JP4021258B2 - 液晶表示素子の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子の製法に関する。さらに詳しくは、セル容器の厚さ分布のばらつきの発生を防止することができる液晶表示素子の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子(以下、LCDという)は、ガラス基板の表面に透明電極および画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(以下、TFTという)が形成されたTFTアレイ基板と、ガラス基板の表面に対向電極が形成された対向基板と、これらの基板間に封入、狭持されている液晶とから概略構成されている。このTFTアレイ基板と対向基板とは、ギャップ材含有のシール材によって所定の間隔を保って貼り合わされるとともに、トランスファ材を介して電気的に接続され、この間隔内に液晶が封入されている。
【0003】
かかるLCDは、通常、以下の方法で作製される。TFTアレイ基板の複数個分の大きさを有する第1の原盤ガラスにトランスファ材からなるトランスファパターンを形成したのち、所望の直径のスペーサを散布し、ついで対向基板の複数個分の大きさを有する第2の原盤ガラスにシール材からなるシールパターンを形成する。
【0004】
ついで両原盤ガラスの電極形成面を内側にしたのち、これらの2枚の原盤ガラスを貼り合わせる。この貼り合わされた原盤ガラスをプレス装置に配置したのち、板厚方向に加圧して、前記スペーサの直径により、規制されるセルギャップを調整する。この状態を保持しつつ前記シール材およびトランスファ材を熱硬化し、複数個の空セル容器を有する原盤を作製する。
【0005】
ついで各空セル容器を切断(分離)したのち、個々の空セル容器に液晶を充填し、最後にシールパターンの液晶注入口を封止して、所望のLCDを得る。
【0006】
近年、基板の電極に対する熱的影響を緩和するなどのために、シール材として、紫外線硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂との混合樹脂を用いて2枚の原盤ガラスを貼り合わせる液晶表示素子の製法がある(特開平5−273562号公報など参照)。
【0007】
この液晶表示素子の製法では、紫外線硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂との混合樹脂を用いてシールパターンおよび仮止めパターンを同時に印刷した原盤ガラスとスペーサーが塗布された他の原盤ガラスとを貼り合わせたのち、前記仮止めパターンに樹脂硬化光を照射し、仮止めする。ついで2枚の原盤ガラスを板厚方向に加圧してセルギャップを調整したのち、前記シールパターンを加熱硬化させるようにしている。また、前記仮止めパターンの形成位置をシールパターンの形成位置よりも充分に離して、セルギャップのムラを防止している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LCDを製造する際に、ギャップ材含有の未硬化のシール材を塗布し、2枚の原盤ガラスを貼り合わせたのち、仮止めに用いる紫外線硬化型樹脂の仮固定材とシール材の順に硬化させ、そののち、液晶を封入して得られたLCDを観察すると、原盤ガラスでの仮止めパターン近傍に、ニュートンリングの歪んだLCDが発生するという問題がある。ここで、TFTアレイ基板と対向基板とのセル厚分布(TFTアレイ基板と対向基板との間隙の寸法分布/セルギャップの分布)が正常であれば、歪みのない規則的なニュートンリングが観察できるが、セル厚にばらつきがあるとニュートンリングが歪んで現れる。したがって、ニュートンリングが歪んだLCDが発生するということは、セル厚がばらついた不具合なLCDが発生していることを意味している。このようなセル厚のばらつきは、そのまま液晶の層の厚さのばらつきとなるので、表示画面において不自然な明暗や液晶の応答速度のばらつきなどが発生し、表示品位を低下させることになる。
【0009】
本発明は、叙上の事情に鑑み、2枚の原盤ガラス間において液晶封入領域を区画形成するギャップ材含有のシール材からなるシールパターンを、仮固定パターンを配慮して形成することにより、セル厚分布のばらつきの発生を防止する液晶表示素子の製法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示素子の製法は、第1のガラスに、液晶封入領域を区画形成するためのメインシールおよび線状のダミーシールからなるシールパターンを形成する工程と、
第2のガラスに紫外線硬化樹脂を前記ダミーシールの線上に配置するように、点塗布して仮固定パターンを形成する工程と、
前記第1のガラスと前記第2のガラスを貼り合わせ、前記仮固定パターンに樹脂硬化光を照射して仮固定したのち、前記シールパターンを硬化する工程とからなる液晶表示素子の製法であって、
前記ダミーシールは、前記仮固定パターン近傍において、該仮固定パターンの中心より所定の距離をとって迂回または分断して設けられる
ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の液晶表示素子の製法を説明する。
【0012】
図1は本発明の液晶表示素子の製法の実施の形態にかかわるLCDの断面図、図2は図1の貼り合わせた原盤ガラスをTFTアレイ基板側より見た平面図、図3は貼り合わせた原盤ガラスにおける仮固定パターンとシールパターンの位置関係を示す平面図である。
【0013】
図1に示されるように、LCD1は、原盤ガラス(ガラス基板)20の表面に画素電極6、画素スイッチング用のTFTおよびポリイミド樹脂9が形成されたTFTアレイ基板2と、原盤ガラス(ガラス基板)21の表面に対向電極7、遮光膜12およびポリイミド樹脂9が形成された対向基板3と、これらの基板2、3間に封入、狭持されている液晶4とから構成されている。このTFTアレイ基板2と対向基板3とはスペーサ10およびギャップ材含有のシール材5によって所定の間隔を保って貼り合わされるとともに、画素電極6と対向電極7とがトランスファ材8を介して電気的に接続されている。なお、図1〜2において、11は端子である。また、図2では、わかりやすくするために、原盤ガラス20を省いている。
【0014】
つぎに本実施の形態にかかわるLCD1の製法を図1〜2を参照して説明する。まず、TFTアレイ基板2の作製について説明する。原盤ガラス20の表面にTFTおよび画素電極6を順次形成したのち、該画素電極6の表面にポリイミド樹脂9を薄く塗布する。ついでこのポリイミド樹脂9を150〜200℃位の温度で熱硬化させる。このようにして対向基板3側にポリイミド樹脂9の層を形成したのち、ラビング処理を行ないTFTアレイ基板2を作製する。
【0015】
ついで対向基板3の作製について説明する。原盤ガラス21の表面に対向電極7および遮光膜12を順次形成したのち、遮光膜12の表面にポリイミド樹脂9の層を形成する。ついでラビング処理を行ない対向基板3を作製する。
【0016】
つぎに対向基板3の表面に、ガラスファイバーまたは樹脂スペーサであるギャップ材30が混練されている未硬化の熱硬化型樹脂のシール材5をディスペンサから吐出して、塗布しながら、シールパターン50を形成する。このシールパターン50は、液晶封入領域である複数個の空セル容器を区画する空セル容器を形成するためのメインシール50aと、貼り合わせた原盤ガラス20、21から各空セル容器を切断し、個々の空セル容器を得る際、切断にかかる衝撃を緩和することを目的とするダミーシール50bとからなる。前記ガラスファイバーまたは樹脂スペーサは、メインシール50aのシール部の所望のギャップと同じ直径にされている。ついで前記シール材5に含有される溶剤を除去するために、80〜100℃位の温度で対向基板3をプレキュア処理する。なお、前記シールパターン50は塗布により形成されているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、スクリーン印刷などの印刷で形成することもできる。
【0017】
また、前記原盤ガラス20の表面のうち、シール材5の外周に相当する箇所に上下導通用の未硬化の熱硬化型樹脂のトランスファ材8を打点式のディスペンサから吐出しながら塗布する。ついで貼り合わせた原盤ガラス20、21内のギャップ分布を均一に保つためのスペーサ10を散布する。
【0018】
ついで前記ダミーシール50bの位置を仮固定パターン40の位置と重ならないように規定する。すなわち、たとえば図3(a)に示されるように、ダミーシール50bの線上に仮固定パターン40を配置する場合、仮固定パターン40の中心から左右のダミーシール50b端までの間隔を規定するか、または図3(b)に示されるように、仮固定パターン40の回りをコの字状に囲むようにして、ダミーシール50bを迂回させて仮固定パターン40の中心からダミーシール50bまでの間隔を規定する。本実施の形態では、原盤ガラス20において、前記ダミーシール50bよりも外周部に、10mm離れて仮固定に用いる未硬化の紫外線硬化型樹脂の仮固定材を所定の個数だけ点塗布し、仮固定パターン(点塗布位置)40を形成する。
【0019】
つぎにTFTアレイ基板側の原盤ガラス20に形成されている画素電極6に対して、対向基板側の原盤ガラス21に形成されている対向電極7が対向するように、両原盤ガラス20、21を位置合わせし、加圧する。この加圧の際、前記スペーサ10によりポリイミド樹脂9が傷付けられ、適正な配向が得られないことがないように加圧条件を選定する。この原盤ガラス20、21の位置合わせをしたのち、仮固定パターン40形成部のみ選択的に押圧しながら、紫外線を照射して仮固定パターン40を硬化する。
【0020】
そののち、仮固定した原盤ガラス20、21を減圧プレス装置による貼り合わせを行なう。これにより、シール材5とトランスファ材8に含まれるそれぞれの樹脂の熱硬化反応がほぼ完了し、かつ面内のギャップ分布が均一に保たれる。
【0021】
さらにアフターキュア処理を行なうことにより、シール材5とトランスファ材8に含まれるそれぞれの樹脂の熱硬化反応を完了させる。これにより、図2に示されるように、シール材5によるメインシール50aの液晶封入領域の区画形成が完了し、またTFTアレイ基板側の原盤ガラス20に形成されている画素電極6と対向基板側の原盤ガラス21に形成されている対向電極7とがトランスファ材8を介し電気的に接続が完了する。
【0022】
ついで各空セル容器を切断(分離)して、個々の空セル容器を有するTFTアレイ基板および対向基板を得る。ついで空セル容器内に液晶4を充填したのち、シールパターン50aの液晶注入口を封止して、所望のLCD1を得る。
【0023】
つぎにLCD1の製造にかかわる実施例を表1と図4を用いて説明する。まず本実施例で用いたシール材、ギャップ材、仮固定材およびスペーサの主成分、ギャップ材とスペーサの寸法およびシール材と仮固定材の硬化後の寸法を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004021258
【0025】
本実施例では、2枚の原盤ガラス20、21を位置合わせしたのち、紫外線を照射して仮固定材を硬化した時点では、2枚の原盤ガラス20、21間にて電極が形成されていない箇所のギャップは12μmである。また、仮固定パターンおよびシールパターンのギャップもこれとほぼ同じ12μmである。そののち、減圧プレスによる貼り合わせを行なった時点で、シールパターンのギャップは、6μmとなり、電極形成部のギャップは、4.5μmとなった。ただし、硬化が完了している仮固定材は、12μmのままである。ここで、シール材はストラクトボンドXN−21S(商品名:三井化学(株)製)、ギャップ材はマイクロロッドPF−60(商品名:日本電気硝子(株)製)、仮固定材はTB−3052B(商品名:(株)スリーボンド製)およびスペーサはミクロパールSP−2045(商品名:積水化学工業(株)製)である。
【0026】
なお、前記貼り合わせた原盤ガラス内における空セル容器の配置、数、大きさ(たとえば図5に示すとおり、空セル容器とダミーシール50bが近接している場合)によって、ダミーシール50bの位置と仮固定パターン40が近接する場合がある。このダミーシール50bの位置と仮固定パターン40が直線上で重なった場合には、仮固定パターン近傍のシール部のギャップは8μmとなり、ニュートンリングが歪んだLCDが作製された。
【0027】
これに対して、図4に示されるように、ダミーシール50bがメインシール50aからP1=10mm離れた位置で仮固定パターン40と重ならないように、この仮固定パターン40の中心からダミーシール50b端までの間隔P2が10mm以上、たとえば10〜50mm、好ましくは10〜20mmとなるように、ダミーシール50bを形成した。図4において、Tはメインシール50およびダミーシール50bの幅であり、Dは仮固定パターン40の仮固定材の直径である。その結果、仮固定パターン40近傍のシール部のギャップは6μmとなり、ニュートンリングが歪んだLCDが作製されなかった。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、2枚の原盤ガラスの貼り合わせを行なうにあたり、原盤ガラス間において液晶封入領域を区画形成するシールパターンを仮固定パターンに配慮して形成している。これにより、仮固定パターンに起因するセル容器の厚さ分布のばらつきの発生を防止したLCDを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の製法の実施の形態にかかわるLCDの断面図である。
【図2】図1の貼り合わせた原盤ガラスをTFTアレイ基板側より見た平面図である。
【図3】ダミーシールの位置を仮固定パターンの位置と重ならないように規定する例を説明する図である。
【図4】貼り合わせた原盤ガラスにおける仮固定パターンとシールパタンの位置関係を示す平面図である。
【図5】空セル容器とダミーシールが近接している状態を説明する図である。
【符号の説明】
1 LCD
2 TFTアレイ基板
3 対向基板
4 液晶
5 ギャップ材含有のシール材
6 画素電極
7 対向電極
8 トランスファ材
9 ポリイミド樹脂
10 スペーサ
11 端子
12 遮光膜
20、21 原盤ガラス
30 ギャップ材
40 仮固定パターン
50 シールパターン
50a メインシール
50b ダミーシール

Claims (4)

  1. 第1のガラスに、液晶封入領域を区画形成するためのメインシールおよび線状のダミーシールからなるシールパターンを形成する工程と、
    第2のガラスに紫外線硬化樹脂を前記ダミーシールの線上に配置するように、点塗布して仮固定パターンを形成する工程と、
    前記第1のガラスと前記第2のガラスを貼り合わせ、前記仮固定パターンに樹脂硬化光を照射して仮固定したのち、前記シールパターンを硬化する工程とからなる液晶表示素子の製法であって、
    前記ダミーシールは、前記仮固定パターン近傍において、該仮固定パターンの中心より所定の距離をとって迂回または分断して設けられる
    ことを特徴とする液晶表示素子の製法。
  2. 前記所定の距離が10〜20mmである請求項1記載の液晶表示素子の製法。
  3. 前記メインシールを形成するシール材に、シール部のギャップを均一にすることを目的として、所望のギャップと同じ直径のガラスファイバーまたは樹脂スペーサであるギャップ材が混練されている請求項1または2記載の液晶表示素子の製法。
  4. 前記メインシールのシール部の所望のギャップよりも仮固定パターンのギャップが広い請求項1、2または3記載の液晶表示素子の製法。
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