JP4017151B2 - ストロボ内蔵カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポップアップ式のストロボを内蔵したカメラに関するものであり、さらに詳しくは、ストロボ光の照射角度および発光位置が調節可能なストロボ機構を内蔵したカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
撮影時に被写体の明るさが足りない、もしくは、補助照明光を照射して被写体を効果的に撮影したいなどの目的のためにストロボを用いての撮影が行われている。このストロボは、カメラとは別体に設けられているものやカメラに内蔵されているものなど、様々なタイプのものがあるが、最近は、手軽にストロボ撮影が行えるようにカメラに内蔵されているものが主流となっている。
【0003】
しかし、ストロボを内蔵したカメラでは、カメラの小型化などに伴って、ストロボ発光部の中心と撮影レンズの光軸との距離が小さくなってしまう。このために、人物の瞳孔が赤く撮影されてしまういわゆる赤目現象が起きやすく問題となっている。
【0004】
このような問題を解決するために、ストロボ発光部を、カメラ本体に収納する収納位置と、カメラ本体から突出した使用位置との間で移動自在にするポップアップ機構を内蔵したデジタルカメラが知られている(例えば特許文献1参照。)。これによれば、ストロボ撮影時に、ストロボ発光部を撮影レンズの光軸から離すことができるので、いわゆる赤目現象を軽減することができる。また、ストロボ不使用時にはストロボ発光部をカメラ本体内に収納することで、携帯性の向上と外観デザイン性の向上を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−242497号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のストロボ内蔵のカメラは、ストロボ光を直接被写体に向けて発光させるので強い影が出やすい。これを防止するには、ストロボ光を天井や壁などに当て、その反射光を被写体に照射するバウンス照明といわれる方法を用いることが効果的であるが、このためにはストロボ光の照射角度や発光位置などを調節できる機構をカメラ本体に設ける必要がある。このため、カメラの大型化を招いてしまうので、携帯性を重視したカメラではこの機構は採用されておらず、バウンス照明を用いた撮影は手軽には行えなかった。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、カメラに内蔵されるストロボで手軽にバウンス照明を用いた撮影が行えるストロボ機構を内蔵したカメラを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のストロボ内蔵カメラは、カメラ本体から突出した使用位置と、カメラ本体に収納された収納位置との間で移動自在のストロボ発光部を備えたストロボ内蔵カメラにおいて、前記ストロボ発光部は、移動方向と平行な軸を中心に回転自在なロッドアンテナ状の支持手段によって保持されているとともに、前記支持手段は、ストロボ発光部が収納位置に移動された際にストロボ発光部が収納される略円筒形状の枠体を備え、前記ストロボ発光部は、前記枠体の内側でスライド自在に保持されるとともに、前記枠体の中心軸周りに回動自在に保持されることを特徴とするものである。
【0009】
前記支持手段は、前記使用位置に突出したストロボ発光部が前記カメラ本体から遠ざかる方向に引き出し操作された際に伸張することが好ましい。また、前記ストロボ発光部が回動され、ストロボ光の発光方向が撮影光軸と平行となる正面位置まで移動された際に係合する突起と窪みとを設けることが好ましい。さらに、前記ストロボ発光部と前記カメラ本体とを電気的に接続する配線と、前記配線を巻き取る巻き取り器とを備えるとともに、前記巻き取り器は、前記配線が弛まないように前記配線を巻き取る巻き取り方向に付勢する付勢手段を備えていることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1、図2は、本発明を用いたデジタルカメラ10の外観斜視図であり、図1は、ストロボ発光部40が収納位置にある場合を、図2(a)は、ストロボ発光部40が使用位置にある場合を、図2(b)は、ストロボ発光部40が延長位置にある場合をそれぞれ示している。
【0011】
デジタルカメラ10には、薄型の略直方体形状のカメラ本体11に、撮影レンズ16が組み込まれたズームレンズ鏡筒17,ストロボ発光部40、収納位置に係止されたストロボ発光部40の係止を解除して使用位置へ移動させる操作ボタン45、ストロボ受光部47などが配置されている。
【0012】
ズームレンズ鏡筒17の背後には、撮像手段であるCCDイメージセンサが取り付けられ、撮影レンズ16を通して得られた被写体の光学画像を光電変換して撮像信号を出力する。CCDイメージセンサからの撮像信号は逐次にA/D変換,各種の信号処理により画像データに変換され、カメラ本体11の背面に設けられた液晶モニタでスルー画像として被写体画像を観察することができる。
【0013】
液晶モニタは電源を消耗しやすいので、液晶モニタを使用しなくてもフレーミングを行うことができるようにカメラ本体11には光学ファインダ19が組み込まれている。フレーミングの後にレリーズボタン24を押圧操作すると、その直後からCCDイメージセンサから得られる1画面分の撮像信号が画像データに変換された後、内蔵メモリあるいは着脱式のメモリカードに保存される。
【0014】
カメラ本体11の側面にはポップアップ式のストロボ発光部40が配置されている。ストロボ発光部40は、円筒形状をしており、周知のように放電管,リフレクタ,拡散板などからなりストロボ回路から送られるトリガー信号を受けて発光する。また、デジタルカメラ10はオートストロボ機能を備えており、ストロボ受光部47には、ストロボ発光量を測定し調節するための調光センサが組み込まれている。
【0015】
調光センサは被写体で反射したストロボ光を受光して光電信号に変換し、その光電信号を調光回路に送る。調光回路は、送られてくる光電信号に基づいてストロボ光量を積分して、発光量が予め設定された所定値に達したときにストロボ発光を停止させる。
【0016】
後述するように、ストロボ発光部40は、通常は収納位置にあるが、ストロボ使用時には操作ボタン45を押圧操作することによって、使用位置に移動する。また、ストロボ発光部40は、使用位置から引き出し操作することによって、延長位置までスライド移動自在である。さらに、ストロボ発光部40は、この移動方向と平行な軸を中心に回転自在に設けられている。これによってデジタルカメラ10は、ストロボ光を天井や壁などに反射させてから被写体に向け照射するバウンス照明を用いた撮影を行うことができるようになっている。
【0017】
図3に示すように、ストロボ発光部40は、カメラ本体11に設けられたストロボ支持部50の内側に配置される。ストロボ支持部50はロッドアンテナ状の構造をしており、ストロボ発光部40の配置されるストロボベース51を中心に、ストロボベース51を外側からスライド自在に支持する略円筒形状の枠体52、さらに、この枠体52を外側からスライド可能に支持する略円筒形状の収納部53とからなっている。これによってストロボ発光部40は、撮影光軸と垂直な面で伸縮自在となっている。
【0018】
なお、枠体52と収納部53は、収納部53の内側で枠体52を移動させるのに一定の摩擦力が必要となるように、例えば、収納部53の内壁に合成ゴムシートを用いるなど、互いの材質や隙間などが調節されている。この摩擦力により枠体52は、デジタルカメラ10の通常使用時には移動しないが、ユーザーの押し込み操作や引き出し操作がなされた場合には移動可能となっている。また、ストロボベース51は、バネ54によってストロボベース51に配置されたストロボ発光部40を収納位置から使用位置へ移動させる方向に付勢されている。
【0019】
図4、図5に示すように、ストロボベース51には、連結部51a、窪み51b、系合爪51c、開口51dが設けられている。連結部51aは、円筒形状をしており、外周に沿って溝が設けられている。一方、ストロボ発光部40には、この連結部51aが嵌め込まれる穴40aが設けられている。穴40aの内壁には、内周に沿って突起が設けられており、この突起と溝とが係合することによってストロボ発光部40は、ストロボベース51に回転自在に支持される。
【0020】
なお、ストロボ発光部40には、ストロボ位置合わせ用の円形の突起40bを設け、ストロボベース51には、この位置合わせ用の突起40bに対応する窪み51bが設けてある。突起40b及び窪み51bは、ストロボ発光部40が、ストロボ光をカメラの撮影光軸に平行にする正面位置で、突起40bと窪み51bが係合するように設けてある。これによってストロボ発光部40が回転しても、正面位置に来たときは一旦係止されるので、ユーザーには、ストロボ発光部40の正面位置が分かり易くなっている。
【0021】
ストロボ発光部40からは、電源を供給するための配線60がストロボベース51の開口51dを通りカメラ本体11に向かって延びている。配線60は、カメラ本体11に配置された巻き取り器61(図3参照。)を介してストロボ回路に接続される。巻き取り器61は、内部の図示しないバネにより配線60を巻き取り器61の内部に巻き取る方向に付勢されている。このため、ストロボ発光部40がカメラ本体11に対して変位しても、配線60はたるまないようになっている。
【0022】
ストロボ支持部50の近傍には、操作ボタン45と、この操作ボタン45と連動して動作するストロボ係止部材70とが設けられている。操作ボタン45は、操作部45a、フランジ45b、押圧部45cとからなり、カメラ本体11に設けられた開口(図示せず。)から操作部45aを突出させるようにして配置される。
【0023】
ストロボ係止部材70は、ほぼ中央部に開口70aが設けられており、端部はそれぞれ係合部70b、被押圧部70cとなっている。開口70aには固定部材71が嵌め込まれ、ストロボ係止部材70は、この開口70aを中心にカメラ本体11に対して回転自在に支持される。また、ストロボ係止部材70は、バネ72によって固定部材72の軸を中心に反時計方向に付勢されている。
【0024】
係合部70bは、ストロボベース51の係合爪51cと係合するようになっており、ストロボ発光部40を収納位置に保持する。被押圧部70cは、操作ボタン45の押圧部45aと当接している。被押圧部70cと押圧部45aは互いに傾斜した面で当接しており、操作ボタン45の押圧力はバネ72の付勢に抗した方向にかかるようになっている。
【0025】
操作ボタン45が押圧されると係合部70bと、係合爪55cとの係合が解除され、ストロボベース51は、バネ54の付勢により枠体52の端部へ向けて移動する。なお、操作ボタン45は、押圧されていないときはバネ72の付勢によって押し戻されるが、このとき、フランジ45bによりカメラ本体11の内側に支持されるようになっている。
【0026】
以下本発明の作用について説明をする。デジタルカメラ10は、ストロボ不使用時にはストロボ発光部40をカメラ本体11に収納した収納位置にて使用される。このとき、係合部70bと係合爪51cが係合しているのでストロボ発光部40は、ストロボベース51とともに収納位置に保持されている。
【0027】
ストロボを使用するときは、ユーザーは操作ボタン45を押圧操作する。操作ボタン45の押圧により係合部70bと係合爪51cの係合が解除されるので、バネ54の付勢によりストロボベース51が移動し、これとともにストロボ発光部40は、図2(a)及び図6(a)に示す使用位置に突出する。これによって、ストロボを用いた撮影を行うことができる。
【0028】
ユーザーは、この状態でデジタルカメラ10を使用してもよいが、本発明のデジタルカメラ10は、カメラ本体11に対してストロボ発光部40が回転自在である。さらには、カメラ本体11に対してストロボ発光部40を移動自在としたので、使用位置にあるストロボ発光部40を手で持って引き出せば、図2(b)、図6(b)に示すように、延長位置までストロボ発光部40を移動させることができる。
【0029】
以上により、ストロボ発光部40と撮影光軸を離すことができる。また、ストロボ発光部40を回転させればストロボ光を被写体に間接的に照射することが可能になるので、赤目現象を防止できるとともに、バウンス照明を用いた撮影を手軽に行うことができる。さらに、ストロボ発光部40をロッドアンテナ状の移動機構によって伸縮、ならびに回転自在にしたので装置の大型化を防ぐことができる。また、ストロボを使用しないときは、カメラ本体11に収納できるようにしたのでカメラの外観デザイン性と携帯性とを向上させることができる。
【0030】
上記実施形態では、使用位置にあるストロボ発光部40は、枠体の長さ分だけ1段階の移動が可能であるが、図7に示すように、2つの枠体81、82を2重に配置してもよい。こうすることによって、同図(a)に示す使用位置から同図(b)に示す延長位置までに枠体2つ分の2段階の移動が可能となり、ストロボ発光部40の移動量を増やすことができる。なお、上述した実施形態と同一の部材については同一の符号を用いている。
【0031】
また、上記実施形態では、ストロボベースとストロボ発光部とを別体に設け、ストロボベースに対してストロボ発光部を回転自在に設けたが、ストロボベースとストロボ発光部とを一体に設けてもよい。この場合は、枠体に対してストロボベースを回転自在に設ければよい。
【0032】
こうすることによって、発光位置もしくは延長位置にあるストロボ発光部を収納位置に移動させる際に、ストロボ発光部を正面位置まで回転させないとストロボベースの係合爪がストロボ係止部材と係合しない。これによって、ユーザーの勘違いなどにより、ストロボ光の照射方向が意図していない方向になってしまうといったことを防止できる。
【0033】
また、上記実施形態では、ストロボ発光部が円筒形状のカメラを例に説明をしたが、例えば、半円筒形状などのストロボ発光部であってもよい、なお、上記実施形態では、デジタルカメラを例に説明をしたが、本発明はこれに限らず、その他のカメラ、例えば、コンパクトカメラ、レンズ付きフイルムユニットなどのカメラにおいても実施可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明のストロボ内蔵カメラによれば、ストロボ発光部を撮影光軸と垂直な面で伸縮自在とし、また、この伸縮方向と平行な軸を中心に回転自在としたので、赤目現象の発生を防止できるとともに、バウンス照明を用いた撮影が手軽に行える。そして、ストロボ発光部をロッドアンテナ状の移動機構によって伸縮、ならびに回転自在にしたのでカメラの大型化を防ぐことができる。また、ストロボを使用しないときは、カメラ本体の内部に収納するようにしたのでカメラの外観デザイン性と携帯性とを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ストロボ不使用時のデジタルカメラの斜視図である。
【図2】ストロボ使用時のデジタルカメラの斜視図である。
【図3】ストロボ支持部の断面図である。
【図4】ストロボ発光部とストロボベース及びストロボ係止部材の斜視図である。
【図5】ストロボ発光部とストロボベース及びストロボ係止部材の斜視図である。
【図6】使用位置と延長位置を表す説明図である。
【図7】枠体を2重にしたストロボ支持部においての使用位置と延長位置を表す説明図である。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ
11 カメラ本体
40 ストロボ発光部
45 操作ボタン
47 ストロボ受光部
50 ストロボ支持体
51 ストロボベース
52、81、82 枠体
53 収納部
54、72 バネ
60 配線
61 巻き取り器
70 ストロボ係止部材
Claims (4)
- カメラ本体から突出した使用位置と、カメラ本体に収納された収納位置との間で移動自在のストロボ発光部を備えたストロボ内蔵カメラにおいて、
前記ストロボ発光部は、移動方向と平行な軸を中心に回転自在なロッドアンテナ状の支持手段によって保持されているとともに、
前記支持手段は、ストロボ発光部が収納位置に移動された際にストロボ発光部が収納される略円筒形状の枠体を備え、
前記ストロボ発光部は、前記枠体の内側でスライド自在に保持されるとともに、前記枠体の中心軸周りに回動自在に保持されることを特徴とするストロボ内蔵カメラ。 - 前記支持手段は、前記使用位置に突出したストロボ発光部が前記カメラ本体から遠ざかる方向に引き出し操作された際に伸張することを特徴とする請求項1記載のストロボ内蔵カメラ。
- 前記ストロボ発光部が回動され、ストロボ光の発光方向が撮影光軸と平行となる正面位置まで移動された際に係合する突起と窪みとを設けたことを特徴とする請求項1記載のストロボ内蔵カメラ。
- 前記ストロボ発光部と前記カメラ本体とを電気的に接続する配線と、
前記配線を巻き取る巻き取り器とを備えるとともに、
前記巻き取り器は、前記配線が弛まないように前記配線を巻き取る巻き取り方向に付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1または2記載のストロボ内蔵カメラ。
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