JP4017890B2 - 小型滑走艇 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水流を後方に噴出してその反動で水上を航行する小型滑走艇( Personal Watercraft(パーソナルウォータークラフト); PWCとも呼ばれる) 関し、特に、そのエンジン等の冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
小型滑走艇、例えばその一種であるジェット推進型の小型滑走艇は、レジャー用,スポーツ用としてあるいはレスキュー用として、近年多用されている。このジェット推進型の小型滑走艇は、一般に艇の底面に設けられた吸水口から吸い込んだ水を、ウォータージェットポンプで加圧・加速して後方へ噴射することによって船体を推進させる。
【0003】
そして、このジェット推進型の小型滑走艇の場合、前記ウォータージェットポンプの噴射口の後方に配置したステアリングノズルを、バー型操舵ハンドルを左右に操作することによって左右に揺動させて、後方への水の噴射方向を左右に変更させて、艇を右側あるいは左側に操舵する。
【0004】
ところで、前記ジェット推進型の小型滑走艇において、推進用エンジンは、エンジン各部の温度、および該温度分布状態が異なる。このように、エンジン各部の温度および該温度分布状態が異なると、エンジンに変形が生じてエンジン性能の低下等の影響を生じさせる。具体的には、エンジンに変形が生じるとシリンダ内壁面とピストンとの間のクリアランスが大きくなり、これらの間の摩擦が大きくなるとともに、シリンダ内壁に付着し気化していないガソリンがクランクケース側に移動してクランクケース内のオイルを薄める等の影響が生じる。とりわけ、潤滑オイル消費量を低減させあるいはピストンラップ音対策を施したエンジンの場合、ピストンとシリンダ間のクリアランスを可及的に小さくしていることから、前記摩擦の増大に関する影響が現れ易い場合がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みておこなわれたもので、温度分布の「ばらつき」が生じ難い、エンジンの冷却構造を具備した小型滑走艇を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下のような構成からなる小型滑走艇によって解決することができる。即ち、
本第1の発明にかかる小型滑走艇は、エンジンにより駆動されるウォータージェットポンプによって船体の底面に設けられた吸水口から船外の水を吸い込んで該ウォータージェットポンプで該水を加圧・加速して後方へ向けて噴射することによって推進するよう構成されるとともに、該ウォータージェットポンプの正圧域部分から船外の水を導いて該エンジンを冷却するよう構成された小型滑走艇において、
前記エンジン内の冷却経路を、
前記エンジンのシリンダヘッドへ冷却液を供給する第1の冷却経路と、該エンジンのシリンダブロックへ冷却液を供給する第2の冷却経路とに分けて、互いに独立して冷却液を供給して該エンジンを冷却するよう構成するとともに、
記第2の冷却経路へ、排気管路のウォータージャケットを介して冷却液を供給するよう構成し、
前記第1の冷却経路の断面積と前記第2の冷却経路の断面積とを同じ位の断面積に構成したことを特徴とする。
【0007】
しかして、このように構成された小型滑走艇によれば、エンジン内の冷却経路が、エンジンのシリンダヘッドへ冷却液を供給する第1の冷却経路とエンジンのシリンダブロックへ冷却液を供給する第2の冷却経路とに分けられて、互いに独立して供給するよう構成されていることから、発熱量の少ないエンジンのシリンダブロックへは、排気管路のウォータージャケットを経た、シリンダヘッド側に比べて温度の高い冷却液が供給されることから、エンジン全体の、つまりエンジンのシリンダヘッド部分とシリンダブロック部分の、温度分布を均一にすることが可能となる。このように構成すると、第1と第2の各冷却経路の断面積を実質上同じにすることが可能で、従って、加工上同じ寸法になるため、生産管理が容易等となる。
【0008】
また、前記小型滑走艇において、前記排気管路のウォータージャケットが、排気マニフォルドのウォータージャケットであると好ましい構成となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態にかかる小型滑走艇と参考例について、図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0010】
図1は小型滑走艇のエンジンの冷却構造を示す船体と該船体内部に搭載されているエンジンを示す横断面図、図8は本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の全体側面図、図9は図8の平面図である。
【0011】
図8,図9において、Aは小型滑走艇の船体で、この船体Aは、ハルHとその上方を覆うデッキDから構成され、これらハルHとデッキDを全周で接続する接続ラインはガンネルラインGと呼ばれる。図8において、Lは喫水線を示す。
【0012】
そして、前記デッキDの中央よりやや後部には、図9に図示するように、船体Aの上面に長手方向に延びる平面視において略長方形の開口部16が形成され、図8,図9に図示するように、この開口部16上方に騎乗用のシートSが配置されている。
【0013】
また、エンジンEは、前記シートS下方のハルHとデッキDに囲まれた横断面形状が「凸」状の空間20内に、直立(シリンダが直立)して配置される。この実施形態では、エンジンEは、多気筒(この実施例では4気筒)の4サイクル式のエンジンEで、図8に図示するように、エンジンEのクランクシャフト26が船体Aの長手方向に沿うような向きで搭載されており、このクランクシャフト26の出力端は、プロペラ軸27を介して、インペラ21が取着されているウォータージェットポンプPのポンプ軸21S側に、一体的に回転可能に連結されている。そして、このインペラ21は、その外周方が、ポンプケーシング21Cで覆われ、小型船舶の底面に設けられた吸水口17から取り入れた水を吸水通路を介して取り込んで、ウォータージェットポンプPで加圧・加速して、通水断面積が後方にゆくに従って小さくなったポンプノズル(噴出部)21Rを通って、後端の噴射口21Kから吐出して、推進力を得るよう構成されている。
【0014】
また、図8において、21VはウォータージェットポンプP内を通過する水を整流するための静翼である。また、図8,図9おいて、24はバー型の操舵ハンドルで、このハンドル24を左右に操作することによって、図9に一点鎖線で示すケーブル25を介して、前記ポンプノズル21R後方のステアリングノズル18を左右に揺動させて、ウォータージェットポンプPの稼働時に、艇を所望の方向に操舵できるよう構成されている。
【0015】
また、図8に図示するように、前記ステアリングノズル18の上後方には、水平に配置された揺動軸19aを中心に下方に揺動可能に、ボウル形状のリバース用のデフレクター19が配置され、このデフレクター19をステアリングノズル18後方の下方位置へ揺動動作させることによって、ステアリングノズル18から後方に吐出される水を前方に転向させて、後進できるよう構成されている。
【0016】
また、図8,図9において、22は後部デッキで、この後部デッキ22には、開閉式のハッチカバー29が設けられ、ハッチカバー29の下方に小容量の収納ボックスが形成されている。また、図8あるいは図9において、23は前部ハッチカバーで、このハッチカバー23の下方には備品等を収納するボックス(図示せず)が設けられている。なお、図9において、Ltはエンジンの回転数を操作するためのスロットルレバーであり、EpはエンジンEに付設された排気マニフォルドEm側からの排気ガスを外部に排出するための排気管である。
【0017】
ところで、参考例1にかかる小型滑走艇では、図1あるいはその模示図的に示す図2に図示するような冷却構造を具備する。つまり、まず、全体を概略的に説明すると、図2に模式図的に図示するように、エンジンE内の冷却経路Ppは、該エンジンEのシリンダヘッドChを冷却水で冷却する第1の冷却経路Pp1と、該エンジンEのシリンダブロックCbへ冷却水を供給する第2の冷却経路Pp2とに分けて、互いに独立(分岐)して冷却するよう構成されている。
【0018】
つまり、図2に図示するように、前記エンジンEのシリンダヘッドCh内は、該シリンダヘッドChのウォータージャケットWj2を形成する第1の冷却経路Pp1によって冷却されるよう構成されている。そして、この第1の冷却経路Pp1には、この実施形態の場合、排気マニフォルドEm内の冷却通路と冷却水供給管路P1を介して、ウォータージェットポンプP側から船外の温度の低い冷却水が供給されるよう構成されている。そして、前記排気マニフォルドEmおよびシリンダヘッドChを冷却した冷却水は、船外に排出されるよう構成されている。
【0019】
また、図2に図示するように、前記エンジンEのシリンダブロックCb内は、該シリンダブロックCbのウォータージャケットWj3を形成する第2の冷却経路Pp2によって冷却されるよう構成されている。そして、この第2の冷却経路Pp2には、この実施形態の場合、冷却水分岐管路P2を介して、該シリンダブロックCbの側部に形成された入口へ、ウォータージェットポンプP側から船外の温度の低い冷却水が供給されるよう構成されている。そして、シリンダブロックCbを冷却した冷却水は、船外に排出されるよう構成されている。
【0020】
そして、前記冷却水供給管路P1の基端と、前記冷却水分岐管路P2の基端は、共に、冷却水供給主管路Pbの先端に接続されている。また、この冷却水供給主管路Pbの基端は、前記ウォータージェットポンプP内の正圧域部分に連通して、該ウォータージェットポンプP内の加圧された冷却水が該冷却水供給主管路Pbへ供給されるよう構成されている。
【0021】
そして、この参考例1にかかる小型滑走艇では、前記冷却水分岐管路P2は、前記冷却水供給管路P1に比べて、通水断面積が小さく、具体的には、この実施形態では、略1/2程度の通水断面積になっている。また、前記冷却水供給主管路Pbの通水断面積は、前記冷却水供給管路P1と前記冷却水分岐管路P2の各通水断面積を略合計した通水断面積、あるいはそれ以上の通水断面積になっている。
【0022】
そして、前記第1の冷却経路Pp1について、具体的なエンジンEに基づいて説明すると、図1に図示するように、前記冷却水供給管路P1を介して、排気マニフォルドEmに形成されたウォータージャケットWj1の入口へ供給された冷却水は、該ウォータージャケットWj1を通過してエンジンE頂部に位置するシリンダヘッドChのウォータージャケットWj2(第1の冷却経路Pp1)の下端部の入口部分に達して、該シリンダヘッドCh内に形成されている第1の冷却経路Pp1であるウォータージャケットWj2を流れて、シリンダヘッドChの上端部に形成されている該ウォータージャケットWj2の出口部分Wj7から、エンジンEの外に排出されるよう構成されている。
【0023】
また、前記第2の冷却経路Pp2について、具体的なエンジンEに基づいて説明すると、図1に図示するように、前記冷却水分岐管路P2を介して、エンジンEの上下方向の中央位置、この実施形態ではシリンダブロックCbの中央位置にに形成された入口に供給された冷却水は、該シリンダブロックCb内に形成されているウォータージャケットWj3(第2の冷却経路Pp2)を流れて、シリンダブロックCbの上端部に形成されている該ウォータージャケットWj3の出口部分Wj8から、エンジンEの外に排出されるよう構成されている。
【0024】
一般に、前記エンジンEの外に排出された冷却水は、図示しない排水管路を経て、船外に排出される。例えば、前記ウォータージェットポンプP内の負圧域に先端が連結された図示しない冷却水排出管路を経て、該ウォータージェットポンプPを介して船外に排出される。
【0025】
しかして、このように構成された本参考例1にかかる小型小型滑走艇の場合、ウォータージェットポンプP側から供給される温度の低い冷却水は、前記冷却水供給主管路Pbを通って、前記冷却水供給管路P1を経て、前記排気マニフォルドEmに形成されたウォータージャケットWj1の入口へ流れ、該ウォータージャケットWj1を通過することによって、該排気マニフォルドEmおよびその内部を通過する排気ガスを冷却する。そして、前記排気マニフォルドEmのウォータージャケットWj1を冷却した冷却水は、該ウォータージャケットWj1から、シリンダヘッドChのウォータージャケットWj2(第1の冷却経路Pp2)の下端部の入口部分へ供給され、該シリンダヘッドCh内に形成されているウォータージャケットWj2(第1の冷却経路Pp1)を通過する。この際、該シリンダヘッドChを、つまり燃焼室の上端部の壁面の吸気および排気バルブの周辺等を冷却する。そして、このシリンダヘッドCh部分を冷却した冷却水は、シリンダヘッドChの上端部に形成されている該ウォータージャケットWj2の出口部分Wj7から、エンジンEの外に排出される。一方、前記冷却水供給主管路Pb(図2参照)を介して供給される冷却水の一部は、図1あるいは図2に図示する、前記冷却水分岐管路P2を介して、前記シリンダブロックCbの中央位置にに形成された入口に供給され、該シリンダブロックCb内に形成されているウォータージャケットWj3(第2の冷却経路Pp2)を流れて、該シリンダブロックCbを冷却する。この際、第2の冷却経路である該シリンダブロックCbのウォータージャケットWj3の通水断面積は、前記第1の冷却経路Pp1であるシリンダヘッドChのウォータージャケットWj2の通水断面積に比べて、小さくなっていることから、シリンダブロックCbは前記シリンダヘッドCh側ほどに冷却されることはない。
【0026】
このため、エンジンEにおいて、温度の高い、シリンダヘッドChおよび排気マニフォルドEmは、それらの内部に形成されたウォータージャケットを流れる冷却水によって大きな熱量が奪われ、一方、エンジンEにおいて比較的温度の低い、シリンダブロックCbは、そこを流れる冷却水によって、シリンダヘッドChおよび排気マニフォルドEmに比べて、より小さい熱量が奪われることになる。従って、エンジンEの各部は、略均等に冷却されることになり、エンジン各部の温度および該温度分布状態がより均一化される結果、温度分布の違いによるエンジンEの変形を小さくすることができる。なお、図1,図2において、CcはエンジンEのクランクケースである。
実施形態
ところで、前記参考例1では、排気マニフォルドEmのウォータージャケットWj1を通過した冷却水を、エンジンEのシリンダヘッドCh側へ供給するよう構成しているが、本発明にかかる実施形態では、図3に図示するように、該排気マニフォルドEmに供給される冷却水をシリンダブロックCb内のウォータージャケットWj3内に供給するよう構成するとともに、エンジンEのシリンダヘッドCh側へは、冷却水供給管路P1から冷却水を直接供給するよう構成することも望ましい構成となる。かかる構成では、冷却水分岐管路P2の通水断面積を、冷却水供給管路P1の通水断面積の1/2以上であって該冷却水供給管路P1の通水断面積と同じ位にしてもよい。つまり、排気マニフォルドEmのウォータージャケットWj1を通過することによって温度が上昇した冷却水がシリンダブロックCb側に供給され、一方、シリンダヘッドChへは冷却水供給管路P1から、前記シリンダブロックCb側に供給されるものに比べて温度の低い、冷却水が供給されるためである。特に、エンジン始動時に、排気ガスによってシリンダヘッドCh部分と排気マニフォルドEmの温度は急速に上昇する。これに対して、シリンダブロックCbは、前記シリンダヘッドCh部分と排気マニフォルドEm部分ほど急速には温度上昇しない。しかし、このシリンダブロックCb部分には、排気ガスによって加温された排気マニフォルドEmのウォータージャケットWj1を通過し加温された冷却水が供給され、一方、前記シリンダヘッドCh側には加温されていない温度のより低い冷却水が供給されるため、エンジン始動時にも、エンジンEの各部位の温度分布が従来のものに比べて、より均一になる。
【0027】
さらに、かかる構成では、シリンダヘッドCh内を通過する吸気が温度の低い冷却水によって参考例1の場合に比べてさらに冷却されるため、燃焼室内へ供給される混合気の充填率が高めることができる点においても、有利な構成となる。なお、図3において、Pbは冷却水供給主管路であり、Ccはクランクケース、27はプロペラ軸、21Rはポンプノズルである。
参考例2
また、別の参考例としては、図4に模式図的に図示するように、ウォータージェットポンプPから冷却水供給主管路Pbを経て、排気マニフォルドEmのウォータージャケットWj1 に供給され、次に、排気マニフォルドEmのウォータージャケットWj1 から、冷却水供給管Paを介して、一方は、冷却水供給管路P1を介してシリンダヘッドChの第1の冷却経路Pp1であるウォータージャケットWj2に、且つ、他方は、冷却水分岐管路P2を介して、シリンダブロックCbの第2の冷却経路Pp2であるウォータージャケットWj3に供給されるよう構成してもよい。かかる場合には、参考例1の場合と同じく、冷却水分岐管路P2の通水断面積を、冷却水供給管路P1の通水断面積に比べて小さく、例えば、1/2程度の通水断面積にすることが望ましい構成となる。
参考例3
別の参考例として、図5に図示するように、前記シリンダヘッドChの第1の冷却経路Pp1となるウォータージャケットWj2と前記シリンダブロックCbの第2の冷却経路Pp2となるウォータージャケットWj3の両方を、各独立した二つの閉回路を形成するよう構成して、該二つの閉回路内をそれぞれ冷却液(水、あるいはオイル等の冷却媒体)を巡回させるようにして、該二つの閉回路内に、図5に図示するように共通の熱交換器Ecを配置して、あるいは図示しないが単独の熱交換器を配置して、該熱交換器Ec内に、前記ウォータージェットポンプPからの冷却水を導いて、該熱交換器Ec内を通過する前記冷却液を冷却水で冷却するよう構成してもよい。かかる実施形態においても、前記第2の冷却経路Pp2の通液断面積を第1の冷却経路Pp1の通液断面積より小さい通液断面積にすることによって、前記参考例の場合と同じ作用効果を得ることができる。
参考例4
また、前記参考例3のような閉回路の変形実施形態として、図6に図示するように、シリンダブロックCbの第2の冷却経路Pp2となるウォータージャケットWj3への冷却液を、熱交換器Ecから、排気マニフォルドEmのウォータージャケットWj1 を経由して供給し、一方、シリンダヘッドChの第1の冷却経路Pp1となるウォータージャケットWj2へは直接冷却液を供給するよう構成してもよい。かかる構成では、閉回路特有の作用効果の他に、前記実施形態と共通する構成に起因した、つまり、シリンダブロックCb側には排気マニフォルドEmで加温された冷却液を供給し、シリンダヘッドCh側にはより温度の低い冷却液を直接熱交換器Ecから導く構成に起因した、作用効果を得ることができる。なお、前記実施形態,参考例3等と対応する構成については、対応する参照符号を付している。
参考例5
また、前記参考例3のような閉回路の変形として、図7に図示するように、熱交換器Ecから、排気マニフォルドEmのウォータージャケットWj1 を経由して、シリンダヘッドChの第1の冷却経路Pp1となるウォータージャケットWj2と、シリンダブロックCbの第2の冷却経路Pp2となるウォータージャケットWj3へ、それぞれ並列的(独立的)に冷却液を供給するよう構成してもよい。かかる構成では、閉回路特有の作用効果の他に、前記参考例2と共通する構成に起因した作用効果を得ることができる。なお、前記参考例2、3等と対応する構成については、対応する参照符号を付している。
【0028】
【発明の効果】
本発明にかかる小型滑走艇によれば、エンジン各部の温度分布の「ばらつき」が生じ難い。従って、燃料消費量およびオイル消費量の少ない、しかもピストンのスラップ音の低い、小型滑走艇となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 型滑走艇のエンジンの冷却構造を示す船体と該船体内部に搭載されているエンジンを示す横断面図である。
【図2】 図1に示す小型滑走艇に搭載される参考例1にかかるエンジンの冷却構造を概念的に示した模示図である。
【図3】 本発明の実施形態にかかる小型滑走艇のエンジンの冷却構造を概念的に示した模示図である。
【図4】 参考例2にかかる小型滑走艇のエンジンの冷却構造を概念的に示した模示図である。
【図5】 参考例3にかかる小型滑走艇のエンジンの冷却構造を概念的に示した模示図である。
【図6】 参考例4にかかる小型滑走艇のエンジンの冷却構造を概念的に示した模示図である。
【図7】 参考例5にかかる小型滑走艇のエンジンの冷却構造を概念的に示した模示図である。
【図8】 本発明の実施形態にかかるジェット推進型の小型滑走艇の全体側面図である。
【図9】 図8に示す小型滑走艇の全体平面図である。
【符号の説明】
E……エンジン
Cb……シリンダブロック
Ch……シリンダヘッド
Pp1……第1の冷却経路
Pp2……第2の冷却経路

Claims (2)

  1. エンジンにより駆動されるウォータージェットポンプによって船体の底面に設けられた吸水口から船外の水を吸い込んで該ウォータージェットポンプで該水を加圧・加速して後方へ向けて噴射することによって推進するよう構成されるとともに、該ウォータージェットポンプの正圧域部分から船外の水を導いて該エンジンを冷却するよう構成された小型滑走艇において、
    前記エンジン内の冷却経路を、
    前記エンジンのシリンダヘッドへ冷却液を供給する第1の冷却経路と、該エンジンのシリンダブロックへ冷却液を供給する第2の冷却経路とに分けて、互いに独立して冷却液を供給して該エンジンを冷却するよう構成するとともに、
    記第2の冷却経路へ、排気管路のウォータージャケットを介して冷却液を供給するよう構成し、
    前記第1の冷却経路の断面積と前記第2の冷却経路の断面積とを同じ位の断面積に構成したことを特徴とする小型滑走艇。
  2. 前記排気管路のウォータージャケットが、排気マニフォルドのウォータージャケットであることを特徴とする請求項1記載の小型滑走艇。
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