JP4025047B2 - 作動流体噴射装置を備えたパンチプレス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばタレットパンチプレス等のごときパンチプレスに係り、さらに詳細には、パンチプレスに上下動自在に備えたストライカによってパンチを打圧するときに、例えばオイルミスト等の作動流体を上記パンチへ噴出供給する作動流体供給装置を備えたパンチプレスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、板状のワークにプレス加工を行うためのパンチ及びダイを備えると共に前記パンチを打圧自在のストライカを上下動自在に備えた構成のパンチプレスには、パンチの潤滑や冷却及び打抜き加工後のカス上り防止等のために、作動流体供給装置を備えると共に前記ストライカにオイルミスト供給孔を備え、かつパンチ側には上記オイルミスト供給孔と接続自在かつ先端側へオイルミストを導く導入孔を備えた構成のパンチプレスが開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のごとき従来のパンチプレスにおいては、上下動自在なストライカによってパンチを打圧するときに、ストライカに備えたオイルミスト供給孔からパンチに備えた導入孔へオイルミストを噴出供給するものであるから、パンチの潤滑及び冷却が有効に行われると共にワークの打抜き加工後のカス上り防止等に有効であり、有益である。
【0004】
しかし、従来は、例えばポンプ等の圧力系からパンチへオイルミスト等の作動流体を供給するとき、パンチの径サイズに拘りなく一定の吐出量でもってオイルミスト等の供給を行っているものである。この場合、小径サイズのパンチに対応して作動流体の吐出量を一定に設定すると、大径サイズのパンチの場合には作動流体が不足がちとなるので、大径サイズのパンチに対応して吐出量を一定に設定してあるのが一般的である。
【0005】
したがって従来は、大径サイズのパンチに対応して常に大量の作動流体を吐出することとなり、小径サイズのパンチの場合にはオイル量過多となって周囲に噴霧飛散することがあり、作業環境の汚染及び必要以上にワークに付着したオイルミストを除去する作業が必要になるという問題がある。
【0006】
したがって、パンチ径サイズに対応して適性量のオイルミスト等の作動流体を供給することが望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の如き問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、板状のワークにプレス加工を行うためのパンチ及びダイを備えると共に前記パンチを打圧自在のストライカを備え、かつ前記ストライカによるパンチの打圧時に、当該パンチに備えた導入孔へ作動流体を噴出供給する作動流体供給装置を備えたパンチプレスにおいて、作動流体を供給するための接続回路に、当該接続回路を接続遮断自在の開閉弁を設け、前記ストライカによって打圧されるパンチの径サイズデータを入力するための径サイズデータ入力手段から入力されたパンチの径サイズデータに基づいて前記パンチの径サイズ又は前記導入孔を有しないパンチであることを判別する判別手段と、パンチの径サイズと前記開閉弁の開閉時間との関係を記憶したデータテーブルと、前記判別手段の判別結果によって前記データテーブルを検索して求められた開閉時間に基づいて前記開閉弁の開閉時間を制御するための開閉時間制御部を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のパンチプレスにおいて、径サイズデータ入力手段はパンチプレスの制御を行うNC装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のパンチプレスにおいて、径サイズデータ入力手段は、前記接続回路に接続した、検出作動時の圧力が異なる複数の圧力センサであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のパンチプレスにおいて、径サイズデータ入力手段はパンチに備えたIDタグ及びそのリーダである。
【0011】
請求項5に係る発明は、板状のワークにプレス加工を行うためのパンチ及びダイを備えると共に前記パンチを打圧自在のストライカを備え、かつ前記ストライカによるパンチの打圧時に、当該パンチに備えた導入孔へ作動流体を噴出供給する作動流体供給装置を備えたパンチプレスにおいて、作動流体を供給するための接続回路に複数の開閉弁を並列に接続して備え、前記ストライカによって打圧されるパンチの径サイズに対応して前記開閉弁を個別に選択又は複数の開閉弁を同時に選択制御して、各種径サイズのパンチに対して適正量の作動流体を供給する構成であることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1を参照するに、本発明の実施の形態に係るパンチプレス1は、板状のワークWにプレス加工を行うためのパンチP及びダイDを備えると共に前記パンチPを打圧自在のストライカ3を上下動自在に備えている。前記パンチP及びダイDは、一般的なパンチプレスと同様に、パンチホルダ5、ダイホルダ7に着脱交換自在に装着してある。
【0013】
上記パンチホルダ5、ダイホルダ7としては、例えばタレットパンチプレスにおいては回転自在な上下のタレットが相当するもので、パンチホルダ5、ダイホルダ7に支持された複数のパンチP、ダイDは前記ストライカ3の下方位置へ割出し位置決め自在に設けられている。なお、パンチプレスには、上下のパンチホルダ5、ダイホルダ7に対して上下動自在なストライカ3がX,Y軸の一方向又はX,Y軸方向へ移動して適宜位置のパンチPの上方位置へ割出し位置決め自在な構成のパンチプレスもある。
【0014】
前記パンチプレス1において、ストライカ3に対応した位置へのパンチP、ダイDの相対的な割出し位置決めや、加工位置(ストライカ3に対応した位置)へのワークWのX,Y方向への相対的な移動位置決め及びストライカ3の上下動等、パンチプレス1の動作は、通常のパンチプレス同様にNC装置9によって制御されるものであり、この種のパンチプレスは公知であるから、パンチプレス1についてのより詳細な説明は省略する。
【0015】
前記ストライカ3には、パンチPの打圧時に、パンチPに備えた導入孔(図示省略)と接続してオイルミスト等の作動流体を噴出供給する流体供給口11が設けてあり、この流体供給口11には作動流体供給装置が接続してある。すなわち上記流体供給口11と圧力源13とを接続した接続回路15には、当該接続回路15を接続遮断自在のソレノイドバルブのごとき適宜の開閉弁17が配置されている。さらに上記接続回路15には、前記開閉弁17の開作動による接続時に負圧を発生してオイルタンクTからオイルを吸引する負圧発生装置16が配置してあり、この負圧発生装置16と前記オイルタンクTとを接続した接続回路18には、当該接続回路18を接続遮断自在のソレノイドバルブのごとき適宜の開閉弁20が配置してある。なお、上記オイルタンクTにはオイルタンクT内を加圧する分岐路15Aが接続してある。
【0016】
上記開閉弁17,20の開閉の制御は、バルブ制御装置19によって行われるものである。このバルブ制御装置19は、前記ストライカ3によって打圧されるパンチPの径サイズデータを入力するための径サイズデータ入力手段の1つとしての前記NC装置9から入力される径サイズデータ信号A,BによってパンチPの径サイズの大、中、小を判別すると共に導入孔を有しない通常のパンチであることを判別して、前記開閉弁17,20の開閉を制御するものである。
【0017】
したがって、パンチPの判別を行うために、バルブ制御装置19は判別手段21を備えている。この判別手段21は、前記データ信号A,Bが(1,1)のときには導入孔を有しない通常のパンチと判別し、(1,0)のときは導入孔を有する小径のエアーブローパンチ、(0,1)のときは導入孔を有する中径のエアーブローパンチ及び(0,0)のときは導入孔を有する大径のエアーブローパンチと判別するものである。
【0018】
前記判別手段21によってパンチPが通常のパンチと判別したときには、前記開閉弁17,20は閉じた状態に保持されて、通常のプレス加工が行われる。そして、前記判別手段21によってパンチPがエアーブローパンチであって、その大、中、小が判別されると、開閉弁17が開制御されると共に、判別されたパンチPに対応した開閉弁20の開閉時間が演算される。すなわち本実施形態においては、パンチサイズと開閉時間との関係を記憶(格納)したデータテーブル23を検索し、判別したパンチ径に対応した開閉時間が求められる。そして、この検索した開閉時間に基き開閉時間制御部25によって開閉弁20の開閉時間が制御される。なお、上記開閉弁20の開閉時間は、パンチPの径の大、中、小に対応して次第に短時間になるものであり、大径のパンチPに対しては大量の作動流体を供給し、中径のパンチに対応して中量、小径のパンチに対しては少量の作動流体を供給することになる。
【0019】
上記構成において、NC装置9の制御の下にパンチプレス1を作動し、ストライカ3の位置に適宜のパンチP、ダイDを割出し位置決めすると、このパンチPに対応したデータ信号A,BがNC装置9からバルブ制御装置19へ入力され、判別手段21によってパンチPが通常のパンチであるか否か及びエアーブローパンチである場合の径サイズの大、中、小が判別される。
【0020】
判別手段21の判別結果に基いてデータテーブル23が検索され、ストライカ3の下方に位置するパンチPの径サイズに適した開閉時間が求められる。そして、前記ストライカ3によって前記パンチPを打圧するときには、検索した上記開閉時間に基き開閉時間制御部25によって開閉弁20の開閉時間が制御され、パンチPの径サイズに適した量の作動流体が供給されることになる。
【0021】
すなわち、パンチPがエアーブローパンチであると判別されると開閉弁17が開作動されて圧力源13からのエアーがストライカ3の流体供給口11へ供給される。このようにエアーの供給が行われると、負圧発生装置16に負圧が発生するので、また、オイルタンクT内が加圧されているので、開閉弁20を開作動すると、オイルタンクTからオイルが吸引され、前記流体供給口11からパンチPの導入孔へオイルミストとして噴出供給されることになる。
【0022】
したがって、パンチPの径サイズに適した適量のオイルミストを過不足なく供給できることとなり、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【0023】
ところで、前記説明においでは、パンチプレス1を制御するNC装置9からデータ信号A,Bをバルブ制御装置19へ入力する場合について説明したが、NC装置9は導入孔を有するパンチであるか否かの識別信号は出力するものの、パンチの径サイズデータ信号までは出力する構成でない場合には、次のごとき構成としてパンチの径サイズデータを前記バルブ制御装置19へ入力する構成とすることも可能である。
【0024】
なお、この場合は、ストライカ3の下方位置に割出し位置決めされたパンチPが導入孔を有するエアーブローパンチであることはNC装置9からの識別信号によって既に判別されており、パンチPの径サイズの大、中、小を判別すれば良いものである。
【0025】
したがって、前記接続回路15に圧力センサ27A,27Bを接続して、ストライカ3をパンチPに当接しかつ開閉弁17を開作動して前記パンチPに作動流体を供給するとき、パンチPの径サイズの大、中、小によって各パンチPに設けられた導入孔の大小に起因する流路抵抗の大小による接続回路15内の圧力変化を検出するようにする。
【0026】
すなわち、大径のパンチの場合には、流路抵抗に起因する接続回路15内の圧力上昇は少ないので、圧力センサ27A,27Bは共に圧力上昇を検出することなくOFF(0,0),中径のパンチの場合には、流路抵抗に起因して接続回路15内の圧力は多少上昇するので、圧力センサ27A,27Bの一方が圧力上昇を検出しOFF,ON(0,1)となり、小径のパンチの場合には、流路抵抗に起因して接続回路15内の圧力がさらに上昇するので、圧力センサ27A,27Bの両方が圧力上昇を検出してON,ON(1,1)となるように各圧力センサ27A,27Bの検出作動時の圧力を設定する。なお、この際、圧力源13からエアーのみが供給されてエアーブローパンチの径サイズの判別が行われるので、周囲環境をオイルミストで汚染するようなことはないものである。
【0027】
上記構成とすることにより、ストライカ3に対応する位置に割出し位置決めされたパンチPが導入孔を有するエアーブローパンチである場合で、その径サイズが不明の場合であっても容易に対応することができるものである。
【0028】
なお、ストライカ3に対応する位置に割出し位置決めされたパンチPが導入孔を有さない一般的なパンチの場合には、前記開閉弁17の開閉は行われず、作動流体が供給されるようなことはないものである。すなわち、前記ストライカに対応する位置のパンチPが導入孔を有するエアーブローパンチのときだけ開閉弁17の開閉が行われ、作動流体の供給が行われるものである。
【0029】
なお、圧力センサを3つ(27A,27B,27C)にし、上記各圧力センサ(27A,27B,27C)が共に圧力上昇を検知してONとなり、検出信号が(1,1,1)になったときに導入孔を有しない一般的なパンチであると判別する構成とした場合には、パンチに関するデータ信号が前記NC装置9からバルブ制御装置19へ何等入力されない場合であっても、エアーブローパンチのパンチ径サイズの大、中、小を判別することができるものである。すなわち、3つの圧力センサ(27A,27B,27C)の検出作動時の圧力が異なり、共に圧力上昇を検出せずに(0,0,0)の場合には大、1つの圧力センサ27Bが圧力上昇を検知してONとなり、(0,1,0)のときは中、2つの圧力センサ27A,27Bが圧力上昇を検知してONとなり、(1,1,0)のときには小径のパンチとなるものである。
【0030】
上述のように、接続回路15に複数の圧力センサ27A、27Bを接続し、この圧力センサ27A,27Bの圧力検出に基いてパンチPの径サイズを判別する場合には、ストライカ3がパンチPを打圧すると同時に開閉弁17を開作動しておき、前記圧力センサ27A,27Bによる圧力検出信号に基いてパンチPの径サイズを判別し、この判別に基いてデータテーブル23を検索することになるものである。
【0031】
なお、前記データテーブル23とは別個に、圧力センサ27A,27Bを用いる場合のデータテーブルをも用意した場合には、バルブ制御装置19にどちらのデータテーブルを使用するかを切替えるための切替手段を備えることが望ましいものである。
【0032】
ところで、前述の説明においては、開閉弁20の開閉時間を制御して作動流体の供給量を制御する旨説明したが、図1に想像線で示すように、作動流体の制御流量/又は制御圧力の異なる複数の開閉弁20A,20Bを並列に接続し、パンチの大、中、小の径サイズに対応して適宜の開閉弁20,20A,20Bを選択する構成とすることも可能である。この場合、個別に選択する構成又は複数の開閉弁を組合せて同時に選択する構成とすることも可能であり、組合せて同時に選択する構成の場合には、径サイズが中、小のエアーブローパンチに対応する2つの開閉弁でもってパンチの径の大、中、小に対応可能である。
【0033】
さらに、前記バルブ制御装置19に対して径サイズデータA,Bを入力するための径サイズデータ入力手段としては、前記エアーブローパンチPの適宜位置に、当該パンチPの径サイズデータA,Bを格納したIDタグ29を設け、例えばストライカ3等の適宜位置に上記IDタグ29のリーダ31を設けた構成とすることも可能である。
【0034】
この場合には、パンチPに備えたIDタグ29の径サイズデータA,Bをリーダ31によって読み取って前記バルブ制御装置19に入力するものである。
【0035】
また、IDタグ29にエアブロー金型であるか否かの情報を直接書き込むことにより、金型種類を判別させる手段をNC装置9が持たなくとも、IDタグ29をリーダー31で読み取ることで直接、判別手段21に金型種類情報を与えることももちろん可能である。この場合、NC装置9の仕様に関係なく最もシンプルな方法であるIDタグ29の装着のみで金型種類判別とサイズ判別を同時に行うことが可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、本発明によれば、ストライカに対応するように相対的に割出し位置決めされたエアーブローパンチの径サイズに対応して作動流体の供給量を制御自在であるから、エアーブローパンチに対して過不足なく適量の作動流体を供給できることとなり、前述したごとき従来の問題点を解消することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパンチプレスの概念的な構成を示した概念説明図である。
【符号の説明】
1…パンチプレス
3…ストライカ
9…NC装置
11…流体供給口
13…圧力源
15…接続回路
17…開閉弁
19…バルブ制御装置
21…判別手段
23…データテーブル
25…開閉時間制御部
27A,27B…圧力センサ
P…パンチ
D…ダイ
W…ワーク
Claims (5)
- 板状のワークにプレス加工を行うためのパンチ及びダイを備えると共に前記パンチを打圧自在のストライカを備え、かつ前記ストライカによるパンチの打圧時に、当該パンチに備えた導入孔へ作動流体を噴出供給する作動流体供給装置を備えたパンチプレスにおいて、作動流体を供給するための接続回路に、当該接続回路を接続遮断自在の開閉弁を設け、前記ストライカによって打圧されるパンチの径サイズデータを入力するための径サイズデータ入力手段から入力されたパンチの径サイズデータに基づいて前記パンチの径サイズ又は前記導入孔を有しないパンチであることを判別する判別手段と、パンチの径サイズと前記開閉弁の開閉時間との関係を記憶したデータテーブルと、前記判別手段の判別結果によって前記データテーブルを検索して求められた開閉時間に基づいて前記開閉弁の開閉時間を制御するための開閉時間制御部を設けたことを特徴とするパンチプレス。
- 請求項1に記載のパンチプレスにおいて、径サイズデータ入力手段はパンチプレスの制御を行うNC装置であることを特徴とするパンチプレス。
- 請求項1に記載のパンチプレスにおいて、径サイズデータ入力手段は、前記接続回路に接続した、検出作動時の圧力が異なる複数の圧力センサであることを特徴とするパンチプレス。
- 請求項1に記載のパンチプレスにおいて、径サイズデータ入力手段はパンチに備えたIDタグ及びそのリーダであることを特徴とするパンチプレス。
- 板状のワークにプレス加工を行うためのパンチ及びダイを備えると共に前記パンチを打圧自在のストライカを備え、かつ前記ストライカによるパンチの打圧時に、当該パンチに備えた導入孔へ作動流体を噴出供給する作動流体供給装置を備えたパンチプレスにおいて、作動流体を供給するための接続回路に複数の開閉弁を並列に接続して備え、前記ストライカによって打圧されるパンチの径サイズに対応して前記開閉弁を個別に選択又は複数の開閉弁を同時に選択制御して、各種径サイズのパンチに対して適正量の作動流体を供給する構成であることを特徴とするパンチプレス。
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