JP4023785B2 - サポータ - Google Patents

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Description

【0001】
【本発明の属する技術分野】
本発明は、膝を好適に保護し装着されるサポータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、関節炎などの膝の痛みを緩和するための膝用のサポータが提案されている。例えば、筒状の形状、帯状の形状を有するものや、膝を衝撃から保護するためのクッション部材を有するものなどが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一概に膝の痛みといってもその状態は様々であり、例えば、骨の老化に伴う変形性膝関節症、膝関節を構成する大腿骨と脛骨の位置のずれやねじれにより生じる膝外側の炎症、或いはO脚などに生じる慢性的な関節炎などがあり、従来のサポータではこれらの痛みに十分に対応できなかった。特に、大腿骨下端と脛骨上端やその周辺の腱の位置のずれを補正した状態で膝を適度に固定すると同時に、装着時における膝の屈伸運動に障害とならないようにすることは困難であった。
【0004】
本発明は、このような問題点を解消し、様々な膝の痛みを効果的に緩和する性能に優れ、装着時の膝の動きの障害とならず、かつ着脱の簡便なサポータを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、脚を挿入して膝に装着する、伸縮性素材からなる筒状のサポータであって、膝頭に相当する位置に開口部を有し、当該サポータの左右側面には、縦方向に一対の弾性ある棒状支持部材が取り付けられており、また、前記開口部の上下からそれぞれ膝裏の中央部に向けてバンド部材が斜めに設けられるようにすることによって、上記課題を解決したものである。
【0006】
このようなサポータであれば、一対の棒状の支持部材が膝の内側と外側の両方向から膝関節を挟むようにして支持して、膝関節を構成する大腿骨と膝骨の水平方向のずれを常に補正できることとなる。そしてこの支持部材は弾性を有するので、膝の屈伸運動などの大きな力が加わった場合に、その弾性により支持部材が容易にしなり、膝の動きを妨げずに膝を支持することが可能となる。また、開口部は、膝頭を外方に開放するので、屈伸動作の際に膝頭を圧迫せずにスムーズな膝の動きを可能とする。この開口部は、人間工学的な数値に基づき円形状に形成されたものが好ましい。さらに、バンド部材が膝関節を上方、下方、上方側面および下方側面から締めつけるので、屈伸動作で膝関節の腱、大腿骨と膝骨の位置が大きくずれるのを防止することとなる。このバンド部材が適度な張力により関節を支持できるようにするためには、伸縮性の素材を用いて膝周辺の立体構造に基づいて立体的に成型したものが好適である。以上のような構成にすることで、装着時における膝の屈伸運動や歩行運動を妨げずに膝関節を適度に固定できて、変形性膝関節症などの膝関節の痛みを軽減することが可能となる。
【0007】
また、開口部の周辺部分に衝撃吸収性を有するクッション部材をさらに設けるようにしたので、膝周辺にかかる衝撃を緩和しながら、膝頭を固定できることとなる。このクッション部材は、厚手の不織布などの肌触りの柔らかい素材で成型されるのが好ましい。
【0008】
さらに、サポータの膝裏の中央部の厚さが当該サポータの他の部分より薄くなるように設定したので、膝を曲げたときの膝裏部のごろつき感を大幅に低減することができる。この膝裏の中央部は、メッシュ状の伸縮性素材を一重にして、立体裁断して形成したものが好ましい。通気性や速乾性に優れ、装着感をより一層高められるからである。
【0009】
また、支持部材を構成するものとして、コイル状の棒体のものが挙げられる。耐久性や成形容易性を考慮すると、例えば金属製やプラスチック製のものが好適である。膝上から膝下にかけて膝を支持するために、約12〜約30cmの長さを有するものが好ましく、さらに支持機能を強化するためは、支持部材がそれぞれ2本のコイル状の棒体のものがより好ましい。
【0010】
さらに、前記開口部の上方を左右に分離された扉状に形成するようにして、該左右の扉状の先端部に、該扉状部を脚の太さに合わせて相互に係止するための止着部が設けるようにすれば、装着者の脚の太さに合わせて好みの締めつけ感で簡単に装着し得ることとなる。この場合、止着部が面ファスナーであれば、装着が特に楽である。この面ファスナーは、伸縮性を有する素材でなることが望ましい。例えば、ストレッチ性のベルベットファスナーが好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面に従って説明する。
サポータ1は、図1に示すように、脚を挿入して膝に装着する筒状のサポータである。このサポータ1には、膝頭に相当する位置に開口部3を有しており、装着状態において膝頭を外方に開放することができる。この開口部3の上方は扇状に分離していて、それぞれの先端部には、膝上で重ねて相互に係止するためのベルベット式ファスナー2が設けられている。本サポータ1は、縦横に伸縮性を有する素材を人間工学的に算出した数値に基づいて裁断した複数のパーツから構成されており、それらを縫製して膝周辺部を立体的にサポートするように設定されている。
【0012】
ベルベット式ファスナー2は、その構成要素である雄部2aと雌部2bを装着者の太股部分のサイズに合わせて相互に係止させることで装着できる。これにより、好みの締め付け感に調節できて、着脱の操作を容易に行うことができる。雄部2aと雌部2bのそれぞれの下方は、曲線状に切り抜かれていて、サポータ1を膝部に装着して雄部2aと雌部2bを係合させた場合に、略円形状の開口部3を形成するように構成している。膝頭はこの開口部3から開放されるので、膝を曲げた状態でも膝頭を圧迫せずに自由に動作させることができる。
【0013】
さらに、サポータ1を裏表にした状態を図2に示すように、上部に切り込みを有するドーナツ状のクッション部材4が開口部3に沿ってサポータ1の裏面より取り付けられている。このクッション部材4は不織布などの軟らかい素材で形成されており、膝周りを優しい感触で固定しながら膝部の衝撃を吸収できる。
【0014】
サポータ1の左右側面には、縦方向に一対の棒状の支持部材7がサポータ1の裏面より取り付けられている。この支持部材7は、それぞれ2本の金属製のコイル状棒状部材で構成され、不織布でくるまれサポータ1の上端から下端にかけて固定されている。この一対の支持部材7は、膝の外側と内側の両側方向から挟むようにして関節を固定するので、膝関節の上と下のずれ、特に大腿骨下端と脛骨上端の位置のずれを補正し、変形性関節症などの痛みを緩和して症状の悪化を防ぐことができる。またこの支持部材は、その弾力により、膝の屈伸動作にあわせて変形しながら固定するので、違和感のない装着感を付与することができる。
【0015】
また、クッション部材4の上方および下方からそれぞれ膝裏の中央部6に向けて、バンド部材4が斜めにサポータ1の裏面より取り付けられている。このバンド部材5は、膝の形状に合わせて立体カットされたストレッチ素材で形成されており、膝関節部を特に上下方向から張力を付与しながら適度に締め付けて固定できる。
【0016】
また、膝裏に相当するサポータの膝裏の中央部6は一重のメッシュ性伸縮素材で構成されている。膝裏の中央部6以外のサポータ部分はサポータ力を高めるために伸縮性素材を少なくとも二重にして用いており、このように膝裏の中央部6を他の部分より薄くすることで、屈伸動作の際のゴロツキ感をなくし、さらに通気性や速乾性を高めて、極めて良好な装着感を提供することが可能となる。
【0017】
さらに別の実施例として、図3で示すような、面ファスナーなどの係止部を有さない筒形状のサポータ11が挙げられる。
サポータ11は面ファスナーを備えない以外は、実質的にサポータ1と同様の構成を有するものである。すなわち、サポータ11は縦横に伸縮性を有する素材から構成され、装着者の膝頭を開口部3から開放して膝周辺をドーナツ形状のクッション部材4で優しく固定するように構成され、さらにこの伸縮素材の裏面に取り付けられた一対の棒状の支持部材7が膝の内側と外側から関節を挟んで固定するように構成されている。また、サポータ11の裏面には、膝裏の中央部6からクッション部4の上方および下方に向けてバンド部材が取り付けられており、膝関節を上下から挟むように固定する。使用時には、サポータ11の伸縮性素材を引っ張り、筒部の上端または下端の開口部を延ばして着脱する。
【0018】
このようなサポータ11は、面ファスナーなどの係止部を有さない単純な構成であるため、製造コストや原料費を低く抑えられるというメリットがある。また、係止部において伸縮素材どうしが重ならず、厚みのもたつきをなくすことができるので、サポータ11を装着した上に被服を着た場合に、サポータの存在感が目立たなくなるという効果も奏する。
【0019】
なお、本発明における構成は、以上説明したものに限定されないのは勿論である。例えば、バンド部材5などの部材を表地と裏地に間に設けるようにして表からも裏からも見えないようにしても構わない。サポータの各部材をサンドイッチ式に隠すことで、装着時のごわつきを低減させながら、外観に高級感を付与することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のサポータは、膝の内側と外側の二つの方向から膝関節を挟むようにして支持する一対の弾性ある棒状の支持部材により大腿骨と膝骨の水平方向のずれを補正できる。また、膝関節の上方と下方の方向から膝を締めつけるようにしたバンド部材により膝関節を適度に固定することができる。さらに、膝頭を開放する開口部を設けたので、屈伸動作の際に膝頭を圧迫せずに膝のスムーズな動きが可能となる。本発明のサポータは屈伸運動や歩行運動の障害とならずに装着できて膝関節を適度に固定できるので、変形性膝関節症などの膝の痛みを緩和し、予防することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、Aは本発明の装着状態の斜視図、Bは本発明の実施例の側面図である。
【図2】本発明の一実施例を裏表にした状態での側面図である。
【図3】本発明の他の実施例の装着状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 サポータ
11 サポータ
2 ベルベット式ファスナー
2a 雄部
2b 雌部
3 開口部
4 クッション部材
5 バンド部材
6 膝裏の中央部
7 支持部材

Claims (5)

  1. 脚を挿入して膝に装着する、伸縮性素材からなる筒状のサポータであって、膝頭に相当する位置に開口部を有し、当該サポータの左右側面には、縦方向に一対の弾性ある棒状支持部材が取り付けられており、かつ、前記開口部の上下からそれぞれ膝裏の中央部に向けてバンド部材が斜めに設けられており、膝裏の中央部は、他の部分より薄く設定されていることを特徴とするサポータ。
  2. 前記開口部の周囲には、衝撃吸収性を有するクッション部材がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のサポータ。
  3. 前記支持部材が、コイル状の棒体からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のサポータ。
  4. 前記開口部の上方が左右に分離された扉状に形成されており、該左右の扉状の先端部には、該扉状部を脚の太さに合わせて相互に係止するための止着部が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のサポータ。
  5. 前記止着部が面ファスナーであることを特徴とする請求項に記載のサポータ。
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