JP4859413B2 - セルスタック及び燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、セルスタック及び燃料電池に関する。
次世代エネルギーとして、近年、複数の燃料電池セルからなるスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
図8は従来の中空平板型の固体電解質形燃料電池セルのセルスタックを示すもので、このセルスタックは、複数の燃料電池セル223(223a、223b)を集合させ、一方の燃料電池セル223aと他方の燃料電池セル223bとの間に、金属部材などからなる集電部材225を介在させ、一方の燃料電池セル223aの外側電極(空気極層)228と他方の燃料電池セル223bの内側電極(燃料極層)227とを電気的に接続して構成されていた。
燃料電池セル223(223a、223b)は、扁平状の内側電極227の外周面に、固体電解質層229、外側電極228を順次設けて構成されており、固体電解質層229、外側電極228から露出した内側電極227には、外側電極228に接続しないようにインターコネクタ230が設けられている。内側電極227内にはガス流路を構成する複数のガス通過孔232が形成されている。
一方の燃料電池セル223aと他方の燃料電池セル223bとの電気的接続は、他方の燃料電池セル223bの内側電極227を、該内側電極227に設けられたインターコネクタ230、集電部材225を介して、一方の燃料電池セル223aの外側電極228に接続することにより行われていた(例えば特許文献1、2参照)。
特開平1−169878号公報 特開2003−282101号公報
しかしながら、上記従来の燃料電池セルでは、外側電極(空気極層)228は、多孔質の導電性セラミック材料から構成されているため、未だ導電率が低く、この外側電極228に接続される集電部材225による集電特性が低くなるという問題があった。
また、燃料電池セルの外側電極228には、集電部材225が接合材料により接合されるが、外側電極228は多孔質であり、外側電極228が固体電解質層229から剥離し易く、もしくは集電部材225が外側電極層228から剥離し易いという問題があった。これにより、集電部材225による集電特性が低くなるという問題があった。
本発明は、電極層からの電流を十分に引き出すことができる燃料電池セルを用いたセルスタック及び燃料電池を提供することを目的とする。
本発明のセルスタックは、中空平板型又は円筒型であって、固体電解質層の内面に多孔質の内側電極層を、外面に多孔質の外側電極層を設け、前記固体電解質層に、前記外側電極層に電気的に接続し前記外側電極層よりも高い電子導電率を有する高導電率層を接合して設け、かつ、前記内側電極層にインターコネクタを電気的に接続して設けた単一のセルを有する燃料電池セルを、軸長方向に平行に複数所定間隔を置いて並列配置し、一方の前記燃料電池セルのインターコネクタと、隣設する他方の前記燃料電池セルの外側電極層とを、前記一方の燃料電池セルと前記他方の燃料電池セルとの間に配置された集電部材を、前記一方の燃料電池セルのインターコネクタと前記他方の燃料電池セルの外側電極層に電気的に接続した高導電率層とに接合することにより電気的に接続してなることを特徴とする。このようなセルスタックでは、上記したように、高導電率層の固体電解質層への接合強度、集電部材への接合強度を高くすることが可能となり、集電部材により、一方の燃料電池セルの酸素極層と他方のインターコネクタとを確実に接合することができる。
即ち、従来、一方の燃料電池セルの酸素極層と他方の燃料電池セルのインターコネクタとの間に集電部材を介装し、集電部材と酸素極層、インターコネクタが接合材料により接合されていたが、酸素極層自身は酸素を取り込む必要があるため、多孔質であり、酸素極層の強度が十分ではなく、結果的に集電部材と酸素極層、酸素極層と固体電解質層との接合強度が不十分となり、集電部材の剥離等が発生しやすいという問題があった。また、燃料電池セルはその製造工程や発電中に反りや傾斜が発生したり、熱膨張の差による変位が発生する場合があり、この場合に、集電部材の酸素極層への接合強度が不十分であると、集電部材がセルから剥離してしまい、燃料電池の電圧劣化の原因となるという問題があった。
さらに、酸素極層は多孔質であり、固体電解質層との接合が十分でないため、例えば、導電性セラミックスからなる酸素極層にAgペーストを塗布して酸素極層の上層部に高導電率層を形成することも考えられるが、この場合においては、固体電解質層とは多孔質の酸素極層が接合されることになり、高導電率層が剥離し易いが、本発明によれば、高導電率層が、空気極層を介在せずに固体電解質層に接合しているため、高導電率層の固体電解質層からの剥離を防止でき、これにより酸素極層の固体電解質からの剥離も防止できる。
このような燃料電池セルを、複数所定間隔を置いて配置し、一方の燃料電池セルのインターコネクタと、隣設する他方の燃料電池セルの外側電極とを一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セルとのに配置された集電部材を、一方の燃料電池セルのインターコネクタと他方の燃料電池セルの外側電極層に電気的に接続した高導電率層とに接合することによりセルスタックを構成するこのようなセルスタックでは、高導電率層が固体電解質層に接合し、この高導電率層に集電部材が接合されることになるため、高導電率層を酸素極層よりも緻密質とすることができ、高導電率層の固体電解質層への接合強度、集電部材への接合強度を高くすることが可能となり、集電部材により、一方の燃料電池セルの酸素極層と他方のインターコネクタとを確実に接合することができる。
また、本発明のセルスタックは、中空平板型又は円筒型であって、環状の固体電解質層の内面に多孔質の内側電極層を、外面に多孔質の外側電極層を設け、前記固体電解質層に、前記外側電極層に電気的に接続し前記外側電極層よりも高い電子導電率を有する高導電率層を接合して設け、かつ、前記外側電極層と前記高導電率層とで前記固体電解質層を取り囲んでいる単一のセルを有する燃料電池セルを、軸長方向に平行に複数所定間隔を置いて並列配置し、一方の前記燃料電池セルの内側電極層と、隣設する他方の前記燃料電池セルの外側電極層とを、前記一方の燃料電池セルと前記他方の燃料電池セルとの間に配置された集電部材を、前記一方の燃料電池セルの端部における内側電極層と前記他方の燃料電池セルの外側電極層に電気的に接続した高導電率層とに接合することにより、前記燃料電池セルの端部にて電気的に接続してなることを特徴とする。このようなセルスタックでは、軸長方向に形成された軸長方向高導電率層を設けることにより、燃料電池セルの一方の端部で発生した電流は、高導電率層を介して他方の端部まで流れ、一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セル間の集電部材を介して電気的に接続するため、燃料電池セル間の電気抵抗が小さくなり、発電性能を向上することができる。
このようなインターコネクタレスタイプの燃料電池セルでは、柱状の燃料電池セルの端部にて、隣設する燃料電池セル同士を電気的に接続するものであるが、従来、例えば、多孔質の導電性セラミックスからなる酸素極層を発生した電流が流れるため、酸素極層の抵抗が未だ大きいことに起因して、燃料電池セルの一方の端部で発生した電流を他方の端部まで流す際の電気抵抗が大きく、発電性能が低下する傾向にあったが、本発明では、軸長方向に形成された軸長方向高導電率層を設けることにより、燃料電池セルの一方の端部で発生した電流は、高導電率層を介して他方の端部まで効率良く流れ、電気抵抗が小さくなり、発電性能を向上することができる。
さらに、本発明の燃料電池セルは、前記高導電率層は、軸長方向に形成された軸長方向高導電率層であることを特徴とする。このような燃料電池セルでは、燃料電池セルの軸長方向端部にて発生した電流を、軸長方向高導電率層により有効に引き出すことができる。
さらにまた、本発明の燃料電池セルは、前記外側電極層の周方向に、前記軸長方向高導電率層に接続された周方向高導電率層が形成されていることを特徴とする。このような燃料電池セルでは、燃料電池セルの周方向で発生した電流を、周方向高導電率層、軸長方向高導電率層を介して効果的に引き出すことができる。
本発明の燃料電池は、収納容器内に上記セルスタックを収納してなることを特徴とする。このような燃料電池では、セルスタックにおける電気抵抗が小さいため、発電性能を向上できる。
本発明のセルスタックでは、燃料電池セルの固体電解質層に、電極層に接続しかつこの電極層よりも高い導電率を有する高導電率層を接合して設け、この高導電率層を用いて、一方の燃料電池セルと隣設する他方の燃料電池セルとを電気的に接続したので、発生した電流が高導電率層を流れ、この高導電率層を介して引き出すことができ、電極層からの電流を十分に引き出すことができる。
以下、本発明の燃料電池を、図1〜4を用いて説明する。図1は燃料電池の断面図、図2は燃料電池の上方平面図、図3は燃料電池内に収容される発電ユニット集合体を示す斜面図、図4はセルスタックの横断面図である。
本発明の燃料電池は略直方体形状のハウジング(収納容器)2を具備している。このハウジング2の6個の壁面には適宜の断熱材料から形成された断熱壁、即ち上断熱壁4、下断熱壁6、右側断熱壁8、左側断熱壁9、前断熱壁10及び後断熱壁11が配設されている。ハウジング2内には発電・燃焼室12が規定されている。
前断熱壁10及び/又は後断熱壁11は着脱自在或いは開閉自在に装着されており、前断熱壁10及び/又は後断熱壁11を離脱或いは開動せしめることによって発電・燃焼室12内にアクセスすることができる。所望ならば、各断熱壁の外面に金属板製でよい外壁を配設することができる。
ハウジング2内の上端部には空気室(ガス室)16が配設されている。空気室16は上下方向寸法が比較的小さい直方体形状のケース17内に規定されている。空気室16には、発電・燃焼室に向かって空気(酸素含有ガス)を送り込むための空気導入管(ガス供給手段)22が連通している。空気導入管22は複数本あり、その形状は円筒や中空板構造などが考えられる。空気導入管22は後述するセルスタック間に配置されており、セルの下端部において開口し、この開口部から空気が噴出する構造となっている。空気導入管22はセラミックスなどの耐熱性の高い材料で作製するのが好適である。
また、空気室16には、低温ガス供給管18からなる低温ガス供給手段が設けられており、この低温ガス供給管18は、上断熱壁4を貫通し、外部に延設されている。
この低温ガス供給管18は、空気室16内に供給されるガスと同一種、即ち、低温の空気を空気室16内に供給するものであり、低温ガス供給管18により供給される空気は、予熱された空気の温度よりも低温である必要がある。特には、室温程度が望ましい。
低温ガス供給管18は、図2に示すように、発電ユニット56a、56b、56c及び56d、即ち、燃料電池セル集合体の中央部を冷却するような空気室16の位置に接続されている。
ハウジング2の両側部、更に詳しくは右側断熱壁8の内側及び左側断熱壁9の内側には、全体として平板形状である熱交換器24が配設されている。熱交換器24の各々は実質上鉛直に延在する中空平板形態のケース26から構成されている。
かかるケース26内にはその横方向中間に位置する仕切板28が配設されており、ケース26内は内側に位置する排出路30と外側に位置する流入路32とに区画されている。排出路30内には上下方向に間隔をおいて3枚の仕切壁34及び36が配置されている。更に詳述すると、排出路30内には、その前縁はケース26の前壁(図示していない)から後方に離隔して位置するがその後縁はケース26の後壁(図示していない)に接続されている形態の仕切壁34と、その前縁はケース26の前壁に接続されているがその後縁はケース26の後壁から前方に離隔して位置せしめられている仕切壁36とが交互に配置されており、かくして燃焼ガス排出路30はジグザグ形態にせしめられている。なお、所望ならばジグザグ形態の流路以外の形態でも良い。
同様に、流入路32内にも上下方向に間隔をおいて3枚の仕切壁38及び40、即ちその前縁はケース26の前壁(図示していない)から後方に離隔して位置するがその後縁はケース26の後壁(図示していない)に接続されている形態の仕切壁38と、その前縁はケース26の前壁に接続されているがその後縁はケース26の後壁から前方に離隔して位置せしめられている仕切壁40とが交互に配置されており、かくして流入路32もジグザグ形態にせしめられている。なお、所望ならばジグザグ形態の流路以外の形態でも良い。
ケース26の内側壁の上端部には排出開口42が形成されており、排出路30は排出開口42を介して発電・燃焼室12と連通せしめられている。図示の実施形態においては、熱交換器24の各々と発電・燃焼室12との間には断熱部材44が配設されているが、かかる断熱部材44の上端は排出開口42の下縁と実質上同高乃至これより幾分下方に位置せしめられており、排出開口42は断熱部材44の上方に残留せしめられている空間を通して発電・燃焼室12に連通せしめられている。
ケース26の上壁における外側部には流入開口48が形成されており、流入路32はかかる流入開口48を介して空気室16に連通せしめられている。熱交換器24の各々の後方には上下方向に細長く延びる二重筒体50(図1にその上端部のみを図示している)が配設されており、かかる二重筒体50は外側筒部材52と内側筒部材54とから構成されている。排出路30の下端部は外側筒部材52と内側筒部材54との間に規定されている排出路の下端部に接続されており、流入路32の下端部は内側筒部材54内に規定されている流入路に接続されている。
上述した発電・燃焼室の下部には4個の発電ユニット56a、56b、56c及び56dが配置されている。発電ユニット56a、56b、56c及び56dは、夫々、上述した空気導入管22間に位置せしめられている。図1、2と共に、図3を参照して説明を続けると、発電ユニット56aは前後方向(図1において紙面に垂直な方向)に細長く延びる直方体形状の燃料ガスケース58aを具備している。
燃料ガス室を規定している燃料ガスケース58aの上面上にはセルスタック60aが装着されている。セルスタック60aは上下方向に細長く延びる板状でかつ柱状の直立セル62を燃料ガスケース58aの長手方向(即ち図1では紙面に垂直な方向)に複数個縦列配置して構成されている。
セル62は、図4に示すように、電極支持基板64、内側電極層である燃料極層66、固体電解質層68、外側電極層である酸素極層70、及びインターコネクタ72を具備して構成されている。
電極支持基板64は細長く延びる柱状(薄板柱状片)であり、平坦な両面と半円形状の両側面を有する。電極支持基板64にはこれを軸長方向に貫通する複数個(図示の場合は6個)の燃料ガス通路74が形成されている。電極支持基板64の各々は燃料ガスケース58aの上壁上に、例えば耐熱性に優れたセラミック接着剤によって接合される。
燃料ガスケース58aの上壁には図1において紙面に垂直な方向に間隔をおいて左右方向に延びる複数個のスリット(図示していない)が形成されており、電極支持基板64の各々に形成されている燃料ガス通路74がスリットの各々に従って燃料ガス室に連通せしめられる。
インターコネクタ72は電極支持基板64の片面上に配設されている。燃料極層66は電極支持基板64の他面及び両側面に配設されており、その両端はインターコネクタ72の両端に接合せしめられている。固体電解質層68は燃料極層66の全体を覆うように配設され、その両端はインターコネクタ72の両端に接合せしめられている。酸素極層70は、固体電解質層68の主部上、即ち電極支持基板64の他面を覆う部分上に配置され、電極支持基板板64を挟んでインターコネクタ72に対向して位置せしめられている。
セルスタック60aにおける隣接するセル62間には集電部材76が配設されており、一方のセル62のインターコネクタ72と他方のセル62の酸素極層70とを接続している。セルスタック60aの両端、即ち図4において上端及び下端に位置するセル62の片面及び他面にも集電部材76が配設され、セルスタック60aの両端に位置する集電部材76には導電部材が接続され、かかる導電部材により、セルスタック60a、60b、60c及び60dは相互に直列接続されている。
セル62について更に詳述すると、図5に示すように、電極支持基板64は燃料ガスを燃料極層66まで透過させるためにガス透過性であること、そしてまたインターコネクタ72を介して集電するために導電性であることが要求され、かかる要求を満足する多孔質の導電性セラミック(若しくはサーメット)から形成することができる。
燃料極層66及び/又は固体電解質層68との同時焼成によりセル62を製造するためには、鉄属金属成分と特定希土類酸化物とから電極支持基板64を形成することが好ましい。所要ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35乃至50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は300S/cm以上、特に440S/cm以上であるのが好ましい。
燃料極層66は多孔質の導電性セラミック、例えば希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニアを称されている)とNi及び/又はNiOとから形成することができる。
固体電解質層68は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと空気とのリークを防止するためにガス遮断性を有するものであることが必要であり、通常、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrOから形成されている。
酸素極層70は所謂ABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電セラミックから形成することができる。酸素極層70はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。
インターコネクタ72は導電性セラミックから形成することができるが、水素ガスでよい燃料ガス及び空気と接触するため、耐還元性及び耐酸化性を有することが必要であり、このためにランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が好適に使用される。インターコネクタ72は電極支持基板64に形成された燃料ガス通路74を通る燃料ガス及び電極支持基板64の外側を流動する空気のリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが望まれる。
集電部材76は弾性を有する金属又は合金から形成された適宜の形状の部材或いは金属繊維又は合金繊維から成るフェルトに所要表面処理を加えた部材から構成できる。
そして、燃料電池セルは、固体電解質層68に、酸素極層70に電気的に接続しこの酸素極層70よりも高い導電率を有する軸長方向高導電率層91が接合して設けられている。即ち、酸素極層70は、図6(a)に示すように、支持基板64の一方側主面に、セル幅方向に所定間隔をおいて、長さ方向(軸長方向)延設された2本の酸素極層70aから構成されており、その間の固体電解質層68には、図6(b)に示すように、軸長方向高導電率層91が接合して形成され、2本の酸素極層70aの内側部分と軸長方向高導電率層91の外側部分は接続され、電気的に導通している。
このような軸長方向高導電率層91により、軸長方向高導電率層91の両側に形成された酸素極層70aで発生した電流が、中央の軸長方向高導電率層91に流れ込み、この軸長方向高導電率層91を介して、有効に引き出すことができる。また、軸長方向高導電率層91は固体電解質層68に十分な強度できる、例えば、材料、緻密度等を選択できるため、この軸長方向高導電率層91に接合された酸素極層70aの固体電解質層68からの剥離を防止できる。
尚、図6(c)に示すように、酸素極層70の両側に軸長方向高導電率層91を設けてもよい。この場合には、軸長方向高導電率層91からの電流の引き出しをさらに良好に行うことができるとともに、酸素極層70の固体電解質層68からの剥離をさらに防止できる。
また、図6(d)に示すように、複数の周方向高導電率層93が、軸長方向高導電率層91の両側から燃料電池セルの周方向に延設されている。周方向高導電率層93も、固体電解質層68に接合しているものであり、その周囲は酸素極層70と電気的に接続している。周方向高導電率層93は、酸素極層70に、例えば、Agペーストを塗布し、酸素極上に形成することもできるが、軸長方向高導電率層91と同様、固体電解質層68に接合して設けることにより、周方向高導電率層93の接合強度を高め、酸素極層70の固体電解質層68からの剥離をさらに防止できる。
このような燃料電池セルでは、燃料電池セルの周方向で発生した電流を、周方向高導電率層93、軸長方向高導電率層91を介して効果的に引き出すことができる。特に、支持基板64の一方側主面に形成されている酸素極層70が、他方側主面まで延設されている場合には、他方側主面の酸素極層70から軸長方向高導電率層91までの距離が長いため、周方向高導電率層93を向けることにより効果的に集電することができる。
高伝導率層91、93は、酸素極層70、70aよりも高い導電率を有するもので、貴金属材料、例えばAg、又はAgと酸素極材料の混合材料、若しくは、酸素極層70を構成する材料と同一成分からなり、酸素極層よりも緻密度の高い導電性セラミックから構成することができる。具体的には、高伝導率層91は、例えば、Agと酸素極材料を1:9から5:5の重量比で混合した材料を用いることができる。
酸素極層70よりも軸長方向高導電率層91、周方向高導電率層93が高導電率であるか否かについては、燃料電池セルの酸素極層70に、抵抗測定器の両端子を所定距離をおいて当接して所定間隔における酸素極層70の抵抗を測定し、一方、高導電率層91,93にも、同様にして抵抗測定器の両端子を所定距離をおいて当接して所定間隔における高導電率層91,93の抵抗を測定し、これらの抵抗を比較することにより、導電率の比較を行うことができる。
本発明のセルスタックは、図4(a)に示すように、上記した燃料電池セル62を複数所定間隔を置いて配置し、一方の燃料電池セルのインターコネクタ72と、隣設する他方の燃料電池セル62の酸素極層70を、軸長方向高導電率層91、及び一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セル間の集電部材76を介して電気的に接続して構成されている。即ち、断面矩形状の棒状集電部材76を、軸長方向高導電率層91とインターコネクタ72との間に介装し、これを導電性ペーストにより接合することにより構成されている。尚、一方のセルの周方向高導電率層93と、他方のセルのインターコネクタ72とを集電部材76で接合することもできる。
この図4(a)では、集電部材76を、Ag等を含有する導電性ペーストを用いて軸長方向高導電率層91及びインターコネクタ72に接合する場合を示すもので、接合は、例えばAgペーストを軸長方向高導電率層91、インターコネクタ72の表面に塗布し、このAgペーストが塗布された部分に集電部材76が押圧固定されるように介装し、この状態で熱処理することにより、集電部材76を軸長方向高導電率層91、72に接合することができる。尚、図4(b)に示すように、金属又は合金等の導電性板からなる集電部材76を用い、この集電部材76を、インターコネクタ72、軸長方向高導電率層91に接合しても良い。
さらに、支持基板64の主面に軸長方向高導電率層91を設けたが、発電性能が低い支持基板64の半円形状の曲面部に軸長方向高導電率層を設けることができる。この場合には、支持基板64の主面の面積を狭めることがないため、発電性能の高い部分の酸素極層の面積を最大限に確保することができ、発電性能を向上することができる。
図3を参照して説明を続けると、発電ユニット56aは、セルスタック60aの上方を前後方向に細長く延びる長方体形状(或いは円筒形状)であるのが好都合である改質ケース78aも具備している。改質ケース78aの前面には燃料ガス送給管80aの一端即ち上端が接続されている。
燃料ガス送給管80aは下方に延び、次いで湾曲して後方に延び、燃料ガス送給管80aの他端は上記燃料ガスケース58aの前面に接続されている。改質ケース78aの後面には被改質ガス供給管82aの一端が接続されている。被改質ガス供給管82aは改質ケースから下方に延び、ハウジング2の下を通ってハウジング2外に延出している。
被改質ガス供給管82aは都市ガス等の炭化水素ガスでよい被改質ガス供給源(図示していない)に接続されており、被改質ガス供給管82aを介して改質ケース78aに被改質ガスが供給される。改質ケース78a内には燃料ガスを水素リッチな燃料ガスに改質するための適宜の改質触媒が収容されている。
図示の実施形態においては、改質ケース78aは燃料ガス送給管80aを介して燃料ガスケース58aに接続され、これによって所要位置に保持されているが、所要ならば、図3に一点鎖線で図示する如く、例えば上記被改質ガス供給管82aの下面と燃料ガスケース58aの後端部下面或いは後面との間に適宜の支持部材84aを付設することもできる。
図3において説明すると、発電ユニット56cは上述した発電ユニット56aと実質上同一であり、発電ユニット56b及び56dは、発電ユニット56a及び56cに対して前後方向が逆に配置されていること、従って改質ケース78b及び78dと燃料ガスケース58b及び58dとを接続する燃料ガス送給管(図示していない)が後側に配置され、被改質ガス供給管82b及び82dが改質ケースから下方に延び、ハウジング2の下を通ってハウジング2外に延出している。
上述したとおりの燃料電池組立体においては、被改質ガスが被改質ガス供給管82a、82b、82c、82dを介して改質ケース78a、78b、78c及び78dに供給され、改質ケース78a、78b、78c及び78d内において水素リッチな燃料ガスに改質された後に、燃料ガス送給管80a、80b、80c、80dを通して燃料ガスケース58a、58b、58c及び58d内に規定されている燃料ガス室に供給され、次いでセルスタック60a、60b、60c及び60dに供給される。
セルスタック60a、60b、60c及び60dの各々においては、酸素極において、
1/2O+2e→O2−(固体電解質)
の電極反応が生成され、燃料極において、
2−(固体電解質)+H→HO+2e
の電極反応が生成されて発電される。
発電に使用されることなくセルスタック60a、60b、60c及び60dから上方に流動した燃料ガス及び空気は、起動時に発電・燃焼室12内に配設されている点火手段(図示していない)によって点火されて燃焼される。周知の如く、セルスタック60a、60b、60c及び60dにおける発電に起因して、そしてまた燃料ガスと空気との燃焼に起因して発電・燃焼室12内は例えば1000℃程度の高温になる。改質ケース78a、78b、78c及び78dは発電・燃焼室12内に配設され、セルスタック60a、60b、60c及び60dの直ぐ上方に位置せしめられており、燃焼炎によって直接的にも加熱され、かくして発電・燃焼室12内に生成される高温が被改質ガスの改質に効果的に利用される。
発電・燃焼室12内に生成された燃焼ガスは熱交換器24に形成されている排出開口42から排出路30に流入し、ジグザグ状に延在する排出路30を流動した後に二重筒体50の外側筒部材52と内側筒部材54との間に規定されている排出路を通して排出される。燃焼ガスが二重筒体50における排出路を流動する際には、二重筒体50における流入路を空気が流動し、燃焼ガスと空気との間で熱交換が行われる。
そしてまた、燃焼ガスが熱交換器24の排出路30をジグザグ状に流動せしめられる際には、空気が熱交換器24の流入路32をジグザグ状に流動せしめられる。かくして燃焼ガスと空気との間で効果的に熱交換されて空気が予熱される。
長期間に渡って発電を遂行することによってセルスタック60a、60b、60c及び60dの一部或いは全部が劣化した場合には、ハウジング2の前壁10或いは後壁11を離脱或いは開動せしめ、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部をハウジング2内から取り出す。
そして、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部を新しいものに交換して、或いは発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部におけるセルスタック60a、60b、60c及び60dのみを新しいものに交換して、再びハウジング2内の所要位置に装着すればよい。発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部あるいは全部における改質ケース78a、78b、78c及び78d内に収容されている改質触媒を交換することが必要な場合にも、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部をハウジング2内から取り出し、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部における改質ケース78a、78b、78c及び78d自体を新しいものに或いは改質ケース78a、78b、78c及び78d内の改質触媒のみを新しいものに交換すればよい。
改質ケース78a、78b、78c及び78d内の改質触媒の交換を充分容易に遂行し得るようになすために、所望ならば改質ケース78a、78b、78c及び78dの一部を開閉自在な扉にせしめることができる。
一方、空気は二重筒体50の内側筒部材54内に規定されている流入路を通して熱交換器24の流入路32に供給され、熱交換器24を通過して予熱(加熱)された空気は、空気室16に一旦貯留され、空気導入管22を通って燃焼・発電室12のセルスタック間に供給される。この際、空気導入管22はセルスタック60の燃料電池セル62の上端の燃料ガス通路74近傍で燃焼する燃焼ガス雰囲気中を通過する。従って、空気室16の予熱空気はセルスタック60a、60b、60c及び60d上部の燃焼領域でさらに加熱され、高温に暖められた空気がセルに供給される。
通常運転時は前記熱交換器24で予熱された空気が空気室16に導入され、この空気室16から空気導入管22を用いて燃焼・発電室12へ空気が導入されるが、発電室の温度が想定以上に上昇した場合は、前記熱交換器24を通らない低温ガス供給管18を通ってきた低温の空気が空気室16に導入され、熱交換器24を通過して予熱された空気と混合されて、空気室16の空気温度がある程度低下する。この空気を発電室12、即ち、セルスタック間に供給することにより、通常運転時より温度の低い空気がセルスタック間に導入されるので、発電室12、即ち燃料電池セルの過度に上昇した温度が低下されるので、発電室内の温度を適宜にコントロールできる良好な燃料電池組立体が提供される。
また、空気室16内の空気温度は、低温ガス供給管18から供給された外気と、熱交換器24を通過して予熱された空気と混合されるため、室温ほど低温の空気ではないので、熱い燃料電池セル60に供給しても、燃料電池セル60のクラックや熱衝撃破壊を引き起こすなどの不具合を避けることが出来るので、燃料電池発電システム全体の機能劣化が抑えられ寿命が延ばすことができる。
図7は、インターコネクタレスタイプの燃料電池セルを示すもので、このセルは、図7(a)(b)に示すように、中空平板型の燃料電池セルであって、環状の固体電解質層168の全周面に、この固体電解質層168を取り囲むように酸素極層170が形成され、この酸素極層170に接続するように軸長方向高導電率層191が設けられている。即ち、固体電解質層168の外周面には、軸長方向高導電率層191が形成された部分を除き、酸素極層170が形成されており、軸長方向高導電率層191が形成された部分を除き、発電することになる。
このような燃料電池セルでは、上端部で発生した電流は、軸長方向高導電率層191を介して下端部まで流れ、従来のように多孔質の導電性セラミックからなる酸素極層を介して、下端部まで電流が流れることがないため、電気抵抗が小さくなり、発電性能を向上することができる。
尚、図7に示す燃料電池セルでは、全周面で発電するため、一方側の主面にのみ軸長方向高導電率層191が形成されていると、他方側の主面で発電した電流が、酸素極層170を通って一方側の主面の軸長方向高導電率層191まで流れる必要があるため、図4(d)に示すような、複数の周方向高導電率層93を、軸長方向高導電率層191に接続して設けることにより、他方側の主面で発電した電流を周方向高導電率層93を介して一方主面の軸長方向高導電率層191まで流すことでき、電気抵抗を小さくして発電性能を向上することができる。
さらに、図7に示す燃料電池セルでは、一方側の主面にのみ軸長方向高導電率層191を形成した例について説明したが、他方側主面にも同様に軸長方向高導電率層191を設けることにより、他方側主面で発生した電流を他方側主面の軸長方向高導電率層を介して流すことができ、電気抵抗を小さくして、発電性能を向上することができる。
図7(c)に、上記インターコネクタレスタイプの燃料電池セルを用いたセルスタックを示す。このセルスタックは、図3の燃料ガスケース58a〜58dの上蓋121に形成された貫通孔内に燃料電池セルがそれぞれ挿入固定されている。そして、一方の燃料電池セルの燃料極支持体164と、隣設する他方の燃料電池セルの酸素極層170を、酸素極層170に接続された軸長方向高導電率層191、及び一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セル間の集電部材123を介して、燃料電池セルの下端部にて電気的に接続して構成されている。
即ち、燃料電池セルは上蓋121の貫通孔に挿入固体されており、一方のセルの軸長方向高導電率層191には、上蓋121に例えばAgペーストを塗布して形成された集電部材123が接続され、この集電部材123は、他方のセルの固体電解質層168の一部が除去され、その除去された部分を介して他方の燃料電池セルの燃料極層166、支持体164に電気的に接続されている。
そして、上蓋121及び集電部材123はガラス層125により被覆され、保護されている。このようなセルスタックでは、上記したように、軸長方向に形成された軸長方向高導電率層191を設けることにより、燃料電池セルの一方の端部(上端部)で発生した電流は、高導電率層191を介して他方の端部(下端部)まで流れ、一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セル間の集電部材123を介して電気的に接続するため、燃料電池セル間の電気抵抗が小さくなり、発電性能を向上することができる。
以上、添付図面を参照して本発明の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは多言するまでもない。
例えば、セルスタックの上方に特定の改質ケースを備えた燃料電池組立体に関連せしめて本発明を説明したが、改質ケースがセルスタックの上方以外の場合でも、本発明を適用することが出来る。
また、上記形態では、空気室に低温ガス供給手段を設け、空気供給管により、燃料電池セルの外面に空気を供給する場合について説明したが、本発明は、空気供給管により燃料電池セルの内部に空気を供給するようにしても良いことは勿論である。尚、この場合、燃料電池セルの内側には空気極が、外側には燃料極が形成されることは言うまでもない。
尚、上記実施形態では、燃料電池セルの側面同士を集電部材76で電気的に接続するために、図6(a)〜(d)に示すように軸長方向高導電率層91を用いた例について説明したが、本発明では、図6(e)に示すように、複数の円形状の高導電率層92を設けた場合でも、上記形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、上記形態では、中空平板型の燃料電池セルについて説明したが、円筒型燃料電池セルに本発明を適用できることは勿論である。
さらに、上記形態では、固体電解質層68,168の外面に酸素極層を設けた場合について説明したが、本発明では、固体電解質層の外面に燃料極層を設けた場合であっても良い。
さらにまた、上記形態では、固体電解質層68,168の外面に酸素極層を設け、この酸素極層に電気的に接続する高導電率層を設けた場合について説明したが、固体電解質層68,168の内面に燃料極層に電気的に接続する高導電率層を、固体電解質内面に接合して設けた場合でも、上記形態とほぼ同様の効果を得ることができる。さらに、固体電解質層68,168の外面の酸素極層、内面の燃料極層にそれぞれ電気的に接続する高導電率層を設けた場合でも、上記形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、上記例では、支持基板上に燃料極層、固体電解質層、酸素極層を形成した場合について説明したが、燃料極層が支持体の場合であっても、本発明を適用できる。
さらに、上記例では、インターコネクタに集電部材を接合した例について説明したが、インターコネクタ表面にP型半導体等の中間層を形成し、この中間層を介して集電部材を接合しても良い。
平均粒径0.5μmのNiO粉末と、Y粉末(平均粒径は0.6〜0.9μm)を、NiOがNi換算で48体積%、Yが52体積%になるようにして混合し、この混合粉末に、ポアー剤、有機バインダーと、水とを混合して形成した支持基板用坏土を押出成形し、これを乾燥し、脱バインダー処理し、扁平状の支持基板用成形体を作製し、これを乾燥した。この後、1000℃で仮焼し、支持基板仮焼体を作製した。
次に、8モル%Yを含有するZrO(YSZ)粉末と、NiO粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合したスラリーを用いて燃料極層形成用シートを作製し、これを支持基板仮焼体の所定位置に積層し、1000℃で仮焼し、支持基板仮焼体の表面に燃料極層仮焼体を形成した。
一方、上記YSZ粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合した浸漬液を作製し、この浸漬液中に支持基板仮焼体を浸漬し、引き上げることにより燃料極層仮焼体の表面に固体電解質材料の塗布膜を形成し、乾燥することにより固体電解質層成形体を形成した。
次に、平均粒径2μmのLaCrO系酸化物粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合したスラリーを用いて、インターコネクタ用シートを作製し、このシートを支持基板仮焼体が露出した部分に積層し、支持基板仮焼体、燃料極層仮焼体、インターコネクタ用シート、及び固体電解質層成形体からなる焼結用積層シートを作製した。次に、この焼結用積層シートを脱バインダ処理し、大気中にて1500℃で同時焼成した。
得られた焼結体を、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(LSCFという)粉末と、溶媒をからなるペースト中に浸漬し、焼結体に形成されている固体電解質層の表面に、図6(a)に示すように、2条の酸素極層用コーティング層を設け、さらに上記ペーストを焼結体に形成されているインターコネクタの外面に塗布し、P型半導体用コーティング層を設け、1150℃で焼き付け、この後、2条の酸素極層間に、これらの酸素極層の側部が重畳するように、Ag−Pd(9:1)と上記LSCF粉末を1:1の重量比で含有する導電性ペーストを塗布し、900℃で焼き付け、図6(b)に示すような燃料電池セルを作製した。
作製した燃料電池セルの長さは145mm、幅は26mm、厚みは3.2mm、燃料極層の厚みは10μm、酸素極層の厚みは120μm、インターコネクタの厚みは50μm、P型半導体層の厚みは100μmであった。また、軸長方向高導電率層の厚みは120μmであり、その幅は3mm、長さは125mmであり、その両側の酸素極層はそれぞれ幅が11mmで、長さが125mmであった。
作製した燃料電池セルについて、抵抗測定器を用いて、高導電率層の長さ方向両端間における抵抗を測定したところ、0.083Ωであった。また、同様に酸素極層の長さ方向両端間における抵抗は、4.2Ωであった。
これらの燃料電池セルを5本と、矩形棒状の集電部材を用いて、図4(a)に示すようなセルスタックを作製し、このセルスタックにおける発電量を測定した。発電条件は、空気極1cm当たりの電流密度を0.3Aとし、このとき、セル5本トータルの出力は、33.0Wとなった。
また、1000時間発電後において、軸長方向高導電率層と集電部材、固体電解質層との接合状況、固体電解質と空気極層との接合状況を確認したところ、剥離箇所は見られなかった。
一方、軸長方向高導電率層を形成せずに、空気極層の幅を25mm、長さを125mmとし、集電部材と空気極層を接合する以外は図4(a)と同様に作製した比較例のセルスタックでは、上記条件での発電量は30.0Wであり、300時間発電後には、集電部材と空気極層との接合箇所、空気極と固体電解質との間で一部剥離が見られた。
本発明の燃料電池を示す縦断面図。 図1の平面図。 図1の燃料電池に使用されている発電ユニット集合体を示す斜面図。 セルスタックを示すもので、(a)矩形棒状の集電部材を用いたセルスタック、(b)は導電性板をリボン状に成形した集電部材を用いたセルスタックを示す横断面図。 料電池セルを示す斜視図。 燃料電池セルの側面図であり、(a)は空気極層が2つに分割されている状態を示し、(b)は2つに分割された空気極層間に軸長方向高導電率層を設けた状態を示し、(c)は空気極層の両側に軸長方向高導電率層を設けた状態を示し、(d)は軸長方向高導電率層と周方向高導電率層を設けた状態を示す側面図、(e)は高導電率層を点在させた状態を示す側面図。 インターコネクタレスタイプの燃料電池セルを示すもので、(a)は燃料電池セルの横断面図、(b)は(a)の側面図、(c)は複数の(a)の燃料電池セルを電気的に接続した状態を示す縦断面図。 従来のセルスタックを示す横断面図。
符号の説明
2:ハウジング(収納容器)
60a、60b、60c及び60d:セルスタック
62:燃料電池セル
66、166:燃料極層
68、168:固体電解質層
70、70a、170:空気極層
72:インターコネクタ
76、123:集電部材
91、92、93、191:高導電率層

Claims (5)

  1. 中空平板型又は円筒型であって、固体電解質層の内面に多孔質の内側電極層を、外面に多孔質の外側電極層を設け、前記固体電解質層に、前記外側電極層に電気的に接続し前記外側電極層よりも高い電子導電率を有する高導電率層を接合して設け、かつ、前記内側電極層にインターコネクタを電気的に接続して設けた単一のセルを有する燃料電池セルを、軸長方向に平行に複数所定間隔を置いて並列配置し、一方の前記燃料電池セルのインターコネクタと、隣設する他方の前記燃料電池セルの外側電極層とを、前記一方の燃料電池セルと前記他方の燃料電池セルとの間に配置された集電部材を、前記一方の燃料電池セルのインターコネクタと前記他方の燃料電池セルの外側電極層に電気的に接続した高導電率層とに接合することにより電気的に接続してなることを特徴とするセルスタック。
  2. 中空平板型又は円筒型であって、環状の固体電解質層の内面に多孔質の内側電極層を、外面に多孔質の外側電極層を設け、前記固体電解質層に、前記外側電極層に電気的に接続し前記外側電極層よりも高い電子導電率を有する高導電率層を接合して設け、かつ、前記外側電極層と前記高導電率層とで前記固体電解質層を取り囲んでいる単一のセルを有する燃料電池セルを、軸長方向に平行に複数所定間隔を置いて並列配置し、一方の前記燃料電池セルの内側電極層と、隣設する他方の前記燃料電池セルの外側電極層とを、前記一方の燃料電池セルと前記他方の燃料電池セルとの間に配置された集電部材を、前記一方の燃料電池セルの端部における内側電極層と前記他方の燃料電池セルの外側電極層に電気的に接続した高導電率層とに接合することにより、前記燃料電池セルの端部にて電気的に接続してなることを特徴とするセルスタック。
  3. 前記高導電率層は、軸長方向に形成された軸長方向高導電率層であることを特徴とする請求項1又は2記載のセルスタック。
  4. 前記外側電極層の周方向に、前記軸長方向高導電率層に接続された周方向高導電率層が形成されていることを特徴とする請求項3記載のセルスタック。
  5. 収納容器内に請求項1乃至4のうちいずれかに記載のセルスタックを収納してなることを特徴とする燃料電池。
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