JP4019844B2 - 内燃機関の潤滑装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の各部位に異なる粘度の潤滑油を給油系を通じて供給する内燃機関の潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関では、その摺動部位等、必要な部位に潤滑油を供給することにより、同部位におけるフリクションや摩耗の低減を図るようにしている。ここで、こうした潤滑油は、それが供給される潤滑部位に発生する荷重や摺動速度、温度等々に応じてその最適な粘度が異なるものとなる。しかしながら、一般の内燃機関にあっては、何れの潤滑部位においても焼き付き等、機関運転に際して重大な問題が生じないように定めた一定の粘度を有する潤滑油を採用するようにしている。但し、このように全ての潤滑部位に対して同一粘度の潤滑油を供給するようにした場合、本来、低粘度の潤滑油であっても良好な潤滑特性が維持できる部位に対しても高粘度の潤滑油が供給されるようになるため、それに起因するフリクションの増大が避けきれないものとなる。
【0003】
また、内燃機関において潤滑油はその本来の目的、即ち潤滑機能以外にも、例えば内燃機関の各種アクチュエータに作動油圧を供給する作動油としての機能も併せ持つ場合もある。このように潤滑油を作動油として動作するアクチュエータの代表例としては、近年、多くの内燃機関に搭載されるようになった可変動弁機構をあげることができる。従って、潤滑油の供給を通じてこうしたアクチュエータにおいて適切な作動油圧を発生させることまで配慮とするとなると、潤滑油の粘度を設定する際にはその選択範囲が制限されてしまうようになる。
【0004】
これに対し、実開平4−111505号公報には、粘度の異なる潤滑油を供給する給油機構を独立に備え、各潤滑部位やアクチュエータに対して異なる粘度の潤滑油を供給するようにした潤滑装置が提案されている。
【0005】
例えば、上記公報に記載の装置では、低粘度の潤滑油を供給する給油機構を可変動弁機構の近傍に配設し、同給油機構から低粘度の潤滑油を動弁系潤滑部位及び可変動弁機構に供給する一方、クランク軸やコネクティングロッドの軸受等、その他の部位には高粘度の潤滑油を別の給油機構から供給するようにしている。
【0006】
同装置によれば、可変動弁機構に給油する給油機構を同可変動弁機構の近傍に配設するとともに、供給する潤滑油の粘度を相対的に低く設定するようにしている。このため、例えば機関始動時であっても、可変動弁機構に対して潤滑油を速やかに供給して、同機構を機関始動時に適した作動状態に極力早く移行させることができるとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、可変動弁機構等のアクチュエータにあっては、通常その可動部位にシール部材等を設けるなどして潤滑油(この場合、正確には作動油)の漏出を抑制するようにしているものの、その作動圧が高圧になる場合などにおいては潤滑油の漏出が避けきれない状況にある。特に、上記従来の装置のように、低粘度の潤滑油を使用した場合には、高粘度の潤滑油を使用する場合と比較してこうした漏出量が増大する傾向にある。このため、機関始動後における通常運転時におけるアクチュエータの制御応答性についてその低下が懸念される。即ち、上記装置にあっては、機関始動時における給油は確かに早められるものの、その後の通常運転時において作動油の漏出量の増大が無視できないため、アクチュエータの制御応答性確保についてはなお改良の余地を残すものとなっていた。
【0008】
また、動弁系潤滑部位、特にカムとバルブリフタとの間の接触部位についてみると、弁を開閉駆動する際に作用するバルブスプリングの反力の影響のために、これら両者の接触時における接触圧は比較的大きなものとなる。しかも、一般の軸受等における潤滑形態とは異なり、このカムとバルブリフタでは、カムノーズとバルブリフタの頂面とが接触・非接触を間欠的に繰り繰り返されるために、これら両者の間のクリアランスが大きく変動して油膜が切れ易い状況にある。従って、潤滑油の粘度が低くなると、これら接触部位から潤滑油が流れ落ちることにより、部分的に油膜が途切れて金属同士が直接接触する、いわゆる境界潤滑状態や、最悪の場合には無潤滑状態になり易い傾向がある。このため、これに起因する焼き付きが発生する等、良好な潤滑特性を維持できなくなるおそれがある。
【0009】
この発明は、こうした従来の技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑油の油圧に基づいて作動するアクチュエータの制御応答性についてその低下を抑えつつ、動弁系潤滑部位において良好な潤滑特性を維持し、更に潤滑部位全体におけるフリクションの増大を極力抑制することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための構成及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1記載の発明では、異なる粘度の潤滑油を給油系を通じて内燃機関の各部位に供給する内燃機関の潤滑装置において、前記給油系は相対的に粘度の低い潤滑油を前記機関クランク軸系の潤滑部位と機関ピストン系の潤滑部位とに供給する第1の給油機構と、該第1の給油機構とは独立に設けられ、前記低粘度の潤滑油よりも粘度の高い潤滑油を前記動弁系潤滑部位と潤滑油の油圧に基づき作動するアクチュエータに対して供給する第2の給油機構とを備え、前記第1の給油機構は前記機関クランク軸系及び機関ピストン系の各潤滑部位に対して更に粘度の異なる潤滑油を供給可能であり、前記機関クランク軸系の潤滑部位に対しては前記低粘度の潤滑油のうち相対的に粘度の低い潤滑油を供給する一方、前記機関ピストン系の潤滑部位に対しては前記低粘度の潤滑油のうち相対的に粘度の高い潤滑油を供給するようにしている。
【0011】
同構成によれば、動弁系潤滑部位とアクチュエータに対して第2の給油機構からは高粘度の潤滑油が供給される。動弁系潤滑部位では、例えばカムとバルブリフタとの間等、被潤滑部材間の接触圧が比較的大きく、しかも接触状態と非接触状態とが繰り返されてそれらのクリアランスが大きく変動するため、境界潤滑状態や無潤滑状態になり易い傾向にある。しかしながら、こうした傾向を有する動弁系潤滑部位にあっても、高粘度の潤滑油を供給することにより、これら接触部位から潤滑油が流れ落ちるのを抑制し、適切な膜厚を有した油膜をそれら被潤滑部材間に形成してそのフリクションを低下させることができるようになる。
【0012】
また、アクチュエータについては、こうした高粘度の潤滑油を供給することにより可動部位における潤滑油の漏出を抑えることができ、その作動圧が高圧になっても、制御応答性の低下を抑制することができるようになる。
【0013】
更に、こうした高粘度の潤滑油を供給することにより、機関停止期間中におけるアクチュエータ内部からの潤滑油の漏出についても併せて抑制されるようになるため、機関再始動時においてアクチュエータ内部により多くの潤滑油を残留させておくことが可能になる。従って、機関始動時にアクチュエータに供給すべき潤滑油を少なくすることができ、機関始動時の作動性についてもその低下を極力抑えることができるようになる。
【0014】
一方、機関クランク軸系の潤滑部位や機関ピストン系の潤滑部位は、被潤滑部材間の接触圧やクリアランスが略一定に維持されているため、動弁系潤滑部位と比較して流体潤滑状態が比較的維持されやすい傾向になる。こうした傾向にある機関クランク軸系の潤滑部位や機関ピストン系の潤滑部位に対しては、それに合わせて第1の給油機構から低粘度の潤滑油が供給されるため、これら各潤滑部位については、焼き付き等の潤滑不良を発生させることなく、そのフリクションの大幅な低下を図ることができるようになる。
機関ピストン系潤滑部位で被潤滑部材同士の接触圧が最も大きくなるのは、ピストンリング外周面とシリンダ内壁面との接触部位であるため、機関ピストン系潤滑部位に関しては、この接触部位において良好な潤滑特性が得られるように潤滑油の粘度を設定するのが望ましい。ここで、こうしたピストンリング外周面及びシリンダ内壁面と潤滑油の粘度についてみると、潤滑油の粘度がある程度高く、これら接触面間の潤滑状態が流体潤滑状態に維持されている場合には、潤滑油の粘度を低下させるほど、これら接触部位におけるフリクションは減少する傾向にある。即ち、こうした流体潤滑状態にある場合には、フリクションの大きさは油膜のせん断力に略比例し、更にこのせん断力は潤滑油の粘度に比例する関係を有しているためである。尚、流体潤滑状態とは、両接触面(ここではピストンリング外周面及びシリンダ内壁面)の間に油膜が全体にわたって形成されることにより、これら接触面が直接接触することなく、それらの間に金属接触が殆ど存在していない状態をいう。
こうした状態から潤滑油の粘度を更に低下させていくと、これら接触面の間に形成される油膜の厚さが減少し、それに伴って潤滑状態は流体潤滑状態から徐々に境界潤滑状態に移行するようになる。こうした境界潤滑状態では、両接触面の間に油膜が形成されるものの、それら接触面の一部は金属接触するようになる。このように両接触面の潤滑状態が境界潤滑状態に移行すると、潤滑油の粘度低下に応じて両接触面のうち金属接触する部分の割合が増大するようになるため、これに伴ってフリクションは増大し、また焼き付き等、潤滑不良の発生する可能性も高くなる。
従って、機関ピストン系の潤滑部位にあっては、潤滑油の粘度を極端に低下させることは、そのフリクションを最小とし、且つ、良好な潤滑特性を維持するうえでは好ましくない。
他方、機関クランク軸系潤滑部位についてみると、その潤滑が必要な部位の殆どが軸と軸受(例えば、クランク軸とそれを支持する軸受、或いはクランク軸の偏心軸部とコネクティングロッドの軸受)との間の摺動部分である。そして、これらは摺動部分は通常、軸受に対して軸が相対回転するのに伴って発生する動圧により、軸受から軸の外周面が離間した状態となる。即ち、これら軸と軸受との間はこうした動圧の作用により、軸と軸受との相対回転速度が極めて低速である場合除けば流体潤滑状態にあるといえる。従って、こうした流体潤滑状態にある機関クランク軸系潤滑部位では、潤滑油の粘度が低くなるほど、同部位に生じる油膜のせん断力は減少し、それに伴ってフリクションは減少するようになる。
請求項1記載の発明はこうした点をも考慮したものであり、機関ピストン系潤滑部位に対しては低粘度の潤滑油のうち相対的に粘度の高い潤滑油を供給する一方、機関クランク軸系潤滑部位に対しては低粘度の潤滑油のうち相対的に粘度の低い潤滑油を供給するようにしている。こうした構成により、これら各潤滑部位に対してフリクションの低減及び良好な潤滑特性を維持する上でより適した粘度の潤滑油を供給することができ、潤滑部位全体のフリクションについても一層好適にその低減を図ることができるようになる。尚、上記構成にあっては、機関ピストン系潤滑部位に供給される相対的に粘度の高い潤滑油を貯留する貯留部と、機関クランク軸系潤滑部位に対して供給される相対的に粘度の低い潤滑油を貯留する貯留部とを各別に備えるようにするのがこれら粘度の異なる潤滑油の分離を確実にする上では望ましい。
【0015】
従って、請求項1記載の上記構成によれば、潤滑油の油圧に基づいて作動するアクチュエータの制御応答性についてその低下を抑えつつ、動弁系潤滑部位において良好な潤滑特性を維持し、更に潤滑部位全体におけるフリクションの増大を極力抑制することができるようになる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の潤滑装置において、前記第1の給油機構は低粘度の潤滑油を貯留する貯留部を、前記第2の給油機構は高粘度の潤滑油を貯留する貯留部をそれぞれ各別に備えるようにしている。
【0017】
同構成によれば、低粘度潤滑油用の貯留部と高粘度潤滑油用の貯留部を各別に備えるようにしているため、これら粘度の異なる潤滑油を分離して貯留することができる。従って、それら粘度の異なる潤滑油の混合を抑制することにより、粘度の異なる潤滑油の使用をその前提とする請求項1記載の発明による作用効果を一層確実に奏することができるようになる。
【0024】
請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の内燃機関の潤滑装置において、前記第2の給油機構は電動式潤滑油ポンプを備え、同電動式潤滑油ポンプを通じて前記動弁系潤滑部位及び前記アクチュエータに対して高粘度の潤滑油を供給するものであるとしている。
【0025】
内燃機関のクランク軸に駆動連結され、同クランク軸によって駆動される、いわゆる機械式潤滑油ポンプにあっては、機関始動時等、機関回転速度が極めて低いときには、その吐出量が少なくなるため、アクチュエータに対して十分な量の潤滑油を供給することが困難になる。また、機関式潤滑油ポンプにおいて、機関回転速度が極めて低いときであっても十分な吐出量を確保しようとすれば、必然的にその大型化を招くこととなり、ひいては内燃機関における駆動抵抗の増大を招くこととなる。また、動弁系潤滑部位についても、こうした機関始動時にあっては油膜切れの状態になっている可能性が高いため、潤滑油を極力速やかに供給してこれを解消する必要がある。
【0026】
この点、請求項記載の構成では、こうしたアクチュエータや動弁系潤滑部位に対しては電動式潤滑油ポンプから潤滑油を供給するようにしているため、機関回転速度に関わらず、これら各部位に対して速やかに潤滑油を供給することができる。従って、機関始動時等、機関回転速度が極めて低いときであっても、アクチュエータの作動性及び動弁系潤滑部位の良好な潤滑特性を確保することができるようになる。
【0027】
請求項記載の発明は、請求項記載の内燃機関の潤滑装置において、機関回転速度を検出する検出手段と、前記検出される機関回転速度が低回転域にあるときには電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を高く設定する一方、同機関回転速度が高回転域にあるときには前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を低く設定する油圧制御手段とを更に備えるようにしている。
請求項5記載の発明は、異なる粘度の潤滑油を給油系を通じて内燃機関の各部位に供給する内燃機関の潤滑装置において、前記給油系は相対的に粘度の低い潤滑油を前記機関クランク軸系の潤滑部位と機関ピストン系の潤滑部位とに供給する第1の給油機構と、該第1の給油機構とは独立に設けられ、前記低粘度の潤滑油よりも粘度の高い潤滑油を前記動弁系潤滑部位と潤滑油の油圧に基づき作動するアクチュエータに対して供給する電動式潤滑油ポンプが設けられた第2の給油機構と、機関回転速度を検出する検出手段と、前記検出される機関回転速度が低回転域にあるときには前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を高く設定する一方、同機関回転速度が高回転域にあるときには前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を低く設定する油圧制御手段とを備えるようにしている。
【0028】
また、請求項6記載の発明は、請求項3乃至のいずれかに記載の内燃機関の潤滑装置において、機関始動からの経過時間が短いときほど前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を高く設定する油圧制御手段とを更に備えるようにしている。
【0029】
上述したように、機関停止中にはアクチュエータの内部から潤滑油が徐々に漏出するため、機関始動時においては、同アクチュエータの内部が潤滑油によって満たされていない状態になっていることが多い。また、動弁系潤滑部位についても、機関停止中においてこれら潤滑部位から潤滑油が流れ落ちることにより、機関始動時に油膜切れの状態になっている可能性が高い。従って、こうした機関始動時やその直後の機関回転速度が極めて低いときには、アクチュエータや動弁系潤滑部位に対する潤滑油の吐出油圧を増大させて、これらに極力多くの潤滑油を供給するのが望ましい。これに対して、機関始動時から所定時間経過した場合には、それまでの潤滑油の供給を通じて、アクチュエータの内部は潤滑油により満たされて作動可能な状態となり、また動弁系潤滑部位についても油膜がある程度形成された状態になるため、それに伴って供給すべき潤滑油の量は減少するようになる。
【0030】
この点を考慮し、請求項4又は5記載の構成では、機関回転速度が低いときには高いときと比較して電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を高く設定するようにしている。
また、請求項6記載の構成では、機関始動からの経過時間が短いときほど電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を高く設定するようにしている。
【0031】
従って、これら請求項4乃至のいずれかに記載の構成によれば、機関始動時等、機関回転速度が低いときには十分な量の潤滑油がアクチュエータや動弁系潤滑部位に供給されるようになり、アクチュエータの作動性及び動弁系潤滑部位の潤滑特性をいずれも良好なものに維持することができる。一方、機関始動時から所定時間が経過して機関回転速度が上昇したときには、電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を低下させることにより、不必要な潤滑油の供給がなされることによる燃費の悪化を抑えることができるようになる。
【0032】
特に請求項4又は5記載の構成に対して更に請求項6に記載の構成を採用することにより、アクチュエータの作動性低下や動弁系潤滑部位の潤滑特性悪化が特に懸念される機関始動時の低速回転域においても、適切な吐出圧をもってこれら各部位において必要とされる量の潤滑油を供給することができるようになる。従って、上述したようなアクチュエータの作動性低下や動弁系潤滑部位の潤滑特性悪化を極力抑制することができるようになる。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の内燃機関の潤滑装置において、前記油圧制御手段は前記機関始動が検出されてからの経過時間が長くなるほど前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を徐々に減少させるものであるとしている。
【0034】
機関始動初期においてはアクチュエータ及び動弁系潤滑部位に対して多量の潤滑油を供給する必要があるが、その後、こうした潤滑油の供給が継続されると、アクチュエータの内部は潤滑油によって徐々に満たされて作動可能な状態になり、また動弁系潤滑部位に形成される油膜も徐々に安定して所定の潤滑作用を奏するようになる。従って、始動後の経過時間が長くなるほど、これらアクチュエータや動弁系潤滑部位において必要とされる潤滑油の量は減少する。
【0035】
請求項7記載の発明は、この点を考慮したものであり、これらアクチュエータや動弁系潤滑部位において必要とされる潤滑油をより適切な吐出圧をもって供給することができ、請求項6記載の発明の作用効果を一層効果的に奏することができるようになる。
【0036】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の内燃機関の潤滑装置において、前記第1の給油機構及び前記第2の給油機構の少なくとも一方の給油能力についてその低下を異常として検出する異常検出手段と、前記異常検出手段により前記第1及び第2の給油機構のうち一方の給油機構の異常が検出されるとき、同一方の給油機構に対して他方の給油機構から潤滑油を供給する補助給油機構とを更に備えるようにしている。
【0037】
同構成によれば、第2の給油機構の給油能力が低下したときであっても、その低下分の一部を第1の給油機構からの潤滑油の供給によって補うことができ、こうした第2の給油機構の異常に対処することができるようになる。
【0038】
また、こうした請求項8記載の発明のより具体的な構成としては、請求項9記載の発明によるように、前記第1の給油機構は内燃機関のクランク軸に駆動連結されて駆動力を得る機械式潤滑油ポンプを備える一方、前記第2の給油機構は電動式潤滑油ポンプを備え、前記異常検出手段は前記第2の給油機構の異常を検出するものであり、前記補助給油機構は前記第1の給油機構の機械式潤滑油ポンプから潤滑油が吐出される通路と第2の給油機構の電動式潤滑油ポンプから潤滑油が吐出される通路又は同電動式潤滑油ポンプが潤滑油を吸引する通路とを接続する接続通路と、該接続通路に設けられて同接続通路を開放・遮断する弁と、前記異常検出手段により異常が検出されるときに前記弁を開放駆動して前記接続通路を開放する弁制御手段とを備える、といった構成を採用することができる。
【0039】
一般に、電動式潤滑油ポンプは、その吐出油圧を比較的大きな自由度をもって容易に変更することが可能である反面、内燃機関のクランク軸により駆動される機械式潤滑油ポンプと比較すると、例えば内燃機関の振動や機関熱に起因する駆動回路や駆動部分の損傷が発生し易い等の点を考慮すると、その信頼性が若干低いことは否めない。
【0040】
この点、上記構成では、アクチュエータに潤滑油を供給するポンプを電動式潤滑油ポンプとしているため、例えばアクチュエータの作動状態に応じてその吐出油圧を変更するなど比較的高い自由度をもって潤滑油の供給制御を行うことができるようになる。しかも、仮にこの電動式潤滑油ポンプの故障が生じた場合であっても、第1の給油機構から第2の給油機構に潤滑油を供給する補助給油機構を備えているため、より信頼性の高い機械式潤滑油ポンプによって電動式潤滑油ポンプの一部の機能を代用することができる。
【0041】
従って、例えば車載内燃機関の潤滑装置などのように、温度変化や振動等々、極めて過酷な状況のもとで使用される潤滑装置であっても、アクチュエータに対して潤滑油を供給するに際しその供給制御を比較的高い自由度をもって行うことが可能になるとともに、潤滑油供給にかかる装置全体の信頼性についてもその向上を図ることができるようになる。
【0042】
更に、請求項10記載の発明によるように、請求項1乃至9のいずれかに記載の内燃機関の潤滑装置において、上記アクチュエータとしてこれを内燃機関の可変動弁機構とする、といった構成を採用することができる。こうした可変動弁機構は一般にその作動圧が比較的高く、また機関停止中におけるその内部からの潤滑油の漏出も無視できない傾向にある。このため、上記アクチュエータとしてこうした可変動弁機構を採用することにより、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明による作用効果を一層顕著なものとすることができる。尚、ここでいう「可変動弁機構」には、吸気弁や排気弁の開閉タイミングを変更するものの他、弁リフト量を変更するもの、或いはこれら双方の機能を併せ有するものを含む。
【0043】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について図1を参照して説明する。
【0044】
図1は本実施形態にかかる内燃機関の潤滑装置についてその構成を概略的に示している。また、図2は、この潤滑装置の各部分をその機能に基づき分割して示すブロック図である。
【0045】
図2に示されるように、この潤滑装置は、大きくは、第1の給油機構10と、この第1の給油機構10とは独立に設けられた第2の給油機構20とによってその給油系が構成されている。そして、機関クランク軸系潤滑部位A1及び機関ピストン系潤滑部位A2に対しては第1の給油機構10から潤滑油が供給され、動弁系潤滑部位B1及び可変動弁機構B2に対しては第2の給油機構20から潤滑油が供給される。
【0046】
また、本実施形態にかかる潤滑装置では、第1及び第2の給油機構10,20を通じて各部位に供給される潤滑油の粘度について以下の式(1)に示される関係が設定されている。
【0047】
μ1<μ2 ・・・(1)
μ1:第1の給油機構10の潤滑油粘度
μ2:第2の給油機構20の潤滑油粘度
尚ここで、第1の給油機構10の潤滑油粘度μ1は、同潤滑油が供給される機関クランク軸系潤滑部位A1及び機関ピストン系潤滑部位A2において焼き付き等の問題がなく、且つ、潤滑部分におけるフリクションが最小になる値に設定されている。一方、第2の給油機構20の潤滑油粘度μ2については、同潤滑油が供給される動弁系潤滑部位B1において焼き付き等の問題がなく、且つ、後述する可変動弁機構34において良好な制御応答性が確保できることを条件として、動弁系潤滑部位B1でのフリクションが最も小さくなる値に設定されている。
【0048】
このように低粘度の潤滑油が使用される第1の給油機構10は、図1に示されるように、内燃機関1のクランクケース9bの下部に形成された第1のオイルパン11(低粘度潤滑油用の貯留部)と、この第1のオイルパン11内の潤滑油を吸引し所定圧をもって吐出する機械式潤滑油ポンプ12とを備えている。
【0049】
機械式潤滑油ポンプ12は、一般に広く用いられているトロコイド式のポンプであり、その入力軸(図示略)がクランク軸2の端部に設けられたクランクプーリ3にベルト等(図示略)を介して駆動連結されている。このため、この機械式潤滑油ポンプ12は、クランク軸2の時間当たりの回転数、即ち機関回転速度が高いときほど、その吐出圧が高くなり、また吐出量も多くなる特性を有している。
【0050】
機械式潤滑油ポンプ12には、第1のオイルパン11に潤滑油をリリーフするリリーフ弁17(図2参照)が接続されている。従って、機械式潤滑油ポンプ12の吐出圧が、機関回転速度の上昇や冷間時における潤滑油の粘度上昇に伴って同リリーフ弁17のリリーフ圧を上回った場合には、同リリーフ弁17が開弁してその吐出圧が強制的に低下させられる。その結果、機械式潤滑油ポンプ12による不必要な潤滑油の供給、ひいてはそれに起因する動力損失や、過大な負荷が入力されることによる機械式潤滑油ポンプ12の損傷等が抑制されるようになる。
【0051】
機械式潤滑油ポンプ12から吐出された潤滑油の一部は、クランク軸2内に形成された油通路13を通じて、機関クランク軸系潤滑部位A1(図2参照)、即ちクランク軸2を支持する軸受(図示略)や、同クランク軸2の偏心軸部を支持する軸受(いずれも図示略)等に供給される。より詳細には、クランク軸2のジャーナルや上記偏心軸部には上記油通路13と連通する油孔(図示略)が形成されており、これら各油孔から潤滑油が供給される。そして、このようにして供給された潤滑油は各軸部と軸受との間の潤滑に供されるようになる。
【0052】
その他、機械式潤滑油ポンプ12から吐出された潤滑油は、吐出通路15を通じてシリンダ5の下端部に形成された一対のオイルジェット機構14に供給され、同オイルジェット機構14から機関ピストン系潤滑部位A2(図2参照)に供給される。即ち、潤滑油は機関ピストン4の下部及びシリンダ5内壁面に向けてオイルジェット機構14から噴射供給される。そして、このようにして供給された潤滑油は、機関ピストン4やシリンダ5の冷却するとともに、ピストンリング6の外周面とシリンダ5の内壁面との間の潤滑に供されるようになる。
【0053】
このようにして機械式潤滑油ポンプ12から機関クランク軸系潤滑部位A1や機関ピストン系潤滑部位A2に供給された潤滑油は、クランクケース9bの下方に徐々に流れ落ちて第1のオイルパン11に戻される。尚、機関クランク軸系潤滑部位A1においては、その潤滑油の消費量が極めて少なく、また過剰な潤滑油が供給されることも殆どない。従って、このように機械式潤滑油ポンプ12から吐出されて各潤滑部位A1,A2に供給された潤滑油のうち、再び第1のオイルパン11に戻されるものの大部分は、機関ピストン系潤滑部位A2に供給されて機関ピストン4やシリンダ5から流れ落ちた潤滑油によって占められている。
【0054】
こうした第1の給油機構10に対して、第2の給油機構20は、内燃機関1に隣接する自動変速機7の下部に形成された第2のオイルパン21(高粘度潤滑油用の貯留部)と、この第2のオイルパン21内の潤滑油を吸引し所定圧をもって吐出する電動式潤滑油ポンプ22とを備えている。尚、図1では説明の便宜上、この電動式潤滑油ポンプ22がシリンダヘッド8と離間して示されているが、同電動式潤滑油ポンプ22は実際にはシリンダヘッド8上に取り付けられている。このように、電動式潤滑油ポンプ22をその潤滑対象となる部位A1,A2の近傍に配設することにより、そのポンプ容量や電気的負荷が極力抑えられるようになる。
【0055】
また、この電動式潤滑油ポンプ22は、内燃機関1の各種制御を実行する電子制御装置40を通じてその軸トルク(或いは軸回転速度)が調節されることにより、その吐出圧が制御される。電子制御装置40には、機関回転速度センサ51、吸入空気量センサ52、第2のオイルパン21内に貯留される潤滑油の温度を検出する油温センサ53をはじめとする各種センサが接続されている。電子制御装置40はこれら各種センサ51〜53の検出結果を取り込み、同検出結果に基づいて電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧を制御する。
【0056】
尚、電動式潤滑油ポンプ22には、第2のオイルパン21に潤滑油をリリーフするリリーフ弁27が接続されている。上述したように、電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧は基本的に電子制御装置40を通じて制御されているが、これが何らかの理由により過度に上昇してリリーフ弁27のリリーフ圧を上回った場合には、同リリーフ弁27が開弁してその吐出圧が強制的に低下させられる。その結果、電動式潤滑油ポンプ22に対する過大負荷の入力、ひいてはそれに伴う電動式潤滑油ポンプ22の駆動系部材等における損傷が抑制される。
【0057】
電動式潤滑油ポンプ22から吐出された潤滑油の一部は、吐出通路25並びに吸気側のカム軸30内に形成された油通路(図示略)を通じて、動弁系潤滑部位B1、即ちカム軸30とこれを支持する軸受(図示略)との間や、カム軸30に形成されたカム31の外周面とバルブリフタ32,33との接触部位に供給される。より詳細には、カム軸30のジャーナルやカム31の外周面において上記油通路と連通するように形成された各油孔(図示略)からこれら各接触部位に潤滑油が供給される。そして、このように供給された潤滑油はこれら各部分の潤滑に供されるようになる。
【0058】
その他、電動式潤滑油ポンプ22から吐出された潤滑油は、吐出通路25から制御弁35を介してカム軸30の端部に設けられた可変動弁機構34(図2では「B2」)に作動油として供給される。
【0059】
可変動弁機構34は、カム軸30をクランク軸2に対して相対回転させたり、同カム軸30をその軸方向に変位させたりするための各種油圧室(図示略)をその内部に備えている。そして、これら油圧室の作動圧制御を通じてクランク軸2に対するカム軸30の回転位相を進角側或いは遅角側に変更し、或いはカム軸30をその軸方向に変位させることにより、吸気弁(図示略)の開閉タイミング及び弁リフト量を変更する。この可変動弁機構34の動作は基本的に同可変動弁機構34に対する潤滑油の給排状態を制御弁35を通じて切り替えることにより行われる。
【0060】
電子制御装置40は、各種センサ51〜53の検出結果等に基づいてこの制御弁35による切替状態を変更することにより、可変動弁機構34の動作状態が機関運転状態に適合するようにこれを制御する。
【0061】
また、このようにして電動式潤滑油ポンプ22から動弁系潤滑部位B1や可変動弁機構34に供給された潤滑油は、シリンダヘッド8に接続された排油通路26を通じて第2のオイルパン21に戻される。
【0062】
ところで通常の内燃機関にあっては、そのシリンダヘッドに、同シリンダヘッドとシリンダブロックとを連通して潤滑油を同シリンダヘッドからシリンダブロック側に落とすことにより、これをシリンダブロック内部の潤滑部位に供給するための油孔や油通路等が形成される。
【0063】
しかしながら、本実施形態にかかる潤滑装置の適用対象となる内燃機関1では、こうした油孔等を廃止するようにしている。このため、シリンダヘッド8の内部にある潤滑油がシリンダブロック9aやクランクケース9bの側に移動して、これらの内部にある低粘度の潤滑油と混合されることがない。即ち、電動式潤滑油ポンプ22からシリンダヘッド8の内部に供給された潤滑油は、その全てが最終的には第2のオイルパン21に戻されるになる。従って、この第2の給油機構20の潤滑油と第1の給油機構10の潤滑油とが混合されることはなく、これら粘度の異なる潤滑油は各給油機構10,20を通じて各潤滑部位に供給される。
【0064】
また、内燃機関1には、クランクケース9b内に滞留する燃料未燃成分を吸気負圧を利用して掃気し、これを吸気通路(図示略)に導入して燃焼させ処理するようにした、いわゆるブローバイガス還元装置を備えている。シリンダブロック9aには、このクランクケース9bに新気を導入する導入ポート61と、この新気と燃料未燃成分との混合ガス、即ちブローバイガスを吸気通路に排出する排出ポート62とが形成されている。上述したように、第2の給油機構20から供給される潤滑油は、シリンダブロック9aやクランクケース9b側には移動しないため、同潤滑油がこうしたブローバイガスに接触することがない。
【0065】
以上説明したように、本実施形態にかかる潤滑装置では、粘度の異なる潤滑油を使用し、各別の給油機構10,20を通じて潤滑油が必要とされる所定部位に対してその要求特性に見合った粘度の潤滑油を供給するようにしている。
【0066】
具体的には、カム31の外周面とバルブリフタ32,33との接触部位やカム軸30とその軸受との間等、動弁系潤滑部位B1に対しては、第2の給油機構20から粘度の高い潤滑油が供給される。
【0067】
ここで、特に、吸気弁の開弁時に、カム31のカムノーズによりバルブリフタ32,33が押し下げられる際には、バルブスプリングの反力等の影響を受けてカム31(正確にはカムノーズ)とバルブリフタ32,33との間の接触部位には大きな接触圧が発生する。しかも、カム31とバルブリフタ32,33とは常には接触状態になっておらず、カムノーズ以外のベース円部分では一時的に非接触状態になる。即ち、カム31とバルブリフタ32,33との間では、接触状態と非接触状態とが繰り返されて両者の間のクリアランスが大きく変動するようになる。このため、上述したように、こうしたカム31及びバルブリフタ32,33との間においては、安定した油膜の形成が困難であり、境界潤滑状態(最悪の場合には無潤滑状態)に移行し易い傾向がある。
【0068】
しかしながら、この接触部位には高粘度の潤滑油が供給されるため、カム31及びバルブリフタ32,33とが非接触状態になった場合であっても、これらカム31の外周面や、バルブリフタ32,33の頂面から潤滑油が流れ落ちるのが極力抑制されて適切な膜厚の油膜が安定して形成されるようになる。その結果、この接触部位における焼き付きの発生等が抑制され、良好な潤滑特性が維持してフリクションの低減を図ることができるようになる。
【0069】
また同様に、可変動弁機構34に対しても第2の給油機構20から高粘度の潤滑油が供給される。従って、可変動弁機構34の作動に伴って各種油圧室からの潤滑油の漏出が避けきれない場合であっても、その潤滑油の粘度が高いために、その漏出は抑制されるようになる。その結果、こうした潤滑油の漏出に伴う作動圧の低下、ひいては可変動弁機構34の制御応答性の低下が抑えられるようになる。
【0070】
更に、高粘度の潤滑油を使用することにより、機関停止期間中における可変動弁機構34からの潤滑油の漏出についても併せて抑制されるようになる。このため、機関再始動時において可変動弁機構34の各種油圧室により多くの潤滑油を残留させておくことができるようになる。従って、機関始動時に可変動弁機構34に供給すべき潤滑油を少なくすることができ、こうした機関始動時においても速やかにその作動に必要な油圧を確保してその作動性の低下を極力抑えることができるようになる。
【0071】
一方、クランク軸2と軸受との間や、同クランク軸2の偏心軸部とその軸受との間等、機関クランク軸系潤滑部位A1や、ピストンリング6とシリンダ5の内壁との間等、機関ピストン系潤滑部位A2に対しては、第2の給油機構20から供給される潤滑よりも粘度の低い潤滑油が第1の給油機構10から供給される。これら各潤滑部位A1,A2については、被潤滑部材間における潤滑状態、特にクリアランスが略一定に維持されている。このため、これら各潤滑部位A1,A2では、先の動弁系潤滑部位B1とは異なり、流体潤滑状態が維持され易い傾向にある。従って、こうした各潤滑部位A1,A2に対しては、低粘度の潤滑油を供給することにより、油膜に生じるせん断力を低下させてフリクションの低減を図ることができるようになる。
【0072】
その他、これら各給油機構10,20の潤滑油を各別のオイルパン11,21に貯留するとともに、シリンダヘッド8の油孔等を廃止することにより、シリンダヘッド8の内部にある高粘度の潤滑油とシリンダブロック9aやクランクケース9bの内部にある低粘度の潤滑油との混合を抑制するようにしている。このため、こうした混合によって生じる粘度の均一化を回避することができ、長期間にわたってこれら高粘度及び低粘度の潤滑油についてそれらの粘度を一定に維持することできるようになる。
【0073】
また一般に、ブローバイガス、特にこれに含まれる燃料未燃成分は極めてその酸化能力が高いため、これが潤滑油に接触するとその潤滑特性が著しく低下して潤滑油の劣化を招くこととなる。しかしながら、本実施形態にかかる潤滑装置では、少なくとも第2の給油機構20から供給される高粘度の潤滑油については、シリンダブロック9aやクランクケース9bの側には移動しないため、こうしたブローバイガスとの接触による劣化について配慮する必要がない。従って、この高粘度の潤滑油についてはブローバイガスによる酸化作用に起因した劣化が生じることがなく、その本来の潤滑特性が長期間にわたって維持されるようになる。その結果、この第2の給油機構20から供給される高粘度の潤滑油については、その交換時期を極めて長く設定したり、或いはこれをメンテナンスフリーとする等、その耐使用寿命の長期化を図ることができるようになる。
【0074】
本実施形態にかかる潤滑装置では、このように粘度の異なる潤滑油を各別の給油機構10,20を通じて所定の部位に供給するようにしている他、更に上記各潤滑油ポンプ12,22の吐出圧設定についても特徴を有している。以下、これら、機械式潤滑油ポンプ12の吐出圧P1並びに電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧P2について、それらの推移を図3及び図4を参照して説明する。
【0075】
図3は冷間時における上記各吐出圧P1,P2の推移を、また図4は内燃機関1の暖機完了後における上記各吐出圧P1,P2の推移をそれぞれ機関回転速度NEに対応させて示している。また、これら各図において、一点鎖線は機械式潤滑油ポンプ12の吐出圧P1、実線は電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧P2、並びに二点鎖線は従来の同一の粘度の潤滑油を使用した機械式潤滑油ポンプの吐出圧P0をそれぞれ示している。
【0076】
図3に示されるように、冷間時において、機械式潤滑油ポンプ12の吐出圧P1は、機関回転速度NEの上昇に伴って増大し、リリーフ弁17のリリーフ圧に達した以後は略一定の吐出圧に維持されるようになる。このように、機関回転速度NEが極めて低回転域にあるときには、機械式潤滑油ポンプ12の軸動力が小さく、従って同機械式潤滑油ポンプ12から吐出される潤滑油の吐出圧及びその吐出量も少なくなる。こうした傾向については、従来における潤滑装置と略同様である(二点鎖線参照)。因みに、本実施形態にかかる機械式潤滑油ポンプ12にあっては、その吐出圧P1が従来の潤滑装置における吐出圧P0と比較して低くなっているが、これは従来の潤滑装置と比較して本実施形態かかる機械式潤滑油ポンプ12では使用する潤滑油の粘度が低く設定されていることによる。本実施形態にかかる機械式潤滑油ポンプ12では、こうした吐出圧P1の低下分に併せて、従来、動弁系潤滑部位や可変動弁機構に供給するようにしていた分だけ潤滑油の吐出量を少なくすることができ、従来の潤滑装置と比較して同機械式潤滑油ポンプ12の軸動力を大幅に低減させることができるようになる。
【0077】
一方、図4に示されるように、暖機完了時には潤滑油の温度上昇に伴ってその粘度が冷間時よりも低下するため、本実施形態にかかる機械式潤滑油ポンプ12の吐出圧P1は冷間時と比較して更に低下するようになる。従って、こうした吐出圧P1の低下分だけ機械式潤滑油ポンプ12の軸動力を一層大きく低減させることができるようになる。このように、低粘度の潤滑油を使用して機械式潤滑油ポンプ12の軸動力を低減させることにより、内燃機関1における機械損失の低減、ひいてはその燃費の向上を図ることができるようになる。
【0078】
これに対して、電動式潤滑油ポンプ22については、図3及び図4に示されるように、冷間時或いは暖機完了時にかかわらず、所定の吐出圧P2が得られるように電子制御装置40を通じてその軸トルク(或いは軸回転速度)が制御される。即ち、電子制御装置40により、現在の機関回転速度NE、機関負荷(吸入空気量)、並びに潤滑油温に基づいて、吐出圧にかかる目標値が設定され、その目標値と実際の吐出圧P2とが一致するように軸トルクが制御される。
【0079】
ここで、機関回転速度NEについてみると、同機関回転速度NEが極めて低い回転領域(NE<NE1)においては、その吐出圧P2が他の回転領域(NE≧NE1)よりも相対的に大きく設定される。詳しくは、この低回転領域においては、電動式潤滑油ポンプ22の軸トルクを増大させることにより、吐出圧P2及びその吐出量の双方を増大させるようにしている。このように低回転領域において、高圧の潤滑油を多量に動弁系潤滑部位B1及び可変動弁機構34(B2)に供給するようにしているのは以下の理由による。
【0080】
即ち、このように機関回転速度NEがこうした低回転領域にある期間は、例えば機関始動時及びその直後の期間が該当するが、この場合には、機関停止中において、可変動弁機構34の各油圧室やこれに潤滑油を供給する通路中から潤滑油が漏出している可能性が高い。従って、この可変動弁機構34の制御応答性を極力早期に確保するために、これら油圧室や通路に多量の潤滑油を供給して油密状態に移行させ、その油圧を速やかに上昇させる必要がある。
【0081】
一方、動弁系潤滑部位B1においても、機関始動時及びその直後の期間では、特にカム31及びバルブリフタ32,33との間の接触部位が油膜切れの状態、即ち無潤滑状態或いは無潤滑状態に近い境界潤滑状態になっている可能性が高い。このため、低回転領域においては、この部位に多量の潤滑油を速やかに供給することにより、良好な潤滑状態に移行させる必要があるためである。
【0082】
このように機関回転速度NEが低回転領域にあるときに、電動式潤滑油ポンプ22から高圧の潤滑油を可変動弁機構34及び動弁系潤滑部位B1に対して供給することにより、可変動弁機構34については機関始動後において良好な制御応答性をより早期に確保することができるようになる。一方、動弁系潤滑部位B1については無潤滑或いは無潤滑状態に近い境界潤滑状態となる期間を極力短くし、より早期に流体潤滑状態に移行させることができるため、カム31及びバルブリフタ32,33の接触部位における摩耗や損傷の発生を抑制することができるようになる。
【0083】
更に、こうした低回転領域にあっても、機関回転速度NEが上昇した場合には、それまでの電動式潤滑油ポンプ22の作動によって、可変動弁機構34や動弁系潤滑部位B1に対して既にある程度の量の潤滑油が供給されている。このため、可変動弁機構34の油圧室やこれに通じる油通路は徐々に油密状態になりつつあり、また動弁系潤滑部位B1も良好な潤滑状態に移行しつつあると考えられる。
【0084】
また、動弁系潤滑部位B1、特にカム31及びバルブリフタ32,33との間の接触部位では、これら両部材が非接触状態となる期間が短いときほど、再度、接触状態に移行したときにカム31の外周面やバルブリフタ32,33の頂面に残留している潤滑油の量が多くなる。そして、上記非接触状態となる期間は、機関回転速度NEが高回転であるときほど短くなる。このため、機関回転速度NEが高回転になるにつれて、これらカム31とバルブリフタ32との接触部位は境界潤滑状態から徐々に流体潤滑状態に近い状態に移行するようになる。従って、良好な潤滑状態を確保するうえで必要とされる潤滑油の量も徐々に減少するようになる。
【0085】
従って、図3及び図4に示されるように、上記低回転領域では、機関回転速度NEが上昇するにつれて電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧P2を徐々に低下させるようにしている。
【0086】
そして、機関回転速度NEが高回転領域(NE≧NE1)に移行すると、電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧P2は、低回転領域と比較して低く設定されるとともに、更に機関回転速度NEの上昇に伴って徐々に低く設定される。即ち、こうした高回転領域においては、可変動弁機構34(B2)の油圧室等は完全に油密状態になるため、必要以上に多くの潤滑油を供給する必要がなくなり、その作動に必要な作動油圧が確保されればよい状態になる。また、動弁系潤滑部位B1においても、流体潤滑状態に移行しているため、多くの潤滑油が必要とされることがない。更に、上述したように機関回転速度NEが高くなるほど、カム31の外周面やバルブリフタ32,33に残留する潤滑油の量も多くなる。
【0087】
従って、この高回転領域においても、機関回転速度NEが上昇するにつれて電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧P2を低下させるようにしている。このように低回転領域及び高回転領域のいずれにおいても、機関回転速度NEの上昇に伴って電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧P2を低下させるようにしているため、同電動式潤滑油ポンプ22の電気的負荷を可及的に抑えることができ、ひいては燃費の向上を図ることができるようになる。
【0088】
以上、説明した本実施形態にかかる潤滑装置の作用効果について以下に総括して列記する。
(1)潤滑油の油圧に基づいて作動する可変動弁機構34の制御応答性についてその低下を抑えつつ、動弁系潤滑部位B1において良好な潤滑特性を維持し、更に潤滑部位全体におけるフリクションの増大を極力抑制することができるようになる。
【0089】
(2)各給油機構10,20は潤滑油を貯留するオイルパン11,21を各別に備えるようにしているため、粘度の異なる潤滑油を分離して貯留することができ、それらの混合を抑制することにより、粘度の異なる潤滑油の使用をその前提とする上記(1)に記載の作用効果を一層確実に奏することができるようになる。
【0090】
(3)第2の給油機構20の電動式潤滑油ポンプ22を通じて動弁系潤滑部位B1及び可変動弁機構34に対して高粘度の潤滑油を供給するようにしている。このため、例えば機関クランク軸により駆動連結される機械駆動式ポンプを採用した構成と比較して、機関回転速度NEに関わらず、これら各部位に対して速やかに潤滑油を供給することができる。従って、機関始動時等、機関回転速度NEが極めて低いときにも、可変動弁機構34の作動性及び動弁系潤滑部位B1の良好な潤滑特性を確保することができるようになる。
【0091】
(4)更に、この電動式潤滑油ポンプ22については、機関回転速度NEが低回転域にあるときほど、その吐出油圧を高く設定するようにしている。従って、機関始動時等、機関回転速度NEが低いときには十分な量の潤滑油がアクチュエータや動弁系潤滑部位に供給されるようになり、可変動弁機構34の良好な作動性、ひいてはそれに伴う始動性の向上を図るとともに、動弁系潤滑部位B1の潤滑特性を良好なものに維持することができる。その一方、機関始動時から所定時間が経過したとき等、機関回転速度NEが上昇したときには、電動式潤滑油ポンプ22の吐出油圧を低下させることにより、不必要な潤滑油の供給がなされることによる燃費の悪化を抑えることができるようになる。
【0092】
(5)また、本実施形態にかかる潤滑装置では、こうした潤滑油を油圧を作動圧として利用するアクチュエータとして、特に可変動弁機構34に対して潤滑油を供給するようにしている。可変動弁機構34では、一般にその作動圧が比較的高く、また機関停止中におけるその内部からの潤滑油の漏出も無視できない傾向にある。しかしながら、こうした可変動弁機構34であっても、上記機関回転速度NEが機関始動時等、低回転領域にあるときから良好な制御応答性を確保することができ、機関始動性の向上に対してもこれに寄与することができるようになる。
[第2の実施形態]
次に、本発明にかかる第2の実施形態について上記第1の実施形態と相違点を中心に説明する。
【0093】
上記第1の実施形態にかかる潤滑装置では、第1の給油機構10及び第2の給油機構20のうち第1の給油機構10から各部位に供給する潤滑油の粘度を第2の給油機構20から各部位に供給する潤滑油の粘度よりも低く設定するようにした。本実施形態にかかる潤滑装置では更に、この第1の給油機構10から機関クランク軸系潤滑部位A1及び機関ピストン系潤滑部位A2に対して粘度の異なる潤滑油をそれぞれ供給するようにしている点が上記第1の実施形態と異なっている。
【0094】
具体的には、機関クランク軸系潤滑部位A1に対しては機械式潤滑油ポンプ12から相対的に粘度の低い潤滑油を供給している。その一方、図5に示されるように、この機械式潤滑油ポンプ12とは更に別の機械式潤滑油ポンプ72を備え、機関ピストン系潤滑部位A2に対してはこの機械式潤滑油ポンプ72から相対的に粘度の高い潤滑油を供給するようにしている。尚、以下では、これら各機械式潤滑油ポンプ12,72を区別する必要がある場合には、機関クランク軸系潤滑部位A1に潤滑油を供給するポンプを第1の機械式潤滑油ポンプ12、機関ピストン系潤滑部位A2に潤滑油を供給するポンプを第2の機械式潤滑油ポンプ72と称することとする。
【0095】
本実施形態にかかる潤滑装置において、各給油機構10,20の潤滑油ポンプ12,22,72から供給される潤滑油の粘度については以下の式(2)に示される関係が設定されている。
【0096】
μ1a<μ1b<μ2 ・・・(2)
μ1a:第1の給油機構10(第1の機械式潤滑油ポンプ12)の潤滑油粘度
μ2:第2の給油機構20(電動式潤滑油ポンプ22)の潤滑油粘度
μ1b:第1の給油機構10(第2の機械式潤滑油ポンプ72)の潤滑油粘度
尚、本実施形態にかかる潤滑装置において、各給油機構10,20から供給される潤滑油の粘度について上記のような関係を設定するようにしているのは以下の理由による。
【0097】
図6は、機関ピストン系潤滑部位A2(実線)、機関クランク軸系潤滑部位A1(破線)、及び動弁系潤滑部位B1(一点鎖線)において発生するフリクションの大きさについてその潤滑油粘度による変化を示している。
【0098】
動弁系潤滑部位B1では、上述したように、潤滑油粘度μが低い領域(μ<μ2)では、特にカム31とバルブリフタ32,33との接触部位における潤滑状態が境界潤滑状態(或いは無潤滑状態)になり易い傾向がある。従って、この領域では、潤滑油粘度μが高くなるほど、潤滑部位での金属接触面積が減少して流体潤滑状態に近い状態になり、それに伴ってフリクションが減少するようになる。一方、潤滑油粘度μが更に高い領域(μ≧μ2)では、潤滑状態が略流体潤滑状態に移行するようになる。このため、潤滑油粘度μが高くなるほどその潤滑部位に形成される油膜のせん断力が徐々に増大し、フリクションは再び上昇する傾向がある。従って、動弁系潤滑部位B1に供給する高粘度の潤滑油は、上記フリクションが小さく、且つ、可変動弁機構34においても良好な制御応答性が確保できる大きさに設定される。具体的には動弁系潤滑部位B1におけるフリクションが最小となる粘度μ2に設定されている。尚、この点については、第1の実施形態にかかる潤滑装置と同様である。
【0099】
これに対して、機関ピストン系潤滑部位A2(同図5の実線)では、潤滑油粘度の変化に対するフリクションの変化傾向については、上述した動弁系潤滑部位B1と略同様の傾向を示すものの、潤滑状態が境界潤滑状態から流体潤滑状態に移行するときの潤滑油粘度μが動弁系潤滑部位B1よりも低い粘度となる。本実施形態にかかる潤滑装置では、上式(2)に示されるように、この機関ピストン系潤滑部位A2に供給される潤滑油の粘度(=μ1a)を動弁系潤滑部位B1に供給される潤滑油の粘度(=μ1b)よりも低く設定するようにしている。
【0100】
一方、機関クランク軸系潤滑部位A1(同図5の破線)についてみると、その潤滑が必要な部位が、クランク軸2とその軸受、クランク軸2の偏心軸部とコネクティングロッドの軸受との間の摺動部分である。このため、これら軸受部位では軸の回転に伴って発生する動圧により、軸受から軸の外周面が離間した状態となる。即ち、機関クランク軸系潤滑部位A1では、こうした動圧の作用によってその潤滑状態が内燃機関1の極低回転速度領域を除いて流体潤滑状態になる。このため、機関クランク軸系潤滑部位A1では、潤滑油粘度μが低くなるほど潤滑部位の油膜に生じるせん断力が減少し、それに伴ってフリクションは減少するようになる。従って、本実施形態にかかる潤滑装置では、機関クランク軸系潤滑部位A1に供給される潤滑油の粘度(=μ1a)を他の部位に供給される潤滑油の粘度のなかで最も低く設定するようにしている。
【0101】
このように本実施形態にかかる潤滑装置では、機関クランク軸系潤滑部位A1及び機関ピストン系潤滑部位A2に供給する潤滑油の粘度を更に異ならせるようにし、これら各部位の潤滑状態の応じて良好な潤滑特性が確保され、且つフリクションが最も小さくなるように、その潤滑油の粘度を設定するようにしている。
【0102】
本実施形態にかかる潤滑装置では、以下に説明するように、機関クランク軸系潤滑部位A1及び機関ピストン系潤滑部位A2に対して粘度の異なる潤滑油を供給するための各種構成を備えている。
【0103】
クランクケース9bの下部には、第1のオイルパン11とは別に、第2の機械式潤滑油ポンプ72を通じて機関ピストン系潤滑部位A2に供給される潤滑油を貯留する第3のオイルパン71が区画形成されている。機械式潤滑油ポンプ72は、この第3のオイルパン71内の潤滑油を吸引し所定圧をもって吐出する。第2の機械式潤滑油ポンプ72は、第1の機械式潤滑油ポンプ12と同様、トロコイド式のポンプであり、同機械式潤滑油ポンプ12とともにその入力軸(図示略)がクランク軸2の端部に設けられたクランクプーリ3に駆動連結されている。このため、この第2の機械式潤滑油ポンプ72についても第1の機械式潤滑油ポンプ12と同様に、機関回転速度NEが高いときほど、その吐出圧が高くなり、また吐出量も多くなる特性を有している。
【0104】
その他、この第2の機械式潤滑油ポンプ72には、第3のオイルパン71に潤滑油をリリーフするリリーフ弁(図示略)が接続されている。第2の機械式潤滑油ポンプ72の吐出圧がこのリリーフ弁のリリーフ圧以上にまで上昇した際にはこれが開弁して第2の機械式潤滑油ポンプ72の吐出圧がリリーフ圧以上に上昇しないよう制限される。
【0105】
また、この第2の機械式潤滑油ポンプ72から吐出された潤滑油は、吐出通路75を通じて上述したオイルジェット機構14に供給され、同オイルジェット機構14から機関ピストン系潤滑部位A2に噴射供給される。
【0106】
一方、上記第1の実施形態にかかる潤滑装置とは異なり、第1の機械式潤滑油ポンプ12から吐出された潤滑油は全て、クランク軸2内に形成された油通路13を通じて、機関クランク軸系潤滑部位A1に供給される。
【0107】
また、シリンダブロック9aの内部には、各気筒のシリンダ5とクランク軸2とを隔てる隔壁76が形成されている。この隔壁76には機関ピストン4とクランク軸2とを連結するコネクティングロッドが挿通される挿通孔(図示略)の他、機関ピストン系潤滑部位A2、即ち機関ピストン4の下部及びシリンダ5内壁面から隔壁76の上面に流れ落ちた潤滑油を第3のオイルパン71に落とすための油孔77が形成されている。尚、この油孔77は各シリンダ5に共通のものとしても、或いは各シリンダ5毎に複数形成するようにしてもよいが、同油孔77から落ちた潤滑油が第1のオイルパン11側に極力落ちないように、その位置等を設定するのが望ましい。
【0108】
この隔壁76によって、第1の機械式潤滑油ポンプ12から機関クランク軸系潤滑部位A1に供給される低粘度(μ=μ1a)の潤滑油と、第2の機械式潤滑油ポンプ72から機関ピストン系潤滑部位A2に供給される中粘度(μ=μ1b)の潤滑油との混合が極力抑制されている。
【0109】
従って、本実施形態にかかる潤滑装置の第1の給油機構10では、この隔壁76及び各別に設けられた各オイルパン11,71により低粘度の潤滑油と中粘度の潤滑油とが混合しないように貯留され、機関クランク軸系潤滑部位A1及び機関ピストン系潤滑部位A2に対して粘度の異なる潤滑油がそれぞれ供給される。
【0110】
以上の構成を備えた本実施形態にかかる潤滑装置によれば、先に示した第1の実施形態かかる装置の作用効果に加えて、更に以下の作用効果を奏することができるようになる。
【0111】
(6)本実施形態にかかる潤滑装置では、潤滑状態として境界潤滑状態及び流体潤滑状態をとり得る機関ピストン系潤滑部位A2に対しては相対的に粘度の高い潤滑油を供給する一方、同潤滑状態が流体潤滑状態となる機関クランク軸系潤滑部位A1に対しては相対的に粘度の低い潤滑油を供給するようにしている。従って、これら各潤滑部位に対してフリクションの低減及び良好な潤滑特性を維持する上でより適した粘度の潤滑油を供給することができ、潤滑部位全体のフリクションについても一層好適にその低減を図ることができるようになる。
【0112】
(7)また、このように機関クランク軸系潤滑部位A1及び機関ピストン系潤滑部位A2に対しては独立に潤滑油を供給する構成を採用するようにしたため、機関ピストン系潤滑部位A2に対して供給する潤滑油以外はその交換作業が不要になる。また、機関クランク軸系潤滑部位A1に対して供給する潤滑油については、上述したようにその消費量が極めて少ないため、定期的な補充作業を行うだけでよい。その結果、本実施形態にかかる潤滑装置によれば、そのメンテナンス作業の簡易化を図ることができるようになる。
【0113】
(8)更に、第1の給油機構10についてみると、第1の実施形態では、機関クランク軸系潤滑部位A1や機関ピストン系潤滑部位A2に対して同じ粘度の潤滑油を供給するようにしているため、その粘度はこれら各部位における潤滑要求の双方を満たすものに設定せざるを得ない。
【0114】
例えば、機関クランク軸系潤滑部位A1に合わせて、極端に粘度の低い潤滑油を機関ピストン系潤滑部位A2に供給するようにした場合には、同部位A2の潤滑状態が境界潤滑状態或いは無潤滑状態に近い境界潤滑状態になるため、フリクションの増大やそれに伴う焼き付き等が発生してしまうおそれがある。
【0115】
しかしながら、本実施形態にかかる潤滑装置では、これら各部位に合わせて異なる粘度の潤滑油を供給するようにしているため、特に機関クランク軸系潤滑部位A1に供給する潤滑油についてその粘度を極力低く設定することができるようになる。従って、同部位A1、ひいては内燃機関1におけるフリクションの低減を図ることができ、機関始動性や燃費の向上に寄与することができるようになる。
[第3の実施形態]
次に、本発明にかかる第3の実施形態について上記第1の実施形態と相違点を中心に説明する。
【0116】
上述したように、電動式潤滑油ポンプは一般に、その吐出油圧を比較的大きな自由度をもって容易に変更することが可能である。しかしその反面、内燃機関のクランク軸により駆動される機械式潤滑油ポンプと比較すると、例えば内燃機関の振動や機関熱に起因する駆動回路や駆動部分の損傷が発生し易い等の点を考慮すると、その信頼性が若干低いことは否めない。
【0117】
そこで、本実施形態にかかる潤滑装置にあっては、第2の給油機構20の異常、詳しくは電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧にかかる異常を監視し、同異常がある旨の判断がなされた場合には、第1の給油機構10から第2の給油機構20に潤滑油を補助的に供給するようにしている。即ち、こうした異常時であっても、第2の給油機構20が担う動弁系潤滑部位B1や可変動弁機構34に対する潤滑油の供給機能をある程度維持し、これら各部位に全く潤滑油が供給されなくなる状況が生じるのを回避するようにしている。
【0118】
図7は、本実施形態にかかる潤滑装置をその機能に基づき分割して示すブロック図である。以下、同図7を参照して上記第1の実施形態にかかる装置との構成の相違点について説明する。
【0119】
同図7に示されるように、本実施形態にかかる潤滑装置では、機械式潤滑油ポンプ12から潤滑油が吐出される通路(クランク軸2の油通路13或いはオイルジェット機構14に接続される吐出通路15)と電動式潤滑油ポンプ22の吐出通路25とが補助通路80によって接続されている。そして、この補助通路80の途中には、同通路80を開放・遮断する開閉弁81が設けられている。尚、この開閉弁81は、常閉式の電磁弁であり、通電操作されることにより開弁して補助通路80を開放する。更に、電動式潤滑油ポンプ22の吐出通路25には、その吐出圧P2を検出する油圧センサ54が設けられている。電子制御装置40は、この油圧センサ54の検出結果を取り込み、同検出結果に基づいて電動式潤滑油ポンプ22の異常を判断するとともに、その判断結果に応じて開閉弁81の開閉状態を制御する。
【0120】
以下、こうした電子制御装置40による電動式潤滑油ポンプ22の異常判断処理、並びに異常時における開閉弁81の開閉制御について説明する。
上述したように、電子制御装置40は、現在の機関回転速度NE、機関負荷(吸入空気量)、並びに潤滑油温に基づいて、吐出圧にかかる目標値を設定するが、上記異常判断に際しては、まず、この目標吐出圧PTと油圧センサ54により検出される実際の吐出圧P2とを比較する。そして、この吐出圧P2が目標吐出圧PTよりも判定圧PK1以上低い場合には(PT−P2≧PK1)、電動式潤滑油ポンプ22において何らかの異常が発生して所定の吐出能力が確保できないものと判断する。
【0121】
因みに、一旦、こうした異常が判断された後は、電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧P2と目標吐出圧PTとの差(PT−P2)が上記判定圧PK1よりも低く設定された判定圧PK2以下(PT−P2≦PK2)になるまでは、異常との判断を継続するのが望ましい。即ち、上記異常判断にかかる判定圧PK1,PK2について、こうしたヒステリシスを設けるようにする。これにより、電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧P2と目標吐出圧PTとの差(PT−P2)が上記判定圧PK1近傍で変動するような場合であっても、第1の給油機構10から第2の給油機構20に対する潤滑油の供給が断続的に行われるハンチング等の不安定現象を回避することができるようになる。
【0122】
上記異常判断において、電動式潤滑油ポンプ22に異常が発生していないと判断された場合、電子制御装置40は開閉弁81に対する通電制御を実行しない。従って、開閉弁81は閉弁状態のまま維持されて補助通路80は遮断された状態となるため、第1の給油機構10から第2の給油機構20に対する潤滑油の供給は行われない。
【0123】
一方、電動式潤滑油ポンプ22に異常が発生している旨の判断がなされた場合、電子制御装置40は開閉弁81を開駆動することにより補助通路80を開放する。その結果、機械式潤滑油ポンプ12から吐出された潤滑油の一部は、補助通路80を通じて電動式潤滑油ポンプ22の吐出通路25に供給される。そして、吐出通路25を通じて動弁系潤滑部位B1及び可変動弁機構34に対して供給されるようになる。従って、動弁系潤滑部位B1は、このようにして第1の給油機構10から供給される潤滑油によってその潤滑機能が確保され、可変動弁機構34についてもこれを作動させることができるようになる。
【0124】
以上の構成を備えた本実施形態にかかる潤滑装置によれば、先に示した第1の実施形態かかる装置の作用効果に加えて、更に以下の作用効果を奏することができるようになる。
【0125】
(9)電動式潤滑油ポンプ22の吐出能力が低下した場合であっても、その低下分の一部を第1の給油機構10からの潤滑油の供給によって補うことができ、こうした第2の給油機構20、特に電動式潤滑油ポンプ22の異常に対処することができるようになる。そして、例えば内燃機関の振動や機関熱に起因する損傷等が発生し易い電動式潤滑油ポンプ22に異常が発生したときであっても、その機能の一部を比較的信頼性の高い機械式潤滑油ポンプ12により代用することができるため、潤滑装置全体の信頼性についてもその向上を図ることができるようになる。
【0126】
以上、本発明にかかる各実施形態について説明したが、これら各実施形態は以下のようにその構成の一部を変更し実施することもできる。
・上記各実施形態では、電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧を設定するパラメータとして機関回転速度NEを採用し、同回転速度NEが低回転領域にあるときには高回転領域にあるときよりも吐出圧を高く設定するようにした。これに対して、この吐出圧を設定するパラメータとして機関始動からの経過時間を採用することもできる。具体的には、この経過時間が短いときほど電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧を高く設定する。上述したように、機関停止中に可変動弁機構34の油圧室やそれに通じる通路から潤滑油が徐々に漏出するため、機関始動時においては、これら油圧室等が潤滑油によって満たされていない状態になっていることが多い。また、動弁系潤滑部位B1についても、機関停止中においてこれら潤滑部位から潤滑油が流れ落ちることにより、機関始動時に油膜切れの状態になっている可能性が高い。上記構成によれば、こうした潤滑油の漏出によって可変動弁機構34の油圧室等が潤滑油によって満たされていない状態にあっても、また動弁系潤滑部位B1が油膜切れの状態にあっても、これを速やかに解消することができ、良好な始動性を確保することができるようになる。
【0127】
・また、上記の場合、例えば機関始動から所定時間が経過するまで電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧を高く設定する一方、この所定時間経過後は吐出圧を低く設定する、といったように、経過時間に基づいて吐出圧をニ段階に設定するといった構成も採用できる。但し、機関始動からの経過時間が長くなるほど、それまでの潤滑油の供給を通じて、可変動弁機構34の油圧室等は潤滑油により満たされて徐々に作動可能な状態となり、また動弁系潤滑部位についても油膜が徐々に形成される傾向がある。この点を考慮すると、機関始動からの経過時間が長くなるほど、電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧を徐々に低下させるといった構成も、潤滑装置の電気的負荷、ひいては内燃機関1の燃費向上を図る上で有効である。
【0128】
・更に、電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧を設定するパラメータとして機関回転速度NEと上記機関始動からの経過時間の双方を採用することもできる。図8は、このように構成した場合における電動式潤滑油ポンプ22の吐出圧特性についてその一例を示している。同図に示されるように、この場合には、機関回転速度NEが低いときほど吐出圧を高く設定するとともに、同じ機関回転速度NEであっても、上記経過時間が短いときほど吐出圧をより高く設定するようにするのが望ましい。
【0129】
・また、上記各実施形態ではいずれも、機械式潤滑油ポンプ12,72にリリーフ弁17を設け、これら各ポンプ12,72に対して過度な負荷が作用しないようにした。これに対し、これら機械式潤滑油ポンプ12,72の供給対象となる潤滑油の粘度を極めて低く設定することも場合によっては可能になる。そして、このように低粘度の潤滑油が使用できる場合には、機械式潤滑油ポンプ12,72に過度な負荷が作用する可能性がなくなるため、こうしたリリーフ弁を省略してその構成の簡略化を図ることも可能になる。
【0130】
・第3の実施形態では、機械式潤滑油ポンプ12から潤滑油が吐出される通路と電動式潤滑油ポンプ22の吐出通路25とを接続するようにしたが、電動式潤滑油ポンプ22と第2のオイルパン21との間の通路にこれを接続するようにしてもよい。
【0131】
・第3の実施形態では、第1の実施形態にかかる潤滑装置の構成に対し、第2の給油機構20に異常が発生した場合に対処するための構成を更に加えるようにしたが、この構成は第2の実施形態にかかる潤滑装置の構成に対して適用することもできる。
【0132】
・第3の実施形態では、油圧センサ54により電動式潤滑油ポンプ22から吐出される潤滑油の吐出圧を監視し、その監視結果に基づいて電動式潤滑油ポンプ22の異常を判断するようにしたが、例えば電動式潤滑油ポンプ22の回転速度、或いは軸トルク等に基づいてこうした異常判断を行うことも可能である。
【0133】
・第3の実施形態では、第2の給油機構20の異常を監視し、異常がある旨の判断がなされた場合には、第1の給油機構10から第2の給油機構20に対して潤滑油を供給するようにした。これに対して、第1の給油機構10の異常を監視し、異常がある旨の判断がなされた場合には、第2の給油機構20から第1の給油機構10に対して潤滑油を供給する構成としてもよい。更に、双方の給油機構10,20の異常を監視し、異常が発生した給油機構に対して正常な給油機構から潤滑油を供給するといった構成も可能である。
【0134】
・第3の実施形態では、電動式潤滑油ポンプ22の異常時に機械式潤滑油ポンプ12から動弁系潤滑部位B1及び可変動弁機構34の双方に潤滑油を供給するようにした。この際に十分な潤滑油の供給量が確保できない場合には、例えば可変動弁機構34の制御弁35を制御して同機構34の油圧室を閉鎖し、同油圧室に対する潤滑油の供給を停止するようにしてもよい。そして、このように可変動弁機構34への潤滑油の供給を停止する一方、動弁系潤滑部位B1に対してはその停止により増大した分の潤滑油を供給するといった構成も、同部位B1の焼き付き等、その潤滑不良を極力回避するうえで有効である。
【0135】
・第2の実施形態では、各部位毎に複数の潤滑油を使用するようにしているため、潤滑部位によっては蒸発成分の極めて少ない潤滑油を使用するなども可能になる。こうした構成によれば、潤滑油消費量の低減を図ることができるようになる。
【0136】
・第2の給油機構20については、電動式潤滑油ポンプを採用するようにしたが、第1の給油機構10と同様に、機械式潤滑油ポンプを採用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかる潤滑装置についてその概要を示す概略構成図。
【図2】同潤滑装置をその機能に基づいて分割して示すブロック図。
【図3】冷間時における潤滑油ポンプの吐出圧特性を示すグラフ。
【図4】暖機完了時における潤滑油ポンプの吐出圧特性を示すグラフ。
【図5】第2の実施形態にかかる潤滑装置についてその概要を示す概略構成図。
【図6】各潤滑部位のフリクションと潤滑油粘度との関係を示すグラフ。
【図7】第3の実施形態にかかる潤滑装置をその機能に基づいて分割して示すブロック図。
【図8】その他の実施形態にかかる潤滑装置において電動式潤滑油ポンプの吐出圧特性を示すグラフ。
【符号の説明】
1…内燃機関、2…クランク軸、3…クランクプーリ、4…機関ピストン、5…シリンダ、6…ピストンリング、7…自動変速機、8…シリンダヘッド、9a…シリンダブロック、9b…クランクケース、10…第1の給油機構、11…第1のオイルパン(貯留部)、12…機械式潤滑油ポンプ、13…油通路、14…オイルジェット機構、15…吐出通路、17…リリーフ弁、20…第2の給油機構、21…第2のオイルパン(貯留部)、22…電動式潤滑油ポンプ、25…吐出通路、26…排油通路、27…リリーフ弁、30…カム軸、31…カム、32…バルブリフタ、33…バルブリフタ、34(B2)…可変動弁機構、35…制御弁、40…電子制御装置(油圧制御手段、異常検出手段、補助給油機構、弁制御手段)、51…機関回転速度センサ、52…吸入空気量センサ、53…油温センサ、54…油圧センサ(検出手段)、61…導入ポート、62…排出ポート、71…第3のオイルパン、72…第2の機械式潤滑油ポンプ、75…吐出通路、76…隔壁、77…油孔、80…補助通路(補助給油機構)、81…開閉弁(補助給油機構)、A1…機関クランク軸系潤滑部位、A2…機関ピストン系潤滑部位、B1…動弁系潤滑部位。

Claims (10)

  1. 異なる粘度の潤滑油を給油系を通じて内燃機関の各部位に供給する内燃機関の潤滑装置において、
    前記給油系は相対的に粘度の低い潤滑油を前記機関クランク軸系の潤滑部位と機関ピストン系の潤滑部位とに供給する第1の給油機構と、該第1の給油機構とは独立に設けられ、前記低粘度の潤滑油よりも粘度の高い潤滑油を前記動弁系潤滑部位と潤滑油の油圧に基づき作動するアクチュエータに対して供給する第2の給油機構とを備え、前記第1の給油機構は前記機関クランク軸系及び機関ピストン系の各潤滑部位に対して更に粘度の異なる潤滑油を供給可能であり、前記機関クランク軸系の潤滑部位に対しては前記低粘度の潤滑油のうち相対的に粘度の低い潤滑油を供給する一方、前記機関ピストン系の潤滑部位に対しては前記低粘度の潤滑油のうち相対的に粘度の高い潤滑油を供給するものである
    内燃機関の潤滑装置。
  2. 前記第1の給油機構は低粘度の潤滑油を貯留する貯留部を、前記第2の給油機構は高粘度の潤滑油を貯留する貯留部をそれぞれ各別に備える
    請求項1記載の内燃機関の潤滑装置。
  3. 前記第2の給油機構は電動式潤滑油ポンプを備え、同電動式潤滑油ポンプを通じて前記動弁系潤滑部位及び前記アクチュエータに対して高粘度の潤滑油を供給する
    請求項1又は2記載の内燃機関の潤滑装置。
  4. 請求項3記載の内燃機関の潤滑装置において、
    機関回転速度を検出する検出手段と、
    前記検出される機関回転速度が低回転域にあるときには前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を高く設定する一方、同機関回転速度が高回転域にあるときには前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を低く設定する油圧制御手段とを更に備える
    内燃機関の潤滑装置。
  5. 異なる粘度の潤滑油を給油系を通じて内燃機関の各部位に供給する内燃機関の潤滑装置において、
    前記給油系は相対的に粘度の低い潤滑油を前記機関クランク軸系の潤滑部位と機関ピストン系の潤滑部位とに供給する第1の給油機構と、該第1の給油機構とは独立に設けられ、前記低粘度の潤滑油よりも粘度の高い潤滑油を前記動弁系潤滑部位と潤滑油の油圧に基づき作動するアクチュエータに対して供給する電動式潤滑油ポンプが設けられた第2の給油機構と、機関回転速度を検出する検出手段と、前記検出される機関回転速度が低回転域にあるときには前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を高く設定する一方、同機関回転速度が高回転域にあるときには前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を低く設定する油圧制御手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑装置。
  6. 請求項3乃至5記載の内燃機関の潤滑装置において、
    機関始動からの経過時間が短いときほど前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を高く設定する油圧制御手段とを更に備える
    内燃機関の潤滑装置。
  7. 前記油圧制御手段は前記機関始動が検出されてからの経過時間が長くなるほど前記電動式潤滑油ポンプの吐出油圧を徐々に減少させる
    請求項6記載の内燃機関の潤滑装置。
  8. 前記第1の給油機構及び前記第2の給油機構の少なくとも一方の給油能力についてその低下を異常として検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段により前記第1及び第2の給油機構のうち一方の給油機構の異常が検出されるとき、同一方の給油機構に対して他方の給油機構から潤滑油を供給する補助給油機構とを更に備える
    請求項1乃至7のいずれかに記載の内燃機関の潤滑装置。
  9. 前記第1の給油機構は内燃機関のクランク軸に駆動連結されて駆動力を得る機械式潤滑油ポンプを備える一方、前記第2の給油機構は電動式潤滑油ポンプを備え、
    前記異常検出手段は前記第2の給油機構の異常を検出するものであり、
    前記補助給油機構は前記第1の給油機構の機械式潤滑油ポンプから潤滑油が吐出される通路と第2の給油機構の電動式潤滑油ポンプから潤滑油が吐出される通路又は同電動式潤滑油ポンプが潤滑油を吸引する通路とを接続する接続通路と、該接続通路に設けられて同接続通路を開放・遮断する弁と、前記異常検出手段により異常が検出されるときに前記弁を開放駆動して前記接続通路を開放する弁制御手段とを備える
    請求項8記載の内燃機関の潤滑装置。
  10. 前記アクチュエータは前記内燃機関の可変動弁機構である
    請求項1乃至9のいずれかに記載の内燃機関の潤滑装置。
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