JP4023165B2 - 環境監視システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラック内に収納される所謂ラックマウント型のサーバやルータ等の情報機器の動作環境を監視するための環境監視システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ラックマウント型のサーバやルータ等の情報機器とともにラック内に収納され、商用電源あるいは無停電電源装置(UPS)から各情報機器へ供給される電力やラック内の温度あるいは湿度などの情報機器の動作環境に関わる物理量を計測することで情報機器の動作環境を監視する環境監視システムが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年ではインターネットや社内LAN等の発達に伴ってネットワーク規模が増大し続けており、ラック内に収納される情報機器の台数も増加傾向にある。このような状況では情報機器の増加に合わせて環境監視システムの台数も増やす必要がある。
【0004】
しかしながら、環境監視システムの台数が増えてラック内の収納スペースが消費されると情報機器の収納スペースが減ってしまい、情報機器の増加に対応するためにラックを増設しなければならない場合もある。特に、WEBサーバ等のインターネット向けの情報機器システムを顧客から預かり、高速回線でインターネット接続するサービスを提供する、いわゆるデータセンタと呼ばれる施設では、顧客に対して情報機器の設置スペースを貸すことで料金を徴収しているために、各顧客の情報機器の占有スペースが増加することは収入の減少につながることになる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、ラック内の収納スペースに対する占有率を抑えることができる環境監視システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、1乃至複数の情報機器とともにラック内に収納される本体コントローラと、通信ケーブルにより本体コントローラと接続される1乃至複数の環境監視装置とを備え、環境監視装置は、情報機器の動作環境に関わる物理量を計測する計測手段と、計測手段の計測値を演算処理して情報機器の環境監視情報を作成する演算処理手段と、通信ケーブルを介して環境監視情報を本体コントローラに送信する送信手段とを具備し、本体コントローラは、通信ケーブルを介して環境監視装置から環境監視情報を受信する受信手段と、受信手段で受信した環境監視情報を管理する管理手段とを具備することを特徴とし、環境監視システムを本体コントローラと環境監視装置に分割し、両者を通信ケーブルで接続する構成であるから、情報機器の増加に対しては環境監視装置を増やすことで対応でき、しかも、本体コントローラと環境監視装置を一体に構成した場合に比較して環境監視装置の小型化が容易であるため、ラック内において情報機器が収納されることのないデッドスペースに環境監視装置を設置することができ、結果的にラック内の収納スペースに対する占有率を抑えることができる。また、外部電源より管理手段の動作電源を作成する第1の電源部と、外部電源より環境監視装置の動作電源を作成する第2の電源部とを本体コントローラに具備し、第2の電源部で作成した動作電源を通信ケーブルを介して環境監視装置に供給してなることを特徴とし、本体コントローラの管理手段の動作電源と環境監視装置の動作電源とを別系統としたため、通信ケーブルで誘起される外来ノイズに起因した本体コントローラの管理手段の誤動作が防止できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、少なくとも1つの環境監視装置は、外部電源から情報機器への供給電力を計測する電力計測手段を具備する電力監視装置であることを特徴とし、情報機器への給電状況を本体コントローラで一括して監視することができる。また、少なくとも1つの環境監視装置は、ラック内の雰囲気温度や情報機器の温度を計測する温度計測手段を具備する温度監視装置であることを特徴とし、ラック内の雰囲気温度や情報機器の温度を本体コントローラで一括して監視することができる。さらに、少なくとも1つの環境監視装置は、ラック内の湿度を計測する湿度計測手段を具備する湿度監視装置であることを特徴とし、ラック内の湿度を本体コントローラで一括して監視することができる。また、本体コントローラのハウジングを規格化されたラックに対応する寸法に形成したことを特徴とし、ラック内における情報機器の収納スペースに本体コントローラを収納することができる。
【0017】
請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、ネットワークに接続するためのネットワーク接続手段を本体コントローラに備え、当該ネットワーク上の管理端末へネットワーク経由で環境監視情報を伝えることを特徴とし、ネットワーク上の管理端末により情報機器の動作環境を遠隔から監視することができる。
【0020】
請求項の発明は、請求項1 又は2又は3の発明において、本体コントローラは、環境監視装置の環境監視情報を時系列で記憶する環境監視情報記憶手段を備えたことを特徴とし、情報機器の動作環境に異常が発生した場合に過去に遡って環境監視情報を追跡することができ、異常発生原因の特定が容易になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の環境監視システムは、図1に示すように本体コントローラ10と、通信ケーブル3により本体コントローラ10と接続される電力監視装置30とを備える。
【0022】
本体コントローラ10は、CPUを主構成要素とするマイクロコンピュータで構成された管理手段たる制御部11と、通信ケーブル3を介して電力監視装置30との間で電力監視情報を含むデータの送受信を行う送受信部12と、制御部11で実行するプログラム等を記憶するメモリ部13と、商用電源ACから制御部11等の動作電源(電源電圧Va=5Vの直流電源)を作成する第1の電源回路部14aと、後述するフォトカプラPC1〜PC3等の動作電源(電源電圧Vb=12Vの直流電源)を作成する第2の電源回路部14bと、現在の標準的なLANであるイーサネット(R)に接続するためのネットワーク接続手段たるLANコントローラ15とを備えている。制御部11は、メモリ部13に記憶された制御プログラムを実行することで制御信号の生成を含む各種の処理を行う。また、送受信部12は、通信ケーブル3のモジュラプラグが差込接続されるモジュラジャック(図示せず)を具備し通信ケーブル3を介して電力監視装置30とシリアル通信を行うためのものである。但し、図1では送受信部12を一つしか図示していないが、複数の送受信部12を本体コントローラ10に設け、1台の本体コントローラ10に複数の電力監視装置30を接続し、各電力監視装置30から電力監視情報を取得することが可能である。また、LANコントローラ15は、図示しないRJ−45のモジュラコネクタ(モジュラプラグとモジュラジャック)を介してLANケーブルと接続され、制御部11とLAN上の機器(後述する管理端末1やその他の端末、あるいはサーバ2など)との間の通信を制御するものである。但し、このようなLANコントローラ15は従来周知であるから詳細な構成についての図示並びに説明を省略する。
【0023】
また、メモリ部13に含まれる書き換え可能な不揮発性メモリ(EEPROMなど)13aには、制御部11がLANコントローラ15を制御するためのドライバや、TCP(Transmissinon Control Protocol),IP(Internet Protocol),UDP(User Datagram Protocol),ICMP(Internet Contorol Message Protocol),SMTP(Simple Mail Transfer Protocol),Telnet,HTTP(Hypertext Transfer Protocol),SNMP(Simple Network Manegement Protocol)などのTCP/IP通信におけるプロトコルスタックが格納されており、制御部11の起動後に上記プログラム等がメモリ部13に含まれる主メモリ13bにロードされて実行される。
【0024】
一方、電力監視装置30は、商用電源ACから情報機器110に供給される電力を計測する電力計測部31と、電力計測部31による計測結果に基づいて電力監視情報を生成する演算処理部32と、演算処理部32によって生成された電力監視情報を通信ケーブル3を介して本体コントローラ10に送信するとともに本体コントローラ10からデータを受信するデータ送受信部33と、演算処理部32で実行する演算処理用のプログラムや後述する校正データ等を格納するメモリ部34と、後述する電源タップ120又は情報機器110の電源プラグを商用電源ACに送り配線するためのコンセント部35と、本体コントローラ10から送信されるリセット信号に応じて演算処理部32をリセットするリセット部36とを備えている。
【0025】
電力計測部31は、電流トランスを用いて商用電源ACからコンセント部35への入力電流を計測するとともに分圧抵抗を用いて商用電源ACからコンセント部35への入力電圧を計測する電圧・電流計測部31aと、電圧・電流計測部31aから出力されるアナログの検出値を取り込み、メモリ部34に格納された校正データを参照して検出値を校正した後にそれらの検出値をA/D変換し、デジタルの検出値データから電力(供給電力)の計測値を求めるAFE(アナログ・フロント・エンド)回路部31bとを具備する。AFE回路部31bはA/D変換回路やシリアルポートインタフェースを1チップに集積したLSIからなる従来周知のものであって、演算処理部32に対してシリアル通信により電流・電圧及び電力の計測値データを送信する。
【0026】
演算処理部32はCPUを主構成要素とするマイクロコンピュータからなり、電力計測部31とのシリアル通信を行うシリアルポートインタフェースや、データ送受信部33を介して本体コントローラ10との間でシリアル通信を行うためのシリアルインタフェース等を具備しており、電力計測部31から受け取った電力の計測値データに基づいて電力監視情報(電流・電圧並びに電力の計測値データやそれらの計測値が正常値であるか否かといった情報など)を生成している。
【0027】
データ送受信部33は、フォトカプラPC1〜PC3を用いて通信ケーブル3と演算処理部32との間を絶縁し、演算処理部32と本体コントローラ10とのデータ通信(シリアル通信)を中継している。ここで、通信ケーブル3にはLAN用のツイストペアケーブルが用いられ、データ送受信部33には通信ケーブル7のモジュラプラグ(RJ−45)が差込接続されるモジュラジャック(図示せず)を具備している。但し、通信ケーブル3として電話用のモジュラケーブルを用いることも可能である。また、フォトカプラPC1〜PC3の動作電源は、通信ケーブル3を介して本体コントローラ10が具備する第2の電源回路部14bから供給している。
【0028】
メモリ部34は不揮発性メモリからなり、演算処理部32のCPUで実行するプログラムや校正データが格納されている。なお、校正データはA/D変換のオフセット校正やゲイン校正並びに電圧・電流から電力への換算係数等のデータからなり、電力監視装置30の製造時にメモリ部34に格納されて出荷される。
【0029】
図2は本体コントローラ10並びに電力監視装置30の外観斜視図を示している。本体コントローラ10は、内部に上記各部11〜15を実装したプリント配線板を収納する箱形のハウジング20を備えており、ハウジング20の背面には通信ケーブル3のモジュラプラグが接続される複数のモジュラジャックを有した接続ポート21が上下2段にそれぞれ2個ずつ配設されている。ここで、ラックマウント型のサーバやルータ等の情報機器が収納されるラックについて簡単に説明する。このようなラック100は既に周知であって、例えば、図4に示すように金属板を加工して直方体状に形成されるラック本体101と、ラック本体101の前面開口を開閉自在に塞ぐ平板状の扉102と、ラック本体101の内部に配設されて情報機器110を固定するマウントフレーム103とで構成される。この種のラックの寸法は、EIA(米国電子工業会)の規格(EIA−310−D)やJISの規格(JIS C 6010−2)などで規定されており、例えばEIA規格では約44mm(1.75インチ)の高さ寸法を基準寸法とし、この基準寸法を有する機器を1ユニット(1U)、基準寸法の2倍の機器を2ユニット(2U)というように定義している。そして、本実施形態では本体コントローラ10を情報機器110と同様にラック100内に収納するために、そのハウジング2を1Uの寸法に形成している。
【0030】
一方、電力監視装置30は箱形のハウジング37を備えており、ハウジング37の長手方向の一端面から商用電源ACと接続する電源プラグ38aが先端に付設された電源コード38が導出され、他端面にはコンセント部35の差込口35aが露出され、さらに、ハウジング37の前面には通信ケーブル3のモジュラプラグと接続されるモジュラジャックを有した送受信部33の接続ポート33aが配設されている。ここで、コンセント部37はハウジング37内で商用電源ACと接続されており、図2に示すように電源プラグ38aを壁コンセント(図示せず)等に差し込んで商用電源ACに接続するか、あるいは図3に示すように電源タップ120のコンセント部121に差込接続することによって、コンセント部37に接続される機器に商用電源ACから電源供給が行われる。
【0031】
そして、図4(a)に示すように本体コントローラ10が情報機器110とともにマウントフレーム103に固定され、電力監視装置30がラック100のデッドスペース、例えば図4(b)に示すようにラック本体101の後部側面などに電源タップ120と並べて配設され、通信ケーブル3により本体コントローラ10と電力監視装置30が接続される。
【0032】
而して、本実施形態では環境監視システムを本体コントローラ10と電力監視装置30とで構成し、両者を通信ケーブル3で接続する構成としているから、情報機器110の増加に対しては電力監視装置30を増やすことで対応でき、しかも、本体コントローラ10と電力監視装置30を一体に構成する場合に比較して電力監視装置30の小型化が容易である。このため、ラック100内において情報機器110が収納されることのないデッドスペースに電力監視装置30を設置することができ、結果的にラック100内の収納スペースに対する占有率を抑えることができる。
【0033】
一方、ネットワークに接続される管理端末1はパーソナルコンピュータのような汎用のコンピュータ装置からなり、本体コントローラ10の制御部11と同様のプロトコルスタックを実装したオペレーティングシステム(マイクロソフト社のWINDOWS(R)やUNIX(R)など)を備え、当該オペレーティングシステム上で動作するWEBブラウザやSNMPマネージャ用のプログラムを実行することで本体コントローラ10が持つ電力監視装置30の電力監視情報をネットワーク経由で取得して遠隔より情報機器110の動作環境を監視するものである。すなわち、LANあるいはWANのネットワーク上の本体コントローラ10や管理端末1には固有のネットワークアドレス(IPアドレス)が割り当てられており、管理端末1のWEBブラウザからネットワーク上の本体コントローラ10のIPアドレスにアクセスすると、本体コントローラ10の制御部11が不揮発性メモリ13aに格納されている所定のプログラムを実行し、電力監視情報を提示するためのHTML形式のデータをネットワーク経由で管理端末1に送信する。このHTML形式のデータは管理端末1による電力監視情報の閲覧のためのインタフェースを提供するためのものであって、送信されてきたHTML形式のデータに基づいて管理端末1のモニタ上に電力監視装置30の電力監視情報がWEBブラウザ上で表示されるとともに、キーボードやマウスを操作してWEBブラウザを介して本体コントローラ10にコマンドデータを送信することができる。
【0034】
また、本体コントローラ10の制御部11でSNMPエージェント用のプログラムを実行することにより、SNMPマネージャである管理端末1でSNMPエージェントである本体コントローラ10から電力監視情報(電力計測値データや計測された時刻を示す時刻データ)をネットワーク経由で容易に取得することができる。なお、SNMPを用いた情報の取得方法については従来周知であるから詳細な説明を省略する。ここで、本体コントローラ10の制御部11では、正確な時刻を管理しているサーバ2からネットワーク経由で定期的に時刻データを取得して内部時計の現在時刻を修正する機能を有しており、上記電力監視情報に含まれる時刻データの精度を高めている。
【0035】
ところで、複数の電力監視装置30が本体コントローラ10に接続される場合、本体コントローラ10の制御部11において個々の電力監視装置30を識別する必要があるから、各電力監視装置30に固有の識別記号(ID番号)が制御部11によって割り当てられる。例えば、電力監視装置30にはデフォルト値として「0」のID番号が予め割り当てられており、本体コントローラ10の制御部11では施工時の初期設定として、各送受信部12と接続された電力監視装置30に対してID番号の問い合わせを行う。ここで、本体コントローラ10と電力監視装置30との間では、図5に示すようにコマンド及びデータの先頭に上記ID番号を付加したパケットの送受信が行われている。而して、制御部11はID番号を特定せずに相手先の電力監視装置30のID番号を問い合わせるコマンドを含んだパケットを各送受信部12に接続された電力監視装置30にそれぞれ送信し、電力監視装置30から応答してくるID番号がデフォルト値の「0」であれば、ID番号が「0」である電力監視装置30に対してID番号を割り当てるためのパケットを送信してデフォルト値以外のID番号(例えば、1〜255までの整数値)を順次割り当てる。また、デフォルト値以外のID番号を持つ電力監視装置30に対しては、そのID番号が既に他の電力監視装置30に割り当てたID番号と重複する場合には一旦デフォルト値に設定した後に上記手順で新たにID番号が割り当てられ、そのID番号が他の電力監視装置30に割り当てられていなければそのまま使用する。このような処理により、本体コントローラ10の制御部11において複数の送受信部12に接続された個々の電力監視装置30に個別のID番号を割り当てて識別することが可能となる。
【0036】
而して、本体コントローラ10の制御部11は、各ID番号に対して電力監視情報を返送させるコマンドを定期的に送信することによって個々の電力監視装置30から電力監視情報を取得することができる。そして、電力監視情報に基づいて、何れかの電力監視装置30にて検出した電圧値や電流値が情報機器110の定格値を超えるような異常が発生していると判断される場合、LANコントローラ15からネットワーク経由で管理端末1に異常発生を通知することにより、異常が看過されることを防いで適切な処置を促すことができる。なお、本体コントローラ10の制御部11でSNMPエージェント用のプログラムを実行すれば、SNMPマネージャである管理端末1でSNMPエージェントである本体コントローラ10の制御部11が取得した電力監視情報をネットワーク経由で容易に取得することができる。
【0037】
また、電力監視情報から異常発生有りと判断された場合、本体コントローラ10の制御部11は、不揮発性メモリ13aに予め登録されているメールアドレスに異常が発生した時刻とその異常内容が記載された電子メールを送信してネットワーク管理者に通知する。なお、SNMPエージェントである制御部11にてSNMPの基本コマンドであるトラップを実行することにより、SNMPマネージャである管理端末1に上記異常内容を通知することも可能である。
【0038】
ところで、LANコントローラ15やLANケーブル6のトラブルによって本体コントローラ10がネットワークに接続できなくなり、管理端末1への電力監視情報の送信やネットワーク管理者への電子メールによる通知等が不能となった場合や、あるいは電力監視情報から異常が発生している判断される場合(このような場合には異常の生じている情報機器110の動作が停止してネットワークへの接続が不能となっている可能性がある)、本体コントローラ10の制御部11は、定期的に取得した電力監視情報を、その取得した時刻とともにメモリ部13の不揮発性メモリ13aに時系列で順次格納する。これにより、上述のような異常が発生した場合に、不揮発性メモリ13aに格納された時系列の電力監視情報により過去に遡って電力監視情報を追跡することができ、異常発生の原因特定が容易になるという利点がある。
【0039】
また本実施形態においては、本体コントローラ10の制御部11から電力監視装置30に対してリセットコマンドを送信すると、このリセットコマンドに従って電力監視装置30の演算処理部32がリセット動作を行うように構成されている。さらに、本実施形態における電力監視装置30には、本体コントローラ10の制御部11から送信されるリセット信号を受信して演算処理部32をリセットするリセット部36が設けてある。すなわち、本実施形態においては、リセットコマンドに従ってリセット動作を行う演算処理部32とリセット信号に応じて演算処理部32をリセットするリセット部36とがリセット手段に相当する。
【0040】
而して、電力監視装置30の演算処理部32のリセットを本体コントローラ10の制御部11を通して行うことができるので、電力監視装置30に異常が発生した場合における復旧作業が簡素化できるものである。しかも、リセットコマンドによるリセットが不可能な場合にはリセット信号をリセット部36に送信して演算処理部32を強制的にリセットさせることができる。なお、ネットワーク上の管理端末1からWEBブラウザ又はSNMPマネージャを用いて本体コントローラ10に指示を与えることにより、電力監視装置30の演算処理部32のリセット動作を行わせることも可能である。
【0041】
ところで、本実施形態においては、電力監視装置30のメモリ部34に格納されている校正データが何らかのトラブルによって破損あるいは消失した場合に備えて、本体コントローラ10に校正データのバックアップを保存するようにしている。すなわち、上述した初期設定時において、制御部11は個別のID番号が割り当てられた電力監視装置30に対してコマンドを送信することによってメモリ部34に格納された校正データをダウンロードし、本体コントローラ10のメモリ部13にID番号と対応づけて格納する。そして、何れかの電力監視装置30で校正データの破損や消失が生じた場合、本体コントローラ10のメモリ部13にバックアップされている複数の校正データの中からID番号に基づいて当該電力監視装置30の校正データを特定し、送受信部12よりアップロードして元の校正データをメモリ部34に書き戻すことができる。
【0042】
而して、何らかの異常が生じて電力監視装置30のメモリ部34に格納している校正データを破損あるいは消失した場合でも、本体コントローラ10にバックアップされている校正データを電力監視装置30のメモリ部34に書き戻すことができ、再度校正を行うといった手間をかけずに容易に復旧可能となる。
【0043】
(実施形態2)
本実施形態は、図6に示すように通信ケーブル4により本体コントローラ10と接続される温度監視装置40を環境監視装置として備える点に特徴がある。但し、本体コントローラ10及び電力監視装置30の構成は基本的に実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
温度監視装置40は、検出温度に応じた電気信号を発生する温度センサ41と、温度センサ41から発生する電気信号を信号処理した温度計測値データを通信ケーブル4を介して本体コントローラ10に送信するとともに本体コントローラ10から送信されるコマンド等を受信するデータ送受信部42とを備えている。なお、本実施形態では、ダラス・セミコンダクタ社が開発した「MicroLAN」という名称の計測制御バスシステム用のデバイスであって上記温度センサ41及びデータ送受信部42を1チップに集積化したシリアル出力温度センサIC(品番:DS1820)を使用し、このICと通信ケーブル4を接続するためのRJ−11のモジュラジャック(図示せず)をケースに収納して温度監視装置40を形成している。ここで、ダラス・セミコンダクタ社の「MicroLAN」について簡単に説明すると、固有のIDコードが割り当てられたデバイスが多芯(信号線,電源供給線及びグランド)式の通信ケーブル(例として電話用のモジュラケーブル)により計測制御装置にデイジ・チェーンで接続され、上記IDコードによって計測制御装置が個々のデバイスを識別して各デバイスとの間で計測値データ等の送受信を行うことができる計測制御バスシステムであって、計測制御装置に複数の計測用デバイスをそれぞれスター配設する方式の計測制御システムに比較して配線が非常に簡素化できるという利点がある。
【0045】
一方、本体コントローラ10には通信ケーブル4のモジュラプラグが差込接続されるRJ−11のモジュラジャック(図示せず)を具備し通信ケーブル4を介して温度監視装置40とシリアル通信を行う送受信部16が設けてある。この送受信部16は、「MicroLAN」のバス制御用ドライバIC(品番:DS2480)を具備し、制御部11のシリアルポートと温度監視装置40のデータ送受信部42とのインタフェースの役割を果たすものである。なお、上記シリアル出力温度センサIC並びにバス制御用ドライバICの詳細な構成及び動作については説明を省略する。
【0046】
本実施形態では、温度監視装置40によってラック100内の雰囲気温度やラック100内に収納されている情報機器110の温度(ハウジング外壁の温度)を逐次計測し、その温度計測値データを通信ケーブル4を介して本体コントローラ10に取り込んで一括して監視することができる。本体コントローラ10の制御部11は、温度監視装置40から送られてくる温度計測値データに基づいて情報機器110の動作状態を監視しており、温度計測値データが情報機器110の動作保証範囲を外れるような異常が発生していると判断される場合には、LANコントローラ15からネットワーク経由で管理端末1に異常発生を通知することにより、異常が看過されることを防いで適切な処置を促すことができる。なお、本体コントローラ10の制御部11でSNMPエージェント用のプログラムを実行すれば、SNMPマネージャである管理端末1でSNMPエージェントである本体コントローラ10の制御部11が取得した温度監視情報をネットワーク経由で容易に取得することができる。
【0047】
また、温度監視情報から異常発生有りと判断された場合、本体コントローラ10の制御部11は、不揮発性メモリ13aに予め登録されているメールアドレスに異常が発生した時刻とその異常内容が記載された電子メールを送信してネットワーク管理者に通知する。なお、SNMPエージェントである制御部11にてSNMPの基本コマンドであるトラップを実行することにより、SNMPマネージャである管理端末1に上記異常内容を通知することも可能である。
【0048】
ところで、LANコントローラ15やLANケーブル6のトラブルによって本体コントローラ10がネットワークに接続できなくなり、管理端末1への温度監視情報の送信やネットワーク管理者への電子メールによる通知等が不能となった場合や、あるいは温度監視情報から異常が発生している判断される場合(このような場合には異常の生じている情報機器110の動作が停止してネットワークへの接続が不能となっている可能性がある)、本体コントローラ10の制御部11は、定期的に取得した温度監視情報を、その取得した時刻とともにメモリ部13の不揮発性メモリ13aに時系列で順次格納する。これにより、上述のような異常が発生した場合に、不揮発性メモリ13aに格納された時系列の温度監視情報により過去に遡って温度監視情報を追跡することができ、異常発生の原因特定が容易になるという利点がある。
【0049】
このように本実施形態の電源制御システムでは、ラック100内の雰囲気温度や情報機器110の温度を本体コントローラ10で一括して監視することができる。また、温度監視装置40を本体コントローラ10と別体にして通信ケーブル4で接続する構成であるから、情報機器110の増加等に伴う測定箇所の増加に対しては温度監視装置40を増やすことで対応でき、本体コントローラ10と一体に構成された場合に比較して温度監視装置40の小型化が容易であるため、電力監視装置30と同様にラック100内のデッドスペースに設置することができる。
【0050】
(実施形態3)
本実施形態は、図7に示すようにデイジ・チェーンで他の温度監視装置40が接続されるポートを開閉する常開型のアナログスイッチ部43と、本体コントローラ10とデータ送受信部42との通信状況に応じてアナログスイッチ部43の開閉を制御する制御回路部44とを温度監視装置40に備えた点に特徴がある。但し、これ以外の構成は実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0051】
実施形態2で説明したように、本体コントローラ10の同一の送受信部16にデイジ・チェーンで接続された複数の温度監視装置40は固有のIDコードによって識別可能であるが、このIDコードは上記シリアル出力温度センサICに含まれるIDコード用のROMに格納されていて変更することができないものである。従って、システムの施工時に管理が容易なように任意のIDコードを割り当てるといったことができず、各IDコードを持った温度監視装置40で何処の温度を測定しているかという情報(これを「ロケーション情報」と呼ぶことにする)の管理に非常に手間がかかってしまう。
【0052】
そこで本実施形態では、図7に示すように本体コントローラ10に直接接続された温度監視装置401を1番目、この1番目の温度監視装置401に直接接続された温度監視装置402を2番目というように順番に定義し、これら複数の温度監視装置401,402,…のIDコードと接続順序を本体コントローラ10の制御部11で取得することにより、複数の温度監視装置40をIDコードで管理する代わりに本体コントローラ10に対する接続順序によって管理するようにして上記ロケーション情報の管理を簡素化している。
【0053】
次に本実施形態における温度監視装置401,…のIDコードと接続順序の取得手順について説明する。まず、システムの最初の起動時に本体コントローラ10の制御部11がサーチROMコマンドを送信して通信ケーブル4に接続された温度監視装置401,…のIDコードを取得する作業を行う。ここで、上記サーチROMコマンドは実施形態2で説明した計測制御バスシステムに用意されているコマンドであって、デイジ・チェーンに接続された複数のデバイスのROMに格納されているIDコードを計測制御装置にて取得するためのコマンドである。但し、このサーチROMコマンドによるIDコードの取得処理は本発明の要旨ではないから説明を省略する。
【0054】
本体コントローラ10の制御部11から送信されたサーチROMコマンドは通信ケーブル4を介して1番目の温度監視装置401に送られるが、温度監視装置401のアナログスイッチ部43がデフォルトでオフ状態のために下流の温度監視装置402,…には中継されない。よって、本体コントローラ10の制御部11では1番目の温度監視装置401のIDコードのみを取得することができ、取得したIDコードを1番目の温度監視装置401のIDコードとしてメモリ部13のデータテーブルに登録する。
【0055】
一方、1番目の温度監視装置401の制御回路部44では、本体コントローラ10の制御部11による1回目のサーチROMコマンドが終了したことを検知するとアナログスイッチ部43をオンする。そして、制御部11は再度サーチROMコマンドを送信するのであるが、今回は1番目の温度監視装置401のアナログスイッチ部43がオンしているためにサーチROMコマンドが2番目の温度監視装置40に中継される。よって、本体コントローラ10の制御部11では2番目の温度監視装置402のIDコードを取得することができ、取得したIDコードを2番目の温度監視装置402のIDコードとしてメモリ部13のデータテーブルに登録する。以下同様にしてサーチROMコマンドに対して新たなIDコードが検出されなくなるまで上記処理が繰り返されることにより、本体コントローラ10の制御部11にて各温度監視装置40iの接続順序とIDコードの対応関係を取得することができる。
【0056】
(実施形態4)
本実施形態は、図8に示すように実施形態2の環境監視システムに、環境監視装置として湿度監視装置50を加えた点に特徴がある。但し、本体コントローラ10、電力監視装置30並びに温度監視装置40の基本構成は実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
湿度監視装置50は、半導体式の湿度センサ、湿度センサのアナログ出力をデジタル信号に変換する信号処理回路、並びに信号処理回路に通信ケーブル5接続するためのRJ−11のモジュラジャックをケース内に収納して構成され、例えばラック100内の適当な場所に設置される。なお、湿度センサ及び信号処理回路は従来周知の技術を用いて実現可能であるから詳細な構成については図示並びに説明を省略する。
【0058】
一方、本体コントローラ10には通信ケーブル5のモジュラプラグが差込接続されるRJ−11のモジュラジャックを具備し通信ケーブル5を介して湿度監視装置50から湿度監視情報(湿度計測値データ)を受信するデータ受信部17が設けてある。
【0059】
本実施形態では、湿度監視装置50によってラック100内の湿度を逐次計測し、その湿度計測値データを通信ケーブル5を介して本体コントローラ10に取り込んで一括して監視することができる。本体コントローラ10の制御部11は、湿度監視装置50から送られてくる湿度計測値データに基づいて情報機器110の動作状態を監視しており、湿度計測値データが情報機器110に結露が生じる虞のある異常状態と判断される場合には、LANコントローラ15からネットワーク経由で管理端末1に異常発生を通知することにより、異常が看過されることを防いで適切な処置を促すことができる。また、管理端末1のWEBブラウザを使えば、本体コントローラ10の制御部11が湿度監視装置50から取得した湿度監視情報(湿度計測値)をネットワーク経由で閲覧することも可能である。なお、本体コントローラ10の制御部11でSNMPエージェント用のプログラムを実行すれば、SNMPマネージャである管理端末1でSNMPエージェントである本体コントローラ10の制御部11が取得した湿度監視情報をネットワーク経由で容易に取得することができる。
【0060】
また、湿度監視情報から異常発生有りと判断された場合、本体コントローラ10の制御部11は、不揮発性メモリ13aに予め登録されているメールアドレスに異常が発生した時刻とその異常内容が記載された電子メールを送信してネットワーク管理者に通知する。なお、SNMPエージェントである制御部11にてSNMPの基本コマンドであるトラップを実行することにより、SNMPマネージャである管理端末1に上記異常内容を通知することも可能である。
【0061】
ところで、LANコントローラ15やLANケーブル6のトラブルによって本体コントローラ10がネットワークに接続できなくなり、管理端末1への湿度監視情報の送信やネットワーク管理者への電子メールによる通知等が不能となった場合や、あるいは湿度監視情報から異常が発生している判断される場合(このような場合には異常の生じている情報機器110の動作が停止してネットワークへの接続が不能となっている可能性がある)、本体コントローラ10の制御部11は、定期的に取得した湿度監視情報を、その取得した時刻とともにメモリ部13の不揮発性メモリ13aに時系列で順次格納する。これにより、上述のような異常が発生した場合に、不揮発性メモリ13aに格納された時系列の湿度監視情報により過去に遡って湿度監視情報を追跡することができ、異常発生の原因特定が容易になるという利点がある。
【0062】
このように本実施形態では、ラック100内の湿度を本体コントローラ10で一括して監視することができる。また、湿度監視装置50を本体コントローラ10と別体にして通信ケーブル5で接続する構成であるから、情報機器110の増加等に伴う測定箇所の増加に対しては湿度監視装置50を増やすことで対応でき、本体コントローラ10と一体に構成された場合に比較して湿度監視装置50の小型化が容易であるため、電力監視装置30屋温度監視装置40と同様にラック100内のデッドスペースに設置することができる。
【0063】
(実施形態5)
本実施形態は、図9に示すようにセンサやスイッチのような外部デバイスの状態を示す信号を取り込むための信号取込手段たる入力回路部18と、外部機器を制御するための制御信号を出力する制御信号出力手段たる出力回路部19とを本体コントローラ10に備えた点に特徴があり、他の構成は実施形態4とほぼ共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
入力回路部18は、第2の電源回路部14bから電源電圧Vbが供給されるフォトカプラ(図示せず)を具備し、センサやスイッチのような外部デバイスの状態を示す2値の信号(デジタル信号)を取り込むものである。上記外部デバイスの例としては、ラック100の扉102の開閉状態を検出するセンサ(扉センサ)や煙センサ、あるいは振動センサなどがある。
【0065】
一方、出力回路部19は、第2の電源回路部14bから電源電圧Vbが供給されるオープンコレクタ出力の半導体リレーを具備し、外部機器に制御信号を出力するものである。制御対象の外部機器としては、例えばラック100内を照明する照明機器や情報機器110の動作状態を知らせるための表示灯(パイロットランプ)、あるいはラック100内の空気を強制的に排気する排気ファンなどがある。
【0066】
例えば、入力回路部18に扉センサを接続すれば、ラック100の扉103の開閉状況を本体コントローラ10やネットワーク上の管理端末1などから監視することができる。あるいは、温度監視装置40から異常発生の温度監視情報を受けた場合に、本体コントローラ10の制御部11が出力回路部19に接続されたパイロットランプを点灯させて異常の発生しているラック100の特定を容易にしたり、あるいは排気ファンを動作させてラック100内を強制的に換気することができる。
【0067】
また本実施形態においては、パーソナルコンピュータのようなシステムコンソールを接続するためのシステムコンソール・インタフェース部22と、UPS(無停電電源装置)から動作情報を取得したりUPSの動作を制御するためのUPS制御インタフェース部23とを本体コントローラ10に備えている。なお、システムコンソール・インタフェース部22並びにUPS制御インタフェース部23については従来周知であるから詳細な説明を省略する。
【0068】
図10は本体コントローラ10、電力監視装置30、温度監視装置40並びに湿度監視装置50の外観斜視図を示している。本体コントローラ10のハウジング20の背面には、RJ−45のモジュラジャックを具備する複数(本実施形態では4つ)の送受信部12の接続ポートP11〜P14と、RJ−11のモジュラジャックを具備する複数(本実施形態では4つ)の送受信部16の接続ポートP21〜P24と、RJ−11のモジュラジャックを具備するデータ受信部17の接続ポートP3と、RJ−45のモジュラジャックを具備するLAN接続用のポートP4と、複数(本実施形態では4つ)の入力回路部18の接続ポートP51〜P54と、複数(本実施形態では4つ)の出力回路部19の接続ポートP61〜P64と、システムコンソールを接続するための接続ポートP7と、UPSを接続するための接続ポートP8と、電源ケーブルを接続するためのACインレット24とを設けている。なお、ケーブルの誤接続を防止するために各接続ポートP11,…の近傍にそれぞれの名称、例えば、「電力監視装置I/Fポート」、「温度監視装置I/Fポート」などの文字を表記することが望ましい。
【0069】
ところで、本体コントローラ10の制御部11の動作は既に説明した実施形態と共通であって、電力監視装置30から取得する電力監視情報、温度監視装置40から取得する温度監視情報、並びに湿度監視装置50から取得する湿度監視情報を一括して管理するとともにネットワーク上の管理端末1からWEBブラウザにより上記各監視情報を閲覧可能とする。さらに、本体コントローラ10の制御部11では、電力監視情報、温度監視情報並びに湿度監視情報を総合した総合監視情報を生成し、ネットワーク経由で管理端末1に上記総合監視情報を送信し、管理端末1において情報機器110の動作環境を総合的に監視することができる。
【0070】
また、総合監視情報から異常発生有りと判断された場合、本体コントローラ10の制御部11は、不揮発性メモリ13aに予め登録されているメールアドレスに異常が発生した時刻とその異常内容が記載された電子メールを送信してネットワーク管理者に通知する。なお、SNMPエージェントである制御部11にてSNMPの基本コマンドであるトラップを実行することにより、SNMPマネージャである管理端末1に上記異常内容を通知することも可能である。さらに、LANコントローラ15やLANケーブル6のトラブルによって本体コントローラ10がネットワークに接続できなくなり、管理端末1への総合監視情報の送信やネットワーク管理者への電子メールによる通知等が不能となった場合や、あるいは総合監視情報から異常が発生している判断される場合(このような場合には異常の生じている情報機器110の動作が停止してネットワークへの接続が不能となっている可能性がある)、本体コントローラ10の制御部11は、定期的に取得した総合監視情報を、その取得した時刻とともにメモリ部13の不揮発性メモリ13aに時系列で順次格納する。これにより、上述のような異常が発生した場合に、不揮発性メモリ13aに格納された時系列の総合監視情報により過去に遡って総合監視情報を追跡することができ、異常発生の原因特定が容易になるという利点がある。
【0071】
【発明の効果】
請求項1の発明は、1乃至複数の情報機器とともにラック内に収納される本体コントローラと、通信ケーブルにより本体コントローラと接続される1乃至複数の環境監視装置とを備え、環境監視装置は、情報機器の動作環境に関わる物理量を計測する計測手段と、計測手段の計測値を演算処理して情報機器の環境監視情報を作成する演算処理手段と、通信ケーブルを介して環境監視情報を本体コントローラに送信する送信手段とを具備し、本体コントローラは、通信ケーブルを介して環境監視装置から環境監視情報を受信する受信手段と、受信手段で受信した環境監視情報を管理する管理手段とを具備するので、環境監視システムを本体コントローラと環境監視装置に分割し、両者を通信ケーブルで接続する構成であるから、情報機器の増加に対しては環境監視装置を増やすことで対応でき、しかも、本体コントローラと環境監視装置を一体に構成した場合に比較して環境監視装置の小型化が容易であるため、ラック内において情報機器が収納されることのないデッドスペースに環境監視装置を設置することができ、結果的にラック内の収納スペースに対する占有率を抑えることができるという効果がある。また、外部電源より管理手段の動作電源を作成する第1の電源部と、外部電源より環境監視装置の動作電源を作成する第2の電源部とを本体コントローラに具備し、第2の電源部で作成した動作電源を通信ケーブルを介して環境監視装置に供給してなるので、本体コントローラの管理手段の動作電源と環境監視装置の動作電源とを別系統としたため、通信ケーブルで誘起される外来ノイズに起因した本体コントローラの管理手段の誤動作が防止できるという効果がある。
【0072】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、少なくとも1つの環境監視装置は、外部電源から情報機器への供給電力を計測する電力計測手段を具備する電力監視装置であるので、情報機器への給電状況を本体コントローラで一括して監視することができるという効果がある。また、少なくとも1つの環境監視装置は、ラック内の雰囲気温度や情報機器の温度を計測する温度計測手段を具備する温度監視装置であるので、ラック内の雰囲気温度や情報機器の温度を本体コントローラで一括して監視することができるという効果がある。さらに、少なくとも1つの環境監視装置は、ラック内の湿度を計測する湿度計測手段を具備する湿度監視装置であるので、ラック内の湿度を本体コントローラで一括して監視することができるという効果がある。また、本体コントローラのハウジングを規格化されたラックに対応する寸法に形成したので、ラック内における情報機器の収納スペースに本体コントローラを収納することができるという効果がある。
【0082】
請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、ネットワークに接続するためのネットワーク接続手段を本体コントローラに備え、当該ネットワーク上の管理端末へネットワーク経由で環境監視情報を伝えるので、ネットワーク上の管理端末により情報機器の動作環境を遠隔から監視することができるという効果がある。
【0085】
請求項の発明は、請求項1又は2又は3の発明において、本体コントローラは、環境監視装置の環境監視情報を時系列で記憶する環境監視情報記憶手段を備えたので、情報機器の動作環境に異常が発生した場合に過去に遡って環境監視情報を追跡することができ、異常発生原因の特定が容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の環境監視システムを示すブロック図である。
【図2】同上の外観斜視図である。
【図3】同上の外観斜視図である。
【図4】同上をラック内に収納した状態を示し、(a)は前方から見た斜視図、(b)は後方から見た斜視図である。
【図5】同上における本体コントローラと電力監視装置との間で送受信されるパケットの信号フォーマットである。
【図6】実施形態2の環境監視システムを示すブロック図である。
【図7】実施形態3の環境監視システムを示す一部省略したブロック図である。
【図8】実施形態4の環境監視システムを示すブロック図である。
【図9】実施形態5の環境監視システムを示すブロック図である。
【図10】同上の外観斜視図である。
【符号の説明】
3 通信ケーブル
10 本体コントローラ
11 制御部
12 送受信部
13 メモリ部
30 電力監視装置
31 電力計測部
32 演算処理部
33 送受信部

Claims (4)

  1. 1乃至複数の情報機器とともにラック内に収納される本体コントローラと、通信ケーブルにより本体コントローラと接続される1乃至複数の環境監視装置とを備え、環境監視装置は、情報機器の動作環境に関わる物理量を計測する計測手段と、計測手段の計測値を演算処理して情報機器の環境監視情報を作成する演算処理手段と、通信ケーブルを介して環境監視情報を本体コントローラに送信する送信手段とを具備し、本体コントローラは、通信ケーブルを介して環境監視装置から環境監視情報を受信する受信手段と、受信手段で受信した環境監視情報を管理する管理手段とを具備し、外部電源より管理手段の動作電源を作成する第1の電源部と、外部電源より環境監視装置の動作電源を作成する第2の電源部とを本体コントローラに具備し、第2の電源部で作成した動作電源を通信ケーブルを介して環境監視装置に供給してなることを特徴とする環境監視システム。
  2. 少なくとも1つの環境監視装置は、外部電源から情報機器への供給電力を計測する電力計測手段を具備する電力監視装置であり、少なくとも1つの環境監視装置は、ラック内の雰囲気温度や情報機器の温度を計測する温度計測手段を具備する温度監視装置であり、少なくとも1つの環境監視装置は、ラック内の湿度を計測する湿度計測手段を具備する湿度監視装置であって、本体コントローラのハウジングを規格化されたラックに対応する寸法に形成したことを特徴とする請求項1記載の環境監視システム。
  3. ネットワークに接続するためのネットワーク接続手段を本体コントローラに備え、当該ネットワーク上の管理端末へネットワーク経由で環境監視情報を伝えることを特徴とする請求項1又は2記載の環境監視システム。
  4. 本体コントローラは、環境監視装置の環境監視情報を時系列で記憶する環境監視情報記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の環境監視システム
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