の存在下で、低級炭化水素を二酸化炭素により酸化してアルデヒドを製造するアルデヒドの製造方法である。
二酸化炭素を酸化剤に用いると完全酸化は起こらないので、原料炭化水素の利用効率が向上しアルデヒドの選択性が向上することが期待される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、アルデヒドを収率よく得るためには、反応を450℃から750℃の温度範囲で行なうのが好ましい。
本発明の触媒に用いる酸化バナジウムは五酸化バナジウム(V2O5)が好ましい。
本発明の触媒で担体に用いるダイヤモンドは工業的に研磨用として市販されている粒径の小さいものがよく、高い比表面積を有するもので、望ましくは10m2/g以上のものを用いることにより、良い反応成績を得ることができる。このダイヤモンドを一度、350〜450oCにおいて、酸素雰囲気下で表面を酸化させ、触媒担体に用いる。ダイヤモンドについては、薄膜状のものやその他の形態のものも表面を酸化状態にできれば同様に使用でき、微粒子に限るものではない。
【0014】
シリカについては市販の比表面積が100〜600m2/gのものをそのまま触媒担体に用いることができる。
担体としては、他に酸化ゲルマニウムや酸化スズなどの14族(IVB族)の酸化物、酸化チタンなどの4族(IVA族)の酸化物、酸化タンタルや酸化ニオブなどの5族(VA族)の酸化物も用いることができる。
【0015】
反応には種々の形態があり得るが、工業上好ましい形態は、原料の低級炭化水素と二酸化炭素を流通させながら反応させる形態である。
副生成物の生成を抑えるために、酸化反応の際にさらに水蒸気も共存させることが好ましい。
触媒活性成分には酸化バナジウムが最も良好な活性を示し、鉄、モリブデンの酸化物も活性を示す。
【0016】
上記担体への触媒活性成分の担持方法として、酸化バナジウムの場合を例にして説明すると、所定量のバナジン酸アンモニウムをシュウ酸飽和水溶液に溶解させ、所定量の酸化ダイヤモンド又はシリカを加え、一夜放置後、過剰の水を蒸発させ、乾燥後400〜500oCで空気気流中で焼成し、金属塩の分解と酸化を起こさせ、金属塩を酸化物に転換し触媒とする。焼成温度はこれより低いと十分に酸化物に転換されず活性を発現しないか活性は低下するが、焼成温度は550oC程度まで上昇させることもできる。それ以上の高温はダイヤモンドの一部が燃焼により消失する恐れがあり望ましくない。
【0017】
酸化バナジウム以外の金属酸化物を担持する場合も上記と同様に行なうが、出発原料の金属塩として鉄化合物を使用する場合は硝酸鉄(III)を、酸化モリブデンを使用する場合はモリブデン酸アンモニウムを用いる。
ここで、触媒活性成分としての金属としてはバナジウムが特に優れており、その含有量はダイヤモンド又はシリカに対して酸化物として、0.5から10重量パーセントの間が望ましく、これより担持量が少なくても多くても生成アルデヒドの収率は低下する。
【0018】
酸化反応は、このように調製してダイヤモンド又はシリカに担持した触媒を所定量反応管に充填し、不活性ガス気流下に所定温度まで昇温し、原料であるメタンやエタン、エチレンといった低級炭化水素(アルカンおよびアルケン)と二酸化炭素の混合気体を450〜750oCに保たれた触媒層上へ通じ、反応を行なう。反応管の形式は特に限定されるものでなく、固定床流通系でも流動床反応器を用いてもよい。
【0019】
ここで原料(アルカン又はアルケン)と二酸化炭素の比であるが、原料/二酸化炭素=1/20から10/1程度の広い範囲で反応は進行するが、望ましくは1:1の体積比で供給したときに最も高いアルデヒド収率が得られた。
触媒に対するガスの流量は空間速度として2000ml/(g触媒・h)から20000ml/(g触媒・h)の範囲で操作することができる。
【0020】
以下に示す反応例では小形の固定床流通系を用いているために、担体として粉末の微粒子状の酸化ダイヤモンド又はシリカを用いているが、実際に工業化するためには微粒子を用いると固定床反応器内に圧力損失が生じるので、反応に不活性なバインダーを用いて触媒を粒状ないしはペレット状にしてもよい。また、薄膜状のダイヤモンドをシリコン基盤に形成したものを組み合わせてモノリス状にして用いることもできる。
【0021】
ここで反応の成績は、1時間当りのアルデヒド生成量(μmol/h)および空時収率、すなわち触媒1gあたりの1時間のアルデヒド生成量(μmol/hr・g-catalyst)で表す。
【0022】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づき具体的に説明する。実験に用いた反応装置は、石英ガラス製の反応管で内径が10mm、長さが250mmのものを垂直に電気炉内に設置する。触媒は電気炉内の最高温度部に位置するように反応管の両端からグラスウールを用いて所定量(0.03〜0.2g)を充填する。温度測定のために、熱電対を収容した熱電対保護管を上部から触媒層の位置まで挿入し、触媒層の温度を測定しかつ温度調整器により電気炉を制御して触媒層の温度を一定に保つ。質量流量制御弁を通じ流量を制御された原料ガスのアルカンと二酸化炭素が混合された後、反応管の上部に設けられたガス導入口から反応管に供給され、触媒層に達して反応し、反応管の下部の出口から排出される。この反応器の入口と出口を逆に用い下部より原料を導入し上部から生成物を取出すようにしてもなんら差支えない。
【0023】
生成物は反応管の出口に直結された高速ガスクロマトグラフで分析され、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、一酸化炭素、未反応の炭化水素濃度を測定する。この際、式(2)、(3)に示されるように水が生成し、反応管出口からガスクロマトグラフの試料採取口の間で凝縮しないようこの部分は保温することが必要である。
【0024】
酸化ダイヤモンドに担持した五酸化バナジウム触媒は、以下のように調製した。メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)0.05gを、シュウ酸0.05gを溶かした水10gに室温で溶解させる。この中へあらかじめ450oCで1時間空気酸化したダイヤモンド2gを浸し一夜間静置した後、過剰の水をロータリーエバポレーターで濃縮し乾燥させる。さらにダイヤモンドを含む固体を減圧で水を除き、400℃で空気気流下焼成し、バナジウム塩を分解、酸化し酸化バナジウムに変換するとともにメタバナジン酸アンモニウムを溶解させるのに用いたシュウ酸を除く。
シリカに担持した五酸化バナジウム触媒は、上記と同様の含浸法により酸化ダイヤモンドに担持させた上記の方法と同様に五酸化バナジウムを担持し、焼成は550oCで行なった。
【0025】
(実施例1)
酸化ダイヤモンドにバナジウム酸化物を2wt%含む触媒0.1gを上記反応管に充填し、メタン15ml/min、二酸化炭素15ml/minの流速で600oCから50oCずつ昇温しながら反応させた。このとき600、650、700oCの各温度で30分ずつ一定温度に触媒層を保って生成物を分析し、ホルムアルデヒド収量を測定した。
結果を表1の実験番号1−1から1−4に示す。表から明らかなように500oCではわずかにホルムアルデヒドが生成しているが、600から700oCにかけてホルムアルデヒド収量は増大し、700oCでは空時収量114μmol/hr・g-触媒に達した。
【0026】
(実施例2)
実施例1と同じ条件で、バナジウム担持量のみを1wt%、3wt%、4wt%と変えて反応を700℃で行なったときの結果を表1の実験番号2、3、4にそれぞれ示す。バナジウム担持量が1wt%、3wt%のときは担持量2wt%のときと比較してわずかにホルムアルデヒド収量が低下したのみであったが、4wt%と担持量を増加させると、ホルムアルデヒド収量は大きく低下した。
【0027】
(実施例3)
酸化ダイヤモンドに代えて比表面積110m2/gのシリカに酸化バナジウムを2wt%担持した触媒を用いて、実施例1と同様にメタンの二酸化炭素による酸化反応を検討した。結果を表1の実験番号5に示す。700℃で194μmol/hr・g-触媒のホルムアルデヒド空時収量が得られた。
【0028】
(実施例4)
実施例3と同様の試験を触媒量を0.03gおよび0.05gと少なくして反応を行なった。結果を表1の実験番号6、7にそれぞれ示す。触媒量を減少させてもホルムアルデヒドの生成量は変化せず、空時収量は逆に653、381μmol/hr・g・catalystsと大きくなった。
【0029】
(実施例5)
実施例3に用いたシリカに代えて比表面積が215m2/g、677m2/gと大きいシリカを用い、酸化バナジウムを2wt%担持してメタンと二酸化炭素の反応を行なった。結果を表1の実験番号8、9にそれぞれ示す。比表面積が215m2/gのシリカを用いたときの空時収量は実験番号5の実験結果とほとんど差異はなかったが、比表面積が677m2/gと著しく大きいシリカに酸化バナジウムを担持したとき生成物の空時収量は低下した。
【0030】
(実施例6)
実施例1と同様にして、ただし担体を酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化ニオブに代えて、酸化バナジウムを2wt%担持した触媒を用いてメタンと二酸化炭素の反応を行なった。結果を表1の実験番号10〜13に示す、何れの担体を用いたときにもホルムアルデヒドは生成した。しかし、空時収量は実施例1〜4に示した触媒系よりも低かった。
【0031】
【表1】
【0032】
(比較例1)
実施例1と同じ実験を700℃で、金属酸化物を担持させないで、シリカのみを用いてメタンと二酸化炭素の反応を行なった。結果を表2の実験番号1に示す。全くホルムアルデヒドは生成しなかったことから、酸化バナジウムの存在はホルムアルデヒド生成に不可欠なことが分る。
【0033】
(比較例2)
比較例1と同様にバナジウムなどの金属酸化物を担持しない酸化ダイヤモンドのみを用いて、メタンと二酸化炭素の反応を行なったときの結果を表2の実験番号2に示す。微量のホルムアルデヒドが検出されたが、実施例1〜6のときのように多くのホルムアルデヒドは生成しなかった。
【0034】
(比較例3)
表2の実験番号3から5に示すように、AgO、MoO3、CuOなどをSiO2に担持した触媒を用いた時には、反応は進行せずホルムアルデヒドは得られなかった。
また、表2の実験番号6に示すように、酸化バナジウムをアルミナに担持した触媒を用いてもホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0035】
【表2】
【0036】
(実施例7)
エタンの二酸化炭素による酸化を実施例1のメタンの酸化と同様に行なったときの結果を表3の実験番号1−1から1−5に示す。五酸化バナジウムを3wt%担持した酸化ダイヤモンド0.1gを反応管に仕込み500oCから700oCの温度範囲でエタンと二酸化炭素を1:1の流量比(15ml:15ml毎分)で供給し生成物を分析した。反応温度500oCからアセトアルデヒドの生成が確認され、650oCで最大の生成物空時収率を与えた。高温になるとホルムアルデヒドの生成とエチレンの副生が見られたが、650oCでは毎時0.28mmol/g触媒と高い空時収率となった。
【0037】
(実施例8)
エタンの二酸化炭素による酸化を実施例7と同様に行なったときの結果を表3の実験番号2に示す。この時、原料のエタン、二酸化炭素に分圧として10-20mmHgの水を同時に供給した。結果を見ると、アセトアルデヒドの空時収量はわずかに低下したが、副反応のエチレンの生成量は著しく低下し、選択性が向上した。
【0038】
(実施例9)
五酸化バナジウムを比表面積200m2/gのシリカに担持した触媒を用いてエタンの二酸化炭素による酸化を行なったときの結果を表3の実験番号3に示す。反応温度をメタンの酸化において最適の700oCで行なったが、酸化ダイヤモンドを担体に用いたときのおよそ1/3の収率であるが、アセトアルデヒドが生成した。ただし、酸化ダイヤモンドを担体に用いたときに比較して、副生成物のエチレンが多量に生成し、酸化ダイヤモンド担体のアセトアルデヒド生成に対しての優位性が認められる。
【0039】
また、この時シリカに比表面積の400m2/gと大きなものを用い、酸化ダイヤモンドを担体に用いたときに最適の反応温度であった反応温度の650oCにしてエタンの酸化を行なった。表3の実験番号4に示すようにアセトアルデヒドの収率は酸化ダイヤモンドを担体に用いたときに比較して著しく低下したが、アセトアルデヒドは生成した。
【0040】
【表3】
【0041】
(実施例10)
エタンの代わりにエチレンを用いて二酸化炭素による酸化反応を行った。
酸化ダイヤモンド担持酸化バナジウム触媒0.1gを実施例1と同じ反応管に充填し500oCから700 oCの反応温度でエチレン15ml/min、二酸化炭素15ml/minの流速で導入し反応を行った。結果を表4に示す。
エタンの代わりにエチレンを用いてもアセトアルデヒドを得ることができる。
【0042】
【表4】
【0043】
(比較例4)
表5の実験番号5、6に酸化ダイヤモンドのみ、又はシリカ(400m2/g)のみを用いて実施例7と同様にエタンと二酸化炭素の反応を行なった結果を示す。いずれの担体に用いた材料のみを用いてもアセトアルデヒドは生成しなかった。
【0044】
(比較例5)
表5の実験番号7に五酸化バナジウムをAl2O3に担持して実施例7と同様に反応を行なった結果を示す、全くアルデヒドは生成しなかった。
表5の実験番号8にシリカに鉄を担持して実施例7と同様に反応を行なった結果を示す、この場合もアルデヒドは全く生成しなかった。
【0045】
(実施例11)
シリカにMoO3を担持して実施例7と同様の実験を行なった。結果を表5の実験番号9に示す。酸化ダイヤモンドやシリカに五酸化バナジウムを担持したときよりも低い温度の550oCでわずかにアセトアルデヒドが生成している。これ以上の高温ではMoO3が揮散するので、逆にアセトアルデヒドの収率は低下した。
【0046】
(実施例12)
五酸化バナジウムの担体として、酸化ゲルマニウムGeO2を用いて実施例7と同様の実験を行なったときの結果を表5の実験番号10に示す。収率は高くないが、MoO3を用いたとき(実施例11)と同程度の収率でアセトアルデヒドが得られた。
【0047】
【表5】
【0048】
【発明の効果】
本発明は、酸化バナジウムを第IV族又は第V族の金属酸化物からなる担体に担持した触媒を用いて、低級炭化水素を二酸化炭素により酸化してアルデヒドを直接製造するようにしたので、工業上重要な原料であるホルムアルデヒドやアセトアルデヒドを簡単に、安価に製造できるようになる。
Claims (9)
- 二酸化炭素のみを酸化剤に用いる低級炭化水素よりのアルデヒド製造触媒であって、
酸化バナジウムを第IV族又は第V族の金属酸化物からなる担体に担持したことを特徴とする触媒。 - 前記酸化バナジウムは五酸化バナジウム(V2O5)である請求項1に記載の触媒。
- 前記担体は酸化ダイヤモンド、シリカ、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン及び酸化ニオブからなる群から選ばれた酸化物である請求項1又は2に記載の触媒。
- 請求項1から3のいずれかに記載の触媒の存在下で、低級炭化水素を二酸化炭素のみからなる酸化剤により酸化してアルデヒドを製造することを特徴とするアルデヒドの製造方法。
- 前記酸化の温度範囲を450℃から750℃とする請求項4に記載のアルデヒドの製造方法。
- 低級炭化水素と二酸化炭素を流通させながら反応させる請求項4又は5に記載のアルデヒドの製造方法。
- 酸化反応の際に低級炭化水素と二酸化炭素のほかに水蒸気も供給する請求項4から6のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
- 前記低級炭化水素がメタンであり、前記触媒が五酸化バナジウムをシリカ又は酸化ダイヤモンドに担持したものであリ、反応生成物としてホルムアルデヒドを製造する請求項4から7のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
- 前記低級炭化水素がエタンまたはエチレンであり、前記触媒が五酸化バナジウムをシリカ又は酸化ダイヤモンドに担持したものであリ、反応生成物としてアセトアルデヒドを製造する請求項4から7のいずれかに記載のアルデヒドの製造方法。
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