JP4019623B2 - ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体である円板状のディスクを回転させて情報の再生または記録を行う光ディスク装置に係り、特に、ファンなどを用いた強制空冷によらず、発熱量の大きいレーザドライバICおよび装置内部の温度を下げる放熱構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクの情報を再生あるいは情報を記録する動作を行う際、光学ヘッドに備えたレーザドライバICが非常に高温になる。このようにレーザドライバICが発熱すると、レーザ回路の性能の低下や、レーザ素子の寿命の短縮といった悪影響を与えると同時に、装置内部全体の温度も上昇させ、装置自体の信頼性を低下させてしまう。
【0003】
従来は、特開平11−185273号公報に記載のように、レーザドライバICとレーザドライバICが設置されている構造体との間に放熱部材を介在させることで、レーザドライバICから発せられる熱をその構造体へ逃す放熱構造になっていた。また、従来のディスク装置では、耐振動特性を確保するために、ディスクの回転駆動機構、光学ヘッド、光学ヘッドをディスクの半径方向にスライドさせるための手段などが組み込まれている可動体は、インシュレータを介して防振支持されており、トップカバーおよびボトムカバーなどの装置の外側筐体とは、直接接触しないように取付けられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、発熱量の大きいレーザドライバICからレーザドライバICが設置されている構造体へ熱を逃すことは考えられているが、その構造体以降の放熱経路については配慮がされていなかった。また、トッププレートとトップカバーの空間に存在する空気層のために、装置内部からトップカバーへの熱伝達効率が非常に低く、装置内部に熱が溜まり、装置内部の温度が上昇するという問題を有していた。
【0005】
本発明は、光学ヘッドの可動筐体に半導体レーザ取付け部材を介して取付けられたレーザドライバIC表面と光学ヘッドの可動筐体とを熱的に接続することで、レーザドライバICから光学ヘッドの可動筐体に放熱し、さらに装置内部にこもる熱をトップカバー表面から効率よく放熱することにより、レーザドライバICおよび装置内部の温度を動作保証温度以下に抑えることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は光学ヘッドの可動筐体に半導体レーザ取付け部材を介して取付けられている発熱量の大きなレーザドライバICの表面と光学ヘッドの可動筐体とを板ばね状の熱伝導部材を介して接続したものである。また、光学ヘッドの可動筐体をディスクの半径方向にスライドさせるための機構部品に熱伝導性の高いものを用いたものである。
【0007】
上記構成によれば、半導体レーザ取付け部材を介して可動筐体に取付けられたレーザドライバICで発生した熱が装置内部全体へ円滑に伝達されるため、発熱性を有するレーザドライバICの温度を下げると共に、装置内温度を均一化できる。さらに、トッププレートとトップカバーとの間に存在する空間に、装置の防振性を低下させることがなく、熱伝導率の高い部材を充填したものである。上記構成によれば、トッププレートからトップカバーへの熱伝達率が高くなるので、トップカバーからの放熱効率が上がり、装置内部の熱を装置外部へ排出することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例であるディスク装置について、図を参照しながら詳細に説明する。図3にディスク装置1の分解斜視図を示す。
【0009】
図3に示すように、ディスク装置1は、主にディスクを装置内に搬入または装置外へ搬出するためのディスクトレー4を備えている。このディスクトレー4を装置内へ搬入または装置外へ搬出するための図示されていないローディング機構有する。また、ディスクを保持するためのチャッキング機構31が設けある。このチャッキング機構31はトッププレート3に取付けられている。また、ディスクを回転させるためのスピンドルモータ62等から成るディスク回転駆動機構が内蔵されている。
【0010】
さらに、ディスク上に情報を記録または再生するための記録再生用または再生専用光学ヘッド5と、光学ヘッド5をガイドバー63に沿って図示されていないディスクの半径方向にスライドさせるための光学ヘッド送り機構を備えている。前述の装置は、ユニットメカシャシ61に保持されている。ユニットメカシャシ61はメカベース6に取付けられており、これらの機構の上面はトップカバー2で覆われ、底面はボトムカバー7で覆われている。
【0011】
次に、図2を用いて一般的な光学ヘッド5の構成について説明する。光学ヘッド5の可動筐体55には、次の部品が搭載されている。まず、レーザ光を放射する半導体レーザ52と光検出を行う図示されていない光検出器が設けられている。また、半導体レーザ52から放射されたレーザ光を情報記録面に導き、更にディスクからの反射光を光検出器に戻す対物レンズ54からなる光学系部品が搭載されている。このような部品を備えているため、可動筐体55は非常に大きなものになるが、しかし、設計仕様からその寸法は制限されている。
【0012】
なお、光学系部品の性能ばらつきや、位置ずれがあるために、半導体レーザ52は、組み立て時に調整できるように構成されている。さらに、半導体レーザ52を駆動制御するレーザドライバIC53と半導体レーザ52とは、電気的なノイズの発生を防止するために隣接した位置に配置している。加えて、半導体レーザ52からのレーザ光路を折り曲げるための光学部品の部品点数を削減化も図っている。
【0013】
このため、半導体レーザ52とレーザドライバIC53とは、共に同一の回路基板56上に搭載されいる。そして、両部品は、半導体レーザ取付け部材57を介して可動筐体55の側面に取付けられることが多い。ただし、半導体レーザ52に対して回路が垂直に設置できる場合には、半導体レーザ52とレーザドライバIC53とを可動筐体55の側面ではなく、上面に設置した方が良い。このように配置すると、ディスクが回転することにより生じる空気流により、レーザドライバIC53の冷却効果を期待できることは言うまでもない。
【0014】
ディスク装置1としてDVD−RAM装置においては、ディスクへ情報の書き込み動作を行う際、装置内部の温度上昇が問題になる。図5はDVD−RAM装置を用いてディスクへ情報の書き込み動作を行ったときの、レーザドライバIC53と装置内部の雰囲気温度の時間履温度特性を表したものである。図中、Aは書き込み動作時におけるレーザドライバIC53の動作保証温度を表し、Bは書き込み動作時における装置内部の雰囲気温度の動作保証温度を表している。
【0015】
例えば一般のDVD−RAM装置では、動作周囲環境の温度が5度から45度の下で、安定してディスクへ情報の書き込みが行えることが要求されている。また、レーザの寿命などの性能により、レーザドライバIC53の動作保証温度は65度以下にしなければならない。しかし、レーザ発熱が大きく、実際には70度以下を目標としている。これらの条件より、装置の各部品間の熱伝導、各部品表面からの発熱も考慮して、装置内部の雰囲気温度の動作保証温度は、65度以下に設定されている。しかし従来の装置では、図5に示すように、レーザドライバIC53の温度は書き込み動作を開始すると急激に上昇し、装置の周囲温度45度環境を想定すると、レーザドライバICの動作保証温度70度を大幅に上回る90度程度という非常に高温な状態で動作している。
【0016】
このため、レーザ回路が誤動作したり、レーザ素子の寿命を縮めるといった問題が生じる。また装置内部の雰囲気温度についてもレーザドライバIC53が局所的な熱源となって、それに伴って温度が上昇し、動作保証温度を超えてしまっている。その結果、光学ヘッド装置の高精度な制御に支障をきたす可能性がある。従って、図に示す矢印のようにレーザドライバIC53および装置内温度を下げる改善が装置として不可欠である。
【0017】
一方、従来のディスク装置では、半導体レーザ52は光学系部品の性能のばらつきや位置ずれなどを補正するよう組み立て時に調整されて取付けられるため、半導体レーザ取付け部材57には、熱伝導率の低い接着層が存在する。このため、レーザドライバIC53が発する熱を、半導体レーザ取付け部材57を介して可動筐体55まで効率よく逃がすことができず、レーザドライバIC53の温度が局所的に高くなってしまう。また、図2に示す可動筐体55上の斜線部Aには、例えば高周波モジュールなどの比較的高温となる部品が設置されている。このような構成では、可動筐体55においても温度分布が生じる。
【0018】
そこで、本発明では、半導体レーザ取付け部材57に取付けられたレーザドライバIC53の発する熱が、可動筐体55の低温部分へ効率よく放熱されるように放熱構造を設けたものである。その具体的な構造の一実施例を、図1を用いて説明する。
【0019】
図1(a)は本発明の一実施例を表す前記光学ヘッド5の斜視図を表したものである。光学ヘッド5の基本的な構造は前述した図2のものと同じであるが、本実施例では、上に述べた問題を解決するために放熱構造を設けてある。図示のように、まず、レーザドライバIC53の表面に第2の熱伝導部材である熱伝導性の高い熱伝導シート82を敷いている。そして、熱伝導シート82の上から、例えば銅やアルミニウムのような熱伝導性が高い金属製の弾性を有する板ばね状の第1の熱伝導部材である放熱部材81を設けた。この放熱部材81によって、レーザドライバIC53表面と光学ヘッド可動筐体55の温度の低い部分(図2に示したA部から離れた部分)とを密着接続したものである。その具体的な放熱構造を図1(b)を用いて説明する。
【0020】
図1(b)は、前述の放熱構造部分を詳細に記した分解斜視図である。第1の熱伝導部材である放熱部材81の具体的な形状として本実施例では、図示の通り、その一端に第1の折り曲げ811、第2の折り曲げ812、および第3の折り曲げ813を設けて、レーザドライバIC53および可動筐体55に面接触し易くしてある。また、他端を可動筐体55の溝部分に合致するよう鍵爪形状815にすることで、接着部材または接合部材を用いなくても取付け易く、且つしっかりと固定できるようにしてある。さらに、放熱部材81と可動筐体55とが密着している部分に、爪状の突起814を設けることで、可動筐体55が繰り返しスライド動作をしても放熱部材81が外れないようにしてある。
【0021】
第2の熱伝導部材である熱伝導シート92の材質としては、例えばシリコンゲルや、ゴムなどが用いられる。このような構造にしたことにより、本実施例のディスク装置1では、レーザドライバIC53から発生する熱を熱伝導シート92、放熱部材81を通じて可動筐体55へ効率的に逃がすことができると共に、レーザドライバIC53と放熱部材81間の絶縁効果や、レーザドライバIC53への緩衝効果も得られる。
【0022】
また図1(b)に示すように、半導体レーザ取付け部材は、半導体レーザ52を最適な位置に調節し、固定するためにネジおよび接着剤を用いて可動筐体55に取付けられる。従って、半導体レーザ取付け部材57の一部にざぐりを有しており、回路基板56はその一部が片持ち支持される形で半導体レーザ取付け部材57に固定されることになる。本実施例では、板ばね状の放熱部材81によってレーザドライバIC53を押さえつけられるので、回路基板56の取付け強度を上げる効果も得られる。上記実施例では、レーザドライバIC53と放熱部材81との間に、第2の熱伝導部材である熱伝導シート82を挟み込んだが、放熱部材81と可動筐体55との接触面積を大きくすると共に、密着性を高めるために、放熱部材81と可動筐体との間にも熱伝導シートを挟み込んでもよい。
【0023】
本実施例では、レーザドライバIC53から可動筐体55へ熱を逃す手段として、放熱部材81とレーザドライバIC53との間に熱伝導シート82を介在させたが、レーザドライバIC53に放熱部材81を直接接触させて、熱を可動筐体55に逃す構成としてもよい。また、レーザドライバIC53から可動筐体55へ熱を逃す手段として、ばね状の放熱部材81を放熱部材81自身の押し付け力と、放熱部材81に設けた突起814によってレーザドライバIC53と可動筐体55接触面に密着固定させた。しかし、ばね状の放熱部材81の代わりに、普通の金属板を用い、接着剤やネジ止めにより固定してもよい。
【0024】
さらに、レーザドライバIC53から可動筐体55へ熱を逃す手段として、放熱部材81をディスクのある方向に延長して、放熱面を広げると共に、ディスクの風力により、放熱部材81が積極的に空冷されるようにしてもよい。また、発熱量が大きな回路基板として、レーザドライバIC53を例示したが、無論レーザドライバIC53以外の回路基板あるいは大きな熱が貯えられた部品の放熱構造に本発明を適用できる。
【0025】
加えて、可動筐体55をガイドバー63に沿ってディスクの半径方向にスライドさせるためのモータ59と図示されていない歯車列とから成る可動筐体55送り機構やガイドバー63を熱伝導率の高い部材で構成してもよい。本構成とすることで、レーザドライバIC53から可動筐体55へ伝達された熱を、さらに、ガイドバー63、光学ヘッド送り機構を介して、ユニットメカシャシ61まで円滑に逃がすことができる。従って、レーザドライバIC53からの放熱効率を上げられると共に、装置内温度を均一化することが可能になる。
【0026】
なお、従来の装置においては、ガイドバー63はステンレス材、光学ヘッド送り機構を構成する歯車はABS樹脂をそれぞれその材質としているが、ガイドバー63および光学ヘッド送り機構を構成する歯車列の全体あるいは表面に熱伝導率の高い銅やアルミ材を用いればよい。
【0027】
また、従来の装置では、レーザドライバIC53が取付けられた光学ヘッドなどの発熱性を有する装置は、防塵効果を高めて塵埃による装置寿命への悪影響を防ぐ目的から、メカベース6とトッププレート3とにより密閉されている。このように密閉された装置では装置内の上部に熱が溜まり、トッププレート3が非常に高温になる。また、メカベース6およびトッププレート3は、装置の防振性を高めるためにトップカバー2およびボトムカバー7とは直接接触しないようインシュレータを介して空間を隔てて取付けられている。このため装置ではトッププレート3とトップカバー2の間に存在する空気層のために、トッププレート3からトップカバー2への熱伝達率は非常に低く、熱が装置内部にこもってしまっていた。
【0028】
そこで本実施例では、図4に示すようにトップカバー2とトッププレート3間の空間の全体、あるいは、トッププレート3で特に高温になる箇所などの空間の一部分に熱伝導シート9を設けてある。すなわち、熱伝導シート9をトップカバー2とトッププレート3との両方に密着するように挟み込んでいる。熱伝導シート9は、装置の防振性を損なうことのないよう弾性に富んでいて、且つ熱伝導率の高い第3の熱伝導部材で形成されている。
【0029】
これにより、装置内部で発生した熱が、トッププレート3から第3の熱伝導部材である熱伝導シート9を介してトップカバー2まで効率よく伝達される。このため、トップカバー2からの放熱効果を高めることができ、装置内部の温度を下げる効果が得られる。上記実施例に代えて、熱伝導性の高い銅泊などをたるませるように、トッププレート3とトップカバー2表面に貼り付けて、トッププレート3とトップカバー2とを熱的に接続してもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、可動部である可動筐体に、半導体レーザ取付け部材を介して設置された発熱量の大きいレーザドライバICを、可動筐体と熱伝導部材で繋ぐことによってレーザドライバICから発生する熱を可動筐体に逃すことができるので、レーザドライバICの温度をその保証温度以下に抑えられる効果がある。さらに光学ヘッド送り機構を熱伝導性の高い部材で構成することで、レーザドライバICから可動筐体へ伝えられた熱を、可動筐体に取付けられた軸受けからガイドバー、光学ヘッド送り機構を介してユニットメカシャシへと円滑に逃がすことができるので、レーザドライバICからの放熱効率をより一層高めると同時に装置内温度を均一化する効果がある。
【0031】
また、トッププレートとトップカバーとの間に、熱伝導率の高い弾性部材を挟み込むことで、トッププレートからトップカバーへの熱伝達率を飛躍的に高められ、トップカバーからの放熱効率が上がり、装置内の熱を外部へ効率的に逃がす効果が得られる。これによりレーザドライバICおよび装置の内部温度を動作保証温度以下に抑えることができ、レーザ素子の寿命劣化を防ぎ、レーザ回路の安定化が図れ、信頼性の高いディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す放熱構造を備えた光学ヘッドの斜視図。
【図2】ディスク装置に搭載されている光学ヘッドの斜視図。
【図3】ディスク装置の分解斜視図。
【図4】本発明の一実施例を示す放熱構造を備えたトッププレートとトップカバーの斜視図。
【図5】書き込み時におけるディスク装置内部の温度の時間履歴。
【符号の説明】
1…ディスク装置、2…トップカバー、3…トッププレート、4…ディスクトレー、5…光学ヘッド、6…メカベース、7…ボトムカバー、9…熱伝導シート(第3の放熱部材)、31…チャッキング機構、52…半導体レーザ、53…レーザドライバIC、54…対物レンズ、55…可動筐体、56…回路基板、57…半導体レーザ取付け部材、61…ユニットメカシャシ、62…スピンドルモータ、63…ガイドバー、64…モータ、81…放熱部材(第1の放熱部材)、82…熱伝導シート(第2の放熱部材)、511…第1の滑り軸受け、512…第2の滑り軸受け、811…第1の折り曲げ、812…第2の折り曲げ、813…第3の折り曲げ、814…突起、815…鍵爪形状。
Claims (2)
- 記録媒体であるディスクを保持するためのチャッキング機構と、前記チャッキング機構が取付けられているトッププレートと、前記ディスクを回転させるためのディスク回転駆動機構と、前記ディスク上に情報を記録または再生するための記録再生用または再生専用の光学ヘッドと、前記光学ヘッドをディスクの半径方向にスライドさせるためのスライド機構とから成るディスク装置において、
前記光学ヘッドの可動筐体に備えられたレーザドライバICの基板に取り付けられている面に対峙する面と前記可動筐体とを接続する熱伝導部材と、
装置の上面を覆っているトップカバーと前記トッププレートとの間を接続する他の熱伝導部材とを有することを特徴とするディスク装置。 - 前記第1の熱伝導部材と前記レーザドライバICとの間を接続するさらなる他の熱伝導部材を有することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
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