JP4024439B2 - 1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体 - Google Patents

1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発光材料に関わり、有機エレクトロルミネセンス素子に代表される表示素子の発光材料、あるいは紫外線励起による蛍光表示材料などに適用可能な有機発光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネセンス素子は、有機物の電界発光現象(以下、ELと略称する)を利用した自発光型素子であり、次世代の平面表示素子や平面光源として期待されている。有機EL素子に関する研究は1960年代のアントラセン単結晶のEL現象の研究を起源とし、イーストマン・コダック社のC. W. Tangらによる薄膜積層型素子が、特開昭59−194393号公報、特開昭63−264692号公報、特開昭63−295695号公報、アプライド・フィジックス・レター第51巻、913頁(1987年)[Appl. Phys. Lett., 51, 913 (1987)]、およびジャーナル・オブ・アプライドフィジックス第65巻、3610頁(1989年)[J. Appl. Phys., 65, 3610 (1989)]等に開示されている
【0003】
前述したC. W. Tangらが考案した積層型薄膜EL素子はその後、広く研究・改良が重ねられ、今日では以下のような素子構成、作製法が知られている。すなわち、透明基板上に陽極、有機正孔注入・輸送層、有機発光層、及び陰極を積層させた素子構成で、素子の作製方法としては、ガラスや樹脂フィルム等の透明な絶縁性の基板上に、インジウムとスズの複合酸化物(以下、ITOという)からなる透明導電膜を陽極として蒸着法またはスパッタリング法等により形成し、この上に銅フタロシアニンや芳香族アミン化合物等に代表される有機正孔注入・輸送材料の単層膜または多層膜を、有機正孔注入・輸送層として100nm程度以下の厚さで蒸着法により形成する。次に、トリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下AlQという)等の有機蛍光材料を、有機発光層として100nm程度以下の厚さで蒸着法により形成する。この有機発光層上に、アルミニウム-リチウム(AlLi)、マグネシウム-銀(MgAg)等の合金を、共蒸着法により厚さ200nm程度の陰極として形成することにより有機薄膜EL素子が作製される。
【0004】
以上のようにして作製される有機薄膜積層型EL素子の両電極間に直流電圧を印加することにより、陽極からプラスの電荷(正孔)が、陰極からはマイナスの電荷(電子)が有機層に注入される。注入された正孔と電子は印加された電場により有機薄膜中を移動し、ある確率で有機発光層中で再結合して励起子を形成する。形成された励起子は有機発光層を構成する有機蛍光材料固有の発光量子収率にしたがって外部に光を放出して基底状態に失活する。このときの外部への発光を利用した素子が有機薄膜積層型EL素子である。なお、この素子に印可する直流電圧は、通常、数V〜30V程度であり、有機蛍光材料としてAlQ、陰極にMgAg合金を用いたEL素子では、10000cd/m2以上の輝度が得られている。
【0005】
しかしながら、上述の有機薄膜EL素子は連続使用時における安定性に問題があり、発光輝度においても向上させる必要があった。さらにはフルカラー表示をさせるために、青、緑、赤の3原色発光をさせる必要があった。素子の発光輝度および安定性を向上させ、発光色を制御する試みとして発光層に強い蛍光を示す色素をドープする方法が知られている。
【0006】
これは、例えば、緑色発光素子の場合、顔料系色素であるキナクリドンをゲスト物質としてAlQにドープした素子を作製する。この素子は緑あるいは黄緑色に発光し、有機発光層としてAlQ単独膜を用いた素子よりも、輝度、発光効率および安定性の向上が見られている(参照:特開平05-70773号公報、特開平08-188772号公報)。
【0007】
また、青色や赤色発光素子についてもドーピング法によって得られることが知られている。例えば、青色発光素子としては、ジスチリルアリーレン誘導体に別のジスチリルアリーレン誘導体をドープしたものを有機発光層とする方法が知られている(アプライド・フィジックス・レター第67巻、3853頁(1995年)[Appl. Phys. Lett., 67, 3853(1995)]、特開平08-333283号公報、特開平06-100857号公報)。赤色発光素子としては、レーザー色素の一つであるDCM誘導体をAlQにドープしたものを有機発光層とする方法が知られている(ジャーナル・オブ・アプライドフィジックス第65巻、3610頁(1989年)[J. Appl. Phys., 65, 3610 (1989)])。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、青色発光材料としてジスチリルアリーレン誘導体を用いた有機EL素子や赤色発光材料としてDCM誘導体を用いた有機EL素子の輝度および発光効率は緑色発光材料であるAlQやキナクリドンをドープしたAlQに比べ低い。そのため、実用上充分な輝度を得るために、青色発光素子では有機発光層にCsなどの低仕事関数金属をさらに添加して素子を最適化する必要があり、製造工程が複雑になるという欠点があった。その為、有機物単独で実用上十分な輝度および発光効率を得るため、さらに強い青色あるいは赤色蛍光を有する材料が求められている。
【0009】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、強い青色蛍光および高い量子収率を発揮する青色発光材料あるいは紫外線励起の蛍光表示材料を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の有機発光材料を鋭意検討した結果、ジスチリルアリーレン誘導体の基本構造であるスチリルアリーレン部分の2重結合に結合するベンゼン環をチオフェン環に置換した本発明にる1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体(以下DTE誘導体)が、同一濃度の溶液中において、ジスチリルアリーレン誘導体の2〜4倍程度の蛍光強度、蛍光量子収率についてもジスチリルアリーレン誘導体の1.6〜2.1倍と高効率で蛍光を発することを見いだし、本発明に至った。
【0011】
請求項1に係る1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体は、下記化学式(1)に記載の化学構造で表されることを特徴とするものである。
【化4】
Figure 0004024439
ただし、X、Yは炭素、窒素原子のいずれかであり、Rはトリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基、R'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基である。
【0012】
尚、1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体としては、下記化学式(2)に記載の化学構造を有するものも望ましい
【化5】
Figure 0004024439
ただし、X、Yは酸素、窒素、イオウ原子のいずれかであり、R、R'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基である。
【0013】
請求項8に係る1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体は、下記化学式(3)に記載の化学構造で表されることを特徴とするものである。
【化6】
Figure 0004024439
ただし、Xは酸素、窒素、イオウ原子のいずれかであり、Yは炭素、窒素原子のいずれかである。Rはトリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基、R'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
上記化学式(1)において、Xは炭素原子または窒素原子であり、また、Yも炭素原子または窒素原子であり、XとYは同じでも異なっても良い。RとR'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基のいずれかであり、RとR’は同じでも又異なっていても良い。中でも、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数が1〜4個のものが良く、例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルが好適である。アルコキシ基としては炭素数が1〜4個のものが良く、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t−ブトキシが好適である。
【0015】
上記化学式(2)においては、Xは酸素原子、窒素原子またはイオウ原子であり、また、Yも酸素原子、窒素原子またはイオウ原子であり、XとYは同じでも異なっても良い。RとR'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基のいずれかであり、RとR’は同じでも又異なっていても良い。中でも、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数が1〜4個のものが良く、例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルが好適である。アルコキシ基としては炭素数が1〜4個のものが良く、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t−ブトキシが好適である。
【0016】
上記化学式(3)においては、Xは酸素原子、窒素原子またはイオウ原子であり、また、Yは炭素原子または窒素原子であり、XとYは同じでも異なっても良い。RとR'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基のいずれかであり、RとR’は同じでも又異なっていても良い。中でも、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数が1〜4個のものが良く、例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルが好適である。アルコキシ基としては炭素数が1〜4個のものが良く、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t−ブトキシが好適である。
【0017】
上記化学式(1)に示す化合物の合成は、下記化学式(4)に示すホスホニウム塩と、下記化学式(5)に示すアルデヒドとをt-ブトキシカリウム存在下で縮合させて得られる粗製物を濾取した後、溶媒で洗浄して簡易精製を行う。得られた試料を乾燥させた後、昇華法を用いて高純度精製物とすることで得られる。
【0018】
【化7】
Figure 0004024439
【0019】
【化8】
Figure 0004024439
【0020】
上記化学式(2)に示す化合物の合成についても、同様に下記化学式(6)に示すホスホニウム塩と、下記化学式(7)に示すアルデヒドとをt-ブトキシカリウム存在下で縮合させて得られる粗製物を濾取した後、溶媒で洗浄して簡易精製を行う。得られた試料を乾燥させた後、昇華法を用いて高純度精製物とすることで得られる。
【0021】
【化9】
Figure 0004024439
【0022】
【化10】
Figure 0004024439
【0023】
上記化学式(3)に示す化合物の合成についても、上記化学式(4)に示すホスホニウム塩と、上記化学式(7)に示すアルデヒドとをt-ブトキシカリウム存在下で縮合させて得られる粗製物を濾取した後、溶媒で洗浄して簡易精製を行う。得られた試料を乾燥させた後、昇華法を用いて高純度精製物とすることで得られる。
【0024】
上述した化学式(1)〜(3)で示される1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体は、溶液中において、従来の青色発光材料であるジスチリルアリーレン誘導体の2〜4倍の強い青色蛍光および1.6〜2.1倍の高い量子収率を発揮することができ、有機エレクトロルミネセンス素子の青色発光材料あるいは紫外線励起の蛍光表示材料として有用である。
【0025】
上述した本発明の発光材料は、周知の種々のEL素子等に適用でき、また、一般的な製造方法を適用できる。
例えば、図16に示すEL素子では、陽極である透明電極16上に、正孔輸送層14、発光層12、陰極となる金属製の電極10が順に積層され、また、透明電極16の他面にガラス基板18が形成されているものである。また、図17に示すものは、電極10と発光層12の間に電子輸送層11が介在しているものである。
電極10としては、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、銀など若しくはこれらの合金が、透明電極16にはITO等が適用される。そして、発光層12として上述した本発明に係る1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体が用いられる。発光層12の厚さは、通常、2〜5000nmである。
発光層12の形成方法も周知の種々の手段を適用することができ、例えば、蒸着法、スピンコート法、キャスト法などが挙げられる。
このEL素子であると、青色発光材料の輝度および発光効率が、緑色発光材料であるAlQやキナクリドンをドープしたAlQの輝度および発光効率と同等に高いので、実用上充分な輝度を得るために、青色発光の有機発光層にCsなどの低仕事関数金属をさらに添加して素子を最適化する必要がなく、製造工程を簡略化できる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
<2-{6'-(t-ブチルジメチルシロキシ)ナフト[2,1-b]チオフェン-2'-イルエテニル}-ナフト[2,1-b]チオフェン[DTE-BB]の合成>
まず、化学式(12)に示す化合物を還元して、化学式(13)に示す化合物を得た後、その水酸基をt−ブチルジメチルシロキシ(TBDMSO)に置換(化学式(14))し、さらに、アルデヒド基を付加して、化学式(15)に示すアルデヒドを得た。このアルデヒドを0.34gと、文献(テトラヘドロン:アシンメトリー, 4巻, 1843頁 1993年[Tetrahedron: Asymmetry, 4, 1843 (1993)])に記載されているホスホニウム塩(2−ナフト[2,1-b]チエニルメチルトリフェニルフォスフォニウムクロリド:化学式(11))0.49gとを20mlのメタノールに入れて攪拌したところに0.12gのt-ブトキシカリウムを添加した。その後、0℃で一晩攪拌したところで、塩化アンモニウム-アンモニア水(1:1混合物)を加えて反応を停止させた。黄色の反応物を濾取した後、エーテルとヘキサンで洗浄し、減圧乾燥させて黄色の粉末状結晶を得た。収量0.49g、収率90%であった。化合物の融点は303℃(DSC)であった。
【0027】
【化11】
Figure 0004024439
【0028】
【化12】
Figure 0004024439
【0029】
【化13】
Figure 0004024439
【0030】
得られた化合物の質量分析の結果として分子イオンピークが522に見られた(図1)ことと、赤外吸収スペクトル(図2)において原料のアルデヒド化合物のC=O伸縮に基づく1700cm-1付近の特性吸収帯が消失していることから、得られた化合物の構造は化学式(8)で示されるものと同定できた。
【0031】
さらに、昇華法によって高純度精製した試料について蛍光測定を行ったところ、図3に示したように、DTE-BBは、トルエン溶液中でピーク波長435nmと462nmの強い青色蛍光を示した。
このときの蛍光強度および量子収率はジスチリルアリーレン誘導体の一つであるDPVBiのそれぞれ2.2倍、1.8倍であった(表1)。
【0032】
[実施例2]
<2-(トリイソプロピルシロキシメチル)-5-{5'-(トリイソプロピルシロキシメチル)ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ジチオフェン-2'-イル-エテニル}-ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ジチオフェン[DTE-TT]の合成>
文献(ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー パーキン・トランザクション 1, 935頁1998年[J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 935 (1998)])に記載の方法に従って化学式(9)に示す2-(トリイソプロピルシロキシメチル)-5-{5'-(トリイソプロピルシロキシメチル)ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ジチオフェン-2'-イル-エテニル}-ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ジチオフェンを合成した。即ち、まず、化学式(16)に示す2−(ヒドロキシメチル)ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェンの水酸基をシリルエーテルに置換して化学式(17)に示す化合物を経た後、化学式(18)に示すアルデヒドを得た。
さらにまた、得られたアルデヒドに対して、常温でNaBH4を用いて還元し、2−(ヒドロキシメチル)−7−(トリイソプロピルシロキシメチル)ベンゾジチオフェンを得、その水酸基を塩素化し、さらに、トリフェニルホフィンを用いてホスホニウム塩(化学式(19))を得た。
そして、得られたホスホニウム塩を18.19gと、上記得られた化学式(18)で示すアルデヒドの10.71gをテトラヒドロフラン(90ml)とエタノール(380ml)の混合溶媒に入れて攪拌したところに、4.45gのt-ブトキシカリウムを溶かしたエタノール溶液(80ml)を室温で添加した。このとき得られた黄色の懸濁液を16時間反応させた。その後、水と10%塩酸を加えて反応を停止させた。沈殿物を濾過して取り除いた後、残留物をエタノールとヘキサンで洗浄し、減圧乾燥させて黄色の粉末を得た。収量17.69g、収率86%であった。得られた化合物の融点は194℃(DSC)であった。
【0033】
【化14】
Figure 0004024439
【0034】
実施例1と同様に、質量分析の結果として分子イオンピークが776に見られた(図4)ことと、赤外吸収スペクトル(図5)において原料のアルデヒド化合物のC=O伸縮に基づく1700cm-1付近の特性吸収帯が消失していることから、得られた化合物の構造は化学式(9)で示されるものと同定できた。
【0035】
さらに、昇華法によって高純度精製した試料について実施例1と同様に蛍光測定を行った。
その結果、図6に示したように、DTE-TTはトルエン溶液中でピーク波長431nm、456nmの強い青色蛍光を示した。このときの蛍光強度および量子収率はジスチリルアリーレン誘導体の一つであるDPVBiのそれぞれ3.5倍、1.6倍であった(表1)。
【0036】
[実施例3]
<2-{(トリイソプロピルシロキシメチル)ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ジチオフェン-5-イル-エテニル}-ナフト[2,1-b]チオフェン[DTE-BT]の合成>
実施例1で用いたホスホニウム塩(化学式(11))3.77gと、実施例2で用いたアルデヒド(化学式(18))2.93gとをテトラヒドロフラン(50ml)とエタノール(10ml)混合溶媒に入れたところに1.2gのt-ブトキシカリウムを添加した。この混合溶液を60℃で15時間反応させた後、200mlの塩水を加えた。粗生成物を濾取した後、水とエタノールで洗浄し、黄色の粉末を得た。収量3.87g、収率91%であった。得られた化合物の融点は221℃(DSC)であった。
【0037】
【化15】
Figure 0004024439
【化16】
Figure 0004024439
【化17】
Figure 0004024439
【0038】
実施例1と同様に、質量分析の結果として分子イオンピークが584に見られた(図7)ことと、赤外吸収スペクトル(図8)において原料のアルデヒド化合物のC=O伸縮に基づく1700cm-1付近の特性吸収帯が消失していることから、得られた化合物の構造は化学式(10)で示されるものと同定できた。
【0039】
さらに、昇華法によって高純度精製した試料について実施例1と同様に蛍光測定を行ったところ、図9に示したように、DTE-BTはトルエン溶液中でピーク波長431nm、458nmの強い青色蛍光を示した。このときの蛍光強度および量子収率はジスチリルアリーレン誘導体の一つであるDPVBiのそれぞれ2.9倍、1.7倍であった(表1)。
【0040】
[実施例4]
<1,2-ビス(キノリン[6,5-b]チオフェン-2-イル)エチレン[DTE-PP]の合成>
文献(ブレタン・ケミカル・ソサイエティー・オブ・ジャパン, 70巻891頁1997年[Bull. Chem. Soc. Jpn., 70, 891 (1997)])に記載の方法に従って化学式(26)に示すホスホニウム塩と化学式(27)に示すアルデヒドとを得た。即ち、化学式(20)に示す2−クロロ−5−ニトロベンズアルデヒドとHSCH2CO2Etを炭酸カリウムの存在下、室温で反応させて化学式(21)で示す5−ニトロベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸を得、さらにニトロ基を還元して化学式(22)に示す5−アミノベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸エチルを得た。続いて、m−ニトロベンゼンスルフォン酸ナトリウム及びホウ酸の存在下でグリセリンと濃硫酸の混合物で処理し、さらにエステル化して化学式(23)で示すチエノ[3,2−f]キノリン−2−カルボン酸エチルを合成した。さらに、LiAlH4で還元して化学式(24)で示すアルコールを得た。
次に、トリエチルアミンの存在下、SOCl2で化学式(25)に示す塩化物に置換した後、トリフェニルフォスフィンと反応させて化学式(26)で示すホスホニウム塩を得た。
また、化学式(24)で示すアルコールについて、CH2Cl2中のジクロム酸ピリジニウム(PDC)で酸化して化学式(27)で示すアルデヒドを得た。
【0041】
【化18】
Figure 0004024439
【0042】
【化19】
Figure 0004024439
【0043】
【化20】
Figure 0004024439
【0044】
その後、得られたホスホニウム塩(化学式(26))0.99gとアルデヒド(化学式(27))0.16gをテトラヒドロフラン(5ml)とメタノール(10ml)の混合溶媒に入れて攪拌したところに、0.17gのt-ブトキシカリウムを加えて1晩室温で反応させた。生成した沈殿物を濾取し、メタノールとベンゼンで洗浄した。これを減圧乾燥させて目的物を得た。得られた化合物の融点は371℃(DSC)であった。
【0045】
実施例1と同様に、質量分析の結果、分子イオンピークが394に見られた(図10)ことと、赤外吸収スペクトル(図11)において原料のアルデヒド化合物のC=O伸縮に基づく1700cm-1付近の特性吸収帯が消失していることから、得られた化合物の構造は化学式(28)で示す1,2-ビス(キノリン[6,5-b]チオフェン-2-イル)エチレンと同定できた。
【化21】
Figure 0004024439
【0046】
さらに、昇華法によって高純度精製した試料について、実施例1と同様に蛍光測定を行ったところ、図13に示したように、DTE-PPはトルエン溶液中でピーク波長428nm、455nmの強い青色蛍光を示した。
このときの蛍光強度および量子収率はジスチリルアリーレン誘導体の一つであるDPVBiのそれぞれ2.9倍、2.1倍であった(表1)。
【0047】
[実施例5]
<5-{2'-(n-ブチルジメチルシロキシメチル)ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ジチオフェン-2'-イル-エテニル}-キノリン[6,5-b]チオフェン[DTE-BP]の合成>
実施例4で用いたホスホニウム塩0.38gと、実施例2で合成したアルデヒドと同様の方法で合成したアルデヒド(化学式(29))0.52gをテトラヒドロフラン(10ml)とメタノール(10ml)の混合溶媒に入れて攪拌したところに、0.24gのt-ブトキシカリウムを加えて1晩室温で反応させた。生成した沈殿物を濾取し、メタノールとベンゼンで洗浄した。これを減圧乾燥させて目的物を得た。得られた化合物の融点は306℃(DSC)であった。
【化22】
Figure 0004024439
【0048】
実施例1と同様に、質量分析の結果、分子イオンピークが543に見られた(図14)ことと、赤外吸収スペクトル(図15)において原料のアルデヒド化合物のC=O伸縮に基づく1700cm-1付近の特性吸収帯が消失していることから、得られた化合物の構造は、化学式(30)で示す5-{2'-(n-ブチルジメチルシロキシメチル)ベンゾ[1,2-b:4,3-b']ジチオフェン-2'-イル-エテニル}-キノリン[6,5-b]チオフェンであることが同定できた。
【化23】
Figure 0004024439
【0049】
さらに、昇華法によって高純度精製した試料について実施例1と同様に蛍光測定を行ったところ、図16に示したように、DTE-BPはトルエン溶液中でピーク波長431nm、457nmの強い青色蛍光を示した。このときの蛍光強度および量子収率はジスチリルアリーレン誘導体の一つであるDPVBiのそれぞれ3.6倍、1.6倍であった(表1)。
【0050】
【表1】
Figure 0004024439
【0051】
【発明の効果】
以上示したように本発明によって得られた1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体は、溶液中において、従来の青色発光材料であるジスチリルアリーレン誘導体の2〜4倍の強い青色蛍光および1.6〜2.1倍の高い量子収率を有しており、有機エレクトロルミネセンス素子の青色発光材料あるいは紫外線励起の蛍光表示材料として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 DTE-BBの質量分析結果を示すグラフである。
【図2】 DTE-BBの赤外吸収スペクトル図である。
【図3】 DTE-BBの蛍光スペクトル図である。
【図4】 DTE-TTの質量分析結果を示すグラフである。
【図5】 DTE-TTの赤外吸収スペクトル図である。
【図6】 DTE-TTの蛍光スペクトル図である。
【図7】 DTE-BTの質量分析結果を示すグラフである。
【図8】 DTE-BTの赤外吸収スペクトル図である。
【図9】 DTE-BTの蛍光スペクトル図である。
【図10】 DTE-PPの質量分析結果を示すグラフである。
【図11】 DTE-PPの赤外吸収スペクトル図である。
【図12】 DTE-PPの蛍光スペクトル図である。
【図13】 DTE-BPの質量分析結果を示すグラフである。
【図14】 DTE-BPの赤外吸収スペクトル図である。
【図15】 DTE-BPの蛍光スペクトル図である。
【図16】 EL素子の一構成例を示す断面図である。
【図17】 EL素子の一構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
12 発光層

Claims (15)

  1. 下記化学式(1)に記載の化学構造で表される1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
    Figure 0004024439
    ただし、X、Yは炭素、窒素原子のいずれかであり、Rはトリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基、R'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基である。
  2. 前記Rがトリスアルキルシロキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  3. 前記Rがt−ブチルジメチルシロキシ基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  4. 前記XとYが炭素原子であることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  5. 前記R'が水素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  6. 下記化学式(1)に記載の化学構造で表される1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
    Figure 0004024439
    ただし、XとYは窒素原子、R、R'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基である。
  7. 前記RとR'が水素原子であることを特徴とする請求項6に記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  8. 下記化学式(3)に記載の化学構造で表される1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
    Figure 0004024439
    ただし、Xは酸素、窒素、イオウ原子のいずれかであり、Yは炭素、窒素原子のいずれかである。Rはトリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基、R'は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、トリスアルキルシロキシ基あるいはトリスアルキルシロキシメチル基である。
  9. 前記Rがトリスアルキルシロキシメチル基であることを特徴とする請求項8に記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  10. 前記Rがトリイソプロピルシロキシメチル基であることを特徴とする請求項8又は9に記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  11. 前記Yが炭素原子であることを特徴とする請求項8、9、10のいずれかに記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  12. 前記Rがn−ブチルジメチルシロキシメチル基であることを特徴とする請求項8又は9に記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  13. 前記Yが窒素原子であることを特徴とする請求項8、9、12のいずれかに記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  14. 前記Xがイオウ原子であることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
  15. 前記R'が水素原子であることを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の1,2−ジチオフェン−イル−エチレン誘導体。
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