JP4018916B2 - 燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池に関し、発電性能が良好な燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来技術】
次世代エネルギーとして、近年、燃料電池セルのスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
【0003】
図6は、従来の固体電解質型燃料電池のセルスタックを示すもので、このセルスタックは、複数の燃料電池セル1(1a、1b)を集合させ、一方の燃料電池セル1aと他方の燃料電池セル1bとの間に金属フェルトからなる集電部材5を介在させ、一方の燃料電池セル1aの燃料側電極7と他方の燃料電池セル1bの酸素側電極11とを電気的に接続して構成されていた。
【0004】
燃料電池セル1(1a、1b)は、円筒状の金属からなる燃料側電極7の外周面に、固体電解質9、導電性セラミックスからなる酸素側電極11を順次設けて構成されており、固体電解質9、酸素側電極11から露出した燃料側電極7の表面には、酸素側電極11に接続しないようにインターコネクタ13が設けられている。
【0005】
このインターコネクタ13は、燃料側電極7の内部を流れる燃料ガス(水素)と、酸素側電極11の外側を流れる酸素含有ガス(空気)とを確実に遮断するため、また、燃料ガス及び酸素含有ガスに曝されても変質しにくい緻密な導電性セラミックスが用いられている。
【0006】
一方の燃料電池セル1aと他方の燃料電池セル1bとの電気的接続は、一方の燃料電極1aの燃料側電極7を、該燃料側電極7に設けられたインターコネクタ13、集電部材5を介して、他方の燃料電池セル1bの酸素側電極11に接続することにより行われていた。
【0007】
燃料電池は、上記セルスタックを収納容器内に収容して構成され、燃料側電極7内部に燃料(水素)を流し、酸素側電極11に酸素含有ガス(空気)を流して600〜1000℃で発電される。
【0008】
燃料電池セル1で発電された電流は、他方の燃料電池セル1bの酸素側電極11から一方の燃料電池セル1aの燃料側電極7に流れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した燃料電池セル1では、円筒状の燃料側電極7の内部には一つのガス通過孔15が形成されており、その内部を燃料ガスが流れるが、ガス通過孔15内の燃料ガスは、流体力学上、燃料側電極7の内壁面近傍での流通量はガス通過孔15中央部よりも少なく、固体電解質9への燃料ガス供給量が未だ低く、燃料ガスを有効に利用していないという問題があった。
【0010】
また、上記した燃料電池セル1では、発電電流が円周方向に形成された電極面に沿って流れるため、電流の進路が長くなり、内部抵抗が大きくなるという問題があった。
【0011】
このような内部抵抗を小さくするため、従来、板状の電極基体に固体電解質、電極を順次積層するとともに、電極基体に複数の貫通口(ガス通過孔)を形成することにより、発電電流が電極基体の隣接するガス通過孔間を流れ、電流経路を短くし、内部抵抗を小さくすることがなされている(特開平5−36417号公報)。
【0012】
しかしながら、このような燃料電池セルでも、上記したように、それぞれガス通過孔に導入されたガスは、ガス通過孔の中央部で流れやすいものの、電極基体内壁面近傍への供給が少ないため、固体電解質への供給量が少なく、ガス利用効率が低いという問題があった。
【0013】
また、ガス通過孔間の距離が大きいため、さらに、ガス通過孔間の仕切部がガス流通方向に連続して形成されていたため、隣設するガス通過孔間における固体電解質への供給量が少なく、例えば、電極基体に水素を流して発電する場合、電極基体が還元されにくく、電極基体の導電性が低く、発電性能が低いという問題があった。
【0014】
本発明は、電極における内部抵抗を小さくできるとともに、内側電極内部のガス通過孔を通過するガスを有効利用できる燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池セルは、軸長方向にガス通過孔が形成された内側電極と、該内側電極表面に形成された固体電解質と、該固体電解質表面に形成された外側電極とを具備するとともに、前記内側電極のガス通過孔内に、前記内側電極の対向する内面同士を連結する複数の導電性柱状体を、軸長方向に点在させて設けてなることを特徴とする。
【0016】
このような燃料電池セルでは、内側電極のガス通過孔内に、対向する内面同士を連結する複数の導電性柱状体を設けたので、ガスはガス通過孔を流れるが、導電性柱状体によって拡散され、ガス通過孔を形成する内側電極表面への供給量を増加でき、これにより内側電極から固体電解質表面への供給量を増加でき、ガス通過孔を通過するガスを有効利用でき、発電性能を向上できる。また、導電性柱状体によってガスが拡散されるため、また、導電性柱状体はガス通過孔の軸長方向に点在するため、内側電極側に水素等の燃料ガスを流して発電する場合、内側電極の還元を十分に行うことができるとともに、従来のように、ガス通過孔間の仕切部がガス流通方向に連続して形成されていないため、この部分に燃料ガスを十分に供給できることから、発電性能を向上できる。
【0017】
さらに、発電電流は、内側電極の対向する内面同士を連結する複数の導電性柱状体を流れ、これにより簡単な構造で電流経路を短くできるため内部抵抗を小さくでき、電圧勾配を小さくすることができる。
【0018】
また、本発明の燃料電池セルでは、固体電解質及び外側電極が形成されていない内側電極の表面にインターコネクタが形成されていることを特徴とする。このような燃料電池セルでは、内側電極の対向する内面同士を連結する複数の導電性柱状体を介してインターコネクタから電流を取り出すことができ、電流経路を短くして内部抵抗を小さくできる。
【0019】
また、本発明の燃料電池セルでは、内側電極が扁平状であることが望ましい。内側電極が扁平状である場合には内側電極の周方向の距離が長いため、内側電極の対向する部分間の電流経路が長くなる傾向にあるため、本発明を好適に用いることができる。
【0020】
支持体としての内側電極が扁平状であるため、セル自体も扁平状となり、これにより、所定発電電流を得るために必要なセルスタック容積を小さくでき、燃料電池のコンパクト化を図ることができる。
【0021】
ここで、内側電極のガス通過孔が扁平状であり、導電性柱状体は、短径方向に対向する内側電極の内面同士を連結していることが望ましい。扁平状のガス通過孔を流れるガスは長径方向を通過しにくいが、導電性柱状体によりガスをガス通過孔内における長径方向へも十分に拡散でき、ガス通過孔を通過するガスを有効利用できる。
【0022】
また、本発明の燃料電池セルでは、導電性柱状体は、内側電極の軸長方向に対して千鳥状に設けられることが望ましい。これにより、ガス通過孔を通過するガスの拡散を十分に行うことができ、ガスを有効利用できる。
【0023】
本発明のセルスタックは、上記燃料電池セルが複数集合してなるものである。また、本発明の燃料電池は、上記セルスタックを収納容器内に収容してなるものである。このような燃料電池では、燃料電池セルが、内側電極における内部抵抗を小さくできるとともに、内側電極のガス通過孔を通過するガスを有効利用できるため、発電量を大きくすることができ、またガス使用量を低減できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の燃料電池セルの斜視図を示すもので、燃料電池セルは扁平状とされている。この燃料電池セルは、扁平状の多孔質な金属を主成分とする燃料側電極21(内側電極)の一方側の外面に、緻密質な固体電解質23、多孔質な導電性セラミックスからなる酸素側電極25(外側電極)を順次積層し、燃料側電極21の他方側の外面にインターコネクタ27を積層して構成されており、燃料側電極21が支持体となっている。
【0025】
燃料側電極21は長尺状であり、その内部には軸長方向に一つの燃料ガス通路28が形成されている。燃料ガス通路28は扁平状とされている。尚、燃料側電極21は扁平状である必要はなく、円筒状、楕円筒状であっても良く、四角筒状であっても良いが、扁平状である場合には発電する面積を増加させることができる。
【0026】
燃料側電極21は、Ni、Co、Ti、Ruのうちいずれか一種の金属又は金属酸化物、もしくはこれらの合金又は合金酸化物を主成分とするものであり、これら以外に、外面の固体電解質23との接合強度を向上し、固体電解質23の熱膨張係数に近似させるため、固体電解質材料を含有することが望ましい。金属又は金属酸化物としては、コストの観点からNi又はNiOが望ましい。
【0027】
燃料側電極21の外面に設けられた固体電解質23は、3〜15モル%のY、希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrO2からなる緻密質なセラミックスが用いられている。燃料側電極21と固体電解質23との間には、燃料側電極21との接合強度を向上するため、緻密層からなる接合層を介在させても良い。この固体電解質23の厚みは、ガス透過を防止するという点から10〜100μmであることが望ましい。
【0028】
また、酸素側電極25は、LaMnO3系材料、LaFeO3系材料、LaCoO3系材料の少なくとも一種の多孔質の導電性セラミックスから構成されている。酸素側電極25は、600〜1000℃程度の比較的低温での電気伝導性が高いという点からLaFeO3系材料が望ましい。酸素側電極25の厚みは、集電性という点から30〜200μmであることが望ましい。
【0029】
そして、燃料側電極21外面の一部には、その軸長方向に固体電解質23及び酸素側電極25が形成されていない部分を有しており、この露出した燃料側電極21の外面には、導電性セラミックスからなるインターコネクタ27が形成されている。
【0030】
このインターコネクタ27の厚みは、緻密性と電気抵抗という点から30〜200μmであることが望ましい。インターコネクタ27は、LaCrO3系材料の導電性セラミックスから構成されている。インターコネクタ27は、燃料側電極21の内外の燃料ガス、酸素含有ガスの漏出を防止するため緻密質とされており、また、インターコネクタ27の内外面は、燃料ガス、酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有している。
【0031】
このインターコネクタ27の端面と固体電解質23の端面との間には、シール性を向上すべく接合層を介在させても良い。
【0032】
そして、本発明の燃料電池セルでは、図1及び図2に示すように、燃料側電極21のガス通過孔28内には、燃料側電極21の対向する内面同士を連結する複数の導電性柱状体29が設けられている。これらの導電性柱状体29は、燃料側電極21と同一材料で形成されており、多孔質とされている。
【0033】
即ち、燃料側電極21は、断面形状が、幅方向両端に設けられた弧状部21aと、これらの弧状部21aを連結する一対の平坦部21bとから構成されており、一対の平坦部21bは平坦であり、ほぼ平行に形成されている。従って、燃料側電極21には、断面形状が、燃料側電極21の外形形状に相似する一つのガス通過孔28が形成されている。
【0034】
上記した導電性柱状体29は、一対の平坦部21b間を連結するように複数配置されており、短径方向に対向する燃料側電極21の内面同士が連結されている。尚、ここでは、平坦部21b間を短径とし、弧状部21a間を長径とした。導電性柱状体29は、燃料側電極21の軸長方向に対して千鳥状に配置されている。
【0035】
尚、導電性柱状体29は導電性を有していれば、燃料側電極21と同一材料で形成する必要は必ずしもなく、また、多孔質とする必要もない。
【0036】
以上のような燃料電池セルの製造方法について説明する。先ず、例えば、NiO粉末と、Yを含有したZrO2(YSZ)粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合した燃料側電極材料をシート状に成形し、図3に示すように、このシート状成形体31に、該シート状成形体31と同一材料からなる複数の柱状成形体32を配置し、前記シート状成形体31を折り返し、端面同士を接続して燃料側成形体を作製し、これを乾燥する。
【0037】
次に、例えば、YSZ粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合した、固体電解質材料を用いてシート状成形体を作製し、このシート状成形体を、燃料側電極成形体上に、その両端間が所定間隔をおいて離間するように巻き付け、乾燥する。
【0038】
この後、例えば、LaCrO3系材料と、有機バインダーと、溶媒とを混合した、インターコネクタ材料を用いてシート状成形体を作製し、このシート状成形体を、露出した燃料側電極成形体の外面に積層し、燃料側電極成形体の外面に固体電解質のシート状成形体、インターコネクタのシート状成形体が積層された積層成形体を作製する。
【0039】
次に、積層成形体を脱バインダ処理し、酸素含有雰囲気中で1300〜1600℃で同時焼成し、この積層体を、例えば、LaFeO3系材料と、溶媒を含有するペースト中に浸漬し、固体電解質の表面に酸素側電極成形体をディッピングにより形成し、1000〜1300℃で焼き付けることにより、本発明の燃料電池セルを作製できる。尚、NiOを主成分とする燃料側電極21、導電性柱状体29は、発電前に還元したり、或いは発電中に還元される。
【0040】
以上のように構成された燃料電池セルでは、燃料ガス通路28内に、例えば水素からなる燃料ガスを供給し、酸素側電極25側に、例えば空気を供給することにより、発電することになる。
【0041】
そして、本発明の燃料電池セルでは、ガス通過孔28を通過する燃料ガスを導電性柱状体29により拡散して、燃料側電極21の内面側への供給量を多くでき、発電特性を向上できるとともに、対向する平坦部21b間を導電性柱状体29により連結したので、電流が導電性柱状体29を介してインターコネクタに27に流れるため、電流経路を短くでき、内部抵抗を小さくでき、またセル強度を向上できる。さらに、導電性柱状体29はガス流通方向に点在しているため、燃料側電極21、導電性柱状体29の還元を十分に行うことができるとともに、導電性柱状体29と燃料電極21との接合部分は少ないため、燃料側電極21に燃料ガスを十分に供給でき、発電性能を向上できる。
【0042】
尚、上記形態では、燃料側電極21にインターコネクタ27を形成したが、インターコネクタを形成せず、固体電解質、酸素側電極を全周面に形成しても良い。また、上記形態では、一つの燃料ガス通過孔28に導電性柱状体29を形成したが、複数の燃料ガス通過孔を有する燃料電池セルに導電性柱状体を設けても良い。さらに、上記形態では、燃料側電極21を内側電極としたが、酸素側電極を内側電極としても良い。
【0043】
本発明のセルスタックは、図4に示すように、上記した複数の燃料電池セル33が複数集合してなり、一方の燃料電池セル33と他方の燃料電池セル33との間に、金属フェルト及び/又は金属板からなる集電部材45を介在させ、一方の燃料電池セル33の燃料側電極21を、該燃料側電極21に設けられたインターコネクタ27、集電部材45を介して他方の燃料電池セル33の酸素側電極25に電気的に接続して構成されている。集電部材45は、耐熱性、耐酸化性、電気伝導性という点から、Pt、Ag、Ni基合金、Fe−Cr鋼合金の少なくとも一種からなることが望ましい。
【0044】
本発明の燃料電池は、図4のセルスタック47を収納容器内に収容して構成されている。図5は本発明の燃料電池を示すもので、符号51は断熱構造を有する収納容器を示している。この収納容器51の内部には、複数の燃料電池セル33が集合したセルスタック47と、セルスタック47の上方に隣接した燃焼室53と、この燃焼室53を挿通する酸素含有ガス供給管55と、燃焼室53の上方に設けられた熱交換部57とから構成されている。
【0045】
収納容器51は、耐熱性金属からなる枠体51aと、この枠体51aの内面に設けられた断熱材51bとから構成されている。
【0046】
セルスタック47は、図4に示したように、複数の燃料電池セル33を3列に整列させ、隣設した2列の最外部の燃料電池セル33の電極同士が導電部材59で接続され、これにより3列に整列した複数の燃料電池セル33が電気的に直列に接続している。
【0047】
複数の燃料電池セル33の上下端部は、図5に示したように支持部材65、67に支持固定され、これにより燃料電池セル33が支持固定されている。支持部材65、67は、収納容器51を上下方向に仕切る隔壁の役割を兼ねており、支持部材65、67間における燃料電池セル33の部分が発電する部分であり、支持部材65、67間が発電室69とされている。
【0048】
セルスタック47の下方には、燃料ガスをセルスタック47に供給するための燃料ガス供給管71が設けられ、この燃料ガス供給管71には、燃料ガスを燃料電池セル33の燃料ガス通路28に供給する分岐管72が形成されている。
【0049】
また、燃料ガス供給管71の下方には燃料電池セルを直接加熱するためのバーナー用ガス供給管73が配置されており、このバーナー用ガス供給管73には、発電室69の下方で燃焼するための複数のバーナー分岐管75が設けられ、これらのバーナー分岐管75の先端部が支持部材67に固定されている。発電室69には、起動時にバーナー分岐管75から噴出される燃焼ガスに着火するため着火源が設けられている。また、燃焼室53においても、起動時に着火するための着火源が設けられている。
【0050】
燃焼室53を挿通する酸素含有ガス供給管55は支持部材65を挿通し、その先端部が発電室69の下部であって燃料電池セル33間に位置している。発電で用いられなかった余剰の酸素含有ガスは、支持部材65に設けられた余剰ガス噴出孔77から燃焼室53内に噴出するように構成されている。
【0051】
熱交換部57は、熱交換器57aと、燃焼室53を介してセルスタック47に対向して設けられた酸素含有ガス収容室57bとから構成されている。
【0052】
熱交換器57aは、平板と波板を交互に積層したプレートフィン型構造とされている。
【0053】
燃焼室53内で発生した燃焼ガスは、図5に一点鎖線で示したように熱交換器57aの下部側面から導入され、熱交換器57aの上方へ排出され、一方、酸素含有ガスは配管83により、図5に破線で示したように熱交換器57aの上部側面から導入され、熱交換器57aの下方へ導かれ、酸素含有ガス収容室57b内に導入される。
【0054】
酸素含有ガス収容室57bは、熱交換器57aの酸素含有ガスが導入される側の端面、即ちセルスタック側端面に設けられており、波板の各通路を通過した酸素含有ガスが一旦収容されるようになっている。酸素含有ガス収容室57bには、複数の酸素含有ガス供給管55が連通している。
【0055】
酸素含有ガス収容室57bの側面と断熱材51bとの間、即ち酸素含有ガス収容室57bの周囲は、燃焼室53中の燃焼ガスを熱交換器57aに導入する燃焼ガス導入口85とされている。この燃焼ガス導入口85を介して燃焼ガスが熱交換器57aの波板の通路へ導出される。
【0056】
以上のように構成された燃料電池では、外部からの酸素含有ガス(例えば空気)を配管83により熱交換器57aに導入し、酸素含有ガス収容室57bに導入し、酸素含有ガス供給管55を介して発電室69のセル間に噴出させるとともに、燃料ガス(例えば水素)を燃料ガス供給管71を介して燃料電池セル33の燃料ガス通路28内に供給し、発電室69におけるセル33において発電させる。
【0057】
発電に用いられなかった余剰の燃料ガスは燃料ガス通路28の上端から燃焼室53内に噴出し、発電に用いれらなかった余剰の酸素含有ガスは、余剰ガス噴出孔77から燃焼室53内に噴出し、余剰の燃料ガスと余剰の酸素含有ガスを反応させて燃焼させ、燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスが燃焼ガス導入口85を介して熱交換器57aに導出され、熱交換器57aの上端から排出される。
【0058】
本発明の燃料電池では、発電に寄与しなかった余剰の燃料ガスと酸素含有ガスが燃焼室53内に導入され、この燃焼室53中で反応して燃焼し、この燃焼ガス及び外部の酸素含有ガスを熱交換器57aに導入し、この熱交換器57aで燃焼ガスと酸素含有ガスとの間で熱交換し、酸素含有ガスを予熱することができるため、燃料電池セル33を加熱して実質的に発電するまでの起動時間を大幅に短縮できる。
【0059】
さらに本発明では、セルスタック47の上部に燃焼室53、酸素含有ガス収容室57b、熱交換器57aが隣接して形成されているため、燃焼室53で燃焼した高温の燃焼ガスを、配管等を用いることなく熱交換器57aに直接導入でき、簡単な構造で酸素含有ガスの予熱効率を大きくできる。
【0060】
また、収納容器51内で、燃焼ガスと酸素含有ガスとを熱交換できるため、酸素含有ガスの予熱を行うためのバーナーを別途設ける必要がなく、小型にでき、しかも燃焼ガスを有効利用できる。
【0061】
さらに、熱交換器57aに酸素含有ガス収容室57bを設けたので、熱交換器57aと酸素含有ガス供給管55との接続を酸素含有ガス収容室57bを介して行うことができ、熱交換器57aからの酸素含有ガスを発電室69内に確実に供給できる。
【0062】
また、燃料電池セル33を直接加熱するためのバーナー分岐管75を設けたので、起動時にバーナー分岐管75の先端から噴出されるガスを燃焼させ、燃料電池セル33を直接加熱することができ、燃料電池セル33を直接加熱して発電する温度まで急速に加熱でき、起動時間をさらに短縮できる。
【0063】
尚、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0064】
【発明の効果】
本発明の燃料電池セルでは、内側電極のガス通過孔内に、対向する内面同士を連結する複数の導電性柱状体を、軸長方向に点在させて設けたので、発電電流は、内側電極の対向する内面同士を連結する複数の導電性柱状体を流れ、これにより簡単な構造で電流経路を短くでき、電圧勾配を小さくすることができるとともに、ガスはガス通過孔を流れるが導電性柱状体によって拡散されるため、内側電極へのガス供給を十分に行うことができ、ガス通過孔を通過するガスを有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池セルの斜視図である。
【図2】図1の断面斜視図である。
【図3】燃料側電極の作製方法を説明するための斜視図である。
【図4】本発明のセルスタックを示す横断面図である。
【図5】本発明の燃料電池を示す説明図である。
【図6】従来のセルスタックを示す横断面図である。
【符号の説明】
21・・・燃料側電極(内側電極)
23・・・固体電解質
25・・・酸素側電極(外側電極)
27・・・インターコネクタ
28・・・ガス通過孔
29・・・導電性柱状体
33・・・燃料電池セル
51・・・収納容器
Claims (7)
- 軸長方向にガス通過孔が形成された内側電極と、該内側電極表面に形成された固体電解質と、該固体電解質表面に形成された外側電極とを具備するとともに、前記内側電極のガス通過孔内に、前記内側電極の対向する内面同士を連結する複数の導電性柱状体を、軸長方向に点在させて設けてなることを特徴とする燃料電池セル。
- 前記固体電解質及び前記外側電極が形成されていない前記内側電極の表面に、インターコネクタが形成されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池セル。
- 前記内側電極が扁平状であることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池セル。
- 前記内側電極のガス通過孔が扁平状であり、前記導電性柱状体は、短径方向に対向する前記内側電極の内面同士を連結していることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の燃料電池セル。
- 前記導電性柱状体は、前記内側電極の軸長方向に対して千鳥状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の燃料電池セル。
- 請求項1乃至5のうちいずれかに記載の燃料電池セルが複数集合してなることを特徴とするセルスタック。
- 請求項1乃至5のうちいずれかに記載の燃料電池セルを収納容器内に複数収納してなることを特徴とする燃料電池。
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