JP4017818B2 - 玉軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、HDD用スピンドルモータ,各種ファンモータ,汎用モータなどを代表とする,比較的荷重が小さいためにいわゆる潤滑寿命で軸受の機能が規定される機械装置で使用される玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
モータの回転軸を支持する玉軸受には密封型玉軸受が一般的に使用されており、アキシアル方向に予圧を負荷して軸受の剛性を確保し、回転体の高い回転精度を維持している。密封型玉軸受にはグリースが軸受内部に密封されており、軸受の寿命はボールと軌道面でアキシアル荷重を受ける接触面内でのせん断の繰り返しによるグリースの寿命によって決定される。そのため、従来からグリースの性能向上が図られてきた。
【0003】
密封型玉軸受を使用する機械装置では、寿命の延長が永遠の課題であり、軸受の寿命は前記のようにグリースの寿命に大きく依存する。モータ等でアキシアル荷重が負荷された玉軸受では、一般に、軌道面ならびにボールの1mm2 前後の範囲が弾性変形して1μm前後のグリースの膜で荷重を支えている。グリースはボールの自転に伴い内外輪軌道面間を移動する。その際、ボールを周方向に配置している保持器のエッジによりグリースが掻き取られるため、軸受の回転に伴いボールと軌道面間の接触部へのグリースの供給量が少くなった状態で玉軸受は使用されている。グリースの供給量が少なくなると、荷重を支えるグリース膜が薄くなり、軌道面の粗さに比較してグリース膜が薄い場合にはボールは軌道面と接触し、ボールおよび軌道面の表面が摩耗して軸受の振動が大きくなる。そのため、静粛性が要求されるハードディスクドライブやエアコンファンモータなどでは早期に軸受寿命となる。また、ボールと軌道面の接触による発熱のためにグリースの酸化劣化が加速され、加えて、摩耗粉はグリースの酸化劣化を促進する触媒として作用するため、軸受の潤滑寿命は短くなる。
【0004】
保持器の外径面のエッジによりグリースが掻き取られることを防止することについては、ポケット開口縁に凹入部を設けて防止するものが提案されている(例えば、特開平11−166540)。この提案例では、リング状の保持器の内周面および外周面におけるポケット開口縁の一部で、面取り状の凹入部を設け、保持器ポケット面へのグリースの流入性を向上させている。上記凹入部として、面取り状とする代わりに、保持器の内周面から外周面に達する凹溝状とし、この凹溝状部の中間部を、ポケット内面と略同一平面にするものも提案されている。
しかし、ポケット内面において、ボールとポケット内面との接触部でグリースの掻き取りが生じ、ポケット内面を通過するグリース量を十分に増加させることができないという問題があった。加えて、ボール表面のグリースは荷重を受けるヘルツ接触幅の両側に多く存在し、そのグリースを掻き取らず、潤滑に寄与できないという問題点があった。
【0005】
これらのモータは、機械装置として低消費電力化のために、そこに使用される軸受に低トルクが要求される。
【0006】
保持器のポケット内面で自転運動を行っているボールは、その接触面で滑り摩擦を発生させ、軸受自体のトルク発生の一要因とされる。
【0007】
この発明の目的は、潤滑面へのグリースの供給量を増加させ、軸受の潤滑寿命を延長させること、および保持器のポケット内面で発生する滑り摩擦を低減し、軸受の低トルク化を達成することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の玉軸受は、内輪と外輪の間に介在した複数のボールをリング状の保持器に設けられたポケット内に保持し、上記ポケットの内面を球面状とした玉軸受において、上記保持器のポケットの内面に、保持器の内径面から外径面まで貫通する半径方向の溝を設け、この溝の横断面形状を円弧状としたものである。なお、この溝は、溝全長にわたり、所定以上の深さを有するもの、つまり溝深さが零となる箇所がないものとする。
このように保持器の内面に半径方向に貫通した溝を設けたため、ボールに付着したグリース等の潤滑剤がポケット内面を通過する箇所に、空間が形成されることになる。そのためポケットの開口縁やポケットの内面で掻き取られることが防止され、十分な量の潤滑剤が他方の軌道面に移動できる。この半径方向の溝は、断面形状が円弧状であって、溝幅の中央が深く、両側縁が浅くなっているために、ポケット内で、上記溝から効果的に潤滑剤がボールへ供給される。そのため、軌道面へのグリースの供給量を増加させることができ、密封グリース封入軸受の潤滑寿命を延長させることができる。
【0009】
上記保持器の溝の軸方向位置は、ボールの中心を溝幅内に含む位置とする。一般に、玉軸受では、内外輪の軌道面はボール径よりも僅かに大きな円弧状の断面形状とされていて、ボールは軌道面の幅の一部に接する。また、軸受に作用するアキシアル荷重のために接触角が生じ、ボール配列のピッチ円の中心から軸方向にずれた位置で接触することになる。軸受の回転中には、軌道面におけるボール接触点の両側の幅方向部分に潤滑剤の多い箇所が生じる。したがって、保持器の径方向溝の位置を、ボール中心を含む軸方向位置とすれば、ボールに付着したグリースを効果的に潤滑必要箇所に移動させることができる。上記径方向溝の位置をボール中心の軸方向位置に一致させれば、より一層好ましい。
このように、ボールの中心を溝幅内に含む位置とする場合に、内輪と外輪の間に軸方向の予圧を掛けた状態で、内外輪の軌道面のボールとの接触点が、前記径方向の溝の溝幅内に位置するように、前記溝の位置および溝幅を設定すると、より一層好ましい。このように設定することで、ボールに付着したグリースをより一層効果的に潤滑必要箇所に移動させることができる。
【0010】
上記溝の溝幅寸法は、ヘルツ接触面の幅以上とする。すなわち、負荷荷重および軸受内部諸元から算出したボールと内輪および外輪の軌道面との各ヘルツ接触楕円長軸半径aA ,aB のうちの大きい方をaとし、接触角をθ、保持器外径寸法をDco、保持器内径寸法をDci、ボールのピッチ円直径をDpとしたときに、上記溝の軸方向中心を保持器のポケット面の軸方向中心とし、上記溝の軸方向幅寸法2Lを、次式
【0011】
【数2】
【0012】
で定められる2XA ,2XB のいずれか大きい方の寸法とする。上式は玉軸受が深溝玉軸受である場合に適用される。
このように、溝幅をヘルツ接触幅よりも広くした場合、接触部両側にはみ出したグリースを保持器内外径面で掻き取ることなく潤滑に寄与することができる。また、溝断面形状が円弧状であって、溝幅の中央部が深く、両側縁が浅くなっているために、グリースをポケット内でボール中央部に移動させることができ、軌道輪ヘルツ接触部入口の中央のグリース量が増加し、密封グリース封入玉軸受の潤滑寿命を向上させることができる。なお、上記負荷荷重は、例えば定格荷重とする。溝の軸方向幅寸法の最大値は、例えば、溝の形成によっても、保持器の残りの内径面でボールを保持できる最大幅である。
【0013】
この発明の上記各構成の場合に、接触部の入口側のグリース量を増加させるために、上記保持器の溝の溝底面の縦断面形状を、球面状のポケット内面と同心の円弧状としても良い。
ポケットの内面は、ボールの直径よりも大きな径とした球状である。したがって、ボールの表面に付着して移動する潤滑剤量を確保するためには、径方向溝の縦断面形状を、ポケット内面と同心の円弧状とすれば良い。
【0014】
この発明の上記各構成の場合に、上記保持器は、樹脂製で冠形のものであってもよい。このように冠形で樹脂製の保持器とした場合、射出成形等で安価に製作でき、また組立工数が少なく、経済的に優れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。この玉軸受は、内輪6と外輪7の軌道面6a,7a間に複数のボール5を介在させ、これらのボール5を、保持器1に設けられた各ポケット2で各々保持したものである。各軌道面6a,7aは、ボール径よりも若干大きな径の円弧状断面形状の円周溝で形成されている。外輪7には、内外輪6,7間の環状空間を密封するシール8を両側に取付け、この軸受を密封型の玉軸受としている。詳しくは、密封型深溝玉軸受としてある。シール8は、シールド板であっても良い。
【0016】
保持器1は、図2,図3に示すように、冠形で樹脂製のものであり、リング状の保持器本体1aの片方の幅面に、各ポケット2ごとに一対の爪3,3を対向した突設した形状とされている。各ポケット2は、上記一対の爪3,3と、保持器本体1aの凹部とで形成され、内面が球面状とされている。この保持器1は射出成形等で形成される。
【0017】
保持器1のポケット2の内面には、内径面から外径面まで貫通する半径方向の溝4が設けてある。この溝4は、横断面形状、つまり保持器1の軸方向に沿う断面形状が円弧状とされている。円弧の程度は、半円状であっても、それよりも浅い形状であっても良い。すなわち、接触面入口側の中央部のグリース量を増加できる形状であれば良い。なお、溝4の横断面形状は、三角形状または楕円弧状とすることもできる。保持器1の溝4の位置は、ボール5の中心Oを含む軸方向位置であり、例えばボール5の中心Oと溝4の溝幅の中心とを一致させる。溝4の溝幅寸法は、後に数式で示すように、ヘルツ接触面の幅以上とすることが好ましい。
【0018】
図4に示すように、ポケット2の内面は、ボール5の直径dwよりも僅かに大きな径の球面状である。径方向の溝4の底面の縦断面形状、つまり径方向に沿う断面形状は、ポケット内面と同心の円弧状であって、ポケット内面よりも大きな径(直径dg)とされている。直径dgの値は、必要なグリースの移動量に応じて設計される。
【0019】
この構成の玉軸受によると、保持器1の内面に半径方向に貫通した溝4を設けたため、ボール5に付着したグリースがポケット内面を通過する箇所に、空間が形成されることになる。そのためポケット2の開口縁やポケット2の内面で掻き取られることが防止され、十分な量のグリースが他方の軌道面に移動できる。すなわち、従来の保持器では、爪3の内径面および外径面のエッジ部でグリースを掻き取るいわゆるワイパー作用により、ボール5に付着したグリースを他方の軌道面まで移動させることができなかったが、この実施形態によると、このような問題が解消される。
この半径方向の溝4は、横断面形状が円弧状であって、溝幅の中央が深く、両側縁が浅くなっているために、ポケット2内で溝4から効果的にグリースがボールへ供給される。そのため、軌道面6a,7aへのグリースの供給量を増加させることができる。
また、半径方向の溝4は、縦断面形状がポケット内面と同心の円弧状とされているため、溝深さを適宜の深さに設計することで、ボール5の表面に付着して移動するグリース量を、必要な量だけ確保することができる。
【0020】
図1は、軸受にアキシアル方向予圧が外輪7の右側および内輪6の左側から負荷されている状態を示している。軸受はラジアル内部隙間が存在するため、アキシアル荷重を負荷した場合、接触角θが生じ、ボール5は外輪7とは点Aで、内輪6とは点Bで各々接触する。点Oはボール5の中心である。アキシアル荷重の大きさとラジアル内部隙間の大きさから、内外輪6,7のボール5と接して荷重を支持する接触面(接触点A,Bでの接触面)の大きさ、および位置が決定される。上記接触面はヘルツ接触面となる。軸受の回転中には接触面の回転方向と直交する両側にグリースの輪状の溜まりが形成される。すなわち潤滑剤量の多い箇所ができるわけである。したがって、ボール5に付着したグリースを効果的に移動させるためには、径方向溝4の軸方向中心を、ボール5の中心点Oと一致させればよいことがわかる。加えて、径方向溝4の中心点(ボール5の中心点)Oからポケット開放側(爪3の開放側)への溝幅LC は、外輪7とボール5との接触面の幅における爪開放側端Cを含むことが望ましい。同様に、径方向溝4の中心点Oからポケット非開放側への溝幅LD は、内輪6とボール5との接触面の幅におけるポケット非開放側端Dを含むことが望ましい。
【0021】
以下に、溝4の全体の溝幅寸法2Lの決定方法の詳細を示す。溝幅を、ヘルツ接触幅を完全に含む領域とすることで、ボール5の表面に付着して移動するグリースが確保できる。以下に示す溝幅寸法2Lは、溝4の軸方向中心を保持器1のポケット面の軸方向中心とした場合であり、L=LC =LD である。
上記のように、図1は軸受にアキシアル方向予圧(アキシアル荷重)が外輪7の右側および内輪6の左側から負荷されている状態を示している。ボール5は外輪7とは点Aで、内輪6とは点Bで各々接触する。点Oはボールの中心である。
軸受のラジアル内部隙間をCr,内輪6の軌道面公溝曲率半径をrB ,外輪7の軌道面の溝曲率半径のrA ,ボール直径をDW とすると、接触角θは、
θ= cos -1 〔(rA +rB −DW /2)/ (rA +rB −DW )〕
として決定される。ボールに負荷される荷重Pは、アキシアル荷重Fa,ボール個数Zによって、P=Fa/Z sinθ、で決定される。
【0022】
改訂版潤滑ハンドブック(日本潤滑学会編,養賢堂(1987)16‐17)によれば、点Bと点Aにおけるヘルツ接触面の接触楕円長軸径寸法aB ,aA は、ボールに負荷される荷重をP、ボールの材料の縦弾性係数をE、内輪または外輪の材料の縦弾性係数をそれぞれE2B,E2A,ボールの材料のポアソン比をν1,内輪または外輪の材料のポアソン比をそれぞれν2B,ν2A、ボールと内輪、またはボールと外輪の主曲率により決定される係数をそれぞれA1 ,A2 、
【0023】
【数3】
【0024】
ボールと内輪または外輪の軌道面曲面の主曲率、主曲率を含む平面がなす角φの関数として求められる係数をそれぞれαB またはαA とすると、
【0025】
【数4】
【0026】
で決定される。
なお、αB またはαA を求める方法は、改訂版潤滑ハンドブック(日本潤滑学会編,養賢堂(1987)16頁の図2.1.3)による。同引用箇所には、一般に2つの曲面が点接触すれば、接触面はだ円形になること、またヘルツによれば、上記2つの曲面における主曲率、主曲率を含む平面がなす角の関数として、接触楕円の長軸半径を求める係数αが求まることが示されている。
【0027】
ボール5が自転運動したとき、ヘルツ接触面はボール5の表面において、幅寸法が点Aおよひび点Bにおけるヘルツ接触面の接触楕円長軸径寸法aB ,aA のいずれか大きい方の寸法aで、中心が点Oを通り接触点A,Bを結ぶ直線である帯状の軌道となる。
上記の軌道が保持器外径面上および保持器内径面上において交差する領域は、接触角θ、幅寸法a、保持器外径寸法のDcoおよび保持器内径寸法のDci、ボールのピッチ円直径のDpにより、またアキシアル荷重が図1と逆方向の場合も含め、幾何学的な関係により、次式
【0028】
【数5】
【0029】
で示される値2XA ,2XB のいずれか大きい方を幅寸法とし、その中心が点Oである領域として決定される。溝幅寸法2Lは、保持器外径面上において交差する上記領域を含むように設定する。図1はアキシアル荷重が軸受に負荷された例を示したが、ラジアル荷重下、またはラジアル荷重とアキシアル荷重の合成荷重下の場合も上記と同様に溝幅が設計できる。
【0030】
なお、上記実施形態では、保持器1を冠型の樹脂製保持器としたが、この発明は、保持器1が波形プレス保持器である場合にも適用することが出来る。
【0031】
【実施例】
つぎに、各種の試験結果を説明する。油膜形成試験については、互いに試験条件の異なる(特に、回転数が大きく異なる)2種類の試験を行った。
〔油膜形成試験(1)〕(低速回転)
この発明の上記実施形態における保持器1において、溝深さ寸法D(図3)を一定として、保持器外径面でのヘルツ接触軌道の爪開放側端とボール中心との軸方向寸法XA (図1)に対する径方向溝4の半幅寸法Lの比(L/XA )を変え、径方向溝4の無い従来の保持器との性能を油膜形成試験で確認した。試験軸受には深溝玉軸受608(内径8mm×外径22mm×幅7mm)を使用した。ボール5は鋼球であり、直径寸法は4mmである。グリースは増ちょう剤がLi石鹸で基油はエステル系合成油である。基油の40℃における動粘度は33mm2/sである。雰囲気温度は80℃、アキシアル荷重は5kgf とした。試験回転速度は1050rpm であり、内輪回転とした。保持器1は射出成形したナイロン製冠型保持器である。運転中の静止輪と回転輪(内輪)間に接触電気抵抗を測定する直流回路を構成し、抵抗値から軸受の油膜形成率を評価した。ここで、油膜形成率とは、軸受の印加電圧Voに対して、試験中の静止輪と回転輪間の電圧Vから式のように定義した。
油膜形成率=100×V/Vo
である。なお、回転輪と測定回路との結線には回転軸端に取りつけた水銀スリップリングを用いた。
【0032】
図5に結果を整理して示す。試験はそれぞれの保持器で数回実施し、図5にはその平均値を記載した。図5より、従来の保持器すなわちL/XA =0と比べて、本発明の各実施形態に
かかる軸受、すなわちL/XA =1以上の場合には、油膜形成能力が優れていることが分かった。
【0033】
〔軸受振動劣化試験〕
この発明の上記実施形態における保持器1と、径方向溝4の無い従来の保持器との性能比較を振動劣化試験により確認した。試験軸受には深溝玉軸受608(内径8mm×外径22mm×幅7mm)を使用した。ボール5は鋼球であり、直径寸法は4mmである。グリースは増ちょう剤がLi石鹸で基油はエステル系合成油である。基油の40℃における動粘度は33mm2/sである。雰囲気温度は80℃、アキシアル荷重は5kgf とした。試験回転速度は1050mmであり、内輪回転とし、運転時間を200hとした。保持器1は射出成形したナイロン製冠型保持器である。運転前後における軸受の振動劣化量を測定し、その効果を確認した。
【0034】
図6に結果を整理して示す。図6より、従来の保持器すなわち径方向溝が設置されていない保持器に対して、本発明の各実施形態にかかる軸受は、振動劣化量が少なく潤滑寿命において優れていることが分かる。
【0035】
〔トルク試験〕
この発明の上記実施形態における保持器1において満深さ寸法D(図3)を一定として、保持器外径面でのヘルツ接触軌道の爪開放側端とボール中心との軸方向寸法XA (図1)に対する径方向溝4の半幅寸法Lの比(L/XA )を変え、軸受のトルク試験により確認した。試験軸受には深溝玉軸受608(内径8mm×外径22mm×幅7mm)を使用した。ボール5は鋼球であり、直径寸法は4mmである。グリースは増ちょう剤がLi石鹸で基油はエステル系合成油である。基油の40℃における動粘度は33mm2/sである。雰囲気温度は室温、アキシアル荷重は5kgfとした。試験回転速度は5000rpm であり、内輪回転とした。保持器1は射出成形したナイロン製冠型保持器である。軸受回転中のトルクを測定して、その効果を確認した。
【0036】
図7に結果を整理して示す。試験はそれぞれの保持器で数回実施し、図7にはその平均値を記載した。図7より、従来の保持器すなわちL/XA =0と比べて、本発明の各実施形態にかかる軸受、すなわちL/XA =1以上の場合には、従来の保持器、すなわち径方向溝が設置されていない保持器に対して、本発明の各実施形態にかかる軸受を組込んだ軸受は、低トルクになる特性を示した。
【0037】
〔油膜形成試験(2)〕(高速回転)
この発明の上記実施形態における保持器1と、径方向溝4の無い従来の保持器との高速回転時の性能を油膜形成試験で確認した。試験軸受には深溝玉軸受608(内径8mm×外径22mm×幅7mm)を使用した。ボール5は鋼球であり、直径寸法は4mmである。グリースは増ちょう剤がウレアであり、基油はエステル系合成油である。基油の40℃における動粘度は41mm2/sである。雰囲気温度は60℃、アキシアル予圧は3kgf とした。試験回転速度は20000rpmであり、内輪回転とした。保持器1は射出成形したナイロン製冠形保持器である。運転中の静止輪(外輪)と回転輪(内輪)間に接触抵抗を測定する直流回路を構成し、抵抗値から軸受の油膜形成率を評価した。この場合、油膜形成率とは、軸受の印加電圧1Vに対して、試験中の静止輪と回転輪間の電圧降下Vから下式のように定義した。
油膜形成率=100×V
である。
なお、回転輪と測定回路との結線には回転軸端に取り付けた水銀スリップリングを用いた。
【0038】
表1に結果を整理して示す。試験はそれぞれの保持器で数回実施し、表1にはその平均値を記載した。油膜形成率を評価した本発明の各実施形態にかかる保持器の径方向溝4の幅は一定とした。径方向溝4の底面の軸方向断面は円弧状とした。表1の溝深さは、保持器1のポケット2の内面に沿った仮想球面から径方向溝4の底面までの最大深さを示している。表1より、本発明の各実施形態にかかる軸受の油膜形成能力は、従来の保持器を組み込んだ軸受の油膜形成能力に比べて優れていることが確認できた。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
この発明の玉軸受は、保持器の内径面から外径面まで貫通する半径方向の溝を設け、この溝の横断面形状を円弧状とし、上記保持器の溝の軸方向位置を、ボールの中心を溝幅内に含む位置とし、内輪と外輪の間に軸方向の予圧を掛けた状態で、内外輪の軌道面のボールとの接触点が、前記径方向の溝の溝幅内に位置するように、前記溝の位置および溝幅を設定し、深溝玉軸受であって、負荷荷重および軸受内部諸元から算出したボールと内輪および外輪の軌道面との各ヘルツ接触楕円長軸半径a A ,a B のうちの大きい方をaとし、接触角をθ、保持器外径寸法をD co 、保持器内径寸法をD ci 、ボールのピッチ円直径をDpとしたときに、上記溝の軸方向中心を保持器のポケット面の軸方向中心とし、上記溝の軸方向幅寸法2Lを、次式
【数2】
で定められる2X A ,2X B のいずれか大きい方の寸法とし、上記溝の溝幅寸法を、ヘルツ接触面の幅以上としたため、ボールと軌道面間の潤滑膜の形成状態を良好にすることができて、軸受の潤滑寿命の長寿命化が実現できる。上記溝を設けたことにより、ボールとポケット内面との接触面積が低減することにより、軸受のトルクが低くなる効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる玉軸受の断面図である。
【図2】その保持器の一部にボールを保持した状態を示す外観説明図である。
【図3】同保持器のPCD位置での軸方向に沿う部分断面図である。
【図4】同保持器を軸方向から見た玉中心位置での部分断面図である。
【図5】溝幅とヘルツ接触軌道幅の寸法比と油膜形成率の関係を示すグラフである。
【図6】溝の深さ寸法と振動劣化量の関係を示すグラフである。
【図7】溝幅とヘルツ接触軌道幅の寸法比とトルクの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:保持器
2:ポケット
3:爪
4:径方向の溝
5:ボール
6:内輪
7:外輪
8:シール
Claims (3)
- 内輪と外輪の間に介在した複数のボールをリング状の保持器に設けられたポケット内に保持し、上記ポケットの内面を球面状とした玉軸受において、上記保持器のポケットの内面に、保持器の内径面から外径面まで貫通する半径方向の溝を設け、この溝の横断面形状を円弧状とし、上記保持器の溝の軸方向位置を、ボールの中心を溝幅内に含む位置とし、内輪と外輪の間に軸方向の予圧を掛けた状態で、内外輪の軌道面のボールとの接触点が、前記径方向の溝の溝幅内に位置するように、前記溝の位置および溝幅を設定し、深溝玉軸受であって、負荷荷重および軸受内部諸元から算出したボールと内輪および外輪の軌道面との各ヘルツ接触楕円長軸半径a A ,a B のうちの大きい方をaとし、接触角をθ、保持器外径寸法をD co 、保持器内径寸法をD ci 、ボールのピッチ円直径をDpとしたときに、上記溝の軸方向中心を保持器のポケット面の軸方向中心とし、上記溝の軸方向幅寸法2Lを、次式
- 上記保持器の溝の溝底面の縦断面形状を、球面状のポケット内面と同心の円弧状とした請求項1に記載の玉軸受。
- 上記保持器は、樹脂製で冠形のものである請求項1または2に記載の玉軸受。
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