JP2883455B2 - 不飽和カルボン酸の製造方法 - Google Patents

不飽和カルボン酸の製造方法

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JP2883455B2 JP3019898A JP1989891A JP2883455B2 JP 2883455 B2 JP2883455 B2 JP 2883455B2 JP 3019898 A JP3019898 A JP 3019898A JP 1989891 A JP1989891 A JP 1989891A JP 2883455 B2 JP2883455 B2 JP 2883455B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は不飽和アルデヒドから不
飽和カルボン酸を製造する方法に関し、特に特定の触媒
を用いたメタクロレインの気相接触酸化によるメタクリ
ル酸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
不飽和アルデヒドを気相接触酸化して不飽和カルボン酸
を製造する方法に関して、極めて数多くの特許が提案さ
れている。これらは主としてアクロレインからアクリル
酸を製造する方法であり、この中にメタクロレインから
のメタクリル酸の製造も含まれた特許請求がなされてい
るが、メタクロレインの酸化反応例が具体的に開示され
ているものは希である。又開示されていたとしてもこれ
ら触媒により実際にメタクロレインの酸化反応を行う
と、その多くはメタクロレインの燃焼反応が著しく、変
化率、選択率、製造量が極端に低い場合が多く、しかも
寿命が短く実用的でなかった。
【0003】一方、メタクロレインからメタクリル酸を
製造する方法に関しても近年多数の触媒が提案されてい
る。例えば特開昭50−41811号公報、特開昭53
−3165号公報や、ロジウムをモリブドバナドリン酸
に添加した触媒として特開昭57−59639号公報な
どがある。
【0004】しかし、反応成績が充分でなかったり、触
媒活性の経時低下が大きかったり、反応温度が高すぎた
りの欠点を有し、工業触媒としての使用に際しては更に
改良が望まれているのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは不飽和アル
デヒドから不飽和カルボン酸、特にメタクロレインから
メタクリル酸を工業的に有利に製造するため、活性が高
くしかも触媒寿命の長い触媒の開発を目的とし、鋭意検
討した結果、従来から良く知られているモリブドバナド
リン酸を主体とする触媒組成の下で、触媒にセリウムと
ロジウムを存在させることにより、活性、選択性、寿命
ともに実用性の高い触媒と成ることを見出し、本発明を
完成した。
【0006】即ち、本発明は、不飽和アルデヒドを分子
状酸素で気相接触酸化し不飽和カルボン酸を製造するに
当たり、一般式 Pa Mob c Ced Rhe Cuf g h (ここでP,Mo,V,Ce,Rh,Cu及びOはそれ
ぞれリン、モリブデン、バナジウム、セリウム、ロジウ
ム、銅及び酸素を示し、Xはカリウム、ルビジウム、セ
シウム及びタリウムから選ばれた少なくとも一種を示
し、a,b,c,d,e,f,g,hは各元素の原子比
率を表し、b=12のときa=0.5 〜3,c=0.1 〜3,
d=0.01〜3,eは0を含まない1以下の値、f=0.1
〜3、g=0.01〜2であり、hは前記各成分の原子価を
満足するのに必要な酸素原子数を表す。)で表される触
媒を使用することを特徴とする不飽和カルボン酸の製造
方法を提供するものである。
【0007】本発明においては、リン、モリブデン、バ
ナジウム及びその他の特定元素を含む触媒において、セ
リウムとロジウムを併用して導入することを特色として
いる。本発明に用いられる触媒は活性が高いため低い温
度でも充分な反応率を達成することができ、その結果長
期間に渡って高い触媒活性が維持されるので工業的価値
が極めて大きい。セリウムとロジウムの併用が触媒に与
える効果は明らかでないが恐らく酸化−還元のバランス
が理想的な状態になるものと推定される。
【0008】本発明に用いる触媒を製造する方法として
は特殊な方法である必要はなく、従来から良く知られて
いる調製法が採用できる。例えば各成分元素を含有する
化合物を水の存在下に混合して溶解または分解させ、得
られた混合溶液またはスラリーを蒸発乾固し、乾燥後成
型し焼成して触媒を得る。
【0009】触媒の調製に用いる原料化合物としては各
元素のアンモニウム塩、硝酸塩、炭酸塩、ハロゲン化
物、酸化物などを組み合わせて使用することができる。
例えばモリブデン原料としてパラモリブデン酸アンモニ
ウム、三酸化モリブデン、バナジウム原料としてメタバ
ナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム等が使用でき
る。
【0010】本発明の触媒を製造する場合、各成分化合
物の混合順序は特に制限はない。混合する場合の温度は
一般には20〜 100℃が適当であり、混合時間は均一に混
合出来れば特に制限されないが、混合後50〜 100℃で1
〜20時間熟成するのが望ましい。
【0011】こうして得られた触媒前駆体スラリーを濃
縮乾固した後焼成工程を経て触媒とするが、焼成条件は
空気中ならば 300〜 400℃が適当であるが、窒素などの
不活性気流中で焼成する場合は 380〜 500℃の温度で焼
成するのが望ましい。本触媒の活性を充分発揮させる為
には不活性気流中で焼成するのが好ましい。用いる不活
性気体としては、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどが挙げ
られる。空気中で400℃以上の高い温度で焼成した場合
はヘテロポリ酸の構造が崩れ活性が著しく低下するので
好ましくない。
【0012】本発明に用いる触媒は無担体でも高い活性
を示すが、更に担体に担持させて使用することも出来
る。用いられる担体は、不活性なアルミナ、シリカ、シ
リコンカーバイドなどであるが、触媒の活性を充分に発
揮するためには使用する担体の物性が重要である。担体
の具備すべき物性としては、見かけ気孔率が35〜60%、
吸水率が20〜50%、比表面積が5m2/g以下、粒径が2
〜10mmのものが好ましい。本発明において、比表面積は
窒素ガス吸着法によるB. E. T 法で、また見かけ気孔
率、吸水率は、JIS・R−2205に準じて次の式で求め
る。
【0013】
【数1】
【0014】〔W1 :担体10gの乾燥重量(g)、
2 :飽和水試料の水中重量(g)、W3:飽和水試料
の重量(g)〕担体への触媒物質の担持方法は、前記触
媒のスラリー中に投入し、皿型造粒機、ドラム造粒機な
どを用いて転動しながら熱風など適当な方法で濃縮、乾
燥し、担体に担持させるか、前記触媒乾燥物を遠心流動
コーティング装置等により担体に担持させる事ができ
る。
【0015】本発明の実施に際し、原料ガス中の不飽和
アルデヒドの濃度は広い範囲で変える事が出来るが、1
〜20重量%の範囲が適当であり、特に3〜10重量%が好
ましい。原料不飽和アルデヒドは水、低級飽和アルデヒ
ド等の不純物を少量含んでいてもよく、これらの不純物
は反応に実質的な影響を与えない。
【0016】酸素源としては空気を用いる事が経済的で
あるが、必要ならば純酸素で富化した空気も用い得る。
原料ガス中の酸素濃度は不飽和アルデヒドに対するモル
比で規制され、この値は0.3 〜4、特に 0.4〜 2.5が好
ましい。
【0017】原料ガスは窒素、水蒸気、炭酸ガス等の不
活性ガスを加えて希釈してもよいが、希釈ガスとして反
応排ガスを一部使用するのが経済的である。
【0018】反応は常圧、加圧、減圧のいずれで実施し
てもよいが、一般的には常圧下で実施するのが便利であ
る。反応温度は 230〜 400℃、好ましくは 250〜 360℃
が適当である。接触時間は、反応温度により異なるが、
0.1 〜15秒、好ましくは0.5〜10秒が適当である。
【0019】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明はその主旨を越えない限り本実施例により
規制されるものではない。
【0020】実施例、比較例中、メタクロレインの変化
率、生成するメタクリル酸の選択率は以下のように定義
される。
【0021】
【数2】
【0022】実施例1 パラモリブデン酸アンモニウム 100gとメタバナジン酸
アンモニウム2.8g及び硝酸カリウム4.8 gを純水 300m
lに加熱溶解する。この溶液に85%リン酸6.2gを純水10
mlに溶解したものを添加する。一方、硝酸銅1.14g、酸
化第二セリウム0.81g及び塩化ロジウム水和物1.3 gを
純水30mlに加えた溶液を調製する。この溶液を前記溶液
に撹拌しながら添加する。充分撹拌しながら90℃で15時
間熟成した後、 100℃で加熱撹拌しながら蒸発乾固し
た。この乾固品を 450℃で4時間窒素気流中で焼成して
触媒を得た。得られた触媒の酸素以外の元素の組成(以
下は同じ) は P1.5 Mo120.5 Ce0.1 1 Cu
0.1 Rh0.1 であった。
【0023】この触媒を反応器に充填し、メタクロレイ
ン5モル%、酸素10モル%、水蒸気30モル%、窒素55モ
ル%からなる混合ガスを反応温度 270℃、空間速度を 1
200hr-1で反応を行った。その結果、メタクロレインの
変化率86.4%でメタクリル酸選択率88.6%を得た。
【0024】実施例2〜5 実施例1に準じて下記表1の各触媒を調製し、実施例1
と同一反応条件で反応し表1の結果を得た。
【0025】
【表1】
【0026】実施例6 実施例1と同様にして得たスラリーを皿型造粒機に移し
これに直径3mmの球形多孔質α−アルミナ(敷島マルビ
ー社品 Ma−2063、見かけ気孔率46%、吸水率30%、
比表面積1m2/g以下) 100gを投入し、転動させなが
ら60℃の熱風を吹きつけて蒸発乾固した。これを 450℃
で4時間窒素気流中で焼成して触媒を得た。得られた触
媒の酸素以外の元素の組成はP1.5 Mo120.5 Ce
0.1 1 Cu0.1 Rh0.1 であった。
【0027】この触媒を用い、反応温度を 285℃に変更
した以外は実施例1と同一反応条件で反応し、メタクロ
レインの変化率87.9%でメタクリル酸選択率88.9%を得
た。
【0028】比較例1 パラモリブデン酸アンモニウム 100gとメタバナジン酸
アンモニウム2.8g及び硝酸セシウム9.2 gを純水 300m
lに加熱溶解する。この溶液に85%リン酸6.2gを純水10
mlに溶解したものを添加する。一方、硝酸銅1.14g、及
び塩化ロジウム水和物1.3 gを純水30mlに加えた溶液を
調製する。この溶液を前記溶液に攪拌しながら添加す
る。100 ℃で加熱撹拌しながら蒸発乾固した。この乾固
品を 450℃で4時間空気気流中で焼成して触媒を得た。
得られた触媒の酸素以外の元素の組成は P1.5 Mo12
0.5 Cs1 Cu0.1 Rh0.1 であった。
【0029】この触媒を用い、反応温度を 340℃に変更
した以外は実施例1と同一反応条件で反応し、メタクロ
レインの変化率77.3%でメタクリル酸選択率79.8%を得
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 57/055 B01J 27/199 C07B 61/00 300 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和アルデヒドを分子状酸素で気相接
    触酸化し不飽和カルボン酸を製造するに当たり、一般式 Pa Mob c Ced Rhe Cuf g h (ここでP,Mo,V,Ce,Rh,Cu及びOはそれ
    ぞれリン、モリブデン、バナジウム、セリウム、ロジウ
    ム、銅及び酸素を示し、Xはカリウム、ルビジウム、セ
    シウム及びタリウムから選ばれた少なくとも一種を示
    し、a,b,c,d,e,f,g,hは各元素の原子比
    率を表し、b=12のときa=0.5 〜3,c=0.1 〜3,
    d=0.01〜3,eは0を含まない1以下の値、f=0.1
    〜3、g=0.01〜2であり、hは前記各成分の原子価を
    満足するのに必要な酸素原子数を表す。)で表される触
    媒を使用することを特徴とする不飽和カルボン酸の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 不飽和アルデヒドがメタクロレインであ
    り、不飽和カルボン酸がメタクリル酸である請求項1記
    載の製造方法。
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