JP4020621B2 - 欠陥検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査対象物の欠陥を検査する欠陥検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPパネルの前面板や背面板など、規則的なパターンの配列を持った検査体に対しては、各パターンで異常となっている部分を欠陥として検出するために、差分(画像)処理という方法が用いられている。この方法では、検査体上のパターンどうしの濃度差を取り、その濃度差がしきい値を超える部分を欠陥として検出する。
【0003】
簡単な例として直線状のパターンを考える。直線状パターンを持った検査体をモノクロCCDカメラで撮像して得た撮像画像を図6に示す。一定の直線状パターン30が一定間隔で並列に形成されているが、パターンの細り31、太り32、断線33、短絡34、飛び35、抜け36が存在している。説明を簡単にするために、撮像画像を8bit(256階調)の画像とし、網掛けの部分を濃度100、白い部分を濃度200の画像とする。
【0004】
この撮像画像に対して差分処理を行う。たとえば、注目画素について、それより一定距離離れた上下の2点の画素を比較対象としてそれぞれ濃度の差分をとり、絶対値の小さい方の差の値を採用する。この差分値が負の値とならないように、256階調の中間値である128を加算する。
【0005】
図7に、このような差分処理で得られる差分画像を示す。差分をとった結果として、濃度値が228の部分P11,128の部分P12,28の部分P13が表れる。
【0006】
濃度値が28の部分P13は、パターンが本来あるべき領域(以下、パターン領域という)の外側にはみ出してパターン材料が存在する部分、つまり、太り、短絡、飛びに該当する。濃度値が128の部分P12は、注目画素と2点の比較画素の3点がともにパターン領域内あるいはパターン領域外に存在したことを意味し、このことはさらに、注目画素が正常であるか、あるいは欠陥の大きさに対して比較画素との距離が短いことを意味する。後者の場合は欠陥を見逃す恐れがあるが、想定される欠陥の大きさを基に予め適切な距離を設定することで、見逃しを防止可能である。濃度値が228の部分P11は、パターン領域内にパターン材料が存在しない部分、つまり、細り、断線、抜けに該当する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の差分画像処理では、上記したようにして異常部分P11,P13を検出できるものの、差分処理を行ったことで情報が欠落してしまうため、欠陥の種類を判別することはできない。そのため、欠陥が存在することの重要度がその種類や場所によって異なる場合も、同一のしきい値を用いて異常部分P11,P13を欠陥判定せざるをえず、自動検査のみでは、欠陥とすべきでない異常部分まで欠陥として検出してしまう。
【0008】
本発明は上記問題を解決するもので、検査対象物に発生した異常の種類や場所を判別することができ、その異常の重要度を考慮して欠陥判定できる欠陥検査方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明は、隣り合う2本の平行な直線状パターンを一対とする一対パターンが複数形成された検査対象物の欠陥を検査するに際して、検査対象物を撮像して得られた濃淡データを差分処理して欠陥候補を抽出し、抽出した欠陥候補の欠陥種類及び位置を前記濃淡データから判別し、前記欠陥候補の位置が、一対パターンにおける2本のパターン間の場合は前記欠陥種類に基づく第1のしきい値で前記欠陥候補を欠陥として検出し、隣り合う2つの一対パターン間の場合は前記欠陥種類に基づく前記第1のしきい値と異なる第2のしきい値で前記欠陥候補を欠陥として検出することを特徴とする。これによれば、欠陥がその位置に存在した場合の重要度に応じたしきい値を設定し使用することができるので、検査対象物の完成までに解消できる欠陥候補や、検査対象物の完成後も支障のない欠陥候補まで欠陥と判定することなく、良否を検査できる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の欠陥検査方法において、検査対象物がプラズマディスプレイパネルであり、一対パターンが放電空間に放電を発生させる一対電極であることを特徴とするもので、プラズマディスプレイパネルとしての性質に直結したしきい値を設定し使用することができ
【0011】
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の欠陥検査方法において、隣り合う2つの一対電極間の第2のしきい値よりも、一対電極における2本の電極間の第1のしきい値を小さくすることを特徴とす
【0012】
請求項4記載の本発明は、請求項2または請求項3記載の欠陥検査方法において、隣り合う2つの一対電極間に、前記電極とは異なるパターンが形成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1は本発明の一実施形態におけるパターン検査装置の概略構成を示す。検査体1の搬入位置の上方と下方に、光源2と1次元CCDラインセンサ(撮像素子)3とが対向配置され、前記1次元CCDラインセンサ3に画像処理装置4が接続されている。画像処理装置4は記憶素子5,6,7,8を有しており、記憶素子8は、後述するS2以下の処理プログラム、および検査体1の寸法・形状を判断するためのパラメータ、予想される欠陥の種類および位置に対応するしきい値を格納している。
【0014】
図2は、上記した検査体1として検査可能な前面板9と背面板10とで構成されたPDPパネル11を示す。ただしここでは、前面板9を実際より90°回転させた向きで図示している。前面板9では、ガラス基板12上に、直線状のスキャン電極13とサスティン電極14とが交互にかつ並列に形成され、これらスキャン電極13,サスティン電極14の上にそれぞれ表示電極15が形成され、スキャン電極13,サスティン電極14の2電極を1組とする各組の間に、絶縁のためのブラックストライプ16が形成され、これらを覆うように、低融点ガラスからなる誘電体膜17と、MgOからなる保護膜18とが形成されている。スキャン電極13,サスティン電極14はそれぞれ、ITOまたはSnO2からなる透明電極であり、表示電極15は、銀電極(黒銀)19と銀電極(白銀)20とで構成されている。背面板10では、ガラス基板21上に、銀電極であるアドレス電極22、リブ下地23、隔壁としてのリブ24、蛍光体層25が形成されている。
【0015】
上記したパターン検査装置によるパターン欠陥検査方法を上記前面板9の銀電極(白銀)20を例に挙げて説明する。この銀電極20は、図3の平面図に示すように、スキャン電極13上の銀電極20Scan,サスティン電極14上の銀電極20Susの各一端部どうしが交互をなす配列である。ブラックストライプ16は図示したような位置にある。
【0016】
図4のフローチャートに示すように、S1の撮像工程で、検査体1である前面板9をパターン形成面を上向きにして搬送し、その下方から光源2の可視光を照射する状態において、1次元CCDラインセンサ3で検査体1を走査する。そして、ラインセンサ3で得た2次元の濃淡信号をデジタル信号として画像処理装置4に送信し、記憶素子5に、各画素の行と列に対応した形で、たとえば8bitの濃度データとして保存する。
【0017】
S2の欠陥候補検出工程において、S1で得た濃度データ、すなわち撮像画像に対して差分処理を行い、得られた差分画像を記憶素子6に保存するとともに、差分画像から同一濃度領域として表される欠陥候補(図7参照)を抽出し、抽出した欠陥候補の座標を記憶素子7に保存する。
【0018】
S3の欠陥形状・濃度判定工程において、S2で検出した欠陥候補について差分画像での形状や濃度から欠陥の種類を特定する。すなわち、欠陥候補の縦横のサイズが大きく異なる場合、あるいは欠陥候補の面積を欠陥候補に外接する矩形の面積で割った値が小さい場合は、繊維ごみが付着している確率が高く、濃度が薄い場合は、前面板9,背面板10が汚れているか、あるいは前面板9,背面板10の裏面にごみが付着していて、画像がぼけた状態になっている、などといった情報を得る。
【0019】
S4の周辺濃度判定工程において、記憶素子5に保存された濃度データを用いて欠陥の種類を判別する。
すなわち、欠陥候補が、パターンが存在すべきでない部分にあるのか(図7の28階調の部分P13:以降黒欠陥と呼ぶ)、あるいはパターンが存在すべき部分に欠けがあるのか(図7の228階調の部分P11:以降白欠陥と呼ぶ)、という情報を得る。
【0020】
また、たとえば図5(a) に示す差分画像の欠陥候補26について、図5(b) に示すような外接矩形27をパターン長手方向に2分割する中心線上であって、外接矩形27から左右に一定距離だけ離れた2点P1,P2を求め、各点P1,P2の画素の濃度を記憶素子5に保存された濃度データより検出する。このときの点P1,P2の座標は、先に記憶素子7に保存されたデータから計算によって求める。
【0021】
上記した2種類の情報の組み合わせにより、表1に示すように、欠陥種類を判別する。
【0022】
【表1】
Figure 0004020621
S5の欠陥位置判定工程において、欠陥候補がどの位置にあるかを判定する。これは、PDPパネル11においては、たとえば欠陥が放電面側(隣接する銀電極寄り;図2にAで示した領域)と絶縁面側(ブラックストライプ寄り;図2にBで示した領域)のいずれにあるかで、欠陥の重要性が大きく異なるからである。絶縁面側では、欠陥があっても電極間の絶縁さえ保てればよいのに対して、放電面側では、欠陥は電極間の放電状態に大きく影響し、ディスプレイパネルとしての品質に直結するため、より厳しく検出する必要がある。
【0023】
そのために、記憶素子5に保存された濃度データを参照して、スキャン電極13上の銀電極20とサスティン電極14上の銀電極20とがそれぞれ単独で並んでいる領域(図3に仮想線で示した領域)を、配列方向に沿って横方向にサーチし、サーチにより検出した各銀電極20の座標と先にS2で検出した欠陥候補の座標とから、欠陥候補が放電面側にあるか絶縁面側にあるかを判断する。
【0024】
たとえば図3の仮想線領域A1をサーチする場合、サーチ結果から各銀電極20Scanの座標を検出し、各銀電極20Scanの座標について、ブラックストライプ16が存在するのが右側であるか左側であるか(ここでは右側)と、放電面をはさんだ銀電極20間の距離Aとを予め記憶した記憶内容から抽出して記憶素子8に記憶させ、このような情報を付随させた各銀電極20Scanの座標と先にS2で検出した欠陥候補の座標とから、欠陥候補が放電面側にあるか絶縁面側にあるかを判断する。
【0025】
S6の欠陥判定工程において、各欠陥候補について、S4で判定した欠陥種類とS5で判断した位置結果とに見合う「しきい値」を選択し、選択した「しきい値」を用いて、欠陥候補を欠陥とするかの最終判定を行う。
【0026】
このようにして欠陥種類を検出して検査することにより、検査体1の良否を自動的に正確に判定することができる。検出した欠陥種類によってその発生源となる前工程を推定することによって、不良の生産を早期に停止することもできる。
【0027】
なお、上記した実施の形態では銀電極20の検査について説明したが、同様にして、銀電極20形成前の銀電極19やブラックストライプ16を検査することもできる。光源2を同軸落射照明に変更すれば、透明電極の検査も同様に行なえる。LCDを構成するパネルに形成されたパターンも、同様に検査可能である。
【0028】
また、上記した実施の形態では、予想される欠陥の種類および位置に対応するしきい値を予め格納したが、欠陥種類ごとのしきい値と、欠陥位置に応じて加減する補正値とを記憶しておき、必要に応じてしきい値を算出するようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、差分画像より欠陥候補を抽出してその欠陥種類及び位置を判別し、欠陥種類に基づく位置ごとのしきい値を用いて欠陥とするか否か判定するようにしたことにより、支障とならない欠陥候補まで欠陥とすることなく、検査対象物の良否を正確に判定することが可能になった。また、判別した欠陥種類からその発生源となる前工程を推定すると、不良の生産を早期に停止することもできる。したがって、自動検査のみで検査体の良否を正確に判定することが可能になり、人による再検査を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるパターン検査装置の概略構成図
【図2】本発明のパターン欠陥検査方法で検査可能な前面板と背面板とを持ったPDPパネルの断面図
【図3】図2の前面板上の銀電極の配列図
【図4】本発明のパターン欠陥検査方法のフローチャート
【図5】本発明のパターン欠陥検査方法により抽出した欠陥候補の欠陥種類判別方法に用いる(a) 差分画像、および(b) 撮像画像
【図6】従来よりパターン欠陥検査方法において用いられている撮像画像
【図7】従来よりパターン欠陥検査方法において用いられている差分画像
【符号の説明】
3 CCDラインセンサ
4 画像処理装置
9 前面板
10 背面板
11 PDPパネル
20 銀電極
26 欠陥候補

Claims (4)

  1. 隣り合う2本の平行な直線状パターンを一対とする一対パターンが複数形成された検査対象物の欠陥を検査するに際して、検査対象物を撮像して得られた濃淡データを差分処理して欠陥候補を抽出し、抽出した欠陥候補の欠陥種類及び位置を前記濃淡データから判別し、前記欠陥候補の位置が、一対パターンにおける2本のパターン間の場合は前記欠陥種類に基づく第1のしきい値で前記欠陥候補を欠陥として検出し、隣り合う2つの一対パターン間の場合は前記欠陥種類に基づく前記第1のしきい値と異なる第2のしきい値で前記欠陥候補を欠陥として検出することを特徴とする欠陥検査方法。
  2. 検査対象物がプラズマディスプレイパネルであり、一対パターンが放電空間に放電を発生させる一対電極であることを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
  3. 隣り合う2つの一対電極間の第2のしきい値よりも、一対電極における2本の電極間の第1のしきい値を小さくすることを特徴とする請求項2記載の欠陥検査方法。
  4. 隣り合う2つの一対電極間に、前記電極とは異なるパターンが形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の欠陥検査方法。
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