JP4023270B2 - アナログミキサー及びプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、操作子の操作に応じた所定の制御をアナログ信号に対して行うアナログ信号処理装置及びプログラムに関するものであり、特に複数の操作子の中から操作された操作子を特定するスキャン処理の際に生ずる電磁波によるアナログ信号への影響を低減化するようにしたアナログ信号処理装置及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複数の操作子の個々の操作子の操作に応じてアナログ信号に対し所定の制御を行うアナログ信号処理装置が知られている。こうしたアナログ信号処理装置の1つとして、例えばコンサート会場やクラブなどにおいてアーティストの歌や演奏を最も的確に表現していると思われる状態に調整するために、多数のマイクロフォンや複数台の電気・電子楽器などから出力された複数のアナログ信号(例えば音声信号など)をミキシングして出力するアナログミキサーが知られている。アナログミキサーでは複数の入力チャンネルと複数の出力チャンネルそれぞれのアナログ信号の音質やレベルなどをコントロールするための入力チャンネル用と出力チャンネル用それぞれに複数個の操作子を具えており、ユーザはこうした個々の操作子を適宜に操作することで該操作子毎に対応付けられた所定の制御を入力アナログ信号や出力アナログ信号に対して施すことができるようになっている。このような入出力アナログ信号に対して所定の制御を施す操作子としては音質やレベルなどをコントロールするための操作子の他に、そのオン・オフ操作に従って各入出力チャンネルのアナログ信号を「出力する・しない」を設定するための操作子、各入力チャンネルのアナログ信号を特定の信号線(例えば、アナログ信号を伝送するための内部バス)に接続オン・オフするための操作子、あるいは出力ポートへの接続オン・オフなどの信号線の配線設定(パッチ)を行うための操作子などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような操作子のオン・オフ操作に応じて入出力アナログ信号に対し所定の制御を行うアナログミキサーなどのアナログ信号処理装置においては、内蔵された1個のCPUあるいはDSPなどのデジタル制御機器が各入出力チャンネルにおける複数の操作子のオン・オフ状態の変化を常にスキャンしており、複数の操作子の中からオン・オフ操作された操作子をすぐに特定することができるようにしている。このデジタル制御機器により実行されるスキャン処理ではスキャン対象とする操作子全体を常に5〜10msec(ミリ秒)間隔という非常に短い時間間隔で操作子のスキャンを実行していることから、このスキャン処理の実行に伴って電磁波が発生される。アナログミキサーなどのようにアナログの音声信号を数多く取り扱うようなアナログ信号処理装置においては、特にこうしたデジタル制御機器から発生した電磁波が内部バス内を伝送される音声信号に対してノイズ成分として影響を与えてしまい、結果として出力するアナログ信号の音質が劣化する、という問題点があった。デジタル制御機器から発生する電磁波の影響を避けるためには内部バスに対してシールドを施すことによって電磁波を遮断するなどの方法があるが、1つ1つの内部バスに対してシールドを施すことは装置のコンパクト性という観点から非現実的であるし、またアナログミキサーなどのように例えば400個前後といった非常に数多くの操作子を有するアナログ信号処理装置においては特に根本的な解決方法となるものではなかった。したがって、従来の方法では電磁波による音質の劣化を低減させることは非常に難しいことであった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、必要に応じたときのみに操作子のスキャン処理を実行して操作された操作子を特定することにより、該スキャン処理の実行に応じて発生する電磁波による信号線へのノイズ成分の侵入を極力減らし、音質を劣化させることなくアナログ信号を制御することのできるようにしたアナログ信号処理装置及びプログラムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアナログミキサーは、アナログミキサーの複数の操作子からの入力指示を受け付けて、前記受け付けた入力指示に応じた制御をアナログ信号に対して行うアナログ信号処理装置において、前記複数の操作子のうちのいずれかの操作子がユーザ操作されることに応じて操作変化出力信号を出力する出力手段と、前記出力された操作変化出力信号を検出する操作子変化検出手段と、前記複数の操作子の中からユーザ操作された操作子を特定するため、前記複数の操作子を順次に走査する操作子スキャン手段と、前記操作子スキャン手段により特定された操作子の操作状態に応じて、該操作子に割り当てられている機能を実行する制御手段とを有してなり、前記操作子スキャン手段は、前記操作子変化検出手段により操作変化出力信号が検出されると操作子の走査を開始することを特徴とする。
【0006】
この発明によると、操作子スキャン手段は操作子変化検出手段により操作変化出力信号が検出されると操作子の走査を開始することから、複数の操作子の中から操作された操作子を特定するスキャン処理の際に生ずる電磁波によるアナログ信号への影響を低減化することができるようになる。操作子変化検出手段は、複数の操作子のうちのいずれかの操作子がユーザ操作されることに応じて出力された操作変化出力信号を検出する。操作子スキャン手段は複数の操作子の中からユーザ操作された操作子を特定するために複数の操作子を順次に走査するものであるが、この操作子の走査を操作子変化検出手段による操作変化出力信号の検出に応じて開始する。前記操作子スキャン手段により操作された操作子が特定されると、制御手段は特定された操作子の操作状態に応じて該操作子に割り当てられている機能を実行する。このように、必要に応じたときにのみ操作子をスキャンするようにすると、操作子をスキャンする頻度を大幅に減らすことができることから、操作子のスキャンの実行に応じて発生する電磁波によるアナログ信号への影響を低減することができる。
【0007】
本発明は、装置の発明として構成し、実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、この発明に係るアナログ信号処理装置を適用したアナログミキサーの全体構成の一実施例を示すハード構成ブロック図である。ここに示されたアナログミキサーのハードウエア構成例は、デジタル制御部Dとアナログ信号処理部A(この実施例では信号のミキシングを行うミキサー部)とに大きく分けることができる。デジタル制御部Dはコンピュータを用いて構成されており、そこにおいて、複数の操作子をスキャンすることにより複数操作子の中からオン・オフ操作された操作子を特定し、該特定された操作子に対応付けられた機能を実行する「操作子操作による機能反映処理」は、コンピュータがこの発明に係る機能反映処理を実現する所定の制御プログラムを含むソフトウエアを実行することにより実施される。勿論、この機能反映処理(詳しくは、後述する)はコンピュータソフトウエアの形態に限らず、DSP(Digital Signal Processor)によって処理されるマイクロプログラムの形態でも実施可能であり、また、この種のプログラムの形態に限らず、ディスクリート回路又は集積回路若しくは大規模集積回路等を含んで構成された専用ハードウエア装置の形態で実施してもよい。
【0010】
本実施例に示すアナログミキサーのデジタル制御部Dは、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、フラッシュメモリ2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御されるようになっている。この実施の形態では、当該アナログミキサー全体を1個のCPU1によって制御するものを例に説明する。CPU1は、このアナログミキサー全体の動作を制御する。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してフラッシュメモリ2、RAM3、表示用インタフェース(I/O)4、その他の入出力用インタフェース5がそれぞれ接続されている。更に、CPU1には、タイマ割込み処理(インタラプト処理)における割込み時間や各種時間を計時するタイマ1Aが接続されている。すなわち、タイマ1Aは時間間隔を計数したり、各種ソフトウエアプログラム等を実行するためのクロックパルスを発生する。タイマ1Aから発生されたクロックパルスはCPU1に対して処理タイミング命令として与えられたり、あるいはCPU1に対してインタラプト命令として与えられる。CPU1は、これらの命令に従って各種処理を実行する。各種処理としては、「操作子操作による機能設定処理」(後述する)等がある。
【0011】
フラッシュメモリ2は所定の条件に従ってその記憶しているデータ内容を消去して新たなデータ内容に書き換えることが可能なメモリであって、CPU1により実行あるいは参照される各種プログラムや各種データ等を格納するものである。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。表示用インタフェース(I/O)4は、当該アナログミキサーにおける各種操作子の現在の設定状態などを、例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成される表示器4Aに擬似的に表示するための表示用データ、あるいはCPU1の制御状態を表示するための表示用データなどの表示に関する各種情報を送受信するためのインタフェースである。
【0012】
その他の入出力用インタフェース(その他I/O)5は該アナログミキサーと外部制御機器(図示せず)などとの間で各種情報を送受するための、例えばMIDIインタフェースや通信インタフェースなどである。MIDIインタフェースは、外部制御機器(この場合には、MIDI機器等)からMIDI規格の制御情報を当該アナログミキサーへ入力したり、あるいは当該アナログミキサーからMIDI規格の制御情報を他のMIDI機器等へ出力するためのインタフェースである。他のMIDI機器はユーザによる操作に応じてMIDI形式のデータを発生する機器であればよく、鍵盤型、ギター型、管楽器型、打楽器型、身振り型等どのようなタイプの操作子を具えた(若しくは、操作形態からなる)機器であってもよい。通信インタフェースは、例えばLANやインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークに接続されており、該通信ネットワークを介して外部制御機器(この場合には、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等)と接続され、当該外部制御機器で発生させた制御データをアナログミキサー本体側に取り込むための通信インタフェースである。また、通信インタフェースは、通信ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータから各種プログラムや各種データ等を当該ミキサー本体にダウンロードするためにも用いられる。なお、通信インタフェースは、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。
【0013】
なお、上記入出力用インタフェース5をMIDIインタフェースで構成した場合、該MIDIインタフェースは専用のMIDIインタフェースを用いるものに限らず、RS232−C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインタフェースを用いてMIDIインタフェースを構成するようにしてもよい。この場合、MIDIイベントデータ以外のデータをも同時に送受信するようにしてもよい。MIDIインタフェースとして上記したような汎用のインタフェースを用いる場合には、他のMIDI機器はMIDIイベントデータ以外のデータも送受信できるようにしてよい。勿論、データフォーマットはMIDI形式のデータに限らず他のデータ形式であってもよく、その場合はMIDIインタフェースと他のMIDI機器はそれにあった構成とする。
【0014】
一方、上記デジタル制御部Dと外部バスODを介して接続されるアナログ信号処理部A(ミキサー部)は、複数の入力チャンネルに入力されたアナログ信号(例えば音声信号)のそれぞれについて個々に音質調整やレベルコントロールなどを施した後に、他の入力チャンネルに入力されたアナログ信号とミキシングを行い、該ミキシングされたアナログ信号を出力チャンネルに割り当てて出力する。図1に示すように、アナログ信号処理部Aは複数のチャンネルユニットCUとその他の信号処理部Uとを有する。チャンネルユニットCUは、1つの入力チャンネル又は出力チャンネルに割り当てられたアナログ信号を制御するための複数の操作子と、アナログ信号入力端子又はアナログ信号出力端子とを具えたコントローラユニットである。チャンネルユニットCUは複数操作子として、例えば各入出力チャンネルのアナログ信号に対してミュートオン・オフを設定するミュートスイッチ、マトリックス状に設けられた内部バスを接続することによって複数の入力チャンネル間におけるアナログ信号のミキシングの組み合わせと当該ミキシングされたアナログ信号を割り当てる出力チャンネルとの選択を行うバス・セレクト・スイッチをオン・オフ設定するための設定スイッチなどの各種操作子を具える。勿論、これら以外にも各入出力チャンネルのアナログ信号のレベル調整を行うためのスライダー(フェーダーとも呼ぶ)、各種設定等を行うために用いる数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボードなどの各種操作子を含んでいてよい。その他の信号処理部Uは、複数の入力チャンネルのアナログ信号をミキシングして生成された出力チャンネルのアナログ信号をユーザが試聴するモニターに関してのレベル調整やミュート設定などの各種信号制御を行う。
【0015】
図1に示したアナログミキサーにおいては、ユーザによる操作子の操作に応じて複数操作子の中から操作された操作子を特定するスキャン処理を実行し、スキャンの結果抽出された操作子に対応付けられている所定の機能を実行する。そこで、こうしたスキャン処理の動作概要について、上述したアナログ信号処理部Aにおける各チャンネルユニットCU側で実行する処理と、デジタル制御部D側で実行する処理とに分けて、それぞれ説明する。まず、各チャンネルユニットCU側で実行する処理概要について、図2を用いて説明する。図2(a)はチャンネルユニットCU側の処理概要を示す機能ブロック図、図2(b)は操作状態認識回路10Cの一実施例を示す回路図である。なお、説明を理解しやすくするために、図2(a)では処理に従うデータの流れを処理順に記号▲1▼〜▲5▼を用いて便宜的に示した。
【0016】
図2(a)から理解できるように、個々のチャンネルユニットCUは複数の操作子を含む操作子群11と、所定の回路の組み合わせからなるゲートアレイ(G/A)10と、アナログ信号処理回路12とからなる。操作子群11における複数の操作子は、各々のオン・オフ操作に伴い操作子オン・オフ信号を発生する(▲1▼操作子オン・オフ信号)。ここでは複数の操作子のうちいずれか1つの操作子のみがユーザにより操作される(ただし、ユーザが複数の操作子を同時に操作した場合を含む)。いずれかの操作子の操作に伴って発生された操作子オン・オフ信号は、ゲートアレイ(G/A)10に送られる。ゲートアレイ(G/A)10は複数の操作子毎に対応した複数の操作状態認識回路10Cを具えており、個々の操作状態認識回路10Cは対応する操作子からの操作子オン・オフ信号に従って出力信号「High」又は「Low」を出力する。この実施例において、操作子オン・オフ信号が入力された場合には操作状態認識回路10Cの出力信号が「Low」から「High」へと変更され、操作子オン・オフ信号が入力されなかった場合には操作状態認識回路10Cの出力信号が「Low」のままに保持される。このような動作を行う操作状態認識回路10Cの一例を示すと、図2(b)に示すような回路になる。この図2(b)に示した操作状態認識回路10Cは所定の動作を実行するフリップフロップF(ここではDフリップフロップを用いた)と論理回路R(ここではOR回路を用いた)とを複数組み合わせて構成された回路であって、操作子のオン・オフ操作に従って発生される操作子オン・オフ信号が入力された場合に出力信号を「Low」から「High」に変化させる動作を行うものである。勿論、ここに示した操作状態認識回路10Cは一例であってこれに限らず、上記したような動作を行うものであればどのような構成の回路であってもよい。
【0017】
図2(a)の説明に戻って、操作子群11のうちいずれかの操作子がオン・オフ操作された場合には、操作子の数に対応して複数ある操作状態認識回路10Cのうちのいずれか1つの操作状態認識回路10Cからの出力信号が「High」に変更される。すると、操作変化信号出力制御部10Bでは、個々の操作状態認識回路10Cからの出力信号「Low」又は「High」の組み合わせに応じて操作変化信号(IRQ信号)をデジタル制御部Dへと送信する(▲2▼IRQ信号)。このIRQ信号は、操作状態認識回路10Cからの出力信号が全て「Low」である場合には「Low」に設定され、いずれかの操作状態認識回路10Cからの出力信号が「High」である場合には「High」に設定される信号である。デジタル制御部DではチャンネルユニットCUから外部バスODを介してIRQ信号「High」を受信すると、該チャンネルユニットCUに対し走査信号及びアドレス情報を送信する(▲3▼走査信号及びアドレス情報)。チャンネルユニットCUのスキャン制御部10Aでは、複数の操作状態認識回路10Cの中から受信したアドレス情報に対応する操作状態認識回路10Cを特定し、該特定した操作状態認識回路10Cに対して受信した走査信号を入力する。図2(b)に示す操作状態認識回路10Cにおいて、走査信号は2個のフリップフロップFを両方ともリセットするリセット信号として入力される。そのために、走査信号入力前のフリップフロップFの出力信号が「Low」であった場合には出力信号が「Low」のままに保持され、走査信号入力前のフリップフロップFの出力信号が「High」であった場合には出力信号が「Low」に変更される。したがって、スキャン制御部10Aから走査信号が入力された場合には論理回路Rからの出力信号が常に「Low」となって、出力信号「Low」が操作変化信号出力制御部10Bに対して送られる。
【0018】
操作変化信号出力制御部10Bでは、個々の操作状態認識回路10Cからの出力信号「Low」又は「High」の組み合わせに応じて操作変化信号(IRQ信号)をデジタル制御部Dに再度送信する(▲4▼IRQ信号)。このとき、受信したアドレス情報に対応する操作状態認識回路10Cにおける走査信号入力前の出力が「High」であった場合には、IRQ信号が「High」から「Low」に変更されてデジタル制御部Dに送信される。一方、受信したアドレス情報に対応する操作状態認識回路10Cにおける走査信号入力前の出力が「Low」であった場合にはIRQ信号が「High」のままで変更されずにデジタル制御部Dに送信される。こうした動作を行う操作変化信号出力制御部10Bは、一般的に複数の論理回路を組み合わせて構成することができる。すると、デジタル制御部Dでは、受信したIRQ信号が「High」のままである場合にはアドレス情報を別の操作状態認識回路10Cに対応するアドレス情報に変えて、再度走査信号と共にチャンネルユニットに送信する(▲3▼走査信号及びアドレス情報)。すなわち、デジタル制御部DではIRQ信号が「High」から「Low」に変化されるまで、チャンネルユニットに対してアドレス情報を順次に変えながら走査信号を送信し、ゲートアレイ(G/A)10におけるスキャン制御部10Aでは受信した走査信号及びアドレス情報に基づき、操作状態認識回路10Cからの出力信号が「High」であるもの、すなわち操作子群のうち操作された操作子のスキャンを行う。IRQ信号が「High」から「Low」に変更された場合、すなわち操作された操作子を特定した場合、デジタル制御部DはチャンネルユニットCUに対して制御信号を送信する(▲5▼操作子毎の機能を実行する制御信号)。チャンネルユニットCUでは、該制御信号を受信すると、該制御信号に基づきアナログ信号処理回路12を動作させて操作子毎に対応した機能を実行する。すなわち、アナログ信号処理回路12では、例えば、チャンネルユニットにおける各操作子のオン・オフ操作に応じて、入力チャンネルのアナログ信号を特定の信号線(例えば内部バス)に接続オン・オフする、あるいは出力ポートへの接続オン・オフするなどの信号線の配線設定(パッチ)を行う。このようにして、アナログミキサーにおいては、マトリックス状に設けられたバスを接続するバス・セレクト・スイッチのオン・オフにより、複数の入力チャンネル間における音声信号のミックスの組み合わせと当該ミックスされた音声信号のそれぞれの出力チャンネルとの選択を行うことができる。
【0019】
次に、デジタル制御部D側で実行する処理の具体的な実施例を示す。すなわち、ユーザによる操作子の操作に応じて操作された操作子のスキャンを開始し、それに応じた機能を処理する「操作子操作による機能反映処理」について、図3を用いて説明する。図3は、デジタル制御部D、つまり図1に示したCPU1で実行する「操作子操作による機能反映処理」の一実施例を示すフローチャートである。該「操作子操作による機能反映処理」は、アナログミキサー本体の電源オンと同時に起動され、電源オフと同時に終了される処理である。ただし、ここでは説明を理解しやすくするために、1つのチャンネルユニットに対する処理についてのみ説明する。以下、図3に示したフローチャートに従って、具体的な処理動作を説明する。
【0020】
ステップS1では、操作変化信号の変化を検出したか否かを判定する。すなわち、IRQ信号が「Low」から「High」へと変化したか否かを判定する。チャンネルユニットCU上の複数ある操作子のうちいずれかの操作子がオン・オフ操作されると、該チャンネルユニットCU上にあるゲートアレイ(G/A)10上の該操作子に対応する操作状態認識回路10Cに対して操作子オン・オフ信号が送られる。すると、該操作子に対応した操作状態認識回路10Cは出力信号「High」を発生し、操作変化信号出力制御部10Bに送る。操作変化信号出力制御部10Bでは、送られた出力信号「High」と他の操作状態認識回路10Cから送られた出力信号「Low」とを論理演算することにより、IRQ信号を「Low」から「High」に変更する。操作変化信号を検出しなかった場合には(ステップS1のNO)、当該処理を終了する。他方、操作変化信号を検出した場合には(ステップS1のYES)、対応するチャンネルユニットCU上のゲートアレイ(G/A)10に対して、データ(走査信号)及び各操作状態認識回路10Cに対応するようにして予め設定されているアドレス情報のうち1つのアドレス情報を送信する(ステップS2)。
【0021】
ステップS3では、対応するチャンネルユニットCU上のゲートアレイ(G/A)10からIRQ信号を受信する。ステップS4では、信号発信の操作状態認識回路10Cを把握できたか否かを判定する。すなわち、上記送信した1つのアドレス情報に対応する操作状態認識回路10Cに対して走査信号を入力させた場合に、受信したIRQ信号が「High」から「Low」へと変化したか否かを判定する。このときに、受信したIRQ信号が「High」から「Low」へと変化した場合を信号発信の操作状態認識回路10Cを把握できたものと判定し、受信したIRQ信号が「High」のままで「Low」へと変化しなかった場合を信号発信の操作状態認識回路10Cを把握できなかったものと判定する。つまり、操作状態認識回路10Cに対して走査信号を入力させた場合、該操作状態認識回路10Cが操作された操作子に対応するものであると、該操作状態認識回路10Cからの出力信号が「High」から「Low」へと変わり、全ての操作状態認識回路10Cの出力信号が「Low」となることから、IRQ信号が「Low」へと変化する。一方、操作状態認識回路10Cに対して走査信号を入力させた場合、該操作状態認識回路10Cが操作された操作子に対応するものでないと、該操作状態認識回路10Cからの出力信号は「Low」のままであり、他の操作状態認識回路10Cのうちのいずれか1つの操作状態認識回路10Cの出力信号が「High」であることから、IRQ信号は「Low」へと変化せずに「High」のままである。こうしたことを利用して、ここでは受信したIRQ信号が「High」から「Low」へと変化したか否かを判定することによって、信号発信の操作状態認識回路10Cを把握できたか否かを判定することができる。
【0022】
信号発信の操作状態認識回路10Cを把握できなかった場合には(ステップS4のNO)、アドレス情報を変更し、対応するチャンネルユニットCU上のゲートアレイ(G/A)10に対してデータ(走査信号)及びアドレス情報を送信し(ステップS5)、ステップS3の処理へ戻る。すなわち、信号発信の操作状態認識回路10Cを把握できなかった場合には他の操作状態認識回路10Cに対して走査信号を入力させ、上記したような信号発信の操作状態認識回路10Cを把握する処理を続行しなければならない。そこで、信号発信の操作状態認識回路10Cを把握するまで、アドレス情報を順次に変更して各操作状態認識回路10Cに対して順次に上記処理を繰り返し行う。このようにして、操作された操作子のスキャンを実行する。信号発信の操作状態認識回路10Cを把握できた場合には(ステップS4のYES)、対応付けられている機能の実行処理を行う(ステップS6)。すなわち、把握した信号発信の操作状態認識回路10Cに対応付けられている操作子に対して割り当てられている機能をチェックして、該機能をアナログ信号処理回路12に実行させる。
【0023】
以上のようにすると、操作された操作子を特定するために常に操作子をスキャンしておく必要がなく、必要に応じたときにのみ操作子をスキャンすればよいことからスキャン処理を行う頻度を大幅に減らすことができる。これにより、該スキャン処理の実行に応じて発生する電磁波による信号線へのノイズ成分の侵入を充分に減らすことができる。また、操作された操作子を把握できた場合には、それ以外の操作子に対するスキャン処理を停止することから、これによっても該スキャン処理の実行に応じて発生する電磁波の影響を少なくすることができ、音質を劣化させることなくアナログ信号を制御できるようになる。
【0024】
なお、上記「操作子操作による機能反映処理」において、アドレス情報送信時(ステップS2及びステップS5参照)において送信するアドレス情報は、予め決めてある順番のアドレス情報から送信を開始するようにしてもよいし、前回のスキャン処理結果から所定のアドレス情報を算出し、該アドレス情報から送信を開始するようにしてもよい。こうした場合には、操作された操作子の特定をより速く行うことができるようになり得ることから有利である。
なお、本発明に係るアナログ信号処理装置はアナログミキサーに適用することに限らず、パーソナルコンピュータや携帯電話等の携帯型通信端末、あるいはカラオケ装置やゲーム装置など、どのような形態の装置・機器に適用してもよい。携帯型通信端末に適用した場合、端末のみで所定の機能が完結している場合に限らず、機能の一部をサーバ側に持たせ、端末とサーバとからなるシステム全体として所定の機能を実現するようにしてもよい。
【0025】
【発明の効果】
この発明によれば、操作子が操作されたときに応じてのみ、操作子のスキャン処理を実行して操作された操作子を特定するようにしたことから、該スキャン処理の実行に応じて発生する電磁波による信号線へのノイズ成分の侵入を極力減らすことができ、これにより音質を劣化させることなくアナログ信号を制御することができるようになる、という効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るアナログ信号処理装置を適用したアナログミキサーの全体構成の一実施例を示すハード構成ブロック図である。
【図2】 各チャンネルユニット側で実行する処理概要を説明するための概念図であり、図2(a)はチャンネルユニット側の処理概要を示す機能ブロック図、図2(b)は操作状態認識回路の一実施例を示す回路図である。
【図3】 デジタル制御部側で実行する「操作子操作による機能反映処理」の一実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…CPU、1A…タイマ、2…フラッシュメモリ、3…RAM、4…表示用インタフェース、4A…表示器、5…その他のインタフェース、10…ゲートアレイ、10A…スキャン制御部、10B…操作変化信号出力制御部、10C…操作状態認識回路、11…操作子群、12…アナログ信号処理回路、A…アナログ信号処理部、D…デジタル制御部、1D…データ及びアドレスバス、OD…外部バス、ID…内部バス、CU…チャンネルユニット、U…その他信号処理部、F…フリップフロップ、R…論理回路

Claims (3)

  1. アナログミキサーの複数の操作子からの入力指示を受け付けて、前記受け付けた入力指示に応じた制御をアナログ信号に対して行うアナログミキサーにおいて、
    前記複数の操作子のうちのいずれかの操作子がユーザ操作されることに応じて操作変化出力信号を出力する出力手段と、
    前記出力された操作変化出力信号を検出する操作子変化検出手段と、
    前記複数の操作子の中からユーザ操作された操作子を特定するため、前記複数の操作子を順次に走査する操作子スキャン手段と、
    前記操作子スキャン手段により特定された操作子の操作状態に応じて、該操作子に割り当てられている機能を実行する制御手段と
    を有してなり、
    前記操作子スキャン手段は、前記操作子変化検出手段により操作変化出力信号が検出されると操作子の走査を開始することを特徴とするアナログミキサー
  2. 前記操作子スキャン手段は操作子の走査の際に走査対象の操作子に対して走査信号を送信し、該送信した走査信号に応じて前記操作子検出手段により検出される操作変化出力信号が変化した操作子をユーザ操作された操作子として特定することを特徴とする請求項1に記載のアナログミキサー
  3. アナログミキサーが内蔵するコンピュータに、
    該アナログミキサーの複数の操作子のうちのいずれかの操作子がユーザ操作されることに応じて操作変化出力信号を出力する手順と、
    前記出力された操作変化出力信号を検出する手順と、
    前記操作変化出力信号が検出されると、前記複数の操作子の中からユーザ操作された操作子を特定するために前記複数の操作子を順次に走査する手順と、
    前記特定された操作子の操作状態に応じて、該操作子に割り当てられている機能を実行する手順と
    を実行させるためのプログラム。
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