JP4021190B2 - 複合圧電体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波探触子などに用いられる複合圧電体およびその製造法と、これを用いた超音波探触子とに関する。
【0002】
【従来の技術】
複合圧電体は、圧電体と樹脂とを種々の形態で複合させた圧電材料であり、振動の周波数帯域を広くすることができるため、医療用超音波診断装置などに用いられる超音波探触子に利用することが検討されている。1−3型と呼ばれる複合圧電体は、多数の柱状圧電体が規則的または不規則に配列され、その隙間部分を樹脂が埋めた構造を有する複合体であり、高感度化および広帯域化に適していることが指摘されている。
【0003】
体外から体内を診断するため用いられる超音波探触子では、主に3〜10MHz程度の超音波周波数帯域が使用される。このような帯域で超音波を送受信する1−3型の複合圧電体を作製するとき、柱状圧電体の長さをL、柱状圧電体の長手方向に垂直な断面のサイズをSとした場合における比率(L/S)を5以上に設計すると、最も優れた性能が発揮されると考えられている。従って、1−3型の複合圧電体を3〜10MHz程度の周波数帯域の超音波探触子に適用するには、長さLが160〜500μm程度、断面サイズSが30〜100μm程度以下の柱状圧電体を多数配列した構造体を形成する必要がある。
【0004】
なお、本明細書では、比率(L/S)を「柱状圧電体のアスペクト比」と称することとする。ここで、サイズSは、柱状圧電体の断面が円のときは、その直径であり、柱状圧電体の断面が長方形のときは、その長辺の長さである。また、柱状圧電体の断面が台形の場合は、下底の長さをサイズSと呼ぶことにする。
【0005】
複合圧電体の有用性は、古くから指摘されてきているが、実際の超音波診断装置用の超音波探触子として、現在まで商品化されている例は多くない。その主な理由は、(1)求められる柱状圧電体の構造が極めて微細で、複合圧電体の製造が困難である点、および、(2)製造が可能であるとしても、高い製造コストが必要となる点にある。
【0006】
また、複合圧電体のそれぞれの柱状圧電体のサイズが小さくなってしまうため、圧電セラミックス単体に比べ、電気的インピーダンスが高くなってしまう。このため、超音波探触子と超音波診断装置とを接続する同軸ケーブルの静電容量により電圧降下が大きくなり、超音波探触子の感度が低下するという問題がある。
【0007】
以下、従来の1−3型複合圧電体の製造方法を説明する。
【0008】
特許1789409号公報や特許1590342号公報は、ブロック状圧電体に対して機械加工で縦横に切断溝を形成した後、切断溝にエポキシ樹脂などの有機高分子などを充填・硬化させることにより、1−3型の複合圧電体を製造する方法を開示している。この方法は、「ダイス・アンド・フィル法」と呼ばれており、切断溝は、ダイシング加工法などの機械加工法によって形成される。
【0009】
特公平5−33836号公報は、ダイス・アンド・フィル法で行われてきたダイシング加工法に代えて、レーザ加工法を用いる製造方法を開示している。この方法では、レーザ光で圧電セラミックスに溝を形成した後、溝に樹脂が充填され、硬化させられる。
【0010】
上記従来技術を10MHz程度までの超音波探触子に適用する場合、その製造が極めて困難であるか、あるいは、可能であったとしても製造コストが高くなるという問題がある。
【0011】
複合圧電体の他の製造方法として、「IEEE 1997 ULTRASONIC SYMPOSIUM, pp.877-881, 1997」(文献1)は以下の技術を開示している。
【0012】
まず、X線を用いたディープリソグラフィにより、アスペクト比の高い空孔を有する樹脂型を形成する。この空孔にセラミックス・スラリを充填した後、エッチングなどにより樹脂を除去してからセラミックスを焼結させる。こうして、高アスペクト比の微細な柱状圧電体を多数配列した構造体を製造することができる。この構造体における柱状圧電体の隙間に有機高分子を充填すれば、1−3型の複合圧電体を製造することができる。
【0013】
また、「IEEE1998 Microelectro Mechanics Systems Workshop, pp.223-228 ,1998」(文献2)に開示される技術は以下の通りである。
【0014】
まず、シリコン基板に対して、ディープ・エッチングにより、アスペクト比の高い空孔を形成する。この空孔にセラミックス・スラリを充填した後、シリコン基板にセラミックスを充填したまま焼結させる。焼結後、シリコン基板をエッチングなどによって除去して、高アスペクト比の微細な柱状圧電体が多数配列された構造体を形成する。その後、柱状圧電体の隙間に有機高分子を充填すれば、1−3型の複合圧電体を製造することができる。
【0015】
「IEEE 1998 ULTRASONICS SYMPOSIUM, pp.999-1002, 1998」(文献3)には、複合圧電体を導電体を介して積層することにより、複合圧電体の電気的インピーダンスを低減させる技術を開示している。この技術によれば、まず、一方向に伸びる圧電体と樹脂とを交互に配列したシートを複数用意し、両面に電極を設けた後、これらのシートを積層する。その後、圧電体および樹脂の伸びる方向とは垂直に積層されたシートを切断して溝を形成し、溝に樹脂を充填する。
【0016】
あるいは、「IEEE TRANSACTION ON ULTRASNICS, FERROELECTRICS, AND FREQUENCY CONTROL, VOL.46, NO.4, pp.961-971,1999」(文献4)は、複合圧電体と板状の圧電体とを導電体を介して積層する技術を開示している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献1および2は、20μm程度以下の断面サイズを有する複合圧電体の形成が可能であると記載しているが、これらの製造方法は、いずれも工程が複雑であり、型を焼失させるには複雑なプロセスと長い時間を要する。用いられる製造装置も高価である。その結果、製造コストの増加が大きな問題になる。
【0018】
また、複合圧電体の圧電体としては、一般に圧電性能の高いチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電セラミックス(PZT)が用いられるが、PZTは揮発温度の低い鉛を含むセラミックスであるため、その組成制御が困難であり、充分な圧電特性を発揮させるように焼結することは困難である。
【0019】
更に、複合圧電体を導電体を介して積層することにより、複合圧電体の電気的インピーダンスを低減させる技術は、更に製造が困難であったり、製造コストが増大してしまう。特に、文献3の技術を用いて複合圧電体を作製するためには、非常に高い厚み精度および平坦精度を有する圧電体と樹脂が必要となる。また、柱状圧電体を含む2つの複合圧電体を電極を介して接合する場合、2方向におけるアライメントが必要であり、上下の複合圧電体に含まれる柱状圧電体が正確に重なるように位置決めすることは大変困難である。
【0020】
文献4のように、複合圧電体と板状の圧電体とを積層する場合には、位置決めが必要なくなるため、製造が容易にはなる。しかし、この場合、板状の圧電体が用いられるために、電気機械結合係数などの基本的な性能が劣ってしまう。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、微細でアスペクト比の高い複数の柱状圧電体を有し、電気的インピーダンスの小さい複合圧電体を、性能を低下させること無く、安価に提供することにある。また、そのような複合圧電体を用いた超音波探触子および超音波検査装置を提供する。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の複合圧電体は、複数の柱状圧電体と、前記複数の柱状圧電体の間に位置する樹脂層と、前記複数の柱状圧電体を横切るように、前記複数の柱状圧電体の長手方向と交わる方向に伸びる少なくとも1つの内部導体とを有し、前記複数の柱状圧電体は、前記柱状圧電体の長手方向に垂直な面に沿って二次元的に配列されることにより複数の列をなしており、前記柱状圧電体の列は、隣接する前記柱状圧電体の列から前記樹脂層によって隔離されており、前記内部導体は前記柱状圧電体の列に沿って伸びている。
【0023】
好ましい実施形態において、前記柱状圧電体におけるその長手方向に垂直な断面のサイズSに対する前記長手方向の長さLの比率は5以上である。また、前記柱状圧電体の長手方向に垂直な断面の形状が台形である。
【0024】
好ましい実施形態において、前記内部導体が前記複合圧電体の少なくとも1つの端面において露出している。
【0026】
好ましい実施形態において、複合圧電体は、前記内部導体を複数有し、前記複数の内部導体のそれぞれが前記柱状圧電体の各列に設けられている。また、前記複数の内部導体が、前記柱状圧電体の各列に複数設けられている。
【0027】
本発明の単位複合シートは、樹脂層と、前記樹脂層上に配列された複数の柱状圧電体と、前記複数の柱状圧電体を横切り、前記複数の柱状圧電体の長手方向と交わる方向に伸びるように前記樹脂層上に設けられた少なくとも1つの内部導体とを備えている。
【0028】
本発明の複合圧電体は、上記単位複合シートが複数枚積層され、前記柱状圧電体が、前記樹脂層によって挟まれることによって配置関係が固定された状態にある。あるいは、上記複合圧電体を、前記柱状圧電体の長手方向を横切るように切断することによって作製している。
【0029】
好ましい実施形態において、前記柱状圧電体の周囲は樹脂で囲まれている。また、前記樹脂は、単位複合シートの樹脂層の一部が流動し、硬化したものである。
【0030】
本発明の超音波探触子は、上記いずれかの複合圧電体を備えている。また、本発明の超音波検査装置は、そのような超音波探触子を備えている。
【0031】
本発明の単位複合シートの製造方法は、(a)一方向に伸びる複数の圧電体および複数の導電体が交互に配置された複合板を樹脂層上に用意する工程と、(b)前記複合板の前記圧電体に対し、前記圧電体の長手方向と交わる方向に伸びる複数の溝を形成することによって、複数の柱状圧電体と、前記複数の柱状圧電体を横切って伸びる複数の内部導体とを樹脂層上に形成する工程とを包含する。
【0032】
また、本発明の単位複合シートの製造方法は、(a)一方向に伸びる複数の圧電体および複数の導電体が交互に配置された複合板を粘着シートによって基板上に仮固定する工程と、(b)前記板状圧電体の一部を除去することにより、複数の柱状圧電体と、前記複数の柱状圧電体を横切り、前記複数の柱状圧電体の長手方向と交わる方向に伸びる複数の内部導体とを形成する工程と、(c)前記基板に仮固定された複数の柱状圧電体と前記複数の内部導体とを樹脂層に転写する工程とを包含する。
【0033】
好ましい実施形態において、前記複合板は、複数の圧電体と複数の導電体が交互に積層された積層体を積層方向と平行に切断して形成されたものである。あるいは、前記複合板は、板状圧電体に複数の溝を形成し、前記溝に導電体を充填したものである。
【0034】
好ましい実施形態において、前記工程(b)の前記板状圧電体の複数の溝は、サンドブラスト加工によって形成する。また、前記板状圧電体は焼結圧電セラミックスである。
【0035】
本発明の複合圧電体の製造方法は、上記いずれかに記載の製造方法によって製造された複数枚の単位複合シートを用意する工程と、(b)複数枚の前記単位複合シートを積層する工程と、(c)積層した複数枚の前記単位複合シートを一体化する工程とを包含する。
【0036】
好ましい実施形態において、前記樹脂層は、液状樹脂の塗布によって形成されたものである。また、前記樹脂層は、半硬化樹脂シートである。また、前記一体化された複数枚の単位複合シートに対して、少なくとも1つの導電体を含むように切断を行う工程を更に包含する。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明による複合圧電体の実施の形態を説明する。
【0038】
(第1の実施形態)
図1から図7を参照しながら本実施形態の製造方法を説明する。
【0039】
まず、図1(a)に示すように、圧電体1と導電体2が交互に積層された積層体3を形成する。図1(a)に示す座標系において、各圧電体1の外形は、例えば、X方向サイズ:0.5mm(500μm)、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:20mmである。また、各導電体2の外形は、X方向サイズ:0.01mm(10μm)以下、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:20mmである。これら、圧電体1および導電体2を複数積層することによって、X方向サイズ:20mm、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:20mmを有する積層体3が形成される。圧電体1および導電体2や積層体3のサイズはこれらの値に限定されるものではなく、用途に応じて適宜好ましい寸法を選ぶことができる。
【0040】
圧電体1を構成する材料としては、圧電性の高い材料が好ましい。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウムなどのセラミックスや、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛などからなる単結晶を用いることができる。導電体2としては、導電性の高い材料であればよく、金、銀、白金、ニッケルなどの金属やカーボンなどからコストおよび用途に応じて要求される導電性を考慮して選択する。
【0041】
上記外形を備えた圧電体1および導電体2を適当な接着剤を介して接合し積層体としてもよいし、上記材料からなるセラミックス・グリーンシートと導電性ペーストを積層して焼結することにより、積層体3を形成してもよい。
【0042】
続いて図1(b)に示すように、積層体3を積層方向(X方向)と平行な面(XY平面)で切断し複数の複合板4を得る。本実施形態では、ダイシング加工機を用いて、積層体3を0.1mmのピッチで切断し、その後、研磨により複合板4の厚みを0.05mm(50μm)にした。積層体3からこのようにして200枚の複合板4が得られる。積層体3の切断には、ダイシング加工機以外に、ワイヤーソー、レーザー超音波などを用いた種々の加工機を用いることができる。また、切断のピッチや複合板4の厚みも用途に応じて他の値を選択してもよい。
【0043】
次に、図2に示すように、樹脂層5および剥離フィルム6を含む樹脂接着シート20を用意し、樹脂層5を複合板4の一面に貼り付ける。樹脂層5の外形は、例えば、X方向サイズ:20mm、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:0.025mm(25μm)である。樹脂接着シート20の貼付は、例えば、以下のように行われる。まず、片面に剥離フィルム6のついたエポキシ系半硬化樹脂5を複合板4と重ね合わせ、これをピストン状の冶具により200枚積層する。次に、例えば、冶具に約1MPaの圧力をかけて、冶具に保持された積層物を0.1Torr以下の減圧状態において120℃で5分間加熱する。その後、大気圧に戻して、冶具による加圧を解除して180℃で積層物を過熱し、エポキシ系半硬化樹脂を硬化させる。その後、室温まで冷却した後、剥離フィルム6を除去し、樹脂層5が形成された複合板4を得る。
【0044】
本実施形態では、樹脂接着シート20を用いて複合板4に樹脂層5を形成したが、複合板4の一面に均一な厚さの樹脂層をスピンコート法、スクリーン印刷法などによって形成してもよい。
【0045】
続いて、図3および4を参照して、複合板4から、複数の柱状圧電体と、柱状圧電体を横切ってその長手方向と交わる方向に伸びる複数の内部導体とを形成する方法を説明する。
【0046】
図3に示すように、複合板4の樹脂層5が形成されていない面に加工用マスク7を形成する。加工用マスク7は、複合板4の導電体2の上部を完全に覆うパターン7aと、圧電体1から複数の柱状圧電体を形成するためのパターン7bとを含んでいる。パターン7bの幅は、それぞれ0.05mm(50μm)であり、パターン7bの間隔も0.05mmである。パターン7bの幅と間隔は同じである必要はない。
【0047】
加工用マスク7は、感光性の樹脂シートを複合板4に貼り付けた後、フォトマスクを用いて樹脂シートを露光し、現像することによって形成される。フォトマスクには、上記のパターン7aおよび7bを規定する遮光パターンが形成されており、現像・露光は、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて行うことができる。フォトマスクのパターンを変更することにより、加工用マスク7のパターンの形状およびサイズを任意に設定することができる。
【0048】
次に複合板4の加工用マスク7が形成された面に対して、サンドブラスト加工を行う。サンドブラスト加工は、細かい粒子(アルミナやダイアモンドなどの研磨粒子)を圧縮空気(あるいは水などの流体)とともに噴射し、被加工対象を衝撃により破壊しながら加工する処理である。
【0049】
サンドブラスト加工によれば、樹脂などの柔らかい物質は破壊せずに、セラミックスなどの硬い材料を選択的に脆性破壊することができる。従って、樹脂製の加工用マスク7を用いてサンドブラスト加工を行うことにより、圧電体1の表面のうち、パターン7bで覆われていない領域(図3において斜線で示している)だけを選択的に削り取り、その部分にパターン7bで挟まれた溝を形成することができる。サンドブラスト加工が進行するに伴い、圧電体1の露出表面に形成される溝は深くなり、やがて圧電体1の背面側に配置されている樹脂層5に達する。しかし、樹脂層5も、加工用マスク7と同様にサンドブラスト加工によっては破壊されないため、圧電体1に形成した溝が樹脂層5に到達しても、樹脂層5はほとんど加工されない。また、導電体2が形成されている部分はパターン7aによって覆われているため、まったく導電体2が削り取られることはない。
【0050】
このようにして、図4(a)に示すように、パターン7aおよび7bを含む加工用マスク7に覆われた部分が残された複合板4を得る。溝はパターン7bの間に形成されるが、パターン7aによって分断されている。そして、図4(b)に示すように、加工用マスク7を剥離することによって、複数の柱状圧電体9と、柱状圧電体9のそれぞれを横切って、柱状圧電体9の長手方向と交わる方向に伸び、かつ、隣接する柱状圧電体9を連結する複数の内部導体8とが樹脂層5上に形成された単位複合シート10を得る。なお、図4(b)では、8本の柱状圧電体9および3本の内部導体8が示されているだけであるが、実際には、柱状圧電体9が250本形成され、内部導体8が40本形成される。また、図4(b)では、内部導体8が柱状圧電体9を完全に分断するよう横切っているが、各柱状圧電体9の少なくとも一部を内部導体8が横切っていれば、柱状圧電体9に内部から電気的に信号を送受信することが可能である。好ましくは、内部導体8は、柱状圧電体9のZ方向の厚みの約80%を横切っている。したがって本願明細書において「横切る」とは、柱状圧電体9を完全に分断するよう内部導体8が交わっている場合および柱状圧電体9の一部分を切断するように内部導体8が交わっている場合の両方を含むものとを意味している。
【0051】
上記のサンドブラスト加工によれば、複合板4の広い面を一括的に高速かつ精密に加工することができるが、サンドブラスト加工は、加工用マスク7の開口部の幅に対する深さの比率(アスペクト比)が大きい場合には不適当な加工方法である。しかし、本実施形態では、サンドブラスト加工によって形成される溝の深さ方向は、形成すべき柱状圧電体9の長手方向に平行ではなく、垂直である。このため、加工によって形成する溝の深さをD、溝の幅をWとした場合、本実施形態における比率D/Wは、1程度である。この比率D/Wは、溝のアスペクト比を規定しており、圧電体の材質にもよるが、1〜2程度の範囲に設定することが好ましい。そして、特に微細な加工が必要な場合は、比率D/Wを1以下に設定することが望ましい。
【0052】
本実施形態では、上述のように、柱状圧電体9の長手方向(Y方向)に対して垂直な方向から圧電体の加工を行うため、「柱状圧電体のアスペクト比」が5を超える大きさを持っていても、溝のアスペクト比は小さくすることができる。このため、従来は不可能とされていたようなアスペクト比を持つ柱状圧電体を容易に形成することが可能になる。
【0053】
柱状圧電体9の長手方向に垂直な断面を図5に示す。図5からわかるように、本実施形態で得られる柱状圧電体9の断面は、柱状圧電体9の中心軸に関する180°の回転に対し、非対称になっており、具体的には、略台形である。柱状圧電体9の上面9aにおける幅は、40〜45μm程度であり、下面9bにおける幅は55〜60μm程度である。このように側面にテーパが形成される理由は、サンドブラスト加工によってサイドエッチが生じるからである。
【0054】
前述したように、サンドブラスト工法によって深い孔を形成することは困難であるため、図6に示すように、矢印Aの方向から圧電体を加工して柱状圧電体9を作製しようとすると、アスペクト比が5以上の柱状圧電体を形成することは極めて困難である。しかも、柱状圧電体9のそれぞれを横切り、かつ、隣接する柱状圧電体9を連結するように設けられた内部導体8が存在するため、内部導体8を切削除去しないで圧電体を削り進め、更に圧電体を柱状に形成することは不可能である。しかしながら、本実施形態の製造法によれば、図4の矢印Bの方向から圧電体を加工するため、加工深さは浅く、サンドブラスト加工の高速性や一括加工可能性という利点を生かすことができる。また、隣接する柱状圧電体9を連結するように設けられた内部導体8を残したまま、圧電体から柱状圧電体9を形成できる。
【0055】
なお、板状圧電体1を細線状または柱状に加工できる工法であれば、サンドブラスト加工に限定されず、ダイシング加工、超音波加工、レーザ加工など任意の加工法を用いてもよい。
【0056】
上記方法によって、単位複合シート10を200枚用意する。上記サイズの複合シートを200枚加工するのに要する時間は約2時間以下と非常に短い。このため、単位複合シートの製造時間を短くして、コストを低減することができる。
【0057】
次に、複数の単位複合シート10を積層し、一体化する。図7に示すように、単位複合シート10を構成する樹脂層5とは別の樹脂層5’を間に介在させながら単位複合シート10を積層する。図7では、簡単化のために、6枚の単位複合シート10が示されているが、実際には、200枚の単位複合シート10が積層される。最上部にはX方向サイズ:20mm、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:0.05mmのエポキシ系半硬化樹脂シートが1枚配置される。
【0058】
200枚の単位複合シート10を積層する際には、内部導体8の位置がX方向において同じ位置になるように位置合わせをすればよい。つまり、X方向に位置ずれが生じなければ、Y方向への多少の位置ずれは問題とならない。したがって、位置合わせのための高価な設備を必要とせず、また、位置合わせに要する時間も短くてすむ。これにより、コストの低減をはかることができる。
【0059】
こうして形成した積層物を120℃、0.1Torr以下で、0.1MPaの圧力を印加しながら10分間放置した後、大気圧に戻し、圧力を印加することなく、180℃で1時間加熱する。こうして樹脂層5および5’を硬化し、積層物を一体化させることにより、複合シート積層体である複合圧電体11を得ることができる。得られた複合圧電体11は、X方向サイズ:20mm、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:20mmの立方体形状を有している。複合圧電体11の中には、図においてX方向に沿って伸びる40000本の柱状圧電体9およびY方向に伸びる8000本の内部導体8が形成されている。
【0060】
複合圧電体11において、柱状圧電体9は、はその長手方向(X方向)に垂直な面(Y−Z平面)において、行(Y方向)および列(Z方向)をなすマトリクス状に配置されており、柱状圧電体9の各列は樹脂層5および5’によって隔絶されている。図5を参照して説明したように各柱状圧電体9の長手方向(X方向)に垂直な断面(Y-Z平面)は台形形状をしている。
【0061】
柱状圧電体9の各列において、内部導体8は、柱状圧電体9のそれぞれを横切り、かつ、行方向に配列している柱状圧電体9を連結するよう柱状圧電体9の行方向に伸びている。内部導体8が横切ることによって分断された柱状圧電体9のそれぞれは、内部導体8と接触し、電気的に接続されている。このため、内部導体8は各列にある複数の柱状圧電体9を電気的に接続することとなる。また、複合圧電体11の2つの端面11aおよび11bにおいて、各内部導体8の端部が露出している。したがって、柱状圧電体9のそれぞれは、内部導体8を介して外部回路と完全にかつ容易に接続され得る。
【0062】
単位複合シート10は、その厚さ方向(Z方向)に積層されており、Y−Z平面に沿って2次元的に配列された複数の柱状圧電体9のうち、Y方向に並んだ各列は相互に樹脂層によって隔離されている。このような層構造を有しているため、樹脂層で隔離された柱状圧電体間では干渉がおきにくい。
【0063】
一方、本実施形態の各単位複合シート10において、柱状圧電体9間は樹脂では充填されておらず、空間が形成されている。複合圧電体11が完成した後、この空間に、樹脂などを注入してもよいし、空間として残すことによって柱状圧電体9間を空気で満たしてもよい。空気で空間が満たされている場合、柱状圧電体9からの音響漏れが少なくなるという利点がある。
【0064】
また、細線状の柱状圧電体や内部導体を直接ハンドリングしたり、配列させたりする必要がなく、柱状圧電体をマトリクス状に配置するために精密な位置合わせを必要としないので、従来の製造方法に比べて、短時間に歩留まり良く、安価な製造設備を用いて製造することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
以下、本発明による複合圧電体の第2の実施形態を説明する。
【0066】
まず、第1の実施形態と同様にして、図8に示すように、一方向に伸びる圧電体1と導電体2が交互に積層された複合板4を200枚用意する。そして、複合板4をガラスなどの基板13上に粘着シート14を用いて仮固定する。粘着シート14として、本実施形態では熱剥離シートを用いる。この粘着シート14は、熱剥離シートに限定されず、複合板4を保持し、切断加工に際しては複合板4が粘着シート14から剥離することなく、加工後に何らかの作用によって剥離させることが可能なものであれば良い。例えば、UV光照射による剥離シートなども粘着シート14として用いることができる。
【0067】
次に、複合板4を加工することにより、図9に示すように、複数の柱状圧電体9と、複数の柱状圧電体9のそれぞれをおおよそ直行する方向に横切って伸びており、かつ、柱状圧電体9を連結する複数の内部導体8とを粘着シート14を介してガラス板13上に保持する。具体的には、図2から図4を参照しながら説明した方法と同様の方法により、加工マスクを形成した後、サンドブラスト加工を行う。
【0068】
次に、図10(a)に示すように、基板13に仮固定された柱状圧電体9およびそれらを連結する内部導体8をシート状の樹脂層5と対向させる。樹脂層5としては、厚さ0.050mm程度のエポキシ系半硬化樹脂シートを好適に用いることができる。
【0069】
そして、樹脂層5を柱状圧電体9および内部導体8と接触させた状態で、樹脂層5および基板13に対して、例えば約0.1MPaの圧力を印加し、120℃で10分間加熱する。この加圧・加熱処理により、樹脂層5と柱状圧電体9および内部導体8とが接着するとともに、粘着シート14の熱剥離効果が生じるため、図10(b)に示すように、柱状圧電体9および内部導体8は粘着シート14から剥離し、樹脂層5に転写される。
【0070】
本実施形態では、樹脂層5としてエポキシ系半硬化樹脂シートを用いているが、樹脂層5は、同様の効果が発揮されるものであれば、他の接着シートであってもよい。また、液状の樹脂などを印刷法などによって柱状圧電体9および内部導体8に塗布し、樹脂の層を形成した後、これを硬化させてから剥離してもよい。
【0071】
この結果、40本の内部導体8により連結された200本の柱状圧電体9が、上記の転写工程により、基板14上における配置を高い精度で維持したま粘着シート5の上に移動する。こうして、単位複合シートが作製される。
【0072】
この単位複合シートを200枚用意して、図11に示すように積層した後、最上部にX方向サイズが20mm、Y方向サイズが20mm、Z方向サイズが0.050mmの樹脂層5’を配置する。そして、次に、例えば、120℃、0.1Torr以下の減圧雰囲気中において、0.1MPaの圧力を印加しながら、10分間保持する。この後、雰囲気を大気に戻して、圧力を解除した後、180℃で1時間保持する。こうして、樹脂層2を硬化させ、積層物を一体化することにより、複合圧電体12を形成する。
【0073】
本実施形態において、転写に用いた樹脂層5は、熱剥離シートからの転写の際には120℃以下の熱履歴しか経ていないため、その転写後も接着力が持続しており、積層物を一体化するとき、新たな接着シートを介在させる必要がない。このため、積層物を一体化する工程に要する時間が第1の実施形態の場合に比べて短縮され、低コスト化を更に達成することができる。
【0074】
なお、一体化した複合圧電体12は、X方向サイズ:20mm、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:20mmの立方体形状を有しており、この複合圧電体の中では8000本の内部導体8と40000本の柱状圧電体9とが樹脂層5によってそれぞれ平行に保持されている。
【0075】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1および第2の実施形態で得られた複合圧電体11および12を図12に示すように、内部導体8と平行にダイシング加工機により切断し、柱状圧電体9の列方向に配列した一層の内部導体8を含む複合圧電体11’を製造する方法を説明する。
【0076】
図12(a)および(b)に示すように、0.5mmのピッチでX方向に配列している内部導体8の列の間を0.1mmの切りしろで切断し、X方向サイズ:20mm、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:0.4mmのサイズを有し、一層の内部導体8を含む複合圧電体11’を得る。この切断した両面に電極を形成し、内部導体8と両面の電極との間に電圧を印加して分極処理を行うことにより、柱状圧電体9に圧電特性を発現させる。
【0077】
本実施形態の複合圧電体11’において、各柱状圧電体の長手方向に垂直な断面のサイズSに対する前記長手方向の長さLの比率(アスペクト比)は、8(0.4mm/0.05mm)であり、1−3型複合圧電体において最も性能が良くなるとされる5以上であるという条件を満たしている。
【0078】
また、各柱状圧電体9には、その長手方向のおおよそ真中の位置に内部導体8が設けられている。このため、内部導体8に駆動信号を加える場合には、もとの複合圧電体に比べて、厚みが半分の複合圧電体が二つ並列に接続されたことと等価となり、複合圧電体の容量は4倍になる。その結果、内部導体8を設けない場合に比べて、電気的インピーダンスは約1/4となり、アスペクト比が大きく、電気的インピーダンスが小さい複合圧電体を実現することができる。
【0079】
本実施形態では一層の内部導体を有する複合圧電体を製造したが、切断位置を変えることによって、任意の数の内部電極を有する複合圧電体を形成することが可能である。また、切断方法として、ダイシング工法以外に、ワイヤーソーやレーザなどの他の加工機器を用いて切断してもよい。
【0080】
(第4の実施形態)
以下、本発明による複合圧電体の第4の実施形態を説明する。
【0081】
第1および第2の実施形態の複合圧電体11および12では、例えば図7に示すように、各単位複合シート上に配列された柱状圧電体9の間に空隙部分が存在し、その空隙部分は空気によって満たされた状態にある。空気も誘電体であるため、複合圧電体として機能させるためには、この空隙部分を他の誘電体材料で埋める必要性は無い。しかしながら、空隙部分を硬化可能な誘電体材料で埋め込み、硬化させれば、複合誘電体の機械的強度を高めることができ、また、複合圧電体11および12振動モードを適切に調節することができるので好ましい。
【0082】
このために、本実施形態では、柱状圧電体9が樹脂層5の間に配置されるようにして複数枚の複合シートを積層し、一体化する際、積層物に印加する圧力を高くする。具体的には、120℃、0.1Torr以下の雰囲気中において、約1MPaの圧力を積層物に印加し、10分間放置した後、大気圧に戻し、圧力をかけたまま180℃、1時間加熱する。このように比較的高い圧力を印加しながら、接着および一体化を行うと、積層に際して単位複合シート間に挿入したエポキシ系半硬化樹脂シートや未硬化の樹脂層が流動して柱状圧電体9の隙間を埋める。その結果、図13に示すように隙間のすべてが樹脂5’’で充填された複合圧電体11’’が得られる。
【0083】
本実施形態では、上述のようにして空隙部分に樹脂を充填することにより、複合圧電体としての機械的強度を高めることができる。また、切断などの工程での破損が生じにくくなり、歩留まりが向上する。その結果、製造コストを低減できる。また、本実施形態では、電極形成に無電解めっきを用いることができるため、大量の複合圧電体に対して一括的に電極を形成することができ、低コスト化を実現できる。
【0084】
(第5の実施形態)
以下、本発明による複合圧電体の第5の実施形態を説明する。
【0085】
本実施形態では、単位複合シートに用いられる複合板を、板状圧電体に溝を形成し、導電体を充填することによって作製する。
【0086】
図14(a)に示すように、X方向サイズ:20mm、Y方向サイズ:20mm、Z方向サイズ:0.05mmの板状圧電体17をガラスなどの基板13上に貼り付けた熱剥離シート16を介して固定し、板状圧電体17に対し、0.5mmピッチでY方向に伸びる溝15(幅:約0.03mm)を形成する。そして、図14(b)に示すように、形成した溝15に導電体2を充填する。
【0087】
本実施形態では、板状圧電体17として、セラミックス・グリーンシートを燒結させて形成した圧電セラミックスを用いた。セラミックス・グリーンシートは、セラミックス粉と樹脂から構成された焼結前のシートであり、ドクターブレード法などの方法で作製され、薄層あるいは層構造の圧電体(積層基板など)を形成する場合に好適に用いられる。セラミックス・グリーンシートから板状圧電体を作製する方法は、切断・研磨などの工程が不要であるため、低コスト化の観点で有利である。その他、押し出し成形法など、薄いセラミックスを低コストで製造しうる工法であれば、ドクターブレード法以外の方法より製造された圧電セラミックスを用いてもかまわない。
【0088】
また、導電体を充填する溝15の形成方法として、本実施形態ではダイシング加工機を用いる。具体的には、0.025mmの幅のブレードを用いて、板状圧電体14を完全に切断する。これにより、深さ0.05mm、幅0.03mmの溝15が形成できる。溝15は、比較的広い間隔形成でされるものであり、本実施の形態では0.5mmピッチで、40本形成される。このため、ダイシング加工のような一本ずつ溝を形成する加工方法であっても短時間ですみ、加工に要するコストは低い。
【0089】
ダイシング加工の場合には、研削プログラムを変更するだけで、導体を充填する溝の間隔等が容易に調節できる。このため、用途に応じた導電体のパターンを形成し、複合圧電体の電気的インピーダンスなどを調整し得る。
【0090】
また、溝15の形成方法として、ダイシング加工以外の方法、たとえば、サンドブラスト工法、レーザ工法、エッチング工法など、製造数量や製造コスト、求められる寸法精度などに応じて他の加工方法を選択してもよい。
【0091】
導体として、本実施形態では、銀粒子が樹脂に分散した銀ペーストを用いる。溝15を形成した板状圧電体17に真空脱泡した銀ペーストをゴム製のスキージにより刷り込み、80℃にて1時間放置し、硬化させる。これにより、刷り込んだ銀ペーストは溝15にのみ充填され、定着される。
【0092】
導電体としては、銀ペーストに限らず、金、白金、ニッケルなど導電性を有する材料を含むペーストを用いることができる。これらの金属の中から、要求されるコストおよび導電率を考慮して最適な材料を選べばよい。
【0093】
本実施形態では、樹脂製の熱剥離シート16を基板13と板状圧電体17との仮固定に用いたるため、高温処理が必要なガラスペーストを用いることは適当ではない。しかし、基板2と板状圧電体17との仮固定の方法に、より耐熱性のあるもの、例えば、多孔質セラミックスに真空吸着させるなどの方法を用いることによって、ガラスを含むペーストを用いることができる。ガラスを含むペーストは、おおよそ500℃程度に熱処理する必要があるが、圧電セラミックスとの密着力は強い。したがって、導電体の形成にガラスを含むペーストを用いれば、より信頼性の高い複合板を作製することができる。
【0094】
ダイシング加工機により形成した溝15に、銀ペーストを充填・硬化させ、複合板を120℃で10分間加熱することにより、熱剥離シート16を複合板4’から剥離させる。引き続き第1の実施形態で説明したように、柱状圧電体パターンを形成するために、複合板4’に対してサンドブラスト加工を行う。第2の実施形態にしたがって、複合圧電体を作製する場合には、熱剥離シート13を複合板4’から剥離しないで、そのまま、複合板4’に対してサンドブラスト加工を行えばよい。なお、溝15内に形成された導電体が十分に樹脂成分を含む場合には、複合板4’に対してサンドブラスト加工を行う際、導電体を覆うマスクパターンは形成しなくてもよい。導電体が樹脂成分を含むために、導電体の硬度が低下して、脆性破壊を起こしにくくなるからである。
【0095】
本実施形態では、溝15は、板状圧電体17を完全に切断していたが、板状圧電体17の厚さ方向の途中まで溝を形成し、導電体を充填しても良い。この場合、板状圧電体17の厚みの約80%に達する溝15を設け、導電体でその溝を充填することにより、板状圧電体17を完全に切断した場合とほぼ同等の性能を得ることができる。この場合には、溝15を形成しても板状圧電体17がバラバラになることはないので、板状圧電体17を熱剥離シートなどに仮固定する必要がなくなる。したがって、上述したガラスを含む金属ペーストを用いて溝15を充填することができ、より信頼性の高い複合板を作製することができる。
【0096】
このように、本発明によれば、ドクターブレード工法などにより形成した安価なセラミック薄板を用い、これに溝を設けて、溝に導電体を充填することによって、切断・研磨等の工程を用いて大型のブロックから複合板を形成する場合に比べて、低コストで、複合板を作製することができる。また、導電体を充填する溝の間隔を変更することが容易であるため、多種類の複合圧電体を低コストにて製造することが可能となる。
【0097】
(第6の実施形態)
以上の各実施の形態では、単位複合シートにおける柱状圧電体の形状を全て直線とし、柱状圧電体を平行に配列している。しかし、単位複合シートにおける圧電体の形状は、直線に限定されず、また、平行配列にも限定されない。例えば、図15および16に示すように、多様の形態の柱状圧電体を形成しても良い。図15は、柱状圧電体20の両端において、隣接する柱状圧電体との間隔が異なっており、平行に配置されていない例を示している。図16は、柱状圧電体21がまっすぐに伸びておらず、屈曲している例を示している。図15および16において内部導体は示されていないが、実際には、柱状圧電体20および21のそれぞれを横切るようY方向に伸びる内部導体が複数設けられている。
【0098】
柱状圧電体の長手方向に垂直な断面は、直線の辺から構成された多角形である必要はなく、一部が曲線から構成された形状を有していても良い。加工用マスクを取り除いた後、例えば、サンドブラスト加工または他の加工を付加的に短時間行うことにより、柱状圧電体の露出表面をなだらかな曲面形状に変化させることが可能である。柱状圧電体の側面が曲面形状を有すると、隣接する圧電体同士の間で振動モードの干渉が起こりにくくなるので好ましい。
【0099】
(第7の実施形態)
以下、本発明による超音波探触子の実施形態を説明する。
【0100】
本実施形態では、まず、第4の実施形態における複合圧電体を第3の実施形態で説明したように、一層の内部導体を含むように切断して、図17に示すような複合圧電体200を得る。複合圧電体200は、縦20mm、横20mm、厚さ0.4mmであり、厚さ方向の中心0.2mmの位置に内部導体を含んでいる。この厚さ方向の上面および下面に、無電解めっきによるニッケルおよび金からなる電極205aおよび205cを形成する。また、各内部導体の端面を接続する電極205bも形成し、複合圧電体200の端面に付着した不要な導電体をサンドペーパにより剥離して、電極205a、205bおよび205c間をそれぞれ電気的に分離した。
【0101】
次に、分極処理を行う。具体的には、上面の電極205aおよび下面の電極205cを接地し、内部導体に接続された電極205bに+400Vの電圧を印加し、この状態を温度180℃で1時間保持する。こうして得られた複合圧電体は、約68%の電気機械結合係数を備えている。
【0102】
図17に示すように、上面の電極205a上に音響整合層201を設け、下面の電極205cにはバッキング材203設ける。音響整合層201は、樹脂にセラミックス・フィラーを混入させ、一体化したものであり、バッキング材203は、鉄粉を分散させたゴムである。上面の電極205aおよび下面の電極205cを接地し、内部導体に接続された電極205bを駆動電極として送受信回路206と接続する。送受信回路206との接続には、ポリイミド樹脂上に金からなる配線パターンが設けられたフラットパネル用ケーブルを用い、金の配線パターンに沿ってダイシング加工により、音響整合層201および複合圧電体200を完全に切断する。バッキング材203は切断せずに残しておく。切断した溝には、シリコンゴムを充填する。
【0103】
このとき、切り溝の幅は0.03mmであり、各素子の幅は0.2mmとなる。
【0104】
各素子の電気インピーダンスを測定したところ、内部導体を設けない超音波探触子の複合圧電体に比べて、約1/4の値が得られた。これは、複合圧電体の厚み方向の中心付近に内部導体を設けることによって、もとの複合圧電体に比べて、厚みが半分の複合圧電体が並列に接続されたことと等価となり、複合圧電体の容量が4倍になるからである。
【0105】
図17に示す超音波探触子204を送受信回路206によって駆動させ、送受信効率を確認したところ、内部導体を設けない複合圧電体を含む超音波探触子と比較して、約6dB程度の感度向上が確認できた。
【0106】
(第8の実施形態)
本実施形態では、実施形態11の超音波探触子204を図18に示すように超音波診断装置本体117に接続する。超音波診断装置本体117は、図18に示すように、超音波信号を超音波探触子に放射させるための電圧信号を送り出す送信部118と、超音波探触子から出力される電圧信号を受け取る受信部119と、超音波信号の送受信に関する種々の制御を行うシステムコントロール部120と、得られた超音波信号に基づいて画像を形成する画像構成部121と、画像構成部121から出力された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部122を備えている。超音波診断装置本体117の各部には、公知の構成を採用することができる。
【0107】
図18の超音波診断装置を用いて人体の画像化を行えば、広帯域化・高感度化された超音波探触子の有利な効果により、深部までの画像を鮮明に高い分解能で観察することが可能となり、高精度な診断が可能となる。
【0108】
【発明の効果】
本発明の複合圧電体によれば、複数の柱状圧電体を横切る内部導体が設けられているため,各柱状圧電体は、内部導体を挟んだ2つの柱状圧電体の積層構造を備える。このため、内部導体と外部回路とを接続することによって、電気インピーダンスを低減し、超音波の送受信感度を向上することができる。
【0109】
また、複合圧電体は、柱状圧電体と内部導体とが樹脂層上に配置された単位複合シートを積層し、一体化することにより作製される。樹脂層により、柱状圧電体および内部導体の配置関係は固定されているため、積層および一体化する際にこれらの配置が変わる恐れはない。言い換えれば、破損しやすい細線状の柱状圧電体や内部導体をハンドリングする必要がなく、また、多数の柱状圧電体および内部導体を配置させる必要がない。しかも、たとえば、そのような柱状圧電体と内部導体とが樹脂層上に配置された単位複合シートはサンドブラスト加工によって、安価にかつ短い時間で作製することが可能である。したがって、簡便な方法により、低コストで複合圧電体を製造することができる。
【0110】
また、内部導体を含む複合圧電体を個別に作製するのではなく、複数層の内部導体を含む複合圧電体のブロックとして製造することができるので、ブロック状の複合圧電体を所定の位置で切断することによって、短時間でかつ低いコストで複数の複合圧電体を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、本発明の複合圧電体の第1の実施形態において、複合板を準備する工程の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の複合板に樹脂シートを貼付した状態を示す斜視図である。
【図3】図2に複合板にマスクパターンを形成した状態を示す斜視図である。
【図4】(a)および(b)は、マスクパターンを用いて図3の複合板を加工し、単位複合シートを形成する工程の一例を示す斜視図である。
【図5】図4の単位複合シートの断面図である。
【図6】柱状圧電体を得るための加工方向を示す斜視図である。
【図7】複合圧電体の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の複合圧電体の第2の実施形態において、複合板を準備する工程の一例を示す斜視図である。
【図9】図8の複合板にマスクパターンを形成した状態を示す斜視図である。
【図10】(a)および(b)は、柱状圧電体および内部導体を樹脂層に転写する工程の一例を示す斜視図である。
【図11】複合圧電体の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図12】(a)および(b)は、複合圧電体の第3の実施形態の製造工程の一例を示す斜視図である。
【図13】複合圧電体の第4の実施形態を示す斜視図である。
【図14】(a)および(b)は、本発明の複合圧電体の第5の実施形態において、複合板を準備する工程の一例を示す斜視図である。
【図15】本発明の複合圧電体の第6の実施形態において、単位複合シートの柱状圧電体の形状および配置の一例を示す斜視図である。
【図16】本発明の複合圧電体の第6の実施形態において、単位複合シートの柱状圧電体の形状および配置の他の一例を示す斜視図である。
【図17】本発明の超音波探触子およびその駆動回路を示す模式的断面図である。
【図18】本発明の超音波検査装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 圧電体
2 導電体
3 積層体
4、4’複合板
5、5’、5’’ 樹脂層
6 剥離フィルム
7 加工用マスク
8 内部導体
9、21 柱状圧電体
10 単位複合シート
11、 11’、11’’、12、200 複合圧電体
13 基板
14 粘着シート
20 樹脂接着シート
204 超音波探触子
117 超音波検査装置本体
206 送受信回路
Claims (23)
- 複数の柱状圧電体と、
前記複数の柱状圧電体の間に位置する樹脂層と、
前記複数の柱状圧電体を横切るように、前記複数の柱状圧電体の長手方向と交わる方向に伸びる少なくとも1つの内部導体と、
を有し、
前記複数の柱状圧電体は、前記柱状圧電体の長手方向に垂直な面に沿って二次元的に配列されることにより複数の列をなしており、前記柱状圧電体の列は、隣接する前記柱状圧電体の列から前記樹脂層によって隔離されており、
前記内部導体は前記柱状圧電体の列に沿って伸びている、複合圧電体。 - 前記柱状圧電体において、その長手方向に垂直な断面のサイズSに対する前記長手方向の長さLの比率が5以上である請求項1に記載の複合圧電体。
- 前記柱状圧電体の長手方向に垂直な断面の形状が台形である請求項1に記載の複合圧電体。
- 前記内部導体が前記複合圧電体の少なくとも1つの端面において露出している請求項1から3のいずれかに記載の複合圧電体。
- 前記内部導体を複数有し、前記複数の内部導体のそれぞれが前記柱状圧電体の各列に設けられている請求項4に記載の複合圧電体。
- 前記複数の内部導体が、前記柱状圧電体の各列に複数設けられている請求項5に記載の複合圧電体。
- 樹脂層と、前記樹脂層上に配列された複数の柱状圧電体と、前記複数の柱状圧電体を横切り、前記複数の柱状圧電体の長手方向と交わる方向に伸びるように前記樹脂層上に設けられた少なくとも1つの内部導体とを備えた単位複合シート。
- 請求項7に記載の単位複合シートが複数枚積層され、
前記柱状圧電体が、前記樹脂層によって挟まれることによって配置関係が固定された状態にある複合シート積層体。 - 請求項8に記載の複合シート積層体を、前記柱状圧電体の長手方向を横切るように切断することによって作製した複合圧電体。
- 前記柱状圧電体の周囲は樹脂で囲まれている請求項9に記載の複合圧電体。
- 前記樹脂は、単位複合シートの樹脂層の一部が流動し、硬化したものである請求項10に記載の複合圧電体。
- 請求項1から6および9から11のいずれかひとつに記載の複合圧電体を備えた超音波探触子。
- 請求項12に記載の超音波探触子を備えた超音波検査装置。
- (a)一方向に伸びる複数の圧電体および複数の導電体が交互に配置された複合板を樹脂層上に用意する工程と、
(b)前記複合板の前記圧電体に対し、前記圧電体の長手方向と交わる方向に伸びる複数の溝を形成することによって、複数の柱状圧電体と、前記複数の柱状圧電体を横切って伸びる複数の内部導体とを樹脂層上に形成する工程と、
を包含する単位複合シートの製造方法。 - (a)一方向に伸びる複数の圧電体および複数の導電体が交互に配置された複合板を粘着シートによって基板上に仮固定する工程と、
(b)前記板状圧電体の一部を除去することにより、複数の柱状圧電体と、前記複数の柱状圧電体を横切り、前記複数の柱状圧電体の長手方向と交わる方向に伸びる複数の内部導体とを形成する工程と、
(c)前記基板に仮固定された複数の柱状圧電体と前記複数の内部導体とを樹脂層に転写する工程と、
を包含する単位複合シートの製造方法。 - 前記複合板は、複数の圧電体と複数の導電体が交互に積層された積層体を積層方向と平行に切断して形成されたものである請求項14または15に記載の単位複合シートの製造方法。
- 前記複合板は、板状圧電体に複数の溝を形成し、前記溝に導電体を充填したものである請求14または15に記載の単位複合シートの製造方法。
- 前記工程(b)において、前記板状圧電体の複数の溝は、サンドブラスト加工によって形成する請求項14から17のいずれかに記載の単位複合シートの製造方法。
- 前記板状圧電体は焼結圧電セラミックスである請求項14から18のいずれかに記載の単位複合シートの製造方法。
- (a)請求項14から19のいずれかに記載の製造方法によって製造された複数枚の単位複合シートを用意する工程と、
(b)複数枚の前記単位複合シートを積層する工程と、
(c)積層した複数枚の前記単位複合シートを一体化する工程と、
を包含する複合圧電体の製造方法。 - 前記樹脂層は、液状樹脂の塗布によって形成されたものである請求項20に記載の複合圧電体の製造方法。
- 前記樹脂層は、半硬化樹脂シートである請求項20に記載の複合圧電体の製造方法。
- 前記一体化された複数枚の単位複合シートに対して、少なくとも1つの導電体を含むように切断を行う工程を更に包含する、請求項20から22のいずれかに記載の複合圧電体の製造方法。
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