JP4024962B2 - 筐体側ヒンジ用金具及び扉ヒンジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筐体に取り付けられる扉の開閉を可能にする扉ヒンジと、その扉ヒンジを構成する筐体側ヒンジ用金具とに関し、特に、高い安全性を保証しつつ、簡単に扉を取り付け取り外せるようにする扉ヒンジと、その扉ヒンジを構成する筐体側ヒンジ用金具とに関する。
【0002】
コンピュータ装置などを収納する筐体では、開閉可能な扉が取り付けられることになる。この扉は簡単に取り付け取り外せるようにすることが好ましいが、コンピュータ装置などを収納する筐体に取り付けられる扉は相当な重量があることから、不用意に取り外されるようなことがないようにしていく必要がある。
【0003】
【従来の技術】
コンピュータ装置などを収納する筐体に取り付けられる扉のヒンジの従来技術として、EUR.PAT.No.0182524(同一の発明がU.S.PAT.No.4667367として特許されている)に記載されるものがある。図20に、この従来技術を示す。
【0004】
この図20に示すように、従来技術では、筐体側に、外周部に縁Aを持つ管状部材Bをくさび部材Cを使って取り付ける構成を採っている。そして、扉側に、管状部材Bに挿入されるピンDを固着するヒンジ部材Eを備える構成を採っている。
【0005】
このヒンジ部材Eには、ピボットピンFを回転中心とするリリースレバーGが取り付けられており、このリリースレバーGがバネHにより管状部材B側に押圧されることで、リリースレバーGに形成される係合部Iが管状部材Bの持つ縁Aに係合し、ヒンジ部材Eの持つピンDを筐体に固定する。
【0006】
これにより、ヒンジ部材Eが筐体に固定され、ヒンジピンJを回転中心とする扉が筐体に開閉可能に取り付けられることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、この従来技術に従うと、リリースレバーGをバネHの力に抗して回転させることで、筐体側に取り付けられる管状部材Bと、扉側に取り付けられるヒンジ部材Eとの係合を外すことができ、これにより、扉を簡単に取り外すことができる。
【0008】
しかしながら、リリースレバーGが開閉可能な扉側にあり、これがために、作業者が誤ってリリースレバーGに触れる可能性が高く、これから安全性の上で問題があった。
【0009】
更に、作業者が誤ってリリースレバーGに触れるようなことが起こらなくても、バネHが破損する場合、小さな振動などによって管状部材Bとヒンジ部材Eとの係合が外れることになるので、安全性の上で問題があった。
【0010】
コンピュータ装置などを収納する筐体に取り付けられる扉は一般に相当な重量があることから、このような従来技術に従っていると、作業者が大けがをするという危険性があった。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、高い安全性を保証しつつ、簡単に扉を取り付け取り外せるようにする新たな扉ヒンジの提供と、その扉ヒンジを構成する新たな筐体側ヒンジ用金具の提供とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の扉ヒンジは、扉に取り付けられる扉側ヒンジ構造体と、筐体に取り付けられる筐体側ヒンジ用金具とで構成する。
【0013】
この扉側ヒンジ構造体は、(1)扉の構造体を取り付ける基体ブロック部材と、(2)扉の開閉が可能になるようにと、基体ブロック部材に回転可能に取り付けられる扉側本体ブロックと、(3)係合用の切り欠け部を有し、扉側本体ブロックに固着されて筐体側ヒンジ用金具に挿入される挿入軸とを備える。
【0014】
一方、この筐体側ヒンジ用金具は、(1)扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸を挿入する第1の貫通孔と、第1の貫通孔よりも筐体内部側に位置して、その挿入軸の先端部分を挿入する第2の貫通孔とを持つ筐体側本体金具と、(2)筐体側本体金具に回転可能となる形態で取り付けられるとともに、係合レバー先端が筐体面から突出する形態で設けられて、2つの貫通孔の中間位置で、扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸の持つ切り欠け部に係合する係合レバーと、(3)筐体側本体金具に取り付けられて、係合レバーを扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸の持つ切り欠け部に当接させるようにと付勢するバネ部材とを備える。
【0015】
この筐体側ヒンジ用金具は、筐体に設けられるネジ穴用貫通孔を通して、筐体側本体金具のネジ穴にネジを締め付けることで取り付けられることになる。
【0016】
この構成を採るときに、筐体側ヒンジ用金具は、筐体面に当接して設けられて、筐体側本体金具の持つネジ穴に挿入されるネジを挿入するネジ用貫通孔と、扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸の挿入用に用意され、扉が傾かないようにとネジ用貫通孔からずれた位置に配設される挿入軸用貫通孔とを持つプレート部材を備える。
【0017】
また、この構成を採るときに、筐体側ヒンジ用金具は、筐体面に当接して設けられて、係合レバーの先端を挿入する開口を有するとともにネジ穴を有して、その先端の動作方向に移動するスライド部材と、筐体面に当接して設けられて、スライド部材の動きをガイドするガイド部材と、ガイド部材に当接して設けられて、係合レバー先端及びそのネジ穴に取り付けられるネジの移動を可能にする開口を持つプレート部材とを持つロック機構を備えることがある。
【0018】
このとき、このロック機構のガイド部材及び/又はプレート部材は、筐体側本体金具の持つネジ穴に挿入されるネジを挿入するネジ用貫通孔と、扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸の挿入用に用意され、扉が傾かないようにとネジ用貫通孔からずれた位置に配設される挿入軸用貫通孔とを持つ。
【0019】
このように構成される本発明の扉ヒンジでは、筐体に扉を取り付ける場合には、筐体に取り付けられることになる扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸を、筐体に設けられる挿入軸用貫通孔を通して、筐体に取り付けられる筐体側ヒンジ用金具の筐体側本体金具の持つ2つの貫通孔に挿入していく。この挿入時に、筐体側ヒンジ用金具の係合レバーが挿入軸の持つ切り欠け部に係合し、筐体側ヒンジ用金具のバネ部材の付勢力によりこの係合が保持され、これにより、扉側ヒンジ構造体が筐体側ヒンジ用金具に取り付けられて筐体に扉が取り付けられることになる。
【0020】
一方、筐体から扉を取り外す場合には、筐体側ヒンジ用金具の係合レバーをバネ部材の付勢力に抗して動かすことで、係合レバーと挿入軸の持つ切り欠け部との係合が外れ、これにより、扉側ヒンジ構造体が筐体側ヒンジ用金具から取り外されて筐体から扉が取り外されることになる。
【0021】
このようにして筐体に扉が取り付けられるときに、プレート部材により挿入軸の位置が規制され、これにより、扉が傾くことはない。そして、ロック機構が備えられるときには、ロック機構を構成するガイド部材やプレート部材により挿入軸の位置が規制され、これにより、扉が傾くことはない。
【0022】
ロック機構が備えられるときは、ロック機構のプレート部材の持つ開口を通して、ロック機構のスライド部材の持つネジ穴にネジを締め付け、これにより、スライド部材の位置が固定されることで係合レバーの動きが抑止される。従って、筐体に扉を取り付けるときには、このネジの締め付けを緩めてから挿入軸を挿入し、その後にネジを締め付けていく。そして、筐体から扉を取り外すときには、このネジの締め付けを緩めることでスライド部材の動きを可能にし、係合レバーを動かしていくことになる。
【0023】
このように、本発明では、扉に取り付けられる扉側ヒンジ構造体と、筐体に取り付けられる筐体側ヒンジ用金具とで扉ヒンジを構成するときにあって、係合解除機構を筐体側に設ける構成を採ることから、簡単に動いてしまう扉側に係合解除機構を設ける従来技術に比べて、誤った操作により係合が解除されることがなくなり、高い安全性を実現できるようになる。
【0024】
更に、この安全性を確かなものとするためにロック機構を備える構成を採ることから、誤った操作が行われたり、係合用のバネ部材が破損するようなことがあっても、係合が解除されることがなくなり、確実な安全性を実現できるようになる。
【0025】
しかも、扉に取り付けられる扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸を、扉側ヒンジ構造体の他の材料と異なるものにすることができるので、最も力のかかる挿入軸の強度を増すことができるようになる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に従って本発明を詳細に説明する。
【0027】
図1に本発明の扉ヒンジの一実施例を図示する。
【0028】
ここで、この図1に示す扉ヒンジは、扉の左上と左下に設けられる扉ヒンジの内の扉の左上に設けられる扉ヒンジを示しており、図1(a)は、扉の上面から重力方向に向かって見た扉ヒンジの上面図であり、図1(b)は、図1(a)を図中に示すp方向から見た扉ヒンジの側面図である。
【0029】
したがって、図1(b)を挿入軸12が水平に位置する図として見るには、図面を横にして見る必要がある。
【0030】
なお、図1(b)において、挿入軸12や係合レバー21より手前に見える位置規制プレート29については、挿入軸12と係合レバー21との関係を明確なものとするためにその記載を省略してある。
【0031】
この図に示すように、本発明の扉ヒンジでは、扉側に、本体ブロック10とコーナーブロック11と挿入軸12とで構成されるヒンジ構造体1を備え、一方、筐体側に、このヒンジ構造体1に係合するヒンジ用金具2を備える構成を採る。
【0032】
ここで、本体ブロック10に“本体”という表現を用いているのは、後述するように、本体ブロック10が挿入軸12を介して筐体側のヒンジ用金具2に着脱自在に取り付けられて、扉の回転中心の基体部分となるからである。
【0033】
また、図1(a)では、係合レバー21と挿入軸12との関係を分かりやすいものとするために、挿入軸12の一部を切り欠いた形で示してある。
【0034】
また、コーナーブロック11については、図面作成の便宜上、その立体的形状を簡略化した形で記載してある。
【0035】
また、図1(b)に示すネジ30が図1(a)に記載されていないのは、このネジ30が図1(a)に示す断面上に存在していないからである。
【0036】
このコーナーブロック11は、図2に示すように、ヒンジ機能を持たない同一構造物で構成されるコーナーブロック11aとともに、角型パイプ100を挿入し保持することで、筐体に取り付けられる扉の扉構造体1000を構築する。
【0037】
図3に、この扉構造体1000な詳細な構造を図示する。ここで、図3(b)は、扉構造体1000を正面から見た正面図を示し、図3(a)は、扉構造体1000を上面から見た上面図を示している。
【0038】
この図3(a)では、扉が閉じている状態を想定して扉構造体1000の上面図を記載しているが、この扉構造体1000は、扉を開閉させるようにするために、図4に示すように、本体ブロック10の持つヒンジピン13を回転軸として開閉することになる。
【0039】
この扉構造体1000を構築するために、コーナーブロック11は、図5及び図6に示すように、基本的な構造として、角型パイプ100を挿入可能とするL字形状を有している。
【0040】
ここで、図5は、図3(b)の左下に設けられるコーナーブロック11の構造を示し、図5(b)は、図5(a)を図中に示すq方向から見た下面図を示す。
【0041】
この図5に示すように、図3(b)の左下に設けられるコーナーブロック11は、使用状態時に水平方向に突出して角型パイプ100に挿入される突起体111と、使用状態時に重力方向とは逆の方向に突出して角型パイプ100に挿入される突起体112とを備えて、図3(b)の左下に示すような姿勢で使用されることになる。このとき、コーナーブロック11の持つ挿入軸12は、筐体に向けて突出する姿勢となる。
【0042】
また、図6は、図3(b)の左上に設けられるコーナーブロック11の構造を示し、図6(b)は、図6(a)を図中に示すr方向から見た下面図を示す。
【0043】
この図6に示すように、図3(b)の左上に設けられるコーナーブロック11は、使用状態時に水平方向に突出して角型パイプ100に挿入される突起体113と、使用状態時に重力方向に突出して角型パイプ100に挿入される突起体114とを備えて、図3(b)の左上に示すような姿勢で使用されることになる。このとき、コーナーブロック11の持つ挿入軸12は、筐体に向けて突出する姿勢となる。
【0044】
この2つのコーナーブロック11は、このL字形状に従って、図3に示すような形で角型パイプ100に挿入されるのである。
【0045】
図1に示すように、本体ブロック10は、扉の開閉が可能になるようにと、重力方向に配設されるヒンジピン13を使って、コーナーブロック11を回転可能に接続する。
【0046】
図1でその立体形状を簡略化した形で記載したコーナーブロック11と本体ブロック10との関係は次の通りである。
【0047】
すなわち、図6中に示すヒンジ構造体1の断面X−Xは図7に示すものであり、この図7を180度回転すると図8に示すものとなる。
【0048】
この図8と図1とから分かるように、本体ブロック10は、扉の開閉が可能になるようにと、重力方向に配設されるヒンジピン13を使って、コーナーブロック11を回転可能に接続するのである。
【0049】
なお、この図8から分かるように、コーナーブロック11には本体ブロック10を収納可能とする空間2000が設けられており、これにより、コーナーブロック11は本体ブロック10と干渉することなく回転することができるようになっている。
【0050】
後述するように、本体ブロック10は、固着される挿入軸12を介して、筐体側に取り付けられるヒンジ用金具2に着脱自在に取り付けられることになるので、図4及び図9に示すように、このヒンジピン13を回転軸として扉構造体1000が開閉することになる。
【0051】
ここで、図9は、図3(b)中に示す断面Y−Yにおける断面図を示している。この図9は図1(a)を正確に記載した図面であるが、図1(b)を正確に記載した図面は図10となる。この図10は、図3(a)中に示す断面Z−Zにおける断面図を示している。
【0052】
一方、挿入軸12は、例えばSUS(ステンレス鋼)のような十分な強度を持つ材料で構成されており、結合ピン14を使って本体ブロック10に固着されている。
【0053】
この挿入軸12には、図11に示すように、T字形の切り欠け部15が形成されており、図1に示すように、挿入軸12は、上面から見た場合に、この切り欠け部15が右サイドに位置するようにと本体ブロック10に固着されることになる。ここで、図11(b)は、図11(a)をs方向から見た側面図である。なお、切り欠け部15をT字形で形成するのは、エンドミルによる加工では直角形状を切り出せないからである。
【0054】
筐体側に備えられるヒンジ用金具2は、図1に示すように、本体金具20と、係合レバー21と、ネジリコイルバネ22とで構成される。
【0055】
ここで、本体金具20に“本体”という表現を用いているのは、後述するように、係合レバー21及びネジリコイルバネ22を取り付けるための基体部分となるからである。
【0056】
図12に、本体金具20の一実施例を図示する。ここで、図12(a)は、図1(a)のp方向から見た図、図12(b)は、図12(a)をt方向から見た左側面図、図12(c)は、図12(a)をu方向から見た右側面図、図12(d)は、図12(a)をv方向から見た上面図である。
【0057】
この図12に示すように、本体金具20は、挿入軸12を挿入する前段貫通孔23と、前段貫通孔23の後段に位置して挿入軸12の先端を挿入する後段貫通孔24と、カシメ構造により重力の逆方向に直立する形態で備えられて、2段の段差構造を有するとともに、先端に止めリングを装着可能にする円周溝26を持つ円柱25(本体金具20に貫通孔を設けて、そこに円柱25の一部を圧入することで直立させるカシメ構造により設けられる)と、筐体に当接する面に設けられる2つのネジ穴27とを備える。ここで、図12(a)に示す切り欠け部28は、係合レバー21を挿入する切り欠け部分である。
【0058】
なお、この2つのネジ穴27は、図1(b)に示すネジ30のためのネジ穴である。
【0059】
また、図12は本体金具20についての部品図であり、挿入軸12は本体金具20を構成するものではないので、図12に記載することはできない。本体金具20と挿入軸12との関係については図1に記載している通りである。
【0060】
また、図1(b)では、係合レバー21が取り付けられている状態を示しているので、この切り欠け部28について示すことができない。
【0061】
また、図1(b)では、円周溝26に止めリング3000が装着されている状態を示しているので、この円周溝26について示すことができない。
【0062】
また、図1(b)では、挿入軸12が挿入された状態を示しているので、この前段貫通孔23及び後段貫通孔24について示すことができない。
【0063】
このように構成される本体金具20は、図1(b)に示すように、筐体前面200に配設される位置規制プレート29を通して挿入されるネジ30を、本体金具20の持つネジ穴27にネジ止めすることで筐体に取り付けられることになる。
【0064】
なお、図12(b)に記載するネジ穴27が、図12(a)に記載されていないのは、t方向から見た側面にこれらのネジ穴27が形成されることで、正面から見た図である図12(a)には現れないからである。
【0065】
この位置規制プレート29は、挿入軸12の位置を規制することで扉が傾かないようにと設けられるものである。
【0066】
すなわち、図13に示すように、扉の左上に設けられる扉ヒンジは、扉の重量により右方向への力を受け、扉の左下に設けられる扉ヒンジは、扉の重量により左方向への力を受ける。一方、前段貫通孔23とこれに挿入される挿入軸12との間と、後段貫通孔24とこれに挿入される挿入軸12の先端部分との間には遊びがある。これから、その力とその遊びとにより扉が傾いてしまうことになる。
【0067】
そこで、扉の左上に設けられる扉ヒンジには、図14(a)に示すように、ネジ30の挿入用に用意されるネジ用貫通孔31と、挿入軸12の挿入用に用意される挿入軸用貫通孔32とを持ち、かつ、後者の挿入軸用貫通孔32を前者のネジ用貫通孔31よりも左側の位置に形成する位置規制プレート29を用意している。
【0068】
すなわち、前者のネジ用貫通孔31の中心位置の左端からの距離をα、後者の挿入軸用貫通孔32の中心位置の左端からの距離をβとするならば、図14(a)に示すように、「α>β」という関係が成立する配置形態に従ってネジ用貫通孔31及び挿入軸用貫通孔32を持つ位置規制プレート29を用意している。
【0069】
ここで、図中に示す開口33は、係合レバー21の先端の移動が可能となるようにするために設けられている。
【0070】
そして、扉の左下に設けられる扉ヒンジには、図14(b)に示すように、ネジ30の挿入用に用意されるネジ用貫通孔31と、挿入軸12の挿入用に用意される挿入軸用貫通孔32とを持ち、かつ、後者の挿入軸用貫通孔32を前者のネジ用貫通孔31よりも右側の位置に形成する位置規制プレート29を用意している。
【0071】
すなわち、前者のネジ用貫通孔31の中心位置の左端からの距離をα、後者の挿入軸用貫通孔32の中心位置の左端からの距離をβとするならば、図14(b)に示すように、「α<β」という関係が成立する配置形態に従ってネジ用貫通孔31及び挿入軸用貫通孔32を持つ位置規制プレート29を用意している。
【0072】
この2つの位置規制プレート29により、扉の左上に設けられる扉ヒンジでは、挿入軸用貫通孔32の右側部分で挿入軸12の位置が規制され、扉の左下に設けられる扉ヒンジでは、挿入軸用貫通孔32の左側部分で挿入軸12の位置が規制されることで、扉が傾くのを防止できるようになる。
【0073】
すなわち、図13で説明したように、扉の左上に設けられる扉ヒンジは、扉の重量により右方向への力を受けるので、挿入軸12は挿入軸用貫通孔32の右端でその動きを規制されることになる。これから、扉の左上に設けられる扉ヒンジについては、図14(a)に示すような配置形態の位置規制プレート29を用いることで、図15(a)に示すように、ネジ用貫通孔31の中心位置と挿入軸12の中心位置とが一致することになるので、扉が傾かないようにできるのである。
【0074】
なお、図15(a)では、挿入軸12と挿入軸用貫通孔32との間の位置関係を明確なものとするために、挿入軸12については斜線で記載してある。
【0075】
また、図13で説明したように、扉の左下に設けられる扉ヒンジは、扉の重量により左方向への力を受けるので、挿入軸12は挿入軸用貫通孔32の左端でその動きを規制されることになる。これから、扉の左下に設けられる扉ヒンジについては、図14(b)に示すような配置形態の位置規制プレート29を用いることで、図15(b)に示すように、ネジ用貫通孔31の中心位置と挿入軸12の中心位置とが一致することになるので、扉が傾かないようにできるのである。
【0076】
なお、図15(b)では、挿入軸12と挿入軸用貫通孔32との間の位置関係を明確なものとするために、挿入軸12については斜線で記載してある。
【0077】
一方、ヒンジ用金具2を構成する係合レバー21は、図16に示すように、円柱25に挿入される貫通孔34と、挿入軸12の挿入を可能とするために設けられるテーパ部35とを持つ。この貫通孔34が円柱25に挿入されることで、係合レバー21は、ヒンジ用金具2を構成する本体金具20に回転可能に取り付けられることになる。
【0078】
ヒンジ用金具2を構成するネジリコイルバネ22は、係合レバー21の挿入に先立って円柱25に挿入されて、バネ力によって、係合レバー21を挿入軸12側に向けて押圧する。
【0079】
ここで、円柱25に挿入されるネジリコイルバネ22と係合レバー21とは、円柱25の先端に形成される円周溝26に嵌められる止めリング(図1(b)に示す止めリング3000)によって、抜けないように取り付けられることになる。
【0080】
このように構成される本発明の扉ヒンジを使って、筐体に扉を取り付ける場合には、図1(a)に示すように、ヒンジ構造体1の挿入軸12を、位置規制プレート29の挿入軸用貫通孔32及びその後ろに設けられる筐体の貫通孔(この貫通孔についてはこれまで説明していないが、挿入軸12を通すために筐体に設けられている)を通して、本体金具20の前段貫通孔23に挿入し、それに続いて、係合レバー21のテーパ部35を使って、ネジリコイルバネ22のバネ力に抗して係合レバー21を回転させつつ、その先端部分を本体金具20の後段貫通孔24に挿入する。
【0081】
なお、図1では、挿入軸12が挿入された状態を示しているので、挿入軸用貫通孔32、前段貫通孔23、後段貫通孔24については示すことができない。
【0082】
このようにして挿入軸12の先端が後段貫通孔24に挿入されると、係合レバー21のテーパ部35の先端部分が挿入軸12の切り欠け部15に係合し、これにより、挿入軸12がヒンジ用金具2の本体金具20に取り付けられることで、扉に取り付けられるヒンジ構造体1が筐体に取り付けられることになる。
【0083】
このようにして取り付けられた扉を筐体から取り外す場合には、位置規制プレート29の開口33から突出する係合レバー21の先端を、ネジリコイルバネ22のバネ力に抗して回転させることで、係合レバー21と挿入軸12との係合を取り外し、挿入軸12を引き抜くことで行う。
【0084】
図17に、本発明の他の実施例を図示する。
【0085】
この実施例では、図1の実施例の構成を採るときにあって、係合レバー21の動きをロックするロック機構40を備える構成を採っている。
【0086】
このロック機構40は、第1のロックプレート41と、第2のロックプレート42と、第3のロックプレート43とで構成されており、図1の実施例で備える位置規制プレート29に代えて備えられることになる。
【0087】
この第1のロックプレート41は、図18(a)に示すように、開口44とネジ穴45とを持つ。
【0088】
一方、第2のロックプレート42は、図18(b)に示すように、第1のロックプレート41の挿入を可能にして、その動きをガイドする切り欠け部46と、本体金具20の取り付けに用いられるネジ30の挿入用に用意されるネジ用貫通孔47と、挿入軸12の挿入用に用意される挿入軸用貫通孔48とを持つ。
【0089】
一方、第3のロックプレート43は、図18(c)に示すように、第1のロックプレート41の持つ開口44及びネジ穴45を取り出せるようにする長方形状の開口49と、本体金具20の取り付けに用いられるネジ30の挿入用に用意されるネジ用貫通孔50と、挿入軸12の挿入用に用意される挿入軸用貫通孔51とを持つ。
【0090】
ここで、図15(a)で説明した位置規制プレート29と同様の機能を果たすために、図18では明示していないが、扉の左上に設けられる扉ヒンジに対応付けて用意される第2及び第3のロックプレート42,43(いずれか一方のこともある)の持つ挿入軸用貫通孔48,51は、それが持つネジ用貫通孔47,50よりも左側の位置に形成されている。すなわち、図14(a)で説明した配置形態のような形で、挿入軸用貫通孔48,51及びネジ用貫通孔47,50が形成されているのである。
【0091】
そして、図15(b)で説明した位置規制プレート29と同様の機能を果たすために、図18では明示していないが、扉の左下に設けられる扉ヒンジに対応付けて用意される第2及び第3のロックプレート42,43(いずれか一方のこともある)の持つ挿入軸用貫通孔48,51は、それが持つネジ用貫通孔47,50よりも右側の位置に形成されている。すなわち、図14(b)で説明した配置形態のような形で、挿入軸用貫通孔48,51及びネジ用貫通孔47,50が形成されているのである。
【0092】
なお、図17は、扉の上面から重力方向に向かって見た扉ヒンジの上面図であり、図18に示す第1のロックプレート41、第2のロックプレート42及び第3のロックプレート43は、扉の正面から水平方向に見た正面図であるので、図17に、ネジ穴45、切り欠け部46、ネジ用貫通孔47、ネジ用貫通孔50について示すことはできない。
【0093】
このように構成されるロック機構40は、第1のロックプレート41を第2のロックプレート42の切り欠け部46に挿入し、その上に、第3のロックプレート43を配設して、図1の実施例と同様に、ネジ用貫通孔47,50を通して挿入されるネジ30を、本体金具20の持つネジ穴27にネジ止めすることで、本体金具20とともに筐体に取り付けられることになる。
【0094】
このようにして筐体に取り付けられるロック機構40の第1のロックプレート41の持つ開口44には、図17に示すように、係合レバー21の先端が挿入されることで、第3のロックプレート43の持つ開口49から係合レバー21の先端が突出することになる。そして、この開口49を通して、ロック機構40を構成することになるネジ52が第1のロックプレート41のネジ穴45に締め付けられる。
【0095】
この構成に従って、ロック機構40のネジ52が緩められているときには、図19に示すように、第1のロックプレート41は、係合レバー21の動きやネジ52の移動に応じて、第2のロックプレート42の切り欠け部46をスライドする。
【0096】
これから挿入軸12が挿入されるときにも、係合レバー21の動きが妨げられることはなく、従って、挿入軸12がスムーズに挿入されることで、図1の実施例と同様に、簡単に筐体に扉を取り付けることができる。
【0097】
この取り付けを終えた後、ロック機構40のネジ52を締め付ければ、第1のロックプレート41の動きは完全にロックされ、たとえネジリコイルバネ22が破損するようなことが起きても、挿入軸12と係合レバー21との係合が外れることなく、極めて高い安全性を実現できるようになる。
【0098】
そして、筐体から扉を外すときには、ロック機構40のネジ52を緩めた後、ネジ52を第3のロックプレート43の持つ開口49に沿って移動させていけばよいことから、図1の実施例と同様に、簡単に筐体から扉を取り外すことができる。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、扉に取り付けられる扉側ヒンジ構造体と、筐体に取り付けられる筐体側ヒンジ用金具とで扉ヒンジを構成するときにあって、係合解除機構を筐体側に設ける構成を採ることから、簡単に動いてしまう扉側に係合解除機構を設ける従来技術に比べて、誤った操作により係合が解除されることがなくなり、高い安全性を実現できるようになる。
【0100】
更に、この安全性を確かなものとするためにロック機構を備える構成を採ることから、誤った操作が行われたり、係合用のバネ部材が破損するようなことがあっても、係合が解除されることがなくなり、確実な安全性を実現できるようになる。
【0101】
しかも、扉に取り付けられる扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸を、扉側ヒンジ構造体の他の材料と異なるものにすることができるので、最も力のかかる挿入軸の強度を増すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である。
【図2】 扉構造体の説明図である。
【図3】 扉構造体の詳細な構造図である。
【図4】 扉構造体の開閉動作の説明図である。
【図5】 コーナーブロックの一実施例である。
【図6】 コーナーブロックの一実施例である。
【図7】 ヒンジ構造体の断面図である。
【図8】 ヒンジ構造体の断面図である。
【図9】 扉ヒンジの断面図である。
【図10】 扉ヒンジの断面図である。
【図11】 挿入軸の一実施例である。
【図12】 本体金具の一実施例である。
【図13】 扉ヒンジにかかる力の向きの説明図である。
【図14】 位置規制プレートの一実施例である。
【図15】 位置規制プレートの機能の説明図である。
【図16】 係合レバーの一実施例である。
【図17】 本発明の他の実施例である。
【図18】 ロックプレートの一実施例である。
【図19】 ロック機構の説明図である。
【図20】 従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 ヒンジ構造体
2 ヒンジ用金具
10 本体ブロック
11 コーナーブロック
12 挿入軸
13 ヒンジピン
14 結合ピン
20 本体金具
21 係合レバー
22 ネジリコイルバネ
29 位置規制プレート
30 ネジ
Claims (5)
- 筐体に取り付けられて、扉に取り付けられる扉側ヒンジ構造体を着脱可能に取り付ける筐体側ヒンジ用金具であって、
上記扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸を挿入する第1の貫通孔と、該第1の貫通孔よりも筐体内部側に位置して、該挿入軸の先端部分を挿入する第2の貫通孔とを持つ筐体側本体金具と、
上記筐体側本体金具に回転可能となる形態で取り付けられるとともに、係合レバー先端が筐体面から突出する形態で設けられて、上記2つの貫通孔の中間位置で、上記挿入軸の持つ切り欠け部に係合する係合レバーと、
上記筐体側本体金具に取り付けられて、上記係合レバーを上記挿入軸の持つ切り欠け部に当接させるようにと付勢するバネ部材とを備えることを、
特徴とする筐体側ヒンジ用金具。 - 請求項1に記載の筐体側ヒンジ用金具において、
筐体面に当接して設けられて、上記筐体側本体金具の持つネジ穴に挿入されるネジを挿入するネジ用貫通孔と、上記扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸の挿入用に用意され、扉が傾かないようにと該ネジ用貫通孔からずれた位置に配設される挿入軸用貫通孔とを持つプレート部材を備えることを、
特徴とする筐体側ヒンジ用金具。 - 請求項1に記載の筐体側ヒンジ用金具において、
筐体面に当接して設けられて、上記係合レバーの先端を挿入してその動作方向に移動するスライド部材と、筐体面に当接して設けられて、該スライド部材の動きをガイドするガイド部材と、該ガイド部材に当接して設けられて、該スライド部材の動きを許す開口を有するとともに、該スライド部材の動きを該開口を使ってロックするプレート部材とを持つロック機構を備えることを、
特徴とする筐体側ヒンジ用金具。 - 請求項3に記載の筐体側ヒンジ用金具において、
上記ガイド部材及び/又は上記プレート部材が、上記筐体側本体金具の持つネジ穴に挿入されるネジを挿入するネジ用貫通孔と、上記扉側ヒンジ構造体の持つ挿入軸の挿入用に用意され、扉が傾かないようにと該ネジ用貫通孔からずれた位置に配設される挿入軸用貫通孔とを持つことを、
特徴とする筐体側ヒンジ用金具。 - 扉に取り付けられる扉側ヒンジ構造体と、筐体に取り付けられる筐体側ヒンジ用金具とで構成される扉ヒンジであって、
上記扉側ヒンジ構造体が、
扉の構造体を取り付ける基体ブロック部材と、
扉の開閉が可能になるようにと、上記基体ブロック部材に回転可能に取り付けられる扉側本体ブロックと、
係合用の切り欠け部を有し、上記扉側本体ブロックに固着されて上記筐体側ヒンジ用金具に挿入される挿入軸とを備え、
上記筐体側ヒンジ用金具が、
上記挿入軸を挿入する第1の貫通孔と、該第1の貫通孔よりも筐体内部側に位置して、該挿入軸の先端部分を挿入する第2の貫通孔とを持つ筐体側本体金具と、
上記筐体側本体金具に回転可能となる形態で取り付けられるとともに、係合レバー先端が筐体面から突出する形態で設けられて、上記2つの貫通孔の中間位置で、上記挿入軸の持つ切り欠け部に係合する係合レバーと、
上記筐体側本体金具に取り付けられて、上記係合レバーを上記挿入軸の持つ切り欠け部に当接させるようにと付勢するバネ部材とを備えることを、
特徴とする扉ヒンジ。
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- 1999-07-02 JP JP18837699A patent/JP4024962B2/ja not_active Expired - Fee Related
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