JP2003021149A - コンプレッサ用プーリの回転支持装置 - Google Patents

コンプレッサ用プーリの回転支持装置

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JP2003021149A JP2001210265A JP2001210265A JP2003021149A JP 2003021149 A JP2003021149 A JP 2003021149A JP 2001210265 A JP2001210265 A JP 2001210265A JP 2001210265 A JP2001210265 A JP 2001210265A JP 2003021149 A JP2003021149 A JP 2003021149A
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radial ball
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outer ring
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    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
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    • F16C33/6603Special parts or details in view of lubrication with grease as lubricant
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型・軽量に構成できる構造で、しかも十分
な耐久性を確保する。 【解決手段】 ケーシング2に対して従動プーリ4b
を、4点接触型のラジアル玉軸受14bにより支持す
る。このラジアル玉軸受14bに封入するグリースとし
て、基油が合成油であり、増ちょう剤がウレア化合物で
あり、添加剤としてZnDTCを含むものを使用する。
又、好ましくは、無端ベルト11から加わるラジアル荷
重のオフセット量を小さく抑える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るコンプレッサ
用プーリの回転支持装置は、自動車用空気調和装置用の
コンプレッサを構成するハウジング等の固定の部分に、
このコンプレッサを回転駆動する為の従動プーリを回転
自在に支持する為、このコンプレッサの回転駆動装置に
組み込んだ状態で使用する。
【0002】
【従来の技術】自動車用空気調和装置に組み込んで冷媒
を圧縮するコンプレッサは、走行用エンジンにより回転
駆動する。この為、このコンプレッサの回転軸の端部に
設けた従動プーリと、上記走行用エンジンのクランクシ
ャフトの端部に固定した駆動プーリとの間に無端ベルト
を掛け渡し、この無端ベルトの循環に基づいて、上記回
転軸を回転駆動する様にしている。
【0003】図8は、コンプレッサの回転軸1の回転駆
動部分の構造を示している。この回転軸1は、図示しな
い転がり軸受により、ケーシング2内に回転自在に支持
している。このケーシング2の端部外面に設けた、請求
項に記載した支持部分に相当する支持筒部3の周囲に従
動プーリ4を、複列ラジアル玉軸受5により、回転自在
に支持している。この従動プーリ4は、断面コ字形で全
体を円環状に構成しており、上記ケーシング2の端面に
固定したソレノイド6を、上記従動プーリ4の内部空間
に配置している。一方、上記回転軸1の端部で上記ケー
シング2から突出した部分には取付ブラケット7を固定
しており、この取付ブラケット7の周囲に磁性材製の環
状板8を、板ばね9を介して支持している。この環状板
8は、上記ソレノイド6への非通電時には、上記板ばね
9の弾力により、図8に示す様に上記従動プーリ4から
離隔しているが、上記ソレノイド6への通電時にはこの
従動プーリ4に向け吸着されて、この従動プーリ4から
上記回転軸1への回転力の伝達を自在とする。即ち、上
記ソレノイド6と上記環状板8と上記板ばね9とによ
り、上記従動プーリ4と上記回転軸1とを係脱する為の
電磁クラッチ10を構成している。
【0004】上述の様な、複列ラジアル玉軸受5により
従動プーリ4を回転自在に支持する構造の場合には、こ
の従動プーリ4に掛け渡した無端ベルト11からこの従
動プーリ4に多少の偏荷重が加わった場合でも、上記複
列ラジアル玉軸受5を構成する外輪12の中心軸と内輪
13の中心軸とが不一致になる(傾斜する)事は殆どな
い。従って、上記複列ラジアル玉軸受5の耐久性を十分
に確保すると共に、上記従動プーリ4の回転中心が傾斜
する事を防止して、上記無端ベルト11の偏摩耗を防止
できる。但し、上記複列ラジアル玉軸受5を使用する事
に伴って、軸方向寸法が嵩む事が避けられない。従動プ
ーリ4の回転支持部は、限られた空間内に設置しなけれ
ばならない場合が多く、軸方向寸法が嵩む事は好ましく
ない。しかも、軸方向寸法が嵩む事に伴い、構成各部品
のコストが嵩んでしまう。
【0005】上記従動プーリ4を支持する為の転がり軸
受として、上述の様な複列ラジアル玉軸受5に代えて単
列深溝型のラジアル玉軸受を使用すれば、軸方向寸法を
短縮して限られた空間内への設置が容易になる。但し、
単純な単列深溝型のラジアル玉軸受の場合には、上記従
動プーリ4がモーメント荷重を受けた場合にこの従動プ
ーリ4の傾斜を防止する為の力が小さく、上記ラジアル
玉軸受を構成する外輪の中心軸と内輪の中心軸とが不一
致になる程度が著しくなる。この結果、上記ラジアル玉
軸受の耐久性が不十分になるだけでなく、上記従動プー
リ4に掛け渡した無端ベルト11に著しい偏摩耗が発生
し易くなる。
【0006】この様な事情に鑑みて、従動プーリを支持
する為に、単列で4点接触型のラジアル玉軸受を使用す
る事が、例えば特開平9−119510号公報、同11
−336795号公報に記載されている様に、従来から
考えられている。図9〜10は、このうちの特開平9−
119510号公報に記載された、従来構造の第2例を
示している。
【0007】この従来構造の第2例では、金属板にプレ
ス加工等による曲げ加工を施して成る従動プーリ4a
を、単列で4点接触型のラジアル玉軸受14により、図
示しない支持部分の周囲に回転自在に支持できる様にし
ている。このラジアル玉軸受14は、互いに同心に支持
された外輪15及び内輪16と、複数個の玉17、17
とを備える。このうちの外輪15の内周面には外輪軌道
18を、内輪16の外周面には内輪軌道19を、それぞ
れ全周に亙って形成している。これら各軌道18、19
の断面形状はそれぞれ、上記各玉17、17の直径の1
/2よりも大きな曲率半径を有する円弧同士を中間部で
交差させた、所謂ゴシックアーチ状である。従って、上
記各軌道18、19と上記各玉17、17の転動面と
は、それぞれ2点ずつ、これら各玉17、17毎に合計
4点ずつで接触する。
【0008】この様な4点接触型のラジアル玉軸受14
は、一般的な単列深溝型のラジアル玉軸受に比べてモー
メント荷重に対する剛性が大きく、モーメント荷重を受
けた場合でも上記外輪15の中心軸と上記内輪16の中
心軸とがずれにくくなる。この為、一般的な単列深溝型
のラジアル玉軸受を使用してコンプレッサ用プーリの回
転支持装置を構成した場合に比べて、従動プーリ4に掛
け渡した無端ベルト11(図8参照)に発生する偏摩耗
を緩和できる。尚、前記特開平11−336795号公
報には、コンプレッサ駆動用の従動プーリの回転支持部
に上述の様な4点接触型のラジアル玉軸受を組み付け、
更にこの従動プーリとコンプレッサの回転軸との間に電
磁クラッチを設けた構造が記載されている。
【0009】又、図11に示す様な、単列で3点接触型
の玉軸受14aでも、一般的な単列深溝型のラジアル玉
軸受に比べてモーメント荷重に対する剛性が大きく、モ
ーメント荷重を受けた場合でも外輪15の中心軸と内輪
16aの中心軸とがずれにくくなる。この3点接触型の
玉軸受14aは、この内輪16aの外周面に、玉17の
転動面と1点で接触する断面が単一曲率を有する円弧状
の内輪軌道19aを、上記外輪15の内周面に、上記図
10に示した4点接触型のラジアル玉軸受14と同様
に、上記玉17の転動面と2点で接触する、ゴシックア
ーチ状の外輪軌道18を、それぞれ形成している。この
様な3点接触型の玉軸受14aを使用してコンプレッサ
用プーリを支持する場合でも、一般的な単列深溝型のラ
ジアル玉軸受を使用してコンプレッサ用プーリの回転支
持装置を構成した場合に比べて、従動プーリ4に掛け渡
した無端ベルト11(図8参照)に発生する偏摩耗を緩
和できる。図11に記載した構造とは逆に、各玉の転動
面と外輪軌道とが1点ずつで、内輪軌道とが2点ずつ
で、それぞれ接触する3点接触型の玉軸受の場合も同様
である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した様に、コンプ
レッサ駆動用の従動プーリの回転支持部に上述の様な4
点接触型或は3点接触型のラジアル玉軸受を組み付けた
場合には、小型・軽量化と耐久性の確保とを高次元で両
立させられる可能性がある。但し、4点接触型或は3点
接触型のラジアル玉軸受14、14aの場合には、一般
的に深溝型のラジアル玉軸受に比べて、各玉17、17
の転動面と外輪軌道18及び内輪軌道19、19aとの
転がり接触部で発生するスピン損失に基づく転がり抵抗
が大きい。この結果、上記ラジアル玉軸受14、14a
の内部で発生する摩擦熱が多くなり、このラジアル玉軸
受14、14aの内部の温度上昇が著しくなる。この結
果、このラジアル玉軸受14、14aの内部に一般的な
グリースを封入したのでは、このグリースが早期に熱劣
化して十分な潤滑性能を発揮できなくなり、上記ラジア
ル玉軸受14、14aの耐久性が不十分となる。本発明
のコンプレッサ用プーリの回転支持装置は、この様な事
情に鑑みて発明したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のコンプレッサ用
プーリの回転支持装置は、前述した様な従来から知られ
ているコンプレッサ用プーリの回転支持装置と同様に、
回転軸と、この回転軸の周囲に設けられた固定の支持部
分と、この固定の支持部分に支持された転がり軸受と、
この転がり軸受により上記支持部分の周囲に回転自在に
支持された、無端ベルトを掛け渡す為のプーリとを備え
る。そして、上記転がり軸受は、前述した特開平9−1
19510号公報、同11−336795号公報に記載
されている様に、外周面に玉の転動面と1点又は2点で
接触する形状の内輪軌道を有する内輪と、内周面に玉の
転動面と1点又は2点で接触する形状の外輪軌道を有す
る外輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在
に設けられた複数個の玉とを備え、これら内輪軌道と外
輪軌道とのうちの少なくとも一方の軌道とこれら各玉の
転動面とがそれぞれ2点ずつで接触する、単列で3点又
は4点接触型のラジアル玉軸受である。
【0012】特に、本発明のコンプレッサ用プーリの回
転支持装置に於いては、上記ラジアル玉軸受内に、基油
がエーテル系とエステル系とポリαオレフィン系とのう
ちから選択される1種又は2種以上の合成油であり、増
ちょう剤がウレア化合物であり、添加剤として少なくと
もZnDTCを含むグリースを封入している。又、好まし
くは、上記プーリの外周面で上記無端ベルトと接触する
部分の幅方向中央部位置と上記ラジアル玉軸受の中心と
の軸方向距離であるオフセット量を、このラジアル玉軸
受のピッチ円直径の40%以下とする。又、好ましく
は、上記ラジアル玉軸受の単品時(内輪及び外輪を相手
部材に嵌合固定する以前の状態)でのラジアル隙間を、
上記ラジアル玉軸受のピッチ円直径の0.2%以下、又
は上記各玉の直径の1.5%以下とする。又、好ましく
は、上記オフセット量を、上記ピッチ円直径の20%以
下、更に好ましくは10%以下とする。更に、必要に応
じて、上記オフセット量の下限値を1mm以上としても良
い。
【0013】更に好ましくは、次の〜のうちの1又
は2以上の構成を、上述した本発明と組み合わせる事も
できる。 内輪軌道及び外輪軌道の溝深さを、玉の直径の18
%以上とする。 内輪と外輪と玉とのうちの少なくとも1種の部品
に、窒化処理と寸法安定化処理とのうちの少なくとも一
方の処理を施す。 各玉を保持器に設けたポケット内に転動自在に保持
すると共に、この保持器の周方向に関するこれら各ポケ
ットの内寸を、上記各玉の直径の1.03倍以上とす
る。 ラジアル玉軸受の断面形状の幅寸法を、同じく径方
向の高さ寸法の1.3倍以上とする。 尚、これら〜の構成は、本発明とは別に、それぞれ
単独で、或は任意に組み合わせて、コンプレッサ用プー
リの回転支持装置を構成する3点又は4点接触型のラジ
アル玉軸受に適用する事もできる。
【0014】
【作用】上述の様に構成する本発明のコンプレッサ用プ
ーリの回転支持装置によれば、グリースの寿命を向上さ
せる事により、プーリを支持しているラジアル玉軸受の
耐久性向上を図れる。
【0015】又、好ましい構造として示した様に、オフ
セット量を上記ラジアル玉軸受のピッチ円直径の40%
以下に抑えれば、このラジアル玉軸受の回転抵抗の増大
を抑えつつ、このラジアル玉軸受を構成する内輪の中心
軸と外輪の中心軸とがずれる事をより十分に抑える事が
できる。即ち、上記ラジアル玉軸受の中心に対する無端
ベルトの巻き掛け位置のオフセット量を、このラジアル
玉軸受のピッチ円直径の40%以下に抑えれば、プーリ
を介して上記外輪に加わるモーメント荷重を小さく抑え
られる。これにより、これらプーリ及び外輪の上記内輪
に対する傾斜を抑えて、上記ラジアル玉軸受の転がり接
触部分に過大な面圧が作用するのを防止し、このラジア
ル玉軸受の耐久性確保を図れる。又、上記プーリに掛け
渡した無端ベルトの偏摩耗を抑えて、この無端ベルトの
耐久性確保も図れる。又、好ましい構造として、上記ラ
ジアル玉軸受の単品時でのラジアル隙間を、このラジア
ル玉軸受のピッチ円直径の0.2%以下、又は、各玉の
直径の1.5%以下に抑えれば、上記両中心軸同士がず
れにくくなって、上記作用をより良好な状態で得られ
る。
【0016】更に、必要に応じて前述した〜のうち
から選択する1又は2以上の構成を付加する事により、
上記ラジアル玉軸受の耐久性を、より一層向上させる事
ができる。先ず、の様に内輪軌道及び外輪軌道の溝深
さを、玉の直径の18%以上確保すれば、玉の転動面が
これら内輪軌道及び外輪軌道の端縁に乗り上げる事を防
止して、この転動面に過大な面圧が加わる事を防止し、
この転動面の転がり疲れ寿命を確保して、上記ラジアル
玉軸受の耐久性向上を図れる。又、の様に、窒化処理
又は寸法安定化処理を施せば、当該処理を施した部品並
びにこの部品と接触する他の部品の転がり疲れ寿命を向
上させて、上記ラジアル玉軸受の耐久性向上を図れる。
又、の様に、保持器の各ポケットの内寸を確保すれ
ば、これら各ポケット内に保持した玉がこれら各ポケッ
トの内面を強く押圧する事を防止して、上記保持器の損
傷を防止し、この保持器を含む上記ラジアル玉軸受の耐
久性向上を図れる。更に、の様に、ラジアル玉軸受の
断面形状の幅寸法を確保すれば、このラジアル玉軸受の
内部空間の容積を大きくしてこの内部空間内に封入可能
なグリースの量を多くし、結果としてこのグリースの耐
久寿命を長くして、上記ラジアル玉軸受の耐久性向上を
図れる。尚、上述の説明から明らかな通り、上記〜
の構成は、それぞれ単独で、或は任意に組み合わせて本
発明のコンプレッサ用プーリの回転支持装置に適用でき
る。更には、3点又は4点接触型のラジアル玉軸受に限
らずに単列の玉軸受全般に関し、本発明のコンプレッサ
用プーリの回転支持装置とは独立して(別個に)も実施
できる。この場合にも、上記〜の構成は、それぞれ
単独で、或は任意に組み合わせて実施できる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1〜4は、本発明の実施の形態
の2例を示している。尚、本例の特徴は、ケーシング2
の支持筒部3等の固定の支持部分の周囲に従動プーリ4
b、4cを回転支持する為の転がり軸受として4点接触
型のラジアル玉軸受14bを使用する構造で、このラジ
アル玉軸受14b内に封入するグリースとして十分な耐
熱性を有するものを使用してこのラジアル玉軸受14b
の耐久性を確保すると共に、このラジアル玉軸受14b
と上記従動プーリ4b、4cとの位置関係を、このラジ
アル玉軸受14bの諸元との関係で適正に規制する事に
より、このラジアル玉軸受14b及び上記従動プーリ4
b、4cに掛け渡した無端ベルト11の耐久性確保を図
る点にある。その他の部分の構造及び作用は、図1に示
した第1例の構造に関しては、前述の図8に示した従来
構造と同様である。これに対して、図2に示した第2例
の構造の場合には、可変容量型のコンプレッサ用プーリ
の回転支持装置に関するものである。
【0018】この様な図2に示した第2例の構造は、電
磁クラッチ10(図1)を持たない。従動プーリ4cと
回転軸1の先端部に固定した連結ブラケット20とを、
過大トルクが加わった場合を除いて、回転力をそのまま
伝達する様に結合している。この為に、上記従動プーリ
4cの外側面(図2の左側面)に全周に亙って突設した
円筒状支持部21の外周面に焼き付け等により結合固定
したゴムダンパ22の外周面と、上記連結ブラケット2
0の外周縁部に形成した庇部23の内周面とを凹凸係合
させている。即ち、この庇部23の内周面と上記ゴムダ
ンパ22の外周面との断面形状を、互いに相似形の非円
形(例えば花弁状)とし、これら両周面同士を当接若し
くは近接対向させている。この為、上記回転軸1を回転
駆動する為に要するトルクが通常の値である場合には、
上記従動プーリ4cの回転が上記ゴムダンパ22を介し
て上記連結ブラケット20に伝わり、上記回転軸1が回
転駆動される。これに対して、コンプレッサの焼き付き
等によりこの回転軸1を回転駆動する為に要するトルク
が過大になると、上記ゴムダンパ22が弾性変形若しく
は裂断して、上記従動プーリ4cが上記回転軸1と独立
して回転する事を可能にする。そして、上記コンプレッ
サの故障時にも、エンジンが停止する事を防止する。
【0019】図2に示した第2例の構造の場合、前述し
た第1例の構造から電磁クラッチ10(図1)を省略し
た分、上記従動プーリ4cの外径を小さくして上記回転
軸1の高速回転を可能にし、コンプレッサの圧縮性能の
向上を図れる。このコンプレッサが、例えば特開平11
−210619号公報、或は実開昭64−27482号
公報に記載された様な斜板式可変容量型コンプレッサの
場合には、斜板の傾斜角度を極く小さく(更には傾斜角
度をゼロに)する事により、コンプレッサの回転軸の回
転トルクを極く小さくできる。従って、上記電磁クラッ
チ10を省略しても、冷房を必要としない場合に、上記
コンプレッサがエンジンの回転に対する抵抗となる事を
防止できる。
【0020】前述の図1に示した第1例の構造の場合
も、上述の図2に示した第2例の構造を、何れも、前述
の図8に示した従来構造の第1例の場合と同様に、ケー
シング2に設けた、請求項の支持部分に相当する支持筒
部3の周囲に従動プーリ4b、4cを、図3に示す様な
ラジアル玉軸受14bにより回転自在に支持している。
このラジアル玉軸受14bは、互いに同心に支持された
外輪15a及び内輪16bと、複数個の玉17とを備え
る。このうちの外輪15aの内周面には外輪軌道18a
を、内輪16bの外周面には内輪軌道19bを、それぞ
れ全周に亙って形成している。これら各軌道18a、1
9bの断面形状はそれぞれ、上記各玉17の直径Daの
1/2よりも大きな曲率半径Ro、Riを有し互いに中
心が異なる1対ずつの円弧同士を中間部で交差させた、
所謂ゴシックアーチ状である。本例の場合には、上記外
輪軌道18aの曲率半径Roを、上記各玉17の直径D
aの0.53倍(Ro=0.53Da)とし、上記内輪
軌道19bの曲率半径Riを、上記各玉17の直径Da
の0.515倍(Ri=0.515Da)としている。
【0021】各部を上述の様に形成するのに伴って、上
記各軌道18a、19bと上記各玉17の転動面とは、
それぞれ2点ずつ、これら各玉17毎に合計4点ずつで
接触する。本例の場合、これら各軌道18a、19bと
各玉17の転動面との転がり接触部の位置をこれら各軌
道18a、19bの中央からのずれ角度で表す、レスト
アングルθは、それぞれ20度としている。又、上記外
輪15a及び内輪16bと複数個の玉17とを組み合わ
せて上記ラジアル玉軸受14bを構成した状態で、この
ラジアル玉軸受14bには、正又は負のラジアル隙間が
存在するが、正の隙間が存在する場合でも、その値を、
前記ラジアル玉軸受14bのピッチ円直径Dpの0.2
%以下、又は、上記各玉17の直径Daの1.5%以下
に抑えている。
【0022】尚、上記外輪軌道18aの曲率半径Roを
上記内輪軌道19bの曲率半径Riよりも大きくした理
由は、これら各軌道18a、19bの円周方向に関する
凹凸形状が、外輪軌道18aと内輪軌道19bとで互い
に逆になる為である。即ち、円周方向に関する形状が凹
となる上記外輪軌道18aの曲率半径Roを、円周方向
に関する形状が凸となる上記内輪軌道19bの曲率半径
Riよりも大きくして、上記各接触部の接触面積、延て
は接触圧に大きな差が生じない様にし、上記各軌道18
a、19bの転がり疲れ寿命を揃える事により、無駄の
ない設計をする為である。又、前記外輪15a及び内輪
16bには、使用環境に応じて、190〜230℃、又
は230〜270℃程度での、高温テンパー処理(焼き
戻し処理)を施して、上記各軌道18a、19bの転が
り疲れ寿命の向上を図っている。尚、実際に高温テンパ
ー処理を施す場合には、上記温度範囲内で、例えば20
0℃、210℃、220℃、240℃、250℃、26
0℃と言ったノミナル値を目標として行なう。
【0023】尚、図示の例では、上記各軌道18a、1
9bの幅方向中央部に、これら各軌道18a、19bを
加工する際に使用する工具との干渉を防止する為の逃げ
溝24a、24bを形成している。但し、この様な逃げ
溝24a、24bは、前述の図10に示した従来構造の
場合と同様に、省略する事もできる。何れにしても、上
記外輪15aの溝底部(外輪軌道18aの中央部で最も
肉厚が小さい部分)の肉厚T15は、上記各玉17の直径
Daの20%以上、好ましくは20〜40%{T15
(0.2〜0.4)Da}とする。上記逃げ溝24aを
形成する場合には上記肉厚T15は、この逃げ溝24aの
底部と上記外輪15aの外周面との距離を言う。この肉
厚T15を上記範囲に規制する事により、前記ラジアル玉
軸受14bの外径が徒に大きくなる事を防止し、上記外
輪15aを含むラジアル玉軸受14bの大型化を抑えつ
つ、この外輪15aの強度確保を図れる。
【0024】又、好ましくは、上記内輪軌道19b及び
外輪軌道18aの溝深さを、上記各玉17の直径Daの
18%以上とする。尚、4点接触型のラジアル玉軸受1
4bを構成する内輪軌道19b及び外輪軌道18aの溝
深さとは、図4に示す様に、前記曲率半径Ri(Ro)
を有する曲線の底部から上記内輪軌道19b及び外輪軌
道18aの縁部まで(縁部に面取りが存在する場合には
その面取り部分まで)の距離Hを言う。この様な溝深さ
Hを上記各玉17の直径Daの18%以上とすれば、上
記各玉17の転動面が上記内輪軌道19b及び外輪軌道
18aの端縁に乗り上げる事を防止して、この転動面に
過大な面圧が加わる事を防止し、この転動面の転がり疲
れ寿命を確保して、上記ラジアル玉軸受14bの耐久性
向上を図れる。この理由に就いて、図4〜5により説明
する。
【0025】上記各玉17の転動面と上記内輪軌道19
b及び外輪軌道18aとの接触部には周知の接触楕円2
5、25が、これら各軌道19b、18a毎に左右(左
右方向は図4による)1対ずつ存在するが、これら各接
触楕円25、25の大きさは、上記ラジアル玉軸受14
bに加わるラジアル荷重やモーメント荷重の大きさによ
って変化する。そして、モーメント荷重が加わる場合に
は、上記左右1対の接触楕円25、25同士の大きさが
互いに異なる。何れにしても、この様な接触楕円25、
25全体が上記内輪軌道19b及び外輪軌道18a部分
に存在すれば、上記各玉17の転動面に過大な面圧が加
わる事はないが、モーメント荷重に伴って何れかの接触
楕円25が上記内輪軌道19b又は外輪軌道18aから
外れる(厳密に言えば、外れた場合には接触楕円を構成
しないが、説明の簡略化の為に、接触部が端縁にまで達
した場合にも接触楕円の語を使用する)と、当該転動面
に、エッジロードに基づく過大な面圧が作用する。従っ
て、上記各玉17の転動面の転がり疲れ寿命を確保し、
上記ラジアル玉軸受14bの耐久性を確保する為には、
上記接触楕円25が上記内輪軌道19b及び外輪軌道1
8aから外れない、言い換えれば接触楕円25がこれら
各軌道19b、18aの端縁にまで達しない様にする必
要がある。
【0026】そこで、モーメント荷重を受けつつ運転さ
れる4点接触型のラジアル玉軸受14bに関する、有効
ラジアル隙間と接触楕円25、25の高さとの関係を求
める為の実験を行なった。実験は、前述の図3により説
明した仕様で、ピッチ円直径Dpが43.5mmであるラ
ジアル玉軸受14bに、1000Nのラジアル荷重を
8.7mmのオフセット量(図1、2のδ=8.7mm、δ
/Dp=0.2=20%)で加え、上記有効ラジアル隙
間の変動に応じた上記接触楕円25、25の高さの変化
を求めた。尚、接触楕円25、25は、4点接触型のラ
ジアル玉軸受14bを構成する各玉17毎に4点ずつ存
在するが、このうちで最も軌道の縁部の近くにまで達し
た接触楕円25の端縁部の高さhを、当該ラジアル玉軸
受14bの接触楕円25の高さとした。そして、この高
さhの上記各玉17の直径Daに対する割り合い(h/
Da)と上記有効ラジアル隙間との関係を求めた。
【0027】この結果を図5に示す。一方、本発明の対
象となるコンプレッサ用プーリの回転支持装置に組み込
む、4点接触型のラジアル玉軸受14bは、−40℃〜
160℃程度の温度環境の下で使用されるが、この場合
に於ける上記ラジアル玉軸受14bの有効ラジアル隙間
は、−0.010mm(負の隙間)から0.020mm(正
の隙間)までの間である。そして、この範囲内で最も有
効ラジアル隙間が大きく、これに伴って上記接触楕円2
5の高さhが大きくなる、この有効ラジアル隙間が0.
020mmの場合に於ける、接触楕円25の高さhの上記
各玉17の直径Daに対する割り合いは、18%であ
る。この事から、前述したの様に、前記内輪軌道19
b及び外輪軌道18aの溝深さHを、上記各玉17の直
径の18%以上確保すれば、これら各玉17の転動面が
上記内輪軌道19b及び外輪軌道18aの端縁に乗り上
げる事を防止できる事が分かる。この乗り上げを防止す
れば、上記各玉17の転動面に過大な面圧が加わる事を
防止し、この転動面の転がり疲れ寿命を確保して、上記
ラジアル玉軸受14bの耐久性向上を図れる。尚、上記
溝深さHの上記各玉17の直径Daに対する割り合い
(H/Da)の最大値は、上記内輪軌道19bと外輪軌
道18aとの間への玉17の組み込み等の組立作業を考
慮して、40%以下とする。この様に、内輪軌道19b
及び外輪軌道18aの溝深さHを各玉17の直径Daの
18%以上確保して4点接触型のラジアル玉軸受14b
の耐久性向上を図る技術は、コンプレッサ用プーリの回
転支持装置を対象とした本発明と組み合わせた場合は勿
論、他の用途で実施した場合にも有用である。
【0028】又、図3に示す様に、前記外輪15aの両
端部内周面に形成した係止溝26、26には、それぞれ
シールリング27、27の外周縁部を係止している。こ
れら各シールリング27、27は、それぞれ心金28に
より弾性材29を補強して成るもので、この弾性材29
の外周縁を上記各係止溝26、26に、弾性的に係合さ
せている。この状態でこの弾性材29の内周縁部に設け
たシールリップ30の先端縁を、上記内輪16bの一部
に、全周に亙り摺接させて、上記各玉17を設置した内
部空間31の両端開口部を密閉している。尚、上記各シ
ールリング27、27を構成する上記弾性材29として
好ましくは、ニトリルゴム又はアクリルゴムを使用す
る。
【0029】そして、この様にして外部空間と遮蔽し
た、上記内部空間31内に、本発明の特徴であるグリー
スを封入している。このグリースは、基油がエーテル系
とエステル系とポリαオレフィン(PAO)系とのうち
から選択される1種又は2種以上の合成油であり、増ち
ょう剤がウレア化合物であり、添加剤として少なくとも
ZnDTCを含むものを使用する。又、好ましくは、40
℃の雰囲気中での粘度が50〜120mm2/s(cs
t)、更に好ましくは70〜100mm2/sであるものを
使用する。この様なグリースは、上記各玉17の転動面
と前記各軌道18a、19bとの転がり接触部に良好な
油膜を形成して、これら各軌道18a、19bの転がり
疲れ寿命の確保に寄与する。即ち、4点接触型の前記ラ
ジアル玉軸受14bの内部の発熱が著しくなると、上記
内部空間31に封入したグリースの寿命が、熱劣化に基
づいて短くなる。上述の様な組成を有するグリースは、
優れた耐熱性を有する為、上記内部空間31内の温度上
昇によっても寿命低下は僅かであり、上記ラジアル玉軸
受14bの耐久性向上に寄与できる。
【0030】上述の様なグリースを封入する事により、
上記ラジアル玉軸受14bの耐久性向上を図れる事を確
認する為に行なった実験に就いて説明する。実験に使用
した上記ラジアル玉軸受14bは、前述の図3により説
明した仕様で、内輪16bの内径が35mm、外輪15a
の外径が52mm、幅が12mm、ピッチ円直径Dpが4
3.5mmの4点接触型のものである。又、使用したグリ
ースは、次の表1に示す、本発明に属するもの5種類
(実施例1〜5)と、次の表2に示す、本発明からは外
れるもの4種類(比較例1〜4)との9種類である。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】前述の様な仕様のラジアル玉軸受14bに
それぞれ上記表1、2に示す様なグリースを封入して9
種類の試料を造り、これら各試料に就いて、焼き付き寿
命に関する試験と、低温時の保持器音に関する試験とを
行なった。このうち、焼き付き寿命に関する試験では、
上記ラジアル玉軸受14bの内部空間31内に1.0g
のグリースを封入して、中央部に2000Nのラジアル
荷重を加えつつ、常温下で上記外輪15aを10000
min-1 で回転させた。この条件で、定常運転時に於ける
上記内部空間31内の温度は160℃となる。そこで、
この内部空間31内の温度が170℃にまで上昇した場
合に、当該試料に関して焼き付き寿命に達したと判断し
て、試験を中止した。この焼き付き寿命に至るまでの時
間を測定し、この時間が実車の搭載に耐えられるだけの
長さがあるか否かで、上記グリースの適否を判断した。
そして、適の場合には「○」印を、不適の場合には
「×」印を、それぞれ上記表1、2の焼き付き寿命の欄
に記載した。又、低温時の保持器音に関する試験では、
上記焼き付き寿命に関する試験で使用したラジアル玉軸
受14bのシールリングを非接触のものに変えて、この
ラジアル玉軸受14bの内部空間31内に1.0gのグ
リースを封入し、周囲温度が−30℃の条件下で39.
2Nのラジアル荷重を加えつつ、内輪16bを6000
min-1 で回転させた。そして、保持器音の発生の有無
を、耳で聞いて判定した。この結果、保持器音が発生し
ていないと判定された場合には「○」印を、発生したと
判定された場合には「×」印を、それぞれ上記表1、2
の低温性の欄に記載した。
【0034】各グリースの組成と、上述の様な条件で行
なった実験の結果とを表した、前記表1、2を見れば明
らかな通り。本発明の技術範囲に属するグリースを使用
する事により、4点接触型のラジアル玉軸受14bの耐
焼き付き性を向上させると共に、低温時に発生する振動
並びに騒音の低減を図れる。即ち、増ちょう剤として優
れた耐熱性を有するウレア化合物を使用すると共に、添
加剤としてZnDTCを添加している為、優れた耐焼き付
き性を確保できる。又、基油として、優れた低温流動性
を有する、エーテル系とエステル系とポリαオレフィン
(PAO)系とのうちから選択される1種又は2種以上
の合成油を使用している為、−30℃と言った低温下で
も保持器音の発生を防止して、優れた音響特性を得られ
る。
【0035】又、本例の場合には、前記各玉17を、冠
型の保持器32により、転動自在に保持している。この
保持器32は、補強材としてのガラス繊維を5〜35重
量%(好ましくは10〜25重量%)含有した、ポリア
ミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の合成樹
脂を射出成形する事により、一体に造っている。この様
な保持器32の底部、即ち円環状のリム部33のうちで
最も薄くなった、ポケット34の奥部に対応する部分の
軸方向に関する厚さT33を、上記各玉17の直径Daの
10〜40%{T33=(0.1〜0.4)Da}として
いる。上記保持器32の諸元をこの様に規制する事によ
り、この保持器32の軸方向寸法の増大を抑えつつ、こ
の保持器32の強度を確保し、前記従動プーリ4cの高
速回転時に加わる遠心力に拘らず、この保持器32の弾
性変形を実用上問題がない程度に抑えられる様にしてい
る。
【0036】又、好ましくは、上記保持器32の周方向
(図1〜3の表裏方向)に関する上記各ポケット34の
内寸を、前記各玉17の直径Daの1.03倍以上とす
る。この様に上記保持器32の各ポケット34の内寸を
確保すれば、これら各ポケット34内に保持した玉17
がこれら各ポケット34の内面を強く押圧する事を防止
して、上記保持器32の損傷を防止し、この保持器32
を含む前記ラジアル玉軸受14bの耐久性向上を図れ
る。この理由に就いて、図6を参照しつつ説明する。
【0037】上記保持器32は上記各玉17の公転に伴
って回転するが、これら各玉17の公転速度は前記外輪
軌道18a及び内輪軌道19bとの接触角の影響を受け
る。又、上記ラジアル玉軸受14bがモーメント荷重を
受けた状態で回転する場合に上記各玉17の接触角は、
上記外輪軌道18a及び内輪軌道19bの円周方向に関
して微妙に変化する。この結果、上記各玉17の公転速
度は、この円周方向に関して不同になる。言い換えれ
ば、円周方向に関する位相によって、微妙に早くなった
り遅くなったりする。この結果、上記各玉17の円周方
向に関する位置は、これら各玉17の公転運動が均一に
(円周方向に関して公転速度が変化せずに)行なわれた
と仮定した場合の位置(以下「正規位置」とする。)に
比べて微妙に変化する。
【0038】図6は、上記ラジアル玉軸受14bがモー
メント荷重を受けた状態で回転する場合に於ける、上記
各玉17の正規位置からのずれを、これら各玉17の直
径Daに対する割り合いで示している。この図6の横軸
は円周方向位置を角度で表し、縦軸は上記正規位置から
のずれの大きさの上記各玉の直径Daに対する割合を%
で表している。この様な図6から明らかな通り、上記各
玉17は1公転の間に、凡そ±1.7%、正規位置を中
心に回転方向に関して前後に移動する。この結果、上記
各玉17の転動面と前記各ポケット34の内面とが近接
していると、公転速度が早い玉17は、公転方向に関し
てポケット34の前側内面を押圧し、同じく公転速度が
遅い玉17は後側内面を押圧する。この結果、円周方向
に隣り合うポケット34同士の間に存在する爪部35
(図3)に、大きな力が円周方向に関して交互に作用
し、この爪部35を含む前記保持器32の耐久性が損な
われる。
【0039】これに対して、前述した通り、上記保持器
32の周方向に関する上記各ポケット34の内寸を、前
記各玉17の直径Daの1.03倍以上とすれば、これ
ら各ポケット34内に保持した玉17がこれら各ポケッ
ト34の内面を強く押圧する事を防止できる。尚、上記
内寸が上記直径Daの1.03倍である場合には、上記
各玉17の転動面が上記各ポケット34の内面に押し付
けられる可能性があるが、その力は極く小さく、上記爪
部35の無理のない弾性変形により、十分に吸収でき
る。更に、上記内寸を上記直径Daの1.035倍以上
にすれば、上記各玉17の転動面が上記各ポケット34
の内面に押し付けられる事を十分に防止できる。
【0040】尚、上記保持器32の円周方向に関して、
上記各ポケット34の内寸を大きくする為には、これら
各ポケット34の内径全体を大きくする他、これら各ポ
ケット34の形状を、円周方向に長い長円形とする事に
よっても対応できる。何れにしても、上記円周方向に関
する内寸の最大値は、上記保持器32全体の強度を考慮
して、上記直径Daとの関係で規制する。一般的には、
上記内寸の最大値をこの直径Daの1.1倍以下、好ま
しくは1.05倍以下に規制する。又、この様に上記各
ポケット34の円周方向に関する内寸を大きくして保持
器の耐久性向上を図る技術は、図示の様な冠型の保持器
に限らず、軸方向両端にリム部を有する、もみ抜き保持
器にも適用できる。更には、コンプレッサ用プーリの回
転支持装置を対象とした本発明と組み合わせた場合は勿
論、他の用途で実施した場合にも有用である。
【0041】上述の様な構成を有する前記ラジアル玉軸
受14bは、図1、2に示す様に、前記従動プーリ4
b、4cの内周面と前記ケーシング2の支持筒部3との
間に組み付けて、本発明のコンプレッサ用プーリの回転
支持装置を構成する。この様にコンプレッサ用プーリの
回転支持装置を構成した場合、上記従動プーリ4b、4
cの外周面に掛け渡す無端ベルト11の幅方向中央位置
(図1、2の鎖線α)と、上記ラジアル玉軸受14bの
幅方向中央位置(図1、2の鎖線βで示す、玉17の中
心位置)とは、図1、2に示したδ(オフセット量)分
だけ軸方向(図1、2の左右方向)に関してずれる。本
例のコンプレッサ用プーリの回転支持装置の場合には、
上記オフセット量δを、上記ラジアル玉軸受14bのピ
ッチ円直径Dp(図3)の40%以下(0.4Dp≧
δ)としている。尚、好ましくは、上記オフセット量δ
を、上記ピッチ円直径の20%以下(0.2Dp≧
δ)、更に好ましくは10%以下(0.1Dp≧δ)と
して、上記ラジアル玉軸受14bの耐久性を確保する様
にしている。
【0042】この点に就いて先に行なった実験の結果を
示す図7を参照しつつ説明する。この図7は、ラジアル
荷重の作用位置の上記ラジアル玉軸受14bの中心(前
記各玉17の中心)に対するオフセット量δと、このラ
ジアル玉軸受14bを構成する複数の玉17のピッチ円
直径Dpとの比が、このラジアル玉軸受14bの寿命に
及ぼす影響を知る為に行なった耐久実験の結果を示す線
図である。この図7は、横軸に上記オフセット量δとピ
ッチ円直径Dpとの比(%)を、縦軸に寿命比(無次元
数)を、それぞれ表している。又、この縦軸に表された
寿命比は、1が実用上必要とされる寿命を表しており、
この寿命比が1以上であれば実用に耐えられる構造であ
り、この寿命比が1未満であれば、実用に耐えられない
構造である。尚、この寿命比は、以下の条件で上記ラジ
アル玉軸受14bを、内輪16bを固定し、外輪15a
を回転させる状態で運転する事により求めた。 回転数:10000min-1 温度:常温 ラジアル荷重:2254N
【0043】実験では、上記オフセット量δを、11.
5%〜46%の間で、全部で5通りに変化させて、それ
ぞれの場合の寿命(耐久性)を、それぞれの場合に就い
て複数個ずつの試料に就いて測定した。尚、図7の破線
aの途中に、上記5通りのオフセット量δに対応する部
分に示した縦方向の線分は、上記複数個ずつの試料に関
しての実験結果のばらつきの範囲を、これら各線分上の
黒点は同じく平均値を、それぞれ表している。この様な
実験結果を表す図7から明らかな通り、上記オフセット
量δを上記ラジアル玉軸受14bのピッチ円直径Dpの
40%以下に抑えれば、実用上必要とされる寿命を確保
して実用に耐えられる構造を実現できる。これに対し
て、上記オフセット量δが上記ラジアル玉軸受14bの
ピッチ円直径Dpの40%を越えると、上記ラジアル玉
軸受14bの耐久性が急激に悪化する。又、上記オフセ
ット量δを上記ピッチ円直径の20%以下に抑えれば、
上記ラジアル玉軸受14bの寿命を、実用上必要とされ
る値の8倍以上確保できる。更に、上記オフセット量δ
を上記ピッチ円直径の10%以下に抑えれば、上記ラジ
アル玉軸受14bの寿命を、実用上必要とされる値の1
0倍程度確保できる。
【0044】上述の様なコンプレッサ用プーリの回転支
持装置の使用時には、上記オフセット量δに比例するモ
ーメント荷重が、上記無端ベルト11の張力に基づき、
上記従動プーリ4b、4cを介して上記ラジアル玉軸受
14bに加わる。そして、このラジアル玉軸受14bを
構成する外輪15aの中心軸と内輪16bの中心軸と
が、互いに不一致になる(傾斜する)傾向になる。但
し、本例の場合には、この様な場合でも、上記ラジアル
玉軸受14bの回転抵抗の増大を抑えつつ、このラジア
ル玉軸受14bを構成する外輪15aの中心軸と内輪1
6bの中心軸とがずれる事を抑える事ができる。
【0045】即ち、上記ラジアル玉軸受14bの単品時
でのラジアル隙間を、このラジアル玉軸受14bのピッ
チ円直径Dpの0.2%以下、又は、前記各玉17の直
径Daの1.5%以下に抑えているので、上記両中心軸
同士がずれにくい。しかも、上記ラジアル玉軸受14b
に対する上記無端ベルト11の巻き掛け位置のオフセッ
ト量δを、上記ピッチ円直径Dpの40%以下、更に好
ましくは20%、10%以下に抑えているので、上記従
動プーリ4b、4cを介して上記外輪15aに加わるモ
ーメント荷重を小さく抑えられる。これらにより、これ
ら従動プーリ4b、4c及び外輪15aの上記内輪16
bに対する傾斜を抑えて、上記ラジアル玉軸受14bの
転がり接触部分に過大な面圧が作用するのを防止し、こ
のラジアル玉軸受14bの耐久性確保を図れる。又、上
記従動プーリ4b、4cに掛け渡した上記無端ベルト1
1の偏摩耗を抑えて、この無端ベルト11の耐久性確保
も図れる。
【0046】尚、上記両中心軸同士のずれを防止すべ
く、このずれの発生に結び付く上記モーメント荷重をな
くす為には、上記オフセット量δをゼロにする、即ち、
上記従動プーリ4b、4cの外周面の無端ベルト11の
巻き掛け位置の軸方向中心位置αを、上記ラジアル玉軸
受14bの軸方向中心位置βに一致させる事が考えられ
る。但し、この様にすると、前記各玉17の転動面と前
記外輪軌道18a及び内輪軌道19bとの接触点での滑
りに基づく摩耗や発熱が大きくなり易い。即ち、上記モ
ーメント荷重をなくすべく、上記オフセット量δをゼロ
にすると、上記各玉17の転動面と上記外輪軌道18a
及び内輪軌道19bとの間にこれら各玉17毎に2点ず
つ、合計4点存在する接触点の面圧が、軸方向両側でほ
ぼ同じとなる。この状態で上記従動プーリ4b、4cが
回転すると、上記各接触点での滑りが大きくなり易く、
上記ラジアル玉軸受14bの発熱が大きくなり易い。そ
して、この発熱等に伴って、上記ラジアル玉軸受14b
の転がり疲れ寿命が低下する可能性がある。本発明の場
合には、前述の様にグリースの組成を工夫する事によ
り、発熱に伴う温度上昇時にも潤滑性を確保する様にし
ているが、より優れた耐久性を確保する為には、温度上
昇を低く抑える事が好ましい。そこで、本発明を実施す
る場合に、この様な事情を考慮して、上記オフセット量
δの最小値を1mm以上(δ≧1mm)としても良い。この
オフセット量δの最小値を1mm以上とする事により、軸
方向両側の接触点の面圧に差を設けて、上記各接触点で
大きな滑りが発生するのを防止し、上記ラジアル玉軸受
14bの転がり疲れ寿命をより長くできる。
【0047】又、以上の説明は、玉17の転動面が外輪
軌道18aと内輪軌道19bとにそれぞれ2点ずつ、合
計4点で接触する4点接触型のラジアル玉軸受14bに
関する実施の形態及び実験結果に就いて行なったが、前
述の図11に示す様な、玉17の転動面と内輪軌道19
a(又は外輪軌道)が1点で接触し、この玉17の転動
面と外輪軌道18(又は内輪軌道)とが2点で接触する
3点接触型のラジアル玉軸受14aの場合でも、同様に
構成して同様の効果を得られる。本発明者は、この様な
3点接触型のラジアル玉軸受14aに関しても、オフセ
ット量と寿命比との関係を求めた。その実験の結果を、
上記4点接触型のラジアル玉軸受14bの場合と合わせ
て、前記図7に示す。この図7の実線bの途中に、上記
5通りのオフセット量δに対応する部分に示した縦方向
の線分は、3点接触型のラジアル玉軸受14aに関する
複数個ずつの試料に関しての実験結果のばらつきの範囲
を、これら各線分上の白点は同じく平均値を、それぞれ
表している。
【0048】この様な実験結果を表す図7から明らかな
通り、3点接触型のラジアル玉軸受14aに関しても、
上記オフセット量δを上記ラジアル玉軸受14aのピッ
チ円直径Dpの40%以下に抑えれば、実用上必要とさ
れる寿命を確保して実用に耐えられる構造を実現でき
る。これに対して、上記オフセット量δが上記ラジアル
玉軸受14aのピッチ円直径Dpの40%を越えると、
上記ラジアル玉軸受14aの耐久性が急激に悪化する。
又、上記オフセット量δを上記ピッチ円直径の20%以
下に抑えれば、上記ラジアル玉軸受14aの寿命を、実
用上必要とされる値の12倍以上確保できる。更に、上
記オフセット量δを上記ピッチ円直径の10%以下に抑
えれば、上記ラジアル玉軸受14aの寿命を、実用上必
要とされる値の13倍程度確保できる。この様な図7か
ら明らかな通り、ラジアル玉軸受の寿命を比較した場合
には、3点接触型のラジアル玉軸受14aの寿命が4点
接触型の玉軸受14bの寿命よりも長くなる。
【0049】但し、これら各玉軸受14a、14bによ
り支持した従動プーリにモーメント荷重が加わった場合
のこの従動プーリの傾斜角度に関しては、3点接触型の
ラジアル玉軸受14aにより支持された従動プーリの傾
斜角度が、4点接触型の玉軸気14bにより支持された
従動プーリの傾斜角度よりも大きくなる。従って、3点
接触型のラジアル玉軸受14aにより支持された従動プ
ーリに掛け渡された無端ベルトの寿命が、4点接触型の
ラジアル玉軸受14bにより支持された従動プーリに掛
け渡された無端ベルトの寿命よりも短くなる。この為、
実際の場合には、用途等に応じ、ラジアル玉軸受14
a、14bの寿命と無端ベルトの寿命とのバランスを勘
案して、3点接触型、4点接触型、何れのラジアル玉軸
受14a、14bを使用するかを選択する。
【0050】又、前記ラジアル玉軸受14a、14bを
構成する、内輪16a、16bと外輪15a、15と玉
17、17(図1、2、3、11参照)とのうちの少な
くとも1種の部材が、炭素鋼、軸受鋼、ステンレス鋼等
の鉄系金属製である場合には、これら各部材16a、1
6b、15a、15、17のうちの少なくとも1種の部
材に、窒化処理と寸法安定化処理とのうちの少なくとも
一方の処理を施す事が、上記ラジアル玉軸受14a、1
4bの耐久性を確保する面からは好ましい。即ち、単列
の玉軸受であるこれらラジアル玉軸受14a、14b
を、オフセット荷重を加えた状態で運転すると、上記各
玉17、17の転動面と前記内輪軌道19a、19b及
び外輪軌道18a、18との当接部の面圧が高くなる。
この面圧に基づく弾性変形が大きくなると、当該部材の
転がり疲れ寿命が低下して上記ラジアル玉軸受14a、
14bの耐久性が低下するので、上記窒化処理により当
該部材の表面硬度を高くし、上記弾性変形を抑えると共
に摩耗防止も図る。又、上記オフセット荷重を受けた状
態での運転時には発熱量が多くなり、この発熱に伴って
上記ラジアル玉軸受14a、14bの構成各部材の寸法
が変化し易い為、上記寸法安定化処理により、上記発熱
に拘らず、寸法変化を抑える。
【0051】このうちの窒化処理とは、C、Nの固溶に
より表面層を硬化させるものであり、処理後には表面の
硬度が高くなる。従って、窒化処理を施せば、上記内輪
16a、16bと、上記外輪15a、15と、上記各玉
17、17との表面には、硬度が高い窒化処理層が存在
する状態となる。尚、上記内輪16a、16b及び外輪
15a、15に関しては、上記内輪軌道19a、19b
或は外輪軌道18a、18部分に窒化処理層が存在すれ
ば、他の部分に存在する必要はない。但し、これら内輪
軌道19a、19b或は外輪軌道18a、18部分にの
み、窒化処理層を形成する作業は面倒である為、実際の
場合には、上記内輪16a、16b及び外輪15a、1
5の表面全体に窒化処理層を形成する事が好ましい。
尚、上記面圧に基づく弾性変形は、上記内輪16a、1
6bと外輪15a、15と玉17、17とに同じ様に生
じる訳ではなく、形状並びに材質により生じる程度が異
なる。例えば、材質が同じとすれば、外輪軌道18a、
18及び内輪軌道19a、19bが弾性変形し易いのに
対して、玉17、17の転動面は弾性変形しにくい。従
って、上記窒化処理は、総ての部材に施す事が好ましい
が、材質や寸法・形状等に応じて、上記内輪16a、1
6b及び外輪15a、15の様に、一部の部材にのみ施
しても良い。
【0052】又、前記寸法安定化処理とは、残留オース
テナイト量γR の低減を目的とした熱処理であり、例え
ば上記内輪16a、16bと外輪15a、15とを造る
為の素材を徐々に冷却する事により、上記処理後の残留
オーステナイト量γR を6%容量以下とするものであ
る。この様な寸法安定化処理を施す事により、前記ラジ
アル玉軸受14a、14bの構成各部材の温度が上昇し
ても、これら各部材の寸法・形状が正規のものから大き
くずれる事を防止し、上記ラジアル玉軸受14a、14
bの諸元が正規のものからずれるのを防止して、これら
各ラジアル玉軸受14a、14bの耐久性向上を図れ
る。尚、この様な窒化処理或は寸法安定化処理に関して
も、コンプレッサ用プーリの回転支持装置を対象とした
本発明と組み合わせた場合は勿論、他の用途で実施した
場合にも有用である。
【0053】更に、図示は省略するが、ラジアル玉軸受
の断面形状の幅寸法を、同じく径方向の高さ寸法の1.
3倍以上とすれば、このラジアル玉軸受の内部空間の容
積を大きくして、この内部空間内に封入可能なグリース
の量を多くできる。そして、結果としてこのグリースの
耐久寿命をより長くして、上記ラジアル玉軸受の耐久性
向上を図れる。この様な断面形状の幅寸法を大きくする
技術に関しても、コンプレッサ用プーリの回転支持装置
を対象とした本発明と組み合わせた場合は勿論、他の用
途で実施した場合にも有用である。
【0054】
【発明の効果】本発明のコンプレッサ用プーリの回転支
持装置は、以上に述べた通り構成し作用する為、軸方向
寸法を大きくする事なく、許容モーメント荷重を確保
し、しかも十分な耐久性を確保できる。この為、上記コ
ンプレッサ用プーリの回転支持装置に組み込む転がり軸
受並びにこの転がり軸受に支持されたプーリに掛け渡し
た無端ベルトの寿命延長を図れる等、自動車用空気調和
装置のコンプレッサ等、各種機械装置の小型化、高性能
化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す部分断面
図。
【図2】同第2例を示す部分断面図。
【図3】ラジアル玉軸受のみを取り出して示す部分拡大
断面図。
【図4】溝深さの概念を説明する為の軌道輪の部分断面
図。
【図5】有効ラジアル隙間と接触楕円の高さとの関係を
示す線図。
【図6】正規位置からの玉の変位量と円周方向位置との
関係を示す線図。
【図7】オフセット量とピッチ円直径との比が耐久性に
及ぼす影響を知る為に行なった耐久実験の結果を示す線
図。
【図8】従来構造の第1例を示す部分断面図。
【図9】同第2例を示す断面図。
【図10】4点接触型のラジアル玉軸受のみを取り出し
て示す部分拡大断面図。
【図11】3点接触型のラジアル玉軸受のみを取り出し
て示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
1 回転軸 2 ケーシング 3 支持筒部 4、4a、4b、4c 従動プーリ 5 複列ラジアル玉軸受 6 ソレノイド 7 取付ブラケット 8 環状板 9 板ばね 10 電磁クラッチ 11 無端ベルト 12 外輪 13 内輪 14、14a、14b ラジアル玉軸受 15、15a 外輪 16、16a、16b 内輪 17 玉 18、18a 外輪軌道 19、19a、19b 内輪軌道 20 連結ブラケット 21 円筒状支持部 22 ゴムダンパ 23 庇部 24a、24b 逃げ溝 25 接触楕円 26 係止溝 27 シールリング 28 心金 29 弾性材 30 シールリップ 31 内部空間 32 保持器 33 リム部 34 ポケット 35 爪部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンプレッサの回転軸と、この回転軸の
    周囲に設けられた固定の支持部分と、この固定の支持部
    分に支持された転がり軸受と、この転がり軸受により上
    記支持部分の周囲に回転自在に支持された、無端ベルト
    を掛け渡す為のプーリとを備え、上記転がり軸受は、外
    周面に玉の転動面と1点又は2点で接触する形状の内輪
    軌道を有する内輪と、内周面に玉の転動面と1点又は2
    点で接触する形状の外輪軌道を有する外輪と、これら内
    輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個
    の玉とを備え、これら内輪軌道と外輪軌道とのうちの少
    なくとも一方の軌道とこれら各玉の転動面とがそれぞれ
    2点ずつで接触する、単列で3点又は4点接触型のラジ
    アル玉軸受であるコンプレッサ用プーリの回転支持装置
    に於いて、このラジアル玉軸受内に、基油がエーテル系
    とエステル系とポリαオレフィン系とのうちから選択さ
    れる1種又は2種以上の合成油であり、増ちょう剤がウ
    レア化合物であり、添加剤として少なくともZnDTCを
    含むグリースを封入している事を特徴とするコンプレッ
    サ用プーリの回転支持装置。
  2. 【請求項2】 プーリの外周面で無端ベルトと接触する
    部分の幅方向中央部位置とラジアル玉軸受の中心との軸
    方向距離であるオフセット量を、このラジアル玉軸受の
    ピッチ円直径の40%以下とした、請求項1に記載した
    コンプレッサ用プーリの回転支持装置。
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