JP4017209B2 - 半導体記憶素子およびその形成方法 - Google Patents

半導体記憶素子およびその形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体記憶素子、および半導体記憶素子の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体を用いた半導体記憶素子の一例として、MFMIS型の電界効果トランジスタ(FET)が文献:「ISSC95Feb.1995 Single-Transistor Ferroelectoric Memory Cell T.Nakamura et.al」に開示されている。この素子は、上側から順に、上部電極膜(金属膜)、強誘電体膜、下部電極膜(金属膜)、ゲート絶縁膜、および半導体基板(シリコン基板)を具えた構造の半導体記憶素子である。以下に、FETをNチャネル型として、この素子の動作を説明する。FETの上部電極膜(コントロールゲートともいう。)に、強誘電体を分極反転するのに十分な正のゲート電圧Vを一旦印加した後、再びゲート電圧を0にする。このようにゲート電圧を印加すると、強誘電体の残留分極により下部電極膜(フローティングゲートともいう。)に電荷が発生し、そのためチャネル部に反転層が形成され、よってFETはオン(on)状態となる。逆に、上部電極膜に負のゲート電圧−Vを一旦印加した後、再びゲート電圧を0にする。このとき、強誘電体は正のゲート電圧を印加した場合とは逆方向に分極反転するため、強誘電体の残留分極によりチャネル部に反転層が形成されず、よってFETはオフ(off)状態となる。従って、ゲート電圧が0のときに、FETを選択的にon状態またはoff状態にできるため、FETのソース・ドレイン間の電流を検出することにより、一旦メモリされたデータの読み出しを行なうことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造の素子では、強誘電体膜とゲート絶縁膜とで容量が直列に接続した積層コンデンサーを構成している。強誘電体膜の比誘電率はゲート絶縁膜の比誘電率よりも大きいので、強誘電体膜による容量がゲート絶縁膜による容量よりも大きくなり、従って、強誘電体膜に十分な電界がかからなくなるおそれがある。強誘電体膜に十分な電界がかからないと、強誘電体の分極や分極反転が十分ではなくなり、従ってこの半導体記憶素子に対する情報の書き込みや、情報の読み取りが十分に行えないこととなる。強誘電体膜に十分な電界を与える目的で、上部電極膜に印加するゲート電圧を大きくすると、ゲート絶縁膜に電界がかかりすぎて、ゲート絶縁膜が絶縁破壊を起こすおそれがある。また、強誘電体膜に対して分極反転させることを繰り返しおこなっていくうちに、分極量が減少するという膜疲労が強誘電体膜に生じる。この膜疲労の発生は強誘電体膜に発生している酸素空孔が原因であると考えられている。
【0004】
従って、低いゲート電圧で情報の書き込みおよび読み取りを行なえる電界効果トランジスタ(FET)から成る半導体記憶素子の出現が望まれていた。また、このような半導体記憶素子を簡易に形成する方法の出現が望まれていた。さらに、強誘電体膜の疲労を抑制することのできる半導体記憶素子の出現が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、この出願に係る発明者は、上部電極膜へ印加するゲート電圧を大きくしなくても、情報の書き込みおよび読み取りが十分に行なえるようなMFMIS型のFETを形成することが出来るかどうかの検討を始めたところ、次のような3つの知られた事実関係を上手に組み合わせれば、比誘電率および残留分極値の小さい強誘電体膜を具えたMFMIS型のFETを形成することができ、よってこのFETを半導体記憶素子として用いることが出来るという結論に達した。
【0006】
▲1▼低いゲート電圧で十分な電界を強誘電体膜にかけるためには、強誘電体膜の比誘電率を小さくすれば良いこと。
【0007】
▲2▼低いゲート電圧で十分な電界を強誘電体膜にかけるためには、強誘電体膜の残留分極値を小さくすれば良いこと。
【0008】
▲3▼チタン酸ビスマス膜(以下、BIT膜と称する場合がある。)は、結晶の配向により比誘電率および残留分極値が大きく変化し、特にBIT膜を構成するチタン酸ビスマス(以下、BITと称する場合がある。)のc軸が電極の表面に対して垂直に配向している場合、比誘電率および残留分極値が小さくなること。
【0009】
したがって、BITのc軸が電極の表面に対して垂直に配向した膜(以下、c軸配向のBIT膜ともいう。)を強誘電体膜として用いることが考えられる。
【0010】
また、この出願に係る発明者は、このBIT膜の構成を工夫することにより、膜表面を平坦にできることも確認した。まず、BITの化学量論組成に対してBiの組成比率が多くなっているBITからなる膜(以下、BiリッチのBIT膜と称することがある。)、すなわちc軸配向のBIT膜を下層膜として下部電極膜上に設けておく。化学量論組成のBITを含んでなる膜を、下部電極膜上にそのまま設けたものはc軸配向のBIT膜とはならない。しかし、上述の下層膜、すなわちc軸配向のBiリッチのBIT膜の上に、化学量論組成のBITを含んでなる上層膜を設けると、膜全体がc軸配向のBIT膜となる。また、化学量論組成のBITを含んでなる膜は、BiリッチのBIT膜と比較して平坦に形成することができる。このため、c軸配向で、しかも表面が平坦なBIT膜を強誘電体膜として得ることができる。BIT膜の表面が平坦であると、このBIT膜を設けた後のFETの形成工程、具体的にはリソグラフィ工程でのパターンニングが容易で正確になる。また、BIT膜に凹凸が少なくなると、FETを動作させるときにBIT膜の薄い部分にのみ電界集中が起こるのを防ぐこともできる。
【0011】
このため、この発明の半導体記憶素子によれば、上側から順に、上部電極膜、強誘電体膜、下部電極膜、ゲート絶縁膜、および半導体基板を具えた構成の電界効果トランジスタを少なくとも具えた半導体記憶素子において、
前記強誘電体膜を、次の1)〜3)で構成される膜としたことを特徴とする。
1)BIT膜である。
2)この膜を構成するBITのc軸が、下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向している(c軸配向のBIT膜である)。
3)BITの化学量論組成に対してビスマス(Bi)の組成比率が多くなっているBITを含む下層膜と、化学量論組成のBITを含む単層または複数の層の上層膜との積層膜で構成されるBIT膜である。
【0012】
この発明の半導体記憶素子によれば、強誘電体膜をBIT膜で構成してあって、このBIT膜を構成するチタン酸ビスマスのc軸が下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向しているので、強誘電体膜の比誘電率および残留分極値が小さくなる。従って、低いゲート電圧で、十分な電界を強誘電体膜にかけることが可能になり、このため、低いゲート電圧で情報の書き込みおよび読み取りが可能となる。なお、BITは化学量論組成のとき、Bi4 Ti312と表される。
【0013】
また、このBIT膜は、BiリッチのBIT膜と、化学量論組成のBITを含む単層または複数の層の上層膜との積層膜で構成されるBIT膜である。このため、表面が平坦なBIT膜とすることができる。したがって、これら下層膜と上層膜とで構成されるBIT膜とすることにより、c軸配向であって、しかも平坦な膜とすることができる。なお、上層膜は、膜厚等を考慮して、単層および複数の層のいずれか好適なものとすることができる。
【0014】
次に、この発明の第1の半導体記憶素子の形成方法によれば、上述の半導体記憶素子を形成するに当たり、次のa)およびb)の工程を含むことを特徴とする。
【0015】
a)チタン(Ti)源およびビスマス(Bi)源を溶解していて、BITの化学量論組成から定まるTiに対するBiのモル比率より、Biのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液から成る第1塗布液を用いて前記下層膜を形成する。
【0016】
b)Ti源およびBi源を溶解していて、化学量論組成から定まるモル比率のBITの有機溶剤溶液から成る第2塗布液を用いて、この第2塗布液を、下層膜上に、塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、前記上層膜を形成する。
【0017】
次に、この発明の第2の半導体記憶素子の形成方法によれば、半導体基板にゲート絶縁膜、および下部電極膜を順次に形成してなる下地上に、強誘電体膜および上部電極膜を順次に形成して半導体記憶素子を形成するに当たり、
前記強誘電体膜の形成は、次のイ)およびロ)の工程を含むことを特徴とする。
【0018】
イ)チタン源およびビスマス源を溶解していて、チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するビスマスのモル比率より、ビスマスのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液から成る第1塗布液を用いて下層膜を形成する。
【0019】
ロ)チタン源およびビスマス源を溶解していて、化学量論組成から定まるモル比率のチタン酸ビスマスの有機溶剤溶液から成る第2塗布液を用いて、該第2塗布液を、前記下層膜上に、塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、上層膜を形成する。
【0020】
上述のこの発明の第1および第2の半導体記憶素子の形成方法において、前記下層膜を形成することにより、下層膜およびこの上に形成する上層膜を、c軸配向のBIT膜とすることができる。また、上述の上層膜は、化学量論組成から定まるモル比率のBITの有機溶剤溶液から成る第2塗布液を用いて下層膜の上に形成するため、c軸配向でしかも平坦なBIT膜を形成することができる。
【0021】
ここで有機溶剤溶液とは、溶媒を有機溶剤とする溶液のことである。また、Ti源およびBi源として、有機溶剤に可溶な任意好適なTi化合物およびBi化合物を用い得る。
【0022】
このようなこの発明の第1および第2の半導体記憶素子の形成方法によれば、BIT膜であって、この膜を構成するBITのc軸が下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向しているものを強誘電体膜とするFETを含んで成る半導体記憶素子を簡易に形成することができる。すなわち、低いゲート電圧で、十分な電界を強誘電体膜にかけることが可能なMFMIS型のFETを含んで成る半導体記憶素子を簡易に形成することができる。その上、BIT膜の表面を平坦に形成することができるため、その後のFETの形成工程も容易で正確に行うことができ、強誘電体膜であるBIT膜の一部に電界集中が生じるのを防ぐことができる。
【0023】
また、この発明に係る発明者は、鋭意研究を重ねた結果、c軸配向のBiリッチのBIT膜を含む下層膜と、化学量論組成のBITを含む上層膜とで構成される強誘電体膜より若干平坦性は劣るが、c軸配向で、半導体素子に十分用いることのできる強誘電体膜をBiリッチのBIT膜で形成できることを見いだした。BiリッチのBIT膜で強誘電体膜を形成することができれば、工程数は減少して、より容易な製造が可能となる。
【0024】
このため、この発明の半導体記憶素子によれば、上側から順に、上部電極膜、強誘電体膜、下部電極膜、ゲート絶縁膜、および半導体基板を具えた構成の電界効果トランジスタを少なくとも具えていて、上記強誘電体膜を、次の1)〜3)で構成される膜としたことを特徴とする。
1)BIT膜である。
2)この膜を構成するBITのc軸が前記下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向している。
3)BITの化学量論組成から定まるTiに対するBiのモル比率よりBiの組成比率が多くなっているBiTを含む単層または複数の層で構成される膜である。
【0025】
この発明の半導体記憶素子によれば、強誘電体膜をBIT膜で構成してあって、このBIT膜を構成するBITのc軸が下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向しているので、強誘電体膜の比誘電率および残留分極値が小さくなる。したがって低いゲート電圧で、十分な電界を強誘電体膜にかけることが可能になり、このため、低いゲート電圧で情報の書き込みおよび読み取りが可能となる。なお、BITは化学量論組成のとき、Bi4 Ti312と表される。
【0026】
また、このBIT膜は、BiリッチのBIT膜を含む、単層または複数の層で構成されるBIT膜である。この膜は、BiリッチのBIT膜を含む下層膜と化学量論組成のBIT膜を含む上層膜とで構成される膜よりは、平坦性は若干低いが、半導体記憶素子の強誘電体膜として用いることのできる程度に表面が平坦な膜となる。したがって、強誘電体膜をこれら単層あるいは複数の層で構成されるBIT膜とすることにより、c軸配向であって、しかも平坦な膜とすることができる。なお、強誘電体膜として用いるのに膜厚等を考慮して、単層または複数の層のいずれか好適なものとすることができる。
【0027】
また、好ましくは半導体記憶素子において、下部電極膜をPt(白金)膜とするのがよい。
【0028】
下部電極膜にPtを用いることによって、半導体記憶素子の形成工程における、例えば酸素雰囲気中の高温処理などに耐え得る、すなわち耐熱性および耐酸化性に優れた電極にすることができる。
【0029】
また、好ましくは、下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜とするのがよい。
【0030】
このRuO2 膜は導電性酸化膜として強誘電体膜に接するため、強誘電体膜に欠乏しやすい酸素を補って、膜疲労を抑制し、強誘電体膜の疲労特性を向上させることができると考えられる。また、この2層による膜を用いると、半導体記憶素子を形成するときに、下部電極膜以外の膜と同時に一括してエッチング加工することができる。
【0031】
また、好ましくは、下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜としたとき、下部電極膜とチタン酸ビスマス膜との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含んでなる平坦化用の膜を更に設けるのがよい。
【0032】
この化学量論組成のBITを含んでなる膜によって、RuO2 膜とRu膜とで構成される下部電極膜の表面を平坦にすることができる。したがって下部電極膜の上側に設ける強誘電体膜をより平坦に形成することができる。
【0033】
また、好ましくは、下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜としたとき、前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、チタン酸ビスマスの化学量論組成に対してチタンの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含んでなる、平坦化用の膜を更に設けるのがよい。
【0034】
この膜によって、下部電極膜の表面を平坦にすることができて、その上に設ける強誘電体膜をより平坦に形成することができる。また、この平坦化用の膜をTiの組成比率が多くなっているBITを含んでなる膜としたために、強誘電体膜のリーク電流を下げる効果を期待することができる。
【0035】
次に、上述した、上側から順に、上部電極膜、強誘電体膜、下部電極膜、ゲート絶縁膜、および半導体基板を具えた構成の電界効果トランジスタを少なくとも具えた半導体記憶素子の、強誘電体膜を、チタン酸ビスマス膜であって、この膜を構成するチタン酸ビスマスのc軸が前記下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向していて、チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するビスマスのモル比率よりビスマスの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含む単層または複数の層で構成される当該チタン酸ビスマス膜とする半導体記憶素子を形成する方法は、チタン源およびビスマス源を溶解していて、前記チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するモル比率より、ビスマスのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液からなる塗布液を用いて、該塗布液を、前記下部電極膜上に塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、前記チタン酸ビスマス膜を形成する工程を含むのがよい。
【0036】
また、半導体基板にゲート絶縁膜、および下部電極膜を順次に形成してなる下地上に、強誘電体膜および上部電極膜を順次に形成して半導体記憶素子を形成する方法のうち、強誘電体膜を形成する方法は、チタン源およびビスマス源を溶解していて、チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するモル比率より、ビスマスのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液からなる塗布液を用いて、該塗布液を、前記下部電極膜上に塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、前記チタン酸ビスマス膜を形成する工程を含むのがよい。
【0037】
このような半導体素子の形成方法によれば、BIT膜であって、この膜を構成するBITのc軸が下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向している膜を強誘電体膜を工程数をより少なくすることができる。このため上記のような強誘電体膜を有するFETを含んでなる半導体記憶素子を容易に形成することができる。すなわち、低いゲート電極で、十分な電界を強誘電体膜にかけることが可能なMFMIS型のFETを含んでなる半導体記憶素子を簡易に形成することができる。その上、BIT膜の表面を平坦に形成することができるため、その後の形成工程も容易で正確に行うことができ、BIT膜の一部に電界集中が生じるのを防ぐことができる。
【0038】
また、好ましくは、半導体記憶素子において、下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜とするのがよい。
【0039】
このIrO2 膜は導電性酸化膜として強誘電体膜に接するため、RuO2 膜と同様に強誘電体膜に欠乏しやすい酸素を膜に補って、膜疲労を抑制して疲労特性を向上させることができると考えられる。また、この2層による膜を用いると、半導体記憶素子を形成するときに、下部電極膜以外の膜と同時に一括してエッチング加工することができる。さらにこの2層の膜で構成される電極膜を用いることによって、半導体記憶素子の形成工程における、例えば高温の酸素雰囲気中の処理などに耐え得る、すなわち耐熱性に優れた電極(膜)が得られる。また、強誘電体膜と電極との間の相互拡散を防ぐ、すなわちバリア性に優れた電極が得られる。
【0040】
また、好ましくは、半導体記憶素子において、下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としたとき、上部電極膜を、IrO2 (酸化イリジウム)膜とするのがよい。
【0041】
これにより、強誘電体膜を挟む上下の電極は同じ材料(IrO2 )の電極となるため強誘電体ヒステリシスには、両電極間の仕事関数差による影響がなくなる。
【0042】
また、半導体記憶素子において、下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としたとき、下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含んでなる平坦化用の膜、あるいは、チタン酸ビスマスの化学量論組成に対してチタンの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含んでなる、平坦化用の膜を更に設けてもよい。
【0043】
これらの平坦化用の膜を設けることにより下部電極膜の表面を平坦にすることができる。したがって下部電極膜の上側に設ける強誘電体膜をより平坦に形成することができる。
【0044】
また、このようなIrO2 膜とIr膜とからなる下部電極膜の上に形成する強誘電体膜は、Biリッチの塗布液を用いて得られるBITを含む下層膜と化学量論組成のBITを含んで得られる上層膜とで構成される膜としてもよいし、BiリッチのBIT膜の単層または複数の層で構成される膜としてもよい。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの出願の発明の実施の形態について説明する。以下の説明中で挙げる使用材料およびその量、処理時間、処理温度、膜厚などの数値的条件は、これら発明の範囲内の好適例にすぎない。従って、これらの発明は、これら条件にのみ限定されるものではない。また、図において、断面を示すハッチング等は一部分を除き省略してある。
【0046】
<第1の実施の形態>
図1〜図4は、MFMIS型のFETを含んで成る半導体記憶素子の、第1の実施の形態における、製造工程を示す概略的な断面図(ただし、切り口の図)である。なお、ここでは半導体記憶素子の活性領域に相当する部分のみを示している。
【0047】
MFMIS型のFETを含んで成る半導体記憶素子を形成する場合、先ず、n型のシリコン基板(以下、n−Si基板と称する場合がある。)10の所定領域に、公知の技術を用いてSiO2 から成るフィールド酸化膜を形成する(図示せず)。フィールド酸化膜が設けられていないn−Si基板10の表面を通して、p型不純物をイオン注入する。p型不純物には、これに限らないがボロン(B)を用いることが出来る。その後、高温熱処理によりp型不純物を拡散し、p型ウェル層12を形成する。次に、p型ウェル層12上に、SiO2 から成るゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)14を、例えば、熱酸化により、厚さ60Å程度に形成する。熱酸化には、これに限らないが急速加熱装置(以下、RTAと称する場合がある。)を用いることが出来る。次に、フィールド酸化膜およびゲート絶縁膜14上に、多結晶Si膜16を、SiH4 (モノシラン)ガスおよびPH3 (ホスフィン)ガスを用いた減圧CVD法により、厚さ2000Å程度形成した後、850℃の温度でリンを4×1020イオンcm-3程度拡散させて、多結晶Si膜16の導電性を得る。次に、この多結晶Si膜16上に、スパッタ法により、厚さ1000Å程度のPt膜を形成し、これを下部電極膜18とする(図1の(A))。
【0048】
次に、下部電極膜18上に、BIT膜から成る強誘電体膜20を形成する。この場合、まず、Ti源およびBi源を溶解していて、BITの化学量論組成から定まるTiに対するBiのモル比率より、Biのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液を用意する。BITの化学量論組成から定まるBiとTiとのモル比率は、Bi:Ti=4:3である。このため、有機溶剤溶液中のBiとTiのモル比率が、例えばBi:Ti=4.4:3のものはここでの有機溶剤溶液として適当である。また、このモル比率の範囲をBi:Ti=4.08:3〜4.8:3程度とすると、c軸に配向したBIT膜が得られる。また、c軸配向の、より好ましいBIT膜を得るには、モル比率の範囲をBi:Ti=4.24:3〜4.6:3とするのが良い。このような溶液は、(株)高純度化学研究所などから、「有機金属分解法(MOD法と称する場合がある。)によるチタン酸ビスマス(BIT)形成用の溶液」として所望のBiおよびTiモル比率で購入することが出来る。
【0049】
そして、この溶液を第1塗布液として用いて、下部電極膜18上にスピンコートする。そのため、この第1塗布液を、下部電極膜18上に滴下し、その直後に、n−Si基板10を500rpmで10秒間、さらに2500rpmで30秒間回転させて塗布膜を形成する。その後、塗布膜から溶剤をとばすために、450℃で15分間仮焼成し、さらにRTAを用いて乾燥酸素中、850℃で3分間熱処理(本焼成)して結晶化させ、例えば厚さ600ÅのBIT膜、すなわち下層膜20aを形成する(図1の(B))。下層膜20aは、この膜を構成するBITのc軸が下部電極膜18の上側表面に対して実質的に垂直に配向しているもの、すなわちc軸に配向したBIT膜である。また、この膜は、BITの化学量論組成に対してBiの組成比率が多くなっているBITを含んでなる。なお、仮焼成後の膜を、通常の電気炉を用いて乾燥酸素中、850℃で30分間熱処理しても同様に、c軸に配向したBIT膜を形成することができる。
【0050】
次に、Ti源およびBi源を溶解していて、化学量論組成から定まるモル比率のBITの有機溶剤溶液から成る第2塗布液を用意する。そして、この第2塗布液を下層膜20a上にスピンコートする。そのためこの第2塗布液を下層膜20a上に滴下してn−Si基板10を500rpmで10秒間、さらに2500rpmで30秒間回転させて塗布膜を形成し、450℃で15分間仮焼成した後、RTAを用いて850℃で3分間本焼成を行い、1層目の上層膜20b1 を形成する(図1の(C))。この、第2塗布液による塗布膜の形成から、仮焼成、本焼成に至る処理を更に3回、トータル4回行い、2層目、3層目、および4層目の上層膜20b2 、20b3 、および20b4 を形成する。これにより、膜厚3000Å程度のBIT膜、すなわち上層膜20bを形成する(図1の(D))。この下層膜20aと上層膜20bとを合わせて、強誘電体膜20と称する。以下の図で、膜20b1 、20b2 、20b3 、および20b4 を、上層膜20bのみで省略して示す(図2の(A))。
【0051】
次に、強誘電体膜20上に、Ru膜から成る上部電極膜22を形成する(図2の(B))。この場合、強誘電体膜20上に、スパッタ法により、例えば厚さ2000Åの上部電極膜22を形成する。
【0052】
次に、上部電極膜22上に、これらの膜20a、20bおよび22のパターンニング用のマスクとするために、SiO2 膜24を形成(図2の(C))した後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いて、所望のFETサイズのレジストパターンを形成する(図示せず)。そして、このレジストパターンをマスクとして、SiO2 膜24に対してエッチング処理を行い、不要部分を除去することにより、パターンニング用のマスク24xを得る。その後このパターンニング用のマスク24xに合わせて、下層膜20a、上層膜20b、および上部電極膜22の不要部分を、エッチング処理により除去する(図3の(A))。この場合、これらの膜20a、20b、および22の不要部分を、エッチングガスとして塩素系またはフッ素系のガスを用いたドライエッチングにより、除去する。エッチングには、これに限らないが反応性イオンエッチング装置(以下、RIE装置と称する場合がある。)を用いることが出来る。特に、マグネトロン型のRIE装置を用いた場合、エッチング速度が向上する。なお、図中、20axはエッチング済の、残存した下層膜、20bxはエッチング済の、残存した上層膜、20xはエッチング済の、残存した強誘電体膜、22xはエッチング済の、残存した上部電極膜をそれぞれ示している。
【0053】
次に、エッチング済の膜である20ax、20bx、22xをマスクとして、、イオンミリングによりPt膜からなる下部電極膜18の不要部分を除去し、所望の形状にパターンニングする(図3の(B))。図中、18xはパターンニング済の、残存した下部電極膜を示す。また、このとき、パターンニング用のマスク24xはエッチングにより削られて薄くなっている。
【0054】
次に、これらの膜18x、20ax、20bx、22xをマスクとして、ゲート絶縁膜14および多結晶Si膜16の不要部分を、RIE装置を用いて、塩素系またはフッ素系のガスによるドライエッチングを行い、除去する。このとき、パターンニング用のマスク24xは、完全に除去される(図3の(C))。図中、14xはエッチング済の、残存したゲート絶縁膜、16xはエッチング済の、残存した多結晶Si膜である。
【0055】
次に、この素子全体を低温CVD酸化膜(以下、LTOと称する場合がある。)で覆う(図示せず)。そして、このLTOを異方性エッチングして、SiO2 から成るサイドウォール26を形成する(図4の(A))。異方性エッチングには、これに限らないがRIE装置を用いることが出来る。
【0056】
次に、n型不純物をイオン注入してソース28aおよびドレイン28bを形成する(図4の(B))。n型不純物には、これに限らないがヒ素(As)またはアンチモン(Sb)を用いることが出来る。
【0057】
次に、この素子全体を層間絶縁膜で覆う(図示せず)。そして、公知の技術を用いて、ソース26およびドレイン28を露出させるコンタクトホール30を形成する。図中、32はコンタクトホール30の形成後に残留した層間絶縁膜である。その後、コンタクトホール30には選択タングステン(W)CVD法により、W埋め込み層34を形成する。最後に、必要に応じて、金属配線を形成する。ここでは、アルミニウム(Al)を全面にスパッタ法により形成(図示せず)した後、フォトリソグラフィ、RIE装置を用いたエッチングを行い、Al配線36を形成する(図4の(C))。以上のようにして、MFMIS型のFETから成る半導体記憶素子を形成する。
【0058】
このようにして形成した半導体記憶素子は、上側から順に、上部電極膜、強誘電体膜、下部電極膜、ゲート絶縁膜、および半導体基板を具えた構成のFET(ここではMFMIS型のFET)から成るものであり、その強誘電体膜を、c軸に配向したBIT膜としたものである。c軸に配向したBIT膜の比誘電率および残留分極値が小さいため、この素子を動作させた場合、低いゲート電圧で十分な電界が、BIT膜から成る強誘電体膜にかかる。その結果、低いゲート電圧で情報の書き込みおよび読み取り等の安定した動作が可能となる。
【0059】
ここで、有機溶剤溶液中のBiとTiの比率が、Bi:Ti=4.4:3のものを塗布液として用いて、上述のスピンコート法で形成したBIT膜のヒステリシス特性を調べた。ただし、ヒステリシス特性測定用の試料として、p型のSi基板に、熱酸化により厚さ2000ÅのSiO2 膜を形成し、さらにこのSiO2 膜上に、スパッタ法により厚さ600ÅのPt膜を形成したものを下地とし、この下地上にBIT膜を形成し、さらにこのBIT膜上に厚さ2000Åのルテニウム(Ru)膜を形成したものを用いた。ヒステリシス特性は、Pt膜およびRu膜を電極とし、ソーヤタワー回路を用いる周知の技術を用いて測定した。PtとRuとの間の仕事関数の差を考慮し、実質的な残留分極値を求めると、約1.8(μC/cm2 )であった。また、比誘電率は67、抗電界は約12(kV/cm)であった。強誘電体膜として、一般的に用いられているチタン酸鉛(PZT)の誘電率は875であり、残留分極値は25.4(μC/cm2 )であり、抗電界は57.5(kV/cm)である(1995年春季応用物理学会講演予稿集第2分冊30p-D-16,p492参照)ことから、有機溶剤溶液中のBiとTiのモル比率が、Bi:Ti=4.4:3のものを塗布液として用いて形成したBIT膜、すなわちc軸に配向したBIT膜の比誘電率、残留分極値、および抗電界はいずれも十分低いことが理解できる。従って、このBIT膜を用いたFETから成る半導体記憶素子の強誘電体膜として用いた場合には、低いゲート電圧で、十分な電界を強誘電体膜にかけることが可能になる。さらに、抗電界が小さいことから、ヒステリシス特性を飽和させるために要するゲート電圧が低くなり、ゲート酸化膜破壊が起こりにくなる。
【0060】
また、この第1の実施の形態の方法で形成した強誘電体膜20の表面の平坦さを確認するため、下地上に強誘電体膜20を形成したものを第1試料とし、また、下地上にBiリッチのBIT膜のみからなる強誘電体膜を形成したものを第2試料として、これら第1および第2試料の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、2万倍の倍率で写真を撮り、これらを比較した。この結果、この発明に係る第1試料が、第2試料に比べて明らかに平坦であることが確認できた。
【0061】
図5は、第1試料(図5の(A))および第2試料(図5の(B))の断面のモデル図である。第1試料は、第2試料と比較して表面が平坦である。このため、この発明の半導体記憶素子の形成方法によって形成された強誘電体膜20を用いた半導体記憶素子は、その動作時に強誘電体膜の一部に電界集中が起こりにくいことが理解できる。
【0062】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、基本的には第1の実施の形態と同様であるが、下部電極膜18を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜としてある。
【0063】
図6の(A)および(B)は、第2の実施の形態の半導体記憶素子の構成および形成方法を説明するための概略的な断面図(ただし、切り口の図)であり、半導体記憶素子の形成工程の一部を示してある。
【0064】
多結晶Si膜16を形成する工程までは第1の実施の形態と同様である。その後、多結晶Si膜16上に、スパッタ法により、例えば厚さ500ÅのRu膜18aを形成し、さらにこのRu膜上に、スパッタ法により、例えば厚さ1000ÅのRuO2 膜18bを形成する。次に、RuO2 膜18b上に強誘電体膜20および上部電極膜22を、第1の実施の形態と同様の方法で順次に形成する(図6の(A))。このように、強誘電体膜20に酸化膜(RuO2 膜18b)が接しているため、強誘電体膜に酸素を供給して、膜の酸素空孔を補うことができる。この結果、膜疲労を抑制して疲労特性を向上させることができる。また、多結晶Si膜16上にRuO2 膜を直接形成せずにRu膜18aを間に設けるのは、多結晶Si膜の酸化を防ぐと共に、多結晶Si膜16とRuO2 膜との密着性を向上させるためである。
【0065】
ここで、Ru膜18aおよびRuO2 膜18bは、第1の実施の形態におけるPt膜のようにイオンミリングで加工する必要がなく、上部電極膜22、強誘電体膜20、多結晶Si膜16、およびゲート絶縁膜14と同様に、塩素系またはフッ素系のエッチングガスを用いてドライエッチングを行うことができる。よって、これらすべての膜14、16、18a、18b、20(20a、20b)、22の膜をすべて同時に、一括してドライエッチングを行う(図6の(B))。このため、工程が簡易になる。また、イオンミリングでパターンニングする工程を含む方法に比べて微細なパターンを形成することが可能になるため、素子の微細化も期待できる。図中、18axは残存したRu膜、18bxは残存したRuO2 膜を示す。
【0066】
その他の製造工程や効果等においては、第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0067】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、下部電極膜18を、上側がRuO2 膜18b、下側がRu膜18aの2層で構成される膜としてあり、この下部電極膜18と、強誘電体膜20との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含んでなる平坦化用の膜を更に設けてある。これは、Ru膜およびRuO2 膜とで構成される下部電極膜は、Ptで構成する下部電極膜と比較すると、実質的に問題がない程度であるが、表面が粗いため、これを緩和する目的で設けるものである。
【0068】
図7の(A)および(B)は、第3、および後述する第4の実施の形態の半導体記憶素子の構成および形成方法を説明するための概略的な断面図(ただし、切り口の図)であり、半導体記憶素子の形成工程の一部を示してある。
【0069】
ここでは、第2の実施の形態に示したようにRu膜18aとRuO2 膜18bとで構成される下部電極膜18を形成した後、化学量論組成から定まるモル比率のBITの有機溶剤溶液から成る塗布液を、下部電極膜18上に塗布し、焼成する。このことにより、c軸には配向していないが、平坦なBIT膜が形成される。これを平坦化用の膜19とする。その後、Bi組成比率の多いBITを焼成してc軸配向のBIT膜を形成した後、化学量論組成のBIT膜を1層あるいは数層形成する。ここでは、第1の実施の形態と同様に化学量論組成のBIT膜を4層形成し、強誘電体膜20を得た。その後、強誘電体膜20上に上部電極膜22を形成する(図7の(A))。次に、第2の実施の形態と同様に、フォトリソグラフィ、ドライエッチングにより、上部電極膜22、強誘電体膜20(20a、20b)、平坦化用の膜19、下部電極膜18(18a、18b)、多結晶Si膜16、およびゲート絶縁膜14を、すべて同時にパターンニングする(図7の(B))。図中、19xは、パターンニング済の平坦化用の膜を示す。
【0070】
このため、下部電極膜18をRu膜とRuO2 膜とで構成した場合の、強誘電体膜20を更に平坦に形成することができる。
【0071】
その他の製造工程や効果等においては、第1および第2の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0072】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態は、第3の実施の形態の平坦化用の膜19(19x)を、BITの化学量論組成に対してTiの組成比率が多くなっているBITを含む膜としたものである(以下、この膜をTiリッチのBIT膜ともいう。)。
【0073】
ここでは、第2および第3の実施の形態に示したようにRu膜18aとRuO2 膜18bとからなる下部電極膜18を形成した後、Ti源およびBi源を溶解していて、BITの化学量論組成から定まるBiに対するTiのモル比率より、Tiのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液から成る塗布液を、下部電極膜18上に塗布し、焼成する。このことにより、c軸には配向していないが、平坦なBIT膜である、平坦化用の膜19が形成される。その後、Bi組成比率の多いBITを焼成してc軸配向のBIT膜を形成した後、化学量論組成のBIT膜を1層あるいは数層形成する。ここでは、第1の実施の形態と同様に化学量論組成のBIT膜を4層形成し、強誘電体膜20を得た。そして、強誘電体膜20上に上部電極膜22を形成し(図7の(A))、第2の実施の形態と同様に、フォトリソグラフィ、ドライエッチングにより、上部電極膜22、強誘電体膜20(20a、20b)、平坦化用の膜19、下部電極膜18(18a、18b)、多結晶Si膜16、およびゲート絶縁膜14を、すべて同時にパターンニングする。
【0074】
このため、第3の実施の形態と同様に、下部電極膜18をRu膜とRuO2 膜とで構成した場合の、強誘電体膜20を更に平坦に形成することができる。また、この平坦化用の膜をTiリッチのBIT膜としたことにより、強誘電体膜のリーク電流を下げる効果を期待することができる。
【0075】
その他の製造工程や効果等においては、第1、第2および第3の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0076】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態は、第1の実施の形態のBIT膜から成る強誘電体膜を、BITの化学量論組成に対してBiの組成比率が多くなっているBITを含む複数の層で構成されるBIT膜とする例につき、図を参照して説明する。図8は、第5の実施の形態の説明における、主要な半導体記憶素子の形成工程の一部の工程を示す概略的な図であり、各工程段階での断面の切り口で示してある。
【0077】
まず、第1の実施の形態と同様にして、n−Si基板10上に順に、p型ウェル層12、ゲート絶縁膜14、多結晶Si膜16、下部電極膜18まで形成する(図8の(A))。
【0078】
その後、下部電極膜18上にBITを含んでなる強誘電体膜を形成する。この場合、まず、Ti源およびBi源を溶解していて、BITの化学量論組成から定まるTiに対するBiのモル比率より、Biのモル比率が多くなっている有機溶剤を用意する。BITの化学量論組成から定まるBiとTiのモル比率はBi:Ti=4:3である。この例では、有機溶剤溶液中のBiとTiのモル比率が、例えばBi:Ti=4.4:3である溶液を用いる。また、このモル比率の範囲をBi:Ti=4.08:3〜4.8:3程度とするとc軸配向の膜が得られる。この範囲のなかでもBi:Ti=4.24:3〜4.6:3であるのが好ましい。さらに最適であるのはBi:Ti=4.4:3である場合である。このような有機溶剤溶液を用いるとc軸に配向した強誘電体膜として用いて好適な膜が得られる。また、このような溶液は、(株)高純度化学研究所などから「有機金属分解法(MOD法)によるチタン酸ビスマス(BIT)形成用の溶液」として所望のBiおよびTiモル比率で購入することができる。
【0079】
そして、この溶液を塗布液として用いて、下部電極膜18上にスピンコートする。塗布液を、下部電極膜18上に滴下し、その直後にn−Si基板10を500rpmで10秒間、さらに2500rpmで30秒間回転させて、塗布膜を形成する。その後、塗布膜から溶剤をとばすために450℃で15分間仮焼成し、さらにRTAを用いて乾燥酸素中、850℃で3分間熱処理(本焼成)して結晶化させて、例えば厚さ600ÅのBIT膜を形成する。この膜を1層目の膜30aとする(図8(B))。この膜30aは、この膜30aを構成するBITのc軸が下部電極膜18の上側表面に対して実質的に垂直に配向しているもの、すなわちc軸に配向したBIT膜である。また、この膜30aはBITの化学量論組成に対してBiの組成比率が多くなっているBITを含んでなる。なお、仮焼成後の膜を、通常の電気炉を用いて乾燥酸素中、850℃で30分間熱処理を行っても同様に、c軸に配向したBIT膜を形成することができる。
【0080】
次に上記の塗布液をさらに1層目の膜30a上に滴下してn−Si基板10を500rpmで10秒間、さらに2500rpmで30秒間回転させて塗布膜を形成し、450℃で15分間仮焼成した後、RTAを用いて850℃で3分間本焼成を行い、1層目の膜30a上に2層目の膜30bを形成する。同様に、塗布液による塗布膜の形成から仮焼成、本焼成に至る一連の処理をさらに3回行って、3層目、4層目および5層目の膜(30c、30dおよび30e)を形成する。これにより、膜厚3000Å程度のBIT膜30を含んでなる、強誘電体膜が得られる(図8(C))。
【0081】
その後の工程(強誘電体膜30上に上部電極膜を形成してから、Al配線を形成するまで)は第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0082】
この結果、上述したようにしてもMFMIS型のFETを含んでなる半導体記憶素子を形成することができる。
【0083】
このような半導体記憶素子は上から順に、上部電極膜、強誘電体膜、下部電極膜、ゲート絶縁膜、および半導体基板を具えた構成のFET(ここではMFMIS型のFET)を含んでなるものであり、その強誘電体膜をc軸に配向したBIT膜としたものである。c軸に配向したBIT膜の比誘電率および残留分極値が小さいため、この素子を動作させた場合、低いゲート電圧で十分な電界が、BIT膜からなる強誘電体膜にかかる。その結果、低いゲート電圧で情報の書き込みおよび読み取り等の安定した動作が可能となる。
【0084】
また、有機溶剤溶液中のBiとTiの比率がBi:Ti=4.4:3のものを塗布液として用いたが、この比率がBi:Ti=4.08:3〜4.8:3の範囲であるとき、c軸に配向した膜が得られる。また、この比率がBi:Ti=4.24:3〜4.6:3の範囲にあるとき、実質的にc軸に配向した膜で、強誘電体膜として用いて好適である膜が得られる。Bi:Ti=4.6:3〜4.8:3では、強誘電体膜として用いることはできるが、c軸の強度は飽和しているということがXRD(X-Ray Diffraction method) による分析の結果から確認されている。また、この結果からBi:Ti=4.4:3である塗布液を用いて形成される膜が、この素子の強誘電体膜として用いて最適である。
【0085】
また、この第5の実施の形態の方法で形成した強誘電体膜の表面は、第1の実施の形態の方法で形成した膜と比べると、その平坦性は若干低いが、強誘電体膜として用いるのに何の支障も来さない程度である。また、この実施の形態のように、Biリッチの塗布液を用いて形成する一種類の膜で強誘電体膜を構成することができるために、製造工程がより簡易となって、素子の形成が容易となる。
【0086】
また、基本的には第5の実施の形態と同様であるが、下部電極膜18を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜としてあってもよい。強誘電体膜を形成する工程およびこの強誘電体膜による効果は第5の実施の形態と同様で、その他の工程および効果は第2の実施の形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0087】
また、下部電極膜18を、上側がRuO2 膜、下側がRu膜の2層で構成される膜としてあり、この下部電極膜18と、強誘電体膜20との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含んでなる平坦化用の膜を更に設けてあってもよい。
【0088】
また、上記平坦化用の膜を、BITの化学量論組成に対してTiの組成比率が多くなっているBITを含んでなる膜としてもよい(以下、この膜をTiリッチのBIT膜ともいう。)。
【0089】
<第6の実施の形態>
第6の実施の形態は、基本的には第1の実施の形態と同様であるが、下部電極膜18を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としてある。
【0090】
図9の(A)および(B)は、第6の実施の形態の半導体記憶素子の構成および形成方法を説明するための概略的な断面図(ただし、切り口の図)であり、半導体記憶素子の形成工程の一部を示してある。
【0091】
多結晶Si膜16を形成する工程までは第1の実施の形態と同様である。その後、多結晶Si膜16上に、スパッタ法により、例えば厚さ1000ÅのIr膜18cを形成し、さらにこのIr膜18c上に、酸素およびアルゴンを含有する雰囲気中で反応性スパッタ法により、例えば厚さ1000ÅのIrO2 膜18dを形成する。次に、IrO2 膜18d上に強誘電体膜20を第1の実施の形態と同様の方法で形成する。続いて強誘電体膜20上に上部電極膜22としてここではIrO2 膜22aをスパッタ法を用いて2000Åの厚さに形成する(図9の(A))。このように、強誘電体膜20に酸化膜(IrO2 膜18d)が接しているため、強誘電体膜に欠乏しやすい酸素を膜に供給して、膜疲労を抑制することができる。この結果強誘電体膜の疲労特性を向上させることができる。また、多結晶Si膜16上にIrO2 膜を直接形成せずにIr膜18cを間に設けるのは、多結晶Si膜の酸化を防ぐと共に、多結晶Si膜16とIrO2 膜18dとの密着性を向上させるためである。また、これらのIrO2 膜18dとIr膜18cとからなる下部電極膜18は、優れた耐熱性を有している。すなわちこの下部電極膜18は、例えば強誘電体膜を形成するときのような高温の酸素雰囲気中において安定である。また、下部電極膜18は強誘電体膜と電極との間の相互拡散を防ぐ特性、すなわち優れたバリア性も有している。また、上部電極膜22としてIrO2 膜を用いると、強誘電体を挟む上下の電極は、同じ材料の電極となるため強誘電体ヒステリシスには、両電極間の仕事関数差による影響がなくなる。
【0092】
さらに、Ir膜18cおよびIrO2 膜18dは、第2の実施の形態と同様にして、上部電極膜22としてのIrO2 膜22a、強誘電体膜20、多結晶Si膜16、およびゲート絶縁膜14とともに、塩素系またはフッ素系のエッチングガスを用いてドライエッチングを行うことができる。よって、これらすべての膜14、16、18c、18d、20(20a、20b)、22aの膜をすべて同時に、一括してドライエッチングを行う(図9の(B))。このため、工程が簡易になる。また、イオンミリングでパターンニングする工程を含む方法に比べて微細なパターンを形成することが可能になるため、素子の微細化も期待できる。図中、18cxは残存したIr膜、18dxは残存したIrO2 膜、および22axは残存したIrO2 膜を示す。
【0093】
その他の製造工程や効果等においては、第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0094】
また、この下部電極膜18と、強誘電体膜20との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含んでなる平坦化用の膜を更に設けてあってもよいし、この平坦化用の膜を、TiリッチのBIT膜としてもよい。
【0095】
また、強誘電体膜20は、この例ではBiリッチの塗布液を用いて得られる下層膜と化学量論組成のBITから得られる上層膜との合成膜としているが、Biリッチの塗布液によって得られる膜の単層膜または積層膜としてもよい。
【0096】
この発明は、例示の形態にのみ限定されるものではないことは明らかである。例えば、上述の第1、第2、第3、第4、第5および第6の実施の形態ではいずれもMFMIS型のFETで半導体記憶素子を構成しているが、強誘電体膜としてBIT膜を用いるのが好適な半導体記憶素子であれば、MFMIS型のものに限らない。
【0097】
例えば変形例として、この発明をMFIS(Metal Ferroelectric Insulator Semiconductor)型のFETに適用することができる。第1の実施の形態と同様にしてn−Si基板10の上側にゲート絶縁膜14まで(n−Si基板10、p型ウェル層12およびゲート絶縁膜14)形成した後、このゲート絶縁膜14上にBIT膜40を強誘電体膜として形成する。BIT膜40は第1の実施の形態のように、Biリッチの塗布液を用いて得られる下層膜と、化学量論組成のBITから得られる上層膜との合成膜としてもよいし、第5の実施の形態のようにBiリッチの塗布液から得られる膜としてもよい。この後、電極膜42を形成する(図10)。この電極膜42には、第1〜第5の実施の形態の上部電極膜に用いたRu系や、Ir、IrO2 、ReおよびReO2 を用いることができる。これによって、上から順に、電極膜、強誘電体膜、ゲート絶縁膜および半導体基板を具えたMFIS型のFETを形成することができる。なお、ゲート絶縁膜14には、誘電率の高いTa25 やZrO2 やCeO2 などを用いることができる。
【0098】
また上述の各実施の形態では、有機溶剤溶液中のBiとTiの比率が、Bi:Ti=4.4:3のものを塗布液として用いてBIT膜を形成した場合について示したが、BiとTiの比率が、Bi:Ti=4.08:3〜4.6:3の範囲のものを塗布液として用いた場合にも、同様に、c軸に配向したBIT膜が得られることを確認した。また、ここでは、Pt膜またはRuO2 膜(Ru膜とRuO2 膜)との積層膜上にBIT膜を形成した場合について示したが、その他、IrO2 膜、Si膜、およびSiO2 膜上にBIT膜を形成した場合にも、同様に、c軸に配向したBIT膜が得られることを確認した。また、有機溶剤溶液中のBiとTiの比率が、Bi:Ti=4.24:3〜4.6:3の範囲のものを塗布液として用いて形成したBIT膜の比誘電率、残留分極値、および抗電界も十分低いことを確認した。
【0099】
【発明の効果】
上述した説明からも明らかなように、この発明の半導体記憶素子によれば、上側から順に、上部電極膜、強誘電体膜、下部電極膜、ゲート絶縁膜、および半導体基板を具えた構成の電界効果トランジスタを少なくとも具えた半導体記憶素子において、強誘電体膜を、c軸配向のBIT膜であって、Biリッチの下層膜と、化学量論組成のBITからなる単層または複数の層の上層膜との積層膜で構成されるBIT膜とした。このため、強誘電体膜の比誘電率および残留分極値が小さくなる。従って、低いゲート電圧で、十分な電界を強誘電体膜にかけることが可能になる。その結果、低いゲート電圧で情報の書き込みおよび読み取り等の安定した動作が可能となる。また、表面が平坦なBIT膜とすることができるため、その後の形成工程を容易で正確に行うことができる。また、強誘電体膜は平坦であるので電界が均等にかかって、電界集中を防ぐことができる。また、強誘電体膜に接してRuO2 膜やIrO2 膜等の酸化膜を設けることによって強誘電体膜の疲労特性の改善を図ることができる。
【0100】
また、この発明の半導体記憶素子の形成方法によれば、上述の半導体記憶素子を形成するに当たり、または、半導体基板にゲート絶縁膜、および下部電極膜を順次に形成してなる下地上に、強誘電体膜および上部電極膜を順次に形成して半導体記憶素子を形成するに当たり、強誘電体膜を次のような工程を含んで形成する。まず、Ti源およびBi源を溶解していて、BITの化学量論組成から定まるTiに対するBiのモル比率より、Biのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液から成る第1塗布液を用いて下層膜を形成する。次に、Ti源およびBi源を溶解していて、化学量論組成から定まるモル比率のBITの有機溶剤溶液から成る第2塗布液を用いて、この第2塗布液を、下層膜上に、塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、上層膜を形成する。このため、BIT膜であって、この膜を構成するBITのc軸が下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向しているものを強誘電体膜とするFETを含んで成る半導体記憶素子を簡易に形成することができる。すなわち、低いゲート電圧で、十分な電界を強誘電体膜にかけることが可能なMFMIS型のFETを含んで成る半導体記憶素子を簡易に形成することができる。その上、BIT膜の表面を平坦に形成することができるため、その後のFETの形成工程も容易で正確に行うことができる。また、BIT膜は平坦であるために、膜の一部に電界集中が生じるのを防ぐことができる。
【0101】
また、強誘電体膜を、次のような工程を含んで形成する。まずTi源およびBi源を溶解していて、BITの化学量論組成から定まるTiに対するBiのモル比率より、Biのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液からなる塗布液を用いて、この塗布液を、下部電極膜上に塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことによりc軸配向のBIT膜を形成する。このため、より容易に強誘電体膜を形成することができる。したがって、このような強誘電体膜を有するFETを含んでなる半導体記憶素子を、より簡易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は、第1の実施の形態の説明に供する半導体記憶素子の製造工程を示す概略的な断面図である。
【図2】(A)〜(C)は、図1に続く、第1の実施の形態の説明に供する半導体記憶素子の製造工程を示す概略的な断面図である。
【図3】(A)〜(C)は、図2に続く、第1の実施の形態の説明に供する半導体記憶素子の製造工程を示す概略的な断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、図3に続く、第1の実施の形態の説明に供する半導体記憶素子の製造工程を示す概略的な断面図である。
【図5】(A)および(B)は、第1の実施の形態の強誘電体膜の表面の平坦さを説明するためのモデル図である。
【図6】(A)および(B)は、第2の実施の形態の説明に供する概略的な断面図である。
【図7】(A)および(B)は、第3および第4の実施の形態の説明に供する概略的な断面図である。
【図8】(A)〜(C)は、第5の実施の形態の説明に供する概略的な断面図である。
【図9】(A)および(B)は、第6の実施の形態の説明に供する概略的な断面図である。
【図10】この発明の変形例の説明に供する概略的な断面図である。
【符号の説明】
10:n−Si基板
12:p型ウェル層
14:ゲート絶縁膜
14x:(残存した)ゲート絶縁膜
16:多結晶Si膜
16x:(残存した)多結晶Si膜
18:下部電極膜
18x:(残存した)下部電極膜
18a:Ru膜
18b:RuO2
18c:Ir膜
18d:IrO2
19:平坦化用の膜
19x:(残存した)平坦化用の膜
20:強誘電体膜
20x:(残存した)強誘電体膜
20a:下層膜
20ax:(残存した)下層膜
20b:上層膜
20bx:(残存した)上層膜
22:上部電極膜
22a:IrO2
22x:(残存した)上部電極膜
24:SiO2
24x:パターンニング用のマスク
30,40:BIT膜、強誘電体膜
42:電極膜

Claims (22)

  1. 上側から順に、上部電極膜、強誘電体膜、下部電極膜、ゲート絶縁膜、および半導体基板を具えた構成の電界効果トランジスタを少なくとも具えた半導体記憶素子において、
    前記強誘電体膜を、
    1)チタン酸ビスマス膜であって、
    2)該膜を構成するチタン酸ビスマスのc軸が前記下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向していて、
    3)チタン酸ビスマスの化学量論組成に対してビスマスの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含む下層膜と、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含む単層または複数の層の上層膜との積層膜で構成される当該チタン酸ビスマス膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  2. 請求項1に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜をPt(白金)膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  3. 請求項1に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  4. 請求項1に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜としたとき、
    前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含有してなる平坦化用の膜を更に設けた
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  5. 請求項1に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜としたとき、
    前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、チタン酸ビスマスの化学量論組成に対してチタンの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含有してなる、平坦化用の膜を更に設けた
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  6. 請求項1に記載の半導体記憶素子を形成するに当たり、
    a)チタン源およびビスマス源を溶解していて、チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するビスマスのモル比率より、ビスマスのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液から成る第1塗布液を用いて前記下層膜を形成する工程と、
    b)チタン源およびビスマス源を溶解していて、化学量論組成から定まるモル比率のチタン酸ビスマスの有機溶剤溶液から成る第2塗布液を用いて、該第2塗布液を、前記下層膜上に、塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、前記上層膜を形成する工程と
    を含むことを特徴とする半導体記憶素子の形成方法。
  7. 半導体基板にゲート絶縁膜、および下部電極膜を順次に形成してなる下地上に、強誘電体膜および上部電極膜を順次に形成して半導体記憶素子を形成するに当たり、
    前記強誘電体膜の形成は、
    イ)チタン源およびビスマス源を溶解していて、チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するビスマスのモル比率より、ビスマスのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液から成る第1塗布液を用いて下層膜を形成する工程と、
    ロ)チタン源およびビスマス源を溶解していて、化学量論組成から定まるモル比率のチタン酸ビスマスの有機溶剤溶液から成る第2塗布液を用いて、該第2塗布液を、前記下層膜上に、塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、上層膜を形成する工程と
    を含むことを特徴とする半導体記憶素子の形成方法。
  8. 上側から順に、上部電極膜、強誘電体膜、下部電極膜、ゲート絶縁膜、および半導体基板を具えた構成の電界効果トランジスタを少なくとも具えた半導体記憶素子において、
    前記強誘電体膜を、
    1)チタン酸ビスマス膜であって、
    2)該膜を構成するチタン酸ビスマスのc軸が前記下部電極膜の上側表面に対して実質的に垂直に配向していて、
    3)チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するビスマスのモル比率よりビスマスの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含む単層または複数の層で構成される当該チタン酸ビスマス膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  9. 請求項8に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜をPt(白金)膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  10. 請求項8に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  11. 請求項8に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜としたとき、
    前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含有してなる平坦化用の膜を更に設けた
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  12. 請求項8に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がRuO2 (酸化ルテニウム)膜、下側がRu(ルテニウム)膜の2層で構成される膜としたとき、
    前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、チタン酸ビスマスの化学量論組成に対してチタンの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含有してなる、平坦化用の膜を更に設けた
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  13. 請求項8に記載の半導体記憶素子を形成するに当たり、
    チタン源およびビスマス源を溶解していて、前記チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するモル比率より、ビスマスのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液からなる塗布液を用いて、該塗布液を、前記下部電極膜上に塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、前記チタン酸ビスマス膜を形成する工程を含む
    ことを特徴とする半導体記憶素子の形成方法。
  14. 半導体基板にゲート絶縁膜、および下部電極膜を順次に形成してなる下地上に、強誘電体膜および上部電極膜を順次に形成して半導体記憶素子を形成するに当たり、
    前記強誘電体膜の形成は、
    チタン源およびビスマス源を溶解していて、チタン酸ビスマスの化学量論組成から定まるチタンに対するモル比率より、ビスマスのモル比率が多くなっている有機溶剤溶液からなる塗布液を用いて、該塗布液を、前記下部電極膜上に塗布した後に焼成することを1回または複数回繰り返すことにより、前記チタン酸ビスマス膜を形成する工程を含む
    ことを特徴とする半導体記憶素子の形成方法。
  15. 請求項1に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  16. 請求項1に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としたとき、前記上部電極膜を、IrO2 (酸化イリジウム)膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  17. 請求項1に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としたとき、前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含有してなる平坦化用の膜を更に設けた
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  18. 請求項1に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としたとき、前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、チタン酸ビスマスの化学量論組成に対してチタンの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含有してなる、平坦化用の膜を更に設けたことを特徴とする半導体記憶素子。
  19. 請求項8に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  20. 請求項8に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としたとき、前記上部電極膜を、IrO2 (酸化イリジウム)膜とした
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  21. 請求項8に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としたとき、前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、化学量論組成のチタン酸ビスマスを含有してなる平坦化用の膜を更に設けた
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  22. 請求項8に記載の半導体記憶素子において、
    前記下部電極膜を、上側がIrO2 (酸化イリジウム)膜、下側がIr(イリジウム)膜の2層で構成される膜としたとき、前記下部電極膜と前記チタン酸ビスマス膜との間に、チタン酸ビスマスの化学量論組成に対してチタンの組成比率が多くなっているチタン酸ビスマスを含有してなる、平坦化用の膜を更に設けたことを特徴とする半導体記憶素子。
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